えんぶ本誌の宝塚記事取材の機動力を生かして、宝塚歌劇の製作発表、会見などをいち早く紹介。 宝塚OGの公演やインタビューのほかに公演の批評なども展開しています。

ミュージカル『ゴースト』浦井健治 咲妃みゆ  秋元才加

「第43回菊田一夫演劇賞」発表!

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『ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜』宣伝ビジュアル

日本の演劇界に多大な影響を与え、優れた作品群を残した作・演出家の菊田一夫。その業績を永く伝えるとともに、演劇界の発展を祈って設けられた「菊田一夫演劇賞」(主催・一般社団法人映画演劇文化協会)の第43回の受賞者が、4月4日、発表された。
 
この賞は、昨年の4月1日から本年3月31日までの1年間に上演された大衆演劇作品を対象に、優れた成果を上げた人物に贈賞されるもので、今回の第43回は以下の団体・個人が受賞した。受賞者には賞状と正賞の記念楯と副賞が贈られる。

 
 《菊田一夫演劇大賞》
『ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜』上演関係者一同
(『ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜』の高い舞台成果に対して)

《菊田一夫演劇賞》
城田 優  (『ブロードウェイと銃弾』のチーチの役の演技に対して)
戸田恵子  (『Sing a Song』の三上あい子の役の演技に対して)
神田沙也加 (『キューティ・ブロンド』のエル・ウッズの役の演技に対して)
原田 諒  (『ベルリン、わが愛』『ドクトル・ジバコ』の脚本・演出の成果に対して)

《菊田一夫演劇賞特別賞》
甲斐正人(永年の作曲および音楽活動の功績に対して)

なお受賞式は4月下旬に予定されている。






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大人気ミュージカル『魔女の宅急便』がフレッシュなキャストとともに6月に帰ってくる!

クレジット表記:【角野栄子 「魔女の宅急便」福音館書店刊】
(C)角野栄子『魔女の宅急便』 福音館書店刊 


児童文学作家・角野栄子の人気作「魔女の宅急便」を原作に、昨年6月と9月に上演されたミュージカル『魔女の宅急便』が、フレッシュなキャストを迎えて本年6月に帰ってくる。

原作は角野栄子が27年間に渡り執筆した全6巻の児童書で、宮崎駿監督でアニメーション映画化し大ヒット、日本のみならず世界的に有名な作品となった。1993年〜1996年には蜷川幸雄演出によりミュージカル化。2014年に実写映画化、そして2016年にはイギリスにて舞台化が行われた。
昨年の舞台は、若手新進気鋭の制作チームにより、キキ役に上白石萌歌、トンボ役に阿部顕嵐(ジャニーズ Jr.)で、新しいミュージカル版となり、チケットは即日ソールドアウト、連日大盛況のまま幕を閉じた。
 
今回キキ役に大抜擢されたのは、今作品が初舞台・初主演で、第8回東宝シンデレラグランプリを受賞した福本莉子、トンボ役には関西ジャニーズ Jr.で活躍中の大西流星、キキのお母さん役(コキリ)には、数々のドラマや舞台、映画などで活躍中の生田智子が新キャストとして出演する。また、キキのお父さん役(オキノ)には、NHKEテレ『おかあさんといっしょ』のうたのおにいさんとして歴代最長出演記録を持つ横山だいすけ、コリコの街のパン屋のおかみさん役(おソノ)には、元宝塚歌劇団星組・雪組トップ娘役の白羽ゆり、おソノさんの旦那さん役(フクオ)には、お笑いコンビ「ライセンス」のボケ担当の藤原一裕が昨年に引き続き出演する。 

