えんぶ本誌の宝塚記事取材の機動力を生かして、宝塚歌劇の製作発表、会見などをいち早く紹介。 宝塚OGの公演やインタビューのほかに公演の批評なども展開しています。

宝塚ジャーナルは2019年2月20日に引っ越しました。
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『暗くなるまで待って』

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オードリー・ヘプバーンの名演技で知られる映画の舞台化である。心理サスペンスの面白さを生かした室内劇の構造で、ヒロインが盲目というハンディを超えて悪漢たちと立ち向かうプロセスが魅力の人気戯曲で、ここ10年の間にも、三田佳子、安寿ミラ、彩輝なおといった女優たちによって上演されている。
今回の主役は朝海ひかる。このあと『ローマの休日』も控えている朝海にとっては、オードリー・ヘプバーンのイメージを意識せざる得ない舞台だったと思うが、中性的で硬質なオードリーのイメージを裏切らずに、独自のヒロインを作り上げてみせた。

場面はヒロインの留守宅に悪漢たちが集まるところから始まる。
事故で失明したスージーと結婚したサム(山口馬木也)はカメラマンで、空港で1人の女性から麻薬を隠した人形をそれと知らずに預けられる。だが、いつのまにかその人形は見当たらなくなってしまう。
サムが人形を隠したと疑う3人の男たちは、彼の留守に家にやってきて、スージーが盲目であることを利用して罠をしかけ、なんとか人形のありかを聞き出そうとする。
サムの友人のふりをするマイク(葛山信吾)、刑事と偽るクローカー(窪塚俊介)、サムを妻の浮気相手と言いがかりをつける男とその父になりすますロート(加藤雅也)。だが盲人ならではの聴覚と鋭い勘でそのことに気づいたスージーは、近所の少女グローリア(伊藤有沙)に助けを求め、サムが戻ってくるまで3人と闘う意志を固める。

タイトルにあるように、「暗くなればフィフティフィフティで闘えるはず」と思いつくスージーの頭脳戦略とその闘いぶりが、まず大きな見どころだ。同時に、それまで事故で光を失ったことに苛立ちを覚え、盲目である自分に反発さえ抱いていたスージーが、悪漢たちと闘い抜いたことで、自身の現実を受け入れて成長していく姿も描き出されている。
その内面のドラマには、並行して近所の少女グローリアとの関係の変化も描かれていて、2人がこの危機をともに闘うなかで、互いを必要とし存在価値を認め合う姿はまさに感動的で、この作品が持つ奥深さを感じさせてくれる。

_MG_0829スージーの朝海ひかるは、女優としてミュージカルには数多く出演してきたが、今回はストレートプレイに初挑戦。盲目であるいたいけさと悪漢たちに闘いを仕掛ける芯の強さを矛盾なく見せる。転倒する場面が何度もあったり、アクションがあったりと、普通のストレートプレイよりもハードな動きが多い舞台だが、身体感覚に優れているだけに、それらの見せ場をリアルに見せられるのは朝海の強みだろう。

スージーの夫サムには山口馬木也。愛情深く妻を見守り、なんとか自立をさせようとする優しさを全身で感じさせる。
悪漢のなかでも人間としてスージーと向き合い、彼女を傷つけまいとするマイクは葛山信吾。悪である自分への葛藤や苦悩が見える役作りだ。
テンションの高さとキレやすさでチンピラ風な悪を見せるクローカーの窪塚俊介は、個性の強さでいいスパイス役。
もっとも手強い悪漢のロート役には加藤雅也。人を殺すことを愉しむ人間の不気味さと怖さを前面に押し出して、 パラノイア的な恐さで迫ってくる。このロートとスージーの闘いが後半のクライマックスで、上背のある加藤が華奢な朝海に迫る構図だけで、手に汗を握らせる見どころになっている。


