えんぶ本誌の宝塚記事取材の機動力を生かして、宝塚歌劇の製作発表、会見などをいち早く紹介。 宝塚OGの公演やインタビューのほかに公演の批評なども展開しています。

『HEADS UP!』

老舗デパートの中にある三越劇場で繰り広げられる新作オリジナルミュージカル『デパート!』上演中!

IMG_7334

老舗中の老舗デパート、三越百貨店日本橋本店の中にある、今年、開場90周年を迎えた三越劇場で、デパートを舞台にした新作オリジナルミュージカル『デパート!』が上演中だ(7日まで)。

この作品は、かつてデパートでの買い物が憧れだった時代から、若い世代にファストファッションや、ネットショッピングが主流となっている今の時代を迎えて、なお燦然と輝くデパートを舞台に、働く人々、お客様、様々な思いと事情を抱えた「人の集まる場所」で繰り広げられる人間模様を描いたミュージカル。
演出にミュージカル俳優として活躍中の原田優一、脚本に緻密で軽快な会話劇を得意とする脚本家・演出家の登米裕一、作曲・音楽監督にミュージカル『Color of Life』の伊藤靖浩と、いずれも新進気鋭の若きクリエーターたちが集い、日本の新しいオリジナルミュージカルの創造に力を注いだものとなっている。

IMG_7323

【STORY】
創業130年を迎えるスクエアデパート。そこにはいつも変わらぬホスピタリティーあふれた接客と、格式あるここでしか手に入らない逸品を備えた品ぞろえの、風格ある老舗デパートならではの日常が続いている。
だが、従業員たちは笑顔の下でそれぞれに、異なる悩みを抱えていた。
お得意様係のモリス(太田基裕)は、社長のファーガソン(畠中洋)の息子。つまりゆくゆくはこの老舗デパートの経営に関わるべき青年だが、真面目一方で要領が悪い。今日もモリスは「季節に叶ったここにしかないものを売ってくれ」という常連客オズマン(浜畑賢吉)と、その妻ミセスオズマン(出雲綾)への対応に四苦八苦。そんな息子にこのデパートが守っていけるのかと、ファーガソンも頭を抱えている。
一方、フロアマネージャーのビビ(シルビア・グラブ)は、スクエアデパートの伝統と格式を重んじるあまり、大胆な改革には極めて慎重。時代に合わせた新たな企画が必要だと主張する部下のナミ(前島亜美)と、意見の対立が続いていた。そんなデパート内の微妙な空気をすべて察知しているインフォメーション係のマリ(愛加あゆ)は、今日も噂話に花を咲かせているが、地方からデパートを訪ねてきたピート(染谷洸太・橋本真一Wキャスト)が、売り場に案内した自分に一目惚れをしたことには全く気付いていない。それだけでなく、役者を志すもオーディションに落ち続け、警備員のアルバイトがやめられないイギー(岡田亮輔)も、マリをイケてるなと、軽く意識している。
そうした人間模様をデパートの創業者の霊であるトト(畠中・二役)が見つめている中、デパートが1年で最も忙しいクリスマスセールに向けて、あらゆる問題が連鎖し、ついに大騒動に発展してゆき……。

IMG_7691

かつて「デパートに行く」という行為自体が、紛れもなく「ハレの日」だった時代があることを、知らない世代も多くなっているのかも知れない。けれども確かに「よそゆき」のお洋服を着て(この「よそゆき」という言葉自体すでに極めて死語に近いと思うが)、家族揃ってデパートに出かける1日、そこでの買い物や、食事、屋上での遊具遊びなどのすべてが、特別な贅沢と、家族の幸福の象徴だった時代が、そう遠くない過去には確かにあったのだ。それは、テレビも電話も音楽も、すべてが家族のだんらんの中ではなく、個々それぞれの閉じた楽しみとなっている現代、洋服はファストファッション、買い物はスマホやパソコンからネット通販が、当たり前になっている今となっては、まるで別の世界に思える郷愁だ。
そんな、デパート栄光の時代の風格を今も残す日本橋三越本店にある、三越劇場。世界初の百貨店の中の劇場として誕生し、創立90年を迎え、創設当時のままのロココ調の内装を守り続ける劇場で、デパートを舞台にしたオリジナルミュージカルを創ろう。この原田優一が発想した粋な仕掛けが、作品の根幹を支えている。風格あるデパートの中を通って、デパートの中にある劇場で、デパートの物語を観る。「アテガキ」という言葉は通常演じる役者を想定して書かれた役柄や、脚本に使われるが、この作品はまさに、三越劇場そのものに「アテガキ」されている、居心地の良さがある。デパートを愛する創業者の霊が今もここにとどまっているという設定が、全く突飛に感じられないのは、この劇場が持つレトロさと重み故のことだ。

