DSCF5160

宝塚歌劇団雪組の新トップとなった音月桂のお披露目作品であるミュージカル『ロミオとジュリエット』の製作発表が9月12日、東京・丸の内の東京會舘で行われた。

この作品は、世界的な名作シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」をフランスのジェラール・プレスギュルヴィックがミュージカル化して大ヒット。宝塚バージョンは小池修一郎がアレンジして、今年の夏に星組が梅田芸術劇場と博多座で上演し、高い評価を得たもの。その星組公演に続いて雪組が大劇場バージョンとして上演する。

この日の会見には、雪組のトップの座を水夏希から13日に引き継いだばかりの音月桂がロミオ役の扮装で登場、オーディションで選ばれダブルキャストで出演するジュリエット役の舞羽美海と夢華あみを相手に「エメ(Aimer)愛」など3曲を披露した。

その後、この公演の協賛で、2007年から音月桂がイメージキャラクターをつとめているVJAグループ会長や理事長の小林公一からの挨拶に続き、演出家の小池修一郎、出席者の挨拶から始まった。

s_RIMG2566

【挨拶】

小池修一郎
「まだ残暑の厳しい中、お集まりいただいてありがとうございます。この『ロミオとジュリエット』は今年の7月に大阪の梅田芸術劇場、そして、8月に博多座で星組によって上演してまいりました。

日本で初めてこのミュージカルをやるということに関しては、星組の選抜メンバーでございましたけれど、どんなものかと、ずいぶん期待と不安が入り乱れておりましたけれど、結果としては大変お客様の暖かいご支援をいただいたというように思っております。
この物語は、誰もが知っているだろうし、宝塚でも何度も何度も上演されてまいりました。
しかし、このフランスの『ロミオとジュリエット』、ジェラール・プレスギュルヴィックさんが2001年にパリで初演されたもので、ロック調の音楽ということや、少しだけ解釈を変えて、たとえばティボルトという敵役がちょっと恋敵のような、ジュリエットに横恋慕してるような、そういう設定になっていたりとか、若者たちの群像というのをより全面に出した作りになっていると思います。
必ず引き合いに出されます『ウエストサイド物語』という傑作と比べて、『ウエストサイド物語』が1956年ですか、アメリカの世相といいますか、移民同士対立というのを舞台にした社会派のミュージカルだったのに対して、このジェラール・プレスギュルヴィックさんの『ロミオとジュリエット』はむしろシェイクスピアの原点に近いと言いますか、古典的というか、とてもシンプルに純愛というものを描こうとしています。従いまして、いろんな周りの背景だとか、情景が大変斬新に設定されているわけではございません 。
その辺が、今、21世紀の私たちがやるにあたってちょっと心配に思いながら手を付けたんですけど、結果としては、時代が不明瞭な様子を呈していることもあるのでしょうか、あまり余計なものがなく、単に愛のみ恋愛のみに生きる若い恋人たちという設定が、多くのお客様にとってある意味新鮮に映ったように私は感じ、やっぱり『ロミオとジュリエット』という物語は不滅の名作というか、人間が何百年経っても憧れる、そこに思いを寄せる愛というものに対して、非常にストレートに描いて、作品そのものが永遠の命を得ていると。そういう意味でシェイクスピアというのはすごい人だと改めDSCF5163て思いました。
シェイクスピアを多少現代的なアレンジを加えていますけれど、基本的には純愛というものを追い求めるミュージカルというのをモットーに、そこに徹底したところが、宝塚歌劇との接点だったのではないかと思っています。