日常感いっぱいの普通の家にあるさまざまな家具や小物、たとえば照明や窓のブラインド、洗濯機や冷蔵庫、電話や花瓶などが大きな意味を持ってくる面白さ。また、そこで繰り広げられる恐怖に満ちた死闘。ワンシチュエーションの舞台劇ということを生かした優れた戯曲であることを、改めて感じさせてくれる舞台だ。そして、すさまじい闘いを終えたスージーと、その彼女を「スージーは1人で歩けるのよ」と誇り高く自慢する少女グローリア、その2人の姿にひときわ胸が熱くなる作品である。

 

 

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『暗くなるまで待って』

作◇フレデリック・ノット

演出◇板垣恭一

音楽◇NAOTO

出演◇朝海ひかる、葛山信吾、窪塚俊介、山口馬木也、加藤雅也 他

●09/12/20〜29◎東京グローブ座

●10/1/9◎名鉄ホール

●10/1/11◎イズミティ 大ホール

〈料金〉

東京グローブ座 S席¥8500/A席¥6300(全席指定/税込)

名鉄ホール ¥8500(全席指定/税込)

イズミティ A席¥6500/B席¥6000(前売券 全席指定/税込)、A席¥7000/B席¥6500(当日券 全席指定/税込)

〈問合せ〉
東京グローブ座/サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(全日10:00〜19:00)   

名鉄ホール/中京テレビ・事業部 052-971-2500(月〜金 9:30〜17:30)

イズミティ/(財)仙台市市民文化事業団 総務課企画調整係  022-727-1875(平日9:30〜17:00)

               
【文/榊原和子】

安蘭けいファーストコンサート『UNO』

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安蘭けいが宝塚を退団して初めてのコンサート『UNO』が、12月16日、東京国際フォーラムCホールで幕を開けた。
退団後は女優として、The Musical 『AIDA アイーダ』を成功させた安蘭だが、このコンサートではこれまでの彼女の軌跡を感じさせるとともに、これからの方向性も探る試みが盛り込まれ、シンガーとしての安蘭けいをアピールする内容となった。
その観劇レビューの前に、安蘭からこのコンサートへの抱負をもらったので、まずそちらを紹介しよう。

002「初のソロコンサートで宝塚時代には叶わなかったことを、退団して一年経たないうちにできることを大変嬉しく思います。
宝塚時代から応援してくださっているファンの方には特に喜んでいただけるショーになっていると思います。男役の”安蘭けい”を懐かしんだり、新しい”安蘭けい”を発見して頂いたりして、今の”安蘭けい”を一緒に感じて頂ければと思います。  安蘭けい」








構成は二部仕立て。8つの場面があり、第1部が「プロローグ」「私の好きな歌」「タイムレス・ヒロインズ」「ア・ラ・スパニッシュ」、第2部が「宝塚の歌」「スタンドアップ」「『RENT』へのオマージュ」「フィナーレ」。曲目は宝塚時代のものから、シャンソン、ラテン、ミュージカル・ナンバー、このコンサートのタイトル曲まで幅広く、聴きごたえのある構成だ。

Overtureからまず心が躍る。007
「ひとかけらの勇気」から「花吹雪恋吹雪」、そこから「エル・アルコン-鷹-」に続き、また「ひとかけらの勇気」に戻るという「宝塚の安蘭けい」が詰まったOverture。安蘭自身はまだ登場していないにも関わらず、オーケストラの演奏だけでも期待は高まる。存分に期待が高まったところで、安蘭が登場。1曲目の「The Rose」をしっとりと、しかし力強く歌い上げる。懐かしいバウの『ICARUS』以来の彼女のテーマだ。



