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早霧せいな剣心再び見参!浪漫活劇『るろうに剣心』和の殿堂新橋演舞場で上演中!

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2016年早霧せいなトップスター時代の宝塚歌劇団雪組で上演され、大きな話題を独占した浪漫活劇『るろうに剣心』が、宝塚退団後の早霧せいなを再び主演の緋村剣心役に迎えて、男女の俳優たちの共演により新橋演舞場で上演中だ(11月7日まで。のち、11月15日〜24日大阪松竹座でも上演)。

浪漫活劇『るろうに剣心』は、シリーズ累計6000万部という想像を絶する人気を誇る和月伸宏の大河漫画「るろうに剣心〜明治剣客浪漫譚〜」(集英社ジャンプコミックス刊)を原作に、小池修一郎が宝塚バージョンとして初舞台化を果たした作品。すでにテレビアニメ化、実写映画化と多彩なメディアミックスが繰り広げられていたが、生身の人間が客席と一体となる劇場空間で人気キャラクターを演じる醍醐味が、宝塚ファン、原作ファンのみならず、更に大きなうねりを巻き起こし、早霧せいなの緋村剣心をはじめとした雪組スターたちの見事なキャラクター再現率と、宝塚版だけに新登場した加納惣三郎が繰り広げる浪漫活劇として、熱狂を呼ぶ舞台となった。
そんな作品が、新たに男女が演じる一般公演として蘇る、しかも宝塚歌劇団を卒業し、表現者としての一歩を踏み出していた早霧せいなが、男優たちも集う舞台で再び男性役である緋村剣心を演じるという、驚きと興奮に満ちた企画は、発表されるや否や大きな注目を集め、和の殿堂新橋演舞場に新しい風を吹かせている。

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【STORY】
動乱の幕末に伝説の人斬り抜刀斎として恐れられ、明治維新後は「不殺」を誓い、あてのない旅を続ける流浪人・緋村剣心(早霧せいな)。ある日剣心は、東京に「神谷活心流・緋村抜刀斎」を名乗る辻斬りが横行していることを知り、流儀を汚されたとして、抜刀斎を追う神谷活心流の師範代神谷薫(上白石萌歌)に出会う。共に名を騙られた2人は協力してことを納め、それをきっかけに剣心は神谷道場に居候をすることに。そこで、新時代に様々な想いを抱えながら生き抜く人々とふれあい、仲間を得、また薫の存在にも我知らず心の傷を癒されてゆく剣心。だが、そんな出会いの中に、かつて幕末の京都で対峙した因縁の相手である、元新撰組隊士・加納惣三郎(松岡充)がいたことから、事態は大きく動きはじめ……。

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女性が舞台で「男役」として理想の男性像を描き、この世にはいない夢の具現化であるその「男役」に客席から夢を仮託する。宝塚歌劇の世界は本来、そんな舞台と客席がある種の共犯関係になっているからこそ成立する幻想空間として、104年もの歴史を紡いできた。だから宝塚歌劇団という夢の園を去る時には、スターたちは男役ではなくなり、そのスターがその後芸能活動をするしないに関わらず、男役として演じた理想の男性たちは、記憶の中だけに留められる幻になる。それが長きに渡って当然のことと考えられてきた、ある意味の約束事だった。

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もちろん、せっかく長い年月をかけて築き上げてきた男役芸が、宝塚歌劇団を離れた刹那無に帰ることを惜しむ声もあったし、実際に劇団での当たり役に外部の舞台でもう1度挑んだスターがいなかった訳ではない。けれどもそれらの多くは宝塚OGが集っての公演や、極小規模の公演に限られ、演劇界がそうした公演を見つめる眼差しも、決して温かいものだけではなかったのが現実だ。
だが、早霧せいなが再び宝塚歌劇団の男役トップスター時代に演じた、緋村剣心を新橋演舞場と大阪松竹座で演じるという、この浪漫活劇『るろうに剣心』の企画には、そうしたこれまでの試みを遥かに超えた、興行としてのスケールがあった。誰もが驚いた企画ではあったが、そこに宝塚を退団していながら、また男性を演じるの?といったシニカルな目線が注がれることが、さほど多くなかったのは、ある意味更に大きな驚きと言えた。
実際、それほど時代は変わっていたのだ。ひとつには宝塚歌劇団が100周年の祝祭を超え、最早日本の伝統芸能、ひとつのコンテンツとして認められていたこと。もうひとつには、世に「2.5次元」と呼ばれる舞台が隆盛を極め、男役もかくやとばかりの汗臭さのない美しい男子が溢れかえり、男優と男役の差異を日に日に縮めていたこと。これらが、こうした新たな挑戦をキワモノとしてではなく、きちんとした作品として提示できる土壌を生んでいた。そのことがハッキリ証明されたのが、この舞台の最も大きな功績で、それほど早霧せいなの緋村剣心には、激動の時代に翻弄され、価値観のすべてが覆された1人の人間が、それ故に到達した「不殺の誓い」を胸に、己の信念に従って生きていく姿が決して重くならず飄々と表現されていた。もちろん剣心というキャラクターそのものに「小柄」という設定があったことや、作品自体に漫画原作ものならではのファンタジー性があったことなど、このチャレンジを後押しした様々な要素が噛み合っての舞台であることも確かだが、あくまでも男優、女優という括りを超えて、1人の俳優が演じる緋村剣心がそこにいる、しかもより進化して舞台に生きているという感覚が芽生えたのは、新しい可能性の扉を開いたものに他ならなかった。
更に基本的には宝塚バージョンに準拠した展開の中で、こちらは男優陣が演じるからこそのパワーとスピード感を増した殺陣が、場面も増え尺も長くなって大きな迫力を生む力になっているし、舞台機構を縦横無尽に使うことにかけては、他の追随を許さない小池修一郎の演出が、新橋演舞場の花道や、思いもかけない空間の使い方などを駆使した舞台には、高揚感が満ちている。

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その中で、激動の時代に受けた傷に固執し、謂わば時代への復讐を果たすという妄執に執り付かれている、つまり剣心の対照として描かれる、小池版『るろうに剣心』オリジナルキャラクター加納惣三郎に扮した松岡充が、禍々しさを内に秘めた存在感で、役柄を効果的に見せている。特に冒頭に登場する新選組隊士時代の扮装が非常によく似合っていて、これは予想外の喜びだった。

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神谷薫の上白石萌歌は、やはり剣心が早霧なだけに宝塚版薫役の咲妃みゆの面影が強く残る中で、溌剌とした薫像をきちんと見せていて、湿度の高くないカラッとした明るさが、上白石の薫の魅力を振りまき、こちらも上々の仕上がりを見せている。
 
更に、日本の男優がこんなにも揃いに揃って美しくなったからこそ、こうした企画が成立するのだなぁ、とつくづく思わせる男優たちでは、斎藤一の廣瀬友祐が難しい髪型も楽々とこなし、幕府に殉じて散ることができなかった新選組隊士の数少ない生き残りとして、世の中を醒めた目で見つつ、己の哲学にのっとって生きている男を巧みに表現している。

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同じく華々しく闘いで果てることができなかった御庭番衆・四乃森蒼紫の三浦涼介は、本人自体に非現実感がある独特の個性で、蒼紫のその名の通り蒼く静かに燃えている胸の炎を見事に体現している。もう一役の桂小五郎での出番も充実しているし、何より『1789〜バスティーユの恋人たち〜』を経て、歌唱力が一段と伸びていることを感じさせて頼もしい。あっ!と声をあげること間違いなしの、蒼紫の登場シーンにも是非注目して欲しい。

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悪役であるだけでなく、人間的に小物でもあるという、二枚目俳優が演じるには難しい役柄の武田観柳の上山竜治が、思い切りのよい突き抜けたキャラクター造形を見せたのも役者魂を感じさせるし、相良左之助の植原卓也は、この役柄にはやや繊細な二枚目すぎるか?と思わせた持ち味を、闊達さを前面に出した演技で役柄に近づけた見事さが目を引く。緋村抜刀斎(剣心の影)の松岡広大の身体能力の高さから繰り出される、鮮やかな殺陣の数々にも見惚れるばかり。明神弥彦を本物の少年が演じるのも外部版ならではの見どころで、加藤憲史郎、大河原爽介、川口調が少年が張る意地を健気に見せている。

