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雪組の人気男役として数々の役柄を演じ、歌い手としても優れた舞台を見せてくれた彩吹真央が、多くのファンに惜しまれながら宝塚を退団してから5カ月。まもなく女優としての初のミュージカル、『Pal Joey』が初日の幕を明けようとしている。
すでに外部での活動は、7月下旬に公演した『DRAMATICA/ROMANTICA』で、シンガーとしてデビュー。今のミュージカル界の若手実力者たちとともに、映画やミュージカルの楽曲をロックからクラシカルな曲調のものまで歌い上げ、まさにドラマティックで上質のステージを見せてくれた。
その熱い手応えを胸に『Pal Joey』のグラディス役に挑む彩吹真央に、公演への意気込みとこれからの活動への抱負を聞く。

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【負けず嫌いで実は女らしいグラディス】

ーー製作発表では宝塚音楽学校以来というスカート姿で、綺麗な脚を出していましたね。

製作サイドから「ぜひスカートを」と言っていただいたので履いたんですが、そうでなかったら自分からはなかなか履かなかったと思います。いいきっかけになりました(笑)。

ーー今回の作品の役どころを説明していただきたいのですが。

1930年代のシカゴが舞台のミュージカルなんですが、私のグラディスは坂本昌行さん扮するパル・ジョーイの恋人だった女性で、今は別れてシカゴでクラブの歌手をしています。そこにジョーイがやってきて再会しますが、彼がプレイボーイのせいもあって、すぐぶつかって喧嘩になってしまうんです。その喧嘩の中で、まだ彼を愛してるという複雑な女心を表現しなくちゃいけなくて。

ーーいわゆる向こうっ気が強い女性のタイプですね。

DSCF4583負けず嫌いで素直じゃないところがあったりするのかなと。そこがジョーイと似ていて、だからこそ反発しちゃうところもあるんでしょうね。でも実際はジョーイのことが、やっぱり好きで忘れられないんです。

ーーその女心の裏表をどう表現するかですね。

最初に台本をいただいたインスピレーションでは、ジョーイをめぐる3人の女性(彩吹、桜乃彩音、高畑淳子)の中では一番強い感じなんですけど、心の中はいちばん女らしい人だなと思いました。そこがちゃんと台本にも描かれているので、自分で無理に作っていかなくてもいいのが有り難いです。

ーー共演の方たち、坂本さんや高畑さんの印象はいかがですか。

坂本さんはとてもナイーブな方。だけど、リーダーとして皆を引っぱって下さる方です。高畑さんは舞台を拝見したこともあるのですが、素晴らしい女優さんだと思います。場を盛り上げてくださる心遣いなどは見習いたいなと。それから桜乃は花組時代に相手役などして縁があったので、また一緒の舞台に立ててすごく嬉しいです。

ーーいよいよ女優としてスタートというわけですが、当面の課題は?

やっぱり色気かな(笑)。本来持ってるはずの色んなものをどこかに置いてきてしまってるので(笑)。宝塚時代もふだんは一人の女性である自分を大切にしたいと思っていたのですが、やはり舞台=男役でしたから、すべての思考が男役へと向いていて「男ってなんだろう」といつも考えていた日々でした。これからは女優一年生なので「女ってなんだろう」と考える日々かもしれませんね(笑)。

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【最初から高みを目指して】

ーーそのアプローチとして『DRAMATICA/ROMANTICA』(以下『ドラロマ』)はいい機会でしたね。衣装もかなり大胆なのがありましたし。

ハハハ(笑)。私は外国の女優さんが持っている「かっこよく色っぽく」みたいな線がいいなと思ってたので、どうせなら思い切りよくと(笑)。これからもちょっとずつでいいから、私がいいなと思う色気の出し方を研究していけたらと思っています。

ーー退団して周囲の女性とか気になりますか?

それはもう(笑)。これまで100%男性ばかり見て研究してました。今は女性である自分の目で、女性も男性も見ています。

ーー歩き方などもすっかり直ってましたね。

かなり気をつけていました。それまでガツガツ歩いてたので(笑)。それでも観られた方から、まだ男らしいとたくさん批評をいただきました(笑)。

ーー『ドラロマ』は個々のプレーヤーの共演という感じでレベルの高いコンサートで、いろいろ刺激された部分も多かったのでは?

共演者から得た刺激は、本当に大きかったです。日本のミュージカル界で活躍されている方たちばかりですから、最初にお話をいただいた時には驚きました。でもその方たちの中で、私がどの程度のレベルなのか、どのように評価されるのかは分かりませんでしたから、不安はありました。ただ、宝塚の16年間で培っててきたものを無駄にしてはいけないし、まずは新しい第一歩を踏み出すしかないと。実際に共演してみて、ソリストとしてもミュージカルのメインでも経験豊富な方ばかりなので、さすがだなと思わせられることが沢山あって、とても刺激的でした。

ーー個々のキャリアを積んできたアーティストの中で、宝塚というカンパニーの一員として生きてきた彩吹真央が、1人のアーティス_MG_9487トに変わろうとする瞬間を見た気がします。

コンサートのお客様のなかには、初めて私を観る方もいらっしゃるわけですから、稽古場も舞台でも、から私なりに精一杯やりました。でも、本当にお客様に育てていただける部分がすごくあって、27日のCCレモンホールでできた表現を、クリエの初日にもできればよかったなと。できれば初日をご覧になるお客様にもそのクオリティで観ていただけるようになりたいと、すごく思いました。短い期間でしたが、ライブならではの変化があって、共演者間の空気とか、ご一緒に歌わせていただく時にどう並んでいけばいいのかとか、日々発見がありました。27日は会場も広くて解放感があったし、これが最後だというので、1つ突き抜けたものを自分の中で感じてました。ですから最初からもっと高みを目指してやっていかないといけない、それをすごく感じました。

