宝塚ジャーナル

えんぶ4月号

越路吹雪三十七回忌特別追悼公演『越路吹雪に捧ぐ』に坂東玉三郎がゲスト出演!

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今年2017年は越路吹雪が亡くなって37年となった。そして、この三十七回忌は奇しくも岩谷時子の生誕100年となる。
この記念の年に、後世に越路吹雪の素晴らしい歌を継承していくために、第一弾として越路吹雪と同じ宝塚歌劇団の元トップスターたちによる『越路吹雪トリビュートアルバム』がユニバーサルミュージックから昨年12月に発売された。そして、その記念イベントとして、植田紳爾の総合演出で元トップスターたちが集まり、永遠の大スター越路吹雪の名曲を歌い継ぐトリビュートコンサートが、越路の想い出深い日生劇場で、3月28日、29日に開催される。
 
坂東玉三郎

そのコンサートには越路吹雪ゆかりの日替わり豪華ゲストも出演するが、このたび坂東玉三郎の参加が決定した。玉三郎は越路と親交が深く、マネージャー岩谷時子が著した越路の追悼本『愛と哀しみのルフラン』(講談社)に後書きを寄せているほどで、今回は越路吹雪のレパートリーの中から、年老いた夫が妻へ寄せる慕情、感謝をつづったシャンソン「妻へ」を歌う。
玉三郎にとっても越路吹雪の追憶をたどる日生劇場でのステージ、トリビュートコンサートの千穐楽にふさわしい歌唱となるにちがいない。

【ゲスト出演者のスケジュール】 
草笛光子(3月28日 15:00公演)
松本幸四郎(3月28日 19:00公演)
渡辺えり(3月28日 19:00公演)
久野綾希子(3月28日 19:00公演)
前田美波里(3月28日 19:00公演/3月29日 12:30公演)
ペギー葉山(3月29日 12:30公演/16:30公演)
坂東玉三郎(3月29日 16:30公演)
 

 〈公演情報〉
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越路吹雪三十七回忌特別追悼公演『越路吹雪に捧ぐ』
総合演出◇植田紳爾
演出◇高橋まさひと
音楽監督◇三枝伸太郎
出演◇寿ひずる 剣幸 杜けあき 安寿ミラ 涼風真世(3月29日12:30公演のみ) 真琴つばさ 姿月あさと 湖月わたる 春野寿美礼 貴城けい 水夏希
総合司会◇檀れい
ダンス◇牧勢海 月央和沙 美翔かずき 鳳樹いち 鳳真由 真輝いづみ
●3/28、29◎日生劇場 
〈料金〉10,800円(全席指定))
〈チケット取扱〉チケットホン松竹 0570-000-489(10:00-18:00)または03-6745-0888
 チケットWEB松竹(24時間受付)
 http://www.ticket-web-shochiku.com/pc/(携帯)
 http://www1.ticket-web-shochiku.com/sp/(スマホ) 
〈お問い合わせ〉る・ひまわり TEL:03-6277-6622(平日11:00-19:00)
http://www.nissaytheatre.or.jp/schedule/松竹主催公演「越路吹雪に捧ぐ」/



 


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ミュージカル『ビッグ・フィッシュ』ついに開幕! 霧矢大夢・赤根那奈インタビュー

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ティム・バートン監督の映画で知られる『ビッグ・フィッシュ』のミュージカル版が、2月7日、白井晃演出で華やかに開幕した!(28日まで。日生劇場)
そのフォトレビューを、えんぶ2月号に掲載された霧矢大夢と赤根那奈の対談とともに掲載する。
 
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ティム・バートンといえば、『チャーリーとチョコレート工場』『アリス・イン・ワンダーランド』などで世界中に熱狂的なファンに支持されている。『ビッグ・フィッシュ』は2003年に彼が作った映画で、ファンタジックで温かな家族の愛を描いた作品だ。2013年には、ブロードウェイミュージカルとして蘇り、物語世界の魅力はそのままに美しい歌とダンスに彩られた舞台は、新たな喝采を呼び起こした。そんな作品のが数々の作品で示した演出力で、絶大な信頼を得ている白井晃によって、日生劇場の舞台を飾ることになった。

