えんぶ本誌の宝塚記事取材の機動力を生かして、宝塚歌劇の製作発表、会見などをいち早く紹介。 宝塚OGの公演やインタビューのほかに公演の批評なども展開しています。

『HEADS UP!』

人気のミュージカルが開幕『スカーレット ピンパーネル」』の初日インタビュー

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6月4日、東京宝塚劇場で月組公演、『スカーレット ピンパーネル」』の初日が開いた。

原作はオルツィの小説「紅はこべ」で、フランス革命の時代に罪無くギロチンにかけられる貴族を救出する義賊紅はこべの活躍を描いたもの。1997年にブロードウェイで上演されたものを宝塚流にアレンジ、08年に星組が初演している。作曲はフランク・ワイルドホーンで演出は小池修一郎というヒットメーカーたちのコラボにより、優れたエンターティメントに仕上がり、09年には数々の演劇賞を受賞して話題を呼んだ。今回はその人気作の2年ぶりの再演となる。主演は、今年から月組トップコンビとしてスタートを切った霧矢大夢と蒼乃夕妃で、これが初の東京公演でお披露目作品となる。

舞台はパリとロンドン、おとぼけ風のイギリス貴族パーシー・ブレイクニーが実は義賊で、仲間の貴族たちとともにピンパーネル団としてアクションや変装などして大活躍するという物語の爽快感。また、パーシーと妻で女優のマルグリット、彼女を愛しているフランス革命派のショーヴランという、愛のトライアングルも見どころだ。
そして、ワイルドホーンの作曲した数々の名曲が、パワフルに、ときにはしみじみと歌われるとともに、宝塚のミュージカルらしい華麗な美しさ、この作品ならではの群衆の迫力などで舞台は盛り上がる。トップの霧矢は素晴らしい歌唱とともに得意のコメディセンスを発揮、星組版とはまた違った陽のテイストを持つ月組版『スカーレット ピンパーネル』の牽引者となっている。なおこの作品は、ショーヴランが龍真咲と明日海りおの役替わりになっていて、それぞれ成長著しい男役スターの競い合いも、作品人気の要因となっている。

初日の午前中に、通し稽古を終了した霧矢と蒼乃が、東京宝塚劇場ロビーで報道陣の質問に答えた。

_MG_5443霧矢大夢・蒼乃夕妃 挨拶と一問一答】

霧矢「皆様、本日はお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。月組版『スカーレット ピンパーネル』が、今日より開幕いたします。どうぞよろしくお願いいたします」
蒼乃「お披露目公演ということで、この作品に携われることを本当に光栄に思っております。千秋楽までがんばりたいと思いますので、よろしくお願いします」

ーー2年前に大評判となった作品ですが、大劇場を終えてこの東京公演に挑む意気込みを聞かせてください。

霧矢「そうですね、宝塚大劇場で1ヵ月公演してまいりまして、そのなかで月組ならではの『スカーレット ピンパーネル』になったであろうと自負しておりますので、みんなで自信をもって東京に挑みたいなと思っておりましたので。もう、何の気負いもないですね。楽しんで、このエンターテインメント性の高い、冒険活劇を皆さまにお伝えしたいな、と思っております」
蒼乃「今の月組にしか出せない色がたくさん見られる作品で、大劇場公演を通してどんどん成長してきたと思うので、それを楽しみに、月組の『スカーレット ピンパーネル』を楽しみにしていただきたいと思っています」

ーーその月組ならではというのは、どんなところですか?_MG_5445

霧矢「やはり月組は、代々“芝居の月組”と呼ばれておりまして、スカーレット ピンパーネルはパーシーとマルグリット、ショーヴランの人間関係が主軸なんですが、パリの人々であったりとか、貴族の人々であったりとか、民衆の場面というのがとても大きなポイントを占める作品です。ま、その中で、本当に下級生の一人ひとりが、それぞれの役を、名前のない役でも作り上げて、一生懸命お芝居しながらやっているっていうのは、やはり月組らしいなと思いますし。どんな小さな役でも、本当に全身全霊を込めてやっている姿などが、メインキャストの私たちも、そういう下からの“押し上げ”というのを、感じてやらせていただいております」

