えんぶ本誌の宝塚記事取材の機動力を生かして、宝塚歌劇の製作発表、会見などをいち早く紹介。 宝塚OGの公演やインタビューのほかに公演の批評なども展開しています。

黒木瞳主演舞台『京の蛍火』

あの「ファミリー」が2倍になって帰ってくる!ミュージカル『アダムス・ファミリー』真琴つばさ・壮一帆 インタビュー

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ゴシックテイストのブラックユーモアに溢れたミュージカルとして、2014年の本邦初演が賞賛を集めたブロードウェイミュージカル『アダムス・ファミリー』。この舞台の再演が、日本版演出を担う白井晃が芸術監督を務めるKAAT神奈川芸術劇場で、10月28日から上演される。(11/12まで。その後、大阪、富山公演あり)
 
アメリカを代表する漫画家チャールズ・アダムス(1912〜1988)の一コマ漫画として世に出た『アダムス・ファミリー』は、その個性豊かなキャラクターが絶大な人気を博し、テレビドラマ、アニメ、映画と、多彩なメディアに進出、世界的に大ヒットを飛ばしてきた。そんな作品がブロードウェイミュージカルになったのは、2010年。『ジャージー・ボーイズ』のマーシャル・ブリックマン&リック・エリスの台本、『ビッグ・フィッシュ』のアンドリュー・リッパの作詞・作曲で、大評判となり、現在も世界各地で上演され続けている。
 
その作品の本邦初演で、アダムス一家の母親モーティシアを演じ、キャラクターにピッタリ! と喝采を浴びた真琴つばさと、今回の再演版で同じモーティシアをWキャストで演じる壮一帆が、ハロウィン・シーズンに挑むユニークなお化け一家のミュージカルへの意気込み、そして宝塚時代のことなどを交えて、語り合ってくれた「えんぶ10月号」の記事を別バージョンの写真とともにご紹介する。

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一見普通じゃない家族の普通の物語

──『アダムス・ファミリー』待望の再演ということで、まず初演のオリジナルキャストである真琴さんから、作品の魅力について教えてください。
真琴 一見普通じゃない家族の、普通の物語というところですね。役柄としては「おばけの一家」ではあるのですが、自分たちは全く普通にと言いますか、自分たちのルールに乗っ取って暮らしている。その「家族円満」のルールが、ちょっとしたきっかけで崩されることに対する恐怖感が、ブラックな笑いの中に描かれている作品です。
──壮さんは作品についてはどんな印象を?
 映画を観て思ったのは、ある程度のレベルを越した「普通」がシュールなんだなということでした。例えば電気ショックを与えて喜んでいたりなど、良い意味で最高に馬鹿馬鹿しくて、笑える。そのシュールさが良いなと。
──そんな作品の中で、演じるモーティシア役の魅力については?
真琴 まず私は、モーティシア役でやっと、自分の声質や声の低さなど地のままで活かせる役柄に巡り合えたので、それはすごく助かったこと、そして笑顔があまりない役柄なのが嬉しかったですね。私、笑顔がすごく苦手で。
 えぇ? そうですか?
真琴 「世界は私のものよ!」という感じの、ほくそ笑むような笑顔は大丈夫なんだけど(笑)。だから、そういう意味でも、すごく自分として役柄にフィットしたという思い出が強いです。そして、モーティシアは母として、妻として、女として、という3つの側面が描かれているのが魅力的な役で、その女心の部分が、初演ではもう少し出せたのではないかと今にして残念に思っているので、再演に向けてこの4年で自分がどれくらい進歩しているか、自分自身も楽しみにしています。
 私はお稽古場でマミさん(真琴)が思われている女心が、どんなものなのか拝見するのがまずとても楽しみです。きっと「元男役」の方々が女優として活動する時、超えるべきハードルがあると思うんです。それを同じ稽古場でマミさんから学び、感じることによって、自分が今後進んでいくべき道程の指針にもなるだろうと思っています。役柄としてはマミさんがおっしゃった通り、私も女心とプラス母性も課題なので、それをどう埋めていくかなのですが。フライヤーの扮装撮影の時に、演出の白井晃さんがいらしてくださって、事細かに指示を出してくださったんです。「もっとイッちゃった眼をして」とか。そこからもう演出を受けはじめたような気分になれたので、更に稽古が楽しみになっています。わからないなりに投げられたボールをガンガン打ち返したいと思っています。
真琴 私の写真はまだ手さぐりの時のものなの。だから、この写真よりはずいぶん役に対しての踏み込みも変わってはいるんですけど、でも、このフライヤーは皆さんに強い印象を持って頂けていたようで、実際舞台をご覧になっていない方々もフライヤーを覚えていてくださって、「『アダムス〜』再演するんだって?」と、たくさんの方から言って頂けるので、インパクトは残せたのかなと。
 私もこのフライヤー覚えていました。「面白そうだな」と思いましたから。
真琴 それは役柄のキャラクターや、演じた方々の個性がこの写真の中にギュッと入っているからこそだと思うし、ミュージカルやお芝居って、実際に観に行った時間だけではなく、観に行くまでのワクワクした時間も楽しんで頂けるものなので、初演をご覧になってくださった方はもちろん、フライヤーで興味を持ってくださった方たちにも再演の舞台をお届けできることが嬉しいです。特に今回、壮ちゃんとWキャストということで、私にとっては一度やったものだから、演じることに正解はないといっても、どうしてもそれが出てくると思うんです。でも壮モーティシアを客観的に観られることによって、また新たな発見があると思うので、それはすごく楽しみですね。壮ちゃんの感じるままに新しいモーティシアをやってくれたら良いと思う。
 そう言って頂けるのは本当にありがたいです。感謝して臨みたいです。

