えんぶ本誌の宝塚記事取材の機動力を生かして、宝塚歌劇の製作発表、会見などをいち早く紹介。 宝塚OGの公演やインタビューのほかに公演の批評なども展開しています。

座・ALISA『キセキのうた』

姿月あさとインタビュー


姿月あさとというジャンルの確立をめざして

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ソロのアーティストとして、宝塚退団後はミュージカルからライブまで、フィールドも広く活躍している姿月あさと。

クラシックからポップス、ロック、あらゆるジャンルを歌いこなす歌唱力は、ますます磨きがかかり、柔らかく深い歌の世界に聞くものを連れていってくれる。

宝塚時代から定評のあった芝居心は、ミュージカルでももちろん発揮されているが、昨年末に開催された秋元康脚本・プロデュースのディナーミュージカル『Actress』で、 女優の内面描写を綴ったストーリーをみごとに表現してみせた。

その『Actress』で好評だったオリジナルの楽曲を、今度はガラ・コンサートとして、新たな光を当てるという。宝塚歌劇団を退団して11年目、ますます意欲的な姿月あさとにこれからの活動を含めてインタビューした。


【1人の女優の裏と表】


——6月の 『「Actress」ガラ・コンサートvol.1』は、昨年のディナーミュージカル『Actress』をもとに発想されたということですが。
 

そうです。あのときはダンサーさんはいましたが、音は生ではなくてミュージシャンがいなかったんです。今回は3人のミュージシャンを入れた形で、逆にあのときあった楽屋とか鏡とかセットはなく、楽曲だけで1人芝居を見ていただこうということです。
 

——あのときはまるごとお芝居の中の歌でしたが、今回はいわゆる歌として歌うという感じですか?
 

お芝居は入ります。ただ、より音楽的にはなると思います。
 

——会場がMLB Caféというライブハウスで素敵なところですね。
 

とても綺麗でお洒落な会場です。360度から見える円形シアターのようなカフェで二階席もあって、円い感じのライブハウスです。
 

ーー12月の 『Actress』は、これまでにない形のディナーショーでした。 
 

セリフが一言もなくて、始まりがガウン姿で出てきていきなり歌い出すという演出でしたから、観ていたお客様は「何が起きたのだろう」と思われたようです。ちょうどクリスマスのディナーショーでしたが、皆さんの固定観念を逆にとりはらって、歌詞とお芝居をじっくりと見ていただきたいというコンセプトで構成していました。
 

——ストーリーの流れは今回も同じですか?
 

ディナーショーは時間の制約があったんですが、今回はもう少し時間が取れますから、お芝居の間の時間もかなり取れると思います。今回ならではという演出が後半の第2部で、1部の最後でブザーが鳴って楽屋のドアを開けて出ていったその女優が舞台上で行なうライブになるんです。ですから2部の始まりは舞台上に女優が登場するシーンから始めようと思っています。
 

——舞台に出る前と舞台、両方見せてもらえるわけですね。ディナーショーでは、ラストシーンのあと、彼女が何を歌うのか想像をかきたてられました。その歌が具体的に聞けるわけですね。
 

そこで姿月あさとのいろいろな面を観て、聞いていただければいいなと。1部が全部オリジナルな曲ばかりなので、2部では皆さんの知っているような曲も入れて。この2部仕立てのスタイルを、これからシリーズとして続けていけたらいいなと思っているんです。
 

ーー 『Actress』の主人公は、姿月さんの女優としての顔がリアルに映し出されていたような気がします。
 

舞台に出て行く前のアクトレスの姿には、私も含めさまざまな女優さんの生き方、過去、心などを描き出したいと思ったんです。朝起きて鏡を見て、楽屋で舞台に出ていくまでの自分を作り上げて、そして出て行く。
 

ーーその内面のドラマが、姿月さんに重なって、たとえば不安、恐怖、嫉妬、自信、プライドなどいろいろな感情が見えました。
 

たぶんいちばん出ていたのは孤独だと思います。自分の中の孤独と闘う、それがいちばん大きいから。
 

ーー演じることはそんなに孤独ですか?
 