ーーそれぞれの役づくりの工夫、またアピールしたいところがあれば。

蒼乃「マルグリットというのは、元女闘士ということで、すごく芯の強い女性なんですけど、パーシーと出会ったことで、女性らしい一面も出て来たり、新婚であったりとか、私はそういう部分を大切に。でもショーヴランと向き合ったときは、本来の自分というか強い部分を出す。いろんな面を持った女性でいられたらなと思いながらやっています」
霧矢「パーシーは、冒険活劇のヒーローらしいヒーローで、まあ、世間的には浮ついた貴族を演じておりますが、他国の貴族を助けるという正義感も持ち合わせておりますし、ま、ちょっとした茶目っ気であったりとか、パーシーも本当にいろんな面を出せる役だなと思いますし。皆様が一番楽しみにしていらっしゃる(笑)グラパンの役作り等々、みなさまの期待が大きくて、どうしようかなと一番悩んだところではありますけれども。それを宝塚大劇場でやってきて、いろいろ自分の中でも切り替えがうまくできるようになってきたので、そういったヒーローの部分と、マルグリットとの恋愛関係のロマンスの部分というバランスをうまくとりながら、自分なりのパーシー、今言葉にして表すのは難しいのですけど、霧矢のパーシーを感じていただけたらと思っております」_MG_5464

ーー新生月組はどんな感じですが。

霧矢「大劇場のときは、初舞台生も一緒で、何か初めての、初のっていうことがいっぱい重なった公演だったんですけれど、東京のほうは、その初舞台生の中から月組の組子が配属されまして、本当に新生月組の完全版といいますか、もうこの月組でこれからやっていきますっていう形なので、それはそれで気持ちも新たに、また、月組みんなで力を合わせて、毎日の舞台を、元気に楽しくやっていく、という意気込みでございます。そして、また、それが次の、次回作次回作と、つながっていけばいいなと思っております」

ーー今回は、龍真咲さんと明日海りおさんがショーヴランを役替わりしますが。

霧矢「ベースに流れてる役づくり等々はそんなに変わらなくて、龍と明日海自身は違うので、その都度も、本当に2人とも微妙に、芝居をかけてくるというか、ぶつけてくるタイミングといいますか、場面がポイント、ポイント違ったりとかするので、そういったものは柔軟にね、対処していきたいと思います。私に関しては、そんなに、こっちのショーヴランだからこうするとか、そういうふうな違いをつけているつもりはないです」
蒼乃「私もあまりベースに流れてるマルグリットの役は変わらないので、ショーヴランの人が変わったからといって、自分で変えようとは思ってないんですけど、人が変わることによって新鮮に、お芝居ができるようにっていうのは、自分ですごく心がけたいなと思いながらやっています」

霧矢が話しながらそばの蒼乃に同意を求める場面もあったり、東京お披露目とはいえ、今年初めからすでに5カ月という信頼関係を感じさせるトップコンビ。最後に霧矢が「千秋楽まで、どうぞよろしくお願いいたします」と挨拶、大きな拍手に送られ初日の楽屋に戻って行った。

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月組東京宝塚劇場公演『スカーレット ピンパーネル』

6/4〜7/4

当日券等の問い合わせ/東京宝塚劇場 03-5251-2001

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写真が第二幕のみになっていることをお詫びします
【取材・文/榊原和子】

楽しいラブ・ミュージカル『絹の靴下〜SILK STOCKINGS〜』の初日インタビュー(5月16日)

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映画やブロードウェイ・ミュージカルで有名な『絹の靴下〜SILK STOCKINGS〜』の日本初演が、
5月16日の初日を迎えた。1939年に公開された映画『ニノチカ』を原作とし、コール・ポーター作詞・作曲により1955年にブロードウェイで上演された同作品は、今回が日本初演となる

演出家は、鬼才荻田浩一。主演は湖月わたる、共演者に今村ねずみ、樹里咲穂、渡部豪太、戸井勝海、伊礼彼方、神田恭兵などの顔ぶれで送る、笑いと風刺に富んだラブロマンスだ。