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「縁」を感じる2人で取り組むWキャストの醍醐味

──宝塚時代のお互いの印象はどんなものでしたか?
 私にとってマミさんはもう大スターです。私はファン時代、真琴さん、愛華みれさん、紫吹淳さん、匠ひびきさん、初風緑さん等々、素晴らしい方々が揃っていた黄金時代の花組にハマっていたこともあって、初舞台でご一緒できたのが信じられないくらいでした。その時は真琴さんは、もう月組の二番手スターさんになっていらっしゃいましたが、下級生の面倒もすごくみてくださって、うちの期では「センスも素敵、人柄も素敵!」と大人気でした!
真琴 本当に?(笑)
 本当です! そんな真琴さんと、今回Wキャストで作品に取り組めるのは、ご縁なのかなと感じます。だからこそ物怖じすることなくつとめたいです。
真琴 グイグイ来て!(笑)私はね、宝塚100周年の時にNHKの生中継番組で、壮ちゃんが黒燕尾のダンスを踊っているのを見て「あぁ、自慢できる後輩だ」と思ったのが何より印象に強いの。佇まいと品格があって。でもその後ご飯を食べる機会があったら、ざっくばらんで身近な感じがしたし、その上に明るさもあるから良いな! って。
──お2人とも、宝塚時代に『ミー&マイガール』のジャッキーを演じていますね。
 綺麗だった〜! マミさんのジャッキー! 声はとっても低かったですけど(笑)。
真琴 今のほうが低いけどね(笑)。でもそうか、ジャッキーね、共通点あるのね。そんな2人が、また同じ役を演じるので、「あのファミリーが帰ってくる」プラス壮ちゃんと私とで「2倍になって帰ってくる」を、お客様に楽しんで頂けるように頑張りましょう! 中華街にも行きたいね。ちょうどハロウィンだから一家でも歩きたいし!
 良いですね! ぜひ皆様も、KAAT神奈川芸術劇場に2回、観にお越しください!

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まことつばさ○東京都出身。85年宝塚歌劇団に入団。97年月組トップスターに。01年惜しまれつつ退団。以後は、コンサートやショー、ストレートプレイ、ミュージカルなどの舞台や、ドラマ、ラジオなどで女優として幅広く活躍。またバラエティ番組でも人気を博している。近年の主な舞台に、15年『BLOOD BROTHERS』、16年『The Sparkling Voice─10人の貴公子たち─』、17年『あさひなぐ』『にんじん』などがある。

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そうかずほ○兵庫県出身。96年宝塚歌劇団に入団。実力派の男役として頭角を現し、12年雪組トップスターに。14年惜しまれつつ宝塚を退団後、コンサート活動などを経て、16年ミュージカル『エドウィン・ドルードの謎』で本格的に女優活動をスタート。以後、順調にキャリアを重ねている。近年の主な舞台に、16年『Honganji〜リターンズ〜』『扉の向こう側』、17年『細雪』『魔都夜曲』MUSICAL『WILDe BEAUTY〜オスカー・ワイルド、或いは幸せの王子〜』などがある。


〈公演情報〉
アダムスPR
PARCO Produce ブロードウェイミュージカル
『アダムス・ファミリー』
台本◇マーシャル・ブリックマン&リック・エリス
作詞・作曲◇アンドリュー・リッパ 
原案・原作◇チャールズ・アダムス
翻訳◇目黒条/白井晃
訳詞◇森雪之丞 
演出◇白井晃
出演◇橋本さとし 真琴つばさ/壮一帆(Wキャスト)  昆夏美 村井良大
樹里咲穂 戸井勝海 澤魁士  
庄司ゆらの 梅沢昌代  今井清隆 他 
●10/28〜11/12◎KAAT神奈川芸術劇場〈ホール〉 
〈料金〉S席12,000円 A席9,000円 U-25チケット6,000円(全席指定・税込) 
大阪、富山公演有り
〈お問い合わせ〉パルコステージ 03-3477-5858




【取材・文/橘涼香  撮影/岩田えり】


会員様限定キャンペーン実施中!

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リブートされて新たに生まれ出た『WILDe BEAUTY〜オスカー・ワイルド、或いは幸せの王子〜』上演中!

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男性エンターテイメント集団として活躍を続けるDIAMOND☆DOGS(D☆D)が、結成15周年を迎えた記念プロジェクト公演のひとつ、MUSICAL『WILDe BEAUTY〜オスカー・ワイルド、或いは幸せの王子〜』が、天王洲銀河劇場で上演中だ(18日まで)。
 
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MUSICAL『WILDe BEAUTY〜オスカー・ワイルド、或いは幸せの王子』(以下『WILDe BEAUTY』)は、「サロメ」「ドリアン・グレイの肖像」「幸せの王子」などで知られるイギリスの詩人・劇作家・小説家・コラムニストのオスカー・ワイルドの人生を、彼をめぐる人々との関わりの中から照射していくミュージカル作品。脚本・作詞・演出の荻田浩一が、08年に浦井健治主演で書き下ろして初演した作品を、今回は東山義久率いるD☆Dのメンバーに、壮一帆、小野妃香里、大月さゆの女優陣を加えた新たなカンパニーに当てはめてリブート(再構築)。全く新しい、2017年版の『WILDe BEAUTY』が生まれ出ている。

