えんぶ本誌の宝塚記事取材の機動力を生かして、宝塚歌劇の製作発表、会見などをいち早く紹介。 宝塚OGの公演やインタビューのほかに公演の批評なども展開しています。

宝塚ジャーナルは2019年2月20日に引っ越しました。
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新トップコンビお披露目で華やぐ宝塚歌劇月組公演ミュージカル『ON THE TOWN』上演中!

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105周年を迎えますます意気上がる宝塚歌劇団が、月組を牽引するトップスター珠城りょうと、新トップ娘役美園さくらをはじめとした選抜メンバーで年始に送る、ブロードウェイ・ミュージカル『ON THE TOWN』が東京国際フォーラムホールCで上演中だ(20日まで)。

ブロードウェイ・ミュージカル『ON THE TOWN』は、レナード・バーンスタイン作曲、ジェローム・ロビンス振付により1944年に初演された作品。1949年にジーン・ケリー主演による映画化『踊る大紐育』が世界的な大ヒットとなったのをはじめ、2014年のブロードウェイ・リバイバル版上演時にも、トニー賞作品賞を含む4部門でノミネートされるなど、大好評を博した。日本でも同じ2014年大人気アイドルグループV6の20th Century、坂本昌行、長野博、井ノ原快彦の主演で初演され、宝塚OGの真飛聖、樹里咲穂が出演している。
そんな作品が、今回初めて宝塚歌劇団で上演されることとなり、潤色・演出を野口幸作が担当。麻咲梨乃、KAZUMI-BOY、桜木涼介、三井聡、永野亮比己という個性的な振付陣が揃い、往年の名作の宝塚版に挑んでいる。

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【STORY】
1944年ニューヨーク早朝6時。海軍水兵のゲイビー(珠城りょう)は、仲間のチップ(暁千星)、オジー(風間柚乃)と共に、24時間の上陸許可を得て初めての大都会、ニューヨークの波止場に降り立つ。早速チップが父親にもらったというガイドブックを頼りに、街へ繰り出す三人。この24時間で大都会を満喫し、まだ見ぬ恋人にも出会いたい!と心躍らせ地下鉄に乗った刹那、ゲイビーは車内に貼られた「今月のミス・サブウェイ」のポスターに写るアイヴィ・スミス(美園さくら)に一目惚れしてしまう。
「絶対にこの娘を探し出す!」と意気込むゲイビーに、はじめはとても無理だと反対していたチップもオジーも協力することになり、「アイヴィ・スミスはカーネギーホールで歌とバレエを、美術館で絵画を勉強中」というプロフィールを頼りに、三人はタイムズスクエアで午後8時半に再会する約束を交わし、手がかりを求めて街に散っていく。
だが、地下鉄会社の上層部に会ってアイヴィの情報を得ようと考えたチップは、タクシードライバーのヒルディ(白雪さち花)に惚れ込まれ、博物館を訪れたオジーは人類学者のクレア(蓮つかさ)に研究対象の「ピテカントロプス・エレクトス」にそっくり!と興味をそそられ、それぞれあっという間にカップル成立。一方、アイヴィを探して街を歩き続けたゲイビーは、ようやくカーネギーホールに到着。遂にスタジオで歌のレッスンをするアイヴィにめぐり会い、タイムズスクエアでデートの約束を取り付け仲間たちと合流するが、約束の時間になってもアイヴィは現れず……

ミュージカル『ON THE TOWN』は、そもそも三人の水兵が上陸許可を得た24時間の間に恋を見つけるものの、不確かな未来に向かって旅立っていかなければならない、人生の悲哀が根底にある作品だ。そこには彼らが再び船に乗り込み赴く先が戦地であるという現実を覆い隠すように、全体の筋立てをコメディーにして、有り得ない偶然や、馬鹿騒ぎをダイナミックなダンスで綴り、未来に希望を見出す仕掛けが施されている。しかもそこに、これぞアメリカのカラッとした感触があるのが特徴で、徹底的なニューヨーク賛歌、海軍賛歌のエンターテインメントに寄せた映画版ほどではないにしても、船へと戻っていく三人の水兵を見送る三人の女性たちとの別れは、「素敵な思い出が出来た!きっとまたいつか!」という、あくまでも前向きなものだ。三人に代わって新たにまた別の三人の水兵たちがニューヨークに降り立つ、新しい明日がまた始まる!という幕切れも、ペーソス以上にガッツがあるのが、さすがはブロードウェイ・ミュージカルだなと思わせる。
今回の宝塚版の上演でも、その色合いは保たれているばかりでなく、音楽監督・編曲と海軍の帽子をかぶって自ら指揮棒も振る甲斐正人が率いるオーケストラの生演奏の迫力と、アンサンブルの群舞で押してくるパワーが、宝塚の美点をよく現している。潤色・演出の野口幸作の目配りも効いていて、三人が繰り広げる大筋の脇に、三人が気づかないままおかしていくもめ事によって、警官を先頭に彼らを追いかけていく人々が増えていくくだりや、博物館での顛末、ゲイビーを元気づけようと店から店をはしごしていく最中に関わる人々など、どこかではちゃんと1人1人が際立つように、出演者全員を立てている気配りが宝塚ならではだ。

ただ一方で、物語全体が三人の水兵と三人の恋人たちという群像劇で作られている為、月組新トップコンビ珠城りょうと美園さくらのお披露目作品という観点で見ると、やや難しさもあったように思う。特にゲイビーとアイヴィが劇中なかなか巡り合えない設定だけに、他の二組のカップルの関係ばかりがぐいぐいと進展していく1幕の流れには、トップスターを頂点とする宝塚歌劇と作品の成り立ちに開きも感じた。だからと言って版権の関係で場面をカットするという訳にはいかない以上、演出のテンポ感をもう少しあげても良かったかも知れない。
それでもゲイビーが二組と合流する2幕になると全体もグッとしまってくるし、ゲイビーとアイヴィが手を取り合うことが、新トップコンビの出会いと重なるようにも感じられ、作品の終わりがより前向きに見えたのも現代的。ここからはじまる新しい月組にも期待が高まった。

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そんな群像劇でセンターを務める大任を託された珠城りょうの、おおらかで正統派の持ち味が、この旧き良き時代の作品に殊の他よく合っている。『雨に唄えば』でも感じたことだが、この人の芯に落ち着きのある男役像は、こうした古典作品を引き立たせる何よりの力になる。トップスターが幻想シーンとフィナーレナンバーを除いて水兵姿のまま、というだけでも宝塚歌劇としてはかなり特殊ケースだが、ゲイビーが喜びに溢れた姿、運命の恋人に会えない切なさ、恋を失ったと思い込んで落ち込む姿、等々を表情豊かに見せることで、その特殊さを払拭していて頼もしい。それだけに、フィナーレで登場した士官姿は待ってました!というばかりで、実に魅力的だった。

その珠城の相手役として新トップ娘役になった美園さくらは、台詞発声の声質が抜群に美しいだけでなく、今回かなり露出の多い衣装が続く中で、ポージングも常に美しい美点を披露。通常宝塚のオリジナル作品であれば、トップ娘役にはあまり回ってこないだろうシーンもあるアイヴィ役を、独特の個性でクリアしていて、珠城とのコンビで新たな魅力、新たな作品を紡いでいってくれる可能性を感じさせた。大劇場公演のお披露目に『宮本武蔵』が控えている振り幅も、トップ娘役として貴重な経験になるに違いない。

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また、トップスターである珠城に対して舞台上でほぼ同格の役柄を、組の次世代のメンバーが務めていることにも、月組の力強さを感じる。その1人暁千星は、24時間のニューヨーク観光を綿密に計画してガイドブックに首っ引きだったチップが、友情の為説を曲げ、更に思わぬ女性から惚れ込まれ…という予期せぬ出来事の連続の中で逞しくなっていく様を自然体で見せている。チップに夢中になるタクシードライバー・ヒルディを、上級生の白雪さち花がパワフルに演じ、その振り切りぶりで過度なセクシャルムードに倒れないことも良いコントラストになっていて、チップに残る少年性にあざとさがないのも暁の個性故。はじめ押されっぱなしだったチップが、終盤にはきちんとヒルディをかばっている姿にも、チップのドラマが感じられた。