今回雪組でやるにあたっては、前回の星組と違いまして組の全員が出ますのでフィナーレがあり、そこで宝塚ならではの踊りや、歌というのがまた加わると思うんですけど、基本的にはフランスで作られた作品を大劇場の時に、少し短縮してフィナーレを付けなければいけないと思っておりますが、より大劇場バージョンとして増幅した形でみなさんにお楽しみいただけるかと思います。
そして昨日、雪組で他のメンバー80人のオーディションをいたしました。どの人も、大変前向きで熱心に挑戦してくれて、新生雪組というものが、新たな熱い息吹というものがほとばしっているのを感じました。
一昨日水夏希さんがやめたばかりで、翌日にオーディションですから、ちょっとみんな疲れたり、気持ちの上でも引きずっているものがあるかな?と思ったんですが、全く感じさせないで、新たなものに挑戦する大変な意気込みというのを感じました。
これは96年に、一路真輝さんが『エリザベート』をやったときのオーディションにも負けないぐらい大変な熱気がございましたので、また雪組の『ロミオとジュリエット』が宝塚の新しい1ページを開くことを私自身も期待して、そしてそれを目指して頑張りたいと思います。よろしくお願いします」

音月桂
「ロミオを演じさせていただきます。音月桂でございます。今回こs_RIMG2571のお話をいただきまして、素直にとぉーーーーっても(笑)嬉しかったです! 世界各地で舞台化されたり、映画で上演されたり、もうこのお話を知らない人はいないんじゃないかな?って思うぐらいの名作、『ロミオとジュリエット』。その中でも、ロミオを演じさせていただけるというのは、心が躍るとか、胸が躍るほど嬉しいというのは、このことを言うんじゃないかなと思いました。
小池先生とは2007年に雪組で『エリザベート』を上演いたしました。そのときにご一緒して以来です。そのときは、私はルキーニという、ロミオとは全く違う個性の強い役をやらせていただきました。その時とはまた自分がどのくらい成長できているのか、お稽古するときに、小池先生の求めるロミオ像、思い描かれているロミオに早く近づいて、演じていけるように頑張りたいなと思っております。
新生雪組がこんなに素晴らしい作品で、スタートできますのを本当に幸せに思っております。
私は2007年よりVJAグループのイメージキャラクターをつとめさせていただいております。三井住友VISAカード様をはじめとするVJAグループ様にご協賛いただきますことを、本当に心より感謝しております。みなさまの期待に添えるよう、いえ、それを良い意味で裏切れるように、雪組一丸となって、心も新たにフレッシュな、素晴らしい公演をみなさまにお届けできますように、雪組一丸となりまして頑張って参りますので、是非是非どうぞよろしくお願いいたします」

舞羽美海s_RIMG2656
「ジュリエットを演じさせていただきます舞羽美海でございます。この『ロミオとジュリエット』という素晴らしい作品の中でジュリエット役をさせていただけると聞いたときは、本当に音月さんと同じで嬉しいという思いと共に、驚きや不安な気持ちでいっぱいだったんですけれど、初日に向けて精一杯努力をしてお稽古に励みたいと思います。
小池先生の作品には初めて出演させていただきますので、本当に幸せに思っておりますし、小池先生や、他の先生方、音月さんに一生懸命付いていき、精一杯頑張りたいと思いますのでよろしくお願いいたします」
s_RIMG2659







夢華あみ

「ジュリエット役をさせていただきます夢華あみでございます。初めてこのお話をお聞きした時は、ただただ驚きで信じられませんでした。今も緊張と不安でいっぱいなのですが、上級生の方々や、先生方のご指導に沿って精一杯頑張りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします」


【一問一答】

ーー40名程が出演された星組公演から、今回は倍の80名が出演されるわけですが、一番苦労したところは?

小池 基本的にはグループのキャピュレットとモンタギューの人数というのは劇場も舞台も広がりますので、もっと数を増やし、よりパワフルに盛り上げて参りたいなと思っております。
あと大劇場でやることをある程度視野に入れた美術とかも作っておりますので、その中で展開できるかと思っております。

ーー音月さんが小池先生の求められるロミオ像に近づきたいとおっしゃっていましたが、音月さんが思われているロミオ像、舞羽さん、夢華さんが思われているジュリエット像をお聞かせください。

音月 私がロミオというものを初めて知ったのが映画で、レオナルド・ディカプリオさんの映画で見たんですけど、とにかく中にすごく熱い情熱を持って、キラキラと輝くようなイメージを受けました。私も今回舞台をさせていただくにあたり、今すごくとても嬉しい気持ちがあるんですけれど、それとリンクするようにロミオがジュリエットに出会った時に、ときめく気持ちとか、そういうものを大切に演じていきたいなと思っております。