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【STORY】
1900年、世紀末のパリ。大英帝国のロンドンで時代の寵児となりながら、同性愛者として告発され獄中生活の後に、パリに逃れたオスカー・ワイルド(咲山類)は、数多の恋人たちの中で、唯一彼を見限らなかったロビー・ロス(和田泰右)の看護のもと瀕死の床にある。
今わの際の混濁した意識の中に、いつしか死神或いは天使(壮一帆)が現れ、オスカーの人生を辿りはじめる。浮かび上がる人々は、大女優サラ・ベルナール(小野妃香里)、皇太子の愛人にして女優リリー・ラングドリー(大月さゆ)、厳格な貴族クインズベリー侯爵(森新吾)、愛を教えたマハフィー教授(小寺利光)、画家オーブリー・ビアズリー(中塚晧平)、プリンス・オブ・ウェールズ(TAKA)、故郷アイルランドの家族たち、更に数多の男女。彼らはオスカー・ワイルドの人生をさざめき合うが、誰の目にも今死にゆこうとしているオスカー・ワイルドの姿は、自分の見ていたオスカー・ワイルドとは結びつかない。
「違うわ、彼こそがオスカー・ワイルドよ」。死神、或いは天使の指し示すそこに、ついにもう1人のオスカー・ワイルド(東山義久)が姿を現す。彼こそが、現実のオスカー自身が創り出した、虚像の象徴としてのオスカー・ワイルドだ。現実のオスカーと、虚像のワイルド。互いが互いを「こんな男を僕は知らない」と言う、「オスカー・ワイルド」の人生の真実とは?

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舞台に接してまず感じるのは、作品が思った以上にいびつで、歪んだ、それ故に引きこまれるカラーを持っていることだ。特に1幕ではむしろオーバーアクションで、滑稽味を帯びたハイテンションな演技と演出が多用されていて、出演者の道化師を思わせる衣装や、メイクアップも手伝い、どこかノスタルジックでアングラ的な香りが漂ってくる。
だが、その意外なテンションに混乱させられた後だからこそ、グッとダークにシリアスに転んでいく2幕に向けて高まる緊張感には、感性を鷲掴みにする力がある。その上に、この世界の先にあるものが、赦しなのか断罪なのか、或いは…と、思考を振り回される感覚が、まさにオスカー・ワイルドという特異な人物の虚像と、その中にある純粋なものを照射してくるから恐れ入る。ひたすらに美を求め、美しく在ろうとし、それが年齢を重ねることへの恐れさえ生む。哀しくも美しく、だからこそ恐ろしいオスカー・ワイルドの人生。捻じれていて、ひねくれていて、一筋縄ではいかなくて、だからこそ惹かれる。パンフレットでいみじくも、壮一帆が、小野妃香里が言っているように、このまさに「荻田ワールド」炸裂!の作品が描くオスカー・ワイルドその人は、劇作家・演出家・詩人として、鬼才と呼ぶしかない荻田浩一そのもののようだ。

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そんな感触がこれほど際立ったのは、08年に初演された作品を、今回、D☆D15周年記念の為にリブート、D☆Dのメンバーに壮、小野、大月の女優陣に「当て直した」からこそだろう。ここにはD☆Dの可能性、女優陣の充実、更に荻田自身の深化も巧まずして浮かび上がらせる、中毒性を持った新たな『WILDe BEAUTY』があった。卓越した音楽を書いた斉藤恒芳を含めて、すべての人の進化が作品に陰影と深みを与えている。

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その筆頭となったのがD☆Dだろう。15年の歩みの中で、D☆Dは、天性の華とスター性を有したリーダー東山義久と、今や構成・演出も手掛けるクリエーターとしての顔も持つ森新吾の初期メンバーを軸に変遷を重ね、現在の7人のメンバーが固まって8年目を迎えている。この間に、D☆Dの創るステージは、驚くほどの進化を遂げてきた。良くも悪くも東山が突出していたグループの、各メンバーそれぞれが個性と輝きを大きくし、何よりダンサー5人、シンガー2人と銘打たれていたメンバー構成が、昨今ではダンサーも歌い、シンガーも踊るという、垣根のほとんどないステージングが可能になっている。そうした彼らの成長が、一癖も二癖もあるミュージカル『WILDe BEAUTY』を支える力になっている。

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D☆Dに参加した当初は、歩くだけでも精一杯という様相を呈していた咲山類が、晩年の(と言っても46歳だが)オスカー・ワイルド、東山に並び立つ役柄を熱っぽく演じている姿には感動を禁じ得ないし、小寺利光の飄々としていてどこか奥深い個性。TAKAの良い意味のエキセントリックさ。和田泰右のパッショネイトの中にある真摯なものが、作品を輝かせる要因となっている。

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一方、近年では踊っていてふっと東山と見間違うことさえあるようになった、中塚晧平の華やかなスターオーラを、突き詰めた狂気にもってくるのは、ある意味荻田作品の得意技だし、森のワイルドな攻撃性が強いアクセントになっているのも、今やクリエーターとして、大人の知性を感じさせる森の原点を見るようで、D☆Dを深く理解し、長年共に作品創りをしてきた荻田ならではの目配りを感じる。もちろん、彼らメンバーの成長にある意味追われながらも、きちんとやはり先頭を切り、D☆Dのエンジンであり続ける東山の存在も大きくなるばかりで、この舞台を観る醍醐味を双肩に担って頼もしい限りだ。

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彼らD☆Dと正面から対峙している壮一帆は、この世の者ではない役柄の造形に、やはりこの世ならぬもの、宝塚歌劇という幻想世界で「男装の麗人」であった出自が見事に生きている。しかも、現世を睥睨している死神、或いは天使でありつつ、瞬時にオスカー・ワイルドの恋人、また妻となった時の、たおやかな柔らかさ、どこか心許ないような儚さも醸し出したのは、女優としてのこの人が経て来た経験の賜物だろう。壮が、こうした2つの顔を共に演じ分けたことが、新たな『WILDe BEAUTY』の眩惑感を増幅したのは間違いなく、作品にとって欠くべからざる存在となったのが嬉しい。