IMG_7461

そして、デパートが今抱えている、栄光の時代が過ぎていった現代に、それでも買い物はデパートでなければならないと、顧客に思ってもらえる最大の方策は何か?という問題が、この作品の人間関係の中にも、きちんと投影されているのが絶妙だ。登場人物が抱える世代間ギャップ、思いの違い、対立が、守るべきものと変えていくべきもの、更に、決して変えてはいけないものを浮かび上がらせていく。その最後に残るのは、人と人が対面することでしか育まない体温のあるぬくもりと、愛。あらゆる世代の異なる考え方を持つ「デパート」が舞台だからこそ、この真意が無理なく浮かび上がる様が美しい。

IMG_7761

そう思って観れば、ここに集った役者たちの経歴や年齢もまた、見事に多岐に渡っている。東宝ミュージカル、宝塚歌劇団、劇団四季、音楽座、2.5次元等々。日本が、現在のミュージカル全盛時代を作り上げるのに、欠かせなかったカンパニーや、ジャンルのベテランから新進までが、新しいオリジナルミュージカルを創る為にそれぞれの力を発揮し、想いをつなげている。しかも誰もが見事に歌い、踊る力も持ち合わせているから、全編の多くが歌で綴られるミュージカル創りに無理がない。基本的に群像劇だから、すべての人に見せ場があり、役者個々のやり甲斐も大きいだろうし、人と人が創り出すぬくもりがダイレクトに伝わってくる良さは、舞台作品ならではのものだ。

IMG_7527

その中で太田基裕の華と繊細な持ち味が、文句なしに応援したい青年像をきちんと描いたし、前島亜美の歯に衣着せぬ物言いが嫌味にならないのは、本人のアイドル性の賜物。クルクルとよく変わる表情がコケティッシュでありつつロマンチックなのは愛加あゆならでは。幻想シーンのダンスも美しい。

IMG_7486
IMG_7560

また、現代を代表している役柄の岡田亮輔が見せる変化が、作品のロマンにつながれば、染谷洸太の一本気さが役柄の純真をよく支えている。個性の異なる橋本真一がどう演じるのかも楽しみだ。彼ら若手の活躍を受け留める面々も、畠中洋が二役を八面六臂の活躍で見せれば、シルビア・グラブはこれぞショー・ストップ!の大ナンバーを歌い上げる。そんな彼女に負けず劣らずの美声披露する、出雲綾の温かさも厚みを加え、ミュージカルの生き証人浜畑賢吉の存在が見事な重石となる。十全なカンパニーが日本のオリジナルミュージカルの創造に寄与している。

IMG_7813

生演奏による音楽もミュージカルの良さを伝えていて、新しいオリジナルミュージカルの創造の、第一歩が刻まれたことを何よりも尊びたい舞台となっている。
 
IMG_7523
IMG_7650
IMG_7368
IMG_7459
IMG_7575
IMG_7605
IMG_7801
IMG_7607



〈公演情報〉
チラシ表面

ミュージカル『デパート!』
演出◇原田優一
脚本◇登米裕一
音楽◇伊藤靖浩
出演(50音順)◇出雲綾、太田基裕、岡田亮輔、シルビア・グラブ、染谷洸太(Wキャスト)、橋本真一(Wキャスト)、畠中洋、浜畑賢吉、前島亜美、愛加あゆ
●11/1〜7◎日本橋・三越劇場(日本橋三越本館6階)
〈料金〉S席8,500円 A席7,000円(全席指定・税込)
〈劇場お問い合わせ〉三越劇場 0120-03-9354(10:30〜18:30)



【取材・文・撮影/橘涼香】


花組芝居『黒蜥蜴』お得なチケット販売中!
kick shop nikkan engeki 

Japanese Musical『戯伝写楽 2018』メインビジュアル公開!

s_sharaku_senden_all ver1

2018年1月12日より東京芸術劇場プレイハウスで開幕し、久留米、名古屋、兵庫で上演される舞台、Japanese Musical『戯伝写楽 2018』のメインビジュアルが公開となった。またコメント映像&オフィシャルサイトも公開された。