物語の背景になるのは、冷戦時代のソビエト(現ロシア)、そして華やかなパリ。ソビエトに帰国しない作曲家ボロフを国に連れ戻しにやってきた模範共産党員のニノチカと、ボロフの音楽を使って映画を撮ろうというプロデューサーのスティーブ。2人の駆け引きや、やがて生まれるロマンスを描いている

初日の公演前に『絹の靴下』の囲み取材が青山劇場で行われた。ソビエト連邦の共産党員であるニノチカを演じる湖月わたる、映画ではフレッド・アステアが演じたスティーブ役の今村ねずみが囲み取材に登場した。

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【一問一答】

──初日を控えた今のお気持ちは?

今村 良い意味で緊張してますよね。自分が初めてミュージカルに参加したときの、何十年も昔の、その時の感覚が蘇ってくるような王道作品なんで、小手先じゃなくてストレートにドーンとお客さんにお届けして、「これぞミュージカルだ!」っていう感じを楽しんでいただけたら嬉しいかなと思うんですけど。

湖月 今回はオーケストラボックスがあって、舞台自体も飛び出しの作りになっていて、いよいよ青山劇場に来たなという、私も心地良い緊張感を持っております。本当に躍動感のある楽しいミュージカルですので、私自身はお堅い共産党員ではありますけど、思いっきり楽しんで演じたいと思います。

──今は鉄の女としての制服姿ですが、女性に変わっていく気持ちはいかがですか?

湖月 スティーブに恋をして変わっていくんですけど、今回は下着姿にも挑戦しまして、女に目覚めていく彼女の心の移り変わりもダンスシーンでお見せします。その後は彼女なりの最高のドレスアップで一幕のラストはお届けしたいな、と。

今村 僕は本当にストレートに、直球、剛速球、ストライク目指して愛を伝えるような役なんで、それを純粋に彼女にぶつけてみたいですね。

湖月 鉄の鎧にその直球がビシバシ!とはまり込んで。

今村 彼女大きいでしょ、やっぱり。

湖月 はい! 大きいです(笑)。

今村 スケールが大きいですからね。それに負けないような愛をぶつけてみたいですね。

──今村さんは13年ぶりのミュージカルですが、いかがですか?

今村 もう一年生みたいな感じですね。浦島太郎になったような感じで、稽古場も、若いかたがアンサンブルで一緒に出演していて、「やっぱり時代ってそういう風に回ってるのかな?」ってつくづく、自分が改めて良い意味で年とったんだなと思いました。

──湖月さんはずいぶん早くお稽古に入られるそうですが。

湖月 そうなんです、早いんですよね、私。

今村 彼女は基本的にめちゃくちゃ真面目です。みんなの模範生みたいでしたよ。早く入ってアップして準備してって。

湖月 稽古始まる時に自分が全開になっていないと。エンジンをかけるのに時間がかかるのかもしれないんですけど、稽古場大好きで早く行っちゃいます。

──オススメのダンスシーンは?

今村 僕は彼女がソロで踊る、この鎧を取ってスリット姿になる、その変わるところのダンスナンバーがすごくいいなと思いますね。言葉とか、理屈を超えたところで、ミュージカルの醍醐味というか、一つのパフォーマンス、表現のあり方がドーンと出るので。個人的には好きです。

湖月 そのシーンは映画版にだけあったシーンで、今回ミュージカル版に入れていただいて光栄だなって思いますし、大切に踊らせていただきたいです。あと今回はフィナーレがね、付くんですよね。最後はダルマ姿で、スティーブさんと踊らせていただいたりと、盛りだくさんになっていますので、ダンスシーンも楽しみにしていただけたらな、と思います。

──初めて絹の靴下を履かれる場面があると思うのですが、その時の気持ちは?

湖月 本当に素敵なシルクのストッキングを用意していただいて、本当に「しゃらららら〜ん」と音がするみたいな感触が、彼女の何かを一枚、スッと取るのではなく、パラパラと取れていくっていう感じが凄くして。宝塚を退団してから、スカートを初めてはいたときの感触に似ているなって気もするんですけど、女性なら誰でも味わったことのある瞬間なんじゃないかなと思います。

今村 彼女めちゃくちゃ乙女チックなんですよ。こう見えて、結構、夢見る夢子ちゃんみたいな(笑)。それはすごく稽古場で発見したんですけど。でも、そういう割には彼女しっかりしてて、リードしてくれたり。

湖月 そんなことないじゃないですか(笑)。

──それはどんなところで?

