えんぶ本誌の宝塚記事取材の機動力を生かして、宝塚歌劇の製作発表、会見などをいち早く紹介。 宝塚OGの公演やインタビューのほかに公演の批評なども展開しています。

『カリフォルニア物語』

富士のさまざまな表情を描く 轟悠「心の旅」個展開催

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絵画の世界にもその才能を発揮している宝塚歌劇団専科の轟悠が、第5回目の個展「心の旅」を開催中である。

これまでにもたびたび個展を開いてきた轟だが、今回は「和の世界」にも表現が広がり、「富士山」をテーマに描いた新作や、ヨーロッパの風景を描いた旧作など、28点を展示している。東京での開催場所、飯田橋のホテルグランドパレスで、9月5日に初日を迎えた轟を囲んで、囲み会見が行なわれた。

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【挨拶と一問一答】 

「日曜日なのに朝からお集まりいただきありがとうございます。今回第5回を迎えることができまして、新旧を含めまして28点、展示しております。私も懐かしく眺めつつ、配色や配置を考えました。新しいものは富士山で、このあたりに並んでいます。生徒から富士山を描いてと言われたことがきっかけで描いてみました」

ーー和の風景への興味と描きたかった部分は?

「一回目で奈良の大仏を描いているんですが、たいへん難しくて、もともと静物画や風景画が好きなのでそちらばかり描いていたんです。今回の富士山に関しましては、日本が世界に誇れる富士山ということで、山というものは色々な表情を持つのでとても難しいとも聞いておりましたが、私なりにアレンジしながら。眺めているとやっぱり富士山は綺麗だなと思いながら描きました。難しいですね(笑)。日本には他にも美しい風景、心休まる風景がありますので、機会があったら色々描いていきたいです」

ーーまだまだ描くものは広がりそうですね。

「そうですね。下手の横好きの段階ですが、舞台とともに腕を上げていけたらいいなと思います」

DSCF4838ーー生徒さんに勧められてというのをもう少し詳しく。

「生徒で富士山に登ろうというグループがありまして。私も誘われたんですけど私はちょっとというので(笑)。五合目で待ってるからというような話はしてて、なかなか彼女たちとスケジュールが合わなくて、ずっと持ち越しなんですけど(笑)。まだ彼女たちは諦めていないようで、じゃ私は頂上まで行けないけれど、美しい風景を描くということで(笑)」

ーーこれは実際に富士をご覧になって描くのですか?

「富士山ってなかなか姿を現さないんですよ。ですから新幹線、飛行機、車等々で富士が見えるとすぐ写真を撮って、という感じです」

ーーいろいろな富士の顔がありますが、轟さんが一番思い入れのあるものは?

「そうですね、あのいちばん端にある『天声を〜』という雲海の富士は、一日で描いてしまったんです。あと、この『音』という逆さ富士。逆さ富士が見える時って風がなく無音なんです。でもどこからか鐘の音が聞こえてきそうな感じです。ここに鳥が飛んでて、ゴミではありませんので(笑)。それからあちらの赤富士も、描いてるうちにイメージが強くなってきてバックの色が変わってきて、黒と、あと紫も入ってるんですが。描いてるうちの変化が楽しかった作品の1つですね。あとはこの個展が9月ということで秋を意識して麦の穂のとか、です」

ーー今回改めて感じた轟さんのなかで絵を描くことの意味は?

「最初の1回2回は、小さい頃に絵を習っていたことを思い出しながら、また油絵を触るにあたって勉強しながらとりかかって、やっぱり絵を描くことは楽しいなと感じていました。それが見てくださる皆さんなどの反響を感じはじめて、趣味だけでは失礼かなという気持ちになってきました。せっかくやりかけたことですから、自分が宝塚という舞台の仕事を持ちながら、絵画のほうでまた違った発見というか、自分で気づかない変化が出ればいいなと思いながら。変わってないのか変わってるのかよくわかりませんが(笑)。今回、日本の風景でがらっと変わったところはあると思います」