たった10ヶ月の間に、145点余の作品を残し忽然と消えた浮世絵師・東洲斎写楽。「写楽は女だった・・・?!」という大胆な着想から、写楽の謎に迫り、喜多川歌麿、葛飾北斎、十返舎一九、太田南畝(別号・蜀山人)など、寛政の時代に、才を競い熱く生きた芸術家達の姿を、中島かずき・作、立川智也・音楽のオリジナル・ミュージカルとして2010年初演、大好評を得た『戯伝写楽』。8年の歳月を経て、新たに、演出に河原雅彦、作詞に森雪之丞を迎え、新版、Japanese Musical『戯伝写楽 2018』として帰ってくる。

キャストには、橋本さとし(斎藤十郎兵衛)、小西遼生(喜多川歌麿)、東山義久(与七/Wキャスト)と、初演からのメンバーに加え、新たに、中川翔子(おせい)、壮一帆(浮雲)、栗山航(与七/Wキャスト)、池下重大(鶴屋喜右衛門)、山崎樹範(鉄蔵)、吉野圭吾(太田南畝)、村井國夫(蔦屋重三郎)他、という強力なメンバーが加わり、大江戸を賑やかに彩る。

sharaku_senden_4b
壮一帆・中川翔子・橋本さとし・小西遼生
s_higashiyamakuriyamas_ikeshita
東山義久・栗山航・池下重大
s_yamazakis_yoshinomurai
山崎樹範・吉野圭吾・村井國夫

また、キャストと、作の中島かずきのコメント映像も公開された。
作品を心待ちにしている様子が伝わってくる。

●橋本さとしコメント映像
●中川翔子コメント映像
●小西遼生コメント映像
●壮一帆コメント映像
●中島かずきコメント映像


〈公演情報〉
sharaku flyer omote
 
cube 20th Presents
Japanese Musical『戯伝写楽 2018』
 
作◇中島かずき 
作詞◇森雪之丞 
音楽◇立川智也
演出◇河原雅彦
出演◇橋本さとし、中川翔子、小西遼生
壮一帆、東山義久(Wキャスト)、栗山航(Wキャスト)、池下重大
中村美貴、華耀きらり、大月さゆ
染谷洸太、馬場亮成、岩橋 大
山崎樹範、吉野圭吾、村井國夫
●[東京公演] 2018/1/12〜28◎東京芸術劇場 プレイハウス
●[久留米公演] 2018/2/3〜4◎久留米シティプラザ ザ・グランド
ホール
●[名古屋公演] 2018/2/7◎日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
●[兵庫公演] 2018/2/10〜12◎兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
〈前売り開始〉2017年11月18日(土) 各地一斉発売開始
 



誰か席に着いて
kick shop nikkan engeki

いよいよ初日間近! 明治座11月公演『京の螢火』稽古場公開&囲みレポート!

IMG_5618
後列/深沢敦、沢田亜矢子、河相我聞、伊藤正之
前列/桜乃彩音、藤木隆宏、 黒木瞳、筧利夫、渡辺大輔、田村芽実

幕末の動乱に揺れる京都・伏見を舞台に、維新の嵐が吹き荒れる激動の時代を生き抜いた寺田屋お登勢とその夫伊助を描いた物語、『京の螢火』が、11月3日〜26日まで、日本橋浜町の明治座で上演される。

IMG_5497

『京の螢火』は1971年に明治座にて上演された『京の螢火〜お登勢と竜馬〜』を元に、脚本家・演出家として活躍するわかぎゑふが、初演の舞台の良さは残しつつ、2017年に相応しい幕末ものとして新たに書き下ろした新作。黒木瞳演じる伏見の船宿「寺田屋」の女主人お登勢と、筧利夫演じるその夫伊助を中心とした夫婦の物語を軸に、藤本隆宏演じる坂本龍馬、のちにその妻となる、田村芽実演じる若き日のおりょう、渡辺大輔演じる幕末の志士ら、多彩な登場人物たちが織りなす、スピード感と華やかさを備えた人間味あふれるドラマが展開されていく。

そんな舞台の公開稽古と囲み会見が、10月都内稽古場で行われ、黒木、筧をはじめ、主要メンバーが勢ぞろい。白熱した稽古の様子が公開された。

IMG_5461
 IMG_5430

演じられたのは、劇中の二つの場面の抜粋。最初に一幕第三場から、寺田屋に嫁いできたお登勢が、沢田亜矢子演じる姑のお定、桜乃彩音演じる義妹のお椙に辛く当たられる日々の中で、絶対に開けてはならないと言い含められて預かった箱を、勝手に開けて中を見たという嫌疑をかけられるシーンが披露される。
河相我聞演じる五十吉が、この箱には仕掛けがしてあった、開けたのは明白だとお登勢に迫り、中の人形が証人だと攻め立て、お定もお椙も嵩にかかってお登勢を責めるが、伊藤正之演じる医者玄庵が、これとそっくりのゆすりたかりの話を聞いたことがあると話し、やがて五十吉はお椙の思い人だということがわかってくる。

