宝塚ジャーナル

帝劇ミュージカル『ビューティフル』お得なチケット販売中!

浜木綿子の人気喜劇『売らいでか!』出演者変更のお知らせ!

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浜木綿子主演の人気公演で、大和悠河などが出演する華やかな顔ぶれの舞台、喜劇『売らいでか!』が7月1日から博多座で幕を開ける。そのメインキャストの1人、左とん平が急性心筋梗塞の治療のため休演、同役は井上順が代わりにつとめることになった。

本作は岸宏子の小説「ある開花」を原作に、『細うで繁盛記』『あかんたれ』など数々の名作ドラマの脚本を手掛けた花登筺が劇化したもの。昭和43年に『喜劇“夫”賣ります!!』のタイトルで映画化、舞台でも、昭和43年7月の芸術座を皮切りに上演を重ね、今回の博多座公演で550回を超える息の長い作品となっている。
 
【あらすじ】
物語の舞台は伊賀上野。町一番の名家、神代産業の当主、里子さま(大空眞弓)は亭主運が悪く、未亡人。一人身の淋しさで情緒不安定気味の奥様に、支配人・石上(加藤 茶)らは振り回される日々。一方支配人の弟・弘(小野寺 丈)は野心家で、里子に男をあてがい、遠隔操作で神代産業を牛耳ろうと企んだ。そして目を付けたのが、長年里子に恋焦がれている杉雄(井上 順)。祭り囃子に町が浮かれている頃、弘の計略にハマった杉雄は里子の寝室に連れて行かれる…。
杉雄の妻、なつ枝(浜 木綿子)は明るく貞淑な働き者。姑ぎん(正司花江)の嫁イビリにも耐え、組紐の内職に精を出していた。折も折、ぎんの想い人である南出(荒木将久)の娘・敬子(山田まりや)のお腹が膨らみ始め、ちょっとした騒動に。どうやらお腹の父親は…?
なつ枝は弘の恋人で神代産業の女中・きく子(大和悠河)から組紐の儲け話を持ちかけられるが、どうも魂胆がありそうで…。さらに最近、夜勤続きで疲れていると言うが、杉雄の様子がおかしい。女の直感でピンときたなつ枝は、里子と対決するため、神代産業に乗り込んだ…。
「いらん所から、いる所へ」なつ枝は亭主を里子に売り払い、その金を元手に女だけの会社、株式会社伊賀組紐商会を設立。神代産業の事務員・節子(臼間香世)やきく子も加わり、なつ枝は社長に就任した。いよいよ浮気亭主と意地悪姑から離れた、なつ枝の快進撃が始まった!
売られた亭主とオマケの姑の行く末は?

“夫を売り飛ばす”なつ枝を演じるのは浜木綿子。陽気でバイタリティーに溢れちょっと慌て者のなつ枝を巧みな役作りで演じ、痛快な「にんげん喜劇」となっている。
ほかに気の強い神代産業当主・里子に大空眞弓、その里子に振り回される支配人には加藤 茶、嫁イビリが生きがいのなつ枝の姑役の正司花江、神代家の女中きく子に大和悠河、元校長の娘敬子に山田まりあなど多彩な顔ぶれで、色と欲の人間模様が笑いと涙たっぷりに描かれる。
博多座公演のあと北陸、東北公演、8月にシアター1010での公演も予定されている。

〈公演情報〉
原作◇岸 宏子(「ある開花」より)
脚本◇花登 筐
潤色◇野田 昌志
演出◇池田政之
出演◇浜木綿子 井上順 加藤茶 大空眞弓 正司花江 大和悠河 山田まりや 小野寺丈 荒木将久 臼間香世
●7/1〜16◎博多座
●7/19〜20◎北國新聞 赤羽ホール
●7/23◎秋田市文化会館
●7/25◎宮城・電力ホール
●7/27◎岩手県民会館
●8/8〜10◎シアター1010

「三銃士」を全く新しい発想で描く宝塚月組公演『All for One〜ダルタニアンと太陽王〜』制作発表レポート

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珠城りょう率いる宝塚月組が、デュマの古典名作「三銃士」で知られる登場人物たちに扮し、時代も設定も飛び越え、小池修一郎の新たな発想で冒険活劇を繰り広げる、三井住友VISAカードシアター、アクション・ロマネスク(浪漫活劇)『All for One〜ダルタニアンと太陽王〜』を上演することになった(兵庫・宝塚大劇場で7月14日〜8月14日、東京宝塚劇場で9月1日〜10月8日の上演)。

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『All for One〜ダルタニアンと太陽王〜』は、本来ルイ13世時代に活躍した、銃士隊のダルタニアンと「三銃士」を、ルイ14世の時代へとスライドさせ、太陽王と呼ばれたルイ14世が治めるフランスで、銃士隊1の使い手ダルタニアンが、王の剣の相手に任命されたことから、ブルボン王朝を揺るがす王の秘密を知ってしまい、そのルイ14世の為に立ち上げるダルタニアンと、共に戦う三銃士との友情、敵対する勢力との確執を、壮大なスケールで描き出す浪漫活劇。海外ミュージカルの潤色・演出を含め、多くの作品を手掛ける小池修一郎の『眠らない男・ナポレオン─愛と栄光の涯に』以来の、オリジナル書き下ろし作品であることと共に、多彩な人材の集まる月組での公演に大きな期待が集まっている。

そんな作品の制作発表会見が、5月31日都内で行われ、宝塚歌劇団理事長小川友次、公演の冠協賛会社である三井住友カード株式会社代表取締役社長久保健、作品を担当する宝塚歌劇団演出家の小池修一郎、出演者を代表して宝塚歌劇団月組トップスター珠城りょう、トップ娘役愛希れいか、男役スター美弥るりか、月城かなとが登壇。公演への抱負を語った。

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会見はまず、出演者のパフォーマンスからスタート。「三銃士」の1人アラミスを演じる美弥るりかに加え、アトスを演じる宇月颯、ポルトスを演じる暁千星も登場し、お馴染みの「三銃士」が勢ぞろい。大胆不敵なポルトス、沈着冷静なアトス、そして、世紀の色男アラミスが、三人のくっきりと異なる個性で、一気に作品世界へと誘う。そこへ、珠城りょう演じる無敵のヒーローダルタニアンが登場し、剣を交えた4人が颯爽と歌い踊る姿は、まさに「 All for One One for All」の世界。冒険活劇に相応しい主題歌も場を盛り上げる。

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そこへ、月城かなと演じるベルナルドが登場。ダルタニアンと三銃士の前に立ちふさがるマザラン枢機卿の甥という設定が明かされ、ダルタニアンとの闘いのあと、専科の沙央くらまが演じるモンパンシェ公爵夫人も登場。二人がダルタニアンと三銃士たちを陥れる策を練ることが予見される展開が繰り広げられた。