アンコールを含めて全28曲。コーラスの女性3人やダンサーの男性6人の曲も何曲かあるものの、衣装替えの時以外は、ほぼ安蘭は出ずっぱり。

008宝塚退団後、初のコンサートということもあるが、やはり一番印象に残ったのは「最後のダンス」(エリザベート)だろう。この一曲を聞いただけでも、安蘭けいのトートが目の前に浮かび上がってくる。絶対の自信を持っていそうで圧倒的かつ高圧的でもある存在感たっぷりの、だがその裏に繊細さや強い孤独を感じさせるトート。歌声だけでも惹きつけられ、想像が広がった。
全編を通して、衣装と歌が一番調和がとれていたのも、この『最後のダンス』だった(ポニーテールに、黒いパンツ、変わり燕尾のような独特なデザインの黒いコート)。安蘭の歌声やパフォーマンスは十分楽しめただけに、曲の持つ雰囲気に衣装やヘアメイクが、やや合っていないように感じられる場面があったのがもったいない。もちろん今は、そういう部分も含めてチャレンジの時期なのだろうし、意欲は高く評価したいと思う。005







白のスーツに白のソフト帽、男役姿の安蘭が見られたと思ったら、次の場面ではミニスカートやドレスを着て再び登場する。その振り幅の広さも見どころの一つ。
歌声も男役的な低音から、女らしい高音を聴かせるところまで、音域が広い。ラテンは宝塚時代からの得意ジャンルだったし、シャンソンは芝居心のある安蘭らしく表情たっぷりに歌ってみせる。その表情もキュートだったり、男前だったりと、相変わらず表現が豊かだ。選曲にしろ衣装にしろ、男役から女優へという変化の過程にある安蘭けいの、“今”だからこその魅力が随所で光っている。

009シングルCDとして発売された「DREAMER」を、優しく歌いながら客席降りをする場面や、観客スタンディングの場面があるのは、コンサートならでは。「とうこ先生」の指導のもと、観客も出演者と同じ振りを踊るという場面もあって、このあたりでは、安蘭のトークも同時に楽しめてしまう。歌声で酔わせ、トークでは素の気さくな持ち味で盛り上げる。そんなところも安蘭けいならではの魅力だろう。


最後はやはりこの曲、「ひとかけらの勇気」。公演中はちょうどクリスマスシーズンとあって、クリスマスカラーのドレスに身を包んだ安蘭けいが歌い上げる様子は、生きるエネルギーを伝えてくる。
宝塚時代の思い出や懐かしさに浸りつつ、これからの彼女の夢に、ともに思いを重ねたひととき。「歌で心を届けていきたい」という安蘭の気持ちが、ダイレクトに伝わるファーストコンサートだった。



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安蘭けいファーストコンサート『UNO』
『UNO』 

●12/16〜20◎東京国際フォーラムC 

●12/23〜25◎梅田芸術劇場メインホール
演出◇三木章雄(宝塚歌劇団)

出演◇ 安蘭けい 

<料金>
国際フォーラムC S席11000/A席7000(全席指定/税込)

梅田芸術劇場メインホール S席10000/A席7000/B席4000/(全席指定/税込)

<チケットに関するお問い合わせ>

梅田芸術劇場 06-6377-3800

                    http://www.umegei.com

 

【文/岩見那津子 構成/榊原和子 撮影/岩村美佳】


月組公演 瀬奈じゅん囲み会見

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月組トップ男役、瀬奈じゅんのサヨナラ公演が、11月27日、東京宝塚劇場で幕を開けた。

正塚晴彦作・演出のミュージカル・ロマン『ラストプレイ〜祈りのように〜』は、孤児院で育てられた天才ピアニスト、アリステアの心の彷徨の物語。優勝をかけたコンテストで意識を失って倒れ、ピアノを弾けなくなった彼が、社会との関わりや友情のなかでそのトラウマを克服するまでが描かれる。

アリステアには瀬奈じゅん、そして彼と関わるようになる古美術商のムーアには次期トップに決定した霧矢大夢が扮して、がっちり組んだ男役同士の芝居を見せる。専科の未沙のえるや、この公演で退団する遼河はるひ、同じく退団する娘役の城咲あい、羽桜しずくも活躍の場があり、華やかさを前面に出した舞台ではないものの、胸の奥の温かさに静かに触れてくる、いかにも正塚ドラマらしい仕上がりだ。