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また、早霧だけでなく宝塚OGが大活躍しているのもこの舞台の話題で、高荷恵に扮した愛原実花が、基本的に妖しくミステリアスな役柄の中に、芯の強さと純粋なものを秘めて、確かな芝居心を披露している。宝塚時代から定評のある歌唱力を随所で発揮した朱音太夫の彩花まり、キュートな魅力が全開の田村芽実と共に、コンビのような形で愛らしさを振りまいた五条まりなも活躍。中でも、出番が1幕終盤の山県友子を演じた月影瞳が、アンサンブルメンバーに混じって非常に意外性のある役柄を大胆に演じているのに、上山同様役者魂を感じさせた。
他に、ミュージカル界のベテラン宮川浩をはじめ、遠山裕介、松井工がガッチリと脇を固め、宝塚で初演された海外ミュージカルだけでなく、宝塚歌劇団のオリジナル作品が、外部作品としても通用することを示したものとして、早霧せいなを擁したこの新たな『るろうに剣心』が記憶に残るに違いない舞台となっている。

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【囲み取材】

初日を控えた10月11日囲み取材が行われ、早霧せいな、松岡充、上白石萌歌、演出の小池修一郎が記者の質問に答えて公演への抱負を語った。

──和の殿堂新橋演舞場でいよいよ『るろうに剣心』の幕が開くということで、皆様からまず今の心境を。
早霧 お稽古がはじまってからの約1ヶ月ちょっとの期間があまりに過酷で長かったので、やっとお客様の前で初日が迎えられるという、ある意味の緊張感と高揚感に包まれております。
松岡 同じです!(笑)、いや、本当に丁寧に丁寧に稽古場で創り上げてきたものを、ようやくこの新橋演舞場さんに持ち込んで、実際に舞台に立っていると違った景色が見えてくるので、本当に今の今まで最終調整を詰めているという。ですから早く完成形を作りたいのでドキドキしています。
上白石 お稽古を重ねてきてやっとこの晴れやかな舞台に皆さんと一緒に立たせて頂けることに、とてもドキドキしていますし、お稽古場とは全く違う感覚で皆さんと一緒に世界を創っていけているのを感じます。
小池 宝塚でやったものですし、基本的に一緒なのですが、男性たちと共にやる早霧剣心は確かに大変だったと思います。でもそれを完成させる素晴らしい一瞬の動きと、本人の前で言うのもなんですが、芝居がすごく上手くなったと思ったので、より濃く深いものをお見せで
──新しい殺陣が注目と言うことですが。
早霧 宝塚版よりも圧倒的に場面数としても分数としても殺陣の時間が長くなっていることは確かなので、宝塚版を観てくださっている方にもいない方にも、殺陣自体の迫力は十二分に伝わるのではないかと思っています。やはり私としては女性同士で立ち回りをしていた時とは違うスピード感と、パワーと言いますかが、圧倒的に違うということを至近距離で感じているので、そこは元男役としての誇りを賭けて戦いに挑むという形でやっております。
松岡 殺陣は本当に早霧さんが素晴らしくて、宙に浮いているんじゃないかというぐらいで。僕たちも殺陣のお稽古に入る前の段階の所作、刀を持つ武士としての気構えからやってきました。もちろん色々なタイプの殺陣があると思うのですが、伝統にのっとった殺陣をやろう!本物をやろう!というところから創造していますので、その辺りを注目して観て頂きたいと思います。
上白石 私は雪組公演を拝見していて、どちらとも知っているという状態で、今回の立ち居振る舞いや殺陣をお稽古場からずっと見てきました。女性にこそ出せる輝かしさもありますけれども、やはり男性がいることで、声量とか圧とか、何もかもがよりパワーアップしたものになっているのではないかと思います。男性陣皆さん素敵ですが、私は早霧さんの剣心しか見えていません。
松岡 ちょっと、ちょっとは見てるでしょう?(早霧が上白石に向ける松岡の視線を遮るので、会場爆笑)

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──ここが見どころだ!というところは?
早霧 (松岡に)どこですか?
松岡 殺陣もそうですし、ストーリー、お芝居というところで(小池)先生が本当に一切の妥協はなく、台詞回しひとつから、ただそこにいて台詞を言えば良いのではなく、心をちゃんと動かして、その心の動きに殺陣もアクションも華やかさも全部がついてくるということをみっちりとやりました。あとは究極の「2.5次元」なのではないかと思います。宝塚でトップを張って、卒業されてもう一度この作品に臨む早霧さんと、僕も90年代ビジュアル系の代表として、そういう意味では「2.5次元」の魅力は全力で目指したいと思います。
早霧 目がいくつあっても足りないぐらい見どころ満載なので、本当に舞台上くまなく色々な場所で様々なキャラクターが違う動きをしているところがとても多いです。ですからこれは1度だけの観劇では絶対に物足りない!と感じて頂けると思うので、次はこの場面のここが観たい!という気持ちを持って、お客様がきっと数回劇場に足を運んで頂ける公演になっていると思います。見どころ満載です!
上白石 1秒たりとも目が離せないあっという間の展開ですし、殺陣だったり、登場人物1人1人の心情や動きがとても繊細に、かつダイナミックに描かれているので、是非瞬きをなるべくせずに観て頂きたいなと。あとは新橋演舞場ならではの花道があって、お客様の傍を颯爽と走るなど、演舞場でしか感じて頂けない迫力があると思うので、是非風を感じて頂きたいです。

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──小池先生、花道の使い方にはどんな工夫を?
小池 歌舞伎のような使い方まではしきれていないのですが、でも色々な使い方をしていますし、おそらく「おっ!」と思って頂けるところもあるかな?と思います。
松岡 もうすべて使い切っていますよね!
小池 そうですね。ケレンとこの劇場の設備は使わせて頂いていますね。
──2018年版ならではのアピールポイントは?
小池 早霧せいなの剣心を中心に面白い個性がいっぱい集まっています。立ち回りもそうですが、別の空気と言いますか、風が起きるのではないかと思っています。そこが1番面白いところではないでしょうか。

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──では、最後に一言ずつメッセージをお願いします。
小池 今申しましたように、早霧せいなの剣心に対して松岡さん、上白石さん、皆さんが面白い個性で、今も尚細胞分裂を繰り返しているような、活性化された人たちが立ち回りを含めてすごいエネルギーを創っています。幕が開いていくとまたひとつ新たなハーモニーを生み出していくと思いますので、わたし自身もこれからどう舞台が進化していくかを楽しみにしています。
上白石 今日はたくさんお集まりいただきありがとうございました。いよいよ初日を迎えて今とても晴れやかな気持ちでいます。早霧せいなさんをはじめ私にとってたくさんの、尊敬する皆さんの背中を必死に追って、公演中もずっと進化していけたらと思っているので、皆様是非劇場に足を運んで頂けたら嬉しいです。よろしくお願いします。
松岡 とても楽しくてドキドキして、更に優雅に過ごせる1日を、この『るろうに剣心』を観劇して頂ける皆様には提供できるのではないかと自信を持っております。ご来場お待ちしております。
早霧 私自身は剣心役は二回目となるのですが、皆さんとの一期一会の出会いを大切にして、本当に新鮮な気持ちで1回1回を全身全霊で務めて参りたいと思いますのて、どうか千秋楽まで温かく見守って頂けたら嬉しいです。ありがとうございました。

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〈公演情報〉
浪漫活劇『るろうに剣心』
原作◇和月伸宏「るろうに剣心〜明治剣客浪漫譚〜」(集英社ジャンプコミックス刊)
脚本・演出◇小池修一郎
出演◇早霧せいな、松岡充、上白石萌歌、廣瀬友祐、三浦涼介、上山竜治、植原卓也、愛原実花、松岡広大 ほか
●10/11〜11/7◎東京・新橋演舞場
〈料金〉一等席1,3000円、二等A席8,500円、二等B席6,500円、三階A席5.000円、三階B席3,500円、桟敷席14,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉梅田芸術劇場 0570-077-039(10時〜18時)
●11/15〜24◎大阪・大阪松竹座
〈料金〉一等席(1.2階)13,000円 二等席(3階)8,500円(全席指定・税込み)
〈お問い合わせ〉梅田芸術劇場 06-6377-3800(10時〜18時)
公式サイト https://ruroken-stage.com/



【取材・文・撮影/橘涼香】




舞台『刀使ノ巫女』


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東山義久と海宝直人がWキャストで演じるトップデザイナーの人生。ミュージカル『イヴ・サンローラン』来年2月・3月上演!