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すると、金色のバレエ衣装に身を包んだルイ14世役の愛希れいかが仮面をつけてあらわれる。剣の稽古を促すダルタニアンを、ダンスのレッスンに夢中で相手にしない王という、月組のトップコンビの意表をついたこの作品ならではの関係性に、興趣が募る。
最後はまた華やかに「 All for One One for All」と歌い上げる主題歌のテーマが響き、出演者全員が登場。これからはじまる新しいドラマに期待の高まる迫力あるパフォーマンスとなっていた。


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そこから、舞台は記者会見へと移り、まず登壇者の挨拶、そして質疑応答へと引き継がれた。

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月城かなと、美弥るりか、小池修一郎、久保健、小川友次、珠城りょう、愛希れいか 

【登壇者挨拶】

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小川
 皆さん本日はお忙しいところ月組の記者会見にご列席を賜り本当にありがとうございました。歌劇団の小川でございます。また三井住友カード様には今回も冠公演を賜りまして本当にありがとうございます。おかげ様で宝塚歌劇は2017年の103周年も順調にたくさんのお客様に来て頂いております。ご存知の通り今年の宝塚での正月公演は、この月組の『グランドホテル』『カルーセル輪舞曲』で開けまして、本当に大好評を賜りました。先日も雪組のトップコンビのサヨナラ公演が大劇場でありましたが、我々も更に!という思いでございます。そして私の考えとしては(新トップの)2作目が非常に重要なんじゃないかなということで、今回万難を排して小池先生にお願いをしたところでございます。
今回は小池先生の新作の書き下ろしでございまして、小池先生の新作書き下ろしで思い出しますのは、100周年のお正月公演、皆様ご存知の『眠らない男・ナポレオン─愛と栄光の涯に』でございますが、それ以来の書き下ろしでございますので、期待しているのは私だけではないと思っております。
後でご紹介もあると思いますが、三井住友VISAカード様には、今回で43回目の冠を頂戴しておりますが、小池先生の作品としては15作目のVISAさんの冠という、記念の公演でもございます。明日から宝塚で稽古を開始するのですが、作品の中身は小池先生の頭の中でございます。明日台本ができてくるかどうか楽しみなのですが、初日は7月14日、フランスの記念日でございますので、皆様と共に私も初日をワクワクして待っておりますので、どうぞご支援賜りますようよろしくお願いします。本日は本当にありがとございます。

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久保 ご紹介に預かりました三井住友カードの久保と申します。協賛各社を代表してご挨拶申し上げます。「One for All All for One」という言葉は宝塚に一番相応しい合言葉ではないかと思います。今ラグビーの世界では精神として言われておりますが、我々は子供の頃から親しんで参りましたデュマの「三銃士」、先ほどのパフォーマンスにもありましたけれども、4人の剣士が剣を重ね合わせて「One for All All for One」というシーンが非常に印象的でございまして、これはまさに日本人向きだなと。やはりチームワークと自己犠牲を良しとする日本人の心に一番刺さるんです。
日本で言いますと同じようなものに「南総里見八犬伝」がありますけれども、日本人が大好きな勧善懲悪、大冒険スペクタクルであり、今から大ヒットが予想される、待望の期待作品、しかもこれを小池先生が書き下ろして頂けるということで、更に期待が膨らんでいるというところでございますが、まぁ実はスポンサーでありながら、何も中身はわかっておりません(会場笑い)。何も知らんで金を出すのかと言われるかも知れませんが(会場爆笑)、私が知っている「三銃士」とはずいぶん違うなぁというのがありました。
だいたいまず若きダルタニアンというのはルイ13世時代ですよね。それがルイ14世の時代、ずいぶんダルタニアンは年をとっているような気がする、若きダルタニアンとルイ14世は30年〜40年くらいの差があります。で、太陽王を娘役のトップが演じる?これはいったいどういうことかな?と思いますし、ルイ14世というとレオナルド・ディカプリオの「仮面の男」の鉄仮面の話、王が入れ替わるみたいなものもあるので、これが(あらすじにある)ブルボン王朝の秘密なのかな?とも思いますが、そういうものが入っていながら、時代が全く違う。「ベルナルドって誰だ?」(笑)と思いましたら、先ほど月城さんが出てきて、ベルナルドはマザラン卿の甥か!ということとか、だんだんわかってきているのですが、実は結末もまだわかっていないということで、やはりこの「三銃士」は日本人がとても楽しめる題材で、それがとんでもなくぶっ飛んだ「小池ワールド」になるという、どういう展開になるのか今から興味津々です。スポンサーでありながら1ファンとして先行きにワクワクした気持ちを持っています。こういう機会を与えてくたさいました小川理事長はじめ、関係者の皆様方には熱く御礼を申し上げたいと思います。 
月組を今回協賛させて頂くということでございますが、月組のトップは『グランドホテル』でデビューを飾られた珠城りょうさんでありますが、素晴らしいデビューを飾られました。今度は若き野心家のダルタニアン、これは一番オーラが発せられる役どころであると思いますので、ここでまさしく珠城さんの魅力が炸裂するのではないかと思います。それから美弥るりかさんはアラミス役でございますが、アラミスという役は私の知る限りにおいては女ったらしなんだけれども宗教家を目指している、という二面性を持った非常に難しい役でありまして、『グランドホテル』のオットー役で非常に好演されまして、こういう繊細さのある役というのは美弥さんにしかできないと思います。

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それから娘役の愛希れいかさんが何故か太陽王になるということで、男になるのか女になるのかよくわかりませんけれども、元々愛希さんは男役から娘役に転身されましたし、非常に踊りは得意でいらしゃいましてダイナミックな踊りをされますので、この太陽王の踊りというのも非常に興味深いところであります。月城かなとさんに至っては雪組から組替えされたばかりということで、月組の月城というおさまるところにおさまったなと。何しろ美しすぎる男役と言われていた月城さんが加わって、ただでさえ若い月組に新風を巻き込むということで、今後の月組自体がどういう風になるのか、他の組とは全く違う新しい特徴を出して頂けるのではないかなということで、非常にワクワクしております。
そういう中で興味は尽きませんが、間違いなく言えるのは小池さんの世界で、歴史に名を残す名演目になるのではないかと期待しております。私がそう期待致しますのは、たまたま私共の会社が創業50周年でございまして、宝塚の100周年には遠く及ばないのですが、50周年の記念にあたってこの素晴らしい名作に協賛させて頂けるというところに、今から限りない名誉を感じておりますので、これから台本ができるところですから(会場爆笑)、実際には生徒さんがこれから、どういうことをされるのかわからない中で緊張感をもってやられるというところで、お稽古も大変だとは思いますが、是非素晴らしい本番を迎えられますよう期待したいと思います。私共三井住友カードも、先ほど43回目の協賛だと言って頂きましたが、宝塚と共に最もお客様に近い存在でありたいと願い続けております。そういう気持ちも込めまして、我々も万難を排してこの作品を応援したいと思いますので、よろしくお願い致します。

