えんぶ本誌の宝塚記事取材の機動力を生かして、宝塚歌劇の製作発表、会見などをいち早く紹介。 宝塚OGの公演やインタビューのほかに公演の批評なども展開しています。

座・ALISA『キセキのうた』

ロマンチックミュージカルの金字塔『あなたの初恋探します』オリジナルメンバー 村井良大、彩吹真央、駒田一で上演中!

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2006年に韓国で初演され、8年に及ぶロングランを記録した大ヒット・ミュージカル『あなたの初恋探します』(原題『キム・ジョンウク探し』)が、日本版オリジナルキャスト村井良大、彩吹真央、駒田一の揃い踏みで、更にパワーアップし有楽町のオルタナティブシアターで上演中だ(28日まで。のち、福岡、愛知、大阪でも上演)。

ミュージカル『あなたの初恋探します』は、韓国ソウル大学路の小さな劇場で2006年に産声をあげたミュージカル。韓国創作ミュージカルの金字塔として愛され続け、2010年には映画化(2011年日本でも公開)。メインとなる恋人同士以外の役どころをすべて「マルチマン」と呼ばれる1人の俳優が演じるスタイルの先駆けともなったラブコメディーの決定版だ。そんな作品の2016年日本版初演を担ったオリジナルキャスト、村井良大&彩吹真央&駒田一の3人が再び集結。ロマンチック・コメディ・ミュージカルに、熱いパワーを注ぎ込んている。

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【STORY】
会社をクビになり、恋人にもフラれた何をやっても冴えない男ムン・ミニョク(村井良大)が、一念発起してはじめたのは「初恋探し株式会社」。誰の心にも永遠に残っている初恋の人が、今どこでどうしているのか、探し出してあげましょうという会社だ。そこに父親(駒田一)に連れられて現れたのは、やはり仕事を失い結婚を急かされている女性アン・リタ(彩吹真央)。彼女が新しい恋に踏み切れないのは、インド旅行中に出会った初恋の人キム・ジョンウク(村井・二役)が忘れられないからだった。けれどもわかっているのはただ「キム・ジョンウク」という名前だけ。かくして、ムン・ミニョクとアン・リタは初恋の人キム・ジョンウク探しの旅に出る。果たしてアン・リタの運命の人は見つかるのか?更に旅の途中で近づいて行くムン・ミニョクとアン・リタの距離はどんな展開を見せるのだろうか?

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舞台高みにバンドメンバーが位置する生演奏で、出道具とアメリカンコミックを連想させるポップな映像を駆使してテンポ良く進む舞台は、今回も幕開けから強烈な求心力で劇場空間を染め上げていく。たった3人の出演者、でも登場人物は実に多彩という、この作品が持つ手作り感あふれる独創的な構成は、やはりここにしかない楽しさでいっぱい。更に今回は日本版オリジナルキャストが初演を遥かに上回る弾けっぷりを見せつつ、ちゃんと初恋の切なさ、複雑な恋心をしっとりと見せてもくれるから、どんなにはっちゃけても物語の核がブレない理想的な成熟度を示している。上演台本・作詞・演出の菅野こうめい、振付の広崎うらん、音楽監督のかみむら周平が、客席も巻き込んだより親近感の高まる新たな取り組みを数多くしているのも面白く、日本でも一世を風靡した韓国ドラマが共通して持っている、どこかファンタジーでロマンチックな恋物語と、家族の絆の強さが改めて感じられた。

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そんな舞台の成熟度を高めたのが、揃い踏みを果たした日本版オリジナルキャストの面々の力で、何をやっても上手くいかない男ムン・ミニョクと、ヒロインの初恋の人キム・ジョンウクを二役で演じる村井良大は、人間味にあふれ、弱さを見せることにためらいのない、ある意味でとても強い青年ムン・ミニョクを温かな持ち味と豊かな演技力で造形している。こうした三枚目的な役柄に、村井はまるで本人そのもののように染まる力があり、舞台から親しみやすさとハートフルな空気を常に発し続けているから、その雰囲気に騙されることが多いのだが、実はとても美しく整った容姿の二枚目なのだということが、この舞台ではキム・ジョンウク役も演じることでストレートに見えてくる。実際、キム・ジョンウクを演じる時の村井の端正なルックスと立ち居振る舞いには見惚れるばかりのものがあって、ヒロインがこの男性を忘れられないのも当然だと思わせる説得力を生んでいる。初演よりはその二枚目ぶりが、より様式化された面があり、演技派、実力派として鳴らす村井の力量と美しさ、双方が楽しめるのもこの舞台の豪華さにつながっている。

