えんぶ本誌の宝塚記事取材の機動力を生かして、宝塚歌劇の製作発表、会見などをいち早く紹介。 宝塚OGの公演やインタビューのほかに公演の批評なども展開しています。

帝劇ミュージカル『1789』

三谷幸喜が描く新作幕末群像喜劇『江戸は燃えているか』に出演! 妃海風インタビュー

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2016年の大ヒット大河ドラマ『真田丸』をはじめ、年年歳歳快進撃を続ける劇作家三谷幸喜が、2018年3月新橋演舞場で新作幕末群像喜劇『江戸は燃えているか』を書き下ろし上演する。作品のスローガンはずばり「新橋演舞場史上、もっとも笑えるコメディ」。
歴史に名高い江戸無血開城を、歴史をつくった偉人たちと、歴史に名を残さなかった庶民たちを通して、可笑しくも愛おしい江戸を戦火から守るための、奇想天外な大芝居が描かれていく。
そんな作品で、三谷幸喜作品に初出演するのが、元宝塚歌劇団星組トップ娘役の妃海風。
宝塚退団後、クリエプレミア音楽朗読劇『VOICARION GHOST CLUB』、そして、初の単独コンサートとなった「妃海風CONCERT 2017『Magic!』」を大成功させた妃海が、女優として初となる本格的な演劇作品への出演への意気込み、また退団からここまでの活動の思い出などを語ってくれた。

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激動の時代がコメディになるワクワク感

──三谷幸喜さんの作品に初出演ということになりましたが、この幕末から明治維新というのは妃海さんにとって縁のある時代ですね。
そうなんです。宝塚の退団公演『桜華に舞え』(16年)が、幕末から西南戦争へ至る物語で、西郷隆盛さんも登場していたので。
──そんな激動の時代の物語を「ただただ笑える喜劇」で描くというのは、三谷幸喜さんならではの発想だと思いますが、その舞台に臨む今の心境は?
まず、宝塚卒業後大きな舞台に立たせて頂くのが初めてになりますし、出演者にタカラジェンヌが1人もいないという環境も初めてです。そして、ずっと昔からお名前をよく存じ上げていた方ばかりの中に、自分の名前が並べられている。しかも三谷幸喜さんの新作ということで、本当に新しいことに挑戦させて頂けるんだな、また新たな扉が開くのだなと感じています。基本的に私は体感型なので、お稽古が本格的にはじまったら、更にたくさんのことを感じるだろうと、とても楽しみなのと同時に、大変光栄に思っています。特に『桜華に舞え』もそうでしたが、この時代の物語は悲劇的なものが多い中、「新橋演舞場史上、もっとも笑えるコメディ」というフレーズを聞いた時、私自身、観る側に回ったときは明るい作品が大好きなので、なんて素敵なんだろうと。やっぱり、人のぬくもりを感じる作品が好きですし、関西人でもありますから吉本新喜劇のような単純に笑える作品も大好きなので、コメディ作品に出られることにワクワクしています。三谷幸喜さんの作品を色々拝見させて頂くと、皆さんが本当に力まずに笑いを誘っていらっしゃるので、笑わせようとして空回りしてしないように、本気でやりながら緊張し過ぎずに、良い意味で力が抜けた感覚で舞台に臨みたいです。宝塚時代にもそこまで笑いに特化した舞台の経験はなかったので、まさに未体験ゾーンに挑むという気持ちです。
──そうですね。コメディと言ってもオペレッタが題材だった『こうもり』くらいでしょうか?
はい。『こうもり』もとても楽しい作品でした。今回は、三谷幸喜さんの演出で、これだけ錚々たる共演者の方たちが、どんなコミュケーションを取りながら、コメディを創り上げていかれるのかを、カンパニーの一員として体感できるので、1つでも多くのことを学びたいと思っています。
──その中で妃海さんの役は、中村獅童さん演じる勝海舟の妹・順子で、夫の中村俊吾郎を演じるのが田中圭さんですね。
田中圭さんと夫婦役ということで、大変緊張しています。初めて男性の方が夫役ということで、当たり前のことなのですが、私にとっては非日常なので、お芝居をした時に自分が何を感じるか、ドキドキしています。
──そういう意味でも吸収することがたくさんありそうですね。
少し女らしくなるかもしれませんね!(笑)
──今でも十分キュートです! また今回は勝家の人々ということで、勝海舟は幕末に欠かせない歴史上の重要人物ですが、勝海舟についてはどんな印象を?
勝海舟さんは、宝塚で北翔海莉さんが演じていらして。
──『JIN─仁 』(15年)の時ですね。
私にとってはその作品のイメージが強くて「とても良い声で歌う人」という感じで(笑)。勝海舟さんは世間的には歌うイメージの人ではないと思うんですが、私にはどうしても北翔さんのイメージがあります。ですから逆にあまり文献などを読み込むというよりは、まず三谷さんの脚本から入りたいと思っています。三谷さんが描く歴史上の人物は、これまでも例えば豊臣秀吉であっても、世間一般が抱いているイメージとは違う観点から描かれていると思うので、今回もまず三谷さんが描かれる、中村獅童さんが演じられる勝海舟さんを、自分の中の新たな勝さんとして感じたいと思っています。