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小池 (久保社長の挨拶に)素晴らしいですね。ここまで何の紙を見ることもなく、即興でこれだけご紹介を頂きまして本当にありがとうございます。たいしたものでございました(会場笑)。と申しますのは、それぞれの特徴ですとか、作品のセールスポイントを全部言ってくださいました。
今簡単に申し上げると「三銃士」の物語をベースにしようと思いましたのは、タイトルにもあります「 All for One」そして社長のおっしやった「One for All」も含めたラグビーの合言葉にもなっておりますが、色々な翻訳がありまして、中には「一心同体」という四文字熟語に直しているものもあって、これが今の、そしてこれからの月組の目指すところになったらいいなと思っています。珠城りょうはトップに就任致しまして2作目、また月城かなとが雪組から参入して新たな体制でいくというところでございます。珠城りょうに関して私は、おおらかなオーラを持ったスターとして活躍して欲しいという思いがございますので、まぁ比較的これまて死ぬ役が多かったということがわかり、これまで主役をしたものとか、脇で出たものも、元々真面目な人ですから、重たい責任を果たすという役が多かったように思います。そこで少しのびのびできるものが良いかな?と思ったのと、今、申し上げたように新しい体制であるというところで「三銃士」をベースにしたら面白いものになるかなという風に思いました。
それぞれのキャラクターについては、(久保社長が)すべておっしゃってくださいまして、特にアラミスの解説に関しては見事なものでございました。宗教家の面もあり、美弥るりかならではのちょっとドキドキもある、あるという風に予定しております(笑)。ベルナルドに関しては敵役ではあるのですけれども、これは勧善懲悪ではあれ、社会正義で悪を駆逐するというよりは、17世紀フランス革命の100年以上前の物語でございまして、ルイ14世が新政をはじめる、だいたいルイ14世が20歳になるくらいの頃、というのに設定して、史実と、史実でない部分とを混ぜて作っております。
「三銃士」の物語自体が、デュマの前に別の作家が書いた物語があり、更にその前に実在の人物がいる、ですから実在の人物の伝記があり、それをもとに書いた作家がいて、更にそのもっと後にデュマが「三銃士」という物語を書いたということでございますので、色々なバージョンがあり、色々なエピソードがございます。これは私共がキャラクターとして有名なダルタニアンと他の3人というものを含めて、物語を作ってもよいのではないかと思いました。

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宝塚歌劇でも「三銃士」をベースにしたものは、これでたぶん4回目か、5回目ぐらいなんです。戦前からございまして、今回の為に阪急の池田文庫から資料を取り寄せましたら、色々なものを送って頂いてびっくりしたのですが、中でも一番驚いたのは白井鐵造先生が昭和30年代に、マル・サチ・オソノと言われたゴールデントリオを売り出す為に「三銃士」をやって大ヒットしたというのがあり、それは私も聞いたことがあったので改めて見ましたら、マルさんと呼ばれた那智わたるさんがダルタニアン、オソノさん藤里美保さん、サチさん内重のぼるさんといて、4人目は誰なんだろう?と思いましたら、これがいないんですね。ダルタニアンを入れての「三銃士」になっていて、確かポルトスがいなかったと思います。そういう風なところからも、私の大先輩である白井先生がそういう風になさっている、そうか!とちょっと逆に名作のどこを使おうかと思っていたのが、そういう大胆な脚色を先達もやっていたんだなとすごく感じました。
今回、皆さんが謎だと思っていらっしゃるのが、愛希のルイ14世、先ほどのお話にもありましたように「鉄仮面」と同じようなプロットがございますが、ただそれが愛希が一人二役をやるのかどうかはちょっと今は伏せておこう、その方が良いね、とさっき珠城りょうとも話しましてそういうことに致しました。秘密の部分に関しましては皆さん色々ご想像なさっているでしょうし、それはかなりあっていると思います(会場笑)。ですので、それを楽しみにとりあえず初日まで引っ張った方が良いかなと思っております。そして、あと今の言い方ですと、これは確かに「トンデモ三銃士」と言われるでしょうが、今から50年以上前に白井先生が「三銃士」をベースに自由なファンタジーを宝塚で作られて、それを大変お客様がお喜びになったというところからすると、私も今の月組のメンバー、ここには登壇しておりませんけれども、先ほどパフォーマンスに登場したメンバーを含め、更に70名以上いると思います月組全員一丸となって、「 All for One One for All」と言えるものを作りたいなと思っております。
あまり頭を悩ませて考え込むものではなく、娯楽として楽しんで頂けるものができればなと。ちょうど宝塚大劇場は夏休みでございますので、今、宝塚もファミリーランドがなくなって、あまり季節感というものはなくなったのですけれども、私などは長くおりますので、正月公演、春の公演、夏の公演というのは、娯楽性、エンターテインメント性の高いもので、願わくは多くの世代の方に楽しんで頂けるものがいいのではないかと思っております。ちなみにやっぱりそういうものをやりますと、もっとこうぐっと深刻なものですとか、濃いメロドラマや、純粋な悲劇を観たいというご意見も必ず頂くんですけれども、私は知らなったのですが、愛希さんは98年にやった『エクスカリバー』を観て、宝塚に入りたいと思われたと。 

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愛希 はい、そうです。
小池 またこれは皆さん出てくださった、龍真咲さんの時にやった『PUCK』というものも、龍さんが子供の時に涼風真世さんがやった初演を観てやりたいと思ってくれたということもあり、やっぱり宝塚歌劇を志してくださる少女たちの中には、夢とか希望とかの要素が必要であると思っています。今回の作品は、色っぽいアラミスもおりますので、あまりそういうことはできないと思いうんですけれども、でもトータルにエンターテインメントとして面白いものができれば、VISAさんのご期待にもお応えできればと。VISAさんの冠公演の時には、大人の男性が多く客席にいらっしゃるというのが凄く感じられますので、そういった方々が「宝塚か」と思って観にいらしても、帰る時には、ちょっとワクワク、活力と元気をもって帰って頂けるようなものが作れたらいいなと思っております。すみません、今日は私断罪の場のようでございまして(会場笑)、このように皆様にお集まり頂いていて、本当に恥ずかしいなと思いますけれども、でもその中で、この作品が1つのエンターテインメントとしてお心に届けばと思っております。よろしくお願い致します。