【ストーリー】(※原作より)
13歳になった魔女のキキは、古くから伝わる習わしにのっとり相棒の黒猫ジジと共に満月の夜に旅立つ。自分で新しい町を見つけ、一年後には自力で暮らせるようにならなければいけないが、空を飛ぶ魔法しか知らないキキは、新しい町コリコでも様々な壁にぶつかる。皆が家族同然の小さな街で育ったキキは、大きな町での価値観の違いに驚き、また魔女であることに対する好奇の目や偏見にも苦しむ。自分という小さな存在に葛藤しながらも、飛ぶことに憧れる少年トンボとの交流や、パン屋のオソノさんに励まされながら、思春期の少女は少しずつ成長していく。オソノさんの提案で飛べることを生かしお届けもの屋さんを始めたキキだが、なかなかうまく町に馴染むことができない。何かとちょっかいを出してくるトンボへの淡い恋心も、まだまだ子どものキキにはその気持ちを整理することができない。そんな中、町長からある依頼がくる。それは町の一年で一番大きな行事に関わる重要な仕事。キキは無事にその依頼を果たせるのか。そしてトンボとの淡い恋の行方はどうなっていくのか?!
 
【コメント】

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キキ役/福本莉子
 
──『魔女の宅急便』という作品の印象
始めて観たミュージカルが昨年の『魔女の宅急便』でした。まさか自分がやると思っていなかったので、普通に観客として、先輩の上白石萌歌さんが演じるキキを観てすごく素敵だなと思いました。
スタジオジブリの映画「魔女の宅急便」を小学生の時に初めて観たのですが、そのときのキキの印象は、好奇心旺盛で、元気で活発な女の子だと感じました。自分とはあまり似ていないかなと思ったのですが、演出の岸本さんには、まっすぐで芯が強いところとが似ていると言って頂き、嬉しかったです。
──キキ役を演じるにあたっての意気込み
お客さんとして観た『魔女の宅急便』もすごく良かったのですが、そこを追うのではなく、私なりの新しいキキを生み出せたらいいなと思います。新しいシーンもあるみたいなので、ワクワク楽しみながらお稽古をしたいと思います。少しずつお芝居や発声のお稽古を始めています。普段の話し方と、舞台上での相手とのやり取りをする距離感の違いを教えて頂き、発声の仕方を意識するようになりました。その後、歌の録音をした時にスタッフさんに「変わったね」と褒められたのが嬉しかったです。
歌では、おなかを意識してどれだけ声を前に飛ばせるか。カラオケだと結構裏声で歌ったりするのですが、舞台では地声を生かしつつ、きれいに歌えるようになるのが課題かなと思います。今は緊張と不安しかないですが、たくさんお稽古をして、緊張と不安をはねのけられるくらいに成長して舞台に立ちたいと思います。
 
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トンボ役/大西流星(関西ジャニーズ Jr.)

── 『魔女の宅急便』という作品の印象
作品全体が暖かい雰囲気に包まれていて、ストーリーが素敵だなと思っていました。スタジオジブリの映画も大好きですし、前回の舞台公演も見ていましたが、まさか自分が参加できるとは思っていませんでした。素敵な作品に出演が決まり、とても嬉しいです。
──トンボ役を演じるにあたっての意気込み
トンボは、空を飛びたいというまっすぐな心を持っていて、慣れない恋に戸惑う純粋な少年という印象です。街のみんなに愛されているトンボと同じように、舞台を見に来ていただいたお客様や共演者のみなさんに可愛がっていただけるような自分なりのトンボを表現したいです。僕も小さいときから空を飛ぶことに憬れていて、生まれ変わったら鳥のトンビになりたいと思っています(笑)。空を飛びたいトンボとの共通点もあるのかなと感じています。

原作者/角野栄子
 
──キキ役福本莉子さん、トンボ役の大西流星さんの印象
キキ役の福本さん。初々しくて、かわいらしいキキ。さあこれから旅立ちです。希望に満ちた空へ、風をきって元気に飛ぶ姿が見えるようです。トンボ役の大西さん。あどけない少年、その眼差しの中に純粋な夢がいっぱい。少年の夢、それはいつでも美しい。憧れいっぱい、楽しさいっぱいの舞台になるでしょう。あたらしいキキとトンボさん。二人がどんな魔法を見せてくれるか、とても、とても楽しみです。
──再演が決まっての気持ち
この魔女の宅急便のミュージカルは去年うまれたばかりです。今年は新しい役者さんたちが集まり、さらに進化させ美しい舞台を作ってくれると、楽しみにしています。作者の私も、とびっきりの魔法を飛ばすつもりです。もうすぐ開幕、わくわく、待ち遠しい!


