えんぶ本誌の宝塚記事取材の機動力を生かして、宝塚歌劇の製作発表、会見などをいち早く紹介。 宝塚OGの公演やインタビューのほかに公演の批評なども展開しています。


ゲストに大和悠河『SWAN2017』

ダンスチーム「s**t kingz(シットキングス)」がミュージカル・コメディ『パジャマゲーム』のオフィシャルサポーターに就任!

パジャマゲーム新ビジュアル

北翔海莉の宝塚退団後初の舞台となるュージカル・コメディ『パジャマゲーム』。その公演オフィシャルサポーターとして、ダンスチーム「s**t kingz(シットキングス)」の就任が決まった。
この作品がブロードウェイで初演された当時、エポックとして世間に衝撃を与えた。そんなミュージカルだからこそ、現在ダンス界に新しい風を吹かせ続けているシットキングスの斬新さがぴったりであるということで、オフィシャルサポーターに就任することが決定した。

【s**t kingz から応援メッセージ】
まだ新しいダンスにしか興味がなかった頃、たまたま見た古いミュージカル映画の面白さに稲妻に打たれたかのような衝撃を受けました。そこからミュージカル映画のダンスシーンを漁るように見ていたら、この「パジャマゲーム」に出会いました。心地よい音楽や、ユーモアとアイディアに溢れたオシャレなパフォーマンス。いつか、生で見てみたい。そう願っていたら、とうとうその夢が叶う日が来たみたいです!
時代を超えて愛される作品を、生で観て感じる事が出来るのを、今から楽しみにしています! 
s**t kingz
 
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【s**t kingz】
shoji、kazuki、NOPPO、Oguriから構成される、ダンス界のパイオニア的パフォーマンスチーム。2017年の今年10月で迎える「結成10周年」を記念して、11月には、自身初のBillboard Liveでのワンマンショーを開催!全曲生バンドとのコラボレーションがYahooニュースに取り上げられるなど、注目されている。 
昨年の単独公演では、初のロングラン公演を実現!東京をはじめ、大阪・名古屋・松本・広島・福岡と全国2万人の動員を記録。彼らが作り出す、ダンス×コメディのノンバーバルパフォーマンスは、マツコ・デラックスをはじめ、多くの著名人からも高く評価されている。
また、表現力・エンターテイメント性から、世界屈指のビッグメゾン”HERMES” のフランス本社よりご指名を受け、2016年秋、日本初開催となる同社のパーティーでパフォーマンス。国内では”Sony”より、1年をまたぐ新技術開発ビッグプロジェクト「Motion Sonic Project」の公式パートナーとして任命を受け、集大成として、世界最大のテクノロジーフェス「SXSW」にてSony × s**t kingzのショーを出展。世界各国から集まった来場者達を拍手喝采の熱狂に包み、大成功を収めた。
ダンス界の枠を飛び越えた活躍は、名実ともに、日本のトップを走り続けるパフォーマンスチームと言っても過言ではない。
 
s**t kingz公式サイト http://shitkingz.jp/
s**t kingz ✕ 『パジャマゲーム』コラボ動画 https://youtu.be/G0UBTRH2Y8A

 
〈公演情報〉
ミュージカル・コメディ『パジャマゲーム』 
演出◇トム・サザーランド  
振付◇ニック・ウィンストン
出演◇北翔海莉 新納慎也 大塚千弘 上口耕平 広瀬友祐 阿知波悟美 佐山陽規 栗原英雄  他
●9/25〜10/15◎日本青年館ホール
〈料金〉S席11,500円 A席8,500円 (全席指定・税込)
●10/19〜29◎梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ 
〈料金〉11,500円 (全席指定・税込) 
〈お問い合わせ〉東京 0570-077-039   大阪 06-6377-3888
公式HP http://pajama-game.jp/





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霧矢大夢×松本百合子『ネリー・アルカンの世界〜愛と激情に生きた作家』特別講義を開催! 