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東山義久 海宝直人

ミュージカル『イヴ・サンローラン』の上演が決定した。来年2月15日から3月3日に東京・よみうり大手町ホール、3月26日に兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールで上演される。

イヴ・サンローランは、約40年に渡りトップデザイナーとしてファッション業界をリードし、貴族や女優等にも多大な影響を及ぼした20世紀を代表する世界的デザイナー。そのイヴ・サンローランの切なくも美しい人生を、ファンタジックに、そしてドラマチックに描きだす。

作・演出を担当するのは、 文化庁芸術祭演劇部門優秀賞も受賞、現在もミュージカルだけでなくストレートプレイやショー等の演出も手がけ高い評価を得ている荻田浩一。主演のイヴ・サンローランには、 類い稀なる身体能力で魅了する東山義久と、 圧倒的な歌唱力で人気の海宝直人がダブルキャストで演じる。 
このほか出演者には上原理生、大山真志、川原一馬、神田恭兵、奥田 努、和田泰右といった若手注目株の男性俳優陣と、伊東弘美、皆本麻帆、安寿ミラら女優陣が出演する。

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 伊東弘美、皆本麻帆、安寿ミラ

〈公演情報〉
ミュージカル『イヴ・サンローラン』
作・演出◇荻田浩一
音楽◇斉藤恒芳
衣裳◇朝月真次郎
出演◇東山義久/海宝直人(Wキャスト)
伊東弘美 皆本麻帆
上原理生 大山真志 川原一馬 神田恭兵 奥田努 和田泰右
青木謙 RIHITO 中塚皓平 橋田 康 小野沢蛍 中岡あゆみ
安寿ミラ
●2019/2/15〜3/3◎よみうり大手町ホール
●2019/3/26◎兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
〈一般販売開始〉東京:12月15日/兵庫:12月9日 
〈公式サイト〉https://www.yume-monsho.com/






舞台『刀使ノ巫女』


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ミュージカル『深夜食堂』に集う個性的な人々を演じる!  壮一帆、愛加あゆ、藤重政孝、田村良太 座談会

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国境を超えて世界中で愛され、第39回日本漫画家協会賞大賞を受賞した安倍夜郎の『深夜食堂』。ドラマ、映画も大ヒットを記録したこの人気作品がミュージカルとなって、新宿シアターサンモールで10月26日にいよいよ開幕する(11月11日まで)。

脚本は第2回「韓国ミュージカル・アワーズ」で脚本賞を受賞したジョン・ヨンが担当。作曲は、日本でも話題となった『キム・ジョンウク探し( 『Finding Mr.DESTINY)』『オー!あなたが眠っている間に』など韓国ヒット作の常連となっているキム・ヘソンが担当。演出は煌びやかさと人間模様の細やかさを描き分ける荻田浩一が手がけている。 
 
深夜0時、看板もないその食堂は静かに店を開ける。メニューは豚汁定食だけだが、勝手に注文すれば出来るものは出してくれる。タネも仕掛けもないそんなマスターの素朴な料理を求めて、「めしや(深夜食堂)」に訪れる常連客たちを演じる壮一帆、愛加あゆ、藤重政孝、田村良太が、それぞれの役柄のこと、作品に感じる魅力などを、和気藹々と語り合ってくれた。

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藤重政孝 田村良太 愛加あゆ 壮一帆 

個性豊かな『深夜食堂』の
常連客たち

──絶賛お稽古中!という皆様ですが、まずそれぞれの役どころをお話しいただけますか?
 じゃあ、はい(藤重にどうぞと促す)。
藤重 いえいえ、((田村に)まず、先輩お願いします。
田村 何で先輩なんすか!(笑)僕は『深夜食堂』の常連客で、小寿々というゲイバーのママなんですけど。原作では初老の方で一番年上です。マスターとも色々話しますし、(藤重演じる)忠という、やはり常連客とも仲が良いというか何というか(笑)。
 一見仲が悪そうなんだけど。
田村 憎まれ口を叩き合うような、同じ常連としてきっと嫌いではないんだろうなという感じなんですけど。原作の設定が40代後半で、漫画や、映画、ドラマではもっと上の年代に描かれていて。ゲイ役はやった事があるんですけど、初老の役は初めてで、そこが今一番苦戦をしているところです。オギーさん(荻田浩一)の指導の下、どうやって年上の落ち着きを出すかを色々考えていて。例えば、声帯を閉じて喋ると、やっぱりそれは「若さの象徴」になる。訓練を積んだ喉みたいになってしまうので、声帯をあまり締めないように、息を多めにして話したりしています。
 ええっ?凄い!
田村 いえいえ(笑)。そういうところからアプローチしたらどうかということで、話すテンポを緩めて間(ま)を多くとったり、ひと言で文章を言い切らないで途中で切って喋る等で、年齢を演出しようかと。
藤重 考えてるねえ。
田村 いや、考えたの俺じゃないんですよ、オギーさんの指導です(笑)。ただ抜け道もあって、ゲイバーを28年間やってるんですけど、途中から受け持ったという事にもできますし、色々模索しながらやっている最中です。小寿々という役は、初老という設定ですが、メンタル的には高校生みたいにピュアなところがあったりして、特に恋愛面はそうで、そこには過去のトラウマみたいなものも入ってきているので、結構深みのある役ですから、自分では楽しんでやっています。
 (小寿々は)この作品のヒロインだよね。
愛加 そう思います。
田村 あー、そう言われればヒロインかも知れないですね。初老のゲイバーのママがヒロイン。
藤重 一番女性っぽい気がする。
田村 そうですね、それは確かに。
 唯一純粋な恋愛をしてますもん。(藤重に)しげさん、最後がいいですか?
田村 凄くもったいぶりますね(笑)。
藤重 もったいぶってない!ただ、みんな凄く色々考えてるんだなってひしひしと伝わったから。俺は今考えてます!(笑)
 (愛加を示して)じゃあ私たちは二人セットで(笑)。
藤重 えっ?セットってあり!?(笑)
愛加 セットです(笑)。
 「お茶漬けシスターズ」の梅と。
愛加 明太子と申します。
 もう一人、谷口ゆうなちゃんの鮭がいて、三人でいつも一緒に『深夜食堂』に来てお茶漬けを注文するんですが、お茶漬けを頼むことは一緒でも、それぞれに好みの具が違うのと同じように、理想の男性を待っているという共通点はありながらも、三人それぞれ性格も恋愛観も全く違います。私は一番ファンタジックな、理想の男性を求めている、夢見る夢子ちゃんで。
愛加 私が一番現実主義と言いつつ、でも実は凄く理想が高い、ちょっと厄介なところのある女性ですね(笑)。でもいつもワイワイしながら、マスターになんやかや言いながら、友情を確かめ合っているような仲です。
──そうすると「お茶漬けシスターズ」が登場すると賑やかに。
愛加 そうですね、かなり賑やかナンバーが多いと思います。
──宝塚ではトップコンビだったお二人が、こうして並んでいるだけで嬉しいというところもあるのですが。
藤重 そうですよね、絶対!
 あ、でもそう思って見ると、ビックリしますよ。「え、そんなことしちゃうの?」っていう(笑)。
──女優同士としての共演は、すでに『マリーゴールド』でも初披露されていますが。
 それともまた、180度違うんです。
愛加 真逆ですよね!(藤重に)じゃ、お願いします。
藤重 えっと、では満を持して(笑)。忠という役を今回やらせて頂いているんですが、個人的に言うと、僕は特にドラマのイメージが強く残っていて、現在ものすごく悩んでいます。だからそのイメージを払拭する為にも、今は既存の作品から距離を置いて、俺の忠を追求している最中で。
 俺の忠(笑)。
藤重 そう(笑)。いつもは役柄と自分にどこかしら繋がる部分があって、そこから出来上がっていくのですが、今回自分と忠がとても遠いところにいるので。日々かなり葛藤していますね、探しているというか。ただ、もう今回は、共演者の皆さんが非常に舞台の経験豊かな方々なので、ある意味そこにお任せして、この関係性の中での忠を見つけていければいいのかなと。この人たちの間で忠という人物はどう育って、どう人間として生きていっているんだろうという作り方を今していて、探り探りの稽古ですね。それがいつもとは違った形です。