男性でも女性でも最終的に1人で、私を含め、みんなそうだと思います。そういう道をあえて選び、闘っているし、これからも闘い続けるしかないです。



【自分のオリジナルを知ってもらう】


ーー今回、たくさんの楽曲を歌うと思うのですが、とくに気に入っている曲などありますか?
 

 『Actress』のオリジナルで、秋元さんに「夜明け」という曲を作っていただいたんですが、これをずっと自分の曲として歌っていきたいので、今回もじっくり聞いていただければいいなと。
 

ーー自分のテーマ曲が1つ増えたわけですね。
 

私がこういう活動を続けている目的の1つに、自分のオリジナル曲、オリジナル作品に巡り会いたい、そしてそれを聞いていただき、広めていければいいなという思いがあるんです。宝塚を退団して11年目、ずっと自分の歌に巡り会いたいということでやってきたんです。それはそんなに簡単なことではないんですけどね。
 

ーークラシックからロックまで、未知の領域にチャレンジしてるのは、そういう思いもあるからなんですね。これからチャレンジしていきたい方向は見えていますか?
 

もっと熱いもの、もっと情熱的なパッションの表現できるような歌に出会いたいと思ってます。そして、いろいろなジャンルをやってきて、それは自分の武器でもあるので、この『 「Actress」ガラ・コンサート』の2部に入れていきたいし、素晴らしい音楽仲間にも出会って財産になってますから、このライブでそういう出会いも生かせるかなと思ってます。
 

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【フレキシブルな榊原大さん】


ーーその他の活動として、5月はステージが目白押しですが、まず5月15日に榊原大さんとの軽井沢のデュオコンサートがありますね。
 

大さんのピアノは、まるでご自身が鍵盤に乗り移ってるみたいで、そしてお互いに身体が楽器みたいなセッションができるんです。私のやりたいことをよく理解してくださるかたです。チャレンジャーで、ご自身へのチャレンジとして、クラシックを1人でやるというのを始められてて、原点に戻るという基本を大事にしていらっしゃいます。
 

ーー『THE PRAYER』シリーズでも、すごく息が合ってるなと思います。
 

フレキシブルという言葉がぴったりで型にはまらないで、その時その瞬間で、お互いに出てくるものを、思うぞんぶん出し合えるんです。私はクラシックの世界に関しては、まず譜面をもらっていかにそれを確実に正確に歌うかに一生懸命だだった。でも、ジャズやセッション的なもの、書かれていないものを出すこと、表現するのには時間がかかったんですが、大さんがここまで導いてくださったと思ってます。
 

ーー軽井沢の大賀ホールですが、素敵なホールみたいですね。
 

5月の軽井沢はすごく綺麗ですよ。ピアノとのデュオです。生のピアノとのデュオは久しぶりです。今まで歌ったことのないポップスとか、皆さんが知ってる曲も歌います。


【越路吹雪さんとの出会いを生かして】


ーーそして5月19日に越路吹雪さんへのトリビュートコンサート。
 

今回、声をかけていただいた機会に、越路さんのシャンソンを全部聞いたんです。そしたら知ってる曲がいっぱいあって。ああ、私はいつのまにか沢山聞いていたんだなって。歌うのは「パリの空の下セーヌは流れる」と「恋ごころ」などで、歌いたい曲を選んだのですが、「私ってこういう曲を好きなんだ」って自分でも新鮮でした。
 

ーー意外なようでもあり、姿月さんらしくもあります。
 

宝塚音楽学校って、カンツォーネとシャンソンの授業があったんですよ。教本とかもらって歌ってました。それに舞台でもいろいろ歌ってて。でも15〜16歳で歌詞の意味もまるでわからないまま歌ってた。今、大人になって出会うというのは、やっぱり全然違いますね。歌詞の1つ1つにのめり込みながら歌えそうです。
 