もう1人オジーの風間柚乃は宝塚メモリアルの100期生が、珠城と暁を向こうに回して、なんら不足のない骨太な演技を披露していることに舌を巻く思いがする。珠城りょうというスターがそもそもどっしりとした落ち着きを誇っているのに、更に地に足がついて見える風間の堂々とした舞台ぶりはほとんど驚異的で、それでいながら決して地味に倒れない絶妙な上手さは、末頼もしいを通り越して空恐ろしいほど。そんなオジーの恋人になる人類学者クレアに、本来男役の蓮つかさが扮したが、同じく芝居巧者の蓮が悪びれないあっけらかんさをよく表現していて、このカップルを観ているだけでもなんとも心憎いやりとりが多くあり、抜擢の理由がよくわかる面白さだった。

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そうした女性役の大役が上級生や男役に回っていることもあって、娘役たちに役が少ないのは痛しかゆしではあるが、役柄のダイナミックさや色合いを考えると、今回に於いてはこのキャスティングが妥当だったと思う。中では大きな役柄のアイヴィの声楽教師マダム・ディリーの夏月都のエキセントリックさは相変わらず絶好調だし、ヒルディのルームメイト・ルーシーの叶羽時が、思い切りの良い「可愛くない女性」の造形で役者魂を感じさせれば、晴音アキも豊かな歌唱力とコメディセンスで魅了する。歌唱力と言えば男役陣の一角、輝月ゆうまもクレアの婚約者ピットキンで、壮大だからこそ切なくも可笑しいソロナンバーを聞かせるし、場末のショーのチープ感を巧みに表出する千海華蘭も随所で活躍。警官コンビとして持ち前の品の良さを発揮する紫門ゆりやと、惜しくもこの公演で退団となった輝生かなでのダンス力も輝くだけに、せめてこのクラスにはもう少し大きな役があればとどうしても思うが、その中で、それぞれの持ち場を真摯に務める姿に感動を覚えた。玲実くれあ、春海ゆう、颯希有翔、佳城葵らもポイントポイントで目引くし、若手期待株の天紫珠李、彩音星凪、結愛かれん、礼華はるも「ここにいます!」ときちんとアピールしてくる力を改めて感じた。

ここに現在宝塚バウホールで主演公演『Anna Karenina(アンナ・カレーニナ)』を上演中の美弥るりかを筆頭に、月城かなと、海乃美月などがいることを考えると、月組の層の厚さは大変なもので、この往年の名作ミュージカルを支えた新トップコンビを筆頭とした、月組の地力を改めて感じる公演となっている。

〈公演情報〉
宝塚歌劇宙組公演
ブロードウェイ・ミュージカル『ON THE TOWN』
作曲◇レナード・バーンスタイン
脚本・作詞◇ベティ・コムデン
脚本・作詞◇アドルフ・グリーン
原案◇ジェローム・ロビンス
潤色・演出◇野口幸作
出演◇珠城りょう、美園さくら ほか月組
●1/6〜20◎東京国際フォーラムホールC
〈料金〉S席 8,800円 A席 6,000円 B席 3,000円 (全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉宝塚歌劇インフォメーションセンター 0570-00-5100(10時〜18時)
〈公式ホームページ〉http://kageki.hankyu.co.jp/
   

 
【取材・文・撮影/橘涼香】






『暗くなるまで待って』


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新たに広がるミュージカルの可能性!『ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812』開幕!

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その斬新で革新的な演劇スタイルでブロードウェイを席巻したミュージカル『ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812』が、1月5日、東京池袋の東京芸術劇場プレイハウスで開幕した。(27日まで)

ミュージカル『ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812』は、世界10大小説として名高い傑作トルストイの「戦争と平和」をミュージカル化した作品で、2012年にオフ・ブロードウェイで誕生。2016年にはブロードウェイへ進出し、翌年のトニー賞で最多となる12部門にノミネートされるなど、大きな話題を呼ぶヒット作品となった。劇場全体をロシアのナイトクラブのように見立て、幕もなく客席の中に花道のように伸びるステージを使って、ミュージカルナンバーと生演奏と激しいダンスが全編に渡って繰り広げられるスピーディな展開は、最も革新的なミュージカルとして大絶賛を集めた。

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今回の本邦初演は、貴族の私生児として生まれた出自から人付き合いを好まず、酒と思索にふける日々をおくるピエールに井上芳雄、若く美しく自分の感情に正直に生きる乙女ナターシャに生田絵梨花、そのほかに霧矢大夢、小西遼生、武田真治をはじめとした、ミュージカル界の人気スターが顔を揃え、個性的でアーティスティックな世界観で魅了する気鋭の演出家の小林香が演出を担当。本邦初演に相応しい、より進化した『グレート・コメット』の世界が繰り広げられている。

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【STORY】
19世紀初頭のモスクワ。貴族の私生児として生まれたピエール(井上芳雄)は、莫大な財産を相続したものの、その財産だけが目当てだったエレン(霧矢大夢)との愛のない結婚生活を続ける人生に虚しさを抱えながら、酒と思索に耽る毎日を送っていた。そんなピエールの親友アンドレイ(武田真治)の婚約者である、若く美しく天真爛漫な伯爵令嬢ナターシャ(生田絵梨花)は、戦争に従軍したアンドレイの不在に寂しさを募らせていた。折も折、エレンの兄で絵のように美しいが、享楽的な生活をしているアナトール(小西遼生)と出会ったナターシャは、アナトールからの熱烈な誘惑に抗えず遂には駆落ちを計画する。一方、ピエールは妻エレンの不倫を知り、不倫相手のドロホフ(水田航生)に決闘を申し込みかろうじて勝利するものの、意味の無い命を賭けた闘いに、ますます鬱屈した気持ちを募らせていく。そんな時、ナターシャがアナトールと駆け落ちの約束をしていたことを知ったピエールは義憤にかられ、アナトールを探し出し問い詰めるが……

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タイトルにある「コメット」=彗星は、実際に地球に近づき8ヶ月以上もの間肉眼で見ることができたという「1811年の大彗星」を意味している。ナポレオンが「この彗星は私にとって吉兆である」としてロシア侵攻を決断したことでも知られていて、幾多の戦闘に勝利しモスクワを制圧したフランス軍が、自然の脅威である厳寒の季節との戦いに敗れ、退却に追い込まれたロシア遠征のきっかけとなった大彗星とも言うことができる。そんな歴史的背景を軸に、ロシア貴族の三つの一族の興亡を描いた群像小説である「戦争と平和」の登場人物、つまりはこのミュージカルの登場人物すべての人生を左右した、彗星に導かれた物語が展開されていく。

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何しろ原作が超のつく大河小説で、主要な登場人物の関係性も非常に色濃く絡み合っているので、原作を知っているのに越したことはないが、実際にこの作品で描かれているのは第2巻第5部を中心とした、かなりシンプルにそぎ落とされたストーリーなので、観劇前に公式ホームページに掲載されている人物相関図を見ておくだけで理解しやすくなる。更にそうした各登場人物の関係性が仮にわからなかったとしても、この作品の革新的な面白さ、他に類を見ない劇空間の客席に座りさえすれば、爆発するようなエネルギーを体感し、その興奮のるつぼを楽しむことができる。

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と言うのも、東京芸術劇場プレイハウスに小林香の指揮のもと斬新な劇空間が創り出されているのだ。舞台エリアに設けられた6ブロックの「コメットシート」と呼ばれる、オーケストラピットよりは浅く、舞台上の目線により近いが、基本的には舞台を仰ぎ見る形になる客席。その周りに縦横に張り巡らされた通路と言える部分を含めて、動線が複雑に伸びたステージ。さらに本来の客席通路をも巻き込んで、舞台と客席の境のない劇場全体が作品世界という、既存の劇場でよくこれだけの作り込みができたなという空間で物語は展開されていく。