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そのキム・ジョンウクを忘れられないヒロイン、アン・リタの彩吹真央も、初演よりも更に思い切り良く振り切れた女性を表現している。その可笑しさがあるからこそ、アン・リタという女性の複雑な心理と、恋に正面から立ち向かって傷つくのを極端に恐れている心根とに、切実さが加わった。だからこそ、観ていてアン・リタの行動にやきもきさせられ、もう1歩出ればいいのに!と何度も思わせられるのは、彩吹演じるアン・リタに真実味がある証。常に真摯で真面目な彩吹の資質が、役柄の好感度を高めている。戯画化された動きにキレがありつつ、柔らかさもあるのが地力を感じさせた。

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そんな2人の運命に絡む22役を演じ分けるマルチマンの駒田一は、舞台にいる時が最もひと息つける時間なのではないか?と思うほどの早替わりに次ぐ早替わりを、あくまでも軽やかに見せている。役柄の中で中心になるのはなんと言ってもアン・リタの父親役で、韓国ものらしい厳格な父親を骨太に表現しているが、その厳しさの中に娘への愛情、親子の絆が深く感じられるのが魅力だし、その他大小様々な役柄を、生身の人間が目の前で早替わりをしているならではの面白さ、舞台作品の醍醐味いっぱいに駒田が演じ分けるのが、やはりこの作品の楽しさの要。インド人、アイドル喫茶のジェシカなど、話題を集めた役柄はよりパワフルにバージョンアップしているので、是非注目して欲しい。

総じてたった3人で、たった3人だからこその楽しさと胸キュンのあふれる舞台が、より輝きを増して帰ってきたことが嬉しく、オリジナルキャスト集結のパワーを感じさせる再演となっている。

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駒田一・彩吹真央・村井良大

【コメント】

初日を前にキャスト3名からのコメントが届いた。

村井良大(ムン・ミニョク/キム・ジョンウク役
いろんなことを試し、たくさん失敗しながら作りあげる。演出のこうめいさん、オリジナルキャストの3人で充実した稽古をしてきました。僕らにとって再演ということもあり、何度も通し稽古をすることができましたが、一度として同じでない。決して慣れたり、ダレたりしない。それは3人それぞれが、日々挑戦しているからこそ。挑戦は開幕後も続きます!
初めてご覧になる方は、最初はビックリするかもしれませんが、15分も経てば馴染めます(笑)。そこからは作品に身を委ねてください。さらに今回は、観るたびに新たな面白さが生まれる、リピートもしたくなる舞台になっているんじゃないかな。
この作品は、“初恋探し”にキュンキュンするポイントもあれば、テンポの良い会話で笑わせるところもある。さらに笑いの中にある“ちょっといい感じのメッセージ”が不意に心に響くところも魅力。そうやって、若い頃のトキメキを思い出したり、これからへの思いを馳せたり、過去も未来も体感できる作品です。だから韓国でも長く親しまれているのだと思います。日本でも一人でも多くの方に、その魅力を体感していただきたい!
ビックリするような暑い日が続きますが、劇場は空調が効いて涼しいです。涼しいところで、表も裏も、結構アナログな暑苦しい舞台を楽しむ!僕らも大汗かきながらやっているので、皆さんもできればちょっとテンション高めで参加し、エキサイトしてください。

彩吹真央(アン・リタ役)
このメンバーでの2年ぶりの“初恋探し”が始まります!
初演時もやり切った感はありましたが、この2年という年月のなかで私自身はもちろん、共演者のおふたり、スタッフの皆さんそれぞれが変化しました。それぞれの経験を持ち寄って、この作品をより楽しんでいただけるように稽古を積んできました。単純明快なラブコメディミュージカルでもありますが、やればやるほどその深みも感じています。そして、個人的には良大くん、一さんが繰り出すアドリブには大変鍛えられました(笑)。こうしてお稽古場で作ってきたことを引っ提げて、今年は東京、大阪に加えて福岡や愛知のお客様にお会いできることが楽しみです。でも……、お客様とともに楽しい時間を過ごす喜びとともに、公演が始まるといつかは訪れる「終わり」への寂しさも、すでに感じています(笑)。それほどまでに、この作品への愛しさが高まっています。村井良大くんに、駒田一さんにゾッコンです。
厳しい暑さが続きますが、この作品には暑苦しさとともに(笑)、“初恋”がもつ爽やかさがあります。心の涼を求めて、ぜひ、劇場へお越しください。損はさせません!