 IMG_5450
IMG_5511

潔白を主張するお登勢の黒木に、凜とした中の可憐さがきちんとあり、お定の沢田、お椙の桜乃もこの場に必要な権高さを出していて、女性たちの対比が鮮やか。そんな中で、ひたすらあっちもこっちも汚いと掃除を続けている伊助の筧の、飄々とした演技が絶妙だ。

IMG_5518

場面転換の間に、演出のわかぎゑふが細かい指示を出し、続く場面は二幕第三場。
寺田屋の女将として立派に成長したお登勢が、渡辺大輔演じる薩摩藩士・中村藤次郎と談笑していると、新撰組のご用改めが踏み込んでくる。

IMG_5586
IMG_5526

藤次郎を奥の間に隠したお登勢は、怪しい者など誰もいない、奥の間には夫がいるだけだと新撰組をあしらおうとするが、納得のいかない新撰組の面々は奥の間に踏み込む。と、そこにいたのは確かに夫の伊助。

IMG_5547

変わらぬ飄々とした態度の伊助に肩すかしを食った新撰組は、お登勢に憤懣をぶつけようとし、その理不尽な態度に憤った田村芽実演じるおりょうが飛び出してくるのを、またお登勢がかばい、ようやく事なきを得る。

IMG_5566
IMG_5588

駆けつけた藤木隆宏演じる坂本龍馬、お登勢、伊助、おりょう、中村藤次郎、それぞれの思いが交錯して、立場を異にする登場人物たちが幕末の嵐の中でどう生きるか、この後の展開に期待が高まる中、公開稽古は終了。新撰組や、坂本龍馬といった幕末の著名人を登場させながら、市井の人々を中心として描かれる新たな物語の、全容が待たれる時間となった。
 
IMG_5569
IMG_5578

続いて囲み取材が行われ、黒木瞳、筧利夫、藤木隆宏、渡辺大輔、桜乃彩音、田村芽実、深沢敦、伊藤正之、河相我聞、沢田亜矢子が登場。黒木、筧を中心に公演への抱負を語った。

IMG_5673

【囲み取材】

──報道陣の前で稽古を公開していかがでしたか?
黒木 初日が近いのだなと、緊張感が高まって参りました。
 良い本番の予行練習ができたなと。皆さんのおかげでございます。ありがとうございます。
黒木 ありがとうございます。

IMG_5640

──今回の舞台の見どころは?
 見どころですか?見どころは黒木さんです!黒木さんを観て頂ければそれでいいんです。今自分が喋ってますけれども、あまり喋らなくてもいい、出てなくてもいいくらいで(爆笑)黒木さんを観てちょうだい!(黒木を示してポーズを決めるので、全員爆笑)
黒木 こうおっしゃっていますが、本当に私を支えてくれている旦那様なので、頼もしく思っております。皆が織りなす物語なので、全員それぞれに見どころがあります。(沢田に)嫁イジメもありますし、(桜乃と我聞に)駆け落ちもしますし、(藤本に)坂本龍馬もおりますし、(田村に)おりょうもいますし、(渡辺に)「寺田屋騒動」であなたは大活躍をしますね。
渡辺
 はい!そうですね。
黒木 その寺田屋騒動のあと、日本の夜明けの前に、女たちが見動きの取れないもどかしさを男たちが支えてくれるという、見どころ満載でございます。

IMG_5656

──黒木さんと筧さんは夫婦役で、初顔合わせでしょうか?
 「初」ではないです。ドラマも映画も一緒にやっていますので。
黒木 舞台が初めてということです。
──黒木さんから見て夫役の筧さんは?
黒木 返答に困るくらい(笑)、まだお稽古の量が少ない状態で、夫婦の愛が深まるのはこれからなんですが…。
 でも私は色々とテクニックを持っておりますので、喜ばせ方はよく知っております(爆笑)。もちろんお客様にお見せできる上のことで、という意味ですが(笑)。
黒木 衣装のことなど「こういう風にしたらどうですか?」と、ものを作っていく上での親密な話もしております。
 私は本番の衣装は黒木さんに選んで頂いていますし、(黒木を示して)今日はこれは稽古用ですけれども、この人の本番の衣装はすごいですよ!はい、見どころは黒木さんです!(再びポーズ)。
黒木 見どころは皆です!(笑)
 はい、そうですね(笑)。