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東京の開催はすでに終了しているが、本拠地宝塚では9月10日と11日に開催する。この個展のあとは主演作品『オネーギン』の稽古に入るという轟だが、10月13日には、これまでの出演作の主題歌や宝塚の名曲を41曲も網羅した「25周年記念ベストアルバム」が発売されるなど、多方面で精力的に活躍する秋となった。

 

 

第5回轟悠個展「心の旅」

9/1011◎宝塚ホテル(東館2F・菊の間)

轟悠トークショー

1014時〜◎宝塚ホテル(新6F・宝寿の間)

 

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周年記念ベストアルバム

TODOROKI Yu Song Collection

10/13リリース tcac-413-414 ¥5000

 

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雪組特別公演

『オネーギン』

10/1521◎日本青年館大ホール

S¥7500 A¥5000

〈問合せ〉03-5251-2071歌劇事業部

10/2811/7◎宝塚バウホール

¥6000

〈問合せ〉0570-00-5100 宝塚インフォメーションセンター


【取材・文/榊原和子】 

旧音楽学校でOGがイベント 『萬あきらトーク&ライブ』

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かつて宝塚ファミリーランドの一角にあった「宝塚音楽学校」、蔦で覆われたクラシカルな学び舎は、1998年の12月まで使われていたが、劇場隣に新校舎が建って生徒がいなくなったあとは、市の新たな文化拠点として再活用され、宝塚文化創造館としてさまざまな形で使われている。
その宝塚文化創造館で、初の歌劇団OGのイベントが行なわれる。10月9日に開催される『萬あきらトーク&ライブ』である。
旧音楽学校が宝塚の文化的財産として生きるための催しを、宝塚市とOGとで作り上げていく、その第一歩となるための公演である。

イベントの内容はタイトル通り、宝塚音楽学校旧校舎での思い出や現役時代の舞台のトーク、そしてライブは『カサブランカ』をはじめ数々のステージで聞かせた歌声を披露する。もちろん有名なジャズの「As Time Goes By」などもプログラムに入っている。

このイベントに向けて萬あきらがコメントを寄せてくれた。

「宝塚市の、いえ日本の財産である大切な宝塚歌劇。宝塚市にお住まいの方々でそんな風に思って下さっている方は意外に少ないような気もするのですが…。
でも私はそう信じてステージに立って来ました。人生の大切な時を舞台人として男役として勉強させて頂き、どんな道でも追及すればするほど楽しく苦しく面白いことを知りました。
そしてステージを観ることによって癒されたり、辛い人生を乗り越えて下さったファンの方々のお話を聞かせて頂き、何て素敵な仕事に出合えたんだろうと感謝しておりました。
そんな宝塚の最初の道場、想い出深い宝塚音楽学校旧校舎で退団後にトーク&ライブをさせて頂けるのは最高に幸せです!
芸術の秋に、散歩がてらにでも宝塚の文化を楽しんで頂けたら嬉しいです。
心よりお待ちしています。   萬あきら」

なお9月4,5日にも、萬あきらは池田市の逸翁美術館で、『逸翁コンサート〜帰ってきたタカラジェンヌ〜小林公平メモリアルコンサート』を開催する。

退団後も宝塚関連の施設を使ってそれぞれのキャリアを披露し、かつ深めていく。OGたちによるこういう文化活動は、これからますます盛んになりそうだ。

 

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『萬あきらトーク&ライブ』

出演◇萬あきら、佐伯準一(ピアノ)

●10/9(開演14:30〜16:00)◎宝塚文化創造館1階講堂ホール

〈料金〉2000円(全席自由席)

〈問合せ〉080-6209-2554(宝塚文化を紹介する会・杉本)

〈販売所〉0797-85-8844 宝塚市文化振興財団/ソリオホール/ベガホール

 

『逸翁コンサート〜帰ってきたタカラジェンヌ〜小林公平メモリアルコンサート』

出演◇萬あきら

●9/4〜5◎逸翁美術館

〈料金〉3500円(全席指定席)

〈問合せ〉逸翁美術館 072-751-3865(10:00〜17:00)

 