駒田一(マルチマン/お父さん、お母さん、インド人 ほか22役)
他の芝居の初日とは違う気持ちです。
日本版初演から2年経っていますが、初演の楽日から一夜明けたら、「あれ、このシーンの演出、変わった?」というような。つまり良大とゆみこ(彩吹さん)と僕の3人による初演から連続しているような感覚です。一晩で動きが鈍くなっているという困った面もありますが(笑)。だからこそ、演出のこうめいさんのもと、稽古でもたくさんのことを試し、物語を深めながらも展開をシェイプアップできたと感じています。手前みそになりますが、そう言えるだけの準備をしました。初演時は自分のことで一生懸命だったところから、互いに影響を与え合える関係、共演のふたりを改めてリスペクトしています。
そして、作品を作る最後のピースはお客様、気構えることなく、遠慮せず思い切り楽しんでください。僕はお客様に期待しています!というか助けてください!!
今回は、まるで我が家!?のような有楽町から始まり、(自称)第二の故郷福岡、リアル故郷の愛知、そしてゆみこの地元大阪とツアーが続きます。各地で、素晴らしい出会いがあることを楽しみにしています。

〈公演情報〉 
ミュージカル
『あなたの初恋探します』
上演台本・作詞・演出◇菅野こうめい
音楽監督◇かみむら周平
振付◇広崎うらん
出演◇村井良大 彩吹真央 駒田一
●7/21〜28◎東京・オルタナティブシアター
8/4〜5◎福岡・大野城まどかぴあ 大ホール
8/14〜15◎愛知・穂の国とよはし芸術劇場PLAT
8/18〜19◎大阪・サンケイホールブリーゼ
〈お問い合わせ〉東京公演/東京音協  03-5774-3030
〈公式HP〉http://musical-firstlove.com




【取材・文・撮影/橘涼香】



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観月ありさ・湖月わたる ・春野寿美礼がユニット結成!?   “座・ALISA”リーディングコンサート『キセキのうた』今秋上演!

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撮影:レスリー・キー
 
歌やドラマや舞台で様々な挑戦をしてきた観月ありさが発起人となり、昨年12月に誕生した“座・ALISA”。名作や名曲を軸に、今を生きる女性たちに勇気と感動を伝えたいという思いのもと、歌・ドラマ仕立ての構成で綴られるシリーズだ。今回は「40代女性にエールを贈りたい」という構想で、松任谷由実の楽曲を原作に『キセキのうた』〜私たちの「今」を歌おう〜を上演する。
その上演に向けて新たなボーカルユニット結成! 観月ありさ、湖月わたる 、春野寿美礼という40代女性3人で、歌と朗読、そしてダンスのエンターテインメントを融合した悲喜劇を披露する。
 
物語は、離ればなれになっていた3人の女性が、ある友人の死をきっかけに再集結。40代を迎えた彼女たちが、かつて思い描いた歌への情熱をリスタートする。果たして、それぞれの心を通わせ、歌を通じて再び生きることの喜びを見出していけるのか・・・。

【劇中キャラクター紹介】
 
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観月ありさ(愛称アリ)
20代の時、アイドルとして最も輝いていた。でも、歌う事に次第に疲れ、歌う事が大好きだったのに、歌う事さえしんどくなった。人気にも陰りが見え始め、当時、一緒に活動していた人たちとグループ結成の話があり、その事に乗り切れず、歌を辞め、普通の女の子に戻りたいと、生活を変える。やがて、好きな人と結婚。ようやく40歳になり、これからの人生をどう生きるのか、考えるようになる。そんな時に、3人共通のかっての友達が亡くなる。その時、10年ぶりに結成したであろうメンバーと出会う。
 
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湖月わたる(愛称ワタル)
20代は、2人の仲間たちより年上ということもあって、ちやほやされるタイプではなかったが、真面目で女性らしく、誰よりも先に結婚して、幸せな家を築くと思われた。でも、現実は、優柔不断なのか、何事もスッパリ決められないのか、ずるずると歌を続けている。昔を忘れられず、今は、バーで歌を歌っている。