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【あらすじ】

エドワード・ブルーム(川平慈英)は昔から、自らの体験談を現実にはあり得ないほど大げさに語り、聴く人を魅了するのが得意。
自分がいつどうやって死ぬのかを、幼馴染のドン・プライス(藤井隆)と一緒に魔女(JKim)から聴いた話や、共に故郷を旅立った巨人・カール(深水元基)との友情、団長のエイモス(ROLLY)に雇われたサーカスで最愛の女性、妻・サンドラ(霧矢大夢)と出逢った話を、息子のウィル(浦井健治)に語って聞かせていた。
幼い頃のウィルは父の奇想天外な話が好きだったが、大人になるにつれそれが作り話にしか思えなくなり、いつしか父親の話を素直に聴けなくなっていた。そしてある出来事をきっかけに親子の溝は決定的なものとなっていた。
しかしある日、母サンドラから父が病で倒れたと知らせが入り、ウィルは身重の妻・ジョセフィーン(赤根那奈)と両親の家に帰る。
病床でも相変わらずかつての冒険談を語るエドワード。本当の父の姿を知りたいと葛藤するウィルは、以前父の語りに出ていた地名の登記簿を見つけ、ジェニー・ヒル(鈴木蘭々)という女性に出会う。
そしてウィルは、父が本当に伝えたいことを知るのだった−。
 
霧矢大夢と赤根那奈は、物語の中心となるブルーム家で、主人公の妻と、主人公の息子の妻、つまり義理の親子を演じる。宝塚時代にコンビを組んだこともある縁の深い2人が、女優として再び共演する舞台となる。

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大好きだった映画の舞台化に臨んで

──まず作品の魅力をどう感じていますか?
霧矢 ティム・バートン独特の世界で、ファンタジーの中に毒気やシュールさもありつつ、心に染み入るような作品だと思っていました。私自身映画のDVDも購入して人に勧めていたほど好きな作品だったので、今度は舞台版で、ティム・バートンマジックと同じように、演出の白井晃さんマジックに彩られたものになると思いますから、とても楽しみにしています。
赤根 私は映画館では観られなかったんです。
霧矢 生まれてた?
赤根 もちろんです!
霧矢 あぁ良かった(笑)。
赤根 宝塚の現役中に勉強の為に映画のDVDをたくさん観ていて、今日は何を借りようかな?と物色している時に、『ビッグ・フィッシュ』の綺麗な表紙が目に飛び込んできたんです。ですから最初はティム・バートンの監督作品だとも知らずに観ようと思ったのですが、実際に観始めると色々な要素が詰まっていて、観れば観るほど引き込まれ、考えさせられる作品でした。黄色のお花畑などもすごく幻想的で、それが舞台になった時どんな臨場感が生まれるのか、白井さんならではの世界になるのだろうと期待しています。
──それぞれ演じる役柄についてはいかがですか?
霧矢 川平慈英さん演じるエドワードの妻サンドラを演じさせて頂きますが、若い頃と年代を経てからとが交互に出て来て、その両方を演じるので、まずきちんと演じ分けなければと。更に息子であるウィルの少年時代も描かれますので、1人の人物の3つの世代を演じることになりますから、難しさもあると同時に役者冥利につきる面白さがあります。特にエドワードが語るストーリーではミューズの存在で、夫と息子の確執に心傷めながらも家族を常に見守っている女性なので、夫への愛情と共に家族への包容力を深く表現したいなと思っています。
赤根 私はウィルの妻のジョセフィーン役を演じさせて頂きますが、エドワード、サンドラ、ウィル3人の家族関係を、少し客観的に見つつウィルを支えている存在になれたらいいのかなと。それに役柄が身重ということで、私にとってはこれまでになかった設定なので、母性的な部分も出していけたらと思っています。