【取材・文/榊原和子 協力/ウィズたからづか】

2枚目のアルバムと9月のサントリーホール 春野寿美礼インタビュー

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【ショパンとサンドの愛の旅を】

宝塚を卒業して3年、歌い手として、ミュージカル女優として活躍する春野寿美礼が、7月28日に2枚目のアルバムをリリースした。

昨年発売された1stアルバム「男と女  Un homme et une femme」では、タイトル曲の「男と女」や『エリザベート』の「最後のダンス」といったおなじみの楽曲から、主演したばかりのミュージカル『マルグリット』のナンバーまで男声と女声を歌い分け、セルジュ・ゲンズブールの「Je T'aime Moi…non plus」では1人で男声と女声のデュエットを聞かせるなど、歌手としての実力を堪能させてくれた。

今回の2ndアルバム「Chopin et Sandー男と女ー」は、タイトルにあるように、フレデリック・ショパンと彼を愛した フランスの女流作家ジョルジュ・サンドの、有名な恋のドラマからインスパイアされた物語。今年で生誕200周年を迎えたショパンの名曲を3曲、そしてシューマンとマーラーが各1曲というセレクトになっている。

そのアルバムの話と9月にあるコンサートについて、春野寿美礼に話を聞いた。

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【2人の辿った愛の道】

ーータイトルが「ショパンとサンド」で、1stアルバムに続いて春野さんのテーマである「男と女」に光を当てたものになってますね。

前回とのいちばん大きな違いは、女性と男性というふうには歌い分けていないんです。ショパンとサンドという男と女の恋の心情を歌ったものになっています。

ーー音楽監督が羽毛田丈史さん、作詞が菅野こうめいさんというメンバーも1stと一緒で。

そうなんです。9月のコンサートでもお世話になるかたたちなんですが、2ndを作るにあたっていろいろなアイデアを出してくださって、その中でショパンの生誕200年に合わせて、私の「男と女」というコンセプトを組み込みながら選曲してくださいました。

ーーいろいろなドラマが5曲の中で展開されていますが、5つの曲を全部聞き終えると1つの宇宙がある気がします。

そうですね。ちょうど1つ1つのが短編小説になっているというか、オムニバスであると同時に1編の愛の物語になっていると思います。

ーーそれぞれの曲について、歌い方など具体的なイメージの指示などあったのですか?

具体的なイメージの指示はなくて、逆に私の感じたイメージを大事に歌おうと思って自分なりに解釈して歌っています。こうめいさんの詩にいつも感じることは、ロマンティックで繊細で、同時にダイナミックでもあってすごく素敵だなと思っています。

 

【熱い空気の中での「バルセロナ」】

ーーまず「メモワール」ですが、原曲はショパンの「幻想即興曲」で、高音がすごく繊細で、女性的な声という気がしたのですが。

声の出し方はそんなに意識してなくて、羽毛田さんがキー合わせで、どの“調”が私の声が一番よく響くか,そのことを大切に考えてくださってるので、自分の出しやすい声で歌っているだけなんです。「メモワール」は一応パリのショパンとサンドで、そこで過ごした日々のことを思って歌ってます。そこからショパンの故郷のポーランドに行って「 さよならのエチュード」、「情熱のバルセロナ」は2人の情熱の日々で、マヨルカを舞台にしたのが「夢から醒めて」、そして「FINALE」は愛への感謝の気持ちを歌っています。

ーーまさに2人の愛の旅路をそのままたどったものなんですね。それぞれの楽曲への取り組みはたいへんでしたか?

「バルセロナ」が最初の吹き込みだったんですが、私がスタジオに入った時、バンドネオンの小松亮太さんはすでに録り終えてて、小松さんの奥様がバイオリンとマンドリンを演奏されていたんですが、スタジオの中がものすごく白熱した状態になっていたんです。なんの気なしに入って行ったものですから、その空気の中で「私、このあと歌うのよね」と(笑)。でもあれこれ考えているより、とにかくぶつかっていくしかないなという気持ちで歌ったんです。

ーーすごく迫力あるし激しくて素敵な歌唱になっています。原曲は「夜想曲第20番」で、映画の『戦場のピアニスト』などで有名な曲ですが、全然違う色合いで歌われていました。