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春野寿美礼(愛称オサ)
20代は、やはり、彼女もアイドルで輝いていた。一番結婚しないタイプと言われていた女性が、好きな人が出来たからと、歌を辞めた。そして普通の主婦になる。子供と一緒が楽しいと言いながら、歌はやっぱり忘れられない。だから、彼女からもう1度、当時、結成できなかったグループを再挑戦したいと言い出した。


〈公演情報〉
座・ALISA Reading Concert vol. 
『キセキのうた』〜私たちの「今」を歌おう〜
原作◇松任谷由実 楽曲集
上演台本・演出◇モトイキシゲキ
音楽監督◇鎌田雅人
出演◇観月ありさ 湖月わたる 春野寿美礼
●8/26〜29、9/1〜3◎セルリアンタワー能楽堂
●9/22・23◎サンケイホールブリーゼ 
●9/29・30◎ウインクあいち大ホール
〈料金〉東京 10,000円(全席指定・税込)
〈料金〉大阪・愛知 8,500円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉
東京/サンライズプロモーション東京  0570-00-3337(全日10:00〜18:00)
大阪/キョードーインフォメーション  0570-200-888(全日10:00〜18:00)
愛知/中京テレビ事業:052-588-4477(平日10:00〜17:00)
〈公式twitter〉@za_alisa_info





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明治座で北翔海莉が初座長! ミュージカル『ふたり阿国』来春上演決定!

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平成最後の春、2019年3月・4月、魂を揺さぶる衝撃のミュージカルが明治座で上演される。
本作品は皆川博子の小説「二人阿国」を原作に、戦乱の世に咲き誇る芸の花、抑圧された名も無き民衆の声をテーマにしたオリジナルミュージカル。元宝塚星組トップスターで圧倒的な歌唱力と抜群のエンターテインメント性を誇る北翔海莉が、阿国役で明治座で初座長をつとめる。また、AKB現役唯一の1期生で、今年舞台デビューを果たした峯岸みなみが、もう1人の阿国、お丹役を演じる。

【あらすじ】
戦乱が絶えない時代に、きら星のごとく現れた“阿国“と、彼女に憧れながらも同時に憎しみを抱き、のちに「二代目おくに」を名乗る“お丹“。同じ芸の道を極めようとするも、相反する生き方を選ぶ女と娘。絶対的存在として何にも縛られない自由な阿国の強さ、そんな阿国との関係からお丹の成長物語が浮き彫りになる。また、京で一番の色男、お丹が兄と慕う芸人、京の遊芸を取り仕切る有力者、お丹の父親など、彼女たちを取り巻く男たち。さらには移りゆく時代に翻弄されながらも強く生きる民衆たちの“叫び”にも焦点をあて、彼らの抗えぬ運命を描き出す。

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北翔海莉 峯岸みなみ 玉城裕規
坂元健児 コング桑田 モト冬樹


北翔と峯岸の周囲を彩る共演者たちも華やかだ。高い演技力と切れ味のある立ち回りを武器に様々な舞台・映像作品でマルチに活躍中の玉城裕規。数々のミュージカル作品に出演する実力派俳優・坂元健児。個性的な風貌と声で、小劇場からミュージカルまで幅広く出演するコング桑田。バラエティやドラマで活躍するモト冬樹など、多彩で実力あるキャストたちが明治座で一堂に会する。(全キャストは今秋発表予定) 
脚本は「柿喰う客」の主宰で作・演出家の中屋敷法仁。演出はオペラ、ミュージカルからストレートプレイまで幅広く手がけている田尾下 哲。
新鮮なスタッフ・キャストによって、ジャンルにとらわれない歌、舞、殺陣、奇天烈をミックスさせた新しいエンターテインメント作品、演劇の垣根を越える新しいミュージカルが誕生する!