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必ず何か口ずさんで帰れる
魅力的なメロディーばかり

──舞台全体の中での立ち位置を考えているんですね?
藤重 もちろん普段も考えていないわけではないですけど(笑)、今回は特にそうですね。忠は本当に、完全なるマザコン野郎、マザコンを恥ずかしいと思っていないマザコンなので、そこは究極の愛だなと思っていて。所詮、男なんて女性から生まれてきたものなので、やっぱり母親には勝てない。その大きな愛を見せれたらね、(愛加に)お母さん。
愛加 お母さんをさせて頂きます。
藤重 そうなんですよ。だから、絶対現場では(愛加に)逆らえない(笑)。愛加さんより先に、稽古場に入っていないといけない。
 あ〜、だからいつも早いんだ(笑)。でも、宣伝用の動画を録った時、忠さん滅茶苦茶ハマってらっしゃいましたよ!本当に、失礼ながら最初はスタッフさんかと思った(笑)。
愛加 あの衣裳の着こなし方がハンパではなかったですよね(笑)。みんなでザワザワしました!
田村 凄かったですね。
 どこからどう見ても忠さんだった。
藤重 あそこで完成してた?(笑)
愛加 ハマりすぎていて驚きました(笑)。私服で稽古場にいらしたら「素敵!俳優の藤重さんだ!」ってなるのに(笑)。
藤重 あの日オギーさんに「今回悩んでいて」という話をしてたのに!
一同 ええ〜!?
藤重 衣裳って凄いですね(笑)。でも本当に、日々勉強させてもらっています。皆さんが盗めるところをたくさん持っていらっしゃるので、ちょいちょい盗んでますね。
──様々にメディアミックスが展開されている作品ですが、今回、ミュージカルならではの面白さはどう感じますか?
藤重 それは、田村くんが一番話せるでしょう!
田村 とりあえず先に喋らせようと思っていませんか?(笑)『深夜食堂』はもちろんストレート・プレイでやっても素敵になる作品だとは思うんですが、その場合どうしてもドラマや映画にも近くなる面があるかなと。折角『深夜食堂』を生のステージにあげて、華をプラスしたり、勢いやエネルギーをプラスした時に、一番良い形がミュージカルじゃないかなと自分は思っています。役柄に合わせた曲もあって、ミュージカルになることによって、より役の個性が引き立っているなと。もっと込み入った深い話は先輩方から(笑)。
藤重 いや、でも、おっしゃる通りですね。
田村 もうちょっと何かないんですか?(笑)
 (笑)私はこの間荻田さんとお話ししたんですけど、今回、それぞれの分野で活躍されている方々が、この『深夜食堂』のカンパニーに集結してるんですよ。それがリアルな居酒屋に集まるいわくつきの人々に繋がるんじゃないかなって。だから、最初に筧さんが豚汁を作るところから始まりますが、まさに私達はあの豚汁の「具」なんだなと思って。
愛加 豚汁の具ですか!
田村 凄いね。
 ちょっと上手い事言ってみるとね(笑)。で、この作品は韓国でミュージカル化されたものですから、日本と韓国の国民性の違いみたいなものはどうしてもあるので、今は私たち日本人の役者が、そこをどう滑らかにしていくかという作業をしています。やっぱり、何かしらのテンションというか、気持ちの膨らみがあってそれが歌になるのがミュージカルの醍醐味だと思うんですが、ミュージカル慣れしている私達が、違和感なくやってしまうことでも、例えば芝居一本でやっていらっしゃる方からすれば「何でここで歌う?ここで踊る?」と、ひっかかることがあるかも知れない。そいう異なる感覚を、リアルな居酒屋の店内のような、異種格闘技的な顔ぶれの中で、融合させられたら更に面白い事になるんじゃないかなと思っています。

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愛加 そうですね!あとはシンプルにとても楽しい曲がいっぱいあるんです。色々な食べ物の要素を音楽で表現した曲とか、しっとりした曲、パワフルな曲。それを聞いているだけでも、お客様に楽しんで頂けるのではないかなと。
 メロディーラインが、ちょっと日本の歌謡曲に似てるよね。
藤重 そうそう、濃い。 
──耳馴染みが良いのですね?
 絶対、何かしら口ずさんでお帰りいただけると思います。
藤重 例えば筧さんがここでずっと練習してるじゃないですか。で、その後、自分のナンバーの練習だとしても、筧さんのメロディーが入っちゃっていたり!凄く入ってくる曲なんで。
愛加 あ〜、わかります!
藤重 「あれ、何だっけ俺の曲?」とかそういう感じなんで(笑)、スッと入ってきやすい曲ばかりですね。本当に色々なジャンルの色々なリズムがあって、面白いナンバーが揃っています。
田村 それぞれのキャラにピッタリですよね。

笑いのツボ満載の 
もうひとつの「荻田ワールド」

──先ほどからお話にも出ていますが、今回荻田浩一さんの演出ということで、所謂「荻田ワールド」と呼ばれる、ちょっと耽美だったり、ダークでゴシックな世界観のイメージが強い方ですが、今回の荻田演出はいかがですか?
 (男性陣に)お二人は荻田さんとは?
藤重 僕は初めてです。
田村 僕もです。
藤重 初めてなんですが、僕には凄くわかりやすいです。
愛加 私も壮さんも何度もご一緒させて頂いていますが、荻田さんの作り方って、振付をする前に、役者の心情を確認しながら、まず動線などがギクシャクしないように作ってから振付の方にお渡しするので、演出と振付に齟齬がないんです。だから私達も「ちょっと動きにくいな」ということがなくて。
 円滑ですね。
愛加 それが毎回、荻田さんの作り方でわかりやすいですよね。
藤重 そう、わかりやすい。「何でこっちに俺行くんだっけ?」みたいな感じになると、台詞が出なかったりするんですけど、動きと役の心理があっているから。
──荻田さんはバレエ等にもとても造詣が深いですね。
藤重 なんか目で踊ってない?いつも。曲になると目が急に変わる。
 絶対にお好きですから!
田村 芝居を見ながら、指揮してることもありますよね?
愛加 あります、あります!
 あとは、先ほどおっしゃったように、摩訶不思議でダークな、ドロドロの世界観を表現される事が多いんですけど、私はそうじゃない荻田さんも好きで。意外と、と言ったらなんですけど(笑)面白いんです。笑いのツボが関西出身者らしいの。そっちの荻田さんも凄く好きです。
──では今回の作品ではその方向性が。
 遺憾なく発揮されています!
田村 僕は凄く繊細だなという印象を受けました。相手の感情とか、役者のやりたいことに対しても演出の方向性が繊細です。特に小寿々役は繊細なシーンが多いんですけど、そういうところに関しても、細やかで強引に引っ張っていくことはしません。例えば、感情が乗らなかったら音楽を伸ばしたりなどのやり方も考えてくれて。だから結構、明るくてドタバタしてるシーンも多いんですけど、お客様がグサッと胸にくるようなシーンも、いくつもある作品になると思います。
 