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珠城 皆様本日はお忙しい中このようにお集まり頂きましてありがとうございます。宝塚歌劇団月組の珠城りょうでございます。今回「三銃士」のダルタニアンをさせて頂くということで、まず小池先生の完全オリジナルな作品だというお話を伺った時に、すごく嬉しかったです。個人的に私は小池先生にご縁があり、月組としてもご縁があるのですけれども、今まで出演させて頂いた作品の中でも、自分が200%の力を出して挑まないと乗り越えられないような、壁を与えて頂いたと言いますか、そういう状況を作って頂いて、自分と闘いながら頑張る、立ち向かっていくという機会をたくさん与えて頂いたので、本当に小池先生と今まで一緒にお仕事させて頂いた機会は、自分にとって全部プラスになっていることだったなと思っておりました。
今回トップになって2作目ということで、新たに小池先生のオリジナルの作品をさせて頂けるということで、大変うれしいです。また、個人的に私は「三銃士」のお話が非常に大好きでして、映画などでも冒険活劇がすごく好きで、観ていてスッキリするような爽快感のある物語が大好きでした。その中で「三銃士」ダルタニアンの役をさせて頂けるということで、すごくワクワクしております。先ほどパフォーマンスをご披露させて頂きましたが、最初に音楽を聞いた時にも非常にワクワクしましたし、歌詞ですとか、音楽の方向性がとても希望に満ち溢れていて、それが「 All for One One for All」自分の為にではなく、誰かの為に、皆の幸せを勝ち取る為に皆で力を合わせようという作品の大きなテーマというのが、観に来てくださるお客様に強いメッセージを感じて頂けるような作品になるのではないかな?と思いますし、きっと皆様にはほっこりして頂けるような場面もたくさん盛り込まれてくるのではないかな?と思っております。そして愛希とはコンビを組んで2作目なのですが、きっと今回のこの作品も私と愛希だからこそできる、というそういった内容の作品になっているくると思いますので、そちらの方も楽しみにして頂けたらなと思います。また、今回一緒にパフォーマンスをさせて頂いた、沙央さん、宇月さん、暁、そして今の月組のメンバーと共に、夏なのでスッキリ爽快感のあるような、パワフルな舞台をお届けしていきたいと思っております。最後になりましたが、今回三井住友VISAカード様にご協賛頂けましたことを、熱く御礼申し上げます。ありがとうございます。

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愛希
 本日はお忙しい中お集まりくたさいまして、誠にありがとうございます。愛希れいかでございます。今回ルイ14世役をさせて頂きます。またこのような新しいお役に挑戦させて頂けますことを、とても嬉しく、緊張やワクワク、どんな感じになるんだろう?と色々な気持ちがありますが、すごく嬉しいです。そして先ほど小池先生もおっしやっていましたが、私は先生の作品『エクスカリバー』を観て宝塚に入りたいと思いました。そんな小池先生の作品で、すごくファンタジーな作品になるのではないかな?とパフォーマンスをさせて頂いて思いましたので、そのような作品にまた出演できるということをとても幸せに思います。たくさんのお客様に夢と希望と、そして先生もおっしゃっていましたが、観終わった後にワクワクして頂けるような舞台ができたらなと思います。精一杯頑張ります。どうぞよろしくお願い致します。

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美弥 本日はお忙しい中お集りくださり誠にありがとうございます。三銃士のアラミス役をさせて頂きます美弥るりかでございます。先ほどご紹介があったように、世紀の色男ということで「世紀」がつきますと、とんでもない色男なんだなということでよろしいのですよね?(小池に確認し、応諾を得る)
今まで小池先生の作品の中では、先生が色気を引き出してくださると言いますか、それを必要とされる役が多かったですし、あとは正義と悪に分けたらたいてい悪チームに私はおりましたので、こうしてこの度、りょうちゃん(珠城)演じるダルタニアンと一緒に、正義として、立ち向かえる一員になれたということは、自分自身配役を聞いた時には驚きもありました。また、そういう新たな役のジャンル、三銃士の一員としてこの舞台に参加できますことをとても楽しみにしております。
あとはやはり色気ということで、女性関係は華やかなんでしょうか? そして久保社長にご説明頂きましたように、二面性もあるということで、まぁたぶんあるのでしょう(会場笑)、と思いますし、世界中で愛されているこの「三銃士」という題材を小池先生が、素敵に面白く描いてくださると思いますので、そこにアラミス役として一生懸命取り組んでいきたいと思いますし、珠城りょうちゃんがトップになり2作品目でもありますし、今回こうして月城が組替えしてきまして、本当に今月組は、エネルギーがたくさんある組だなと私自身も感じておりますので、きっと月組が良い状態でこの作品に挑めると思います。皆様に楽しんで頂ける舞台を目指して、頑張って参りたいと思いますので、よろしくお願い致します。

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月城
 皆様本日はお忙しい中お集り頂きましてありがとうございます。ベルナルド役を演じます月城かなとでございます。小池先生の作品に出演するのは『るろうに剣心』以来で、あの時に演じました蒼紫という役は、自分の中で本当に大きなターニングポイントになりました。そして今回は私にとって月組に組替えして初めての大劇場作品となりますので、珠城さん率いる月組の空気をしっかり感じて、皆様に楽しんで頂ける作品になるよう精一杯頑張りますので、どうぞよろしくお願い致します。

【質疑応答】

──今のところ予想できるのが、愛希さんの宮廷バレエシーンと、美弥さんのセクシーシーンなのかな?と思いますが、そういう場面があるのかどうかを教えてください。
小池 いえ、ダルタニアンを中心に、周囲の皆で闘うシーンもありますよ!
──全体としてはコスチュームプレイになるかと思うのですが、珠城さんのお衣装などはデニム生地のようで少しポップな感じですが、作品の全体のトーンは?
小池 作品のトーンはポップなものになってはおりますが、それは「折衷」ということで、100%そうではないと思います。衣装もすべて新調する訳ではないので、色々なものが出てくると思いますし。物語に関しては、本当にあまり言うとあれなのですが、ルイ14世の剣の先生にダルタニアンが選ばれていくというところが、物語の頭の方でございます。で、ダルタニアンがルイ14世に剣を教え、そこから色々なことが起きていくんですね。そのままはやりませんが、当時あった史実に「フロンドの乱」というクーデターのようなものがあったのですが、それをちょっと入れたりもしていますが、時代設定が「トンデモ」でございますので、嘘でございますので、その事件は彼が10歳くらいの時に起きたことなのですが、それを彼が成人したくらいの時代の頃に1つにまとめてしまっております。そして、かつ「三銃士」の話は先ほど久保社長がおっしゃったように、本当はルイ13世の時のことなのですが、14世の「鉄仮面」から20年ぐらい離れております。デュマの作品からすると、また実在の人物たちの年齢からするとですね。ですから、ルイ14世の時代に彼らがいて、ダルタニアンは銃士隊の中で一番の使い手であると認められた、よくごぞ存知の「三銃士」の物語のあと、という設定でございます。(ここで司会者から「台本はできているのですか?」という問いが改めてあり)いやいやとんでもございません(会場笑)、こういう場でこういうお話をして根本的によろしいんでございましょうか、すみません(平謝り)。