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霧矢大夢

6人の女優と1人のダンサーで、1人の女性の人生を描く舞台『この熱き私の激情〜それは誰も触れることができないほど激しく燃える。あるいは、失われた七つの歌』が、今年11月に銀河劇場で上演されることを記念して、9月25日、朝日カルチャーセンター新宿にて『ネリー・アルカンの世界〜愛と激情に生きた作家』と題した特別講義が行なわれる。

たった8年間で、心の内側に秘めたその怒りを爆発させ、強烈で目をそらしてしまいそうな作品を執筆、大胆かつ悲劇的に去って行った小説家ネリー・アルカン。ネリーの書いた小説には、モントリオールで高級コールガールだった時代のこと、これまでの人生、自分が「女」であること、あるいは家族の中でつねに感じていた疎外感など、自身の生涯を赤裸々に小説の中に綴っている。
今回は、ネリー・アルカンの4作品の小説をコラージュし舞台化した『この熱き私の激情〜』の出演者の1人である、元宝塚月組トップスターで、退団後も数多くの舞台で活躍中の霧矢大夢と、ネリーのデビュー作である小説「Putain」を翻訳した松本百合子(9月下旬にパルコ出版から改訂翻訳版が発売)が、ネリーの作品像、女性と表現をめぐって語り合う。また、霧矢のこれまでのターニングポイントとなった舞台作品など、俳優人生についても語られる予定。ネリー・アルカンの鮮烈な世界に触れる絶好の機会だ。

ネリー・アルカン
Nelly Arcan (ネリー・アルカン)
1973年生まれの女性作家。カナダ、フランスでとても人気のある作家。
たった8年の間で、心の内側に怒りを秘めた若い女性がその怒りを爆発させ、強烈で目をそらしてしまいそうな作品をつくり、大胆かつ悲劇的に去って行った・・・・。
本名イザベル・フォルティエ(Isabelle Fortier)は2001年、小説「Putain (「邦題:キスだけはやめて」)」で作家デビュー。フランスのSeuil出版社(Editions du Seuil という歴史のある有名な出版社)に原稿を送ったところ、2週間で出版で決まり、処女作「Putain」が出版され、一躍有名作家の仲間入りを果たした。
このパワフルで精神を混乱させる作品の中で作者自身がコールガールだった時代のことを語っている。その後、2004年に「Folle(「狂った女性」という意味)」と2007年に「A ciel ouvert (「野外」という意味)」の2冊を出版している。2009年9月24日に自宅アパートにて自殺。その数日後に「Paradis, clef en main(「天国、鍵を掴んで」の意味)」が店頭に並び、2年後に「Burqa de chair(「肉のブルカ」という意味)」が出版され、その中に未発表の作品「La robe(「ドレス」という意味)」と「La honte(「恥」という意味)」が世に出る。

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『この熱き私の激情〜それは誰も触れることができないほど激しく燃える。あるいは、失われた七つの歌』
本作品は、2013年にカナダ・モントリオールのESPAS GOにて、ロベール・ルパージュと長年コラボレートしている演出家であるマリー・ブラッサールの翻案、演出で上演された。
今回の日本での上演では、松雪泰子、小島聖、初音映莉子、宮本裕子、芦那すみれ、霧矢大夢という女優6名、そしてダンサーとして国内外で活躍する奥野美和というまさにベストキャストとも言うべき女優・アーティストが集結する。
出演者7名(女優6名と1名のダンサー)が異なる立ち位置から、心の襞を、痛みをアレクサンダー・マクスウィーンの音楽とともに語り、描きだしていく。
懸命にもがき生きた1人の女性の中に渦巻く様々な感情、そして死へと向かうさまが万華鏡のように舞台に照らし出され、それぞれの声、ことばが重なりあい、舞台にこだまする。

〈イベント概要〉
『ネリー・アルカンの世界〜愛と激情に生きた作家』
講師:元宝塚月組トップスター・霧矢大夢、翻訳家・松本百合子
日時:2017年9月25日(月)19:00〜20:30
会場:朝日カルチャーセンター新宿 朝日JTB・交流文化塾(東京都新宿区西新宿2-6-1 新宿住友ビル10階)
受講料:一般 4,104円、朝日カルチャーセンター会員 3,456円(入会金は5,400円。70歳以上は入会無料、証明書が必要)
〈公演チケットとセット〉
朝日カルチャーセンター会員 9,800円『この熱き私の激情』チケット(通常価格S席 9,000円)付 
一般 10,400円『この熱き私の激情』チケット(通常価格S席 9,000円)付 
※公演チケット日時:11/5(日)14:00公演、11/7(火)14:00公演、11/9(木)19:00公演のいずれかを選んで下さい。席は選べません。申し込み後のキャンセルは承れません。
※入会金・受講料は消費税8%を含む金額です。
〈お問い合わせ〉03-3344-1945または03-3344-1941(月〜土 10時半〜18時半)
募集開始:2017年8月22日(火)WEB、窓口/午前9時半〜。電話受付/空席がある場合のみ、午前10時半〜。