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慈英座長を中心に魅力的で温かいカンパニー

──白井晃さんの演出に期待していることは?
霧矢 『ビッグ・フィッシュ』の上演が発表になった時に、私は別の舞台に出ていたのですが、共演者の方達から口々に「『ビッグ・フィッシュ』を白井晃さん演出でやるんだ! いいね!」と言ってもらって、俳優たちの間で白井さんの演出の評価が本当に高いことを改めて実感しました。しかも稽古を突き詰めて熱心にやる方だそうで、私も稽古はできるだけたくさん丁寧にやりたいタイプなので、とても楽しみにしています。
赤根 私も色々な方から「白井さんの演出はすごく刺激になって勉強になるよ、良かったね!」と言っていただいてます。今回、初めてご一緒させて頂くので「よろしくお願いします! 厳しく教えてください!」という気持ちで臨みたいです。
──それぞれ夫役となる川平慈英さん、浦井健治さんの印象はいかがですか?
霧矢 私はポスター撮影の時に初めて川平さんにお会いして「テレビと一緒だ〜」と思ったのが最初だったのですが(笑)、とてもフレンドリーな温かい方で、場の空気を一瞬にして和ませてくださる方なので、町の人気者のエドワード役には本当にピッタリです。もうこのキャスティングだけで成功間違いなしだなと。浦井さんもとてもしっかりしているので、親子の関わりもきっとうまく表現されると思うので、「母です。よろしくお願いします」(笑)という気持ちです。
赤根 私も川平さんは映像で一方的に存じ上げていた方だったのですが、本当に和やかで温かい方なので、川平さんが座長のカンパニーなら、きっと皆で助け合いながら1つのものを創っていけると思っています。浦井健治さんはずっと前からミュージカル界のプリンスでいらした方なので、そんな方と夫婦役をさせて頂けるのは不思議な気持ちなのですが、ポスター撮影の時に初めてお会いしたら、もうそこから包み込んでくださるような方で。
霧矢 浦井さんは初対面の固さがない方なのよね。
赤根 そうなんです。だから気負わずに素直に向き合っていけたらと思います。

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宝塚時代の深い縁、そしてまた新たな舞台で

──宝塚時代にも縁の深かったお2人ですが、当時の思い出や印象などは?
霧矢 彼女は月組で初舞台を踏んだ時から、とても伸び伸びとしていて、華やかな容姿で月組の若手娘役のホープでした。そこから星組に組替えになってトップ娘役に就任しましたから、どんどん大きな花を咲かせていくのを、上級生として見守っていました。当時から物怖じしないおおらかさが魅力でした
から、今回も伸び伸びしてくれたらいいなと思っています。
赤根 私は入団する前から霧矢さんの完璧な舞台に魅せられていたのですが、入団してお稽古場で歌われているのを聞いて、更に心臓を鷲掴みにされて、この人のそばで学びたいと思い続けていたんです。相手役をさせて頂いた時にも、学年差のある私とずっとコミュニケーションを取ってくださって、包容力と温かさを感じていました。本当に素敵な男役さんで、今も素敵な女優さんですが。
霧矢 いやいや(笑)。バウホール公演の『大阪侍』では相手役としてコンビも組んでいたので、まさかこうして嫁姑としてまた巡り会うとは! という感じですが(笑)、お互いに退団して模索しながらの毎日ですので、良い意味で支え合っていきたいよね。
赤根 はい、よろしくお願いします!
──女優としてのお2人の共演もとても楽しみですが、では改めて意気込みをお願いします。
霧矢 魅力的なキャストの皆さんと、白井さん演出による舞台版の『ビッグ・フィッシュ』、寒い2月ではありますが、ハッピーになれる作品ですので是非劇場に足をお運び頂ければと思います。お待ちしています。
赤根 私は年頭から舞台に関われるのがすごく好きなので。
霧矢 わかる! エンジンかかるよね!
赤根 はい。ですからこの温かいカンパニーの皆さんと、更にお客様と一体になってスタートが切れるのを本当に楽しみにしています。頑張りますのでよろしくお願いします!

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きりやひろむ○大阪府出身。1994年宝塚歌劇団入団。2010年月組トップスターに就任。 平成21年度、文化庁芸術祭演劇部門新人賞受賞。12年4月、宝塚歌劇団を退団。退団後は女優としてスタート。『マイ・フェア・レディ』『オーシャンズ11』『I DO! I DO!』『ヴェローナの二紳士』『ラ・マンチャの男』『レミング』『THE LAST FLAPPER』など多彩な作品に出演している。第22回読売演劇大賞優秀女優賞受賞。

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あかねなな○富山県出身。2003年に宝塚歌劇団に夢咲ねねとして入団。月組に配属後の05年、『エリザベート』の新人公演でエリザベート役に抜擢、一躍注目を集める。08年星組に組替え。09年、星組トップ娘役に就任。『ロミオとジュリエット』『オーシャンズ11』など大作のヒロインとして活躍、15年に宝塚歌劇団を退団。退団後は『サンセット大通り』『1789-バスティーユの恋人たち-』に出演。17年5月には『グレート・ギャツビー』のヒロイン、デイジー・ブキャナン役が控えている。

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※この舞台はえんぶ4月号で特集します。お楽しみに!