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観終わった後に人間が好きになれる三谷ワールド

──新橋演舞場の舞台に立つ、というのもまた特別の体験ですね。
本当に! 歌舞伎が大好きですから、新橋演舞場にも通い詰めていた時期もあるので、まさか自分があの舞台に立たせて頂けるなんて思ってもいませんでした。劇場には劇場毎に必ず独特の空気があるので、舞台に立った時にどういう空気を感じるのか、新しいお客様にも出会えると思いますし、如何にその場に溶け込めるかが課題だと思っています。
──三谷作品の魅力については、どのように感じていますか?
まず、三谷さんの新作というだけで大きな話題を呼ぶ劇作家さんですし、私自身もこれまで一観客として拝見してきましたが、改めてこれだけ惹きつけられる魅力はなんなのだろう?と考えると、人とのつながりに真実味があるんですね。私たちの日常にも起こりそうな、決して特別ではない出来事にスポットを当てて、さりげない日常のちょっとした勘違いなどからドラマが動いていく様がすごいなと思います。だからこそ共感できるし、笑えるし、観終わった後に人間が好きになっているんです。人っていいな、人と関わるっていいなという幸せな気持ちになれる。人間って面白い!と思えるのが、これだけ愛される理由なのではないでしょうか。きっと常に自分の周りに起きるささいな出来事もきっちりと観察されているのでしょうし、その小さなことを掘り下げていかれる感性も素晴らしいですね。実際に作品創りの現場を体験したら、もっと様々な魅力が発見できるんだろうなと思っています。
──そうすると、あらゆる意味でお稽古が楽しみですね。
本当にあらゆる意味でなんです!自分で言うのもなんですが、まだ生まれたての赤ん坊のような気持ちですし、自分がどう変わっていくのかわからないので、前向きに臨みたいと思います。これだけ長い期間をかけて、たくさんの方たちと舞台を創り上げていくというのは、退団後初めてとなります。元々私は舞台を皆で創り上げていく過程ごと大好きですし、共演者の方たちも本当に豪華な方なので「妃海どうなる!?」と(笑)。
──出演者の方たちそれぞれにたくさんファンの方がいて、妃海さんを初めて観るお客様も多いでしょうから、新たな出会いがたくさんありそうですね。
はい、精一杯頑張りたいと思います!