〈公演情報〉
PARCO Production
『この熱き私の激情〜それは誰も触れることができないほど激しく燃える。あるいは、失われた七つの歌』
原作◇ネリー・アルカン 
翻案・演出◇マリー・ブラッサール    
翻訳◇岩切正一郎
出演◇松雪泰子 小島聖 初音映莉子 宮本裕子 芦那すみれ 奥野美和 霧矢大夢
●11/4〜19◎銀河劇場
他、広島、北九州、京都、愛知にて上演
〈お問い合わせ〉パルコステージ 03-3477-5858 
http://www.parco-play.com




【ネリー肖像画クレジット/Ulf Andersen/Getty Images】



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新コンビで贈る宝塚王道の二本立て公演! 宝塚花組公演『邪馬台国の風』『Sante !!』

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充実の時を迎えているトップスター明日海りおに、新トップ娘役となった仙名彩世の新たなコンビを中心とした宝塚花組公演古代ロマン『邪馬台国の風』レビュー・ファンタスティ—ク『Sante !!〜最高級ワインをあなたに〜』が、日比谷の東京宝塚劇場で上演中だ(27日まで)。
古代ロマン『邪馬台国の風』は、今から約1800年前の古代日本に女王卑弥呼が治める国があったという、その伝承だけが世に広く知られている女王卑弥呼を足掛かりに、想像の翼を広げたオリジナル作品となっている。

【物語】
3世紀半ばの古代日本──日本列島が「倭」と呼ばれ「王」を指導者とする幾つものクニと、クニとの争いが長く続いている時代。クニグニの連合の中心である邪馬台国と、対抗勢力の狗奴国との勢力争いは日増しに激しさを増し、民の苦しみが続いていた。その一人であり狗奴国との戦で両親を失い天涯孤独の身となっていた少年タケヒコ(華優希)は、大陸から渡来してきた李淵(高翔みず希)に助けられ、彼の元で戦術と生きる術を学ぶ。時が経ち、戦術にも長け凛々しい青年に成長したタケヒコ(明日海りお)は、李淵からもう教えることはない、旅立つ時が来たと諭された折も折、狗奴国の将クコチヒコ(芹香斗亜)の率いる兵に李淵を殺され、新たな運命へと足を踏み出す日を迎える。 
ある日タケヒコは、やはり狗奴国の兵に襲われていた娘マナ(仙名彩世)を助ける。神の声を聞く霊力を持つマナは、巫女となる為に邪馬台の里に向かう途中で、マナはタケヒコがいつか海を渡り、遠いクニに行くこと、タケヒコと自分は遠い昔に出会い、再び巡り合う日を誓い合っていたと告げる。不思議な運命を感じた二人はたちまちにして惹かれ合うが、マナは自分の霊力を人々が平和な暮らしを取り戻す為に役立てたいと語り、邪馬台の里へと向かう。マナを迎えに来た邪馬台国の兵の長アシラ(鳳月杏)は、タケヒコの優れた武術を認め、邪馬台国の兵となることを勧める。
邪馬台国の平和に尽力することは、亡き両親、李淵、更にマナを守ることにもなると決意したタケヒコは邪馬台国の兵となり、ツブラメ(水美舞斗)フルドリ(柚香光)イサカ(城妃美怜)ら、仲間を得て更に力を発揮するようになる。
ちょうどその頃、倭国連合の中心となる邪馬台国の王が亡くなり、諸王たちは次の王を誰に定めるかを議論するが、我こそがその任に相応しいと自負する奴国の王ヨリヒク(瀬戸かずや)の思惑は諸王の支持を得られず、大巫女(美穂圭子)より、次の大巫女に指名されたマナを、女王卑弥呼として即位させる案が決着する。だが、ヨリヒクはこれに憤慨し、同じように自分こそが女王となるべきだと考える邪馬台国の亡き王の娘アケヒ(花野じゅりあ)の讒言に乗り、狗奴国の王ヒミクコ(星条海斗)に通じ、狗奴国に邪馬台国を攻めさせ、卑弥呼を追い落としその地位にとって代わろうと企てる。
そうした策謀が渦巻いているとは露知らぬまま、マナは女王卑弥呼として即位。その宴の席でタケヒコは初めて新しい女王が、あの日運命の相手だと感じたマナその人だと知る。遠く身分を隔ててしまった二人。だが、互いを想う気持ちは変わらず、二人は禁じられた逢瀬の時を持つ。だがそれこそが、女王卑弥呼の失墜を狙う者たちの計略に他ならず……