舞羽 ジュリエットという役は本当に純粋で、その中でも、ロミオを愛し抜いて死んでいくという最後の結末もありますので、芯の強さを持ったジュリエットを演じさせていただきたいと思います。

夢華 ジュリエットという役は、お話自体は悲劇ではありますけれども、幸せに満ちあふれた、愛にあふれた役だと思いますので、それを少しでもお客様に伝えられればと思っております。

ーージュリエットをWキャストで上演する理由を小林理事長に、またお二人を選ばれた決め手を小池先生に解説をお願いします。s_RIMG2668

小林 宝塚は基本的には5組にトップの男役がいて、トップの娘役がいるというのが、基本的なパターンだとは思うんですが、宝塚の長い歴史を見ますと、その中では、5組揃って…当時4組ですけど、トップ娘役がいないというときも結構あったと思うんです。
そういう中で、今回『ロミオとジュリエット』という作品を雪組の音月桂のトップお披露目公演でやろうとしたときに、いろんな可能性を試していきたい。一人の娘役に固定するのではなくて、いろんな中からそういうことで、雪組のこれからの魅力を、湧き上がらせたいということを考えまして、Wキャストでオーディションを、小池先生共々オーディションをして、この二人に決めさせていただいておりますので、そういう意味では様々な可能性がこれから出てくるだろうと思っております。

小池 そうですね、今回も何人か絞られたジュリエット候補の人たちのオーディションをいたしました。それぞれに甲乙つけがたしというところがありましてWキャストになっております。音月桂と組むと言うことも一つなんですが、同時にこういう作品ですから、配役上とかスターシステムの選抜には、偏りがあるんじゃないかとかいろんな意見が常に出ます。それに対してみんな耐えて、スターとして役者として成長していくというのが、宝塚という場だと思いますので。
せっかくこのように、音月桂に対して新人娘役たちが場を持てると言うのは、私は大変有意義なことだと思いますし、また、宝塚歌劇にとっても、いろんな人たちが切磋琢磨してどんどん、力を磨いていくというのは、とても意味のあることだと思いますので、そういう意味では、オーディションで役を一人に絞ってしまうというより、二人の可能性にそれぞれ賭けたというところでございます。
舞羽は既に音月と組んだ経験もありますし、新人公演の主役もやっています。そういう意味では実績を持っていて、これからもその上に立ってやっていくだろうというところですし、夢華は、宝塚音楽学校というところで卒業成績が一番だったこととかもありますし、そして豊かな歌唱力を持っているということもあり、大変短い学校での実績というのに対しては、この間、新人公演の主役をやったのを私は東京で拝見しましたが、愛原実花さんの退団のちょっと難しい役だったので、研1の子が新人公演で初めて主役をやるのにどうであろうと思う部分もあったんですが、それなりに務めていたのかなと。そういう役を割りと落ち着いてやってると、逆に「研1らしくない!」「初々しくない!」とかいう意見もなくはないと思うんですが、ジュリエットという役をやるときには、またそれなりに向っていくのではないかなと思っております。
という訳で未知数に賭けているわけですけれども、これはたぶん、『ロミオとジュリエット』という作品でなければ、そういう形にならなかったと思うので、今回の音月桂主演の『ロミオとジュリエット』に、二つのタイプの違うジュリエットが、今日は衣装も違うのですけど、みなさんのそれぞれに思われるであろうジュリエット像に、新しい可能性というものを一つ開いて、次の公演に向って繋げていければいいのではないかなと思います。s_DSCF5172
一つ例を挙げますと、宝塚に初風諄さんという大プリマドンナがいらっしゃいました。『ベルサイユのばら』のマリー・アントワネットで、最後退団なさいました。研1の時に男役だったんですが、ヒロインに抜擢されて女役に転向なさって、研1で主役をなさったんだけれども、その後は毎公演必ず主役じゃないんです。研4ぐらいで『オクラホマ』のローリーとかなさって、だんだん主演娘役になっていったと。ですから、夢華にしても舞羽にしても、ある意味どうなるかわからないので、そういう意味では、ドラマシティでは、音月桂の相手役は愛加あゆが務めますから、いろいろな子たちが主役をやって、どこに繋がっていくか、これがまた次の宝塚に結びついていくかなと思います。
それから私が思い出した例としては、大地真央さんがジェームス・ディーンの『ディーン』というのをやった時に、仁科有理さん、春風ひとみさん、こだま愛さんという3人が相手役をやったんですが、出演していない研1だった黒木瞳さんが相手役になられた。また大地さんと黒木さんが退団されたあとに、先輩であったこだま愛さんがトップ娘役になって、『ミー&マイガール』とか大変活躍されました。
ですから一つの機会が与えられたことを、一つの自分の糧として、それから研鑽を積んで勉強をしていくことで、また次の機会に二人それぞれの花を咲かせてくれるといいのではないかと私は思っております。
ご質問の興味に全て答えられたかはわかりませんけれど、今回どうするかということに関しては、それぞれに機会があり、他の娘役さんにもまた機会があって、音月桂の仕事というなかで誰がパートナーシップを組んでくるかというのは、その作品のニーズなどを通して固まっていくんじゃないかなと思います。それは決して悪いことではないと思うので。
80年代ぐらいまでは、みんなスターさんたちに相手役二人ぐらいいたんですよ。今回のように新しいトップ男役に、新しい相手役を選ぶ時に私たちの方で、ある意味お客さんを含めて皆さんで見守るというパターンがあまりないので、大変驚かれる方がいるのも仕方ない事かなと思いますが。
だからジュリエットの二人は、お客様の目も含めて、みなさまがより興味を持って見てくださるということを、充分感じているでしょうし、それを受けて頑張りましょう(笑)。
音月さんが一番大変ですよ(笑)。二人の相手役を引き上げていくというのはものすごいエネルギーがいることだと思うんだけれど、その辺は男役の度量を試されるところなので、いろいろな先輩にうかがったりしながら、娘役を育てるというか、一緒に上ってくってことを、是非是非学ぶというか。ハードかもしれないけど、結果は絶対良いものになると信じています。