〈公演情報〉 
ミュージカル『魔女の宅急便』
原作・監修◇角野栄子(『魔女の宅急便』 福音館書店刊)
脚本・演出◇岸本功喜 
作曲・音楽監督◇小島良太
振付◇舘形比呂一
出演◇福本莉子 大西流星(関西ジャニーズ Jr.)
生田智子 横山だいすけ 藤原一裕(ライセンス)/白羽ゆり 他
●6/15〜24◎新国立劇場 中劇場
●7/4・5◎大阪メルパルクホール
〈料金〉S席10,500 円、A席8,000 円(税込・全席指定)※未就学児童入場不可
〈お問い合わせ〉キョードーインフォメーション 0570-200-888(前日 10:00〜18:00)
〈公式 HP〉http://www.musical-majotaku.jp/



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いま一番 "アツい!" ブロードウェイ・ミュージカル『オン・ユア・フィート!』朝夏まなと主演で12月にシアタークリエにて上演!

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全米で人気のブロードウェイ・ミュージカル『オン・ユア・フィート!』が、ついに日本初上陸。朝夏まなと主演で12月にシアタークリエで上演される。
 
本作『オン・ユア・フィート!』は、全世界でのレコード売り上げ1億枚以上、「CONGA」や「1−2−3」など数々のヒット曲を生み出し、80年代〜90年代にヒットチャートを席巻した[グロリア・エステファン&ザ・マイアミ・サウンド・マシーン]。そのヴォーカルで世界の歌姫、グロリア・エステファンの、栄光と挫折の波乱万丈の半生を、情熱と躍動のラテンミュージック&ダンスに乗せて描くミュージカル。2015年8月にブロードウェイで開幕したのち、現在も全米ツアーの真っ最中。今回が日本初上陸となる。
 
日本版の主演には、元宝塚宙組トップスターの朝夏まなと。退団後2作目で初の単独主演を飾る。本作では、歌への情熱を秘めているものの、引っ込み思案で母親の言う通りに地道な人生を送ろうとしていた少女グロリアに扮し、様々な困難と直面しながらも歌への情熱を燃やし続けて、再び自分の足で立ち上がる主人公を演じる。

【ストーリー】
少女グロリアは歌うことが大好きだったが、そんな彼女のことを母親のグロリア・ファハルトは認めていなかった。そこでグロリアはこっそりと自作の曲を作ってはベトナム戦争の前線で戦う父へと送っていた。父も彼女の歌声と才能をかっていたが、戦争で大けがを負い、口がきけない状態に。そんな家族の状況もあり、成長したグロリアは内気な性格になっていた。才能がありながら一歩踏み出せないグロリアの代わりに、彼女を応援する祖母のコンスエロは、プロデューサーのエミリオ・ステファンにグロリアを売り込む。彼はグロリアの希有な歌声を聴いて、すぐに自分のバンド[マイアミ・ラテン・ボーイズ]のボーカルに抜擢。公私ともに惹かれ合うグロリアとエミリオは、一躍スターへの階段を駆け上がる。だが、そこには栄光と挫折が待ち受けていた──。

つい踊り出したくなるようなラテン・ミュージック、そして魅力的なダンスナンバーが満載のミュージカル『オン・ユア・フィート!』は、そのパワーで観るものを元気にしてくれるにちがいない!

〈公演情報〉
ミュージカル『オン・ユア・フィート!』
脚本◇アレクサンダー・ディネラリス
音楽・歌詞・編曲◇グロリア・エステファン、エミリオ・エステファン
翻訳・訳詞・演出◇上田一豪
振付◇TAKAHIRO、藤林美沙、金光進陪
出演◇朝夏まなと ほか
●12/8〜30◎シアタークリエ





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〈一般前売〉2018年9月予定

喜多村緑郎&河合雪之丞コンビで更なる広がりを見せる乱歩ワールド『怪人二十面相〜黒蜥蜴二の替わり〜』本日開幕!