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古代日本に女王卑弥呼がいたという伝承は、その人となりはもちろん、邪馬台国が日本のどこにあったのかという議論にも決着がついていない、神秘のペールに包まれたものだ。それだけに、女王卑弥呼は常に歴史上の女性の中でも大きな人気を博しているし、ある意味で1つも正解がない、創作のし甲斐のある時代であり、人物だと言えるだろう。
実際、この『邪馬台国の風』でも、髪型や装束を文献に頼らず自由なビジュアルを選択したことにはじまって、どちらかと言えば劇画よりの世界観が、宝塚の男役と娘役を引き立てる要素となっている。これは作・演出の中村暁の賢い選択だったと思うし、少年タケヒコと入れ替わり、青年タケヒコが登場する演出や、女王となった卑弥呼が鏡を手に舞台中央高見に現れる場など、如何にも雅で、古式ゆかしい宝塚ロマンの香りが漂う各場面には、懐かしさも覚えた。
だから、このゆったりした展開が宝塚ならではの「古代ロマン」を目指している故のことなのは十分伝わるのだが、その為にドラマの筋運びも淡々と緩やかなものになっていて、やや時間切れの印象も残る。特に主人公二人が、運命の恋よりも邪馬台国の平安を願うという、崇高な思いに帰結するドラマの、最大の山場であろう邪馬台国と狗奴国との頂上決戦が描かれず、効果音だけの演出になったのはもったいない。
もちろんこれによって舞台上の山場が卑弥呼が日蝕を預言した神秘の場に集約される効果はあったのだが、卑弥呼=マナを守ろうとするタケヒコ、そのタケヒコを守ろうとして倒れた戦友のツブラメ、フルドリ、イサカ、更には最大の脅威であるはずの狗奴国の権威を唱え続けたクコチヒコの死が、ドラマの中でどうしてもあっさりと過ぎていってしまったのが惜しまれる。
もちろんこうした優雅な世界観は宝塚に似つかわしいし、ポスタービジュアルから感じたワクワクした気持ちが、出演者たちが動き出すことで更に増幅されてもいたので、その優雅さを損なわない程度に、舞台機構を利用するなどして、全体をもう少しアップテンポすると、更に見応えのある作品になり得たのではないか。東京公演に際してラストシーンにタケヒコの旅立ちを描くなど、ブラッシュアップされた部分は多々あり、作家の意欲は感じるので、また様々な可能性を掘り下げていって欲しい。

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そのポスタービジュアルで、まず見る者を惹きつけたタケヒコの明日海りおは、こと改めて言うことではないかも知れないが、それでも本人からあふれでる「華」に圧倒される。特にプロローグを経て、少年タケヒコからの入れ替わりで、ドラマ部分として初登場した時の明るい笑顔がなんとも爽やかで、物語の展開に期待を抱かせるに十分。登場人物の多くがタケヒコに惹かれていく展開を、ものの見事に納得させる好漢ぶりが際立った。和洋折衷のビジュアルもよく似合い、古代のヒーローに瑞々しい現代性を与える力ともなっていた。
 
不思議な霊力を持つ少女マナの仙名彩世は、この公演から花組トップ娘役の地位に就いた。大劇場ヒロインデビューが伝説の女王卑弥呼というのは、これまで大人の女性を演じた経験も豊富な仙名にとって与しやすい役柄だったと思うし、事実さすがの位取りと押し出しを見せてくれているが、恐らくこの人が経てきた道程で敢えて封印してきたのだろう少女性が、マナの造形からこぼれ出てきたのが面白かった。必ずしもヒロイン候補ではなかった実力派がこうして大きな地位を得て、更に意外な魅力を発揮していることは喜ばしく、良い披露となったのは何よりのことだ。

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狗奴国の将クコチヒコの芹香斗亜は、本人の抜群のプロポーションと、花組の二番手男役として培ってきた存在感ひとつに賭けて、役柄を支えたのが天晴れ。クコチヒコという人物には、個人のドラマと言えるものがほとんど描かれていず、それでいて主人公に対峙する強敵として在ることが求められている、作品の中でも難役中の難役だが、それがかえって、黒装束の美しさと威圧感とで全編を押し切った芹香の自力を改めて感じる場となっていた。大劇場公演としてはこれを最後に宙組に転出することが発表されたが、新天地でも大きな戦力となることだろう。期待したい。

タケヒコの戦友たちの中では、フルドリの柚香光に明るさと柔らかさが増してきたのが目を引いた。元々の個性に鋭さがある怜悧な美貌の持ち主だが、その外見の中に実はある本人の茶目っ気や、少年性に通じる個性が、伸びやかに現れるようになってきているのは、二枚目男役として価値ある成長と言える。芹香転出で更に大きな責任を負うことになるのは必至だから、この変化は組にとっても喜ばしいことだ。