ーーこの 『「Actress」ガラ・コンサート』の2部にシャンソンもいいですね。
 

3月の『THE PRAYER V』では「ケ・サラ」を歌ったんですが、あれも好きです。今回も歌います。それから音楽担当の先生に歌ってと言われたのが「筏流し」で。
 

ーーすごいですね。越路さんならではのいなせな歌ですね。
 

越路吹雪さんを宝塚の出身というのを知らないかたも多いと思うんです。それくらい歌手として女優として確立されていたかたで、私もずっと姿月あさとというジャンルをどう確立したらいいのか探ってる最中で、ですからこういう形で越路さんという方と出会えたことはいいきっかけになりました。そして、初舞台からまだ23年目なのだから、焦らず、かたくなにがんばろうと。自分という信念を持ち続けるしかないと思っているんです。


【何かが降りてくる瞬間】


ーー5月30日は元宝塚歌劇団理事長だった小林公平さんの1周忌で、そのチャリティコンサート出演がありますね。
 

宝塚歌劇100周年に向けての、こういう節目節目に呼んでいただけるのは嬉しいです。公平先生は海外公演に功績のあったかたですから、今回は海外公演のトップだけが出るという趣旨で。私は1998年の香港公演のトップでした。あのときに広東語で歌ったものを、今度は日本語で歌います。
 

ーーそして6月7日には、震災で中止になった『THE PRAYER V』が振り替え公演が行われるとか。
 

そうなんです。3月14日の東京のスィートベイジル公演が中止になったので、振り替え公演をします。 こちらは 『「Actress」ガラ・コンサート』とはちょっと違う素顔の私というか、このままの私です。ミュージシャンのかたとフリーダムな感じで好きに作っています。
 

ーーお芝居も、昨年は30日間ロングランの『Dianaー月の女神ー』がありましたが、役者の姿月あさとは健在でした。
 

お芝居は稽古場では計算しなければいけないのですが、公演が始まるとその場で作りあげていくんです。30日間、毎日お客様が違うし、とにかくその作品に慣れてしまわないことが大事だと思っています。慣れると柔軟性がでてきてより深くなるんですが、反比例してどんどん厳しくしていかないと決め事になってしまう。相手のセリフも、初めて聞くセリフとして捉えて対応していかないと全部作り物になってしまうんです。1回限りの芝居を生きることと、深みという、一見反比例するものを成立させていかないといけないんです。
 

ーーそこに集中する力がすごいなといつも思います。
 

お芝居は2時間半、歌は4分、でも同じことをしてるんです。役が降りてくるというか歌が降りてくる、その自分じゃない時間、その瞬間をいかに作りだせるかですね。自分の体を借りて何かが降り注いでくる、そういうことがやっぱり好きなんだなと思います。


姿月恵比寿用写真

 

■予定■

 『「Actress」ガラ・コンサート』

出演◇姿月あさと

演奏◇大石真理恵 (マリンバ、パーカッション、コーラス、アレンジ)、杉野裕(バイオリン)笠原あやの(チェロ)

●6月24日(金)11時半開場 13時開演/18時開場 19時半開演

恵比寿「actsquare」MLB cafe 2階

〈料金〉8000円(税込・飲食代別)