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また、森と並んで初演からの出演者である小野が、ガラリと感触を変えた作品の中で、要求される色をきちんと描き出しているのは、改めてその確かな力量を感じさせる場となった。

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やはり宝塚歌劇団出身の大月さゆが、美しさと同時に毒気を、純粋さと同時に振りきった狂気を並び立たせたのが、作品そのものの歪みを表出していて、それぞれが与えられた持ち場をしっかりと固めているのが心地良かった。

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更にD☆Dは言うまでもなく、女優陣もいずれも踊れる人達なのも効果的で、それぞれが代表的な役柄だけでなく、全くの別人でありつつ、オスカー・ワイルドに与えた影響という意味で、ひとつにつながるものを持っているいくつもの役柄を演じることで、更に舞台の眩惑感が高まった。その世界の中から立ち上る純なもの、いびつさの中にあるからこその美しさが十二分に感じられる作品で、D☆Dと女優陣が手がけたからこその新たな荻田ワールド、新たな『WILDe BEAUTY』が生まれ出たことを喜びたい舞台となっている。
 
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〈公演情報〉
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DIAMOND☆DOGS 15TH ANNIVERSARY SERIES
MUSICAL『WILDe BEAUTY〜オスカー・ワイルド、或いは幸せの王子〜』
脚本・演出・作詞◇荻田浩一
音楽◇斉藤恒芳
出演◇東山義久、壮一帆
小野妃香里、大月さゆ
森新吾、小寺利光、中塚皓平、和田泰右、咲山類、TAKA
●9/13〜18◎天王洲 銀河劇場
〈料金〉S席 9,000円 A席 6,500円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉公演事務局 03-3492-5300 (平日14時〜18時)




【取材・文・撮影/橘涼香】



『SWAN 2017』


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龍 真咲デビューアルバム「L.O.C.T 2017」発売イベントレポート

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元・宝塚“男役トップスター”を昨年9月に惜しまれつつも退団した、龍 真咲が音楽の世界へと転身した。
先月8月23日にアルバム「L.O.T.C 2017」で鮮烈なデビューを飾り、間髪入れずに渋谷・オーチャードホールでの初コンサートを、26日、27日、計3回行い、6000人の動員を果たした。
そして9月10日は、龍 真咲の慣れ親しんだ関西、大阪でアルバム発売記念イベントが開催された(観覧無料)。
 
ここ阪急西宮ガーデンズは、西日本では最大級のショッピングセンターで休日ともなれば大勢の客でにぎわう。そんな中、木の葉のステージには、始まる前から龍 真咲目当てのファンが整理券をもとめ長蛇の列を作っていた。
宝塚を退団したスターたちにとって、歌を歌うことはそれほど難しいことではないと思われがちであるが、龍 真咲は男役であったため歌い方も一種独特なものだった。しかし今、龍 真咲は“J-POP”に飛び込んだのだ。勿論男役でもなければ舞台でもない、シンガーとしての龍 真咲である。“女性J-POPシンガー龍 真咲”なのである。
退団後、ボイストレーニングを重ね、宝塚特有の歌い方からポップスシンガーとしての発声を短期間に習得し、レコーディングに臨み、ここまでたどりついたのだ。が、人前で歌うのはこれが4回目、しかもホームグランドと言ってもいい関西では初めてなのである。

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午後4時、多くのファンの前に、“LANDING on the CITY”で龍 真咲が登場した、と同時に「うわぁー!」と感嘆にも似た歓声とともに拍手が沸きあがった。
1曲目の “Silly game”を歌唱、アルバムのリード曲でもあるので会場は盛り上がり、改めて「皆さんこんにちは。暑いですね〜。今日は、ここ私が宝塚時代18年間過ごした地元に帰ってこれて本当にうれしいです!」と話し、ファンとの距離を引き寄せた。そして3曲目“Miss you always”を歌い、最後の“ヒーロー”では「皆さん、一緒に手を振ってくれませんか?」と簡単な手振りを観客に教え、会場をひとつにして終えた。ライブ後、記念撮影を集まった観客を背に撮影し、ステージは終了した。

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龍 真咲も初めてだが、関西で見るファンもシンガーとしての龍 真咲を初めて見る人も多い。1曲1曲大きな歓声と拍手が巻き起こり、会場は大盛り上がり、フリーステージなので龍 真咲を知らない偶然に居合わせた人々も何事かと立ち止まり会場は1000人にも膨れ上がり熱気にあふれていた

ライブ後は当日CD購入者への特典として“龍 真咲の生写真渡し会”が行われた。購入者1人1人に龍 真咲は向き合い写真を直接手渡し、イベントは終了した。
初めてのイベントに対し、「これからもしっかりとアピールしていろんなことにチャレンジして頑張っていきたいと思いますので、応援よろしくお願いいたします」と語った龍 真咲。今後の活動に注目していきたい。

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【商品内容】
「L.O.T.C 2017 (える おー てぃー しー 2107)」
VICL-64921 / \2,037+税 (発売中)

【収録内容】
M1「LANDING on the CITY」 作曲:巴川貴裕・松井喬樹/編曲:Integral Clover
M2「Silly game」 作詞:濱名 琴/作曲:orange spotting/編曲:南田健吾
M3「Get by me」 作詞:濱名 琴/作曲:岡本武士/編曲:南田健吾
M4「Merrily Mode」 作詞:濱名 琴/作曲:石松領平/編曲:Integral Clover
M5「Miss you always」 作詞:濱名 琴/作曲:田中隼人/編曲:山佳祐
M6「Long Island Icetea」 作詞:濱名 琴/作曲:岡本武士/編曲:山佳祐
M7「ヒーロー」 作詞:濱名 琴/作曲:長沼 良/編曲:小山 寿