また、ツブラメの水美舞斗は、言葉を発することができないという非常に難しい、だからこそ舞台上で強烈な印象を残せる役柄に巡り合い、存分にスターとしての輝きを発揮しているし、イサカの城妃美怜も男勝りの女兵士が心に秘めるタケヒコへの想いを健気に描き出して見応えがある。アシラの鳳月杏はやはりその存在感で役を大きく見せているし、イサカと同じくタケヒコに想いを寄せるフルヒの桜咲彩花のたおやかさも良い。ツブラメに片思いしているトヨの朝月希和、卑弥呼付の女官イヨの音くり寿、少年タケヒコの華優希など、期待の娘役たちを上手く見せたのをはじめ、羽立光来、優波慧、綺城ひか理、矢吹世奈、等、歌える人が歌い、踊れる人が踊る中村の目配りはなかなかに周到だ。

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敵方としては奴王ヨリヒクの瀬戸かずや、アケヒの花野じゅりあに、何故卑弥呼に敵対するかがわかりやすい理由が、きちんと描かれているのが好走してインパクトがあるし、大巫女の美穂圭子、狗奴王ヒミクコの星条海斗の専科勢はびっくりするほど贅沢な起用法で、作品の濃いアクセントとなっている。いつもながらの天真みちるの芸達者ぶりも楽しめるし、この公演が退団公演となる夕霧らい、梅咲衣舞の、花組の貴重な人材を大切に扱っているのにも好感が持てた。

全体に、神の声、予知、盟神探湯の儀式など、古代ならではのしつらえのそれぞれは印象的で、宝塚ならではの世界観が描かれている舞台だった。

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そんな雅で緩やかな世界から一転、「ワインを飲んでみる数々の夢」をテーマに繰り広げられる華やかなレビュー、レビュー・ファンタスティ—ク『Sante !!〜最高級ワインをあなたに〜』は藤井大介の作。ワインの香り、更にシャンパンの泡が弾けるような、ちょっと大人で、畳みかける怒涛のスピード感あふれるレビューになっている。

特に、「ボルドーの5大ワイン」と称して、芹香、柚香、瀬戸、鳳月、水美が女役で登場する冒頭から、藤井好みの世界が炸裂。観客と「Sante !!」という客席下りも含んだ賑やかなシーンから、明日海、仙名を筆頭に、花男、花娘と称される、こだわりの美学が詰まった花組ならではの場面が立て続き、もうすべてがあっという間。あまりに盛りだくさんで目が足りないという気持ちにさせられる贅沢感が良い。

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中でも、美穂のエディット・ピアフと星条のマルセル・セルダンという専科メンバーのこれぞ!というシーンが用意されていたり、瀬戸と、女性役に回った水美に、和海しょうという贅沢な「オペラ座」の1場面など、アクセントを挟みつつ、明日海の出番もたっぷりという構成が良くできていて、宝塚を花組を長く観ている人ならば、涙を禁じえないだろう「乾杯」による大階段のダンスも美しく揃い、新トップコンビのデュエットダンスまで、「これぞ花組!」を感じさせる充実したレビューとなっている。

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初日を前に囲み取材が行われ、花組トップコンビ明日海りおと仙名彩世が記者の質問に答えて公演への抱負を語った。

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まず明日海が「今日はお忙しい中お集まりくださいましてまして、ありがとうございます。本当に暑い中の公演になりますが体調に気をつけて、心して頑張りたいと思います。よろしくお願いします」と挨拶。

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続いて仙名が「本日はお集まり頂きまして、ありがとうございます。東京の皆様に楽しんで頂けるように精一杯頑張っていきたいと思います」

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と述べて、それぞれが公演への想いを語った。

その中で、作品の見どころは?との質問に、「お芝居は東京にくるにあたりおのおのブラッシュアップを重ねて、立ち廻りやお芝居も、より楽しんで頂けるものになっているのでは」と明日海が語ると、仙名も「セットや曲やお衣装や全て揃うととても神聖な感じがして想像を膨らませている」と、更なる意気込みを感じさせる力強い言葉が聞かれた。

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またショーは、「花組ならではの熱いショー、藤井大介先生ならではのチョイワルという感じのショーです」と明日海が表現すると、仙名も「明日海さんもおっしゃった通りちょいワルな感じもする、てもゴージャスでオシャレなショーです」と言葉を揃え、早くもコンビとしての息があった回答となった。

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更に、どんなトップコンビになっていきたかという問いには、「こういうトップコンビになりたいです!、と言ってしまうと、それにしかなれないような気がするので、作品ごとにお客様に新鮮に映るようなトップコンビでいたいです」と語った明日海が「あ…言っちゃいましたね」と思わず言って、場の笑いを誘うなど終始和やかな雰囲気の会見で、新たな花組トップコンビに対する期待の高まる時間となっていた。
 
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尚、囲み取材の詳細は舞台写真の別カットと共に、9月9日発売の「えんぶ」10月号にも掲載致します。どうぞお楽しみに!