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朗読劇の虜になった『VOICARION GHOST CLUB』

──宝塚退団後の舞台のお話も伺いたいのですが、シアタークリエでのクリエプレミア音楽朗読劇『VOICARION GHOST CLUB』では、少年役に挑戦しました。
素晴らしい経験をさせて頂きました!私は恥ずかしいことに、それまで朗読劇というものを観たことがなかったので、初めは本を読み聞かせるものなのかな?と思っていたのですが、お稽古から本番を迎えてあんなにも興奮するものだったんだと感激しました。今となっては朗読劇の虜になっています。共演した宝塚の先輩紫吹淳さん、春野寿美礼さんは私が宝塚ファンだった時代からの憧れの方でしたし、初めてご一緒させて頂いた声優さんで女優さんの朴璐美さんも、声だけのお芝居も多数経験されている方ならではの表現力を感じて、声優さんが出演される舞台や、またアニメなどの声のお芝居にも深い興味を持つようになりました。この朗読劇に出させて頂いたことによって、自分で体感したからこそ、その魅力にハマれたので、更に様々なジャンルの経験を積みたいという意欲がわいています。
──台詞のないところで座っている時にも、少年らしい座り方をされていて、声もとても魅力的でしたが、かなり研究したのですか?
台本を頂いて、役を理解してから自然にあの声が出たんです。でもとても低い声だったのでファンの方々もびっくりしていらして、最初は私の声だとわからなかったとおっしゃった方も多かったほどでした。私自身もあんなに低い声でお芝居をするとは思っていなくて。宝塚時代の少年役はかなり高い声で話すものが多いのですが、そうではなく、声変わりをするかしないか、というくらいの少年の声だったので、読んでいて感じたのがあのトーンの声でした。でも声のお芝居ってこんなにすごいのかと!
──イマジネーションが広がりますよね。朴さんも宝塚の方に混じって全く違和感がなくて。
男役さんでしたよね!
──本当に!そして憧れの上級生の方々との共演はいかがでしたか?
やっぱりカッコいいです!紫吹さんは女性としてたくさんテレビに出ていらっしゃいますが、ひと声発すればもう現役時代の男役さんのままで!
──スイッチが入ったという感じがしましたね。
足を組んでお水のグラスを飲んでいる姿ももう男役そのままで、春野さんも柔らかい雰囲気でいらっしゃるのに、でもきちっと男役で、女優さんとして年月を経ていても、すぐに男役に戻れるんだ!と感動しました。本当に素敵な経験をさせて頂けました。

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スタッフ側の気持ちをより理解できた『Magic!』

──そして、ご自身で総合プロデュースもされた「妃海風CONCERT 2017『Magic!』」こちらはまた、盛りだくさんな内容でしたね。
構成、演出という立場に自分が立ってみて、衣装やセットも考えてプロの方に伝えるという経験をしてみて、舞台を支えてくださっているスタッフの方たちへの、感謝と興味が増しました。自分で演出することは、出演者としてお稽古をしつつ、全てのセクションとのやりとりをしなければならないということですから、とても大変ではありましたが、4日間の舞台がすべて終わった後の達成感には、かつてないほど大きなものがありました。とくに感じたことは、演出家の方に「OK!」と言って頂ける訳ではなく、自分自身で「ここで良し」と決めなければならない。もしかしたらもっと先の「良し」へ行けたかもしれないという思いもありましたが、本当に多くのことを学べたので、これからも自分の足で一歩ずつしっかりと歩いていきたいなと思っています。
──お客様とのコール&レスポンスなど、宝塚ではあまりない部分がとても上手で、良い意味で大変驚きました。
私は、及川光博さんの長年のファンで、ミッチーのコール&レスポンスはそれは素晴らしいので、自分ではまだまだだと思っていますし、とても緊張しました。

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2017年10月『Magic!』より

──まさにミッチースタイルで、「一緒に踊ろう!」と客席を巻き込んでいくところも堂々としていました。宝塚の娘役さんは男役さんに対して一歩控えるというイメージがありましたから、特に印象的でした。
宝塚時代のファンの方との交流の場である「お茶会」に来てくださったことのある方は、あのような私もご存知だったのですが、初めて観てくださった方は「この子、結構パンチ効いてるな!」と思われたようです(笑)。でも、「皆でやろうよ!」という形で盛り上がることは学生時代から好きだったので、自分自身でもそんな自分を思い出したところもありました。
──とても楽しい時間だったので、またあのような形のコンサート活動も継続して頂きたいなと。
楽しいと思って頂けることが全てなので、本当に嬉しいです。是非、頑張って続けていけたらと思っています。