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──では、視点を変えて小池作品の魅力を皆さんどう感じておられるか教えてください。
小川 やはり皆さん小池先生の作品を観ておわかりだと思いますけれども、観る前からワクワクさせて頂ける。そしてこの宝塚大劇場、東京宝塚劇場、大劇場は2500人の、世界で一番大きい専用劇場ですので、そういう大きいところで魅せられるエンターテインメント、それは小林一三があげておられた、家族、多くの年代で楽しんで頂ける舞台を、小池先生はされているんですね。やはり今、東京宝塚劇場では『THE SCARLET PIMPERNEL』をやって頂いておりますけれども、先ほども言いましたように、この2017年、103周年の宝塚として「これを観てください!」と言える、No1の作品として我々が三井住友カード様にご提案をさせて頂いて、ご承認を頂いて冠協賛を頂いている。そういう意味合いで我々は小池先生にやって頂いています。宝塚の歴史の中でもそういう作品をやって頂いてきていますから、宝塚を本当に愛して頂いています。
珠城 私もワクワクするという点では理事長と一緒なのでけれども、私が客観的に先生の作品、例えば違う組の方の作品を観に行かせて頂いて、いつも小池先生の作品ですごく好きだなと思うのは、セットや照明の使い方です。映像も使われたりですとか、観ている側の人間の想像力を掻き立ててくれるような舞台の運びになっていて、そういったところが観ながらもワクワクドキドキして、魅力的で好きです。また出演している側から申しますと、それぞれの生徒の特性をすごく先生がわかってくださっていて、その生徒にあった役であったり、はたまた、今回こういう役をやったらもっと成長できるのではないか?と挑戦できる役を与えてくださったりですとか、色々なものを与えてくださるので、先生の愛情をすごく感じます。また、大劇場公演となりますと、70人以上の生徒がおりまして、大人数の群舞ですとか、大人数が出てくる場面の人の使い方なども、いつも素晴らしいなと思って、常々先生の愛情を感じております。
愛希 先生の作品は大好きで、幅拾い年齢層、子供にも、受験生にも、大人の方々にも楽しんで頂ける、すごく共感しやすいものだなと思います。そして、いつまでも思い出に残る感覚がすごくあります。宝塚は夢の世界ですけれども、その夢を再現してくださる、夢の世界という感じがするのが私はとっても大好きです。

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美弥 私が思う魅力は、幕が開いてから徐々にお客様の心を舞台にお連れするのではなく、プロローグの幕が開いた、ライトが点いたその瞬間から、お客様が作品に入れるスタートのしかたというのが、すごく魅力だなと思います。人物の紹介の仕方、音楽、照明、セットすべてだと思うんですけれども、すべてがエンターテインメントとしての完成度が高く、お客様の心をぐっとつかんで離さないような作品の始まり方というのがいつも素晴らしいなと思っております。そこから最後まで、お客様を作品の世界観から外さないと言いますか、物語の進め方、スピード、タイミングがすごく大切だと思うのですが、次の場面で誰が出てくるとよりお客様の心がつながっていくかとか、誰もがわかるような流れに添って作ってくださるのも、ミュージカルという形として先生の作品の魅力だと思います。また、皆も言っていましたが、私にとっても先生の作品で頂いた役は、自分にとって思い返せばとても大切な役で、あの役に出会えたから成長できて、今の自分があるんたなと思えるような役を生徒1人1人に与えてくださる。ここにいるメンバーだけではなくて、皆もそう思って、先生の宝塚への愛情、生徒に対する愛情に感謝の気持ちでいつもいっぱいです。
月城
 私が思う魅力は、出演者側から申しますと、先ほどもお話しましたように小池先生の作品が非常に大きな思い出になりましたので、お稽古は本当に緊張感にあふれた厳しいお稽古なのですけれども、公演が終わった後には必ず手応えを感じられるものになっているので、今回もそうなれるように精一杯頑張りたいと思います。

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〈公演情報〉
宝塚歌劇月組公演
三井住友VISAカードシアター アクション・ロマネスク(浪漫活劇)
『All for One〜ダルタニアンと太陽王〜』
脚本・演出◇小池修一郎
出演◇珠城りょう、愛希れいか 他月組
●7/14〜8/14◎宝塚大劇場
〈料金〉SS席12.000円 S席8.300円 A席5.500円 B席3.500円
●9/1〜10/8◎東京宝塚劇場
〈料金〉SS席12.000円 S席8.800円 A席5.500円 B席3.500円
〈お問い合わせ〉0570-005100 宝塚歌劇インフォメーションセンター
〈公式ホームページ〉 http://kageki.hankyu.co.jp/



【取材・文・撮影/橘涼香】



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誰の心にも届く美しい魔法の力 ミュージカル『魔女の宅急便』開幕!

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児童文学の傑作であり、スタジオジブリのアニメーションをはじめ、数々のメディアで取り上げられてきた『魔女の宅急便』が、装いも新たにミュージカルの舞台となって、新国立劇場・中劇場で開幕した(4日まで。のち8月31日〜9月3日まで大阪の梅田芸術劇場シアタードラマシティでも上演)。

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「魔女の宅急便」は、児童文学作家の角野栄子が1982年〜2009年の27年間に渡り執筆した全6巻の児童書。1989年に宮崎駿監督により、スタジオジブリが制作したアニメーション映画が大ヒットし、日本はもちろん、世界的に愛される作品となった。その後、1993年〜1996年には蜷川幸雄演出によりミュージカル化。2014年に実写映画化、そして2016年にはイギリス・ウェストエンドにて舞台化が行われるなど、様々なクリエーターの手によって、今尚大きな広がりを見せ続けている。

今回のミュージカル版は、そんな原作をもとに、新進気鋭の若手制作チームによる新脚本・新演出で繰り広げられる新生『魔女の宅急便』。ヒロインの魔女の女の子キキに「東宝シンデレラ」の上白石萌歌、空を飛ぶことに憧れる少年トンボにジャニーズJrの阿部顕嵐、キキの理解者となるパン屋のおかみさんおソノに宝塚で星組と雪組でトップ娘役を歴任した白羽ゆり、そのほか強力なキャスト陣が揃っての上演となっている。