〈公演情報〉
宝塚花組公演
古代ロマン『邪馬台国の風』
脚本・演出◇中村暁
レビュー・ファンタスティーク『Sante !!』
作・演出◇藤井大介
出演◇明日海りお、仙名彩世 ほか花組
●7/28〜8/27◎東京宝塚劇場
〈料金〉SS席 12,000円 S席 8,800円 A席 5,500円 B席 3,500円 (全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉東京宝塚劇場 03-5251-2001

※『Sante !!』のeには「アクサン・テギュ」がつきます。



【取材・文/橘涼香 撮影/岩村美佳】


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井上ひさしの傑作音楽喜劇『円生と志ん生』に挑む! 大空ゆうひインタビュー

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昭和を代表する噺家、六代目三遊亭円生と五代目古今亭志ん生。2人は戦時中、連れだって満州各地を放浪し、終戦の8月15日を迎えたが、そのままソ連軍によって占領された満州南端の大連市に封じ込められた。この史実をもとに、彼らが人生との戦いを通じて話芸を磨き上げていく様を、虚実を交え趣向を凝らして描いた、井上ひさしの『円生と志ん生』が、こまつ座第119回公演として10年ぶりに上演される。
 
舞台は、昭和20年夏から22年春までの600日間。占領軍によって閉ざされた港湾都市大連に、いつ祖国へ帰れるのかもわからぬまま封じ込められた実直勤勉な円生と気ままで大酒飲みの志ん生、そして20万人の日本人。その混沌の中で2人は4人の女性たちと関わり、結果的に彼女たちを救っていく姿が描かれていく。
エピソードは5つあり、その中で登場する女性たちをすべて4人の女優が演じ分ける。この戯曲の鍵にもなっている、人生の大きな壁に直面した個性豊かな女性たちの姿から、人と人が関わることでしか生まれない「笑い」の大切さが浮き彫りになる。井上作品ならではの妙味と力のある作品だ。
そんな作品で、次々と役を変えて登場する女優の1人として、こまつ座の舞台に初登場する大空ゆうひ。元宝塚宙組のトップスターで、現在女優として多彩な活躍を続ける大空が、念願だったというこまつ座の舞台初出演への意気込み、井上ひさしの世界の魅力や「笑い」の力、また宝塚出身者として感じることなどを語ってくれた。

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言葉の力と、4人の女性が次々と役を変えていく面白さ

──今回の舞台は昭和を代表する噺家、三遊亭円生と古今亭志ん朝を描いたものですが、まず大空さんがこれまで持っていた落語のイメージはどんなものでしたか?
実際に寄席に行ったこともあるのですが、特に1年前くらいから興味が膨らんできていて、もっと色々観たいなと思っています。やはり話術の素晴らしさというものにとても関心がありますし、同じ噺でも、噺家の方によって全く違うものになるのが興味深いです。例えば15分の間、たった1人で観客を惹きつけ続けて最後まで持っていくエネルギーには、芝居と同じものを感じますから、役者としても、吸収できるものがとても多いですね。機会があったらやってみたい、習ってみたいなあ、なんて…(笑)
──では、この舞台にはより心惹かれるものがありますね。
私自身は噺家の役ではないですが、稽古場で落語の世界に多く触れられるでしょうし、声の力、話し方の力というのはとても奥が深いので、自分の台詞にとっても勉強になるだろうと思っています。
──そんな中で、井上ひさしさんの戯曲を読んだ時、まず何を感じましたか?
円生さんと志ん生さんのやりとり自体がまず落語のようですし、言葉のやりとり、言葉の面白さ、更にそこに4人の女性が次々と色々な役で関わってくるという構成がすごく面白いなと思いました。1つの作品でこんなに役が変わっていくことは、なかなかないので、面白そうだということと同時に、難しそうだなとも思いました。
──その様々な役を演じ分けるにあたって、描いているプランなどはありますか?
まだプランと言えるようなものはないのですが、様々な役を演じることを楽しめるところまでは行きたいなと思います。全体を通して、この苦しい時代に生きた女たちの人間臭さや、大地に足をつけて踏ん張っている感じ、踏ん張っているといっても、歯を食いしばっているというのではなくて、こんなに大変な局面に立っていても、粋な会話も交わし、可笑しみをもって生きていく。私にとって今までにない世界観ですし、この舞台で新しい景色が見られたらいいなという目標があります。稽古場ではたくさん苦しむと思いますし、緊張感ある日々にもなると思いますが、念願叶ってこまつ座の舞台に立たせて頂くのですから、楽しまないでどうする!という気持ちもあるので、楽しむための努力を重ねていきたいです。