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2017年10月『Magic!』より

──ロビーに北翔さんからのお花が届いていて、皆さんがそこで記念撮影をしている姿もたくさん拝見しました。
トップコンビには永遠に夫婦というイメージがあるんだなと思いました!やっぱりそうして写真を撮ってくださったりするのは、とても嬉しいことです。
──北翔さんも女優デビューされたので、また新たな交流も生まれることでしょうね。では、妃海さん自身の本格女優デビュー作品となる『江戸は燃えているか』への意気込みを改めて。
私を知ってくださっている方々はきっと「どうなるんだろう?」とワクワクしてくださっていると思います。それは私の今の気持ちと全く同じなので、私も新たな世界で、新たな気持ちで心こめて頑張りたいです。そして私を知らない方々にも、こんなに豪華な共演者の方たちの中で、一生懸命やっている妃海風を認識して頂けたら。三谷さんの作品は演じる人間の人柄も自然ににじみでるものだと感じますので、「この子面白いな」と感じて頂けて、最大の目標としては「応援したい」と思って頂けるように精進しますので、是非観にいらしてください!

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ひなみふう○09年宙組公演『Amour それは…』で宝塚歌劇団の初舞台を踏む。星組に配属。歌唱力に秀でた娘役として頭角を現し13年『南太平洋』など、数々の作品でヒロインを務める。15年、北翔海莉の相手役として星組トップ娘役に就任。『ガイズ&ドールズ』『LOVE&DREAM』『こうもり』など、持ち前の歌唱力を活かした作品で活躍した。16年『桜華に舞え』『ロマンス!!(Romance)』で惜しまれつつ宝塚を退団後は女優に転身。17年クリエプレミア音楽朗読劇『VOICARION GHOST CLUB』妃海風CONCERT 2017『Magic!』と、様々なジャンルに活躍の幅を広げている。

〈公演情報〉
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PARCO Production『江戸は燃えているか』
作・演出◇三谷幸喜
出演◇中村獅童、松岡昌宏
松岡茉優、高田聖子、八木亜希子
飯尾和樹、磯山さやか、妃海風、中村蝶紫、吉田ボイス
藤本隆宏、田中圭 
●3/3〜26◎新橋演舞場
〈料金〉一等席13.000円、二等席8.500円、三等席A 4.500円、三等席B 3.000円 (全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉パルコステージ 03-3477-5858((月〜土 11:00〜19:00/日・祝 11:00〜15:00)
http://www.parco-play.com/web/program/edomoe/



【取材・文/橘涼香 撮影/友澤綾乃】




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辰巳雄大・田中健、・香寿たつきの3人芝居『ぼくの友達』が開幕!

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ふぉ〜ゆ〜の辰巳雄大、そして田中健、香寿たつきによる3人芝居『ぼくの友達』が、DDD青山クロスシアターで1月10日開幕した。

本作は、ジェイソン・ミリガンによるハードボイルド・コメディで、辰巳は田中扮するマフィアのボスのもとを訪れる正体不明の若者トニー。また香寿はその妻シャロンを演じている。この作品は辰巳にとっては単独初主演となる。田中とは初日を共演、香寿たつきとは昨年夏『GACHI〜全力entertainment 4U〜』で共演している。
 
【あらすじ】
ニューヨーク州、ロングアイランドのアマガンセット。
広大な敷地に家を構えるマフィアのボス・フランキー(田中健)を、見知らぬ青年トニー(辰巳雄大)が訪ねて来る。
警備が厳重なこの家に彼が入ることができたのは、自分は“パーシー・ダンジェリーノ”の知り合いだと言ったからだ。フランキーはパーシーとは訳ありの古い仲間で、パーシーは目下服役中だ。トニーはコンビニ強盗を働いて刑務所に入りパーシーと知り合いになったと言うが、フランキーは今一つ信用できないでいる。
フランキーの妻・シャロン(香寿たつき)はトニーをどこかで見た気がするが、思い出せない。
そこでフランキーはトニーを家に泊め、釣りに誘ったり、【仕事】をさせたりして、彼が何者なのか探ることにするが……。
はたしてトニーの正体とは!?

