_MG_0108【一問一答】

ーー井上さんと白羽さん、先ほど歌われた感想とお互いの舞台について。

井上「聞いていただいた通り、ものすごく恋愛が盛り上がっているときの歌なので、いきなりこのまま出て歌えというのは、まるで拷問のような辛さがありましたが(笑)、2人で励まし合って、ここはシェルブールだと言い聞かせながら歌いました(笑)。できれば会場の明かりを落としてもらいたかったけど、撮影のかたがフラッシュ禁止と聞いて、それも出来ないなと(笑)。歌ってみて感じたのは、やはり名曲が持つ力は強いですね。役者はその気になりやすいので、もうここはシェルブールだなと思えました(笑)。白羽さんの印象は、とにかくお綺麗で、カトリーヌ・ドヌーブにも負けないくらいで。でも、どんな楚々とした女性かと思っていたらよく喋るかたでした(笑)。でもそこもまた素敵な二面性ですね」

_MG_0054白羽「この曲は宝塚時代の課題曲だったので、もともと歌ってはいたのですが、やはり難しくて。緊張もしましたが改めて素敵な曲だなと思いました。井上さんは客席からは何度も拝見させていただいてましたが、この間お稽古場で、初めて発声の練習をさせていただいたときに、あまりの声の心地よさに、ずっと聞いてたいなと思ったくらいです。すごく包容力のある声の持ち主だなと。
それに気さくにいろいろ教えてくださって、今日ももっと緊張するかなと思っていたんですが、すごく励ましてくださったおかげです。ありがとうございます」

ーー謝先生、作品の新しいコンセプトを。

謝「この作品に改めて思ったことは、女性は現実的で、男性はすごくロマンを持っているなと。シェルブールという町で若い2人が恋に落ちる、でも人生は巡り巡ってみんな変わっていく。その変わっていく中にさまざまな人生ドラマがあるということを、いろいろな形で見せたいなと思ってます」


ーーぞれぞれどんなふうに自分の役を見せたいかを。

井上「それが今話せればどんなにいいかと思うんですが(笑)。印象としては全て音楽で進行してるというのではオペラと同じなんですが、オペラはセリフ的なレチタティーボと歌い上げるアリアがあるんですが、これは、そういう変化がないままどんどん曲が変わっていく。それにフランス語なので、歌ってるような話しているような感じが心地いいんですが、それを日本語でしかもお芝居としてやるには、どういう方法論があるのかなと。これまで自分がやってきたものが生かせるかもしれないし、この作品独自の方法論が必要なのかもしれない。そこを考えながらという感じですね」 

_MG_0106白羽「まだお稽古が始まっていないので、今は映画を観たりしていろいろ研究しているのですが、なによりもドヌーブさんの美しさが際立ってますので、ビジュアルは大事にしたいと思っています。それからジュヌヴィエーヴは16歳なのですが、私も宝塚を卒業して初めての舞台で、男性のかたと組ませていただくことも初めて、そういう新鮮な気持ちが役につながればと。またフランスの音楽は、曲想が深いだけでなく甘く切ない感じがあるので、そういうところも歌のなかで出せればいいなと思ってます」

出雲「私の役はギイとマドレーヌしかほとんど絡んでないんです。そのなかでフランスの日常の家庭的な雰囲気が出せたらいいなと。それから歌ってますというのではなくて、井上さんの言われたように、セリフに自然にメロディがついている感じなので、セリフのように歌えたらと思ってます。そして伯母さんとはいっても、キーが低いわけではなく高い声のきれいな歌なので、そういう雰囲気を出したいです」

岸田「映画のカサールも宝石商らしい上品な雰囲気があって、ヒゲを生やしてますが、気品のあるヒゲをつけたいなと。僕の宝石商は、あまり映画とズレないでやればいいかなと思っています」

_MG_0131香寿「私は何も考えてないのですが(笑)、いつも台本をいただいて、そのファーストインプレッションを大事にしていくので白紙の状態です。まず映画のイメージをなるべく崩さないようにということ、白羽さんのお母さんとして舞台の上でちゃんと成立するようにしたい。何度か母親役をしてますが、フランスのお母さんのお洒落だったり現実的で強かったりというところを、自分なりに工夫していきたいなと思ってます」

ーー謝先生がこのカップルに期待するものは?