〈問合せ〉actsquare  03-3448-8902 

http://actsquare.com/



■その他の予定■

5/15◎軽井沢大賀ホール 

『姿月あさと×榊原大 デュオコンサート』

〈問合せ〉0268-72-1158 リモージュコンサート 

http://091225.jp/


5/19◎神戸国際会館

没後30周年記念『越路吹雪トリビュートコンサート』

〈問合せ〉06-6966-6555 グリークス 


5/30◎宝塚宝塚大劇場

小林公平没後1周年チャリティスペシャル『愛の旋律〜夢の記憶』

〈問合せ〉0570-00-5100 宝塚歌劇インフォメーションセンター


6/7◎六本木スイートベイジル

『Shizuki Asato Birthday live Tour 2011 THE PRAYER V』

〈問合せ〉TB 139 TEL 03-5474-0139




【取材・文/榊原和子 撮影/冨田実布】

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                



月組公演『バラの国の王子』『ONE』囲み取材

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29日、月組公演『バラの国の王子』『ONE』が初日を迎えた。『バラの国の王子』はボーモン夫人作の『美女と野獣』を原作としたラブストーリーである。魔法によって野獣に変えられてしまった王子と、優しい娘・ベルとの心の触れ合いが描かれる。宝塚でどう野獣を表現するのか?という疑問が演目が発表された時点でまず浮かんだが、野獣に見えつつも美しい、凝った霧矢の野獣姿が披露された。
ショー『ONE』は色々な意味をもつ“ONE”という言葉にスポットを当てたバラエティー豊かなショー。世界にたったひとつしかない宝塚歌劇への愛もこの作品には込められている。舞台稽古の後、囲み取材の場には霧矢大夢と蒼乃夕妃が登場し、作品の魅力や見所についてを語ってくれた。

【囲み取材】

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霧矢 みなさまお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございました。まだまだ東京も余震が続いておりまして、みなさま心休まる日がないかと思いますけれども、私たちは宝塚から東京に元気をお届けできたらと思ってやってまいりました。どうぞ一ヶ月間よろしくお願いします。

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蒼乃
 宝塚から色々なお話は聞いていたのですが実際に東京に来て、いろいろなことを私も感じました。この宝塚という空間で、みなさんに楽しんでいただけるように1ヶ月頑張っていきたいと思いますのでよろしくお願いします。

──二作品の見所をお願いします。
霧矢 『バラの国の王子』は、みなさまがご存じの大変有名な『美女と野獣』が原作となっております。最初、野獣役と伺ったときには、あのメイクを想像してしまったんですけど、宝塚ならではの麗しい野獣に(笑)変身し、その中に流れるピュアな愛をお届けできたらなと思っております。
ショーの『ONE』は様々な意味を持つONEなんですけれども、オンリーワンである宝塚のすばらしさ、そして今本当に日本中、世界中でこの言葉が語られておりますけれども、みんなで心を一つにして、劇場空間のお客様も一つになって楽しんでいただけるショーにしたいと思っています。

蒼乃 『バラの国の王子』はベルの心の成長をたくさん感じ取れる場面を先生が丁寧に書いて下さってので、私も丁寧に演じていきたいと思っております。人との触れ合い、愛とは何かとか、そういうものがすごく感じ取れる作品になっているので、その部分を今だからこそ是非、感じていただきたいなと思います。ショーは宝塚らしい場面もありますし、素直に楽しんでいただける舞台になっていると思うので、そこを楽しんでいただきたいです。

──『バラの国の王子』には色々なメッセージが込められていますね。
霧矢 野獣はベルと出会うことによって身を引く愛であったり、様々な愛し方があるということを知ります。最終的には身分や地位、もちろん見た目ではなく真実の姿を一番大切に、というのを宝塚らしく表現している作品になっているのではないかと思います。周りの動物たちの描き方なども独特で、手にパペットをもって表現しているので、その辺も見ていただけたらなと。

蒼乃 霧矢さんがおっしゃったように家族の愛もありますし、家臣からご主人様への愛もありますし、ベルと野獣の愛もありますし、色んな形の愛が表現されていると思うので、そういうところを感じていただけたら嬉しいです。

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──愛は見た目じゃないとおっしゃいましたが、見た目が今回、爪が長かったり、被り物があったりとご苦労があるのでは?

霧矢 はい。今、見た目じゃないとは言いましたが、宝塚でございますのでやはり見た目も(笑)あの、美しくさせていただきたいと思ってやっております(笑)。宝塚のトップの男役がこのような格好をするというのは本当に珍しいことだと思うのですが、その異色なところにあえて挑戦するやりがいをも感じています。

──衣裳は何キロぐらいあるんですか?
霧矢 宝塚で身体測定をいたしまして(笑)、総重量は8キロございました、頭が2キロ弱ぐらいあって、靴もすごく重いんです。一応、バッファローとサイがミックスされたようなイメージだとデザインの先生がおっしゃっていたので、のしのしと見えたら良いなと思っております(笑)。


 