IMG_5655

──大変和気藹々とした雰囲気ですが、皆さんで食事に行かれたりなども?
 いや、まだそういう時間はね。
黒木 追い込みなので。今こうやって皆笑顔でおりますけれども、心の中は闘っていると思いますので。
──では、これから筧さんがお食事に誘ったりなどは?
 特に予定はないです(笑)、というか、本当にまだ今日よくやれたもんだ!というくらいなので(爆笑)。皆さん本番に強いです!びっくりしました。カメラの前でやると皆すごいから!
田村 本当に皆さんすごいです。
 ねぇ、本番もカメラが回っている方がいいんじゃないのかって(笑)。

IMG_5632

──黒木さんは昨年映画監督もなさいましたが、監督を経験してまた舞台に戻られて何か変化などは?
黒木 舞台はやはり私が育ったところですので、初心に戻りますね。宝塚時代を思い出します。(桜乃を示し)後輩もおりますので。新鮮な気持ちで板の上に立ちたいと思います。
──時代劇の舞台で、宝塚の先輩後輩で共演することについては?
黒木 頼もしいです。
桜乃 私は黒木さんの何気ない仕草ですとか、目線の使い方ひとつひとつに私自身がとりこになっていて、何かひとつでも今回勉強させて頂こうと思って、いつも前のめりで稽古を拝見しております。頑張ります。
 いいですね。ですから皆ね、見どころは黒木さんです!(ポーズ・笑)

IMG_5675

黒木
 見どころはラストにもありますね!
 あります、あります!
黒木 演出のわかぎ先生の了解を得て、カーテンコールを演出させて頂きましたので、カーテンコールも見どころのひとつなので、お楽しみになさってください。
──ネタバレにならない程度に、どんなカーテンコールなのかを教えてもらえませんか?
黒木 ここは筧さんでしょう!
 派手で和風でありながら、ちょっと洋風感のあるカーテンコールで「歌手・黒木瞳」でございますね、すべては。
黒木 ちょっと宝塚みたいなカーテンコールです。
 そうですね(周りを見て)皆、うなづいております。
黒木 羽根は背負わないですけどね(笑)。楽しんで頂ければと思います。

IMG_5667

──桜乃さんはご出産後の舞台復帰作ということですが
全員 (拍手)。
桜乃 でも黒木さんに伺ったら(出産後)1ヶ月半で復帰なさったとお聞きしまして、私は1ヶ月半の時はまだ(横になる仕草をして)こんな感じでしたし、体力もなかったのですが、今は子供も10ヶ月になりまして、頼もしく成長してくれているので、心置きなく稽古に集中させて頂いております。
──黒木さんに舞台のことだけでなく子育ての面での相談なども?
桜乃 今は舞台の稽古に集中していて、あまり私生活のお話をする時間もないですし、役作りを深めていきたいので、子育てのことよりも勉強したいところがいっぱいありますので、まずはそちらからと思っております。

IMG_5647

──では黒木さんから舞台を楽しみにされている方達にメッセージを。
黒木 11月3日初日の明治座公演『京の螢火』です。是非皆さん明治座にお越しください!よろしくお願いします!
全員 よろしくお願いします!


〈公演情報〉

 0000000079362
明治座11月公演『京の螢火』
原作◇織田作之助「螢」司馬遼太郎「竜馬がゆく」脚本 北條誠より
脚本・演出◇わかぎゑふ
出演◇黒木 瞳、筧 利夫、藤木隆宏、渡辺大輔、桜乃彩音、田村芽実/深沢 敦、伊藤正之、河相我聞、沢田亜矢子   ほか
●11/3〜26◎明治座
〈料金〉 S席(1階席・2階前方席)12,000円 A席(2階後方席・車椅子スペース)8,500円  B席(3階席)6,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉明治座チケットセンター 03-3666-6666(10時〜17時)