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無駄なものが1つもなくて美しい井上作品

──こまつ座の舞台に立つのが念願だったという言葉がありましたが、井上ひさし作品の魅力をどう感じていますか?
私自身はまだ実際に井上先生の書かれた台詞を自分で発したことがないので、想像の部分もあるのですが、舞台を拝見していていつも感じるのは、演じている皆さんが井上先生の言葉の持つ力に引き上げられる部分が、きっとあるのではないかと。句読点の位置、言葉の並べ方、会話のリズム、それらすべてに井上先生の想いが籠められていて、他愛もない会話が挟まれていながら、実は1つも無駄なものがないという美しさを感じます。ですから、自分が余計なものを入れてはいけないと思いますし、その美しさを大切にしたいです。これだけ多くの人を惹きつけてきた何か、それは自分自身が作品に入って、自分で言葉をしゃべったときにこそ、見出せるのではないかという期待がありますので、それを探っていきたいです。
──この作品の描き方もまさにそうですが、井上作品はどんな困難な中にも必ず笑いがあり、難しいことも易しく語ってくれますね。
そこに、すごく大人の粋を感じますし、おしゃれな伝え方で、カッコいいなと思います。先日、『イヌの仇討』を拝見したのですが、やはり死生観といいますか、命の尊さ、大変な状況の中でも精一杯生きることを、決して重くなく伝えてくださっていて、明日も一生懸命生きようというエネルギーをもらえたので、今回の作品からもそういった力が伝えられたら素敵だなと思います。
──今回の共演者は、『HEADS UP!』で演出家としてご一緒されたラサール石井さんをはじめ、皆さん多彩な方々ですが。
演出家と役者としての関わりだったラサールさんと、初めて役者同士として共演させて頂きます。ほかの皆さんとも「はじめまして」ばかりですが、女性4人はいつもチームで場面を作っていく関係なので、チームワークがとても必要ですから、気持ちを合わせて共に生きられたらいいなと思っています。素敵な方たちばかりなので、私も刺激を受けつつ、皆さんに負けないようにきちんと立っていられるようにしたいです。
──大空さんは宝塚という女性だけの劇団の頂点にいらした方ですから、女優さん同士のコンビネーションは得意なのでは?
それが宝塚を退団してから、どちらかと言うと男優さんが沢山出る作品に多く出ていたので、ここまで女優さんたちとがっちり組んでのお芝居というのは珍しいので、楽しみですし、お互いに良い化学反応を生んでいけるように頑張りたいです。

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人間の発する熱と温度のある笑いの力が必要な時代

──大空さんはこれまで、どちらかと言うとシリアスな作品や役柄が多かったように思いますが、「笑い」の大切さや力についてはどう感じられますか?
確かにシリアスな方向性のものに多く出演してきました。シリアスなものや難解なものには、頭を使ったり、衝撃を受ける楽しみがあるのですが、やはり今、色々な意味でストレス社会になっているのを感じますし、ネット社会で種々雑多な情報があふれてもいますよね。その中で、人間の発する熱と笑い、生の温かさ、温度のある笑いって、落語もそうですが、演劇だからこそだと思うんです。目の前で人が発する温度には実は大きな力があるので、その温度のある笑いが、今の時代には本当に必要だと思います。この作品にはまさにその大切なものが詰まっているので、それをきちんと伝えたいと思いますし、観てくださる方々の心が、少しでも温かくなってお帰りになって頂けたらいいなと思います。
──舞台には、同じ演目でもその日その回だけしかない空気がありますね。
舞台はまさしく総合芸術で、お客様が入って初めて完成するわけですから、そこにはお客様の温度があるんですよね。役者たちもそれを肌で感じながら、その温度に呼応して巻き込んでいったり、逆に巻き込まれそうになったりというエネルギーのやりとりが、大変でもありつつ、やはり生の舞台の醍醐味だなと思います。その温度があるから、例えば無表情でいても心では怒っているとか、笑っているけれども泣いているとか、泣きたいから笑いとばしているとか、そういう内面すべてが伝わるので、辛い状況でも笑う、うじうじしていたとしても「うじうじしちゃってさ!」と言ってしまえるような、素敵な温度の空間を皆さんと一緒に作れたらいいですね。