月組公演

ミュージカル
『バラの国の王子』
〜ボーモン夫人作「美女と野獣」より〜
脚本・演出◇木村信司

グラン・ファンタジー
『ONE』−私が愛したものは・・・−
作・演出◇草野旦

●4/29〜5/29◎東京宝塚劇場

<問い合わせ>
東京宝塚劇場 03−5251−2001 



【取材・文/岩見那津子】

蘭寿とむトップお披露目公演『ファントム』制作発表

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新花組トップスター・蘭寿とむのお披露目公演となる『ファントム』の制作発表が、4月27日都内のホテルにて行われた。ガストン・ルルーの『オペラ座の怪人』を原作に、様々な形でミュージカル化されている『ファントム』。宝塚では、アーサー・コピット&モーリーイェストン版を2004年に和央ようか、花總まりにより宙組で初上演している。初演の好評を受け、2006年には花組の春野寿美礼、桜乃彩音により再演され、このたび3度目の上演を迎える。
ファントムを演じる蘭寿とむは5年前に花組から宙組に組替えになり、再び花組に戻ってきてトップに就任する形だ。無邪気な楽譜売りの少女・クリスティーヌを演じるのは、蘭乃はな。そのほかオペラ座の前支配人、ジェラルド・キャリエールを壮一帆が、クリスティーヌに恋心を抱く青年、フィリップ・ドゥ・シャンドン伯爵を愛音羽麗と朝夏まなとが役代わりで演じる。
この日の制作発表には、演出を担当する中村一徳や、蘭寿とむ、蘭乃はなの新トップコンビが出席し、まず蘭寿と蘭乃がパフォーマンスを披露。その後、会見が行われた。また今回の上演にあたり、作曲のモーリー・イェストン氏から新たに2つ、新曲が提供されることが発表されたが、その報酬は東日本大震災を支援する義援金として寄付する、というメッセージが届いていたので、まずそちらを紹介する。

【モーリー・イェストン氏からメッセージ】

宝塚の同士のみなさまへ

宝塚歌劇団、梅田芸術劇場での公演を通して『ファントム』が阪急電鉄グループの財産演目となっていることを、心より光栄に思っております。
きたる6月に開幕する再演のため、特別に2つの新たな歌を書かせていただくことになりました。敬意と心からの友情の証として、勇気で世界中を奮い立たせ続けている日本の国民のみなさんへ、この2つの新曲を捧げます。
新曲に対する報酬は固辞させていただき、その代わり、宝塚歌劇団が行っておられる、東日本大震災で被災された方々を支援するためのチャリティーの義援金として寄付させていただきます。
心を込めて。

モーリー・イェストン


【挨拶】
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蘭寿 花組の蘭寿とむでございます。みなさま本日はお忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。ミュージカル『ファントム』、この素晴らしい作品で、スタートをきることができる喜びを今、噛みしめております。今回の再演のために新曲を書いて下さるということで、とても嬉しく、光栄に思っております。
私は、5年ぶりに花組に戻りまして、新しい相手役の蘭乃はなちゃんと一緒に、そして花組のみんなと一緒に、一丸となって良いステージを作っていきたいなという思いで燃えております。みなさま今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

蘭乃 本日はお忙しい中お越しいただきまして、本当にありがとうございます。『ファントム』という素晴らしい作品に出演できること、クリスティーヌという花總まりさん、桜乃彩音さんという素晴らしい娘役の方が演じられた役に挑戦できること、とても光栄に思っております。
またこの公演は蘭寿さんの花組に戻られてのトップお披露目公演となっておりますので、そういった意味でも素晴らしい公演にできますよう、お稽古を重ね、心を込めて、演じられるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

【質疑応答】

──トップコンビのお二人に、それぞれどのように役を演じていきたいと思っていますか?
蘭寿 ファントムというのは暗闇の中で苦悩しながら生きているときに、クリスティーヌの声に出会い一筋の光を見出して、愛をはじめて知り、生きる意味を感じます。実際に、クリスティーヌを抱きしめて包み込むことはできないんですけど、愛を知った自分が思いを込めて歌う歌で、クリスティーヌを包み込めるような、そんな暖かさのあるファントムにしたいと思っています。
ただ、その愛ゆえに狂気に走ってしまう部分なども繊細に演じていきたいと思いますし、その辺は中村先生と御相談しながら、丁寧に描いていきたいと思っております。最後の親子の愛の部分も、客席から見たときにすごく感動いたしましたので、そちらに到るまでの心の葛藤も丁寧に演じたいと思っております。