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登場人物たちは、その360度から見られているに等しいステージで演じ、歌い、時には自ら楽器も演奏し、激しく踊り、客席にも座り話しかける。今人生の空虚を嘆き、今灼熱の恋に身を焼いていた人々が、次の瞬間には駆け回り、踊り騒ぐ様はどこかシュールで、多分にショー的でもあって、だからこそ200年以上も前のロシア貴族の物語が、今目の前で起きていることに感じられる。人はどう生きるべきか?真の幸福とは何か?そんな根源的テーマを、ある意味で猥雑な描写とパワーと、ロックやエレクトリックなクラブミュージック等の現代の音楽に乗せて描くことを思いついた、オリジナルスタッフたちの慧眼に驚くし、それを更に突き詰めて徹底的に飾り込み、日本の観客に提示した小林香以下、日本版スタッフの奮闘にも大きな感動を覚えた。小林の良い意味で毒のある美意識が、この作品の世界観に相応しく人選の妙も感じる。

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そんなカーニバル状態の舞台の中から、主要な役柄をきちんと際立たせた出演者たちがまた素晴らしい。その筆頭の井上芳雄は、長く「ミュージカル界のプリンス」の名を欲しいままにしてきた、爽やかな二枚目像をメガネと猫背の姿勢の中に封印して、難しい役柄に見事に入り込んでいる。実際に、物語の展開の大きな流れを握っているのはナターシャだし、特に1幕は相当な長時間オーケストラピットの中で本に向かい、ペンを取り、ふと見ると楽器を鳴らしているという、作品世界の中にいながら孤独な出演場面が続くが、それでも尚、己の人生の苦悩を吐露するビッグナンバー「塵と灰」ただ1曲で、すべてを浚うのはまさに井上ここにあり!の離れ業。ストレートプレイを含めて、ソリッドな作品への挑戦を常に続けてきた井上の気概と蓄積がなければ、『ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812』と題されたこの作品の、ピーエルを支えることは難しかっただろう。余人に代えがたい存在であることを難役を務めたことで改めて示した好演に拍手を贈りたい。
 
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一方、ドラマとして作品を捉えた時「主人公」と言って間違いないだろうナターシャを演じた生田絵梨花は、『ロミオ&ジュリエット』のジュリエット、『レ・ミゼラブル』のコゼット、『モーツァルト!』のコンスタンツェと続いてきたミュージカル界でのキャリアに、ひと際輝く大役を手中に納めている。トップアイドルグループ「乃木坂46」のメンバーとして活躍している彼女の「アイドル」としての記号がもたらす、どこかこの世の者でない感が、混沌としたエネルギーが満ちる舞台の上で、ナターシャの特別な美しさを際立たせる決め手になった上に、感情表現がより豊かになっていて、激動の日々を過ごすヒロインの変転を表出している。歌も確実に進化し、日本のミュージカルブームの一端を支える人材として、ますますその貴重さが高まった。

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ピエールの妻エレンの霧矢大夢は、享楽的で計算高いが社交界の花形でもある女性像を、むしろ颯爽と演じているのが霧矢らしい。ピエールとナターシャを中心として見た時には所謂「悪女」と言うことになるが、その堂々とした立ち居振る舞いに接すると、己の欲望に忠実なだけの魅惑的な女性に見えてくるのが、いっそ清々しい。硬軟取り混ぜた演じぶりにも芝居巧者らしい自在さがあるし、何より元宝塚歌劇団の男役出身者が、女優になった時にほぼ必ずと言っていいほど通る、低音域と高音域の発声の切り換えを完全に克服したのが感じられ、ますますの活躍に期待が膨らんだ。

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その兄でナターシャに恋を仕掛けるアナトールの小西遼生は、光り輝くと言って構わないほどの美貌を、惜しみなく披露して強烈に目を引く。無垢な乙女であるナターシャが、後先も考えずこの男性にのめり込んでいくことに説得力があり、ヒロインを立たせるという意味に於いても重要な役割を十二分に果たした。複雑な心理描写もよく伝わり、霧矢と共に悪の華兄妹として舞台上に放つオーラは絶大。一部音域で難しい部分があるが、ここまで美しい軍服姿で、しかもダークな香りもにじませて舞台に登場してくれれば、すべては許容される想いがした。

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ナターシャの婚約者アンドレイと、アンドレイの父ボルコンスキー老公爵を二役で演じ分けた武田真治は、冒頭軍服姿で登場した刹那、スッキリとした二枚目感を自然に醸し出して強い印象を残すことに成功している。これがあるからカリカチュアされたボルコンスキー老公爵の描写との落差が笑わせるし、出番としてもポイントポイントでかなり飛んでいるアンドレイの存在を作品に通したのは、武田の存在感あってこそ。思えば現在井上が演じている『エリザベート』のトート役歴代キャストの1人でもあり、更にミュージカルの世界にも積極的に出て来て欲しい人材だ。

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また、ナターシャの駆け落ちを阻止する従姉妹ソーニャの松原凜子の高い歌唱力は、作品の華のひとつになったし、ピエールと決闘に及ぶドロホフの水田航生が見違えるほど骨太になり、歌唱の進化も著しく頼もしい。アンドレイの妹マリアのはいだしょうこが、「しょうこおねえさん」で知られる天然キャラを微塵も感じさせない慎み深い女性をしとやかに演じているし、ナターシャの名付け親マーリャD.の原田薫は、この作品の振付も担うダンサーだが、実は非常にパッショネイトな歌い手でもある持ち前の武器を披露。アナトールの御者バラガのメイリー・ムーの独特の個性が、この作品にベストマッチしたし、楽器演奏や開演前からの客席への練り歩きを含めて大活躍のアンサンブルの面々も、まさに八面六臂の活躍で作品を支えていた。井上のピアノとアコーディオン、小西のヴァイオリン、武田のソプラノサックスと役者たちが巧みに楽器を奏でる様にも特別感がある。
 
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総じて、ロシア文学を徹底的なエンターテインメントに仕上げつつ、普遍のテーマをきちんと残した「ミュージカル」の可能性を更に広げる作品で、今ここにしかない劇空間を是非多くの人に体験して欲しい仕上がりとなっている。

【囲み取材】


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初日を前日に控えた1月4日囲み取材が行われ、ピエール役の井上芳雄、ナターシャ役の生田絵梨花、エレン役の霧矢大夢、アナトール役の小西遼生、アンドレイ役の武田真治が公演への抱負を語った。

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武田真治、霧矢大夢、井上芳雄、生田絵梨花、小西遼生 

──日本初演のミュージカルということで、大変貴重な公演となりますが、明日の初日への意気込みをお願いします。
井上 劇場の作りも見たことのないものになっておりますし、日本のお客様に初めて観ていただくのでドキドキはしますけれども、すごく面白く出来上がっていると思うので、早くお見せしたいなという気持ちでもあります。これまでの稽古の道程がすごく幸せなものだったなと思います。
生田 私自身劇場に入った時にこんなにワクワクしたのが初めてで、それぐらい客席と一体型になっていたり、距離感もすごく近いので、お客様が入って作品がどう作り上げられていくのか、ここから更にとても楽しみに思っています。エンターテインメント性もそうなのですが、作品の内容もそれぞれのキャラクターの人間らしさや、生きることについて語っている作品なので、そのメッセージ性もきちんと皆様の心にお届けできたら良いなと思っています。
小西 作品自体日本のお客様があまり観たことがないような斬新な作品になっていますので、舞台というのは非日常に足を運ぶものでもありますから、新年最初に皆様に、初めてご覧になるという舞台を見せられるように頑張りたいと思います。
霧矢 私はブロードウェイで上演された舞台を拝見しているのですが、ブロードウェイでもすごく斬新で大きな感動を覚えたのですが、日本版は日本版としてとても誇らしい仕上がりになっていると思いますので、皆様たくさん劇場に足をお運びいただきたいなと思っております。
武田 この歳になるまで色々やらせていただいてきておりますが、その中で「こんなの初めて!」と思うような舞台のセットだったり内容だったりするんですね。これは本当に楽しんでいただけると思います。明日が楽しみです。