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「見せ方」と「自然体」、
良いところを盗み合う

──今お稽古を進められているなかで、お互いに感じている魅力を教えてください。
 しげさんも田村君も、とにかく声が素敵で!
田村 ありがとうございます、照れるけど。
愛加 そうですね、本当に素晴らしいですよね。
藤重 俺、二人が喧嘩してるところ大好きだな。女同士の喧嘩なんですけど(笑)。
田村 自分は、宝塚時代のお二人を知らないんですけど、この現場にいると「あ、宝塚の方だ」っていう印象が全くないです。普通の女優さんに見えます。
 私達は宝塚OGの中で、そういう意味では割と稀有な存在で(笑)。「宝塚っぽくない」ってよく言われるんです。
愛加 はい(笑)。
田村 そうなんですね! お茶漬けシスターズ以外の役も面白いですよね。
愛加 壮さんのもう一つの役、凄く面白いし、周りに従えている方も面白いし、曲ももちろん素敵ですし、グッとくる場面ですね。
 私はね、卵焼きとウィンナーの歌を真剣に歌いながら、一生懸命に踊ってる男子4人組が大好きで!慣れていない事に挑戦していらっしゃるから、大変そうではあるんですけど、その必死さが逆に胸を打つ!
愛加 私もあそこ大好きです!もう、可愛い。みんな可愛い(笑)。
藤重 ええと説明させてもらいますと(笑)、舞台の導入部なんですね。
壮 とても大切な!
藤重 そう、大切なところなので、男子4人責任をひしひしと感じながら、変な汗をかいてる(笑)。
 あそこは、逆にこなれないでほしい。
田村 いやでも、あれはこなれないでしょう(笑)。
藤重 たどたどしい感じを残したいですね。
田村 ちょっとお酒が入った、くらいの感じで。
藤重 急にバッキバキに踊ってたらちょっとね。
田村 まだ芝居じゃないし、踊りじゃないしね。
藤重 でも、そうやってると「ちゃんと踊ってください」って言われそうな気がする(爆笑)。
田村 ギリギリを攻めたいですね。あと、忠さん役は、ちゃらんぽらんだし、酒も飲んで、本当にどうしようもない男なんですけど、でも後半に、物凄く胸を打つシーン、「急にどうした」みたいな事がありまして。そこでしげさんの人生経験みたいなものが忠に重なると言いますか、滲み出ている部分が結構くるんですよ。
愛加 私、あそこお母さん役でずっと寝てるんですけど、上着を掛けてくれるシーンがあって。あれは荻田さんの指定ですか?
藤重 いや、なんかこうね。
 あそこは見ていてドキッとする。
愛加 私も良い息子持ったよ!みたいな(笑)、息子からの愛情をね。寝てるだけなんですけど母は感じてるんですよ。
藤重 そんな事を感じてるんだ!
愛加 そうなんです。
 私はすべてを絵にする為に計算しながら動く癖がついているんですけど、しげさんのお芝居は、その上着をかけるにしても、座る、お酒を飲む、注ぐ、などのタイミングにしても、物凄くなめらかにやってらっしゃるので注視しちゃいますね。どうしても、大きくわかりやすく動いてしまう私にとって、普段のしぐさをこういう空間で何気なくやるというのが、今一番のヒットする項目で、いかに自然に見せるかというのを、いつも学んでいます。
藤重 ああ、ええと、今度飲みにお連れしますね(笑)。
 ありがとうございます!
田村 同席します、自分も(笑)。
藤重 いやぁ、でもそんな風に言ってもらえる感じじゃないですよ、本当に、いっぱいいっぱいで。みんなバンバン進んでるんですけど、僕1人だけよく言えばしんがり的な、一番後ろをついていってるイメージですから。
田村 そんなことないですよ!
藤重 田村君とはこの間、役作りでとあるバーに行ったんですけど、全く違和感なくカウンターに入って。
壮 カウンターに?
田村 内側に行ったんですよね。
愛加 内側?
藤重 そう、実際のお店の内側に入ったんですけど、本当に違和感がなくて。ご経験あるんですか?(笑)
田村 ないです、もちろん!苦労してるところです!(爆笑)
藤重 逆に(女性二人の)「見せ方」を、僕は盗ませてもらっています。
田村 ここがポイントというところが、ハッキリわかりますよね。
藤重 「あ、この角度か」みたいなのがあるんですよ。
 それは無意識だと思うのですが、それがダメな時もあるから。
藤重 その辺りは、お互いに良いと思うところを盗み合えればね。ただ、俺が絶対に見るのは、愛加さんの、二人が喧嘩したところの、はけ際の横顔。
愛加 あそこ見られてますか!?
藤重 あれ、俺、ツボで。(壮に)見えないでしょ。振り返った後の顔が良いの!めっちゃ“男”なの。
 ええ〜!?凄いね!「一生懸命やってんだな」っていうのはひしひしと感じてたけど。
愛加 一生懸命です!

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──お二人同士としてはどうですか?今回。
壮 私は『マリー・ゴールド』の時には、脳内でノッキングを起こしたんです。二人で見つめ合って芝居をしてるのに「え?私、スカート穿いてる」っていう。今は一役者同士としてできているので。
愛加 私もそうです。
 ただ、これが最初だったらどうだったろう。
愛加 私は多分それこそ喧嘩の場面とか、躊躇したかも知れないです。ボン!と行けていなかったかも。
 そこは一作品ガッとやり合ったからね。『マリー・ゴールド』でも喧嘩するところがあったし。まぁ、あれはもっとお耽美だったけど(笑)。でも、あれがあるから今回があってね。
愛加 良い流れでしたね。
 ありがたいし、役者同士になれたというか。
愛加 良い先輩です。
──元トップコンビのお二人の共演が続くのもご縁ですね。
 本当にたまたまなんですけど、珍しいかなと。
愛加 はい、そうですね。

人と人とのつながりや
愛の詰まった作品に!

──最後に意気込みを伺う前に、『深夜食堂』にご自身が行ったとしたら、何を頼みますか?
藤重 僕は、豚バラにもやしとニラを入れた炒めものですね。鹿児島の黒豚がいいんですけど。
愛加 そこはこだわりの?
藤重 ですね。僕、それがこの世の終わりの、最後に食べたいものなんですよ。
 へえ〜。
藤重 それぐらい好きなの。「誕生日に何食べたい?」って言われたら、毎年リクエストするくらい。だからマスターに頼んじゃいます。作ってって。
田村 俺は多分、豆腐ですね。
愛加 豆腐!?
壮 温かいの?
藤重 何かける?
田村 できれば、ごま豆腐とか、ジーマーミ豆腐とか。
愛加 あ〜美味しいですよね!
田村 ちょっと変わった豆腐と、日本酒とかでいきたいなと思います。
 私はだいたい深夜に行くお店だったら二軒目とかになるんで、その時はもう飲んでるからお味噌汁。
藤重 ああ、良いですね。何味噌汁ですか?
 あんまり具とかも要らないので、できれば「あおさ」がいいな。
一同 ああ〜!
 あと何か梅干し系のものがあれば。梅水晶とか。サッパリしたものがいいのかな。食事した後に行くなら。
藤重 酒飲みだ!(笑)
田村 確かに(笑)。
愛加 私はお漬物かな。漬物、凄く好きなんですよ。
田村 へぇ〜、意外。
藤重 何の漬物ですか?
愛加 ぬか漬けが好きなんですけど。でも、何でも好きなんです。
 漬物、良いよね。