蘭乃 ファントムの本当の心の美しさを見いだして惹かれていく純粋さがあるからこそ、彼の本当の顔を見てみたいと思ってしまうのがクリスティーヌだと思います。でも未熟な部分が彼女にはあって、だから顔を見て逃げてしまうという経緯にいたるので、純粋であるという部分とまだ彼女が人間として、一人の女性として成熟していないというところを大切に演じていきたいと思います。

──新曲2曲は、どんな場面で歌われるのか、教えていただけたら。
中村 ファントムがクリスティーヌに対してまだ愛まではいかないものの、恋というか、少し今まで感じなかった思いが芽生えはじめるところがありまして、そういうイメージの場面に1曲入るのと、伯爵の歌をまた新らしいバージョンで、イェストンさんからご提供いただくこととなりました。

──実際に今、曲を歌われてみていかがでしたか?
蘭寿 本当に美しい音楽ですので挑戦だと思っております。でもそういう機会を与えていただいたことに幸せを感じながら歌っておりました。特に蘭乃はなちゃんとのデュエットなんですけど、響きはなかなか合っている、かな?なんて自分で、はい(笑)、思いながら、本当に初めて一緒に歌ったので・・・。
彼女は、宝塚の娘役らしい清楚なピュアな娘役さんだと思いますし、その辺りに凄く惹かれているので、役と重ねながら一緒に美しいハーモニーを奏でたいと思っております。

蘭乃 初演や、再演のファントムを客席で見ていたときには、まさか自分がクリスティーヌを演じることになるとは思っていなかったので、クリスティーヌのまさか自分がオペラ座で歌えるようになるなんて、という気持ちと同じだと思って歌っていました。
蘭寿さんは本当にとてもお優しい方で、二人で向き合ったときに、これは大丈夫だとすごく安心できた部分がありましたので、この気持ちを持って、蘭寿さんについていきたいと思います。

──蘭寿さんはトップとしてのお仕事が初めてですが、どんなお気持ちですか?
蘭寿 まず「花組の蘭寿とむ」と言った瞬間に、あぁこの響きが懐かしいと、思いました(笑)。宙組にいったことも本当に良い勉強になりましたし、精神的にも強くなりました。5年ぶりに花組に戻ってきて、みんなと一緒に、とにかく良い舞台を作りたいなという一心で今はおります。

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花組公演 
『ファントム』

脚本◇アーサー・コピット
作詞・作曲◇モーリー・イェストン
潤色・演出◇中村一徳

●6/24〜7/25◎宝塚大劇場
●8/12〜9/11◎東京宝塚劇場

<問い合わせ>
宝塚歌劇インフォメーションセンター 0570-00-5100


【取材・文/岩見那津子】

「これからも花組を・・・」真飛聖サヨナラショー/退団会見

424日に千秋楽を迎えた『愛のプレリュード/Le Paradis!!』で花組トップスターの真飛聖が宝塚を退団した。1995年星組公演『国境のない地図』で初舞台を踏んだ真飛はそのまま星組に配属され、2005年に花組に組替え。前トップスター春野寿美礼の後を継ぎ、2008年より花組のトップスターに就任し、『太王四神記』のタムドクや、『相棒』の杉下右京、『虞美人』の項羽など幅広い役を演じてきた。退団公演となった『愛のプレリュード』ではフレディー・クラークという一人の男性として生きる中に男役の集大成をみせ、ショー『Le Paradis!!』では花組の男役らしい色気や、組だけでなく客席全体をも包み込むような大きな包容力を感じさせてくれた。
同じくこの日に宝塚を退団したのは眉月凰、真野すがた、祐澄しゅん、天宮菜生、天咲千華、鳳龍アヤ、朝陽みらいの7名で通常のショーの後に退団者を中心とした真飛聖サヨナラショーが行われた。真飛のショー代表作『EXCITER!!』ではじまり、『EXCITER!!』で終わるサヨナラショーは、退団の寂しさすら吹き飛ばす笑顔に溢れた真飛らしいものとなった。サヨナラショーの内容は以下の通りである。