〈公演情報〉

ミュージカル『ビッグ・フィッシュ』
脚本◇ジョン・オーガスト 
音楽・詞◇アンドリュー・リッパ 
演出◇白井晃
出演◇川平慈英 浦井健治 霧矢大夢 赤根那奈 藤井隆 JKim、深水元基、
鈴木福・りょうた(Wキャスト)、鈴木蘭々、ROLLY ほか
2/7〜28◎日生劇場
〈お問い合わせ〉03-3201-7777(東宝テレザーブ)



【取材・文/橘涼香 撮影/岩村美佳(人物) 竹下力(舞台)】




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白井演出で更にファンタジックな舞台に!ミュージカル『ビッグ・フィッシュ』公開稽古レポート

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世界中にファンを持つティム・バートンの監督作品をもとにした、ミュージカル『ビッグ・フィッシュ』が、2月7日、日比谷の日生劇場で、待望の日本初上陸の幕を開ける(2月28日まで)。

家族の愛を、ティムバートンならではのファンタジックな色彩で描いた2008年の大ヒット映画が、ブロードウェイの舞台にミュージカルとして蘇ったのは2013年のこと。映画世界の物語の魅力はそのままに、アンドリュー・リッパによる美しい音楽と詞と、心躍るダンスに彩られた舞台は、更に大きな感動を巻き起こし喝采を集めて来た。
 
そんな作品の本邦初演となる今回の上演は、『ロンドン版 ショーシャンクの空に』『アダムス・ファミリー』『No.9〜不滅の旋律〜』『マホガニー市の興亡』など、数々の舞台で確かな演出力を発揮し、話題作を作り続けている白井晃が演出を担当。自らの体験談を、空想の世界にまで広げて語る父親エドワード・ブルームに川平慈英、その妻サンドラに霧矢大夢、父親の誇大な話を長じるにつれ素直に聞けなくなり、それがいつしか親子の溝となっている息子ウィルに浦井健治、その妻ジョセフィ—ンに赤根那奈、をはじめとした個性豊かな実力派俳優達が集結して創り上げられる日本版『ビッグ・フィッシュ』に大きな期待と注目が集まっている。
そんな舞台に向けての稽古が佳境を迎え、1月25日都内で公開稽古が行われた。

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まず稽古を前に、フォトセッションがあり、続いて演出の白井晃、出演者を代表して川平慈英からそれぞれ挨拶があった。
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白井 今日は『ビッグ・フィッシュ』の公開稽古にお越しくださってありがとうございます。この作品はティム・バートン監督の映画で有名なのですが、僕らがやっている作品はブロードウェイ版のミュージカルとして作られた『ビッグ・フィッシュ』です。2013年に作られたものなのですが、映画版とはまた違った形で楽しい音楽と、父親と息子の物語が強調された作品になっています。ご覧のようにですね川平慈英さんはじめ、浦井さん、赤根さん、そして霧矢さんと本当に個性的なキャストメンバーの皆さんに参加頂きました。もしかしたら…もしかしたら、ひょっとしてブロードウェイ版より良い作品になるんじゃないかと(川平の「来た〜!」という歓声で、キャスト陣から拍手)そんな予感がしております。と、手前味噌なんですけれど、それくらい充実した稽古をさせて頂いておりまして、楽しい雰囲気で作らせて頂いております。また今日は公開稽古で、稽古の途中段階ではありますが、皆様に観て頂ければ嬉しいです。よろしくお願い致します。