今村 愛を告白するシーンとか、僕の方がうぶだろうなと思ったんですけど。まぁ今回人生の一生分、告白しましたから。でも彼女にそういう言葉を投げかけると彼女の反応が、「え?」っていうくらい夢見る夢子ちゃんで(笑)、それは純粋に驚きましたよ。

湖月 宝塚時代そういう台詞はたくさん言ってきたつもりなんですが、言われるのは初めてなので。

今村 「君を愛してる」とかずっと言ってたんでしょ?

湖月 どんな顔してその愛の言葉を受け止めたら良いのか、最初は本当ドキドキしてしまって。

今村 この台詞ってさ、君の方が何年も言ってるでしょ?って(笑)。そしたら「言ってます」ってトーン下げて答えて(笑)。

湖月 トーン下がっちゃうんですよね(笑)。

──湖月さんのファンにとっては新鮮かもしれないですね。

湖月 そうじゃないかと思います。こんなに直球で愛を告白していただくのは滅多にないですし、女性の方は聞いていて私のことが羨ましくなるんじゃないかと思います。こんな風に男性に言っていただける、ニノチカは幸せ者です。

──お客様あてにメッセージを。

今村 久々にこういうドーンと迫力ある、本当に余計なこと考える必要もない、是非楽しんでください!っていうミュージカルなんで、それを味わっていただきたいです。

湖月 まずコール・ポーターの曲が素敵ですし、ブロードウェイミュージカルならではの、色んなバリエーションの音楽が組み込まれていますので、これはもう是非楽しんでいただきたいです。あの時代ならではの暖かさが凄くある作品だと思いますし、その中で最後絶対元気をもらっていただけるんじゃないかなと。

今村 そうだよね。忘れかけた宝物を探すようなミュージカルなんで。今この時期、この時代に、是非楽しんでもらいたいですね。

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ブロードウェイ・ミュージカル・クラシック

『SILK STOCKINGS 〜絹の靴下〜』

●5/16〜30◎青山劇場

●6/4〜6◎梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

作詞・作曲◇コール・ポーター

演出・訳詞・上演台本◇荻田浩一

出演◇湖月わたる 今村ねずみ 樹里咲穂 渡部豪太 戸井勝海 伊礼彼方 神田恭兵 他

 

<料金>

東京/S席11500 A席9500 (全席指定/税込)

大阪/11500 (全席指定/税込)

 

<お問合せ>

東京/キョードー東京 03-3498-6666 

大阪/梅田芸術劇場 06-6377-3800

    http://www.umegei.com

 

                

                                【取材・文/岩見那津子】

 


安蘭けいと武田真治のライブ『安蘭けい 箱舟 2010』スペシャルライブイベント(5月15日)

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安蘭けいの舞台生活20周年記念となるコンサート『安蘭けい 箱舟 2010』のための、スペシャルライブイベントが、5月15日、表参道ヒルズにて行われた。 

「羅針盤の記憶、或いは情熱と曖昧さの関係について」
安蘭のアップに、紫が映えるシックで妖しさの漂うチラシには、こんな言葉が書かれている。もちろん書いたのはこのコンサートの構成・演出で、宝塚時代から安蘭と何度も組み、数々の印象的な場面を作り出してきた荻田浩一である。
星組で安蘭がトップになった期間に2人のタッグを見ることは叶わなかったが、「宝塚」という枠組みから離れた今、安蘭と荻田がどのような世界を見せてくれるのかに、期待が高まる。

s_RIMG0363コンサート『安蘭けい 箱舟 2010』の東京公演は、天王州銀河劇場にて、6月2日〜15日に上演するが、8日の休演日を挟み、3日〜7日は【SIDE S】と称して武田真治をゲストに迎え、9日〜14日は【SIDE K】で、浦井健治がゲストとして出演する。2日の初日と15日の千秋楽は、シークレットでスペシャルゲストの出演もある。