ビクターエンタテインメント龍 真咲 HP http://www.jvcmusic.co.jp/ryumasaki/

【配信情報】
配信情報:iTunes Store、レコチョク他、各配信サイト、また LINE MUSIC、Apple Music、AWAなど主要定額制音楽ストリーミングサービスでも絶賛配信中

【コンサート情報】
金峯山寺ご奉納 龍 真咲『世界遺産コンサート』
●9月16日 18:00 開演
会場@吉野山「金峯山寺」蔵王堂前 特設ステージ
〈お問い合わせ〉オフィシャルサイトhttp://www.ryumasaki-scp.com/



【資料提供/スペースクラフト】



『SWAN 2017』


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オスカー・ワイルドの人生を描くMUSICAL『WILDe BEAUTY』 斉藤恒芳、壮一帆、大月さゆインタビュー

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男性エンターテイメント集団として活躍を続けるDIAMOND☆DOGS(D☆D)が、結成15周年を迎えた記念プロジェクトの一環として、MUSICAL『WILDe BEAUTY〜オスカー・ワイルド、或いは幸せの王子〜』を、天王洲銀河劇場で上演する(13日〜18日まで)。
 
MUSICAL『WILDe BEAUTY〜オスカー・ワイルド、或いは幸せの王子』は、「サロメ」「ドリアン・グレイの肖像」「幸せの王子」などで知られるイギリスの劇作家・小説家・コラムニストのオスカー・ワイルドの人生を、彼をめぐる人々との関わりの中から照射していくミュージカル作品。
脚本・作詞・演出を荻田浩一、音楽は斉藤恒芳で、08年に初演されたものを、今回は東山義久率いるD☆Dのメンバーと、壮一帆、小野妃香里、大月さゆという女優陣による新たなカンパニーに当てはめて、大幅に改稿。2017年版の『WILDe BEAUTY』として上演する。
 
そんな舞台に出演する壮一帆、大月さゆ、作曲家の斉藤恒芳が集い、新たな『WILDe BEAUTY』に取り組む思い、斉藤メロディの魅力、更に宝塚時代の互いの思い出などを語り合った。

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大月さゆ、 斉藤恒芳、壮一帆

初演とはびっくりするくらい違う『WILDe BEAUTY』

──まず音楽の話から伺いたいのですが、08年の初演から今回の再演に当たって、音楽的な変化などはありますか?
斉藤 ナンバーは前回の初演と同じものをほぼ使っているのですが、とにかく物語が初演とはびっくりするくらい違っています。初演はとてもシリアスで、1幕の頭の序曲は女性の声だけだったり、2幕のはじまりも喘息の喘ぎ声だけだったり。
 あれも私は好きだったんですけれど、今回は違うのですね。
斉藤 そう。色々仕掛けがあった中でかなりシリアスに作っていたから。でも今回はキャストが大きく入れ替わっていて、曲もバラバラにして曲順を変えたら、同じ曲でもずいぶん印象が違ってきて、とても面白いです。すごくシリアスに書いた曲が全くシリアスでなくなっていたり、逆にかなり軽く歌う曲だったものが、とてもしっかり歌う曲になっていたりするので、全く新しい感触として、観て頂けるのではないかと思います。
──その中で、お二人の演じる役柄について話して頂きたいのですが、それぞれ繋がりがあるのかなと感じさせるような何役かを演じるのですね。
 私は「死神あるいは天使」という役どころがメインで、それは咲山類さんが演じる臨終の床にいるオスカー・ワイルドの深層心理の中に登場してきて、色々なことを彼に囁きかける存在です。初演とは役柄の設定が全く違うので、別物として捉えていますが、咲山さんの現実のオスカー・ワイルドに対して、やはり深層心理の中に登場してくる東山義久さんが演じる虚像の象徴としてのオスカー・ワイルドがいて、私と東山さんの対話がすごく多いんです。それが今、シリアスに囁くというよりは、荻田先生の演出で、東山さんと私が、起きた事柄を軽くというのではないのですが、面白がっているという形になっていて、咲山さんと3人のバランスを計っているという段階です。
作品自体が、ただのオスカー・ワイルドの一生を伝記的に描くのではなくて、彼が人生で出会った人たちとどう付き合って、何を感じて、どう心情が変化していったのか、というところが大きなテーマなのではないかなと、稽古の中で感じているので、更に私が物語を引っ張ると言いますか、先へ先へと誘導するような感じになればいいなと思っています。
ただ、2幕になると内容ももう少しシリアスになっていきますし、私もオスカー・ワイルドの恋人であったり、妻であったりというポジションも演じたりもしますので、それを踏まえた上で、死神としての自分がどういう居方をするのか、それを考えているところです。ガツンとシリアスにいくのか、あるいはどこかシュールな無邪気さが逆に怖いという感じを出すのか、そのあたりはこれから荻田先生とのご相談の中で固まってくると思います。結果的にどうなるかは、稽古の中で詰めていきたいです。