サスペンス感も笑いもあり、3人の駆け引きで見せるこの舞台、200席の密な空間で1ヶ月近くの長丁場。今年はジャニーズ事務所に入所して20年目となる辰巳にとって節目の年、俳優としての大きな飛躍につながる公演と期待されている。

〈公演情報〉
シーエイティプロデュース『ぼくの友達』
作◇ジェイソン・ミリガン
翻訳◇小田島恒志
演出◇元吉庸泰
出演◇辰巳雄大(ふぉ〜ゆ〜) 香寿たつき 田中健
●1月10日(水)〜2月4日◎DDD青山クロスシアター
〈料金〉8,000円(全席指定・税込) 


【撮影/岡千里】


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ミュージカル『戯伝写楽 2018』間もなく開幕!

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江戸の浮世絵師・東洲斎写楽。たった10ヶ月の間に、145点余の作品を残し忽然と消えた。その謎を描くミュージカル『戯伝写楽 2018』が、1月12日から東京芸術劇場 プレイハウスで開幕する。(28日まで。そののち久留米、名古屋、兵庫公演あり)

「写楽は女だった・・・?!」という大胆な着想から、写楽の謎に迫り、喜多川歌麿、葛飾北斎、十返舎一九、太田南畝(別号・蜀山人)など、寛政の時代に、才を競い熱く生きた芸術家達の姿を、中島かずき・作、立川智也・音楽のオリジナル・ミュージカルとして、2010年初演、大好評を得た。そして8年の歳月を経て、今回は新たに、演出に河原雅彦、作詞に森雪之丞を迎え、新版Japanese Musical『戯伝写楽 2018』として上演される。

キャストには、橋本さとし(斎藤十郎兵衛)、小西遼生(喜多川歌麿)、東山義久(与七/Wキャスト)と、初演からのメンバーに加え、新たに、中川翔子(おせい)、壮一帆(浮雲)、栗山航(与七/Wキャスト)、池下重大(鶴屋喜右衛門)、山崎樹範(鉄蔵)、吉野圭吾(太田南畝)、村井國夫(蔦屋重三郎)他、という強力なメンバーが加わり、大江戸を賑やかに彩る。

〈公演情報〉
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Japanese Musical『戯伝写楽 2018』
作◇中島かずき 
作詞◇森雪之丞 
音楽◇立川智也
演出◇河原雅彦
出演◇橋本さとし、中川翔子、小西遼生、壮一帆、東山義久(Wキャスト)、栗山航(Wキャスト)、池下重大
中村美貴、華耀きらり、大月さゆ、染谷洸太、馬場亮成、岩橋 大
山崎樹範、吉野圭吾、村井國夫
●[東京公演] 1/12〜28◎東京芸術劇場 プレイハウス
●[久留米公演]  2/3〜4◎久留米シティプラザ ザ・グランドホール
●[名古屋公演] 2/7◎日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
●[兵庫公演] 2/10〜12◎兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
 



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錦織一清の演出で帆風成海がヒロイン役。愛媛・坊っちゃん劇場で「第九」をテーマに描くミュージカル『よろこびのうた』上演! 制作発表レポート

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愛媛県東温市にあるミュージカルの常設劇場、坊っちゃん劇場は四国・瀬戸内の歴史と文化をミュージカルにして上演し、本年4月に13年目を迎える。これまで四国を題材に、高知の「龍馬」、香川の「げんない」を取り上げてきたが、徳島だけ取り上げたことがなかった。そこで今回は徳島を舞台に、アジア初演100周年となるベートーヴェンの交響曲「第九」にまつわる物語を上演する。