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【STORY】
街の人々が皆家族同然で、人間と魔女が共に住むことを誰もが当然のこととして受け留めている小さな街で育った、魔女の女の子キキ(上白石萌歌)は、古くから伝わる魔女の世界の習わしにのっとり、13歳になった満月の夜、相棒の黒猫・ジジ(小林百合香、夏鈴・Wキャスト)と共に魔女のお母さんコキリ(岩崎ひろみ)、お父さんオキノ(横山だいすけ、中井智彦・Wキャスト)と暮らした家を離れて旅に出る。キキは自分で新しい町を見つけ、1年後には自力で暮らせるようにならなければならない。けれども、空を飛ぶ魔法しか知らないキキは、ようやく降り立った新しい町コリコで、故郷とは全く異なる大きな町での価値観の違いや、魔女であることに対する好奇の目や偏見に驚き、苦しむ。その中で、空を飛ぶことに憧れる少年トンボ(阿部顕嵐)との交流や、キキを家に迎え入れてくれたパン屋のおソノさん(白羽ゆり)に励まされながら、自立の道を探していく。

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そんなある日、キキは大急ぎで届けたいものがある、という女性から頼まれたプレゼントをなんとか約束した時間通りに届けられたことで、空を飛べることが人の役に立ったと喜ぶ。そんなキキを見ていたおソノさんの提案で、飛べることを生かしお届けもの屋さん「魔女の宅急便」を始めたキキは、次第にたくさんの依頼を引き受けるようになるが、それが仕事である以上、人の喜ぶ顔が見たいと願うキキの思い通りには、なかなかことは進まない。更に、何かとちょっかいを出してくるトンボへの淡い恋心も、まだまだ子どものキキには上手く咀嚼することができない。そうしたストレスが重なり、次第に体調を崩してしまったキキのもとへ、町長から町の1年で一番大きな行事に関わる、緊急の仕事が舞い込む。キキは無事にその依頼を果たせるのか。そしてトンボとの淡い恋の行方は……。

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まるで絵本を開くような美しいシルエットからはじまる舞台は、幕開きから音楽にのせて物語の世界観を実にスムーズによどみなく伝えてくれる。もちろんキキが空を飛び旅に出る幾多の場面では、ワイヤーアクションや、プロジェクションマッピングによる雄大な背景などが取り入れられているが、それ以上に印象的なのが、多くの重要な役どころを含めて多彩に活躍するアンサンブルの面々のレベルが非常に高いことで、彼、彼女たちが歌い踊り、ドラマを的確に運んでくれる様が心地よい。
それはつまり良質なミュージカルとしてのクオリティを、この作品が非常に高いレベルで保っている証でもあって、劇団四季で研鑽を積んだのちに、オリジナルミュージカルの制作に力を注いでいる演出・脚本・振付の岸本功喜、作曲・音楽監督・歌唱指導の小島良太の、ミュージカルのノウハウを知り尽くしている手腕が光った。
そのことが、スタジオジブリによるアニメーション版があまりにも広く認知されている作品を、今、改めて舞台化するという、相当な勇気がいっただろう企画を可能にする力になっているのは間違いない。この舞台には、魔法や、空を飛ぶ夢や、何よりも互いを思いやる心が生む奇跡を、素直に信じさせてくれる、ストレートに胸をうつ温かな煌めきが詰まっている。

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そんな作品の魅力を更に輝かせたのが、キキを演じる上白石萌歌の、なんとも愛らしい舞台姿だ。魔女の少女ならではの黒のワンピースに、頭には赤い大きなリボン。お馴染みの扮装が上白石の可憐な容姿と相まって、まるで童話の世界からそのまま飛び出してきたかのよう。笑顔はもちろん、悲しい顔も、寂しげな表情も、怒った顔でさえもなんとも可愛らしく、キキの故郷の街の人々のように、客席で彼女の成長と冒険の旅を心から応援したい気持ちにさせてくれる。よくぞ登場してくれた!と思うほど、魔女の少女キキに打ってつけで、この日の相棒、黒猫ジジ役の夏鈴との息もピッタリ。歌声も涼やかで、作品をその愛らしさと、懸命さで見事にリードしていた。

空を飛ぶことに憧れ、コリコの町で真っ先にキキと友達になろうとする学生トンボの阿部顕嵐は、爽やかな持ち味と、黒縁のメガネの奥からこぼれ出てくるような、アイドルらしい華やかさが魅力。キキとの交流に、初恋の少年少女の清真な香りが立ち上り、舞台にときめきともどかしさと、だからこその美しさを加味していた。ダンスシーンももちろん鮮やかに決めて、後半の盛り上がりに大きく寄与していた。

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コリコの町でキキに温かい手を差し伸べるおソノさんの白羽ゆりは、全編を通して妊婦姿での登場だから大きな動きこそないが、それでもなお白羽ならではの美しさと、優しさが際立つ。魔女が家にいるって素敵なことだ、と言ってくれるおソノさんは、観客の心に最も近い登場人物でもあり、ポイント、ポイントの出番を印象的に、更にちょっと気風の良い感覚で舞台を引き締めていて素晴らしかった。おソノさんの旦那さんのフクオさん(藤原一裕。なだぎ武とのWキャスト)が、無言の芝居で見守る姿も頼もしい。

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キキのお母さんコキリの岩崎ひろみは、ファミリーミュージカルの先駆的存在である『アニー』の歴代アニー役の1人だけに、お母さんを演じる立場になったのか、と感慨深いものがあるが、よく動く表情で舞台ならではの大きな表現を自然にこなしている力量はやはり確かなもの。また、お父さんのオキノの横山だいすけ(中井智彦とのWキャスト)は、今年3月まで歴代最長出演となる9年間、NHKEテレでうたのおにいさんを務めた人ならではの、子供の目線に寄り添った優しいお父さんの在り方が絶妙。キキを育んだ温かい家庭を、二人の雰囲気が醸し出していて秀逸だった。

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他に、幼いキキ、幼いジジが、現在のキキとジジと同時に舞台に出る構成も巧みだったし、前述したようにアンサンブルの面々の働き場も多く、原作にはないオリジナルなラストシーンも含めて、舞台ならではの魅力に溢れたミュージカル『魔女の宅急便』となっていて、公演期間があまりに短いのがもったいないと感じられる、優れた舞台に仕上がっている。

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【囲みインタビュー】

初日を前にした通し舞台稽古のあと囲み取材が行われ、上白石萌歌、阿部顕嵐、白羽ゆり、岩崎ひろみ、横山だいすけ、藤原一裕が公演への抱負を語った。

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横山だいすけ、岩崎ひろみ、上白石萌歌、白羽ゆり、藤原一裕
 