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歌舞伎界から劇団新派の世界に飛び込み、新派に新たな風を吹かせて大活躍を続けている喜多村緑郎と河合雪之丞による自主公演『怪人二十面相〜黒蜥蜴二の替わり〜』が、春本由香をはじめとする劇団新派の面々と、ゲスト参加の元宝塚宙組トップスター貴城けいを迎えて、本日3月30日池袋のサンシャイン劇場で開幕する(4月1日まで)。

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「怪人二十面相」は日本に探偵小説の礎を築いた江戸川乱歩が、1936年〜1962年にかけて書いた少年少女向け探偵小説『少年探偵シリーズ』に主として登場した架空の怪盗。小説世界の中で、貴重な宝石等を巡って名探偵・明智小五郎や、彼の率いる少年探偵団との闘いが繰り広げられ、明智小五郎の永遠のライバルとも言える立ち位置にある大怪盗だ。
その設定を活かし、2017年劇団新派公演で大評判となり、今年6月早くも再演する『黒蜥蜴』で名探偵明智小五郎という当たり役を引き当てた喜多村緑郎が、引き続いて明智役を演じ、『黒蜥蜴』ではタイトルロールを演じた河合雪之丞が、今回は怪人二十面相を演じる。内容は新作でありつつ乱歩原作のシリーズものでもあるという魅力的な作品となっている。

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【物語】
大正ロマンの香りが残る昭和初期。殺生はせず、現金にも関心を示さず、これと目をつけた宝石や美術品を「〇月〇日に頂戴に参上致します」という予告状を送り付け、警察をはじめとした厳重にも厳重を重ねた包囲網を潜り抜けて、まんまと宝を盗み出していく「怪人二十面相」が世の中の関心を一手に握っていた。
そんな怪人二十面相から所有する財宝を頂戴する、という予告状を受け取った大富豪河野家の令嬢不二子(春本由香)から、捜査の依頼を受けた名探偵・明智小五郎(喜多村緑郎)は、警察と共に河野家の警護に当たるが、私立探偵の存在を好ましく思っていない警察から、全く素顔のわかっていない怪人二十面相本人ではないか?との疑いをかけられる始末。そんな明智に声をかけてきた大河原美弥子(河合雪之丞)に、深く感じるものがあった明智は直感的に美弥子こそ怪人二十面相であると悟るが、ほどなくして不二子は誘拐されてしまう。
事態は浅草で大人気のレビュースター花菱蘭子(貴城けい)をも巻き込み、急展開の様相を呈し始める。謎が謎を呼び、いつしか事件は、幽霊館の地下迷宮に眠る宝物と、その莫大な宝を巡る過去の殺人事件へとつながってゆき……

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「役者たるもの、口を開けてただ待っているのではなく、自分から何かをつかみ取りにいかなくてはならない」そんな思いで、自主公演開催を決意したという喜多村緑郎と河合雪之丞が、その題材に大きな注目を集めた『黒蜥蜴』と同じ江戸川乱歩の世界を選んだ、その着眼点の見事さが、舞台の求心力を高めている。元々歌舞伎とは異なる新たな演劇を志向した人々が、当時の現代劇として発展させたものが「新派」と称された、という歴史から続いてきた「劇団新派」だが、現在では古典作品の存続を守り続けている劇団、というイメージがむしろ定着している。その世界に歌舞伎界から飛び込み、文字通り新しい風を吹かせた喜多村緑郎と河合雪之丞の存在が、昨年の『黒蜥蜴』大成功の立役者となったことは記憶に新しい。喜多村のダンディズム、河合の女形ならではのこの世ならぬ者の色気とが、徹底的に非現実を貫くことで、逆に生半可な現実感から生まれてしまう空々しさから逃れて、迫力と冒険と迷宮感を高めることに成功した。江戸川乱歩の世界との親和した様は見事で、『黒蜥蜴』は劇団新派が掘り当てた新たな鉱脈として、鮮やかな印象を残したものだ。
 