第一次世界大戦中、徳島県鳴門市には青島で日本軍の捕虜となったドイツ兵の俘虜収容所があり、約1000名の捕虜が収容されていた。この収容所は、福島県会津若松市出身の松江豊寿が所長で「武士の情け」を基本にした、極めて人道的かつ寛大な運営をしたことで知られ、地元の人々はドイツ兵捕虜を「ドイツさん」と呼び、スポーツや芸術、農作業など様々な分野で温かい交流が行われた。
その板東俘虜収容所のドイツ兵が、1918年6月1日、日本(アジア)で初めて「第九」を全曲演奏したという史実は、過去に小説やドラマ、映画化されているが、日本では意外と知られていない。
戦禍の中、異国の地で捕らわれの身となったドイツ兵たちが、故郷への思いと共に平和をという願いを込めて響かせた「歓喜の歌」。その精神は地元の合唱団員たちで今でも歌い継がれている。
今回はこの「第九」演奏のエピソードを、四国の遍路宿の一人娘と若いドイツ兵捕虜との許されない恋を軸に、板東の人々とドイツ人との美しい交流を描き、人類愛と世界平和のメッセージをミュージカルとして届ける。

脚本は映画『パッチギ!』『フラガール』、NHK連続テレビ小説『マッサン』などで知られる羽原大介、演出は俳優のみならず『熱海殺人事件』『グレイト・ギャツビー』などの演出で気を吐く錦織一清、音楽はシンガーソングライターで俳優としても活躍、『グレイト・ギャツビー』の音楽も手がけた岸田敏志、強力なスタッフ陣が揃った。
またキャストはブロードウェイをはじめ海外のミュージカルでも活躍する四宮貴久がドイツ兵ミハエル役、老舗の遍路旅館の箱入り娘明子には、宝塚歌劇団出身で藤間勘十郎文芸シリーズ『南総里見八犬伝』、『GOEMON』(片岡愛之助主演)、『石川五右衛門』(市川海老蔵主演)、明治座『ふるあめりかに袖はぬらさじ』(大地真央主演)、本格文學朗読劇『それから』など、多彩に活躍中の帆風成海が扮する。
上演期間は本年の1月27日から来年1月まで、その間に徳島公演と東京公演も行われる。

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岸田敏志、徳島県知事飯泉嘉門、四宮貴久、帆風成海、愛媛県知事中村時広、羽原大介

【挨拶】

この作品の製作発表が12月27日に都内で行われ、愛媛県知事・中村時広、徳島県知事・飯泉嘉門、脚本の羽原大介、演出の錦織一清、音楽の岸田敏志、出演者の四宮貴久と帆風成海が登壇。坊ちゃん劇場代表取締役の越智陽一の司会により、それぞれの挨拶が行われた。

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羽原大介
 4年ぐらい前に坊っちゃん劇場で何か作ってくださいという話をいただいて、その後、この板東俘虜収容所のことも知って、そこのドイツ人俘虜が初めて日本で「第九」を歌ったことも知りました。その話はぜひやりたいと思いまして、今回、こういう形で参加させていただくことになりました。私は外国人と日本人のラブストーリーは、映画『パッチギ!』とNHKのドラマ『マッサン』に続いて3本目になります。私の異国人同士のラブストーリーものの集大成のつもりで書きました。あとは信頼する演出家の錦織一清さん、音楽と歌唱指導もしていただく岸田敏志さん、そして出演者の皆さんにバトンを渡して、初日をワクワクしながら待っております。
 
錦織一清 僕がこの話をいただいたのは『グレイト・ギャツビー』でご一緒した羽原さん経由で、大役が舞い込んできたな、自分でいいのかなと思いました。1つの劇場で1年間、同じお芝居をロングランするというのは、あまり東京ではないことで、それを愛媛では13作目ということでびっくりもしましたし、見習うべきところも沢山あるなと思いました。すでに現地での稽古も始まり、楽しくやらせていただいてます。少年隊では何度かツアーで回らせていただいて、それ以来という四国ですが、1年間そこに僕が作った作品がかかっている、僕の思いがそこにあるということで、四国のファンの皆様にも、少しは恩返しできるかなと。初日が開いたあとも、なるべく何回も足を運びたいなと思っています。徳島を舞台にする作品は、この劇場で初めてということではプレッシャーもありますが、一生懸命作らせていただきます。また重たいテーマも入っていますが、ミュージカルという表現はもとはコメディですので、明るく楽しい作品にしたいと思っています。