ショーの『Heat on Beat!』は、三木章雄演出のテンポよく見せ場もきっちりあるステージ。ラテンラバーな瀬奈の切ない「エル・ビエント」や、シンプルなシャツのまま裸足で踊るソロダンス、宝塚の定番である大階段での黒エンビなどなど、男役瀬奈へのオマージュが満載の舞台となっている。

初日の午前中に行われた通し舞台稽古のあと、報道陣の囲みに現れ0107た瀬奈じゅんから、まず最初に挨拶があった。
「本日はお忙しい中、お集りくださいまして、ありがとうございます。ご覧の通り、熱気溢れるショーと人情味溢れるお芝居です。千秋楽までインフルエンザに負けずに、健康第一でがんばっていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします」

【一問一答】

ーー今回、退団公演でもありますが、とくに感慨深く思っているシーンなどあれば。
そうですね、やはり1人で裸足で踊るところとかは、床のキズとかセリとかそういうものが、やはり…。あぁ、あのときにセリに乗ったなとか、このキズいつも見ていたなとか、すごく思い入れのあるステージで踊っているという、感慨深いものは確かにありますね。

ーーいよいよ最後の1月を迎えた今の心境は?0105
もちろん18年間やってきて、突然この生活でなくなるという寂しさはあるんですけれど、でもやりきったという思いが強いので、晴れやかな気持ちで、いま毎日を過ごしています。

−−千秋楽の12月27日をどう迎えたいか?
そうですね。私の退団というものは、初めてご覧になったかたには全く関係のないことですから、初めて観てくださったお客様にも、「あぁ宝塚っていいな」と思っていただけるように、いつも通りのパワーでいつも通りの月組のよさで、舞台を楽しみたいなと思っています。

ーー両方の見どころをやはり改めてうかがいたいのですが。
お芝居のほうはとても日常的というか、みなさん身近に感じていただけるようなものになっているので、何か自分と重なる点、何か感じるところを見つけていただけたら、うれしいなと思っています。0106そういう人情味溢れるところが見どころですね。ショーは若手も大活躍してますし、1場面1場面、すごく個性的な場面も多いので、その七変化といいますか、そういうところを楽しんでいただけるとうれしいです。

−−退団後のご予定とかご希望とか?0108
ご希望ですか? ご希望としては、遊んで暮らしたいのはやまやまなんでけど(笑)。いままで応援してくださったファンの方のためにも、何かいままでやってきたことを生かせることができればと思っているんですが。まだ具体的には何も決まっていないので、またご報告できるようになったら、ご報告させていただきます。

−−演技などは続けたい?
そうですね、やりたいとは思います。ただ、女優となるとまた私もずいぶんと変わっていかなきゃいけないので、大変だなと思いますけど、できれば挑戦してみたいですね。

−−先日大先輩で花組トップスター、大浦みずきさんが亡くなりましたが。
私は大浦さんが在団中は、一度もご一緒したことはなかったのですが、宝塚音楽学校の予科本科のあいだ、花組観劇が一番の楽しみで、その頃のトップさんが大浦さんだったので。それから、私が初めてトップとしての仕事をさせていただいた羽山紀代美先生の『ゴールデンステップス』という作品で、大浦さんが踊った場面を踊らせていただきました。すごく残念ではありますけれど、いまでも素敵に踊っていらっしゃる姿が目に焼きついています。
 

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最後に「千秋楽までよろしくお願いいたします」と深々と頭を下げた瀬奈に、詰めかけたたくさんの報道陣から、ひときわ大きな拍手が送られる。その拍手のなかを瀬奈は清々しい表情で、初日を迎える楽屋へと戻って行った。この公演は暮れの12月27日まで行われ、26日午後の部と27日の千秋楽には「瀬奈じゅん サヨナラショー」も上演される。

 







【ステージフォト】
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月組公演
ラストプレイ〜祈りのように〜』
『Heat on Beat!』

●11月27日〜12月27日◎東京宝塚劇場

当日券等の問い合わせ/東京宝塚劇場 03-5251-2001

 

 【取材・文/榊原和子】

大和悠河インタビューvol.2

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ーーちょっと宝塚時代を振り返りたいのですが、まず宝塚のどこに惹かれて入ろうと?