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川平
 川平慈英です。お寒い中稽古場まで足を運んでくださいまして、本当に感謝しています。ありがとうございます。まず楽しいです。本当に楽しいミュージカルに参加させて頂いて、その楽しさと喜びを感じながら稽古しています。個人的な話ですが、僕は今回劇中で3人の素晴らしい女優さんとキスさせて頂いておりまして、これはデカいです!(キャスト爆笑)、50を超えたおっさんが、霧矢さん、蘭々ちゃん、小林由佳ちゃんとね、白井さんありがとうございます!(会場からも笑い)でも冗談抜きに、素晴らしいチームと一緒に良いエネルギーになっています。圧倒的なミュージカルの楽曲と、ダンスとストーリー、これはもう感動間違いなしだと日々感じております。最後は特に感動的なシーンで、僕らも稽古していても涙が出てしまうんですけど、それくらい愛に満ち溢れた素晴らしい、温かいミュージカルになっております。東京の2月は1番寒い時期ですが、皆さんに日生劇場で心温まって、皆様と一緒に良い汗を分かちあっていいんです。2月は日生劇場で幸せになっていいんです!どうぞお客様にたくさんいらして頂けますよう、よろしくお願い致します。ありがとうございました。

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それぞれが、作品への手応えを感じていることが伺える力強い挨拶に続いて、1幕の通し稽古が行われた。

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川岸に佇むウィル(浦井健治)と、父親のエドワード(川平慈英)の会話から物語はスタート。結婚披露パーティを翌日に控えたウィルは、エドワードに得意の昔語りをしないで欲しいと何度も釘を差す。2人のどこかぎくしゃくした関係がこの短いシーンからすでに伝わってくる。

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時は遡り、ブルーム家のベッドルームで子供時代のウィルが父親に寝物語をねだっている。この幼いウィル役は鈴木福とりょうたのWキャストで演じられるが、この日は鈴木福が担当。ありものの童話を読み聞かせることに飽き足らないエドワードは、自身の子供時代、友人のドン(藤井隆)らと森に入って魔女に会った話を語って聞かせる。「ヒーローになれ」「おまえの欲しいもの」などのミュージカルナンバーにのって、舞台は華やかに展開。ベッドルームからの滑らかな展開が鮮やかだ。

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そこから物語は現代に戻り、ウィルの結婚披露パーティへ。妻・ジョセフィーン(赤根那奈)の妊娠を安定期に入るまでは隠しているつもりだったウィルの意向に反して、エドワードが「喜びごとを皆さんに伝えたい!」と話を公にしてしまったことから、2人の間の溝は決定的なものになってしまう。なんとか仲裁しようとする母サンドラ(霧矢大夢)の想いも虚しく、ニューヨークへ戻るウィルとジョセフィーン。それぞれの細かい表情の変化で、親子の関係を表す俳優たちの演技に見応えがある。

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だが、病院でジョセフィーンのお腹にいる子供が息子だと知ったウィルは、家族が増えること、自身が父親になることへの期待と不安の中で、自身の父親エドワードへの複雑な感情を吐露した「見知らぬ人」を歌う。思わず会場から拍手が沸き起こったほどの浦井の熱唱に、場が豊かに盛り上がる。

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一方エドワードは病を患っており、そのことをサンドラから聞かされたウィルは、父親の元に駆けつける。サンドラが夫と息子への思いを語るナンバー「わたしの人生のふたりの男性」がしみじみと美しい。だが、心配する息子夫婦にたいしたことはないのだと言い張るエドワードは、ジョセフィーンに昔の話を語りだす。「アシュトンで1番の青年」から続く、エドワードの夢物語は、舞台を一際賑やかな世界に誘う。ハイスクール時代のマドンナ・ジェニー(鈴木蘭々)らも加わり、何よりも川平の秀でたダンス力、軽快な動きが場を弾ませる姿は圧巻だ。

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父親の余命を悟ったウィルは、ジョセフィーンと共に父の創作物の整理をはじめ、それは同時に父の過去を旅することとなり、舞台はエドワードとサンドラが出会った、サーカスへと広がる。オーディションを受けにきたサンドラが踊る「アラバマの子羊」エドワードがサンドラに一目惚れをする「時が止まった」更にROLLY扮するサーカスの団長の強烈な個性で、舞台は更にテンポよく進む。1幕のラスト、遂にサンドラに想いを伝えたエドワードが手にするスイセンの花束から広がるのだろう、舞台一面の黄色が目に見えるような中、2人が愛を誓う「スイセン」のナンバーで1幕の通し稽古は締めくくられた。
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全体に感じられたのは、むしろ殺風景な稽古場でさえ、色鮮やかでファンタジックな舞台が容易に想像できる、実に滑らかな舞台の流れで、白井マジックと呼ばれる演出の白井晃の美しい舞台作りに感嘆させられる。川平のエンターティナーぶり、浦井の真摯な実直さ、霧矢の包容力と巧みさ、赤根の清新で真っ直ぐな視線などにはじまる、出演者の適材適所が心地良く、白井の言葉通り「ブロードウェイ版以上」の『ビッグ・フィッシュ』が生まれ出ることへの期待が高まる、本番の舞台にますます夢が膨らむ時間となっていた。