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岸田敏志 この台本を読ませていただいたとき、初稿から「ああ、これは絶対に面白くなるな」と、素晴らしい話だなと感動しました。その中で、さあ、どんな音楽にということで、テーマが「第九」で「よろこびの歌」ですから、大きすぎる「第九」だけに非常に悩ましいところがありました。ただ僕のミュージカルの音楽作りは、長年自分のために作っていたわけですが、他の方の歌う曲ということになって、普段自分が思っていなかった音楽作りが出来て、それが楽しくなっています。その中で演者の方が、これを自分に持ち歌で歌いたいと思ってくれるような、そして観劇された方が帰り道で口ずさんだり鼻歌で歌ってくれるような、そんな曲作りを目指しています。今回も楽しいものになればと願っております。

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四宮貴久 ドイツ人俘虜ミハエルを演じさせていただきます。坊ちゃん劇場への出演は4回目になります。劇場との出会いとなった『誓いのコイン』では日露戦争時代の物語で、ロシア公演も行い、現地のお客様にたいへんな拍手とお褒めの言葉をいただくという貴重な経験をさせていただきました。今回も同じように、四国で実際にあった史実をもとにしたオリジナルミュージカルですので、日本国内だけでなく海外でも観ていただけるようなパワーを持って作りたいと思います。国境を越えた愛を貫くミハエル役は、笑いから激情まで振れ幅のある大きな役です。精一杯稽古場で深めて、坊ちゃん劇場へ行って楽しかったと言っていただけるよう、絶対にまた観に来たくなるような作品にしたいと思っています。

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帆風成海 
明子役を演じます帆風成海です。私ごとですが出身が愛媛でして、今回この作品に出演させていただけるというお話をいただいて、感謝の気持ちでいっぱいです。宝塚歌劇では男役でしたので、退団して今回初めて女性としてのラブストーリーを演じます。明子という女性は、もっと広い世界に出たいと熱望するのですが、私自身、宝塚を受けたいと思ったのは、もっと広い世界で勉強したいと思ったからでした。明子と私自身が重なる熱い思いを役に生かしていけたらと思っています。女性役ではまだまだ課題があって、今回も錦織さんにもっとおしとやかにと(笑)。でも強い意志を持った女性であることは確かですので、そこを少しでも表現できたらと思っています。愛媛県、徳島県のみならず、全国の方々にきていただき、四国の良さをわかっていただけるような作品を、座組一丸となって、ロングラン公演ですが、がんばっていきたいと思っています。

中村時広 愛媛県知事の中村でございます。坊ちゃん劇場はある人の言葉を借りれば「奇跡の劇場」と表現されています。年間270くらいの公演を、10数年間にわたって続けてきました。僕も全作品を観てきましたが、最初は愛媛の「坊ちゃん」、そして高知の「坂本龍馬」、香川の「平賀源内」と上演してきて、今回は徳島と全部揃うことになりました。とくに今回は『マッサン』の羽原さん、僕の少年時代から活躍していた錦織さん、そして「きみの朝」を今でもカラオケで歌わせていただいている岸田さんと、素晴らしい方々が集まって、嬉しい限りでございます。そして先ほども話に出ましたが『誓いのコイン』という作品は、日露戦争で捕虜となったロシアの青年将校と日本赤十字の看護師さんの報われない愛を描いて、とても印象に残った作品です。その主演した四宮くんがまた素晴らしい感動を与えてくれると思います。帆風さんは四国中央市出身ですが、文化人をたくさん輩出しているところです。その代表格として出演していただきます。この作品は「第九」がアジアで初めて歌われたという話ですので、その感動的な内容は、観に来てくださった方々を大きな感動に導くのではないかと思っております。ぜひ徳島県はじめ全国の皆様にこの奇跡の劇場に足を運んでいただきたいと思っています。
 
