DSCF0147_2【日本版はグイドと9人の女性たちの世界】

イタリアの名匠、フェデリコ・フェリーニが自分自身を投影したと言われる自伝的名画「8 1/2」をもとに作られた『Nine』。天才映画監督グイド・コンティーニと彼を取り巻く女性たちの物語として、上演のたびに大きな話題を巻き起こすこのミュージカルが、新たな形の日本版として上演される。

1982年のブロードウェイ初演では、トニー賞10部門にノミネートされ、5部門の最優秀賞を射止めた。また2003年にデヴィッド・ルヴォーが演出、アントニオ・バンデラス主演で上演したときは、トニー賞6部門にノミネート、2部門で最優秀賞を獲得している。この秋に公開予定のロブ・マーシャル監督による映画版も、次回アカデミー賞の候補になるはずと囁かれるほど注目されている。

その『 Nine』日本版演出は、『COCO』などのミュージカルで手腕を発揮しているG2。フェリーニの分身ともいうべきグイドには、ロックグループSOPHIAのヴォーカルで、『タイタニック』『キサラギ』と舞台でも活躍している松岡充が扮する。また、グイドを取り巻く女性たちは、貴城けい、新妻聖子、シルビア・グラブ、樹里咲穂、入絵加奈子、浦嶋りんこ、今陽子、寿ひずる、そして紫吹淳と個性と実力を兼ね備えた豪華な9人の女優たちが揃った。

この日の制作発表には、女優たちは全員レッド系のドレスで登場、グイドを真ん中に、“愛の物語”としても知られる『Nine』の世界そのままに、艶やかさを振りまいた。

DSCF0146_2【制作発表の挨拶】

G2「ブロードウェイでやってるミュージカルを削ぎ落として人間ドラマにしたいという気持ちがあり、少人数でのミュージカルをやりたいという話をしたときに『Nine』が候補として出てきました。
映画は幻想的でしたが、その美しさは残して、もう少し直感的にわかる話、男と女の部分を表に出す、そして日本人がわかる話にしていきたい。実際にこの物語は、道ばたの名もない花の美しさがわかるみたいな、東洋的なところに到達するので。
少人数ということで女性も9人に絞り込んで、本当はあと12、3人出てくるのですが、9人にしたほうが話は繋がるんです。ただアンサンブルのかたも出ないので、“皆さん相当大変な目にあいますよ”と言ってるんですが、どのかたも“私はたいへんじゃないわよね”と信じているのが(笑)。
その9人の女優さんに取り囲まれる松岡くんは、ちょっと母性を刺激するところがあって、コンサートを観たんですが、トークとか深く掘り下げて、観客にも考えさせようとしているところは、まさにグイドにぴったりです。
この作品の音楽はもともと身体に沁み入る感じなんですが、もっと民族系の少人数のバンドで、ライブ的にびんびん伝わるものにしたいと思ってます」

松岡「この物語は人間の内面の話で、1人の男がさまざまな女性に出会い人生が変化し、1人の男として成長し、崩壊し、また再生していく。すごく抽象的なストーリーを生の空間で届けるのは至難のワザですが、演者としてはやりがいがあります。前回の『タイタニック』はミュージカルの主演とは名ばかりで、歌がほとんどなかったのですが、今回はたくさん歌わせてもらえそうです」

貴城「私のクラウディアは女優で、グイドの創作意欲を湧かせるような存在と聞いてますので、そんな女性らしさ、女優らしさを出せれば。そして芯の強い女性だと思いますので、そのへんを意識していきたいです」

新妻「妻のルイーザ役ですが、妻役は2度目で、前はサド公爵夫人でしたから特殊な旦那様でしたが、今回も愛人がたくさんいる人で、難しいですが楽しみにしています。世の本妻の皆様の思いを担っていこうと思ってます(笑)」

樹里「ヴェニスのスパのマドンナです。仕事や私生活に疲れたグイドを癒す役です。母性というか包み込む優しさが必要ですが、私はお笑いをこよなく愛す関西人なので、笑いで人を和ませるのは得意なんですが(笑)、女性らしい癒しは初めてなので、素敵な共演のかたがたとC2さんの協力を得て、素敵なスパのマドンナになりたいと思います」

入絵「女優のマリアです。この『Nine』という名作に関われることを嬉しく思っています。松岡さんとは2度目の共演ですが、1度目で真面目でクールで優しい人柄にすっかり惚れ込んでいますので、役作りはすでにできています」

今「ママの役です。この数年母親役が続いて、イケメンの素敵な息子ばかり持てて幸せに思っています。今回も松岡くんのママで光栄です。私はブロードウェイで、アントニオ・バンデラスとチタ・リベラの最高の『Nine』を観てますが、まさか出られるなんて。日本版というのでまた違ったものを作れるのは楽しみです」

寿「ステファニーは評論家でプロデューサーなのですが、とても辛辣な評論家というのを、こんな優しい私が(笑)どこまで出来るか挑戦してみたいです。この素晴らしいメンバー、初めてのかたばかりで、宝塚の後輩たちや、そして可愛い松岡くんと共演できるのが楽しみです」