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──そういう、メニューに無いんだけど言うと出してくれる「めしや」というのが『深夜食堂』のファンタジーというか、素敵なところですね。では改めて公演への意気込みと、楽しみにしているお客様へのメッセージをお願いします。
愛加 本当に色々な場面があって、見た後にお客様が凄くほっこりできるような作品だと思うので、見る前よりも少しでも幸せな気持ちで帰って頂けたらとても嬉しいです。是非そう思って頂けるように、稽古を頑張りますので、何回でも見に来て頂けたら!お待ちしています。
田村 自分は何かやりたいなと思う時、やっぱり、観た人のためになるか、メッセージ性があるか、観てパワーをもらえるか等、そういうところをかなり考える方なのですが、そういうメッセージとか、パワーという点でいっても、かなり良いものができるんじゃないかなと思っていて。本当に色々な人、役柄がいて、みんな葛藤があり、背負っている人生があって、その上でこれからどう生きるかという部分も描かれているんですね。それがお客様の胸に刺さるように、頑張っていきたいです。その為にこの「豚汁の具」である僕達がどれだけいい味を出せるかなっていうのが(笑)。
 それ、私の見解なだけで(笑)、そう決まったわけじゃないから。
田村 それを頂いて(笑)、良い「具」になれるように自分も頑張りたいと思います。
壮 私は今回台本に没頭して読み始めた頃に、ふと思い出した感覚があって。私が本来なぜ色々な人と喋るのが好きなのかという原点になった、十代の頃のある方との出会いがあるのですが、その人の事を思い出したんです。その人との出会いで今の自分があるし、自分の人間性や人生が凄く変わったんです。だから、この作品をご覧になったお客様が、何か一つ、例えば忘れかけていた気持ちですとか、自分の人生に影響を与えた人ですとか、「そういえば」と思い出して、その方の人生がより豊かになるような、そんなきっかけの一つになったら嬉しいなと思います。また今回のカンパニーには、二十代も二人いるんですけど、同年代の人も多くて、そういう人たちがカウンターに並んだ時に、役者人生だったり、その人自身の人生というものが、きっと背中からも滲み出ると思うんです。だからこそ自分もそこに埋没しないように、しっかりと個性なり色なりを出して、しっかり役として存在していけたらいいなと思います。
藤重 結構出てる。
一同 (笑)。
藤重 衣食住の人間の生活を考えるとするならば、「食」って、真っ先にそれを失うと人間の命に関わってくるものだと思うんですね。だから食を通じて人の繋がりを描くというのは、まぁ僕の中ではですけど、命に繋がる重たいテーマだなとの想いがまず入口にあって。僕は凄くシンプルで、実生活では子どもがいるので、仕事を頂けること自体幸せなんですけど、その仕事をやるかやらないかの分かれ道って、自分の子どもに見せて、愛が伝わるか伝わらないかだけなんですね、その役が何であろうと。オカマであろうと、人殺しであろうと、そこに愛があるのかないのか。僕は、この作品にはその愛が詰まっていると思うので、これからそのメッセージ性をもっともっと膨らませて、みんなで作っていきたいです。毎回僕ゲネプロとか子供に観てもらっていて、2歳くらいから来てるんですよ。
一同 へぇ〜!
藤重 でもね、子どもって泣くんですよ、不思議なことに。パパが死んだわけでも何でもないシーンで、泣くんですね。ちゃんと伝わるんです。だからやっぱり、そういう作品に育てていきたいなと。
 あぁ〜、良いなぁ!
愛加 凄く良い話。
田村 素晴らしい。
藤重 とても愛が詰まっている作品になりますので、是非ご期待ください!
 
■プロフィール 
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そうかずほ〇兵庫県出身。96年宝塚歌劇団に入団。12年雪組トップスターに、14年宝塚を退団。16年ミュージカル『エドウィン・ドルードの謎』で本格的に女優活動をスタート。以後、順調にキャリアを重ねている。近年の主な舞台は、『扉の向こう側』『細雪』『魔都夜曲』MUSICAL『WILDe BEAUTY〜オスカー・ワイルド、或いは幸せの王子〜』ミュージカル『アダムス・ファミリー』『戯伝写楽 2018』『GEM CLUB供戞SHOW  STOPPERS!!』『マリー・ゴールド』など。11月末にライブ『SO BAR 供戞2019年『Le Pere 父』『ベルサイユのばら45 〜45年の軌跡、そして未来へ』、への出演が控えている。

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まなかあゆ○富山県出身。05年宝塚歌劇団入団。12年、壮一帆の相手役として雪組トップ娘役に就任。14年宝塚を退団。主な出演作品にミュージカル『ブロードウェイと銃弾』、ミュージカル『王家の紋章』、ミュージカル『マリーゴールド』がある。舞台『嫌われる勇気』や朗読劇『私の頭の中の消しゴム10th』にも出演するなど、ミュージカルにとどまらず活躍の場を広げている。

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ふじしげまさたか〇山口県出身。1994年「愛してるなんて言葉より…」でアーティストデビュー。「激しく激しい情熱」「FOREVER」「rainy night」など数々の楽曲を発表。現在はシンガーソングライターとして、またテレビ、映画、舞台など俳優としても精力的に活動中。主な出演作品に、ドラマ『龍馬伝』『相棒』、映画『彼岸島』『表と裏』、舞台『RENT』『緋色八犬伝』などがある。

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たむらりょうた〇東京都出身。2013年『レ・ミゼラブル』のマリウス役でミュージカルデビュー、2017年まで同役を務める。少人数のミュージカルから大規模なミュージカル作品まで幅広く参加。近年は『魔界王子』などの漫画原作ミュージカルや『TRAMP』、社会派劇団ワンツーワークスの『蠅の王』でストレートプレイ出演など、更に多岐に渡る活動を展開している。またコンサート、ソロ・ライブも精力的に行っている。

〈公演情報〉
AD深夜食堂
 
ミュージカル『深夜食堂』
原作著作◇安倍夜郎「深夜食堂」(小学館)
Book&Lyrics by JEONG, YOUNG 
Music by KIM, HAESUNG
演出◇荻田浩一
日本語上演台本・訳詞◇高橋亜子
出演◇筧利夫 
藤重政孝 田村良太 小林タカ鹿 碓井将大 エリアンナ AMI(アミ) 谷口ゆうな 愛加あゆ 壮 一帆
演奏◇熊谷絵梨(Pf)、相川瞳(Perc.)、中村康彦(Gt.)、中村潤(Vc.)
●10/26〜11/11◎新宿シアターサンモール
〈料金〉8,200円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉info@meshiya-musical.com
〈公式HP〉http://meshiya-musical.com
〈公式ツイッター〉@meshiya_musical



【取材・文/橘涼香 撮影/山崎伸康】

 



舞台『刀使ノ巫女』


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明日海りおのカリスマ性と花組スター陣の百花繚乱が煌めく舞台!宝塚花組公演『MESSAIAH─異聞・天草四郎─』『BEAUTIFUL GARDEN─百花繚乱─』

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明日海りお率いる花組がオリジナル作品二本立てに挑んだ絢爛の舞台、宝塚歌劇花組公演ミュージカル『MESSAIAH─異聞・天草四郎─』ショー・スペクタキュラー『BEAUTIFUL GARDEN─百花繚乱─』が、東京宝塚劇場で上演中だ(14日まで)。

ミュージカル『MESSAIAH─異聞・天草四郎─』は、江戸時代初期に起こった、日本史上最大の一揆「島原の乱」の最高指導者として歴史に名を残す天草四郎の謎多き人生を、新たな視点で描いた原田諒の作品。歴史上の通説とは全く異なる描き方ながら「神とは、信仰とは」という命題に果敢に切り込んだ意欲作になっている。