〈公演情報〉
明治座2019年3月・4月公演
ミュージカル『ふたり阿国』
原作◇皆川博子 「二人阿国」より
脚本◇中屋敷法仁
演出◇田尾下 哲
出演◇北翔海莉 峯岸みなみ 玉城裕規
坂元健児 コング桑田 モト冬樹 ほか
●2019/3/29〜4/15
【お問い合わせ】明治座チケットセンター03-3666-6666 (10:00〜17:00)

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落語世界と宝塚の見事な融合と、紅色のステージで弾けるトップスター紅ゆずるの真骨頂 宝塚歌劇星組公演『ANOTHER WORLD』『Killer Rouge』

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死後の世界で繰り広げられる抱腹絶倒の人情話と、トップスター紅ゆずるの「紅」色に染まるショーが爽快な意欲作、宝塚星組公演 RAKUGO MUSICAL『ANOTHER WORLD』と、タカラヅカワンダーステージ『Killer Rouge』が日比谷の東京宝塚劇場で上演中だ(22日まで)。
 
RAKUGO MUSICAL『ANOTHER WORLD』は落語噺「地獄八景亡者戯」「朝友」「死ぬなら今」など、死後の世界を舞台とした作品を基に、宝塚ならではの純愛物語をからめて「あの世」で起こる様々な出来事が描かれた谷正純の作品。誰も知らない死後の世界が、こんなに賑やかで楽しいものだったら本当に良いだろうなと思わせつつ、与えられた命を精一杯生きることの尊さも描いた宝塚ミュージカルになっている。

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【STORY】
大阪の両替商「誉田屋」の若旦那・康次郎(紅ゆずる)は、天空に蓮の花が咲く幽玄の花園で目を覚ます。なんて綺麗なところだろう、でもどうして蓮の花が空で咲いているのか?と疑問に思ったその時、康次郎は思い出す、そう、自分が死んだことを!康次郎は高津神社の境内で出会った、どこの誰ともわからぬ「嬢(いと)さん」に恋い焦がれ、やっとのことで相手が大阪の菓子屋「松月堂」のお澄(綺咲愛里)だと突き止めたものの、想いを募らせ過ぎた恋患いであっけなく命を落としてしまったのだ。
下界を見下ろせば康次郎の亡骸を前に嘆き悲しむ母・於登勢(万里柚美)と、父・金兵衛(美稀ちぐさ)の姿が……と思いきや、金兵衛は恋患いで死んだ息子を恥じ、両替商の跡取りならせめてもの償いに、貸した借金を返さぬままに死んでいった亡者たちから取り立ててこいと、頭詫袋に証文を詰め込み棺桶に投げ入れているところだった。あの世でまでも借金を取り立てろという父親の仕打ちに腹を立てた康次郎は、現世への未練を断ち切り「あの世」で人間らしく暮らそうと決意する。
そんな康次郎の前に「誉田屋」の手伝(てったい)・喜六(七海ひろき)が現れる。何故お前までがあの世へ!?と驚く康次郎に、喜六は康次郎が死んだ責任を取らされ、五日前に捌いた鯖の刺身をあてに自棄酒を煽っていたところ、鯖にあたってコロリとあの世にやってきたと話し、「松月堂」のお澄も康次郎への恋患いで身罷ったと話す。お澄もあの世にいるのならば、なんとしても閻魔大王(汝鳥怜)の裁きで極楽と地獄に分けられる前にお澄を探し出さなければ!と、康次郎は喜六と共に冥途の旅に出る。その道中であり余る金を持て余しこの世の遊興三昧に飽き飽きして、わざわざフグの肝を食べてあの世へとやってきた、江戸の米問屋「寿屋」の若主人・徳三郎(礼真琴)率いる賑やかな一行や、いつか極楽にいき福の神に生まれ変わりたいという夢を持ちながら「冥途観光案内所」の案内人を務めている貧乏神(華形ひかる)等、旅は道連れ世は情けと賑々しく仲間を増やしていく康次郎。やがて、古今の美女たちが一堂に会して踊る「美人座」で、あの世にも大流行しているというインフルエンザで休演中の静御前に代わって踊る、新入りの菓子屋の娘が評判を呼んでいると聞き、それはお澄に違いない!と、駆け付けた「美人座」でついにお澄に再会。この世で果たせなかった「夫婦」となる約束をあの世で交わしあった康次郎とお澄の純愛話は、「美人座」の呼び物となり満員札止めの盛況が続く。だが「美人座」の大繁盛を妬んだ他の小屋から手が周り、康次郎は冥途の新入りにも関わらず異例の早さで閻魔大王の裁きの場に呼び出されることになって……。