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大月
 私はオスカー・ワイルドと出会って、お互いに刺激し、刺激されるという役割りで、1幕で演じる女優のリリー・ラングトリーも、2幕のメイベル・ビアズリーも実在の人物です。実在の人物を演じる時は、資料を見たり、本を読んだりしますけれども、どうしても史実に縛られて逆に役の奥が見えにくくなったりもするんですね。ただ、台本だけですと結構シリアスな台詞が多かったりもするので、自分が調べたものと合わせながらその台詞を読むと、荻田先生の書かれた意図がまた違う意味に受け取れたりもして、それが結構面白いです。なるべく自分が事前に入れていた知識は一度壊して、オスカー・ワイルドという、流行最先端の人で、皆を刺激する存在だった人のはっちゃけている部分とか、想像をかき立てられる部分を表現したいと思っています。
 荻田先生は現代に例えることが多いよね。「こういうオバサンいるでしょ!」とか(笑)。
大月 そうなんです!
 「きっとこの時代にもいたはずだよ!」って(笑)。
大月 だから、オスカー・ワイルドは、彼の文章より話し方も発想ももっと面白い人のはず!という流れになっているので、リリー・ラングトリーもかなり面白いことになっていると思います(笑)。でもまだ2幕には入っていないので、メイベル・ビアズリ—がどんな人になるのかは未知の世界です。ミュージカルの作り方というのは、全体をザッと通してから細かく返していく、振付もバラバラについていくという形が多いのですが、荻田先生は、1つ1つの場面を細かくじっくり織り上げていって、振付もその1場面ずつ付けていく贅沢な作り方なので。
──メイベルは弟の画家オーブリー・ビアズリーを溺愛していて、オスカー・ワイルドに売り込みに行く姉の役ですね。台本を拝見すると、かなり色濃い感じのインパクトのある役柄ですが。
大月 それがどんな風になっていくのか、私も楽しみでもあり、ちょっと怖くもありというところです。

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音楽に負けない!と気合が入る斉藤メロディ

──ナンバーは初演のものを多く踏襲しているということでしたが、壮さん大月さんという新しい方たちが歌うことで、また新たな工夫なども?
斉藤 オスカー・ワイルドは耽美主義者だと言われていますし、周りにいる人たちも皆、美にこだわる人たちで、でも、そのこだわりが強いあまりに、ちょっと引いて見ると滑稽にも見えるんですね。ですから、美に対する完璧さと、その完璧さ故にちょっと馬鹿馬鹿しい部分が共存していて欲しいのですが。そこがなかなか難しいんです。死神が壮さんなので、スッと立っているだけでも威厳があるのですが、どこかその中にも滑稽さがあることによって、人生の哀れな部分が出たらいいなと。音楽でそこを後押しすると言いますか、一生懸命歌っているんだけど、ちょっとリズムを馬鹿らしい感じにしたりして、両面が出るようにと思っています。
──そんな楽曲を歌っていていかがですか?
 私は宝塚にいる頃から斉藤先生の曲が大好きで。『タカラヅカ・ドリーム・キングダム』という作品では、赤ちゃんの泣き声が聞こえてきたり、秒針の音が聞こえてきたり、あのシュールな感じが本当に好きでした。
大月 素敵でした!
 そうなんです。それが、私にとっては宝塚時代最後の荻田先生の作品となった『タランテラ』では、斉藤先生の曲の場面に出ていなくて、歌うことができなかった事がとても心残りだったので、今回、斉藤先生の曲をたくさん歌わせて頂けるのがとても嬉しいです。私にとって久しぶりのミュージカル作品でもありますし、歌唱指導の福井さんもとても素晴らしいので、自分にとって5歩も6歩も先に行けるチャンスだ!と思って、今、ガンガン食らいついていっています。男役から女優への声のチェンジも、自分の中ではとても必要なことなのですが、それだけでなく歌唱そのものも、稽古で、また舞台が開いたら1回目よりも2回目と、千秋楽まで向上心を持って取り組んでいきたいです。先日、歌稽古の時に斉藤先生が「♭がいくつ付いているというのは、こういう意味なんです」と説明してくださったことがすごく勉強になりました。あぁ、だからキーが合わないから上げてください、下げてくださいと簡単に言ってはいけないんだな、と。音楽業界の方にとっては当たり前のことなのでしょうが、私にとってはすごく大きな収穫だったんです。だから今、貪欲に吸収したいと思っています。ただ、今回、私のために書いてくださったオリジナルの曲は、今まであった曲よりも、ずっとキーが低いんです!「あ、やっぱりそうか、私の声質はここなのか」って(笑)。だからそれは磨いていこうと思います。

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──それはやはり壮さんの魅力を引き出すために?
斉藤 やっぱりまだ男役のイメージが強いんですよね。
 まだ退団して3年ですから!(笑)
斉藤 凄味があって、カッコいい声を活かしたいなと。作曲をしている時って、五線紙に向かってどう書こうではなくて、壮一帆に曲を書くのであれば、頭の中で壮一帆が歌ってるんです。オーケストラの伴奏もすべてついて、そこで歌っているバーチャル壮一帆が見えていて、その歌声を書きとっていく。全部聴音している感じ。だから宝塚の人たちに曲を書いている時も、「ちょっとキーが高い」とか言われると、「いや、そんなはずはない」って(笑)。
 そうなんですね。私も臨時記号に負けない!(笑)歌いこなしてみせます!
斉藤 去年、宝塚でイシちゃん(轟悠)の舞台をやったんだけど。
 『双頭の鷲』ですよね?観たかったんです!
斉藤 その時イシちゃんが、作曲家が斉藤だと分かった途端に「負けない!」って思ったって(笑)。
 わかる〜!!
斉藤 「音楽には負けない!」って宣言された(笑)。
 曲が良すぎるから。如何にして歌いこなすか。
大月 本当に自分の曲にもワクワクするんですけれども、皆さんが歌っていらっしゃる曲、1曲1曲を聞いていてもワクワクしますよね。私が斉藤先生で一番覚えているのは、宝塚雪組のショー『ソロモンの指輪』の波のシーンで「これはいったい何拍子なの!?」という曲があって。
斉藤 羽山紀代美先生のシーンだよね?
大月 そうです!
斉藤 あれは、作曲するより前にもう衣装が決まっちゃっていたの。曲を聞いて、こんなイメージのセットでこんな衣装というのではなく、「この衣装でやります」とデザイン画を見せられたらフラメンコの衣装で。「スペイン風のフラメンコでお願いします」と言われて、そうこられるとちょっと逆らってみたくなって(笑)。
大月 「フラメンコっぽくしないぞ」と? 
斉藤 ちょうどその頃スペインに行っていて、タブラオとかでフラメンコをよく聞いていたから「最新のフラメンコって今までとは違うんです」と言って、「1、2、3、1、2、3、4の7拍目でスカートを蹴り上げるので、ここでアクセントが欲しいんです」と、羽山先生の前で踊って見せて(笑)。
 作曲家が振付家に、踊って見せたんですか?(笑)