小松亮太さんってバンドネオンでは世界でも一流のかたで、アルゼンチンタンゴについては譲れないというポリシーを持っていらっしゃるかただから、最初から私の経験とかでは太刀打ちできないので、感じた感覚を素直にぶつけるしかなくて、マイクの前で「とにかくこの情熱を歌おう!」みたいな感じで(笑)、気合いだけは入ってます。

ーーそれと対照的にしみじみと柔らかなバラードになっているのが「さよならのエチュード」で「別れの曲」が原曲ですね。

これはクラシックギターと私の歌だけで、間奏にピアノが入ってるんですが、クラシックギター1本だけのとぎすまされた音と空間の中で、一体化した感じで歌えました。歌詞もすごく素朴なんです。「追憶のバルセロナ」とまるで反対のシンプルなものを目指して、ギターの音色に心情をのせていく。そういう感じでした。

 

【ただ合わせればいいんだよ】

ーー同じくすごくポピュラーな、シューマンの「トロイメライ」をアレンジした「夢から醒めて」。これは松谷卓さんのピアノと共演していますが、眠れない夜に幻想のなかで安らぐみたいな、癒しの感覚があります。

自分でも思ったより出来上がりがいいので嬉しいんです。この曲をアレンジしてくださったのはピアニストの松谷卓さんで、テレビ番組のテーマ「劇的ビフォアーアフター」で有名な方ですが、このアレンジを初めて聞いたときも「あの音色だ」って思ったくらい独自のスタイルを持ってる方です。
松谷さんは「トロイメライ」が大好きでいろいろなかたとコラポをしてらっしゃるんですが、歌とのコラボは初めてだそうで、お互いに最初はちょっと意識しすぎてしまってうまくいかなかったんです。そんなとき、羽毛田さんが「ただ合わせればいいんだよ」とポンと言ってくださって、その一言で救われたというか、「なんだ合わせればいいのか」とラクになれました。

ーー松谷さんはまだ30歳とすごく若いのに有名なアーティストですね。

若いのに感じが柔らかくて、こちらの今回のコンセプトを理解してくださって近づいてくださって。やはり一流の方ならではのすごさを思い知らされました。



【マーラーの心地よさの秘密】

ーーそして最後の「FINALE」はマーラーの「アダージェット」からですが、交響曲ならではの壮大なスケールで、まさに曲の包容力に包まれる感じです。

最初、このメロディで私は何を表現できるんだろうと思ったんです。だいたいマーラーは楽曲自体がすごく長いので羽毛田さんがどこを今回選ぶのか、そして作詞のこうめいさんはどんな歌詞を付けられてくるのだろうかと思っていました。

ーーこの楽曲も映画の『ヴェニスに死す』などでおなじみですし、マーラーはドラマティックなイメージが強いのですが、意外とヒーリング系に仕上がってますね。

そこが実はマーラーのすごさで、演奏はオーケストラなんですがメロディは意外とシンプルで、そのメロディと伴奏のバランスに、マーラーならではの、他の作曲家にないような微妙な“調”があるのを感じました。「このメロディで来たらこうなるはずなのに、なんでそうなるの?」と思うような音になる。そこがマーラーの天才である理由らしくて、羽毛田さんに言わせると「絶対にあり得ない“調”なんだけど、それを聞くと人が落ち着く」ものだそうです。

ーー音符的には不自然でも人間の生理としては心地よいみたいなことですか?

そうそう。不協和音だったりするんだけどそこにたどり着くと自然の流れに感じるというような。自分の歌の音符だけのときは不思議な音階だなと思いましたし、これをどう表現したらいいのかと思っていたんですけど、レコーディングでオケと合わせたとき「ああ、こうなるんだ」と。本当にその場で乗れてうまく歌えてしまったのでびっくりしたくらいです

ーーマーラーの交響曲ならではの魔力ですね。でもそういうチャレンジができる春野さんの声も表現力もすごいですね。

いえ、まわりの方たちの力です。アレンジした羽毛田さんにはきっと最初から私の声も含めてこうなるというのがわかっていたのだと思います。私自身も出来上がりを実際に聞いたときは、こういうふうになるんだという感動がありました。