歌+ダンス+芝居のコンセプチュアル・ライブとなるこのコンサート『安蘭けい 箱舟 2010』は、【SIDE S】から見たある1人の女、安蘭の姿。そしてまた別の視点【SIDE K】から見た安蘭の姿。2つのサイドから見る情景によって記憶が補完されるという、二面性のあるコンサートとなる。

スペシャルライブイベントが行なわれたこの日は、安蘭けいと武田真治が出演、3曲が披露された。s_RIMG0382

1曲目は安蘭が歌い、武田がサックスを吹くというかたちで、ミュージカル『キャバレー』より「MAYBE THIS TIME」。
2曲目は武田のサックスのソロで「 HYPERLINK "mailto:SAX@ARENA" SAX@ARENA」

3曲目は安蘭が歌い、武田がサックスで参加したミュージカル『エリザベト』より「最後のダンス」。

より自由になった安蘭の歌声には、観客をぐっと歌の世界に引き込む熱っぽさがある。6月に東京と大阪で行なわれるコンサートでは、2つの【SIDE】から、どんな安蘭けいの姿が浮かび上がるのだろうか。

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スペシャルライブイベントの終了後に囲み取材が行われた。

──こういうステージで歌った経験は?

安蘭 初めてです! 武田君とこうやってサックスと合わせて歌うのも新鮮だったし、本当、楽しかったですね。

──安蘭さんは元男役トップスターですが、見ていて男らしいなと思った瞬間はありましたか?

武田 極めて女性的な人なんですけど、最初の1曲歌った後のMCが男っぽかったですね(笑)。「あ、スイッチ入られました」って感じで。

安蘭 どうしてもステージに立っちゃうと、そこにいっちゃうんですよね。それが一番自分の自然なスタイルで、そこがすごく楽なんですよ(笑)。

──安蘭さんの歌声が凄かったですが、サックスで合わせてみてどんな風に感じました?

武田 朝のリハーサルの段階ではセーブされてて、本番3倍ぐらいです。3割増とかよく聞きますけど、3倍になっちゃって、サックスいらないなって思いました(笑)。そこに頼りがいみたいなものを感じてしまった僕はダメですね(笑)。付いていこうと思いました。

安蘭 頼りがい(笑)。s_RIMG0422

──「最後のダンス」を歌った感想は?

安蘭 この間の『UNO』ってコンサートでも歌いましたが、自分の持ち歌のように歌わせていただいて。お客様がすごく喜んでくださる、「最後のダンス」って聞いただけで、みんなが「うわー!」っとなるぐらい盛り上がる曲なので、私は大好き。

──退団して1年経ちましたが、女優としての仕事はいかがですか?

安蘭 初めは戸惑いもありましたが、今はないですね。慣れてきています。仕事は今まで通りミュージカルも続けていきたいし、ストレートプレイもやりたいし、こうやってセッションするのも楽しいし。

──それはもちろん女優として?

s_RIMG0452安蘭 はい(笑)もちろんです!

──お二人とも芸能生活20周年ということですが、いかがですか?

安蘭 本当にあっという間ですね。でもその20年の間に得たものっていうのは、振り返ろうと思っても、振り返りきれない。もう宝塚で得たことっていうのが全てですけど、そこはずっと否定していかないでおきたいです。

──学んできたことの中で一番生きていると思うことは?

安蘭 人と人との協調性ですかね。

──武田さんはいかがですか?

武田 僕は、その時々のキラキラした思い出もあるんですけど、また色々やりたくなりましたね。ミュージカルっていうシーンで色々やらせていただくようになって、4年ぐらい経ちます。こんな世界もあったんだって思いますし、映画の現場もすごく楽しいですし、ミュージシャンとして声を掛けていただくこともあるので、どのシーンも益々頑張りたいです。

──コンサートに来られる方にメッセージをお願いします。

安蘭 20周年の記念のコンサートをさせていただけて光栄なんですけれども、また素晴らしいゲストの2人とご一緒できるので、一人でやれないことを、二人の力によって、新しい事が生まれてきそうなのでより楽しみです。色んなジャンルの曲を、宝塚の曲もやりますので、是非来てください。私を知っている方も、初めて私を知る方も、いろんな方に見ていただきたいです。