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──今回は筋肉は見せないのですか?
武田 今日は早めに(衣装を)着ました!(笑)まぁ、誰かが言ったらね(笑)。
井上 ないわけがない!(爆笑)
武田 あるんだ!?(笑)
井上 あるかも知れない(笑)。
武田 いや、そこハッキリしとかないとさ(笑)。
井上 僕もちょっと触れ合うシーンとかあるのですが(武田を示して)、この辺りの筋肉凄いですから!テンション上がってきたら出ることもあるかも知れない(笑)。
小西 日替わり!
武田 ちょっと井上さん!座長! 俺の感情で脱ぎ着可能なの!?(笑)
井上 ナターシャをびっくりさせるシーンとかがあるのですが、今は筋肉は出てませんけれども、調子が出て来たら筋肉でびっくりさせるみたいなことも(笑)。
武田 座長!すみません、これに関してはハッキリさせて下さい!ないです!
井上 はい、ないです!(笑)
武田 もうちょっと舞台に絡めて、オブラートにくるんで何か放り込んでいただい方が我々としては(一同笑)。
井上 待ちきれない感じだよね(笑)。

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──舞台と客席が近いということですが、お客様の顔も皆様からよく見えるのですか?
井上 「コメットシート」と言って普通なら舞台上のところに数十席の座席があるんですけれども、これについてはすべての席が最前列みたいな席なので、本当に僕たちも近くて。見られまくるからどうしたら良いのかわからないのですが、本当に出演者の1人というか、共に体験してもらう、作品の中に入り込んでいただけるのですごく楽しいんじゃないかな?と。まぁまだわからないのですが、初日開けていないから。でもすごい作りだと思います。
──井上さんは「メガネ男子」の役ということで。
井上 そうです。「メガネ男子」なのですが、僕すごく冴えない男の人という役で、原作だと太って頭も薄いみたいな描写なのですが、今回はメガネで猫背で冴えないというところで。本当にカッコいいところが出ないように(笑)、一生懸命冴えない男を頑張ろうとやっています。
武田 元々の手足が長いので、ちょっと肉襦袢が入った衣装を着てもファンシーで可愛らしいですよね。
井上 ありがとうございます。でもこれ何にも入っていないです(笑)。
武田 あら、失礼しました!(笑)
井上 姿勢だけでやっているのですが、でも僕はそうやっていますけれど、皆さん見目麗しい登場人物がたくさんいるので、この作品は見た目にも楽しいと思います。

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──その中で冴えない役というのは、役作りも大変だったのでは?
井上 どうしても冴えてしまうところはありますけど(笑)、そこはもうグッと抑えて(笑)。とは言いながらも実はすごくしっくりきますね。普段は冴えないと言いますか、皆普段からそんなに冴えてはいないと思いますが、仕事上では冴えるように頑張っているので、今回は仕事上でも冴えなくて良いという安心感が(笑)。もう冴える部分は小西君に全部任せて。
小西 来ちゃった!(笑)
井上 自分の役を全うしたいと思います(笑)。でもそれぞれがすごく魅力的です。

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──井上さんと生田さんは舞台では初共演だと言うことですが、お互いの印象は?
井上 とても才能豊かな人だなと思っていたのですが、今回の役は直接の絡みは少ないものの、どこかで見守っているというもので、ただただ眩しいです。綺麗なのはもちろんですが、今の生ちゃんの年齢だから出せるナターシャの輝きというのがね。もし何年後かにまたやれば違う輝きが出ると思うのですが、今しかないこの輝きは唯一無二です。僕が失ってしまったものを懐かしく思い出します。
武田 井上さん、まだある、まだある!
井上 まだありますか?(笑)まぁ、それぞれの年齢の輝きはありますけれども、この(生田の)年齢の輝きはまばゆいなとすごく思うくらい美しいです。
生田 芳雄さんは共演させていただく前は「プリンス」ということで緊張していたのですが、稽古場でもご自身のメガネでいらしていて、頭もボサボサで敢えてオフの感じに寄せていらっしゃっていたので、すごく安心感が大きくて。もちろんカンパニー全体のことも常に広い目で見守ってくださっているし、なんでも頼らせてもらえるような空気感なので、芳雄さんを信頼して皆でついていきたいなと思っています。

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──2019年を迎えましたけれども、皆さんの目標をお訊きしたいのですが。武田さんはやはり筋肉に関して。
武田 筋肉に関しての目標!?いやいや若干最近筋肉を取り上げていただくことが多くて、本業を何か見失いつつあるので(爆笑)。
井上 いやいや、俳優さんとしても凄いです!
武田 この作品でしっかりと演劇界に爪痕を残して、もう1度シフトを正しく戻したい(笑)、というのがあるかもしれません。
──年末の「紅白歌合戦」にもご出演されて。
武田 紅白は…あれは目障りでしたよね。
霧矢 そんなことない!
井上 目立ってらっしゃいました!
武田 まだ人とそんなには話していないのですが、多分人には志茂田景樹さんみたいに映ったのではないかと(笑)。シレッと紅組にいる感じとかも。
井上 素敵でしたよね!真治先輩やってくれるなと!
武田 いえ、本当に素敵だったのは生ちゃんですよ!
井上 生ちゃんね!そうですね!
生田 いえいえ!
武田 本当に素敵でした!

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──霧矢さんは、今年芸能生活25周年だそうで。
武田 えっ?そうなの?
霧矢 よく知っていらっしゃいますね!はい、そうです。
武田 そういうところから自分にも話していただければ(笑)、おめでとうございます!
全員 おめでとうございます!
霧矢 今年はその25周年ということと、この作品を含めて上半期は悪女続きで。私はわりと良い人の役が多かったので、今年は悪女で行くぞ!と思っております。
生田 すごーい!
──今回の役も悪女ということで。
霧矢 そうです。井上さん演じるピエールの妻の役で、愛がなくお金目当てで結婚した酷い悪妻の役でございます。でも悪い役というのは演じるのもすごく楽しいので、新年早々満喫したいと思います。
生田 私の目標はこのナターシャも、歌声もそうですし、感情的にもすごく幅の広い役柄なので、今年はこういう一面もあったんだ!とか、こういうイメージもあったんだ!と思っていただけるように、色々な活動ができたらなと思います。
──年末にも「レコード大賞」から「紅白」とご活躍でしたが。
生田 結構その場を共にするのが最後という(「乃木坂46」の)メンバーが多くなってきていて。すごく寂しい想いもあるのですが、その分新しい子たちもどんどん入ってくるので、私達先輩の方としては幅を広げたり、その子たちを見守ったり手助けしたり、という役割もできるように頑張りたいです。
小西 立派ですね! 
井上 もう先輩なんだね。
生田 そうですね、グループでは。

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小西 僕も先輩方に負けずに頑張ろうと思います。今回井上さんは冴えない男なので、冴えている井上さんファンをかっさらおうかな?と思います。
武田 すごい具体的な目標を!
井上 言ったな!(笑)
小西 (笑)1年はじまったばかりですけれども、1年が終わる頃には皆さんに負けないように頑張っていけていたらなと思っております。
井上 本当に今年もひとつひとつの舞台に一生懸命立たせていただくしかないんですけれども、ミュージカルが注目していただけるようになって、追い風というか、ここ2、3年ミュージカル映画がヒットしたりして、皆さんに観ていただけるようになって。すごく良い風が吹いていると思うので、そこに乗りつつ、日本の文化として更にミュージカルが定着するような1年になったらいいなと。「2.5次元」に負けないように、と言いますかもちろん共存して頑張りたいと思います。