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【STORY】
寛永十四年(1637年)春、東シナ海。倭寇の頭目夜叉王丸(明日海りお)は、仲間の不動丸(飛龍つかさ)、多聞丸(一之瀬航季)らと共に、南蛮渡来の財宝が眠るという伝承を頼りに、数年振りに日本を目指していた。だがその最中突然の嵐に見舞われ、船は難破。仲間は散り散りになってしまう。
時は移り、明暦二年(1656年)江戸城。南蛮絵師・山田祐庵(柚香光)は、若き将軍・徳川家綱(聖乃あすか)から呼び出され「島原の乱」で一揆軍が立てこもった原城で見つかったという未完成の聖母マリアの絵を見せられ驚愕する。それはかつて祐庵が描ききれなかったマリア像に違いなかった。家綱から「島原の乱」の真実を知りたいと請われた一揆軍唯一の生き残りである祐庵は、自身にとって最も辛い記憶である二十年前の出来事を語りはじめる。
再び時は遡り、寛永十四年。九州天草の地。ここはかつてキリシタン大名・小西行長の領地であったことからキリスト教が広く人々に浸透し、禁教となった現在でも密かに信仰を持ち続ける人々が復活祭の祈りを捧げていた。そこに不審な男が流れ着いたという報せが入り、小西行長の遺臣・渡辺小左衛門(瀬戸かずや)が駆け付ける。果たして男は嵐の海から奇跡的に天草に打ち上げられた夜叉王丸だったが、彼は倭寇の頭目であることは勿論、名さえ名乗のろうとはしなかった。だが、そんな夜叉王丸が禁教を取り締まる幕府の間者等ではなく、いつか自分たちにとって大切な人物となると直感した小左衛門は、妻・福(桜咲彩花)の父・益田甚兵衛(一樹千尋)に夜叉王丸の世話を頼む。快く引き受けた甚兵衛は夜叉王丸に「四番目の子」として「益田四郎時貞」の名を与えて迎え入れる。素性も知れぬ自分を何ひとつ訊かずに受け入れてくれた天草の人々に、夜叉王丸=四郎はかつてない想いを抱くようになる。
そんなある日、四郎はやはり難破した船から生き残って天草にたどり着いた不動丸、多聞丸に再会。この地に眠る財宝を探そう!という二人の話しを、人々の貧しい暮らしを見て来た四郎は一笑に伏すが、対岸の島原と天草の間にある岩ばかりと聞かされていた無人の島・湯島に何かあるに違いないという二人の言葉に動かされ、密かに湯島に渡る。
そこで四郎が見たのは財宝ではなく、数多の聖人画だった。それはリノの洗礼名を持つ南蛮絵師・山田右衛門作(のちの祐庵)が、人目を忍んで人々の信仰の為に描き続けているものだった。ご禁制の聖人画を見られた以上生きて帰す訳にはいかないと、刀を手にして四郎に斬りかかろうとしたリノを止めたのは、聖人画のモデルを務めていた島原の娘・流雨(仙名彩世)だった。流雨の美しさと毅然とした振る舞いに心惹かれながら四郎は湯島を後にする。
だが、流雨が忘れられず数日後再び湯島に渡った四郎は、自らの出世欲の為だけに領民から過酷な年貢を取り立てるばかりか、干ばつで作物が実らず年貢を納められない一家を皆殺しにする等の圧制を強いてきた島原藩主・松倉勝家(鳳月杏)が、民の苦しみを見かねた流雨の兄・松島源之丞(和海しょう)の命を賭した救済嘆願を聞き入れる代わりに、流雨を城にあげよと命じたことを知る。民を人とも思わぬ松倉のもとに行けば、流雨がどんな目に遭わされるか知れたものではない。流雨を守るべく四郎はリノと共に天草に流雨を伴うが、自分を匿えば天草の人々にまで迷惑がかかる、島原の人々が少しでも救われるなら城にあがると、身を挺する覚悟を決めた流雨は島原に戻ろうとする。そこへ宗門改めに藩の侍が駆け付け、踏み絵をためらったリノを庇い自ら踏み絵を踏んで見せた四郎は、懺悔を勧める人々に「死して魂が救われることを待つのではなく、自分たちの手で今この世界に理想の『はらいそ』を創ろう!」と説く。禁じられた信仰にすがりいつか「はらいそ」(天国)に迎え入れられることだけを信じて、艱難辛苦に耐えてきた人々は四郎の姿に希望を見出し、彼こそが「MESSAIAH=救世主」だと信じてついに立ち上がる決意を固め……

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キリスト教に限ったことではないが、死後魂が救われると説くあらゆる宗教には、それぞれの神を信仰し、教えを守り、祈りを捧げる敬虔な人々の、現実世界に降りかかる苦難を、なぜ神は救済できないのか?という根本的な命題を常に隣り合わせにしている。例えば病に臥した期間のことを「神が休養をお与えくださった」と表現するのをしばしば耳にするし、夭折した幼子を「神に深く愛されたが故にあまりにも早く天に召された」と語ることも多い。どんな迫害にあおうとも信仰を貫いた人を殉教者と崇めるのは、その最たるものと言えるかも知れない。
もちろん信じる神、宗教があることがどれほど人の心に安らぎをもたらすかは計り知れないし、宗教が生活に深く根付いた国の人々の行動に畏敬の念を抱き、とても敵わないと思わされることもしばしばある。だがその一方で、何故救われるのは死後の魂だけなのか?と思わざるを得ないほどの苛烈な運命に見舞われる人々が、歴史上も現在も世界に絶えないことを、神、宗教、信仰がどう説くのかにもまた、あまりに重いものがある。

原田諒が描いたミュージカル『MESSAIAH─異聞・天草四郎─』には、この軽々に口にするのが極めて難しい問題に、天草四郎という歴史上確かに実在していたが、その実像はほとんど明らかになっていない人物を擁して、真っ直ぐに切り込んだ鮮やかさがある。弱冠十六歳の少年が島原の乱の総大将であったという事実から、カリスマとして描かれ続けてきた天草四郎には、新約聖書でキリストが為したとされる「奇跡」に準ずる、例えば目の不自由な人の視力を取り戻したにはじまり、果ては大阪夏の陣で散ったと信じられていた豊臣秀頼が、生きて天草に逃れたのちの落し胤だ、までの、ほとんど「源義経=ジンギスカン説」に近い伝承が残っている。それらどう考えても創作であろうと思われるが「事実」として流布されてきた逸話に比して、原田が大胆に提示した天草四郎像に、むしろ説得力があるのに驚かされる。天草四郎は世界を見て来た倭寇の頭目で、弾圧される人々が苦しい暮らしの中で尚よそ者の自分を受け入れ、家族として遇してくれた。その人々の心根の中にこそ神があると感じ、この人々と共に生きている今の世に理想の世界を創ろうと立ち上がる。もちろん倭寇の頭目だった人だから、人心を掌握するリーダーとしての資質も、戦闘能力も持ち合わせている、という流れに無理がない。しかも四郎自身が、キリシタンとしての信仰を持ったのかどうかは、どこにも描かれていない。いないが故に「神とは、信仰とは」という非常にデリケートな部分を迷いなく口にすることができる。この仕掛けは実に巧妙で、「異聞・天草四郎」と、史実に反していますと宣言された、完全な創作の世界の中の天草四郎が、人々に「救世主」と崇められる物語に実存感を与えていた。

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その、原田版・天草四郎に明日海りおが扮したことが、この作品の力感を存分に高めている。元々明日海りおに天草四郎が似合うのではないか?という発想には、天草四郎が十六歳の少年とされていることや、伝えられている装束からの神がかり的な人物像と、透明感とフェアリー的資質を併せ持つ明日海の個性とが合致したことが始まりだったろう。だが前作『ポーの一族』で永遠の少年に扮したばかりの明日海に、続けざまに少年役を演じさせることを、おそらく避けたのではないか?というめぐり合わせが好転して、花組トップスターとして年月を重ねた明日海のカリスマ性が、作品の四郎の骨太な存在感と完全にリンクしたのが活きていた。四郎をメサイアと天草の人々が手を伸ばし取り囲む場面、一揆軍の砦となった原城での死闘、人々の屍が十字架となる大階段。原田の絵創りの上手さと、明日海のトップランナーぶりが、怒涛のように展開する物語に芯を通していて、今更ながらに明日海の充実ぶりが際立つ舞台になっているのが素晴らしい。