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斉藤 爆笑されたけど「わかりました」って(笑)。
大月 (笑)だからすごくカッコいいシーンだったんですけど、リズムを掴むのに皆でかなり苦労しました。しかも群舞だったので。
 目に浮かぶ(笑)。
大月 でも、その意外性がカッコ良くて、中毒のようになる曲が"斉藤ワールド"なんです。今回も「幸せの王子」になるところが、それまでのメロディと全く違って、すごく印象に残ります。
斉藤 あれは燕のイメージなので、伴奏が半音でゆっくり下がってきて、燕が大きく旋回していく感覚。それまでが車輪のイメージでゴリゴリしたリズムのところに、スーッと。
 だから、印象的なんですね。
──先ほど壮さんの声の魅力の話がありましたが、大月さんについてはどうですか?
斉藤 彼女は声がキラキラしているし、子音がよく立って歌詞が聞きやすいので、そこを上手く使いたいなと。「私はリリー」っていうところも、長台詞だからところどころ歌う感じかな?と思っていたら、荻田先生が「全部歌にしたい」と言ったくらいだから。
大月 私もあれは台詞になると思っていたら、全部楽譜が来て!自己紹介から自分へのツッコミも全部歌っていて(笑)。
斉藤 役の面白さが音楽で表せるといいなと思ったし、とても上手に歌っているよ。アレンジも更に華やかになるからね。
大月 歌唱指導の方からも的確なアドヴァイスを頂いて、自分の可能性が更に広がる気持ちがしているのも嬉しいです。
壮 「こんな気持ちで」というような感覚的なものではなくて、「ここに当てて」という理論的な教え方をしてくださるので、すごくわかりやすいですね。そういう意味でも、今回たくさんのことを学ばせていただいています。
──荻田作品に音楽を書く上で、特に意識していることや、魅力などはいかがですか?
斉藤 荻田先生の素敵なところは、まず歌詞が良いし、更に音楽を理解して歌詞を入れてくれるので、そこが何よりも信頼できますね。ブレスと違うところに歌詞を入れる人って結構いて。音楽はここで止まって、ここでブレスしたいのに、歌詞が続いてしまってブレスができない、ということがままあるので。荻田先生はブレスのポイントや、メロディのアクセントに言葉が綺麗にハマるのが、楽しい点です。だから「曲先」と言って、まだ歌詞も何もないところにメロディを先に作って渡すという形の時にも、「大丈夫かな?」というような疑いの気持ちがないんです。また「詞先」と言って歌詞が先に書いてある時にも、「世界観だけ受け取ってくれれば、歌詞は無視してくれてかまわない」と言ってくれて、こちらが山あり谷ありのメロディを書くと、そこに新たに歌詞を入れてくれたりもするので。
 だから今回のM3「天国の門の前で」も歌詞が全く変わったんですね!台本に書いてあった歌詞と、楽譜を渡された時とが全然違う歌詞になっていました。
斉藤 「最初の方で壮が歌う楽曲だから、エンターテイメント性を入れて、こういう解釈で」と言われて書いた曲だから。

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深い縁のある3人が、荻田作品で集う

──そんな荻田先生の話も含めて、せっかくなので宝塚時代のことも伺いたいのですが。
大月 荻田先生と壮さんと私が最後にご一緒した作品が、『タランテラ』なんです。
 私が花組に組替えになる前の、雪組最後の作品でした。
大月 そう思うと、何か不思議なご縁だなと。
 またこうして荻田先生のもとに集まったわけですからね。
──宝塚時代には壮さんはどんな先輩でいらしたのですか?
大月 まんまです。
斉藤 まんま?(笑)
大月 このまんま。全然変わられていないです。
 それよく言われます。「全然変わらない」って(笑)。
大月 本当にサッパリしていて、裏表がない、嘘のない方で、下級生としては本当にありがたい存在でした。嘘がないって素敵なことだなと思うので。だから久しぶりのはずなんですけれども、全然久しぶりの気がしないです。よそよそしさがなくて、安心していられる。
 助走なく、いきなりパッとハマれるよね。でもこの間、改めて年齢を聞いたら、お姉さんになっていてびっくりした(笑)。宝塚では新進娘役だった頃だから。
──その頃の大月さんはどんな印象でしたか?
 宝塚の男役同士で、高校生の男子生徒が「女子で誰が可愛いか」と言い合うような感じで、娘役さんの誰がタイプか(笑)みたいなことを話す時があるんですけど、私は「なつき(大月の愛称)」って言ってました(笑)。
大月 私、壮さんとご一緒させて頂く時には、真っ白な純娘役の役柄が多かったので。
 新人公演で主役とかしていたものね。
大月 あとは、怪我をした壮さんに歌う看護婦とか。
 『さすらいの果てに』だね。でも『DAYTIME HUSTLER』の、過去の記憶の中で踊るシーンでは、最後に「帰って!」って言われた(爆笑)。
大月 ひどい〜!(笑)
 そう、ひどい!(笑)でもあの可愛いなっちゃんが良い女優さんになって。女優さんとしては先輩ですから。
大月 そんな!そんな!
──女優同士としての初共演ですね。
 刺激になります。彼女が宝塚を退団して、女優さんとしてどういう風に芸を磨いてきたのかというのを、この作品を通じて知ることもできますし、本当に共演できて良かったです。
──斉藤先生から女優としてのお二人に期待することなどは?
斉藤 2人とも感覚が若いのが良いですね。壮さんは稽古場でも主演女優然としたところが全くないし、D☆Dの皆と一緒になってワイワイと創っていて、雰囲気もとても良いので、期待しています。
大月 D☆Dの皆さんは気さくですよね。
 D☆Dさんも15周年だけど、なつきも15周年なんだよね。
斉藤 宝塚の初舞台から15年?
大月 そうです。芸歴15年になりました。
 もう同期がトップの世代だものね。明日海りおと、今年、望海風斗も。
斉藤 だいもん(望海)と同期なんだ。
 あと男役だと美弥るりか、凪七瑠海。
大月 七海ひろき、退団した夢咲ねねも。
 男役も女役も美形揃いだよね!
──皆さんの活躍も励みになりますね。
大月 はい、本当に!