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コンサート

『安蘭けい 箱舟 2010』

構成・演出◇荻田浩一

音楽◇宮川彬良

出演◇安蘭けい、武田真治【SIDE S】、浦井健治【SIDE K】、西田健二

●6月2日〜15日◎天王州銀河劇場

●6月17日〜19日◎兵庫県立芸術文化センター

〈料金〉
天王州銀河劇場/10000円(全席指定・税込み)

兵庫県立芸術文化センター/10,500円(全席指定・税込み)

〈問合せ〉
東京公演/ホリプロチケットセンター03-3490-4949      http://hpot.jp

大阪公演/梅田芸術劇場 06-6377--3888

 

【取材・文/岩見那津子】

フィナーレまで見せ場満載! 『絹の靴下』湖月わたるインタビュー

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5月16日に、ミュージカル『絹の靴下』が青山劇場で幕を開ける。
この作品のベースになっているのは、『絹の靴下〜SILK STOCKINGS〜』として1955年に初演されたブロードウェイ・ミュージカル。グレタ・ガルボの映画『ニノチカ』(1939年)を下敷きに作られ、コール・ポーターの最後の作曲作品として知られている。そのブロードウェイ版を映画にしたのが、フレッド・アステアとシド・チャリースの『絹の靴下』で、ダンス名手2人のダンスシーンが見せ場のミュージカル映画として、今も広く愛されている作品だ。

今回はブロードウェイ版をもとに映画版のエピソードも付け加えた、いわば決定版『絹の靴下〜SILK STOCKINGS〜』といえる舞台で、しかも日本初演になる。演出家は、次々に話題作を手がけている鬼才荻田浩一。主演は湖月わたるで、共演者には先日菊田一夫賞を受賞したばかりの今村ねずみ。その他に、ミュージカルで大活躍の樹里咲穂、若手俳優の渡部豪太、ベテラン戸井勝海、人気若手の伊礼彼方や神田恭兵など、贅沢な顔ぶれが揃った。

物語の背景になるのは、冷戦時代のソビエト(現ロシア)、そして華やかなパリ。ソビエトに帰国しない作曲家ボロフを国に連れ戻しにやってきた模範共産党員のニノチカと、ボロフの音楽を使って映画を撮ろうというプロデューサーのスティーブ。2人の駆け引きや、そんな中で生まれるロマンスを描きながら、冷戦の時代や国家を風刺したロマンティックで楽しいミュージカルである。

その稽古も終盤にさしかかった時期、湖月わたるにインタビューした。

【踊る荻田演出】

ーー荻田さんとの舞台は久しぶりですね?

退団のとき『Across』というショーを作っていただいて以来です。もともと荻田先生のデビュー作の『夜明けの天使たち』が、私にとっても初主演作で、その他にも芸術祭で賞を取った『ロマンチカ宝塚'04』というショーをはじめ、沢山の作品に出させていただいて、本当に深いご縁がある方なのですごく嬉しいです。でもお芝居は『夜明けの天使たち』以来なんですよ。それにこういうコメディって、なんとなく荻田先生のイメージになかったのですが、すごく楽しそうで(笑)。もともとお稽古場では楽しそうにしてらっしゃる方なのですが、今回は自ら「こんな感じの振りを」と踊ってくださったり、ご自分が観たいことを具体的に身体を使って表現してくださるので、皆からもアイデアがどんどん出てきて、和やかな稽古場なんです。

ーー荻田さんが湖月さんにと選ばれた作品だそうですね。

ありがたいことにそう言って下さって。宝塚時代にも、アステアさんのダンスを見たりとか少しは触れていた作品だったのですが、今回演じるということで、改めて資料も読んだり、映画を観たりと勉強させていただきました。

ーー今回のはどれにいちばん近いのですか?