【真飛聖サヨナラショー】 

1.「CHANGE LIFE」(09年、10年『EXCITER!!』より)
真飛聖

2.Passionate Night B(09年、10年『EXCITER!!』より)
真飛聖、他男役

3.「インシャアッラー」(08年『愛と死のアラビア』より)
真飛聖、壮一帆、愛音羽麗

4.「僕の悪いクセ」(09年『相棒』より)
真飛聖、壮一帆

5.「フィフティ・フィフティ」(09年『フィフティ・フィフティ』より)
真野すがた、華形ひかる、桜一花

6.「MIND TRAVELLER(06年『MIND TRAVELLER』より)
真飛聖

7.「愛のはじまり」(10年『麗しのサブリナ』より)
真飛聖、蘭乃はなのデュエットダンス

8.「愛のかたち」(09年『外伝ベルサイユのばら〜アンドレ編〜』より)
真飛聖、眉月凰、祐澄しゅん、天宮菜生、天咲千華

9.「花は花」(10年『虞美人』より)
真飛聖、眉月凰、真野すがた、祐澄しゅん、天宮菜生、天咲千華、鳳龍アヤ、朝陽みらい

10.「希望の瞳」(09年『太王四神記』より)
真飛聖、花組全員

11.Life Exciter!!」(09年、10年『EXCITER!!』より)
退団者7

12.「ドリームゲート〜チェンジBOX〜」(09年、10年『EXCITER!!』より)
真飛聖、Mr.YUとして登場

13.「EXCITER!!(09年、10年『EXCITER!!』より)
チェンジBOXで変身した真飛が花組を率いて歌い踊る

なんといっても、Mr.YUの大階段からの登場と、その後の変身から幕が降りるまでの盛り上がりが真飛を中心とした花組の団結力を象徴していたように思う。終演後に行われた会見で記者から「この公演で真飛さんが一回り大きくなった印象を受けた。」という言葉が出たが、まさにその通りである。不安な状況の下、最後までトップスターとして舞台を務めきった真飛からは、組を守りたいがゆえに生まれた大きさと、たくさんの愛、そして清々しさが感じられた。以下、会見の模様を紹介する。


【真飛聖退団記者会見】

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──宝塚は真飛さんにとってどんな場所でしたか?
想像を超える幸せな空間で、幸せな時間を過ごせた場所ですね。想像していなかったです。ここまで自分が宝塚を愛せると。そして、こんなにも幸せな時間を過ごせると思っておりませんでしたので、繰り返しますが(笑)、想像を超える時間を過ごせた場所、でした。

 ──チャリティー公演ということで公演後にご挨拶をされたり、ロビーに立っていらっしゃったり…ご苦労様でした。真飛さんは初舞台も阪神大震災後の再開公演でしたがそれを経験したことや、何か今回の震災を経ての思いがあれば。
初舞台公演だということも重なって、星組の方々が一丸となっていた空気を私たちもその時に感じていました。そこで「乗り越えられないものはない」と感じましたが、今回また改めて、自分が退団とはまた関係なく、やはり乗り越えられない事を神様は人に与えない、本当にその通りなのだと思いました。
今、募金の事でご苦労様と言っていただいて、みなさまからも、「無理をしないでね。」とよく声を掛けていただきましたが、でも、こういった言い方は間違っているかもしれませんが、私にとって、あの時間はある意味本当に幸せな時間で。
本来ならば舞台からしか皆様にはご挨拶できない、感謝の気持ちを舞台からでしかお伝えできないのですが、ロビーにいて観劇されたみなさまの姿を「あ、こうやって帰って行かれるんだ。」と初めて見ることができましたし、そこでみなさまと会話できたこと、目での会話、本当にそれは義援金の協力という形ではありましたが、とても大切な、かけがえのない時間でした。

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──改めてステージを降りられたお気持ちと、これからやってみたいことがありましたら。