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役者の妙が存分に感じられる楽しい作品

──では、改めて今回の作品『WILDe BEAUTY』を楽しみにしている方々に、意気込みとメッセージをお願いします。
大月 荻田先生のお芝居に出るのは『凍てついた明日』以来なので、10年ぶりくらいになります。その時もたくさんのことを教えて頂いたのですが、今回もこの短い期間でも、毎日がとても濃いなと感じているので、自分がちゃんとそれについて行って成長して、斉藤先生の音楽とこの作品を、自分の持っているものすべてで盛り上げていけるように頑張りたいと思います。
 最近改めて思うのは、芸事をやるというのは自分自身を知ることなんだなと。その中で、荻田先生は一緒に仕事をした人に対してすごく愛情を持たれる方で、その愛情の向こうにある、荻田先生独自のその人に対する解釈、人となりについて聞くのがとても好きで、それが刺激になって今日までやってきた気がします。ですから、今回のこの作品でも、自分自身の新たな一面を荻田先生によって引き出していただき、それを知ることですね。そして、これまでは1曲か2曲だった斉藤先生の楽曲に、今回はがっつりと取り組ませて頂くので、先ほども言いましたが、このチャンスをしっかりと掴んでいきたいと思います。
斉藤 初演をご覧になって、暗いミュージカルだと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、全然違って楽しいものに、役者の妙が存分に感じられる作品になっていますので、是非楽しみに劇場にいらしてください。

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大月さゆ、 斉藤恒芳、壮一帆

さいとうつねよし〇静岡県出身。7歳よりクラシックピアノ、9歳で作曲を始め、各コンクールで注目される。東京芸術大学音楽学部作曲科在学中の90年、ヴァイオリニスト葉加瀬太郎、ベーシスト竹下欣伸と“クライズラー&カンパニー”を結成。国内外だけでなく、国際的に活躍。96年解散後は、渡辺美里、石井竜也、中西圭三などのアーティストの編曲、プロデュースの傍らソロアルバム「リラクシング・ピアノ」をリリース。作曲家として、ミュージカル『アルジャーノンに花束を』ロックオペラ『ハムレット』SHOW-ism 次悄腑罐ぅ奪函戮覆匹侶牴山據映画音楽、CM音楽、アニメ『仮面ライダーキバ』の音楽まで幅広く手がけている。99年、宝塚歌劇団宙組公演『激情』で文化庁芸術祭優秀賞を受賞。
 
そうかずほ○兵庫県出身。96年宝塚歌劇団に入団。12年、雪組トップスターに。14年『一夢庵風流記・前田慶次/My Dream TAKARAZUKA』で宝塚を退団。コンサート活動などを経て、16年『エドウィン・ドルードの謎』で本格的な女優活動をスタート。以後、舞台や映像で幅広く活躍中。出演舞台は、『Honganji〜リターンズ〜』『扉の向こう側』『Dramatic Musical Collection 2016』『細雪』音楽劇『魔都夜曲』など。10月にはミュージカル『アダムス・ファミリー』への出演が控えている。

おおつきさゆ〇石川県出身。03年『花の宝塚風土記/シニョール・ドン・ファン』宝塚歌劇団の初舞台を踏む。雪組に配属ののち、娘役として『堕天使の涙』イヴェット、『エリザベート』新人公演のエリザベート、『凍てついた明日−ボニー&クライドとの邂逅−』のボニー役などで活躍。10年、『ソルフェリーノの夜明け/Carnevale睡夢』で宝塚を退団。以後は女優としてミュージカルを中心に多彩な活躍を続けている。16年石川県能美市観光大使に就任。


〈公演情報〉
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DIAMOND☆DOGS 15TH ANNIVERSARY SERIES
MUSICAL『WILDe BEAUTY〜オスカー・ワイルド、或いは幸せの王子〜』
脚本・演出・作詞◇荻田浩一
音楽◇斉藤恒芳
出演◇東山義久、壮一帆
小野妃香里、大月さゆ
森新吾、小寺利光、中塚皓平、和田泰右、咲山類、TAKA
●9/13〜18◎天王洲 銀河劇場
〈料金〉S席 9,000円 A席 6,500円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉公演事務局 03-3492-5300 (平日14時〜18時)




【取材・文/橘涼香 撮影/安川啓太】



『SWAN 2017』


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