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〈公演情報〉
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ミュージカル『ビッグ・フィッシュ』
脚本◇ジョン・オーガスト 
音楽・詞◇アンドリュー・リッパ 
演出◇白井晃
出演◇川平慈英 浦井健治 霧矢大夢 赤根那奈 藤井隆 JKim 深水元基 鈴木福/りょうた(Wキャスト) 鈴木蘭々 ROLLY ほか
●2/7〜28◎日生劇場
〈料金〉S席 13,000円 A席8,000円 B席4,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉03-3201-7777(東宝テレザーブ)



【取材・文・撮影/橘涼香】



水夏希出演、アルジャーノンに花束を




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期待の若手作家競演による色濃い二本立て。宝塚花組公演『雪華抄』『金色の砂漠』

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明日海りお率いる花組が、新進気鋭の若手作家による冒険的な作品に挑むと同時に、トップ娘役花乃まりあの退団公演でもある宝塚花組公演、宝塚舞踊詩『雪華抄』トラジェディ・アラベスク『金色の砂漠』が、東京宝塚劇場で上演中だ(2月5日まで)

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まず前ものに用意されたのは、チョンパと呼ばれる、日本物に欠かせない幕開きの手法(暗転の中で緞帳が上がり、その間に居並んだ出演者たちが拍子木の「チョン」という音に続いて照明が「パ」っとカット・インする舞台に勢ぞろいしている形)で、華やかに開幕する日本ものレビュー『雪華抄』で、原田諒の作品。リンカーン、アル・カポネなど、歴史上に名高いが宝塚歌劇の主人公として取り上げるのは、いささかハードルが高いと思われてきた人物を、次々に宝塚の世界に引き込み、宝塚歌劇の枠を広げる作品を発表して、内外から注目を集めている気鋭の若手作家が初めて挑む、日本ものレビューとして、注目を集めている作品だ。

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全体は、紅梅白梅の初春で幕を開け、七夕幻想と波しぶきの夏、月光の秋から雪の冬、そして再びめぐりくる桜満開の春爛漫と、春夏秋冬を追った、王道の日本ものレビューの形をきちんと踏襲しているが、そこは常に新しい視点を宝塚に持ち込んできた原田のこと。彼の作品をきっかけに、宝塚でも数々の優れた仕事を重ねている装置の松井るみはもちろん、今回新たに衣装デザイン・監修にデザイナーの丸山敬太を起用して、慣れ親しんだ宝塚の和もの世界の雅やかではんなりした色調を、もう少し濃いくっきりとした色彩にシフトさせている。特に、作品の後半、秋から冬へ、そして再び春へとめぐる流れを、「清姫綺譚」と題された「安珍清姫」の情念の恋と、その昇華に持ってきたのが、これまで芝居を書いてきた原田ならでは。明日海りおの恐ろしいほどの美貌と、花乃まりあの突き詰めた表現が、この大きな流れによく合っていて、日本ものレビューを見ながら、何か物語を見たような気持ちにさせられる、妙味があった。

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それでいながら、宝塚の日本ものレビューに欠かせない存在である専科の松本悠里が舞う「花椿」の雅、明日海の鷹と柚香光の鷺が一騎打ちとなる「鷹と鷲」の鋭さ、二番手男役の芹香斗亜と、次期トップ娘役に決定している仙名彩世が、美しく舞う「七夕幻想」の柔らかさ、花組総出演で盛り上げる「波の華」など、組の陣容と出演者の個性を適材適所に配した流れも美しい。元々絵柄として場面を見せることに長けている原田に、レビューの演出をというのは、面白い視点だったと思わせた。総体に懐かしさと新しさが同居している日本ものレビューとなっていて、いつか原田の創る洋物のレビューも観てみたい気持ちにさせられたのは大きな収穫。今後の更なる活躍に期待したい。