今このように記者会見をしておりますけれど、まだまだ男役でキザれるんじゃないかと思っておりますし(笑)、明日も公演があるならば、同じ事はできると思うんですね。今回はこうして幕を無事におろすことが目標であり、本当に今やり終えたばかりなので、「本当に終わったのかな?」と。もしかしたら夜寝るまで、そして次の日、公演がないと思うまでは実感はわかないのかもしれません。でもそれが本当は幸せなことかもしれないと思うくらい、今、満たされた時間をゆっくりと過ごしている感じです。
これからのことは、正直に申し上げまして本当に何も考えておりません。この状況で公演をさせていただけたことだけでも感謝しておりますので、今、次のことを考えることは、私にはできませんでした。
とにかく目の前にあることを全力で、100%の思いでやっていくことが私の務めだったので、明日、12時が過ぎて「あぁ、私どうしよう。」って思うのかな、と(笑)。ゆっくりと、焦らずに自分がやりたいと思うことを、少しずつ見つけていきたいと思っています。

 ──外の舞台に立つ予定も今のところはない?
そうですね、今のところ。もちろん宝塚の舞台には立てないですけど(笑)、立たせてもらえる?いや、立たせてもらえないですね(笑)、立たせてもらえませんけれど、今後、外の舞台ということで、そのことも本当に何も今は考えておりません。もう、この舞台でこんなにも素敵な時間を過ごせる事ってないんだろうな、と思いながら1ヶ月間を過ごしていたので、今は、すごく清々しくて…だからゆっくり考えたいと思っております。

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──走り続けてきた自分へ贈る言葉と、まもなく
100周年を迎える宝塚歌劇に残していく言葉があったら教えてください。
とても難しいですが、ただ、今の自分に言えることは、心に嘘をつかずに、素直な思い、素直な気持ちで諦めずにいたからこそ、この時間が持てているんだということで、「諦めなければこういう時間って、持てるんだね。」と自分に語りかけております。
100周年に向けて今はこういう状況ですが、いろいろな思いを抱えながらも宝塚を愛し、そして1ヶ月間観に来て下さったたくさんの方がいらっしゃいました。みなさまがいてくださるからこそ、宝塚歌劇団というのは成り立っているということに改めて深く気付くことが出来ました。
こういうお客様と共有できる空間というのは、宝塚以外、世界にどこにもないと思うので、みなさまにたくさんの心ある舞台、そして愛を一緒に感じられる時間を宝塚は作っていって欲しい思いますし、作っていくと信じております。

──真飛さんはこの公演で、一回り大きくなられた印象を受けたのですが、ご本人の自覚は。
いや(笑)、ございません。まだまだ未熟者ではございます、本当に。ただ地震がありまして、花組のみんなで話し合いを重ね、その中で花組がもしかしたらバラバラになってしまうのではないか、という不安をみんな感じていたと思うんです。でも行こう!と決めた、そして私について行こうとみんなが思ってくれた、その思いを私は全力で受けて止め、みんなをただひたすら引っ張ってきたので、ピーンと糸はたぶん…今も張っているかもしれないし、興奮状態だとは思うんですが、でもおかげで元気でいられました。
よく睡眠もとっておりましたし(笑)、「最後なのに私こんなに元気なの、なんでだろう?」思うぐらい元気に。やはり花組みんなの思いと、宝塚を支えて下さるすべてのみなさまの思いで、もしかしたら私がそういう風に見えたのかもしれません。

 
記者からの質問に答え、会見場を去る際に真飛は一言「これからも花組をよろしくお願いいたします。」と言葉を添え、頭を下げた。真飛が、まず第一に組のことを考え、花組を笑顔で引っ張ってきた、大きな優しさをもったトップスターであったことを、この最後の一言で改めて実感した。

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花組公演
ミュージカル・ロマン
『愛のプレリュード』作・演出/鈴木 圭

『Le Paradis!!−聖なる時間(とき)−』
作・演出/藤井大介

3/35〜4/24◎東京宝塚劇場



【取材・文/岩見那津子】【撮影/岩村美佳】 

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