 

【サントリーホールに挑戦】

ーークラシックをいろいろな表現で歌ったという点では、このアルバムは大きな成果になりましたね。

クラシックをこんなに違う形で表現していいのか、またちゃんと完成度を出せるかなど、心配な部分もあったんですけど、関わってくださったアーティストのかたたちと、「男と女」というコンセプトのおかげで、ちょっと新しい感覚でクラシックを聞いていただけるものになったかなと思ってます。

ーーそのテーマの「男と女」ですが、春野さん自身の中でこのコンセプトに何か変化がありましたか?

私自身は女性としてずっと生きてきましたし、これからも女性として成長していきたいと思っているんです。その成長の過程で、自分が宝塚の男役出身ということで、そういう歌い方や表現も出来るので、うまく取り込みりながら女性としての自分の表現をさらに成長させていければいいなと思ってます、でも、これまで身につけたものも私の一部ですけど、大事なのは「今」であり、またさらに変化していく自分なので、それを自分でも楽しみにしているんです。

ーー「男と女」のさまざまな面を、いろいろな形で追求していただきたいです。そして9月にはサントリーホールでコンサートがありますが。

クラシックのコンサートホールとして有名なところですから、ちょっと緊張します。歌う曲はクラシックとはいってもポップス寄りになっている部分もあるので、いつもそこで聞いていらっしゃるクラシックファンの方達に、どう受け入れられていただけるか。でもショパンとかマーラーをそのままを歌うことは私の歌にはならないと思うので、なんとかアルバムに入ってるような表現で歌ってみたいと思っています。

ーーあくまで「春野寿美礼のクラシック」ということですね。

プロデューサーが羽毛田さんですから、新鮮な感覚でクラシックファンの方も納得できるような、これも面白いなと思ってもらえるようなコンサートにしてくださると思いますので、それを信じて。いろいろなかたに「春野寿美礼の世界」を知っていただくつもりでチャレンジします。

ーー退団してから3年、歌の世界への興味は尽きないようですね?

そうですね。まだまだ踏み出したばかりですが、「春野の歌」というのはなんとなく見えてきました。新しい分野に初挑戦したアルバムで自分でも初めて気づいた声というのもありますし、さらにジャンルや表現が広げていければいいなと思います。このコンサートも、自分の可能性を探るためにも、たくさんの方に春野寿美礼という存在を知っていただくにもいいチャンスだと思いますし、1人でも多くのお客様を魅了できればと思っています。

 

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春野寿美礼2ndアルバム 「Chopin et Sandー男と女ー」

7/28エピック・レコードよりリリース ESCL-6495/¥2520(税込)

1. メモワール-Memoirs of Paris-(ショパン「幻想即興曲」より) 作詞:菅野こうめい/編曲:羽毛田丈史
2. さよならのエチュード(ショパン「別れの曲」より) 作詞:菅野こうめい/編曲:羽毛田丈史
3. 追憶のバルセロナ(ショパン「夜想曲第20番」より) 作詞:菅野こうめい/編曲:小松亮太
4. 夢から醒めて(シューマン「トロイメライ」) 作詞:菅野こうめい/編曲:松谷卓
5. FINALE(マーラー「アダージェット」より) 作詞:菅野こうめい/編曲:羽毛田丈史
6. 交響曲 第5番嬰ハ短調 より 第4楽章「アダージェット」
7. トロイメライ
8. 夜想曲 第20番嬰ハ短調「遺作」
9. 練習曲 第3番ホ長調op.10-3「別れの曲」
10. 幻想即興曲 嬰ハ短調op.66
(1〜5 /歌・春野寿美礼  6〜10/インストゥルメンタル)

 

コンサート『春野寿美礼meets image オーケストラ』

音楽監督◇羽毛田丈史
出演◇春野寿美礼、オーケストラ image 、羽毛田丈史
ゲスト小松亮太(20日、23日)、松谷卓(21日)