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そんな二人が6月に再演を控えた『黒蜥蜴』の前に自主公演に打って出る、という心意気に感じた脚色・演出の斎藤雅文が、『黒蜥蜴』から時代を遡り、そこに至る物語を用意したのは、実に巧妙な仕掛けと言える。ここには、喜多村と河合の資質が生きる乱歩の世界観はそのままに、新たな謎、新たな事件、新たな迷宮が立ち現れる醍醐味がたっぷりと盛り込まれている。それによって、『黒蜥蜴』初演を観た観客には、ここからあの話につながるのか!という興奮を。この『怪人二十面相』ではじめてこの世界観に接した観客には、この物語からどう『黒蜥蜴』につながっていくのか?という興趣を、共にかき立てられる舞台になっているのが心憎い。

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その中で喜多村緑郎は、若き日の明智小五郎を演じることで、爽やかな二枚目としての資質がより際立ち、一分の隙もないダンディズムを見せつけた『黒蜥蜴』の明智像とはまた違った、心優しく、感情の発露も豊かな青年ぶりに魅力を発揮している。抜群のプロポーションが引き立つ明智から一転、座ったままで講談を語るストーリーテラーの悟道軒円玉では、表現力の豊かさが前面に出ていて、講談の語り口も達者そのもの。実に贅沢な二役の妙味が味わえる。

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怪人二十面相の河合雪之丞は、なぜこの女性が怪人二十面相となっていったのかの経緯と、過酷な運命がきっちりと書き込まれた脚色に応え、たおやかさ、はかなさを秘めた緻密な演技で魅了する。乱歩のシリーズの中で怪人二十面相の過去が描かれた作品もない訳ではないのだが「本人さえ自分の本当の顔がわからなくなっている」という設定だけに、この作品で描かれる「怪人二十面相」のいきさつにむしろリアリティーが感じられ、彼女を応援したい気持ちにさせられるのは、斎藤の筆に応えた河合あってこそだ。

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更に作品に華やかさを加えたのが、レビュースター花菱蘭子を演じた貴城けい。とにかく登場しただけで舞台がパッと明るくなる華に圧倒されるし、やはり乱歩の小説世界に登場する「黄金仮面」にも扮して、久々に男役時代の香りも醸し出す。それが全く浮かないどころか、舞台のエンターテインメント性を高めていて、私生活では夫君である喜多村との、夫婦としての初共演の話題もあり、自主公演を興行面でも支えた力は大きい。当然ながら二人のコンビネーションは抜群で、更に現代的なカラッとした風情があるのが、喜多村&河合コンビとの好対照として互いに引き立て合ったのが素晴らしかった。

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事件の発端となる、河野家の令嬢不二子を演じた春本由香は『黒蜥蜴』に続く令嬢役で、更にこちらでも賊に誘拐されるという同じ設定にも関わらず、両者を全く違う色合いで演じ分けていて、確かな力量を感じさせる。この作品の世界が、やがて『黒蜥蜴』につながっていく上で重要な鍵を握っている人物でもあり、この驚きと興奮は、是非劇場で体感して欲しい。

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また、この興行に賛同して参加した劇団新派の面々にも大きな活躍の場があるのが、自主公演に打って出た喜多村と河合の劇団への熱い思いを感じさせて、双方の心意気が大人数の舞台を弾ませたことも見逃せない。この高い熱量を持った劇団新派による江戸川乱歩の世界が、6月の『黒蜥蜴』公演はもちろん、更にシリーズ化されていく未来にも大きな期待を寄せられる、必見の舞台となっている。