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〈公演情報〉
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ミュージカル『ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812』
音楽・詞・脚本・オーケストレーション◇デイブ・マロイ
訳詞・演出◇小林香
原作◇レフ・トルストイ(「戦争と平和」より)
出演◇井上芳雄、生田絵梨花、霧矢大夢、小西遼生、松原凜子、水田航生、はいだしょうこ、メイリー・ムー、原田薫、武田真治 ほか
●1/5〜27◎東京芸術劇場プレイハウス
〈料金〉コメットシートS(ドリンク券付)16,000円、コメットシートA(ドリンク券付)14,000円、S席13,000円、A席8,000円 (全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉東宝テレザーブ 03-3201-7777(9時半〜17時半)

【取材・文・撮影/橘涼香】








『暗くなるまで待って』


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シアタークリエ10周年記念公演ファイナル! ミュージカル『レベッカ』初日前会見レポート

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2018年に10周年を迎えた東京日比谷のシアタークリエで、記念すべきクリエ開場10周年記念公演の掉尾を飾るミュージカル『レベッカ』が、本日1月5日に開幕する(2月5日まで上演)。

2008年に開場したシアタークリエは、その10年間の歩みの中で海外の新作のいち早い上演や、埋もれていた幻の作品に光を当てるなどの様々なチャレンジを続け、演劇界に大きな足跡を残している。そんなシアタークリエ発のミュージカル公演第一弾として上演されたのが、ミュージカル『レベッカ』だった。
原作は20世紀前半から活躍した小説家ダフネ・デュ・モーリアが1938年に発表した長編小説「レベッカ」で、1940年にサスペンス映画の巨匠アルフレッド・ヒッチコックによって映画化。広大な屋敷と土地マンダレイを所有する上流紳士マキシムと、アメリカ人の大富豪の世話係をしていた「わたし」が南仏で出会い、身分も年齢も越えて愛し合い結婚するが、「わたし」を待ち受けていたのは、マキシムの事故死した先妻「レベッカ」の面影がありとあらゆるところに残るマンダレイの屋敷と、屋敷を取り仕切る家政婦頭のダンヴァース夫人で…という、謎が謎を呼ぶゴシックロマンの傑作として愛され続けてきた。
 
その作品を2006年『エリザベート』『モーツァルト!』『マリー・アントワネット』『レディ・ベス』等々の大ヒットミュージカルを生み出したミヒャエル・クンツェ&シルヴェスター・リーヴァイのゴールデンコンビがミュージカル化。人間の愛憎から生まれ出る疑いや迷いを描き切った脚本と、登場人物の心理をダイナミックな旋律で綴った楽曲の数々が大評判となり、ウィーンでの初演からわずかに2年、世界で2番目の上演国として2008年にシアタークリエで上演された本邦初演は、約3ヶ月間の公演が全日程完売の大ヒットとなり、2010年には大劇場バージョンとして帝国劇場にて上演。その後も作品はヨーロッパ各国、また韓国でも上演され高い評価を得てきた。

「レベッカ」山口

そんなシアタークリエの歴史を拓いた作品が、10年の時を経て再びシアタークリエ開場10周年記念公演として帰還することになり、マキシム役の山口祐一郎、「わたし」役の大塚千弘という栄えある日本版オリジナルキャストに加えて、「わたし」役にミュージカル界での進境著しい平野綾、日本レコード大賞を2年続けて受賞するなど、アイドルグループのトップを走る乃木坂46のキャプテン桜井玲香が参加。また、ダンヴァース夫人には涼風真世と保坂知寿がダブルキャストで出演。シアタークリエ発ミュージカルの金字塔に新たな息吹を吹き込んで、昨年12月の東京 シアター1010でのプレビュー公演を皮切りに、愛知、福岡、大阪と全国公演を経て、いよいよシアタークリエでの凱旋公演の幕を開ける。

このシアタークリエでの初日を前に、主演のマキシム役の山口祐一郎、「わたし」役のトリプルキャスト大塚千弘、平野綾、桜井玲香が会見に臨み、公演への抱負を語った。

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桜井玲香、大塚千弘、山口祐一郎、平野綾

【囲み会見】

──作品の見どころをお願いします。
平野 最初にこの『レベッカ』という作品を知ったのが私は小説からだったのですが、映画にもなっていますし、初演が10年前ということで本当にたくさんの方に愛されてきた作品だと思っていて。サスペンスの要素ももちろんあるんですけれども、その中で育まれる愛ですとか、見どころ満載だと思います。
山口 ミュージカルをご存知の方も、ミュージカルをご存知ない方も、何しろこの3人ですから、是非この3人がどういうことになるのか、むしろそちらの方が楽しみなのではないかな?とそんな風に思っています。
大塚 8年ぶりに「わたし」役をさせていただいたのですけれども、やりながらこんなにドキドキハラハラする作品だったのだなと。8年で大人になったので改めて思います。皆さんに新年から一緒に「わたし」の目線になっていただいて、ドキドキハラハラ楽しんでいただけるのではないかと思います。
桜井 ミュージカルの華やかさもありつつミステリーなのでストーリーが複雑で、色々なキャラクターの心情も混ざり合っていて、たぶん観れば観るほど毎回色々な感情になりますし、様々な目線で色々なストーリーが見えてくるような深いミュージカルになっていると思います。

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──それぞれ意気込みをお願いします。
山口 意気込みの前に3人のエネルギーに圧倒されるので、できれば楽日まで生き残れるように(笑)、そんな意気込みで頑張ります。
大塚 やっぱり嫁が3人いるってことですよね!
山口 なかなかないことですからね。全く違う個性ですから。本当に芝居で良かったです(爆笑)。
大塚 私はやはりこの作品にはかなり思い入れがありますので、8年経った今また「わたし」役をやらせていただけるのは稀なことだと思うので、経験した分豊かにできるように頑張りたいと思って日々やっております。

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平野 山口さんは「ミュージカル界の世界遺産」と言われているのをお聞きしていて。
山口 えっ?そうなんだ!(笑)
平野 そういう方の相手役をさせていただけるのも本当に夢のようなので、その時間を大切にしたいと思います。
山口 光栄でございます。
桜井 私は今回翻訳ミュージカルに初めて挑戦させていただいているのですけれども、皆さんにすごく助けていただきながらどうにか踏ん張って毎回舞台に立っているような状態です。東京公演も明日からはじまるということで、この機会に少しでも成長できるように頑張りたいなと思います。
──奥様の役が3人いらっしゃるということで、お稽古や公演を通して3人の方々との関係性などは?
山口 3人との関係性…これはやっぱり危ないですね。ここで一言、言ったが為に1ヶ月間公演が無事に済まなくなる(一同爆笑)、本当にあれさえなければというね(笑)。普段そんなに緊張しないのですけれども、3人が同じ衣装で同じウィッグをかぶって立っていて、そこに囲まれていて「成長する」ですとかね、「世界遺産」だとかいうお話を聞いていると、この1ヶ月、3人がどういうことを舞台上でなさるんだろうなと思いながら、ドキドキしながら、できればこれ以上のコメントがないようにと(笑)、思ってます。

「レベッカ」平野3平野綾
 
──「わたし」役の皆さんはいかがですか?
平野 昨年末から全国ツアー公演もやらせていただいて、ものすごく良い形で東京に戻ってこられたと思うので、この1ヶ月、魂を注ぎ込んで頑張りたいと思います。
大塚 この『レベッカ』は再々演になるのですが、場所が変わったりですとか、すべてのことがリニューアルされて新しい形になっているので、新作と言っても過言ではなかったので、3人で色々考えながら創っていました。それはもちろん山口さんにも皆さんにもご相談しましたし、3人だからできたこともあると思うので、それがすごく良かったなと思っています。
桜井 お稽古からこんなに素晴らしい方々とご一緒に毎日長い時間を過ごせて、ゼロから色々なことを教えていただいていて、未だに「これはやった方が良いよ!「これはこうだよ!」と教えていただき、本当にすごくお世話になっています。本番も緊張して緊張して「どうしよう」と思っている時も、山口さんが毎回優しい笑顔で緊張をほぐしてくださり、舞台上に出してくださっているので、素敵な方ばかりで、初めての翻訳ミュージカルが『レベッカ』で良かった!とすごく思います。