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谷正純という劇作家には一風変わったところがあって、様々な日本物の作品で人情にあふれた人生の機微を描き出すかと思うと、一転、ドラマの展開の中でほとんどの登場人物が死んでしまうという、凄惨な物語を創り出すことも多く、作家の中で両者のカタルシスはどうつながっているのだろう?と常々不思議に思っていた。そんな振り幅の大きな谷作品の中で、突出して高い評価を得てきたのが『なみだ橋 えがお橋』『くらわんか』『やらずの雨』『雪景色』といった落語噺を基にした作品群で、その楽しさと同時にたくましさを感じさせる人生賛歌が、様々な試みをすべて「宝塚歌劇」の大枠の中に取り込んで咀嚼してしまえる劇団の懐の深さの中で、両極端とも見えるチャレンジを続けて来た作家の真骨頂として輝いていたのが印象深い。
そんな落語を題材にしたミュージカルを谷が満を持して大劇場で、しかも死後の世界「あの世」を題材に選んで上演すると聞いた時には、ずいぶんと思い切った試みをと驚く気持ちもあった一方で、谷の落語ものならきっと楽しいに違いないという信頼感が勝ったものだったが、幕を開けたRAKUGO MUSICAL『ANOTHER WORLD』は、まさに作家谷正純が大劇場で放ったクリーンヒットと言える快作。捧腹絶倒の中にホロリとさせる感動もある宝塚ならではの娯楽作品になっている。
考えてみればANOTHER WORLD=あの世に行ってみて帰ってきたという人は誰もいない。人はどこから来てどこに帰るのかの真実を、知っている人はいないだろう。だからこそその神秘には畏敬の念と共に恐れがあり、その恐れに救いを求める宗教が人にとって大きな拠り所ともなってきた。けれどもここで描かれるANOTHER WORLDには、とにかく前向きで明るい楽しさが詰まっている。「美人座」には古今の美女が集って舞を舞っているし、鬼が襲ってきても鬼退治で有名な桃太郎も渡辺綱も坂田金時も揃っている。更に、冥途歌舞伎座では十二代の市川團十郎が揃って各役を演じる「仮名手本忠臣蔵」が上演されているというのには爆笑させられたし、真打ち冥途歌劇団では男役スターが踊り、ラインダンスが華やかに繰り広げられて、『ベルサイユの蓮』が近日上演予定とのこと。この明るさ、煌びやかさはどうだろう。もちろん地獄八景の苦しみさえも笑い飛ばそうという落語噺の力強さを底本にしているとは言え、それが宝塚歌劇でしかできない華やかさに昇華されていて、ベテラン座付作家としての谷の力量を改めて感じさせた。何より大切な誰かを見送った経験のある人ならば、こんなに楽しい賑やかなところで愛する人が過ごしていると思えるだけで、温かい気持ちが満ちてくるはずで、これほど美しいANOTHER WORLDを堂々と描けるのは、宝塚歌劇を於いて他にない。

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そんな作家谷正純に会心作を生み出させる原動力になったのが、主演の紅ゆずるの存在そのものであることは論を待たない。これまではいくら紅ゆずるというスターが卓越したコメディーセンスを持ち、豊かなサービス精神で場を盛り上げることに長けているからといって、宝塚歌劇でセンターを張るスターに、いつまでもコメディーリリーフを期待するのは違うのではないか?という気持ちがどこかにあったものだが、この『ANOTHER WORLD』の登場で、そんな杞憂もすべて雲散霧消するのを感じた。それほど紅の康次郎は膨大な台詞を澱みなく話し、想い人を追って駆け回り、徹底的に上方の「つっころばし」の滑稽味を持ちながら、ちゃんとスターで、ちゃんと二枚目だった。この離れ業は誰にでもできるというものではなく、紅の当意即妙の変幻自在ぶりにはただ感嘆するのみ。一生懸命に生きようと決意するラストシーンまで、紅ワールドの力量全開で、揺るぎない代表作を勝ち得た快演となった。

その康次郎が恋するお澄の綺咲愛里は、ドラマの半ば過ぎという遅い登場でも康次郎が探していたのはこの人だ!という印象を保ち続けたのが、トップ娘役の矜持を感じさせる。お澄という役柄は時にギョッとするような発言もしているのだが、持ち前の愛らしい顔立ちでなんとなく騙されて、あくまでも愛らしい「嬢さん」におさまってしまえるのが綺咲の綺咲たる所以。声質が意外にもアルトなのも今回の役柄には効果的で、愛くるしさの中に密かな良い意味の毒が潜む綺咲の個性が活かされたヒロインぶりだった。