【取材・文・撮影/橘涼香】




誰か席に着いて
kick shop nikkan engeki

少女漫画の金字塔の見事な舞台化で輝く、柚香光東上初主演作品!宝塚花組公演『はいからさんが通る』

002GOA1500

宝塚花組の男役スターとして進境著しい柚香光の東上初主演作品である、宝塚花組公演ミュージカル浪漫『はいからさんが通る』が日本青年館ホールで上演中だ(30日まで)。

「はいからさんが通る」は1975年〜77年に「週刊少女フレンド」で連載された大和和紀の少女漫画。大正浪漫華やかなりし頃の東京を舞台に、未だ女性の生き方に大きな制約があった時代に、快活にひたむきに生きる「はいからさん」花村紅緒と、祖父母の代からの許婚で、日本人の父とドイツ人の母の間に生まれた眉目秀麗で笑い上戸の陸軍少尉、伊集院忍との運命の恋が描かれる、波乱万丈な王道ラブコメ。作品は連載当時から大人気を博し、アニメ化、舞台化、テレビドラマ化、実写映画化と、時代を超えて様々なメディアに取り上げられ、本年から来年にかけて新たな劇場版アニメーションも公開予定の、不朽の名作として少女漫画の歴史に燦然と輝き続けている。
宝塚歌劇では、1979年に平みちの伊集院忍、花鳥いつきの花村紅緒他の出演で、テレビドラマが作られているが、以来、40年近く待望論の絶えなかった舞台化が遂に実現。宝塚期待の男役スター柚香光の東上初主演公演として上演されることになった。

【STORY】
時は大正七年、春四月。陸軍少尉・伊集院忍(柚香光)は幼い頃に定められた許婚のもとを初めて訪ねる道すがら、自転車で暴走してくる少女に遭遇。派手にひっくり返って、赤いリボンを捻じ曲げたまま、自分に猛抗議をしてきた「ハイカラ娘」を、まるでつむじ風のようだ、と感じる。
そのハイカラ娘こそが、忍の運命の相手・花村紅緒(華優希)だった。かつて忍の祖父と紅緒の祖母は二世を誓った恋人同士だったが、御一新の世に、公家の家柄の伊集院家と、代々徳川家に仕えた旗本の花村家の婚礼は叶わず、二人はやむなく引き裂かれてしまう。その別れに際して二人は、いつの日か身分や家柄に縛られない平和な世が来た暁には、ふたつの家をひとつにしようとの誓いを立てる。だが、両家に生まれたのは共に男の子。二人の願いは、三代目である忍と紅緒に引き継がれたというのだ。
恋も結婚も自分で選ぶ!良家の殿方の申し入れを待つような人生はまっびら!と思っていた紅緒には、到底納得できない話だったが、両家も、更に忍も結婚してから愛を育めば良いと、この婚約になんら不満はない様子。たまりかねた紅緒は、忍に恋している同級生の華族令嬢・北小路環(城妃美伶)、幼馴染で紅緒を慕う歌舞伎の女形役者・藤枝蘭丸(聖乃あすか)の協力のもと、伊集院家の嫁としては到底受け入れられない娘の烙印を押されるべく、嫁入り修行の行儀見習いに入った伊集院家で大騒動を繰り返すが、それらの顛末を面白がるばかりの忍を筆頭に、伊集院家の人々に次第に愛されていく。しかも紅緒自身がいつしかそんな忍に惹かれていく自分に戸惑いを覚えるようになる。だが、そんな中、忍と紅緒の婚約披露の席で起きた騒動から紅緒は伊集院家を飛び出し、酔った勢いで忍の亡き戦友の内縁の妻である柳橋の芸者・吉次(桜咲彩花)にからんでいた陸軍中佐・印念(矢吹世奈)に酒を浴びせかけてしまう。駆け付けた忍のとりなしでその場は収まり、二人は互いの気持ちが更に深く近づいたことを悟るが、忍の上官であった印念中佐は憤懣やるかたなく、そこに配属された者はやがてシベリア戦線に送られることを承知で、忍を小倉連隊へと転属させる。
自分の為に、忍が左遷されたことに苦しむ紅緒を励ました忍は、今度東京に戻った時には正式に結婚しようと誓いを交わして紅緒の元を去るが、ほどなくしてシベリアの前線に送られる。その極寒の地で忍は、孤立した小隊を守る為決死の脱出を試みるが、傷ついた部下・鬼島軍曹(水美舞斗)を助けに戻った際コサック兵に襲われ行方知れずとなってしまう。
やがて、紅緒のもとに忍戦死の報せが届き……。