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──2019年を迎えましたが、今年の目標は?
山口 最初に言ったように、このチャーミングな3人と『レベッカ』の舞台を楽日まで、3人の炎に燃え尽くされないように頑張りたいと思います。
平野 新年早々かなりヘビーな作品だと思うので、私も気をしっかり持って生き抜きたいと思います。
大塚 今年は猪年なので「猪突猛進」道を間違えずに。
山口 そうだね!
大塚 真っ直ぐ頑張りたいと思います。
桜井 普段はアイドル活動もしているのですが、今は余裕がないくらい、まず「楽日まで無事にやりきる!」が私の目標なので、ともかく『レベッカ』のことだけを頑張りたいと思います。

「レベッカ」桜井1
桜井玲香
 
──山口さん、大塚さんは初演からのご出演ですが、今までにはない今回の2019年版ならではの見どころは?
山口 10年前だからほとんど僕の骨も細胞も違うものになっていると思うので、存在自体が別ものになっている(笑)。
大塚 いいえ!
山口 また全く違う『レベッカ』に客席の皆さんとご一緒に出会えて、その時間を楽しめれば良いなと思います。
大塚 山口さんがおっしゃったように10年ってわりと長いですよね?
山口 はい!
大塚 生まれたての子供が小学3年生くらいになりますから!それくらいの月日が経っていて、同じ作品をこんなに時間が経ってやると、やっぱり人も変わりますし、感じ方も変わります。それは演出の山田(和也)さんも同じなのですが、携わってきた人たちも変わっているので、少し解釈が変わったり、より深くなるところがたくさんあるので、もっと深みを増した『レベッカ』になっていると思います。

「レベッカ」大塚3大塚千弘 

──では山口さん、最後に皆様にメッセージを。
山口 今日は1月4日でございますね?
大塚 はい、そうです!
山口 それでは4人で新年のご挨拶を!「明けまして」
4人 「おめでとうございます!」
山口 ということで、シアタークリエでミュージカル『レベッカ』をこの4人と、仲間たちと一緒に取り組みたいと思っています。どうぞ劇場の方に足をお運びください!お待ちしています!
 
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※公演レビューも近日公開予定です。どうぞお楽しみに!


〈公演情報〉
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ミュージカル『レベッカ』
脚本/歌詞◇ミヒャエル・クンツェ
音楽/編曲◇シルヴェスター・リーヴァイ
原作◇ダフネ・デュ・モーリア
演出◇山田和也
出演◇山口祐一郎、大塚千弘/平野綾/桜井玲香(トリプルキャスト)、石川 禅、吉野圭吾、今拓哉、tekkan、KENTARO、出雲綾、森公美子、涼風真世/保坂知寿(ダブルキャスト)ほか
●1/5〜2/5◎日比谷・シアタークリエ
〈料金〉12,500円(全席指定・税込)
〈問い合わせ〉東宝テレザーブ 03-3201-7777(9時半〜17時半) 
公式ホームページ https://www.tohostage.com/rebecca/

 

 

【取材・文・撮影(囲み会見)/橘涼香 舞台写真提供/東宝演劇部】





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2019年版始動!ミュージカル『アニー』の制作発表レポート!

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ミュージカルの金字塔として愛され続けている丸美屋食品ミュージカル『アニー』の、2019年公演が、4月27日〜5月13日東京初台の新国立劇場 中劇場で上演される(後、夏のツアー公演として大阪、松本、仙台、広島、名古屋でも上演)。

1977年にブロードウェイで開幕した『アニー』は、1930年代世界大恐慌直後のアメリカで、希望を失わずに生きる孤児アニーの存在が、やがて周りの人々にも勇気と元気を広げていく様を描いたミュージカル作品。同年のトニー賞で7部門を受賞し、日本では1986年の初演以来、全国で176万人が観劇した国民的作品として上演を重ね、出演者を選ぶオーディションの様子から、公演までのすべてがミュージカルを愛する少女達を生み出し続けている。2017年の公演からは『ジキル&ハイド』『ローマの休日』『ラ・カージュ・オ・フォール』『シスター・アクト〜天使にラブソングを〜』など優れたミュージカル、ストレートプレイの演出家として活躍する山田和也を演出に迎え、翻訳台本、振付、舞台美術、衣装などを一新。一層テンポ良い、現代に即してより観易くなったと好評を博したバージョンが、2019年公演として更にブラッシュアップされて帰ってくる。

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そんな2019年版丸美屋食品ミュージカル『アニー』の制作発表が12月に都内で開かれ、書類審査に合格した417名の中から厳しいオーディションを勝ち抜き、アニー役に選ばれた岡菜々子と山崎玲奈、アニーが暮らす孤児院の院長ハニガン役の早見優、アニーをクリスマス休暇に自宅に招待する大富豪ウォーバックスの秘書グレース役の蒼乃夕妃、ハニガンの弟ルースターと共に悪だくみを繰り広げるリリー役の服部杏奈が登壇。公演への抱負を語った。

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まず会見は、日本テレビ放送網株式会社廣瀬健一取締役執行役員が「2018年開局65周年の節目を迎えた日本テレビでは『笑点』が52年間、『24時間テレビ』が41年間続いています。この日本テレビ主催の『アニー』も2019年に34年目を迎えます。ブロードウェイで1977年に開幕した『アニー』は、翌1978年にツアーバージョンが生まれ、世界中で数世代に渡って支持されてきました。そんな伝統も踏まえながら、毎年オーディションで新しいアニーを選ぶという日本ならではの新しいチャレンジもしてきました。2019年の公演中には新元号となり、昭和・平成・新元号の3つの元号に渡っての上演に、今回広島公演も新たに加えてのチャレンジを続けていきます」と力強い挨拶からスタート。

続いて丸美屋食品工業株式会社阿部豊太郎社長が「丸美屋の『アニー』への企業協賛が17年目となり、日本テレビでの上演の半分を協賛させていただいてきたことになります。『アニー』はストーリーももちろんですが、子役たちが元気に歌い踊り演技をすることによって、観ている側も元気になれる作品です。総応募数、数千名の中から選ばれた子供たちが懸命に演じてくれることによって、皆様に元気を感じていただけるように、我々も舞台裏に丸美屋製品を差し入れて、一助を担いたいと思います」と、会見場にも並んだ馴染み深い丸美屋食品の数々の製品が、キャストたちの元気にも貢献していることを語った。

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出席キャストの登壇のあと、この時明治座で上演されていた『魔界転生』に出演中の為、会見出席が叶わなかったウォーバックス役の藤本隆宏から「2017年、2018年に続きウォーバックス役で出演させていただきます。とにかく昨年を超えるウォーバックスをお見せできるように精一杯やっていきたいです。菜々子ちゃんと玲奈ちゃん、二人と歌って踊ってお芝居ができるのを心待ちにしています。早見優さん、蒼乃夕妃さんをはじめ、素敵な大人キャストの皆様との共演も楽しみです。2017年に演出が新しくなり、演出、ステージングも年々少しづつ変化していますので、それも楽しみに劇場にいらしてください」との映像メッセージが届いた。
 