あのエネルギーですね。最初に観たときに、なんてエネルギッシュな世界なんだろうと思ったし、発するものがすごいなと。それから、出てるかたたちがすごく楽しそうだなと。
どんどん観ていくうちに男役という存在に引きつけられていって。最初は外見に目が行ってたんですが、次第に内面にも目が行くようになっていって。なんでこの人は大きく見えるんだろうとか、なんて味のある人間に見えるんだろうかとか、言葉がなくても醸し出すものがあるんだなとか。

そのうちにお芝居ってなんなんだろうなと思いはじめて、演じるということに興味を持つようになったんです。音楽学校に入ってからはさらにお芝居にのめり込んでいきました。このセリフはこう聞こえるけど言いたいことは違うんだろうなとか、演技の芯の部分をなんとか突きとめたいと思っていて。だから劇団に入って男役になった時からずっと、内面を演じられる男役になりたいと思っていたし、よく言う「背中で哀愁を漂わせる」、そういう役への憧れがありました。

ーー悠河さんは下級生時代から、形よりも心を大事にする男役でしたね。

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私はみんなと逆のケースだったのかもしれません。下級生の頃はまったく形を意識しなかったんです。気持ちだけでやってました。それがある時点からそれもまた違うなと思いだして、作った外見と役の内面が一緒になると自然に演じられるのかなと思いました。それに宝塚のファンの方が観たいものを私は見せれているんだろうか、形とか外面ももっと必要かなと思って、そこから形をはっきり意識しはじめました。

ーー月組はちょうど悠河さんが入った頃、天海祐希さんとか久世星佳さんとか、ナチュラル派のトップさんたちがいましたからね。

そうですね、すごく自然な演技をするかたたちでしたから、その部分はとても影響を受けたと思っています。
もちろんそのあと出会ったどのトップのかたも、皆さんすごく素敵でしたし、それぞれのかたのスタイルや、トップとしてのやり方を学ばせていただきました。それに私は星組にも特別出演で行ってるんです。ですからこうでなくてはいけないんだというのは逆にないということがわかったし、まず私なりのスタイルを作ればいいんだなと、自分らしさを追求しようと思いました。

 

ーー悠河さんは、下級生時代から本当に真面目な生徒というので有名だったし、いつも頭の中には宝塚しかないみたいに見えました。

本当に他のことは何もなかったです。次の作品のことだけ。一番楽しいことは次の作品が決まるとそれについて考えることで、ファッションもそうですし、街に出かけても自分のリフレッシュより、「これ舞台で使えるかもしれない」とか考えながら買い物するのが楽しかったので。趣味が全部舞台につながってました(笑)。

ーーそうなるとお稽古のシンドさなんて、どうってことないでしょうね。_MG_5302

シンドさのうちに入らないです。逆に稽古がキツイほうが「あー、やってるな」という実感が得られるし、初日が開いてからの充実感とか達成感は大きいですから。シンドイほうがファィトが出る感じでした。闘うのは自分とだったし、自分を追求してるから最終的には自分を信じるしかなかったし、ライバルはつねに自分、自分に向けていつも闘いを挑んでるみたいな感じがありました。

 ーー自分との闘いが実は一番シンドイんですよね。

でも闘ってるうちにいろいろなことを思いついたりするし、つねに次の舞台や仕事に結びつくから、全然シンドクなかったです。逆にそういうふうにいつも自分に何かを突きつけていないと、「これで舞台に立っちゃっていいのかな」と不安になってしまうので。本番まで自分に闘いを突きつけているのが、いつもの自分を保つことにもなっていました。

ーーラクになると不安になる?