s_RIMG2667

【追記】
また音月桂は、この宝塚宝塚大劇場お披露目公演の前に、プレお披露目公演として『はじめて愛した』を大阪と東京で上演する。殺し屋という裏の世界に生きる男の役で、ロミオとは違った一面を見せてくれそうだ。


DSCF5168

宝塚歌劇雪組公演

ミュージカル『ロミオとジュリエット』

原作◇W・シェイクスピア

作詞・作曲・演出◇ジェラール・プレスギュルヴィック

潤色・演出◇小池修一郎

出演◇音月桂、舞羽美海、夢華あみ 他宝塚歌劇団雪組/専科・一樹千尋

●2011/1/1〜31◎宝塚宝塚大劇場

〈料金〉SS席¥11000、S席¥8000、A席¥5500 B席¥3500

〈問い合わせ〉 0570-00-5100 宝塚歌劇インフォメーションセンター

●2011/2/17〜3/20◎東京宝塚劇場

〈料金〉SS席¥11000、S席¥8500、A席¥5500 B席¥3500

〈問い合わせ〉 03-5251-2001 東京宝塚劇場

 


hajiai

雪組特別公演 『はじめて愛した』

作・演出◇正塚晴彦

出演◇音月桂、愛加あゆ 他宝塚歌劇団雪組

●10/13〜25◎梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

〈料金〉A席¥7000 B席¥5000

〈問い合わせ〉 06-6377-3888 梅田芸術劇場

●10/31〜11/7◎日本青年館大ホール

〈料金〉A席¥7000 B席¥5000

〈問い合わせ〉 03-5251-2071 東京宝塚劇場


【取材/岩見那津子 取材・文/榊原和子】



演劇キック演劇会見コーナー http://blog.livedoor.jp/enbublog-forecast/