●9/20〜21◎東京 サントリーホール大ホール
●9/23◎大阪 梅田芸術劇場メインホール

〈料金〉
東京/S席¥11000 A席¥10000
大阪/¥11000 A席¥6000

〈問合せ〉
東京/キョードー東京  03-3498-9999
大阪/梅田芸術劇場  06-6377-3800

 

【取材・文/榊原和子】

雪組東京公演が開幕。水夏希が最後の初日会見。

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雪組東京公演が8月13日に初日を迎えた。

この公演は2007年からトップスターとして、さまざまな作品で主演をつとめ雪組を率いてきた人気スター、水夏希のサヨナラ公演になる。またその相手役として昨年6月トップ娘役に就任した愛原実花も、同じくこの公演で退団することになった。

公演はミュージカル『ロジェ』と、ショー『ロック・オン!』の2本立て。正塚晴彦作・演出の『ロジェ』は、フランスとブエノスアイレスを舞台に、第二次世界大戦直後に見知らぬ侵入者に家族を殺された男が、復讐に命を燃やす物語。また三木章雄演出のショー『ロック・オン!』は、「揺さぶり続ける」と「追いかける」という2つの意味をかけたタイトル通り、幕開きから息もつかせぬ迫力のステージとなっている。

『ロジェ』も『ロック・オン!』も、男役の美学を追究してきた水夏希ならではの魅力をフル展開して見せる作品で、芝居ではスーツや革ジャンなどでダンディにシャープに決め、ショーはロッカー姿からエレガントでミステリアスな月の王、黒エンビでの端正なロックまで、多彩なイメージで観客を惹きつける。ショーの中の「Show Time」は、ブルースとラテンの2バージョンがあって観るまでわからないサプライズ場面になっていたり、客席降りや拍手での観客参加シーンもあるなど、これまでさまざまな形で観客とコミニュケートしてきた水率いる雪組らしい趣向がいっぱいだ。

初日の午前中からいつにも増して気合いの入った通し稽古が行なわれ、そのあとロビーに水夏希が登場、取材陣の質問にこたえた。
まずは水夏希から挨拶がある。

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「本日はお忙しい中、お越しいただきましてありがとうございました。1カ月は、あっという間でしょうが、だからこそ、楽しんで、地に足をつけてがんばってまいりたいと思います。千秋楽まで、まだまだ新しいことに挑戦して、新しい、見たこともない雪組をご覧いただきたいと思いますので、よろしくお願いします」

続いて一問一答が行なわれる。

ーー宝塚大劇場サヨナラをされて、改めて東京公演に挑む意気込みを。

最後のお稽古でも楽屋出でも、皆さんにたくさんの拍手やいろんなことをおっしゃっていただいたり、いろいろ実感することはあるんですけれども、でも舞台を作る過程というのは変わらず、大劇場から東京に向けて、お芝居もショーもブラッシュアップできるように稽古してまいりましたので。いつもと同じように、最大限、精いっぱい、その日の、今まで生きてきた最高の舞台を毎日更新していきたいと思います。

ーー寂しさとか切なさとか、そういうのはないですか?_MG_5311

そうですねー? あ、でもお稽古場最後はやけに泣きました。自分でもなんでこんなに泣いているのか、寂しいのか、なぜ涙が出るのかわからなかったんですけど、でも、やっぱり寂しい思いがあったんだなという自分に気づいたり。あとはお芝居の最後に、未沙のえるさんのバシュレっていう役が「闘いは終わったんだ。これからは生きていく。それだけだ」ってセリフがあって、それをいつも着替えてしまって聞けていないのですが、お稽古場でそれを聞いたときに「あー、そうだ。闘いが終わることに、安心、そこに安堵する涙かもしれない」というふうに、ちょっと思いました。

ーー2作とも当て書きと言われてますが、1カ月演じてロジェの変化や、ショーでの改めての発見や見どころなどは?