そうですね、でもそれがある意味では頑張りすぎているように見えてたかもしれないし、ちょっと力を抜いたほうがいいかなと思いはじめたのがトップになってからです。
トップになって精神的にはすごく楽になったんです。自分の視界が広がったというか。こなす仕事の量は圧倒的に多くなるんですが、自分のやりたいようにできる。責任も大きいんですけど、逆の言い方をすれば自分がこうしますと言わないと周りも動けないので、先頭切ってやらざるを得なくなるんです。
それを重荷ととるか楽しみととるか、その両方でもあるんですけど。トップはそれだけ自分の色とか魅力が必要だし、それが組のカラーになっていく。だからいい仕事をしているなという感動もありましたし充実感はやはり違いました。

ーートップとしてはまだ昇り調子でしたから、退団は本当に惜しむ声が多かったですね。

それは有り難かったんですけど、自分では幸せな状態で辞められたと思います。昇り調子のままで辞めたかったというか、初舞台からずっとエンジンをかけたままでいられたし、ダレるのはイヤだった。だから自分でゴールを決めたほうが最後まで全力疾走でいけるかなと、それが私らしいかなと思ったので。走り抜けたことには自分でも満足しているんです。

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ーー女優さんの姿になってもとても綺麗なので、やはり悠河さんはこういう仕事を続けるべく生まれてきたのだと思います。

そう言っていただけると嬉しいです。自分でも意外といけるかなって(笑)。いろいろな可能性が広がった気がしています。皆さんにもどう映るかちょっと心配だったんですけど、ニキの扮装を見て「可愛い」と言ってくださる声もあったのでホッとしました(笑)。


ーー3か月前までリーゼントしてた人とは思えないです。

してましたね(笑)。でも格好が変われば気持ちがさっと変わるので、今でもスーツを着ればすぐ男役になれると思います(笑)。

ーーこれからも男役の格好を見せてくれる気持ちはあるんですか?

見せられる機会があればイヤではないのでお見せしたいです(笑)。でも今はまず女優になったので、女性としてちゃんとしたものをお見せしたいんです。それがちゃんとできるかを確かめてみないと(笑)。自分がこれからどういうふうになるか楽しみですし、ニキという女性をどう作るかが今は私の楽しみなんです。

ーー今後ですが、女優さんとしてどんな存在になりたいですか?

男役のときと同じで自分の魅力を出せるように、そして自分をさらけ出していろいろな役に挑んでみたいです。好きな言葉が「うまい役者よりいい役者」で、やっぱり心を伝えられるような役者になりたいですね。

ーー次の作品も決まったようですが、とりあえず今はニキをどう見せてくれるかを楽しみにしています。

まずは女優としてのスタート作『カーテンズ』でがんばります。
 

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ブロードウェイ・ミュージカル『カーテンズ』

●2010/2/6〜24◎東京国際フォーラム ホールC

   2/27〜3/1◎ 梅田芸術劇場 メインホール

   3/7◎愛知芸術劇場 大ホール

演出・振付◇ビル・バーンズ

出演◇東山紀之、大和悠河、鳳蘭、マルシア、鈴木綜馬、大澄賢也、岡千絵、芋洗坂係長 他

<料金>

全公演共通  SS席¥12000/S席¥11000/A席9500(全席指定/税込)

<チケットに関するお問い合わせ>

東京公演/サンライズプロモーション東京 0570-00-3337

大坂公演/キョードーチケットセンター 06-7732-8888

愛知/キョードー東海 052-972-7466

 

               http://www.curtains.mu/

ブロードウェイミュージカル「カーテンズ」特番、来春テレビ朝日系にて放送予定!
詳細は決まり次第、カーテンズ公式ホームページにてお知らせします。

【取材・文/榊原和子 撮影/岩村美佳】






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