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ーーちょっと宝塚時代を振り返りたいのですが、まず宝塚のどこに惹かれて入ろうと?

あのエネルギーですね。最初に観たときに、なんてエネルギッシュな世界なんだろうと思ったし、発するものがすごいなと。それから、出てるかたたちがすごく楽しそうだなと。
どんどん観ていくうちに男役という存在に引きつけられていって。最初は外見に目が行ってたんですが、次第に内面にも目が行くようになっていって。なんでこの人は大きく見えるんだろうとか、なんて味のある人間に見えるんだろうかとか、言葉がなくても醸し出すものがあるんだなとか。

そのうちにお芝居ってなんなんだろうなと思いはじめて、演じるということに興味を持つようになったんです。音楽学校に入ってからはさらにお芝居にのめり込んでいきました。このセリフはこう聞こえるけど言いたいことは違うんだろうなとか、演技の芯の部分をなんとか突きとめたいと思っていて。だから劇団に入って男役になった時からずっと、内面を演じられる男役になりたいと思っていたし、よく言う「背中で哀愁を漂わせる」、そういう役への憧れがありました。

ーー悠河さんは下級生時代から、形よりも心を大事にする男役でしたね。

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私はみんなと逆のケースだったのかもしれません。下級生の頃はまったく形を意識しなかったんです。気持ちだけでやってました。それがある時点からそれもまた違うなと思いだして、作った外見と役の内面が一緒になると自然に演じられるのかなと思いました。それに宝塚のファンの方が観たいものを私は見せれているんだろうか、形とか外面ももっと必要かなと思って、そこから形をはっきり意識しはじめました。

ーー月組はちょうど悠河さんが入った頃、天海祐希さんとか久世星佳さんとか、ナチュラル派のトップさんたちがいましたからね。

そうですね、すごく自然な演技をするかたたちでしたから、その部分はとても影響を受けたと思っています。
もちろんそのあと出会ったどのトップのかたも、皆さんすごく素敵でしたし、それぞれのかたのスタイルや、トップとしてのやり方を学ばせていただきました。それに私は星組にも特別出演で行ってるんです。ですからこうでなくてはいけないんだというのは逆にないということがわかったし、まず私なりのスタイルを作ればいいんだなと、自分らしさを追求しようと思いました。

 

ーー悠河さんは、下級生時代から本当に真面目な生徒というので有名だったし、いつも頭の中には宝塚しかないみたいに見えました。

本当に他のことは何もなかったです。次の作品のことだけ。一番楽しいことは次の作品が決まるとそれについて考えることで、ファッションもそうですし、街に出かけても自分のリフレッシュより、「これ舞台で使えるかもしれない」とか考えながら買い物するのが楽しかったので。趣味が全部舞台につながってました(笑)。

ーーそうなるとお稽古のシンドさなんて、どうってことないでしょうね。_MG_5302

シンドさのうちに入らないです。逆に稽古がキツイほうが「あー、やってるな」という実感が得られるし、初日が開いてからの充実感とか達成感は大きいですから。シンドイほうがファィトが出る感じでした。闘うのは自分とだったし、自分を追求してるから最終的には自分を信じるしかなかったし、ライバルはつねに自分、自分に向けていつも闘いを挑んでるみたいな感じがありました。

 ーー自分との闘いが実は一番シンドイんですよね。

でも闘ってるうちにいろいろなことを思いついたりするし、つねに次の舞台や仕事に結びつくから、全然シンドクなかったです。逆にそういうふうにいつも自分に何かを突きつけていないと、「これで舞台に立っちゃっていいのかな」と不安になってしまうので。本番まで自分に闘いを突きつけているのが、いつもの自分を保つことにもなっていました。

ーーラクになると不安になる?

そうですね、でもそれがある意味では頑張りすぎているように見えてたかもしれないし、ちょっと力を抜いたほうがいいかなと思いはじめたのがトップになってからです。
トップになって精神的にはすごく楽になったんです。自分の視界が広がったというか。こなす仕事の量は圧倒的に多くなるんですが、自分のやりたいようにできる。責任も大きいんですけど、逆の言い方をすれば自分がこうしますと言わないと周りも動けないので、先頭切ってやらざるを得なくなるんです。
それを重荷ととるか楽しみととるか、その両方でもあるんですけど。トップはそれだけ自分の色とか魅力が必要だし、それが組のカラーになっていく。だからいい仕事をしているなという感動もありましたし充実感はやはり違いました。

ーートップとしてはまだ昇り調子でしたから、退団は本当に惜しむ声が多かったですね。

それは有り難かったんですけど、自分では幸せな状態で辞められたと思います。昇り調子のままで辞めたかったというか、初舞台からずっとエンジンをかけたままでいられたし、ダレるのはイヤだった。だから自分でゴールを決めたほうが最後まで全力疾走でいけるかなと、それが私らしいかなと思ったので。走り抜けたことには自分でも満足しているんです。

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ーー女優さんの姿になってもとても綺麗なので、やはり悠河さんはこういう仕事を続けるべく生まれてきたのだと思います。

そう言っていただけると嬉しいです。自分でも意外といけるかなって(笑)。いろいろな可能性が広がった気がしています。皆さんにもどう映るかちょっと心配だったんですけど、ニキの扮装を見て「可愛い」と言ってくださる声もあったのでホッとしました(笑)。


ーー3か月前までリーゼントしてた人とは思えないです。

してましたね(笑)。でも格好が変われば気持ちがさっと変わるので、今でもスーツを着ればすぐ男役になれると思います(笑)。

ーーこれからも男役の格好を見せてくれる気持ちはあるんですか?

見せられる機会があればイヤではないのでお見せしたいです(笑)。でも今はまず女優になったので、女性としてちゃんとしたものをお見せしたいんです。それがちゃんとできるかを確かめてみないと(笑)。自分がこれからどういうふうになるか楽しみですし、ニキという女性をどう作るかが今は私の楽しみなんです。

ーー今後ですが、女優さんとしてどんな存在になりたいですか?

男役のときと同じで自分の魅力を出せるように、そして自分をさらけ出していろいろな役に挑んでみたいです。好きな言葉が「うまい役者よりいい役者」で、やっぱり心を伝えられるような役者になりたいですね。

ーー次の作品も決まったようですが、とりあえず今はニキをどう見せてくれるかを楽しみにしています。

まずは女優としてのスタート作『カーテンズ』でがんばります。
 

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ブロードウェイ・ミュージカル『カーテンズ』

●2010/2/6〜24◎東京国際フォーラム ホールC

   2/27〜3/1◎ 梅田芸術劇場 メインホール

   3/7◎愛知芸術劇場 大ホール

演出・振付◇ビル・バーンズ

出演◇東山紀之、大和悠河、鳳蘭、マルシア、鈴木綜馬、大澄賢也、岡千絵、芋洗坂係長 他

<料金>

全公演共通  SS席¥12000/S席¥11000/A席9500(全席指定/税込)

<チケットに関するお問い合わせ>

東京公演/サンライズプロモーション東京 0570-00-3337

大坂公演/キョードーチケットセンター 06-7732-8888

愛知/キョードー東海 052-972-7466

 

               http://www.curtains.mu/

ブロードウェイミュージカル「カーテンズ」特番、来春テレビ朝日系にて放送予定!
詳細は決まり次第、カーテンズ公式ホームページにてお知らせします。

【取材・文/榊原和子 撮影/岩村美佳】