そうですねー、お芝居のほうは、24年間復讐を誓って、それだけに生きてきた男という感覚が、最初のころはすごくつかみにくくて。前回の正塚晴彦先生の『マリポーサの花』のような、使命感に燃えている人物のほうがだんぜんやりやすかったんですが、毎日お芝居していくうちに、舞台上で、緒月遠麻演じるシュミットに出会ったときに、うわっと鳥肌が立つ感じとか、いろんな、お芝居の中の台本に書かれていないことが、どんどん湧いて、増えてくることが沢山ありまして、そういう意味ではやはり千秋楽に向けて、悲しみとか、いろんな苦しみ、後悔とか、やるせない思いとか、いろんな感情が含まれるようになりました。東京に向けては、さらにその、悲しみ、苦しみ、逃れられない現実とか、そういうちょっと負の部分を、“頑張って普通にしようとこらえているが、しかし、こらえきれない、表に表情に出てしまっている”、そこまで感情表現できたらいなと思ってます。
ショーに関しては、最初は与えられたことを精一杯やるので夢中だったんですけど、だんだん中日から楽にかけて、本当にその場の空気とか、その日のお客様とのキャッチボールですとか、客席のほうも日々、拍手や歓声も熱くなってきましたので、それにやはり力をいただきまして。東京でも舞台上でいかに自由になるかってことを、千秋楽まで楽しみにしていきたいと思います。

ーー娘役トップの愛原さんと、退団についてなにか話したりはあるんですか?

「退団だといって甘やかさないよ」みたいな言葉を、百万回ぐらいかけてました(笑)。まだまだ、いろんなことを日々ダメ出しをして、ここはこうだからこうしようとか話をして、変わらないですね。いや、やめるからといって「もういいよ、楽しくやろう」というわけにはいかない(笑)。そういう気持ちで取り組んでいます。

ーー先月、お父様の訃報がありましたが、その時近くにいていかがでした?

あの、私たちはまったくわからなかったぐらい、真摯に舞台に向き合ってました。本当に、あとから聞いて、偉かったなと思いました。

_MG_5276ーーこれでもかというくらい男役らしい場面が多いのですが、水さん自身がやってらして「男役だな」と実感するところや見どころを。

えー、これぞ男役? …黒燕尾姿ですかねやっぱり。でもそれに限らず、どこもかしこも男役として歩いている自分に、はたと気づくことがあり…もう二度と、二度とやらないのかと思うと、寂しいのかとやっぱり自分に問いかけてみるのですが、いや、いいんです。今だからこそやめるのが。惜しまれるときがちょうどいいのではないでしょうか。

ーー9月12日のことはまだ考えられませんか?

千秋楽のことですか? いえ、いつも考えています。考えてますいつも。宝塚での千秋楽は、思いのほか冷静に迎えることができまして。千秋楽の前の日の前楽にもサヨナラショーはあるんですけど、そのときに公演があって、みんな「今日はサヨナラショーだ!」って気合が入ってて、力が入っていて、よくなかったなと自分的に反省してましたので、千秋楽こそは落ち着いて、冷静に迎えようと思ってました。思いのほか冷静に迎えることができましたので、やはり感極まってしまうと、いつもと違うことになってしまったり、やはり「やりきった感」に欠けてしまうのではないかと思いますので、いつも通り冷静に。
なんか大劇場の千秋楽を終えて思ったことは、最後の日がどうだったかという…なんていうか、“死に様”ではなくて、“生き様”、生き方が大切なんだということをすごく感じましたので。千秋楽の日はどうであれ、それまで悔いのないように、1日1日を大事に生きていきたいなと思っています。

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最後に「1カ月間よろしくお願いいたします」と会見を終え、最後の初日を迎えるために楽屋に戻っていく水夏希の背中に、報道陣から熱い拍手が送られた。
いつも通り、笑いを交えた明るさと前向きな姿勢の水だったが、やはりサヨナラ公演という特別な時の中にいる人ならではの、どこか触れ難いようなオーラも漂わせていて、語る言葉も1つ1つが重みと実感を伴って聞くものの心に突き刺さってくる。最後には報道陣もしんと静まり返ってその言葉に聞き入った水
の会見だった。

 

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雪組東京宝塚劇場公演

『ロジェ』

『ロック・オン!』

8/13〜9/12◎東京宝塚劇場

〈問合せ〉 東京宝塚劇場 03・5251・200


【取材・文/榊原和子 撮影/岩村美佳】

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