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【囲み取材】

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春本由香、河合雪之丞、喜多村緑郎、貴城けい

初日を前に3月29日、通し舞台稽古と囲み取材が行われ、喜多村緑郎、河合雪之丞、春本由香、貴城けいが、記者の質問に応えて公演への抱負を語った。

──それぞれの役どころと見どころをお願いします。
貴城 (喜多村からどうぞ、と促されて)えっ?私から?
喜多村 いいじゃない?(笑)
貴城 レビューの女王花菱蘭子と黄金仮面をさせて頂きます。まず黄金仮面で久しぶりのちょっと男役スタイルというようなものや、台詞があったりするのが、自分の中でもとても新鮮です。そして物語の中でも重要な役割をさせて頂いているので、蘭子もそうですし、黄金仮面もとにかく華やかに舞台を彩れるように演じられたらな、と思っております。
喜多村 私は明智小五郎と悟道軒円玉という講釈師の二役でございます。とにかく自主公演ならではの分量の多さ、明智もですし、また円玉の講釈が三くだりあるのですが、講談がこんなに大変だったとは!と。狂言回し的な、ストーリー進行をする上で非常に重要な役どころになっています。ですので神田陽子さんに教わりまして、きちんとやったつもりではございますが、何しろ分量が多くて…そんなことは言い訳にできませんが(笑)。また、明智小五郎は前回の『黒蜥蜴』に行く前の、成長過程のちょっと青っぽさがにじみ出た明智小五郎と、『人情馬鹿物語』や新派の『遊女夕霧』の悟道軒円玉は、本当に憧れの役だったので、スタイルは違いますが、非常に大きな二つの役で、明日の初日どうしようかな、という不安な気持ちでいっぱいです。初めてですね、不安になったのは。大体舞台稽古では完璧な方なのが、ちょっと今はドキドキしています。

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河合 私は怪人二十面相をやらせて頂きます。この人物がどのような人生を歩んで怪人二十面相になったか?というところが、面白く描かれていますのと、更に、6月にまた上演させて頂きます『黒蜥蜴』に、怪人二十面相がどのように関わっていくのか?というところが、本当に見どころになっております。私自身もこういうお役は好きで、自分の中に染み込みやすいお役ですので、そういう意味でもこの自主公演でやらせて頂くのは本当に嬉しいです。この作品が6月の『黒蜥蜴』に「こうつながっていくのか!」というのが、ご覧になって頂けたらわかりますので、一生懸命頑張って演じたいと思います。
春本 私は河野不二子という役をやらせて頂くのですけれども、前回の『黒蜥蜴』もお嬢様の役どころでしたが、今回もまたお嬢様なのですが、ちょっとコンプレックスを抱いていて、という役どころで『黒蜥蜴』にこの作品がつながっていくというところの、キーポイントにもなるのかなというお役ですので、精一杯やらせて頂いております。

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──昨年の上演で大評判となって、6月に早くも再演される『黒蜥蜴』に行く前の時点の物語という、とても魅力的な設定ですが、企画はどのように?
喜多村 我々は新派に所属させて頂いてまだ日が浅いので、はじめは古典を勉強したいな、という気持ちが強かったのですけれども、やはり6月の『黒蜥蜴』に向けて、まだ観たことがない方も、初演をご覧になった方も共に楽しめるシリーズもののような形にできないかなという案が出てきました。それを受けて『黒蜥蜴』の斎藤雅文さんが「じゃあ、僕が書く」と、お忙しい中書いてくださって。出来上がったストーリーが大変面白くて、『黒蜥蜴』と凌ぎを削るようなものになりました。また、劇場のサイズも大きくなりましたので、スペクタクル性も加味されていて、今回の舞台をご覧になって頂けたら、6月の『黒蜥蜴』が更に楽しめる二部作となっていますので、これを自主公演でさせて頂いたことは間違っていなかったと思っております。
──この舞台を観ることによって『黒蜥蜴』ももっと楽しめるものに。
喜多村 そうです、多分10倍、20倍楽しんで頂けると。
河合 また『黒蜥蜴』をご覧になった方も、とても楽しみにしてくださっているのではと思いますし、今回初めてご覧になるお客様は、是非『黒蜥蜴』を観たいと思って頂けるのではないかなと。そういう本当にしっかりとしたつながりのある作品に出来上がったことを、とても喜んでいます。
喜多村 道具も前回の『黒蜥蜴』の世界観のまま、またちょっとデラックスになりましたので、『黒蜥蜴』の舞台にもまた、更に可能性を感じさせるような自主公演になったと思います。