紫吹「リリアンという映画プロデューサーですが、かっこいい女の人の役はあまりやったことがないので嬉しいです。松岡さんとは『タイタニック』では絡みがなかったので、今回はイジメ倒したいなと(笑)。この役は脚を見せるという印象があるんですが、G2さん、私は出すんでしょうか?隠していただけるんでしょうか?」

G2「相談しましょう(笑)」

 

《欠席のシルビア・グラブのメッセージ》

「カルラは愛人でW不倫、グイドの立場などおかまいなしに滞在中のヴェニスまで押し掛け、結婚を要求する。でもとても素直な女性で、男性だけでなく女性まで引きつける人なので、私もお客様を釘づけにしたいと思っております」

《欠席の浦嶋りんこのメッセージ》

「サラギーナは少年のグイドが出会う近所の海岸に住む娼婦です。9歳のグイドに愛を教えた女性です。回想に登場しますが、印象強く演じられたらと思います」

DSCF0143【一問一答】

 

ーーG2さんが大変と言ってた意味は?また、出演者それぞれにぴったりという意味を詳しく。

G2「みんな出ずっぱりなので、そこがまず大変です。歌っても喋ってもいないのに存在しててもらいます。なぜならグイドの頭の中には常に存在してますから。それから9人のかたたちは、いろいろな役を兼ねていただくんですが、それは僕から見たら、この本の女性は9種類に分けられるからで、その9種類の1つが欠けてもグイドは成立しない。それぞれ求めるものが違うんだということでは、9人に絞ったほうが面白いんじゃないかと思ってます」

ーー物語ではグイドは9歳で変わるのですが、それぞれのかたのターニングポイントを。

松岡「ショートバージョンとロングバージョンがありますが?(笑)ショートで(笑)。SOPHIAのメンバーと出会った時で、19から22歳のあたりですね。人生が変わったし、今に直結してると思います」

貴城「私もショートバージョンで(笑)。宝塚に入って17歳くらいで振付の喜多弘先生というかたに出会ったんですが、先生の口癖が“努力と根性、努力と根性”で、今でも“舞台人は努力と根性だな”と思ってます」

新妻「5年前の23歳のときに出会った『ミス・サイゴン』というミュージカルが私の人生を変え、ここに立たせているのだと思います。その同じ役の大先輩である入絵さんと共演できるのが幸せです」

樹里「私も5年前で、23歳ではないんですけど(笑)、宝塚の男役を卒業して女優になったことで。それから自分の世界がものすごーく広がって、毎回素敵なスタッフやキャストのかたに出会えることが本当に嬉しく思っています」

入絵「私は21歳でしたが、やはり『ミス・サイゴン』です。大学4年で福岡に帰らなくてはならないというお正月で、本当に『ミス・サイゴン』がサイゴのチャンス(笑)でした」

今「2つありまして、ピンキーとキラーズを解散した20歳のときで、売れすぎたのでアイドル脱出が大変でした。そのあと結婚、離婚とオールマイティを経験してNYに行き、いろいろなことを学んで帰ってきた30歳です。それが今、ミュージカルなどに出させていただけるもとになってます」

寿「5歳から子役をしてまして、それがこういう仕事をさせていただくもとになっているかなと。そこから宝塚に入って、結婚して離婚して、でも子どもを3人授かったことが、この世界でいろんな役をさせていただくうえで大きなことだったと思います」

紫吹「私も宝塚で男を演じてきて、卒業して女に戻って5年経ちまして、今回、やっと大人の女性の役にめぐり会えたので、この役をターニングポイントにしたいと思ってます」

ーー松岡さんはミュージシャンでもあり役者でもありますが、切り替えは?

松岡「ミュージシャンと役者は、まずマネージメントの窓口が違うので(笑)。どちらを通していただくかでギャラも違いますし(笑)、SOPHIAはグループですのでちょっとお高くなりますね(笑)。そういう切り替えもありますが、基本的には来てくださるかたに精一杯の表現を見せるというのでは同じです。ただそこに行きつく過程は全然違います。SOPHIAの場合は自分自身で全部決められるし、掘り下げられるし、でもストップしてしまうのも自分自身、同じだけ責任があります。こういう舞台は、共演の皆さんと刺激をし合いながら作れるし、それに『Nine』なら松岡充ではなくグイドを観にこられるわけで、それをいかに作るかという作業だと思います」

 

 

The Musical 『Nine 』

12/11〜27◎ル テアトル銀座 

2010/1/9〜10◎シアターBRAVA

演出・訳詞・上演台本◇G2

音楽監督◇荻野清子

出演◇松岡充 貴城けい 新妻聖子 シルビア・グラブ 樹里咲穂 入絵加奈子 浦嶋りんこ 今陽子 寿ひずる 紫吹淳

 

<料金>

ル テアトル銀座  ¥12000(全席指定/税込)

シアターBRAVA S席¥12000/A席9000(全席指定/税込)

<チケットに関するお問い合わせ>

東京公演/サンライズプロモーション東京 0570-00-3337

大坂公演/キョードーチケットセンター 06-7732-8888

 

               【取材・文/榊原和子】