087 L3A2297

基本的に舞台空間を縦三段で展開できるように作りつけられた一杯飾りのセットに、映像を組み合わせて舞台は展開するのだが、何よりも驚かされたのはコミックスにして全8巻、しかも大正7年のシベリア出兵からはじまり、関東大震災をクライマックスとする長大な原作世界のすべてを、2時間半の作品にまとめあげた脚本・演出の小柳奈穂子の手腕だった。原作世界が大河ドラマの場合、多くはそのどこかに焦点を絞って作品が作られるものだし「はいからさんが通る」の過去の映像などの作品群も、ほとんどがそうした手法を取っている。だが、今回の宝塚版に際して原作の大和和紀氏から、物語全体を舞台化して欲しいとの要望があったそうで、その原作者の想いを見事に具現化し、しかも単なるダイジェスト版に陥ることなく、波乱万丈な激動の時代に、運命の恋を貫く忍と紅緒の姿を浮かび上がらせた小柳の仕事ぶりは、賞賛に値する。これによって、それぞれにスピンオフが作られるほど、良い男揃いの原作世界の人気キャラクターが、ほぼ舞台に網羅されることになったし、何よりも、才色兼備でなくドジでおっちょこちょいのヒロインが、様々なタイプのイケメン登場人物すべてから愛されるという、1970年代の少女漫画の、王道ラブコメに共通した世界観を、決して否定はしないままほんの僅かに後退させ、過酷な運命の中で、自ら未来を切り開いていくヒーローとヒロインの歴史大河ドラマ色を前に出した視点が効いていた。この世界観なら、永遠に変わらないようでいて、やはり少しずつ色を変えている現代の「乙女の夢」に、作品がすんなりと着地することができる。これは、今やこうした長大な原作ものを宝塚化する作業においては、確実に一、二を争う小柳奈穂子の面目躍如たるもので、軽快なリズムとテンポをもった主題歌にのって、登場人物が勢ぞろいする冒頭からフィナーレまで、1つの無駄もなくスピード感を保って舞台が進む様はあっぱれだった。

そんな作品の中で、原作のキャラクターに扮した花組の面々の、原作再現率の高さがいずれも完璧なばかりでなく、演じたスターの個性も決してかき消えていないことがすばらしい。

030 GOA1596

その筆頭が言うまでもなく伊集院忍に扮した柚香光。日本陸軍の軍服姿で舞台のセンターに登場した刹那から、「生き少尉」という最大級の賛辞を大和氏から贈られたのも納得の、完璧なビジュアルを披露。日本陸軍の軍服だから、当然ながら宝塚で通常スターが履く膝までを隠す丈でなく、極普通のロングブーツなのだが、それでも長い手足のスタイルは全く損なわれることなく美しく、彫りの深い顔立ちも混血の少尉そのままだ。しかも、どんなに気障に決めても嫌味にならない二枚目男役の押し出しの中に、素の茶目っ気とどこかやんちゃな少年性が覗く柚香の個性が、笑い上戸という原作設定の忍に打ってつけで、その明るさが際立つからこそ、物語後半の悲痛な表現も生きてくる。踊れる人ならではの身体能力の高さも、漫画世界が動き出した姿にピッタリのキレの良さを示していて、実際、ここまで全てが整った東上初主演も珍しいというほどの、文字通りの代表作を一気に勝ち得たのは、、やはり柚香光というスターが星を握って生まれてきた人である証だろう。話題性1つを取っても十分大劇場で通用した作品を、敢えて短期の別箱公演にぶつけてきた歌劇団の力の入り方も含めて、今後柚香がどこまで大きなスターとなっていくか、その輝く道程がハッキリと見えた公演として、長く語り継がれるものになるに違いない。

その相手役、と言うよりも、原作世界の揺るぎない主人公・花村紅緒には、華優希が抜擢された。花組の直近の大劇場公演『邪馬台国の風』新人公演のヒロインで注目を集め、そのまま一気に紅緒役へと駆け上がった、謂わばシンデレラガールで、当然ながらまだ技術的に拙いところも見受けられるものの、むしろそれすらが紅緒らしさに通じる、体当たりの熱演が清々しい。宝塚のオリジナル作品のヒロインと比べても、格段に出番も多く、役割も大きい紅緒を一心不乱に演じている華を、微笑んで見守る柚香から、自然な包容力が生まれる力にもなっていて、この抜擢は大正解。誰もが応援せずにはいられない、愛すべき紅緒像を描き出していて、『ハンナのお花屋さん』の舞空瞳同様、花組娘役の台風の目になりそうだ。注目していきたい。