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そんな美しく、でもどこか色の濃い日本ものレビューの後に登場したのが、トラジェディ・アラベスク『金色の砂漠』で、こちらもデビュー以来、その作品の完成度の高さが大きな話題を呼んで来た上田久美子の作品。プログラムの作者言によれば「エンターテイメントに徹っしよう!」との思いでスタートした作品作りだったとのことだが、どうして、どうして、宝塚歌劇としては、かなりの冒険作。非常にディープで、熱く濃い、狂気のような愛憎と情念の世界が展開されていく。

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物語は広大な砂漠の古代王国イスファンという架空の国で展開される。この架空の国というところが作者の眼目で、この国の王家には王子が生まれたら女の奴隷、王女が生まれたら男の奴隷を、「特別な奴隷」として1人ずつあてがい、共に成長させて身の回りいっさいの世話をさせるという仕来りがあった。と聞いただけで、どうしてその「特別な奴隷」が同性ではいけないのか、異性が四六時中共にいて育つのでは何かと話がややこしいのでは?と思うのだが、この疑問を「仕来りでございますから」の一言で押し通した作者の剛腕が、物語を怒涛のように展開させていく。
第一王女タルハーミネ(花乃まりあ)の特別な奴隷ギイ(明日海りお)は、身分こそ奴隷でありながら、誇り高く能力にも優れた美貌の男子として成長する。そんな彼が常に寝起きさえ共にして、やはり誇り高く、美しい女性へと花開いていくタルハーミネに想いを寄せないはずはない。もちろん王女も同様なのだが、奴隷に心惹かれる己を許せないプライドが立ちはだかり、2人の関係はうねりを起こしながら、張りつめた弦のような緊張を続けていく。そこに、王国の抱えるギイを巻き込んだ大きな秘密が横たわり、互いを支配することでしか想いを貫けない男女の愛は、憎しみと表裏一体となって砂漠に燃えてゆく……。

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まず基本的に宝塚の男役トップスターに奴隷を演じさせることには、相当高いハードルがあっただろう。宝塚の世界観の中には「女性が夢を見られる男尊女卑」という、実はかなり入り組んだ価値観が確かに存在していて、トップスターが虐げられる、しかも四つん這いになって足台になるなどという設定は、ただそれだけで嫌悪感を呼び起こす危険性が高い。そこに敢えて踏み込んだ上田久美子は、愛し合うことによって支配と被支配が逆転する男女の愛憎を、更に立て続く大きな出来事で二転三転させ、まさにアラベスクと題された通りの無限に展開していくドラマを仕立てた。貼られた伏線もきちんと回収しているし、そもそもの設定の大嘘は、他国の王子に疑問を呈させるなど目配りも周到で、命も罪も砕け散る美しい場所、砂漠のどこかにあるという「金色の砂漠」が指し示す、終幕への流れも壮絶だ。何より終盤のたたみ掛ける展開こそ駆け足の感が否めないが、子供時代の回想を含んだ時系列の飛翔を混乱なく提示したのは、やはり作者の確かな力量を感じさせた。一方で、主人公2人の情念と愛憎の世界があまりにディープなので、観ている側にも相当な体力が要求されるのもまた事実。コアなリピーターに最も大きく支えられている宝塚歌劇としては、あらゆる意味で挑戦的で、冒険的な作品だったと言えるだろう。

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そんなドロドロとした深く、濃い世界を支えたのは、類い稀な美貌と、真っ直ぐ役柄にのめり込んでいく芝居心とを持ち合わせた明日海りおというスターが、今花組で頂点にいたが故のことだ。この人の美しさの中には、どこかにほの昏い炎が燃えている凄味がある。それが愛と憎しみが隣あうこの世界を、ひたひたと満たして、この世ならぬ悲劇を、悲劇という名の狂気、ある意味ではすべてから解放され救われる道はここにしかなかったというラストシーンに至る、主人公がたどるドラマを支え切っていた。
同じことが花乃まりあにも言えて、宙組の愛らしい若手娘役だったところから、花組に移り、明日海の相手役を務めるに当たって、彼女が積み重ねたはずの研鑽のすべてが、この王女役に注ぎ込まれている。男役の前に対等に立ち、火花散る芝居のやりとりを怯むことなく演じきったのは、宝塚のトップ娘役としてはかなり稀な経験だったと思うが、美貌を誇る男役の相手役であること、ただ美しいだけでは食い足りないと評されてしまう、明日海りおの相手役というポジションを、この2人でなければ成立しなかったドラマで見事に締め括った。トップ娘役としての本懐を遂げた姿に拍手を贈りたい。