ーー『Pal Joey』にしろ『ドラロマ』にしろ、彩吹さんに歌という武器があるのは強いなと。

歌とダンスとお芝居の中では、確かに歌がいちばん私らしい表現法かなと思います。でも、『Pal Joey』の中でも、音域とか表現とかいろいろ初めてのことに出会っています。もし『ドラロマ』での反省点を生かすとすれば、たとえば譜面をもらった時に、自分がこうだと思ったところにダイレクトに直球でぶつかっていくことだろうなと。それがグラディスとして表現していくうえで、もっと早くいいものが掴めることになるんじゃないかと思っています。

ーーダイレクトに行くために必要なこととは?

勇気でしょうね。私はのんびり型で「こうかな?」とか「ああかな?」とか探りながらやってた部分があったし、『ドラロマ』でも、この程度でいいのかな?みたいな手探りな部分もあったんです。でも実際にやってみて、違う時は「違う」と言ってくださるのがわかったし、まずやってみる、勇気を持ってやってみようと。

ーー16年間、彩吹真央が宝塚で培ってきたキャリアに自信を持っていいと思います。2000人以上のお客様と毎日向き合ってきたわけですから。それにAQUA5でライブ慣れもしてますしね。

AQUA5の経験は有り難かったなと思いました。『ドラロマ』も同じ5人で(笑)、ライブの雰囲気も似てる気がして。AQUA5では役をかぶった自分ではなく、彩吹真央という一表現者としてそこに存在することができました。ただ、あくまでも男役の彩吹真央だったんですが、今回は宝塚を卒業したので、より自分に近い彩吹真央になっていたと思います。

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【やっぱり舞台っていい!】

ーー退団してからの出演作は目白押しですから、あまり迷う余地などなかったと思いますが、この仕事をしていこうと決めたのは何時頃ですか?

宝塚を卒業しようと思った時も、発表してからも、宝塚の舞台だけを見つめて考える毎日でしたから、やめてから何をしようとか考える余裕もなかったんですが、出演のお声をかけていただく前から、漠然とですが音楽に携わる仕事をしたいなとは思っていました。もちろん歌は続けていきたいという思いもありました。でもそれが具体的にどんな形になるのかというところまでは見えてなくて、お話をいただいた結果としてこういう道が開けたというのが正直なところです。

ーー4月末に退団してから『ドラロマ』まで、わずか3カ月とはいえ現場を離れていたあとで、また稽古や舞台に関わることになった。その喜びはやはり特別なものがあったのでは?

その通りです。実際に譜面をもらって家で稽古するその時点で、まず嬉しくて「あー、歌っていいな」と思ったし、お稽古場に行って振りが付くと、また「ああ、楽しいな」と。そして初日のステージに立ってお客様の前で歌ったときは、「やっぱり舞台はいいな!歌うって最高だな」と。すべてが嬉しかったし、お客様の前で歌えることの楽しさを体中で感じていました。それも宝塚の彩吹真央を認めて、愛してくださった方たちがいたからですし、そのおかげで声をかけていただけた。本当に有り難いなと思いました。

ーーこれから色々な歌を歌っていかれると思うのですが、とくにやりたい方向などはありますか?

『ドラロマ』で課題となった英語の歌をまずちゃんと歌いたいですね。それから『ROSE』を日本語で歌わせていただいたんですが、あれは英語の歌詞がメジャーなので、最初は日本語で歌うことに戸惑いがあったんです。でも結局は日本語で歌おうということになったのですが、かえってダイレクトに聞いていただけたみたいで。

ーー日本語の言葉の強さというか、ドーンと心に沁みました。

_MG_9525それならよかったです(笑)。日本語の歌も大切にしたいなと思う気持ちもあるので、コンサートなどでチャンスがあれば日本の歌曲も歌ってみたいなと思っているんです。

ーー彩吹さんの声は深くて、温かいし優しいですから、その声を生かす歌をたくさん歌ってください。和物ミュージカルなどもいいのでは?

日本物のオリジナルミュージカルにも挑戦したいですね。まだ漠然という感じですが、日本語の歌をちゃんと歌える人になりたいなと。それが『ドラロマ』を経験して思ったことです。でも、今はとにかく目の前のあるものを着実にものにしていくことが大事だし、退団して1年目の今だからこそ出会える、沢山の「初めて」を大切にしながら、これからの方向を決めていきたいと思っているんです。まずは『Pal Joey』に打ち込んで、グラディスを演じている中で、きっとまた、具体的にやりたいことやできることが見えてくるのではないかと。そういうふうに自分の可能性を、1作1作ごとに探っていきたいと思っています。

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ブロードウェイミュージカル

Pal Joeysupported by b:mist

翻訳/訳詞・演出◇吉川徹

振付◇リチャード・ピークマン

出演/坂本昌行 彩吹真央 桜乃彩音 高畑淳子

10/217◎青山劇場  

10/2224◎シアターBRAVA!

〈料金〉

SS12000S11000A9500

〈問合せ〉

東京/サンライズプロモーション東京 0570-00-3337

大阪/キョードーインフォメーション 06-7732-8888

 

【取材/榊原和子   撮影/岩村美佳(製作発表を除く)】

演劇キック演劇会見コーナー http://blog.livedoor.jp/enbublog-forecast/