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──宝塚のレビュースターでいらした貴城さんが、レビュースターの役を演じることについては?
貴城 このお芝居では、ショーナンバーがたくさんあるということではなくて1点集中型で頑張っているのですが、レビューの場面ではなくても、普段の会話の中でもレビューの女王らしさを醸し出せたらいいなと思っています。宝塚時代の華やかなレビューの経験が、もしかしたら役に立っているかも知れないですね。
──貴城さんが座組に入られたことで皆さんはいかがですか?
河合 普段はお食事を一緒にしたりして何気ない話をしている仲で、宝塚時代には舞台を拝見したことがなかったのですが、やっぱり宝塚のトップスターさんというのは、本当にスターさんなんだ!と、こうして舞台で間近で接して思いました。華やかさを添えてもらえて嬉しいですし、またこの夫婦初共演というのが。
喜多村 夫婦になってからね。
河合 そう、なってからの初共演がね、ひとつの大きな話題になるのではないかと思っております。
喜多村 本当に初めてなんですよね。夫婦になって仕事場も一緒で、24時間一緒だなというのが初めてで。劇中にも僕たちが夫婦であることと、明智と黄金仮面の関係とがリンクしている場面もいくつかありますし、円玉と花菱蘭子が絡むところもありますので。ちょっと我々としてはプライベートを覗かれているような、少し恥ずかしい気持ちもあるのですが。

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河合 でも二人の場面はね、家で十分稽古できますからね。
喜多村 そう! だからこの人(貴城)との場面だけは、なんとか台詞覚えてるの(笑)。
貴城 ええー?そこだけ?(笑)
喜多村 他のところは全然覚えられない(笑)。ここだけでも相当な台詞量なんですけどね。
貴城 言い訳してる!(笑)
喜多村 自主公演なので僕ら中心に書いてくださったので、もうすごい量なんです。もう天文学的な(笑)。今も頭の中をグルグル文字が、ワードが回っていて沸騰しそうなのですが。そういう意味では今回奥さんに、興行面でも役者としても助けてもらって、ちょっと見直したと言うか。
河合 惚れ直した?
喜多村 惚れ直したと言うか、まぁ(笑)。とにかく6年ぶりなので、共演するのは。

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──貴城さん、今日宝塚音楽学校の合格発表がありましたが、後輩たちにエールを。
貴城 今回劇団新派という、1つの劇団に入れて頂いて、あぁ劇団っていいなとすごく感じました。外でお仕事をしていますと、色々な方が集まったカンパニーでやることが多いのですが、新派は、宝塚もそうですが劇団の温かさみたなものをすごく感じます。上の人がお芝居を見てくれて、色々なことを教えてくれる。私も今回色々と教えて頂いたのですが、劇団って普通のカンパニーではないような、幸せな場所だなというのを思い出させてもらいました。宝塚に入ってずっとやっていると、その有難さが感じにくい時もあるかもしれませんが、仲間がいること、家庭的な場所に入れたことに、皆さん感謝を持って頑張って欲しいなと思っています。

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〈公演情報〉
『怪人二十面相〜黒蜥蜴二の替わり〜』
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原作◇江戸川乱歩
脚色・演出◇斎藤雅文
出演◇喜多村緑郎、河合雪之丞、春本由香、貴城けい 他
●3/30〜4/1◎サンシャイン劇場 
3月30日 14時開演/18時30分開演
3月31日 14時開演/18時30分開演
4月1日   13時開演  
〈料金〉1階席 5,000円 2階席 4,000円
〈お問い合わせ〉チケットホン松竹 (オペレーター対応/10:00〜18:00 または03-6745-0888)



【取材・文・撮影/橘涼香】



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