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私の中に含まれている宝塚という成分

──そういうライブの中から生まれた空気感は、宝塚時代から経験してきたと思いますが、宝塚歌劇も100周年を超えて、更に多くの注目を集めています。そんな宝塚への思いは今、いかがですか?
先日も宝塚の舞台を観て来たのですが、今こうして私が女優として舞台に立っている中にも、宝塚という成分は絶対に含まれているんですね。特別な時間を過ごさせてもらったと観る度に思いますし、後輩たちにはいつまでも宝塚の美しい精神を引き継いでいって欲しい、卒業生にとっても永遠に誇れる場所であって欲しいと思います。同時にやはり私自身も宝塚の卒業生として、舞台を観た方に、「宝塚ってこの程度なのか」と思われてしまったらとても悔しいので、宝塚の卒業生であることに誇りを持っていたいと思います。 
──大空さんは多岐に渡る幅広い作品に出ています。その大空さんを通じて、これまでと違う演劇に触れるお客様もいらっしゃるでしょうね。
私が出なかったらこういう舞台を観る機会がなかったとか、私をきっかけに新しいジャンルの舞台が好きになったとか、そういう言葉をいただくと嬉しいですね。
──そういう意味では、今回のこまつ座への初出演も、関心を持っている方が多いでしょうね。
もちろん井上先生の作品のファンだったり、こまつ座の舞台をお好きな方もいらっしゃると思いますが、初めて触れる方もいらっしゃるので、沢山の方に観て頂ける機会の1つになったらいいなと思います。
──では、改めて意気込みをお願いします。
憧れのこまつ座の舞台に立たせて頂くので、この機会を十分に味わって、新しい景色を見られるように、稽古場では苦しみつつ、素敵な作品になるように頑張りますので、皆さん是非劇場に足をお運びください。

Unknown
おおぞらゆうひ〇92年宝塚歌劇団に入団。09年に宙組男役トップスターに就任。12年に退団後、13年蜷川幸雄演出『唐版 滝の白糸』で女優としてスタート。以降、舞台や映像作品で活躍しながら、自身が企画・プロデュース・主演を務めた舞台『La Vie』や、音楽ライブを開催するなど多彩な表現活動を展開している。近年の主な舞台作品に『死と乙女』『TABU ―シーラッハ「禁忌」よりー』『HEADS UP!』『SHOW ル・リアン』『冷蔵庫のうえの人生』『磁場』『カントリー〜THE COUNTRY〜』など。映像作品に『紅白が生まれた日』『誤断』等がある。今年12月から来年3月にかけて『HEADS UP!』再演への出演が控えている。

〈公演情報〉
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こまつ座『円生と志ん生』
作◇井上ひさし
演出◇鵜山仁
出演◇大森博史、大空ゆうひ、前田亜季、太田緑ロランス、 池谷のぶえ、ラサール石井
ピアノ演奏◇朴勝哲  
●9/8〜24◎紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA (東京都)
〈料金〉9,000円 学生割引 5,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉こまつ座 03-3862-5941 
●9/30〜10/1◎兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール (兵庫県) 
●10/8◎ 日立システムズホール仙台 シアターホール (宮城県) 
●10/14◎ 川西町フレンドリープラザ(山形県)
〈公演HP〉
 http://www.komatsuza.co.jp/program/

【スペシャルトークショー】
★9月11日(月)1:30公演後 樋口陽一(比較憲法学者)― 井上ひさしにとっての笑い ―
★9月14日(木)1:30公演後 大空ゆうひ・前田亜季・太田緑ロランス・池谷のぶえ
★9月17日(日)1:30公演後 大森博史・ラサール石井
★9月21日(木)1:30公演後 雲田はるこ(漫画家)―『昭和元禄落語心中』ができるまで ―
※アフタートークショーは、開催日以外の『円生と志ん生』のチケットをお持ちの方でもご入場いただけます。ただし、満席になり次第、ご入場を締め切らせていただくことがございます。
(出演者は都合により変更の可能性がございます。)




【取材・文/橘涼香 撮影/竹下力】



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