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この物語の語り部でもあり、主役2人と同じ立場でありながら、いつしか王女への愛も、王女からの愛も家族のような親密さに姿を変えて行く奴隷ジャーに扮した芹香斗亜は、柔らかで優しい持ち味が作品に一服の清涼剤となる効果を与えている。ドラマ全体の役割としては、常に一歩引いた傍観者である立場なので、二番手男役としては難しい立ち位置だったと思うが、この人がいなかったらドラマがどこまで殺伐としたことか、と思わせたのは芹香の存在感あったればこそ。相手役となる第二王女ビルマーヤ役の桜咲彩花の、童話の世界に出てくるお姫様をそのまま体現したたおやかさも良い。
 
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また、ヒロインの求婚者に扮する柚香光の、明日海とはまた違った直線的な美貌が作品のインパクトを高めている。奇妙な風習に疑問を呈したり、主人公が足台になる場面に「野蛮だな」と心情を吐露したりという、謂わば客席の反応の代弁者でもある役どころに、舞台に登場しただけで目を引き付ける柚香が扮した効果は絶大。ヒロインへの求愛も、これぞ宝塚男役のキメっぷりで、異色の作品と宝塚歌劇とのバランスをも担っていて頼もしい。
他に、王国が抱える闇を体現する存在である国王役の鳳月杏の色悪の魅力が、哀しみを湛えて生きる王妃役の仙名彩世の心の動きに説得力を与えて、この配役も見事。久しぶりに若々しい役どころが新鮮だった瀬戸かずやをはじめ、花野じゅりあ、水美舞斗、音くり寿などが目を引き、専科の英真なおきの好助演も得て、難しい作品に組全体で体当たりした様が、砂漠の熱風を生んでいた。

それにしても、フィナーレがついていて本当に良かったと思える重い作風は、翻せば上田久美子が宝塚のセオリーを巧みに利用しているのだとも言え、日本ものレビューの原田共々、若手ならではの攻めの姿勢にあふれた公演となっている。

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そんな公演の初日を前に、通し舞台稽古が行われ、花組トップコンビ明日海りおと花乃まりあが囲みインタビューに応じて作品への抱負を語った。

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まず何よりも、記者の質問は『金色の砂漠』の難しい設定に対して、苦労はなかったか?という点に集まったが、明日海からは「台本を読んだ時に、これは難しいと思った」という趣旨の素直な感懐が聞かれ、ただ愛しい、愛しているというだけでは済まない関係なので、千秋楽までが発展途上の日々だとの想いが語られた。

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また花乃も大劇場公演を終えても、まだまだこの作品をよくする為に何ができるかを考える毎日だとの言葉があり、千秋楽まで進化し続けるこのコンビらしい回答が揃った形となった。

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そんな状況であるだけに、公演中にはこれが退団公演だという想いには全く至らないという花乃に、明日海も芝居の間にはそのような気持ちがよぎらないでくれる方が良いので、千秋楽の幕が下りた時に役を生き抜いて、やりきったという想いで晴れ晴れと卒業して欲しいというエールが贈られ、ハードルの高い作品に共に立ち向かっていく、このコンビならではの決意が伝わる時間となっていた。

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尚、囲みインタビューの詳細は、本誌用の舞台写真と共に3月9日発売の「えんぶ」4月号に掲載致します。どうぞお楽しみに


〈公演情報〉
宝塚花組公演
宝塚舞踊詩『雪華抄』
脚本・演出◇原田諒
トラジェディ・アラベスク『金色の砂漠』
作・演出◇上田久美子
出演◇明日海りお、花乃まりあ ほか花組
●2017年1/2〜2/5◎東京宝塚劇場
〈料金〉SS席 12,000円 S席 8,800円 A席 5,500円 B席 3,500円 (全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉東京宝塚劇場 03-5251-2001





【取材・文/橘涼香 撮影/岩村美佳】




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