──いよいよ今日からはじまりますね!
上白石 そうですね。昨日から舞台稽古だったのですが、昨日はどちらかと言うと場当たりなので、今日はじめて全部の場面を通してお芝居したので、その分気持ちの部分もつながったし、私自身も舞台の上で成長しているような気がしました。6時半からの(本番の)公演では、もっと楽しめるんじゃないかなと思います。
──お二人は初共演ですよね?
上白石・阿部 はい。
──どうですか?普段のジャニーズの舞台とはかなり違いますが。
阿部 全く違うので、皆さんに支えてもらって、学ばせて頂いております。初めてのことだらけで、僕は戸惑ってもいますが、歌もお芝居も上手い皆さんなので、盗ませて頂いている感じです。
──お稽古していていかがでしたか?
阿部 僕は幕から見ているのですが、ここの動きいいなとか、このセリフ回しいいな、と思うところを自分流に取り入れて、真似させてもらったりもしています。
──ちなみにどなたの?
阿部 だいすけさんの一番最後のセリフがあるんですけど、すごく意識しています。
横山 あー、それは嬉しいですね。
──だいすけさんも「うたのおにいさん」を卒業してこのミュージカルに。
横山 そうですね。僕も新しい環境の中で、こうして素晴らしいキャスト、スタッフの皆さんとご一緒することができて、毎日毎日が楽しい稽古でしたし、外ではこういう感じなんだな!という気持ちで、毎日新鮮な気持ちでやれていたのが自分としても楽しかったです。
──うたのおにいさん時代とはまるで違いますよね。
横山 そうですね。今回おにいさんから「お父さん」になったので、お父さんとしてどういう風に居ればいいのかな?というのをキキちゃんの演技を見ながら、舞台の中では表現していないところでもどういう風にキキちゃんと関わりをもっていたのかな?とか、コキリさんとの夫婦感もどうやって出していけばいいのかなと考えました。
──お二人で相談されたりも?
横山 相談と言うよりは感じることが多いかな?と。
岩崎 ずっと一緒のシーンなので、なるべく嘘のない関係と言いますか、仲の良い家族になるように普段から会話するようにしていました。

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──世のお母さんの中には「だいすけロス」が広がっているとも。
横山 そう言われると少し恥ずかしいのですが、世の中のお父さんとお母さんの気持ちを少しでもつかんで、娘を笑顔で送り出してあげられる存在になれたらいいなと思っていて、「だいすけロス」と感じてくれている、「子供との時間を大切にしています」というような皆さんの声を、自分の力にして臨ませて頂きました。夫婦感としては「今日の料理何食べたい?」みたいな。
岩崎 舞台でもずっと喋っていますね。今(舞台稽古では)3回噛みましたけど(笑)。
横山 反省会をします!
──上白石さんは原作の「魔女の宅急便」を読んだ印象は?
上白石 私はジブリ作品のアニメーションで知っていて、大好きなのですが、このお話を頂いた時からジブリの世界観のイメージが固まってしまうのを避けて、映画は敢えて観ずに小説を読んで役作りをしました。
──どんな印象でしたか?
上白石 原作のキキの絵は髪が長くて大人びた印象があったので、このショートヘアも新しいキキを感じて、アニメで観るよりも自分の中で絵を想像するようにしました。
──阿部さんはどうですか?とても有名な原作ですが。
阿部 僕も知ったのは同じくジブリ作品からなんですけれども、原作も読んで、僕は上白石さんとは違って逆にアニメを観て自分なりにトンボを自分の中に落とす、ジブリ作品とは全く同じにはならずに解釈する為に、1回見直してどうやったら自分のトンボができるかを考えたりしました。
──ジャニーズのメンバーとは違って女性も多い舞台ですね。
阿部 一番気にしたのは着替えで、僕普通に楽屋の前とかで脱いじゃうんですけど、それはなるべく控えようかなと(笑)。普段(男性ばかりなので)周りの目を気にせずに脱いでしまう癖がついているので。
──白羽さんそのあたりはどうですか?
白羽 私も宝塚出身なので、女性ばかりの世界で堂々と着替えていましたから、そこは敢えて見ないように(笑)。
──役柄については?
白羽 おソノさんは、私全編通して妊婦役という舞台は初めてなので、今回は本当に挑戦だなと思っているのですが、お稽古場から10代の萌歌ちゃんと顕君のセリフにキュンキュンしていて。一番最初に合わせたところから、少しずつ慣れてきて、舞台稽古、そして本番もきっと違う空気になる、その空気が全部正解だと思うんです。その空気を共有できることが、おソノさんとして2人を見守る、「頑張って!」という気持ちにお稽古場から自然になれたので、そういう意味ではおソノさんという役柄に巡り合えて本当に良かったなと思えますし、藤原さんの安心感もすごくあるので本番が楽しみです。

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──藤原さんは頼れる存在で?
藤原 喋っていいですか?(全員笑)ここでは喋っていいですか?劇中は一切喋ってないので(笑)。安心感を持っていただけているなら僕も良かったです。
──プライベートでもお子さんが生まれられて。
藤原 そうですね。ブライベーとでも劇中でも生まれて。お稽古期間中に、演出の岸本さんから「もし稽古の日に奥さんの陣痛が来たらうちの稽古はいいですからね」と言って頂いていて、本当に稽古の日に準備していたら陣痛が来まして、言ってもらえていたので休ませてもらって立ち会うことができました。劇中ではちょっと立ち会えなかったですが(笑)。
──それは役作りの上でも貴重な経験に。
藤原 そうですね。
白羽 色々教えて頂いたりしました。
藤原 ちょっと妊婦さんの立ち方とか、うちの奥さんだけかもしれませんが結構ガニ股になってたんでね(笑)。このお腹の大きさなら何ヶ月ですねとか。
──すごく良いタイミングでしたね。
白羽 本当に! こんなタイムリーなことって!と皆でお祝いもできて、それもまた温かくで良いなと思いました。
──舞台で全くセリフがないというのは。
藤原 正直初めてのことで、咳払い1回だけなんです。だから何パターンも咳払いの練習をしました(笑)。
岩崎 マイクチェックも咳払いでね(笑)。
藤原 そうこれ(ピンマイクを示して)嫌がらせなのかな?と思ったんですけど(笑)。
──では身体全体で演技するということで。
藤原 そうです。2時間通してボディランゲージをやっていますので、そこを見て欲しいてす。
──役作りの苦労などは?
藤原 なかったです。プライベートでもお父さんになりましたので。
──記念すべき舞台になりましたね。
藤原 本当にプライベートとこんなにシンクロすることがあるんだなとありがたいです。