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現世の放蕩三昧に飽き飽きして「あの世」へやってきた徳三郎の礼真琴は、上方の二枚目の康次郎に対して江戸のいなせを担う役どころ。キメにキメた所作も粋だし、何より高い歌唱力が実は相当難易度の高い持ちナンバーを、そうとは気づかせずに楽々と歌っているのに地力を感じさせる。遊びという遊びを尽くした人が「恋の為なら死ぬという奴は大勢いたが本当に死んだ人を見たのははじめてだ」と康次郎に肩入れするという流れも面白く、悠々と舞台に位置していた。

康次郎の冥途旅のはじめの供となる喜六の七海ひろきは、微笑ましい天然ぶりが板についていて、学年を考えると驚くほど可愛らしく、台詞のないところでもそのふわふわパタパタした動きに度々目を奪われた。渋いナイスミドルも堂々と演じる七海が、こういう役どころにも楽々と染まるのは驚異的で、宙組時代にいきなりヒロインに抜擢されていっぱいいっぱいだった『風と共に去りぬ』のスカーレットから、ここに至るまでに七海が示した進歩と進化には惚れ惚れするばかり。美しき実力派として更に貴重な存在になっている。
 
また専科から特出の華形ひかるの貧乏神は『くらわんか』で華形自身が演じた役どころで、知っている人には更に思い入れが深まる粋な配役。福の神になれて良かったねと心から思えるし、もちろんこの作品だけを観ても華形の温かい持ち味が活かされていて舞台の彩を深めている。「めいど・かふぇ」の茶屋娘・初音の有沙瞳は可愛らしい外見を裏切るドスの効いた役柄を巧みに演じ、歌唱力も万全。三途の河の船頭・杢兵衛の天寿光希が、渡し賃が六文から六両に値上がりしている!と息巻くのが、康次郎が持たされた借金の証文につながるのも面白く、天寿の手堅い演技が展開をよくつなげている。

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彼らを含めた康次郎ご一行様以外は、星組の多彩なスターたちがワンポイントで登場する上に、ほとんど特殊メイクに近い状態なので、あの人はどこ!?で大忙しになる公演でもあるのだが、その中でも大きな役どころ赤鬼赤太郎の瀬央ゆりあが、いくら凄んでもあまり怖くないのが瀬央らしさと共にスターらしさを感じさせるし、青鬼青次郎の麻央侑希のおおらかさも良い。閻魔大王の裁きの場で自らが裁かれてしまう右大臣・光明の漣レイラと左大臣・善名の紫藤りゅうも変化をよく現していて、ドラを叩く紫藤の姿の良さが光る。赤鬼赤三郎の桃堂純、赤鬼赤五郎の天華えまも冥途に最初に登場する鬼として目を引くし、桃太郎の極美慎の美しさがこの装束に生かされた。この公演で退団する小五郎の十碧れいや、蔦吉の白鳥ゆりやが特殊メイク班でないのも、座付き作者の配慮として美しい。それらの中で閻魔大王の愛人艶治の音波みのりが、現世では虞美人だったとわかる美貌の娘役ならではの役どころで、星組に音波がいる強さを感じさせる。

もちろん専科から特出の閻魔大王の汝鳥怜の存在感、廉次郎の母・於登勢の万里柚美、父・金兵衛の美稀千種のベテラン勢も適材適所。美稀には「冥途歌劇団」のスター役もあり、やり甲斐も大きいことだろう。何よりも桜の若衆と美女の「チョンパ」ではじまるオープニングから、徹頭徹尾宝塚の良さが生きたANOTHER WORLDが展開された、紅ゆずる率いる星組ならではの娯楽作品となったのが素晴らしかった。

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そんな楽しさに弾けた作品の後に控えたのが、タカラヅカワンダーステージ『Killer Rouge』で齋藤吉正の作。今年三回目となる宝塚歌劇台湾公演でも上演されるショー作品で、「素晴らしい」「格好良い」「魅了する人」などを意味するスラング“Killer”と、紅ゆずるのその名もズバリ紅色=“Rouge”をテーマに展開される、スピーディーなショー作品だ。
幕開けから「紅」が印象的な舞台は「Rouge」一色。もちろん場面によっては他の色も様々に出てくるのだが、観終わってみると「紅色」が脳裏に焼き付いているのは、紅ゆずるその人の多彩なエンターテイナーぶり故に違いない。芝居のつっころばしの雰囲気とはガラリと変わったキレの良いこれぞ宝塚スターのカッコよさを見せたかと思うと、ゴミ袋をさげた冴えないサラリーマンが一転してスーパー刑事「Killer Rouge」に変身する等、紅ならではのシーンがたっぷり。高価な宝石を奪う女怪盗「Mask of Rouge」に七海ひろきが扮したのも、美貌と共に良いアクセントになっている。