謝「井上くんとはこれが初めてですが舞台は何度か観ていて、白羽さんは宝塚で何度も仕事してます。この作品はずっと歌いながら表現していかなくてはいけないのですが、白羽さんは演技力がある人だし、井上さんもミュージカル以外のお芝居にも出ている人なので、歌唱力と演技力で安心な2人です。ビジュアルもハンサムボーイと美女なので心配ないですし。この『シェルブール』に出たことで、またさらに素敵な2人になっていくと思ってます」

ーー演出上でフランスの雨をどう表現されるのか? また2人にはフランス人という役作りは?

謝「雨のことに関しては特別兵器をご用意してますので、お楽しみに(笑)」


井上「僕はミュージカルでいろんな国の人になっててというか、いろんな国の人しかやってないんですけど(笑)、フランス人は初めてなんです。フランスの話でも僕はスウェーデン人だったし(笑)、初めてフランス人がきたぞという気持ちもありますが、どこの国でも人間は一緒だという気持ちもあって。ただ、フランス人だからこその愛情表現というのもあると思うんです。たぶん日本人とは違うし、たとえばイタリア人の愛情表現とも違う、そこが研究のしどころかなと(笑)」

_MG_0160白羽「私は宝塚の現役時代、フランス人が多かったのでフランスは大好きです。フランス人というとどこかストレートではない感じもあるんですが、このジュヌヴィエーヴという役でいえば、フランス人というところに捉われすぎていると違うかなと。16歳の彼女が持つストレートさを重視したほうがいいのかなと思ったり。バランスを考えていきたいと思ってます」

ーー白羽さんが退団後の第一作にこれを選ばれたのはなぜ? それから相手が男性ということで違いは?

白羽「まだ在団中にこのお話はいただいていたのですが、まず日生劇場には2度程出させていただいたことがあって、まさか卒業後すぐに出していただけるとは思っていなかったので、とても嬉しかったのと、作品の名前を両親に伝えたとき、母がとくに喜んだのですが、絶対に出てほしいといわれました(笑)。そして井上さんとご一緒できることでもぜひと思いました。男性のかたとの共演は初めてで、今はだんだん慣れてきましたが、ポスター撮りのとき、思わず「付けまつげは付けられますか?」と聞いてしまって(笑)。しかもメイクさんに「井上さんが付けられないので、私もやめます」と言ったり、合わせるところがちょっと違ってたみたいです(笑)。宝塚の世界が大好きでしたけど、卒業した今は新しい世界でまた頑張りたいし、その気持ちでいっぱいなんですが、私自身が気がつくよりも、井上さんが気になるところがこれから出てくるのではないかと思っていますし、そのつど意識して直していきたいと思います」



ーー最後にそれぞれ作品への意気込みを。

出雲「宝塚を退団してちょうど1年経って、自分を見つめ直すのにはいい充電期間でしたが、その1年間で、やはり私は舞台に立ちたいと心から思うようになりました。今回その機会をいただいて本当に嬉しく、頑張りたいと思っています」

岸田「全編音楽のミュージカルに初めて出ることで、また違った発見があると思うので、新鮮な気持ちで取り組みたいと思います」

香寿「私は今年、いろいろな舞台、そして役に取り組ませていただいて、またこの作品で今年の最後までいろいろなことを学べるのが幸せだなと。この舞台をいいものにして締めくくりたいです」

白羽「5月に退団して3カ月経つのですが、最初の頃はのんびりしてる自分が嬉しかったんですけど、10日目くらいから動きたくてしかたない自分がいて、早くお稽古したいなと思っていました。初めてのことばかりですが、先輩のかたたちに助けていただきながら、謝先生と井上さんに付いていきたいと思っています」

井上「この作品がどうして愛されるのか、その秘密を稽古しながら探りたいし、できれば、切なくて胸がきゅんとなるあの感じを舞台で再現して、それプラスやはり舞台だからこそというところも出せればいいなと思ってます。頑張ります」

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『シュルブールの雨傘』

●2009/12/528◎日生劇場

   2010/1/1417◎シアターBRAVA!

脚本・作詞◇ジャック・ドゥミ

音楽◇ミシェル・ルグラン

演出・振付◇謝珠栄

翻訳・訳詞◇竜真知子

出演◇井上芳雄 白羽ゆり ANZA 出雲綾 岸田敏志 香寿たつき

<料金>日生劇場/S席¥11000(平日夜は¥9500A席¥5500 

              シアターBRAVA!S席¥11000  A席¥8500 

<お問合せ>東京公演/東宝テレザーブ 03-3201-7777(前売開始9/19)

                   http://www.toho.co.jp/stage/

                   大阪公演/キョードーチケットセンター 06-7732-888(前売開始9/12)

                   http://kyodo-osaka.co.jp

                                       【取材・文/榊原和子 撮影/岩村美佳】