そこからまず司会からの代表質問により登壇者がそれぞれ挨拶。メディアの質疑応答へと引き継がれた。

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服部杏奈 岡菜々子 早見優 山崎玲奈 蒼乃夕妃 

【代表質問】

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──早見さん何度も『アニー』をご覧になっているとのことですが、公演に向けた意気込みを教えてください。
早見 小さい頃に『アニー』の映画を観て、2007年に私の娘たち二人と一緒に三人でミュージカル『アニー』を観ました。娘たちも『アニー』が大好きで、まさか今年このような形でハニガン役を務めさせていただくとは思ってもいませんでした。私は今までミュージカルの舞台は『オズの魔法使い』がドロシー役、『レ・ミゼラブル』がコゼット役と可愛い役をやらせていただいていて、今回は初めての意地悪な役ということで、どうやってこんなに可愛いアニーちゃんたちをいじめちゃうのかな、と思っていたのですが、娘二人には「いつものママの地を出せば良いんじゃないの?」と言われて(爆笑)、送り出されて来ました。大好きなお話なのでこの仲間の一員として参加できることを本当に嬉しく思います。よろしくお願いします。

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──宝塚でトップ娘役を経験された蒼乃さんですが、今回初めて『アニー』に出演されるに当たっての想いと意気込みは?
蒼乃 ロングランのミュージカルに初めて参加させていただくことを本当に光栄に思っております。グレースというお役は宝塚のOGの先輩、また事務所の先輩とたくさんの尊敬できる方々が演じてきた役なので、それを大切に自分らしくできたらなと今は思っております。私自身、子役さんと言っては失礼ですね。きっと立派な女優さんなのでしょうが、子供たちと一緒の舞台に立たせていただくのが初めてなので、今からとても楽しみにしていて。良い影響を自分自身がもらって皆と一緒に素敵なミュージカルにできたらなと思っております。よろしくお願いします。

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──服部さんは2006年にアニー役として出演されていましたが、当時の思い出と、今回その作品にリリー役で出演する意気込みをお願いします。
服部 今から13年前の2006年に21代目アニーとして出演しておりました。まさか自分がこうして『アニー』に戻ってこられるなんて夢にも思っていなかったので、今こうして衣装を着てもまだ夢なのではないかと思っています。当時は6年受け続けてやっと掴んだアニーで、とにかく嬉しさと皆様になんとしても良いものをお届けしたいという想いで、大人たちに食らいついていたのを今でも覚えています。稽古から本番千秋楽まで、キラキラした毎日だったと思います。今回リリー役として選んでいただけたことを本当に光栄に思っていて、悪だくみされる側から悪だくみをする側になる面白さを感じながら、良い舞台になるように精一杯務めさせていただきたいと思います。
──アニー経験者として、今回の二人のアニーに何かアドバイスは?
服部 私が2006年に出演させていただいた時にはジョエル・ビショップさんの演出で、今の山田和也さんの演出版とは全く違っていて、私は山田さんの新演出版も観させていただき、とても大好きでした。その中でもアニーの力強さとか明るさとか勇気は、一貫して持っているものだと思うので、それを大切にそして自由に、アニーの人生を楽しんでいってくれれば良いのではないかと思います。恐縮です(笑)。

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──ではアニーのお二人、自己紹介をお願いします。
 チーム・バケツ組、岡菜々子です。よろしくお願いします!四年生です!
山崎 チーム・モップ組、山崎玲奈です。小学六年生です!
──岡さんは『アニー』オーディションに3回目の挑戦で、更にアニー役以外ならば出演しないという決意で臨んたと伺っていますが、合格した瞬間はどんな気持ちでしたか?
 嘘みたいで、頭の中が混乱しました。練習をいっぱいがんばってよかったと思いました。孤児役で受かってしまうと、来年アニー役を受けられなくなるので、どうしてもアニーがやりたかったので、今年はアニー役だけにしました。

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──山崎さんは2回目の挑戦でしたが、今回アニー役に合格する自信はありましたか?
山崎 1回目を受けた時にダンスで落ちてしまったので、主にダンスの練習を続けていました。その時よりは成長したので、1回目よりは自信がありました。
──二人はどんなアニーになりたいですか?
 明るくて、元気で、暗い道でも光を照らせるようなアニーを演じたいです。
山崎 優しくて、皆に元気を与えられるようなアニーになりたいです。

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【質疑応答】

──アニーのお二人、お互いの印象を教えてください。
 山崎さんはとても優しくて、頼りがいのある人で、これから稽古を一緒にするのが楽しみです。
山崎 菜々子ちゃんは明るくてやんちゃなので、私が緊張して言葉が出ない時にも笑わせてくれて、緊張がほぐれるので、『アニー』の本番が終わっても仲良くしていきたいです。
──アニーと言えば明るい笑顔が印象的ですが、ご出演の皆さんがいつも笑顔でいられる秘訣は?
早見 時と場合によっては私も笑顔でいられない時もあるのですが、今回のミュージカルに関しては、先ほどちょっとアニーのお二人と話す機会がありまして、本当に小学四年生なの?六年生なの?というくらいしっかりしていて。そして確かに岡さん面白いですね(笑)。笑わせてくれました。きっと稽古中もスタジオ中にこのオーラが充満して、楽しい雰囲気で面白いお稽古になるのではないかな?と思います。私は年齢が年齢ですので、毎朝起きて身体が元気だと笑顔になります(笑)。
蒼乃 私は個人的にも映画やミュージカルを観るのが大好きなので、自分が好きなことをしている時って本当に笑顔になりますし、心も自由になりますから、そういう時間は大事にしたいと思っています。あとは「前向きに!」と自分に言い聞かせることはとても大事だと日々思うので、それは大切にしています。

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服部 私はお仕事を色々させていただいていますが、特に舞台のお仕事は関わる期間が長いので、いつも同じ人と一緒にいる時間が続いていくのですが、共に稽古をしたり休憩時間にご飯を食べたりする中で仲良くなっていくと笑顔が増えていくと思います。あとは実家で犬を飼っておりまして、犬と触れ合う時間は笑顔になります。『アニー』には犬のサンディが出てきますので、サンディが出て来ただけでお客様にも笑顔になっていただけるのではないかな?と思います。
 家族全員で美味しいご飯を食べに行ったりする時に笑顔になります。後はやっぱり自分の好きな舞台をやっている時はキラキラしているし、ずっと笑顔になれます。
山崎 菜々子ちゃんと似ているのですが、自分の好きなものを食べている時や、自分の好きな人形と遊んでいたり、好きなテレビ番組を観ている時が一番笑顔になります。
──大人キャストの皆様は今日初めてアニーと対面されたと思いますが、お二人の印象や共演で楽しみにしていることは?
早見 先ほど二人と話をしていたのですが、岡さんが「緊張するね!」と言ったら山崎さんが「じゃあ緊張しない魔法をかけてあげる」って話をしていて。私も横で聞いていたのですが、さりげなくその魔法にかかるようにちょっと近寄ったりしていました(笑)。本当に大人以上にしっかりしているのですが、とっても心が純粋でお二人と仕事をさせていただくのがとても楽しみです。
蒼乃 メイク中に二人が鏡の中を覗きこんで「わーグレースだ!」と言っているのを見ると本当に可愛らしいのですが、かと思うとこの制作発表の台本を読みながら練習している姿は、本当に真面目だと思います。今もこうやって話していると年相応な感じなのですが、きっと舞台の上では女優さんに変わるんだろうなというのが楽しみです。
服部 私は先ほどスタンバイで袖にいる時に二人がササっと寄ってきて、バーッと話してまたササっと去っていくのを見て、すごく自分の頃を思い出しました。私も未だに2006年にWキャストで一緒にアニーを演じた加藤茜ちゃんとは今の二人のように仲が良くて、それが私にとってとても幸せなことで。『アニー』って本当にかけがえのない宝物みたいな存在なので、その宝物をこの二人がどう共有していくのか見ているのが楽しみです。