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──さぁ、いよいよあと3時間でお客様が入られますが。
阿部 早いなというのが率直な感想ですが、僕的には今までやってきたことを信じてやっていくしかないですし、本番は楽しんでやることが一番だと言われ続けてきたので、僕はキキちゃんと「はじめまして」からスタートして、最後には告白されるという役なので、ちゃんと舞台上で心を揺さぶらないとなと思っています。
──心揺さぶられそうですか?
上白石 稽古をしていくと、トンボとキキって、最初キキは「ふん!」としていて、演出の岸本さんから二人はなるべくこのキキとトンボの状態でいたいと言われていて。でも稽古中に色々な相談をしていると仲良くなってしまうので、最初のシーンの初々しさをどうやって出そうか?ということをすごく自分なりに考えました。
阿部 「はじめまして」って言い合ってね。
上白石 そう、毎日「はじめまして、よろしくお願いします」から始めていました。でも最終的にはトンボを救うというところにつなげなければならないので、自分の中に色々な引き出しをもって、そのどの引き出しからも感情が出るように気持ちを創っているつもりです。
──阿部さんのファンの方も大勢いらっしゃると思いますが、その視線などは気になりますか?
上白石 たぶん舞台上に立っている時は私はキキでしかないし、トンボでしかないので、ステージには「魔女宅」の世界しか広がっていないので、緊張もしないし、私はキキとして息を吸うたけです。
阿部 僕も袖にいる時からずっとトンボです。トンボになりきって、周りの皆さんとの会話も公演中はトンボっぽく話すように意識しています。トンボのままっていうのは同じです。
──大阪公演もありますか、まだ皆さんで食事に行ったりなどは?
藤原 今のところ僕の知る限りまだないです。僕が誘われていない可能性もありますが(笑)。
岩崎 お稽古が大変だったので、とりあえず東京を終えて、大阪に行ったらどこかに連れていって頂こうかなと。ちょうど顕嵐君の誕生日がね。
阿部 そうなんです。僕大阪公演の前日に誕生日で20歳になります。
──じゃあ19から20歳になる時にこの公演が。
阿部 そこもすごく誕生日の次の日から公演ということは、20歳になった次の日からの舞台なので、今から思い入れがあります。
──10代最後の舞台をどんな舞台にしたいですか?
阿部 やっぱり10代ならではのフレッシュさを残しつつ、まぁ20歳になってもフレッシュですけど(笑)、大人と子供の狭間をトンボなりに表現したいと思います。
──では皆さんにメッセージを。
上白石・阿部 『魔女の宅急便』観に来てください!待ってます!!

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〈公演情報〉
ミュージカル『魔女の宅急便』
原作・監修◇角野栄子 
脚本・演出・振付◇岸本功喜 
作曲・音楽監督◇小島良太 
出演◇上白石萌歌、阿部顕嵐(ジャニーズJr)、白羽ゆり、岩崎ひろみ、横山だいすけ/中井智彦[Wキャスト]、藤原一裕(ライセンス)/なだぎ武 [Wキャスト]他 
●6/1〜4◎東京・新国立劇場 中劇場
〈料金〉S席10,500円 A席8,000円
●8/31日〜9/3◎大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシテイ
〈料金〉S席10,500円 A席8,000円
〈お問い合わせ〉アークスインターナショナル 0798-34-5377(平日13時〜18時) 
〈公式ホームページ〉http://www.musical-majotaku.jp/




【取材・文・撮影/橘涼香】




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SFファンタジー『イムリ』舞台版が7月に俳優座で上演! 

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デュルク役・内海啓貴、ミューバ役・谷佳樹

月刊「コミックビーム」(KADOKAWA)にて連載中の、三宅乱丈による『イムリ』の舞台版が、7月に俳優座劇場で上演される。そのデュルクとミューバのビジュアルが発表された。
 
本作は、09年に日本の漫画第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞した人気漫画。06年8月号より連載を開始、現在単行本は20巻を刊行し、続刊中だ。

今回、演出を手がけるのは、劇団おぼんろ主宰で、俳優、脚本家、演出家、モデル、詩人と多岐にわたって活躍中の末原拓馬。総合監修には、脚本家・演出家・映画監督・プロデューサーとして『弱虫ペダル』などを立ち上げたハイパークリエーターのなるせゆうせい。
 
秋沢北乃s_緒月遠麻 宣材
秋沢健太朗・北乃颯希・緒月遠麻
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塩田康平・塩崎こうせい・西野太盛
高田淳宣材写真和興 宣材
高田淳・和興

配役は心優しき主人公デュルク役を内海啓貴、彼の夢に度々姿を現す謎の少女ミューバ役を谷佳樹、
デュルクの師匠ラルド役を秋沢健太朗、ラルドの従士イマク役を北乃颯希、デュルクの母ピアジュ役を緒月遠麻、ほかにガラナダ役を塩田康平、ドープ役を塩崎こうせい、ガヴィド役を西野太盛、ババド役を高田淳、 デュガロ役を和興がつとめる。


 【ストーリー】 
遥かなる太古ーーー。
長く激しい戦争によって、ルーンという古代の星が凍結した。
凍らせたのは、「侵犯術」を操るカーマ民族。
戦後、勝者カーマ民族は、惑星マージへと移り住み、階級社会を形成。
それから四千年後・・・
ようやく凍結していたルーンの氷が溶け始め、故郷ルーンへの帰還を始めるカーマ民族だったが、その中にデュルクという一人の呪師候補生がいた。
彼は、ひょんなことから階級政争に巻き込まれ、反逆者に仕立てられる。
逃れるうち、原住民種族「イムリ」とも接触。その中で古代戦争の秘密を知っていくデュルクは、やがて大きく運命を動かすことになる・・・
星と三種族をも巻き込んだ壮大なファンタジー超能力巨篇、堂々の開幕!
 
〈公演情報〉
原作◇三宅乱丈(「イムリ」月刊コミックビーム連載中/KADOKAWA刊)
総合監修◇なるせゆうせい
演出家◇末原拓馬
出演◇秋沢健太朗、内海啓貴、緒月遠麻、和興、北乃颯希、塩崎こうせい、塩田康平、高田淳、谷佳希、西野太盛 
あまりかなり、杉本純一、前嶋優治、松山コウ  他
●7/26〜31◎俳優座劇場
〈料金〉プレミア席 8,600円(非売品グッズ+前方席)/一般席 6,800円(全席指定・税込)
〈公式サイト〉http://butai-imuri.com



c三宅乱丈/KADOKAWA c株式会社オフィスインベーダー



 
帝劇ミュージカル『ビューティフル』 



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