流雨の仙名彩世は、四郎との交流は実はかなり少ないが、その中で二人が思いを交わしたことが伝わるのはやはり固定されたトップコンビを敷く宝塚のスターシステムあったればこそ。何より仙名の流雨の表現から、四郎に対する愛が「敬愛」でもあり「崇拝」でもあることが伝わるのが、この作品の中では効果的で、常日頃主演コンビの恋愛要素が薄いことが、宝塚の座付き作者としては課題だと思われる原田の作風が、今回は逆に上手く機能する形になった。

柚香光の山田祐庵=リノは、物語の語り部でもある役どころ。島原の乱一揆軍の唯一の生き残りである、という歴史の事実に役柄が寄りかかっている部分が大きく、流雨への想い、更に四郎との関わりにはどうしてももう一場面欲しい。だが、だからこそ流雨をめぐる四郎との三角関係ではなく、リノのキリシタンとしての深い信仰心と、四郎が説く現世での「はらいそ」の輝きとのせめぎ合いによる苦悩が前に出たことを考えると、この関係性にも得心がいく思いがする。柚香の鋭さのある存在がリノの懊悩をよく現していて、彼の魂が救われる終幕に涙を禁じ得なかった。

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その「神とは、信仰とは」という作品を貫くテーマに沿って、多くの役柄が書き込まれているのも原田作品の進化として評価できる点で、一樹千尋、高翔みず希、瀬戸かずや、桜咲彩花、城妃美怜、華優希、舞空瞳など天草の人々が、それぞれに四郎を受け入れる敬虔なキリシタンとしての度量の大きさを感じさせて、物語をスムーズに進めている。おだやかな性質の役柄は久しぶりに思える瀬戸がここに入った効果が大きいし、城妃演じる咲が四郎にほのかな想いを寄せ、咲に恋心を抱いている長一郎の帆純まひろが四郎に反発するなど、サイドストーリーも丁寧だ。
一方、我が国を代表する歴史小説家・司馬遼太郎に「日本史のなかで、松倉重政という人物ほど忌むべき存在は少ない」と言わしめたほどの悪政を敷いたことで知られるが、その息子の勝家を演じる鳳月杏が、宝塚でしかも二枚目男役がここまで悪役を演じることは極めて異例と言える人物を果敢に描き出した上で、ほのかに色気もあるのが驚異的だ。領民が蜂起するのを当然と思わせた凰月の役割は大きい。更に、江戸幕府側では、実質四万石の石高を十万石と過大に見積もった松倉に疑惑の目を早くから向けた鈴木重成の綺城ひか理、そもそもこの物語をはじめるきっかけを作る将軍・徳川家綱の聖乃あすかが、共に非常に重要な役柄を、真摯にかつ涼やかに演じていて目を引く。鈴木が一揆軍への憐憫抑えがたく持ち帰った聖母マリアの絵が家綱に渡り、絵師であるリノ=祐庵の元に帰ったことで、祐庵の、更に「はらいそ」に行ったすべての人々、引いては観客にも救いをもたらす展開は、見事の一言。若き二枚目の二人が重責を果たした功績も光る。その流れが美しいだけに、本来「知恵伊豆」と評され、歴史上徳川幕府300年の礎を創った人物でもある老中・松平信綱の水美舞斗の役回りがやや割を食った格好にはなったが、水美のすっきりと美しいこの時代に忠実な装束の着こなしが醸し出す、静謐な佇まいが役柄を助けていて地力を感じさせた。

他に倭寇の頭目としての四郎の仲間である不動丸の飛龍つかさの豪放磊落な持ち味、残念ながら休演となった亜蓮冬馬に変わって多聞丸を快活に演じた一之瀬航季も、天草の人々とのカラーの違いを鮮明に出していて効果的だった。何より過去の大劇場公演の原田作品としては、最も人が描けていることが宝塚期待の作・演出家の成長を感じさせて嬉しく、すべてを浄化する「はらいそ」の場面の輝かしさと共に心に残る作品となった。

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そんなある意味で重いテーマに斬り込んだ作品のあとに、心躍る華やかなショーがあるのが宝塚歌劇の素晴らしさで、ショー・スペクタキュラー『BEAUTIFUL GARDEN─百花繚乱─』がなんとも美しい。花組の多彩な陣容を「百花繚乱」と例えた作者の野口幸作の視点が効いていて、美しい庭園の映像から蝶の舞い踊るプロローグ、パリ、アンダルシア、トロピカルな熱帯、ローマ、ニューヨークと、レビュー大定番のお国巡り形式をとりながら、スターたちの大活躍が楽しめる。

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特に明日海&仙名のクラシカルでノーブルな持ち味と、柚香のシャープでエッジィな個性がそれぞれの場面の色合いを鮮やかに変えていく効果が大きい。明日海の深みのある美しさと豊かな歌唱力、観ている者までがつくづく「楽しそうだなぁ」と心躍る柚香の踊りっぷりにも惚れ惚れする。

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更に、アンダルシア、ローマとドラマ性の高い場面が二つ入っていて、こうした構成はややもすれば重くなるケースも見受けられるものだが、明日海の相手役を仙名と、女性役に回った柚香に振り分けたことで、その危険を楽々と回避している。両場面、また芯となる場面もあり大活躍の水美のジャンプアップも頼もしい上で、瀬戸、鳳月にも働き場が多い目配りが良い。娘役も同様で、華、舞空と期待の新進娘役をあげながら、桜咲、城妃、音くり寿にも活躍の場がきちんと設けていて周到。しかも、この公演で退団する天真みちるに、彼女がその知名度を飛躍的に高めた「タンバリン芸」をストレートに連想させる、タンバリンを無理なく持たせるシーンを作るあたりは涙が出るほど。

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作者の想いが溢れすぎて、常に退団公演か?と思わせてしまう歌詞をトップスターに書いてしまうのだけが問題と言えば問題だが、ポップスをふんだんに入れても全体の質感がエレガンスなのが野口の大いなる美点で、ショー作家の期待の星として、今後の活躍への楽しみが高まる優れたショー作品となっている。

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また初日を前に花組トップコンビ明日海りおと仙名彩世が囲み取材で、記者の質問に応えた。

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中で、二作品の見どころを問われた明日海が芝居は立場の違う役柄を演じつつの、ショーでは「百花繚乱」の名の通りの、全員の総力戦をあげ、花組の団結を表現する。

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仙名も芝居でそれぞれが深めた役柄の関係性によるエネルギーと、ショーの盛りだくさんなワクワク感を語り、トップコンビの二人が全員での舞台創りに懸ける想いを感じさせた。

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更にそれぞれの好きなシーンは、囲み取材に登場した衣装を着る場面であるフィナーレナンバーだと意見が一致。お互いが見て好きなシーンでは、仙名が中詰めで着ている白いメルヘンチックな衣装を羨ま しいとつぶやいた明日海が「あ、着たいという意味ではないです」と笑わせる一コマも。明日海の素敵なところを語りだして止まらなくなった仙名と共に、トップコンビの和やかさを感じさせる時間になっていた。

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尚、囲み取材の詳細は、舞台写真の別カットと共に11月9日発売の「えんぶ」12月号にも掲載致します。どうぞお楽しみに!

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〈公演情報〉
宝塚歌劇花組公演
ミュージカル『MESSAIAH─異聞・天草四郎─』
作・演出◇原田諒
ショー・スペクタキュラー『BEAUTIFUL GARDEN─百花繚乱─』
作・演出◇野口幸作
出演◇明日海りお、仙名彩世 他花組
●2018/9/7〜10/14◎東京宝塚劇場
〈料金〉SS席12.000円 S席8.800円 A席5.500円 B席3.500円
〈お問い合わせ〉0570-005100 宝塚歌劇インフォメーションセンター
〈公式ホームページ〉 http://kageki.hankyu.co.jp/




【取材・文・撮影(囲み会見)/橘涼香 撮影(舞台)/岩村美佳】




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