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もちろんトップ娘役綺咲愛里も冒頭の銀橋からの初登場を含めて大活躍。童話の世界が様々に混線する「赤ずきんちゃん」の愛らしさと変身の妙も楽しめる。ここでオオカミに扮する礼真琴の茶目っ気も楽しいし、メインシーンの「TANGO ROUGE」では高い身体能力も示して盤石。この場面で相手役を務める音波みのりの礼とのバランスが抜群で、学年的には難しいと知りつつも、音波トップ娘役待望論が絶えないのも納得の美しさを披露している。歌唱力に優れた有沙瞳もますます洗練されてきて艶やか。

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また、瀬央ゆりあの存在感がひと際大きくなり、「POST ROUGE」では一場面を悠々と支えてより頼もしい男役になってきた。麻央侑希の男役スターとしての大きさはやはり魅力だし、いつまでも清新さを失わない紫藤りゅうに男役の色気が出てきたのも発見で、アピール力抜群の天華えま、美貌の極美慎と共に勢いを感じさせる。小桜ほのか、星蘭瞳の娘役有望株もよく目立っているし、専科の華形ひかるがショーにも出演して、持ち前のダンス力が活かされたのも嬉しく、見せる歌が歌えるようになったのはやはり経験の賜物だろう。

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何より退団の十碧れいやにサヨナラショーのようなシーンが用意され、白鳥ゆりやも特段に目立つ配置になっているのに、齋藤の宝塚愛と美徳を感じる。これがきちんとあるから、アニソンや図らずも追悼の趣を帯びた西城秀樹のヒット曲や、及川光博の「紅のマスカレード」などJPOPが多数織り込まれている齋藤好みの選曲が悪目立ちすることなく、宝塚歌劇のショー作品に融合した効果は見逃せない。「桜」にちなんだヒット曲のサビ部分をある意味臆面もなくつないだラインダンスの編曲もいっそ清々しく、攻めの姿勢を貫きつつ、台湾でもきっと喝采を浴びるに違いないと確信できる仕上がりのショー作品となった。

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初日を控えた通し舞台稽古のあと、星組トップコンビ紅ゆずると綺咲愛里が囲み取材に応えて公演への抱負を語った。

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で、作品の見どころを問われた紅は「芝居とショーのギャップ」を挙げて、多彩なショー場面を含めて本人も変身の妙を楽しんでいることが伺えた。また「関西弁のお芝居は少ないので、大阪をますます好きになってもらえるのでは?」と東京公演への意欲を見せた。

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綺咲は「お芝居もショーもスピード感があり、お客様が観終わった時に『ああ、楽しかった』と思って頂けるものにしたい」とこちらも意欲的なコメントを披露。

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自身のお気に入りと、互いのシーンで好きなところは?との問いには、紅と綺咲双方がフィナーレナンバーから続く、ラストのデュエットダンスを挙げ、囲み取材にこの衣装を選択した2人の息もピッタリ。紅から見た綺咲のお気に入りシーンが「赤ずきんちゃん」、綺咲から見た紅のお気に入りシーンがだめんずサラリーマンの「紅パパ」と、双方変身の醍醐味があるシーンを選んだところも面白く、トップコンビの絆の深さを感じさせる時間となっていた。

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尚、囲み取材の詳細は舞台写真の別カットと共に9月9日発売の「えんぶ」10月号にも掲載致します。どうぞお楽しみに!


〈公演情報〉
宝塚星組公演
RAKUGO MUSICAL『ANOTHER WORLD』
作・演出◇谷正純
タカラヅカワンダーステージ『Killer Rouge』
作・演出◇齋藤吉正
出演◇紅ゆずる、綺咲愛里 ほか星組
●6/22〜7/22◎東京宝塚劇場
〈料金〉SS席 12,000円 S席 8,800円 A席 5,500円 B席 3,500円 (全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉東京宝塚劇場 03-5251-2001




【取材・文/橘涼香 撮影/岩村美佳】  




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