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──ミュージカル『アニー』の中で好きな楽曲と、その理由を教えてください。
早見 なんと言っても「トゥモロー」ですが、今回ハニガン役をさせていただくに当たって、映画を観直したり楽譜を見たりしたら、すべての楽曲がとても素敵だなと。ハニガンの歌う「リトル・ガール」もそうですし、「イージー・ストリート」にはちょっとファンキーなグルーピーなものもあって、とても好きです。でもやっぱり人ってちょっと落ち込んだりすることもあると思うのですが、そういう時に「トゥモロー」の歌詞を見ると、明日も頑張ろう!と思わせてくれるのでとても好きですね。
蒼乃 やっぱり私も「トゥモロー」ですね。世界中どこに行ってもこの曲を聴くと「あ、『アニー』の曲だ!」と思わせてくれる、このミュージカルを代表する曲だと思います。あとは、私は今回グレース役をさせていただくに当たってのオーディションの時に、グレースがアニーをおもてなしする曲「I Think I'm Gonna Like It Here」を歌わせてもらって、それからすごくあの曲自体がグレースのパリッとした部分、豪邸を仕切るウォーバックスの秘書としての部分をとても表現していると思いますし、そこからアニーと一緒に歌い出すのが素敵だなと思いました。ポスター撮りの時にもその曲がずっとかかっていて、グレースのスイッチが入りやすいので、グレースの曲はとても気に入っています。
服部 私もやっぱり「トゥモロー」が大好きです。『アニー』と言ったらなんと言っても「トゥモロー」だと思います。私は個人的に今でも家で弾き語りで、お客様ゼロの状態でも歌ったりしています。そうしていて思うのは、子供の時に歌ったのと今とでは「トゥモロー」って歌いながら入ってくる言葉が違って。それは、大人になって色々と経験して変わっていった部分なのかなと思います。また『アニー』の舞台が始まる最初のオーバーチュアが大好きで、冒頭のメロディがかかった瞬間に奮い立たされるあの気持ちは、何度『アニー』を観ても、これから先なんの舞台に立っても味わっていくものなのだろうと思います。
 私は二つあって、ひとつはやっぱり「トゥモロー」で、何度聞いても元気になって、流れていると勝手に歌っているくらい大好きな曲です。あとはタイトルはわからないのですが、ウォーバックスさんがアニーに養子になって欲しいというところの歌が好きです。
山崎 急に変わるんですけど、私は「二人でいればいい(I Don't Need Anything But You)」が好きです。理由はウォーバックスさんと二人で踊っていて、本当に笑顔になれるからです。


【囲み取材】  

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和やかな会見はこれで終了。引き続きフォトセッションのあと、会見と同じキャスト五人を囲んでの囲み取材も行われた。

──アニーの二人はこんなにたくさんのマスコミに囲まれていかがでしたか?
 とても緊張しましたが、とても楽しかったです。
山崎 私もとても緊張しましたが、全く同じなのですが楽しかったです。
──アニーの合格発表から2ヶ月ほど経ちましたが、学校での反応などはどうですか?
 学校の皆は私の呼び名を「岡さん」じゃなくて「アニー」に変えて。あとは皆「観に行く!」と言ってくれたり、応援したりしてくれています。
山崎 私もあだ名が女の子からは「アニー」になったんですが、男の子からは「ポンコツアニー」になって(笑)。何故にポンコツが入っているのかわからないのですが(笑)、友達の女の子たちが「絶対に観に行くから!」と言ってくれているので嬉しいです。
──早見さんハニガンを演じるに当たって準備していることは?
早見 今は発声練習と台本を読み始めていますが、いつも優しいからなかなかお役に徹底できるかわからないのですが(笑)、二人をギャフンと言わせられるようにお芝居も頑張りたいと思います。
──服部さんアニーからリリーになった気持ちは?
服部 本当に光栄です。電車の中でマネージャーからの電話で「杏奈、杏奈、リリーになったよ!」と聞かされて、電車の中なので声が出せなかったのですが、心の中で叫んだくらい興奮しました。今から本当に楽しみで仕方がないです。
──アニーの二人は稽古で楽しみにしていることは?
 台詞をやってみるのも楽しみだし、後は山田さんに色々ご指導いただいて、玲奈ちゃんと一緒にお稽古してこれからどんどん成長していくのが楽しみです。
山崎 私は(犬の)サンディ稽古なんですけど、大型犬と触れ合ったことも犬と触れ合ったこともないので、サンディに認められるように頑張ります。
──大人キャストの皆さん、公演中に元号が変わるのですが、それについては?
早見 そうなるんですか?
服部 今、聞いて知りました!
早見 ちょうどなんですか?
──公演中に変わります。
早見 二つの時代をまたいでいる『アニー』ってまた特別な感じがしますね(アニーの二人に)「あの頃は…」って言うんだよ!(笑)
服部 大人になったらね!記念すべき『アニー』になりますね。
蒼乃 思い出に残りますね。
──早見さん意地悪役が珍しいと言ったらお子さんに「地を出せば平気」と言われたとのことですが、思い当たる節は?
早見 娘はもう17歳と15歳で口はすごく達者で「あ〜爽やかな早見優が、うーん、いつもママが私達を叱っているようにやれば大丈夫なんじゃない?」と言いまして(笑)。それは普段は母親ですから、叱る時は叱りますからね(笑)。

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──朝起きて健康なことが一番とおっしゃっていましたが、今骨折していると伺いましたが…
早見 そうなんです。ちょっと加湿器が転倒しそうになって「危ない!」と思ったらこっちが転倒してしまって足の指を。でも英語では舞台の前に「Break a leg!」と言うんですね。「頑張って!」という意味なのですが、直訳すると「足1本でも折ってきな!」という。今まさにそうだなと思って、スタート結構良い感じかなと思っています(笑)。
──意地悪な役は記憶にある限りは?
早見 ないですね。いつも優しい可愛い役なので、だから最初『アニー』のミュージカルのお話をいただいたと聞いて「えっ?アニー役かしら?」(爆笑)、ってそんなことは思わないですけれど(笑)。でもグレースみたいな役が多かったので、どうしようかしらと思って、今は色々な方が意地悪な役を演じておられる作品を観ています。
──具体的にはどなたを参考に?
早見 自分が想像しているのが昔の方なので、フェイ・ダナウエイ等の洋画を色々観たりしていて、特に『アニー』だけではなく観ています。ハニガンさんって年齢がすごく高いかな?と思いがちなのですが、たぶん30歳そこそこで。
服部 そうそう!
蒼乃 そうですね。
早見 当時は30歳で結婚していないとオールドミスって言われてしまったり、子供の世話をしないといけないのだけれども、本当は恋をしたいという気持ちが上手くいかないからお酒を飲んじゃったりする、という役なので、そういうイメージでとらえています。
──ではアニーのお二人に一言お願いします。
岡・山崎 是非観に来てね!


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『アニー』2019年版 合格発表レポートはこちら
http://kangekiyoho.blog.jp/archives/52063673.html

〈公演情報〉
丸美屋食品ミュージカル『アニー』2019 
脚本◇トーマス・ミーハン
作曲◇チャールズ・ストラウス
作詞◇マーティン・チャーニン
翻訳◇平田綾子
演出◇山田和也
音楽監督◇佐橋俊彦
振付◇ステージング:広崎うらん
出演◇岡 菜々子 / 山 玲奈(Wキャスト)、藤本隆宏、早見優、蒼乃夕妃、服部杏奈、阿部裕 ほか
●2019/4/27〜5/13◎新国立劇場 中劇場
〈料金〉8,500円(全席指定・税込)
【夏のツアー公演(予定)】
●8/1〜6◎大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
●8/10◎松本・まつもと市民芸術館 主ホール
●8/17〜18◎仙台・東京エレクトロンホール宮城
●8/24◎広島・JMSアステールプラザ 大ホール
●8/30〜9/1◎名古屋・愛知芸術劇場 大ホール
〈公式サイト〉http://www.ntv.co.jp/annie/




【取材・文・撮影/橘涼香】


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