飯泉嘉門 徳島県知事の飯泉でございます。今回は徳島を舞台にした作品ということで熱く感謝を申し上げます。いつになったら徳島をテーマにしてくれるかなと、首を長くして待っておりました(笑)。今回の舞台となる板東俘虜収容所ですが、青島から連れてこられたドイツ兵の方々について、会津藩出身の松江所長がたいへん人道的な扱いをされたんです。会津藩も維新では朝敵でしたから、彼らを会津藩士に見立て、お国のために戦った英雄だとして、自由な活動をさせました。オーケストラは3つありましたし、ドイツ語の新聞やプログラムを印刷する印刷所、ビール工場、パン工場など収容所の中に作るのを認めていたんです。一方で四国遍路の最初の札所が鳴門市にありまして、その歴史から徳島には御接待の文化が根づいていて、地元の人々は「ドイツさん」と交流を行いました。ですから板東俘虜収容所は「奇跡の俘虜収容所」でもあったのです。そこから当時の最先端の技術によって様々なものが作られ、ユーハイムなどで知られるお菓子、ドイツパン、それに楽器製造、めがね橋などの土木技術、そういうものが四国から関西へと広がっていったわけです。そのドイツさんたちが帰国をする日、1918年6月1日、感謝の念を込めて演奏したのが、アジア初演の「第九」です。
その100年目となるのが2018年で、国内外の演奏家によって「第九」の演奏会も行います。まさにタイムリーな時期にこの作品が上演されます。そして、戦争の足音が聞こえてくると言われている現在こそ、敵国同士が友情を温めたこの歴史的事実を世界に発信したいと思い、徳島県と鳴門市、ドイツのニーダーザクセン市、リューネブルク市が共同して、「板東俘虜収容所関係資料」をユネスコの「世界の記憶」遺産に申請することが決定しました。そうした意味からも、徳島からこの作品を大いに盛り上げていきたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

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【帆風成海からのメッセージ】

私は愛媛出身ですが、徳島県でこのような話があったことを知らなかったのです。たいへん驚いたのと同時に、この素晴らしいお話を皆さまにお伝えできる機会をいただいたことを、本当に嬉しく思っています。
最初に台本を読んだときは、女性としてラブストーリーを演じるのは初めてなので大丈夫かなと思いましたが、明子としてミハエルさんとの熱い愛を演じられたらと思っています。女性役はやはりまだまだ慣れていなくて、稽古場で錦織さんに沢山注意されています(笑)。宝塚を退団してから有り難いことに、色々なジャンルのお仕事をさせていただいていて、作品ごとに周りのキャストの方々も違えば私の役も違いますので、その変化を毎回新鮮に楽しませていただいています。
いつもでしたら短いと1週間、長くても1ヶ月公演でしたが、今回はロングラン公演です。長期公演で同じ役を同じメンバーでさせていただくということは、現状に満足せず、繰り返す中で、私自身も成長していくことが課題だと思っています。そしてこの作品をより素晴らしいものにすることが、故郷・愛媛の皆さまに恩返しすることだと思っています。
宝塚ファンの方々にも、ぜひ観にきていただければ嬉しいです。近くに道後温泉もありますので、温泉のついででもかまいませんので(笑)、ぜひ坊っちゃん劇場へ足をお運びください。

〈公演情報〉
坊っちゃん劇場第13作「第九」アジア初演100周年記念作品
ミュージカル『よろこびのうた』
脚本◇羽原大介
演出◇錦織一清
音楽監督・作曲◇岸田敏志
出演◇四宮貴久、帆風成海、小林遼介、村上幸央、中村元紀、梶 雅人、渡辺輝世美、瀧田和彦、長本批呂士、脇山尚美、小野佑子、松尾奈実、佐藤朱莉 
●2018年1月27日〜2019年1月◎坊っちゃん劇場
●2018年10月18日〜21日◎徳島公演・あわぎんホール徳島県郷土文化会館
●2018年11月28日・29日◎東京公演・ティアラこうとう




【取材・文・撮影/榊原和子】


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