004 GOA1516

そんな紅緒を思う、良い男軍団では、職業夫人として編集者を目指す紅緒が務める出版社の編集長・青江冬星の鳳月杏の存在感が際立つ。物語の展開上、主な出番はほぼ2幕からなのだが、日本人で巻き毛のロングヘア—の男性という、これぞ漫画世界の登場人物を悠々と表出していて、出番の遅さを全く感じさせない力には舌を巻く。出版社の名前が「冗談社」というネーミングからもわかる通り、女性に触れられると蕁麻疹が出るという、単なる二枚目なだけではないカリカチュアされた設定も、抜群のプロポーションで余裕にこなし、紅緒を巡って忍と三角関係になる終盤のドラマをよく支えていた。
キャラクターの再現率という点では、こちらもピカイチの鬼島森悟の水美舞斗は、馬賊の装束の着こなしも完璧で、一見強面だが、信義に厚く、情も深い男の中の男を骨太に演じて見応えがある。特に、やはり柚香との同期ならではの阿吽の呼吸が、少ない出番で忍と鬼島の絆を現す原動力になっていて、これはキャスティングの妙。男役としてますます力をつけていて、この人の主演作も是非観てみたい。
紅緒を慕っているだけでなく、紅緒が幼馴染の彼を守ろうとすることでドラマが動くキーパーソンでもある藤枝蘭丸の聖乃あすかは、何よりも美しい男役であることが、この役柄に生きている。まだ男役として発展途上なことも、歌舞伎の女形である蘭丸を演じるには効果的な要素になっていて、振袖姿もなんとも艶やか。作品の重要なポジションをしっかりと務めていた。

109 L3A2327

また、ヒロイン経験のある娘役が、それぞれの役柄に力を発揮しているのも大きな要素で、北小路環の城妃美伶は、華やかな容姿と洗練された娘役芸が、お転婆でじゃじゃ馬という設定の紅緒との対比をよく現し、役柄の存在価値を高めている。2幕冒頭の「モダンガール」のナンバーも豊かな歌声で盛り上げ、新しい生き方を模索する華族女性を見事に表現していた。芸者・吉次の桜咲彩花も、たおやかでいながら一本筋の通った気風の良さも持ち合わせた柳橋の芸者を、馥郁と演じていて、作品の良いアクセントになっている。若手娘役が台頭している花組だが、やはり彼女たちの地力は貴重で、今後も大切に遇して欲しい。もう1人、後半の鍵を握る女性ラリサに扮した華雅りりかも、難しい役どころを悲しみと哀れさを保って表現していて好感が持てる。出番の多寡としても今回のラリサの塩梅は絶妙で、粘着質の嫌な女に陥らなかったのは、小柳の筆と華雅の端正な演技故だろう。

難しい役どころと言えば印念中佐の矢吹世奈も、忍と紅緒の運命を流転させる陰湿な男を精一杯演じていて、まだ新人公演学年の男役であることを考えると、超のつく好演。原作とは異なり役柄に救いがあるのも小柳の優れた配慮で、良い経験になったことと思う。力のある人だからこそこういう役柄が回ってくるが、爽やかな持ち味が似合う役も観てみたい。更に、こちらも原作再現率が高く、しかもコメディリリーフとしても秀逸なのが、牛五郎の天真みちる。この人の一挙手一投足に可笑しみがあり、かつ温かい個性は貴重の一語で、作品に豊かさを与える力になった。如月の毬花ゆめも、漫画が動き出したかのような造形で惹きつける。もちろん、専科から特出の伊集院伯爵の英真なおきの、権高さの中にある愛らしさの表出は喝采ものだし、そんな英真に対して全くひけをとらない演じぶりを示した伊集院伯爵夫人の芽吹幸奈、紅緒の父・花村政次郎の冴月瑠那らの好演も見逃せず、和海しょう、春妃うらら、亜蓮冬馬ら、ポイントの出番の面々も個性をよく発揮していて、軽やかに弾む舞台を支えていた。

たったひとつの惜しまれる点は、これだけの話題作でありながら公演期間が短く、チケット入手の困難さが壮絶を極めたことで、希望しながら観劇が叶わなかった観客も多くいたことと思う。柚香光の代表作になるのは論を待たないから、いずれかの時期でもっと大きな劇場、ゆくゆくは大劇場での上演も検討して欲しいと切に願うが、そんな願いを持てる優れた作品を生み出した花組メンバーにまずは拍手を贈りたい仕上がりとなっている。


〈公演情報〉
宝塚花組公演 ミュージカル浪漫『はいからさんが通る』
原作◇大和和紀「はいからさんが通る」(講談社KCDXデザート)
脚本・演出◇小柳奈穂子
出演◇柚香光 ほか花組
●10/24〜30◎日本青年館ホール
〈料金〉S席 6,800円 A席 5,000円 (全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉宝塚歌劇インフォシメーションセンター[東京宝塚劇場]0570-00-5100
公式ホームページ http://kageki.hankyu.co.jp/




【取材・文/橘涼香 撮影/岩村美佳】



誰か席に着いて
kick shop nikkan engeki 

記事検索
演劇キックラインナップ

演劇キック

観劇予報

宝塚ジャーナル

演劇人の活力源

日刊えんぶ

えんぶ情報館

えんぶショップ

えんぶミロクル

えんぶfacebook

広告について