ご覧になった方がほとんどいらっしゃらないと思いますが、ブロードウェイミュージカルの『絹の靴下』です。アステア版の映画とは結末が違います。同じハッピーエンドではあっても、さらに幸せな形になるので楽しみにしていてください。 

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【絹の靴下を履く意味】

ーー素敵ですね。そういう物語の中でニノチカはどんなふうに変化していくのでしょうか。

彼女は英才教育を受けたソビエトのエリートなんです。でもそれはもともと純粋で、正義感が強い女性。そんな彼女が初めて外国に、しかも華やかなパリに降り立って、スティーブという今までに会ったことのないタイプの人に出会ってしまう。今までは撥ねのけて来られたものが、スティーブはバリアーをすっすっと除けて、心の中に入ってきてしまうんです。

ーーお固いだけのニノチカに変化が起きるんですね。

彼女は贅沢とか快楽は罪であると教えられてきたわけですけど、人間としてはやはり幸せを感じるものですから。そこで彼女の中で葛藤が生まれるんです。そんななかで樹里(咲穂)ちゃんの演じるジャニスにも影響を受けて。

ーーたしか水中レビューの女優さんなんですよね。

羨ましいほど純真に生きて輝いている女優さんで、一人の女性として憧れてしまうんです。そして恋の力も作用し、心のおもむくまま、贅沢とか堕落の象徴だったシルクの靴下を履いてしまうんです。

ーータイトルの「絹の靴下」の意味はそこにあるんですね。

初めてシルク・ストッキングを履いて踊るシーンがあるんです。映画版にしかなかったそのシーンを、荻田さんが今回入れてくださって。そこがすごく素敵なシーンで、ニノチカが自分で自分の殻を1つ破る瞬間なんです。そのダンスはぜひ観ていただきたいです。ニノチカを演じる上での大きなターニングポイントになりそうです。ニノチカは幸せで嬉しくて、こんな気持ちになったのは初めて。でもこんな自分でいいのかどうか、という葛藤を抱えつつ、一幕が終わるんです。

【成長するニノチカ】

ーーそしてスティーブと恋に落ちてしまうんですよね。

今度はその純粋さと天真爛漫さで、スティーブにもパリの街にも、真っ直ぐに向かって行くんです(笑)。ところが渡部豪太さんが扮するボロフという作曲家がいて、彼の曲はソビエトでは国の誇りであり記念式典で使われるほどの才能なのに、その彼の曲がアメリカの娯楽映画に見事なまでに使われているのを見て、ニノチカはすごくショックを受けるんです。そのうえ、そのショックとか痛みをスティーブも周りの皆も理解してくれない、これ以上パリにいてはいけないと決心して、ニノチカは国に戻るんです。スティーブとの別れ…。傷つけ合うシーンがあったりして切ないんですけど。

ーーニノチカが恋を知る前と知ったあと、諦めるという、何段階も心の揺れを表現しないといけないんですね。

そうなんです。そしてソビエトに戻っても、もう彼女は昔の自分には戻れない。芸術家の下宿屋の管理人に格下げになってしまうし。でもそこで皆に表現の自由を与えるというか、彼らの手助けをしてあげる。そういうふうに生き方ももう変わっていくんです。

ーー人間として成長する。

彼女の目覚めがそこであるんです。自分たちのいる世界を客観的に見る目を持てるようになるんです。

ーーすごく大きなテーマも含んでる作品ですね。

でも楽しいシーンが多くて、とくにソビエトからボロフを連れ戻しにやってきて、パリの魅力に惑わされてしまう3人の場面とか、すごく面白いんです。

ーー戸井勝海さん、伊礼彼方さん、神田恭兵さんの3人組ですね。

楽しく盛り上げるという点では、この3人におまかせしてます(笑)。

ーー相手役のスティーブの今村ねずみさんは、先日菊田一夫演劇賞も受賞するなどすごく乗ってるかたですね。

すごいエンターティナーで、身のこなし1つでもアメリカ人の軽やかさかや自由さがあって、ストレートにニノチカの心に入ってくるんです。どうバリアーを張って耐えられるか、その駆け引きをがんばっています(笑)。




【湖月わたるのすべてが?】

ーーデュエットダンスももちろん?

何回かあります。音楽はコール・ポーターさんですから素敵ですし。今回、全部オリジナルな振付けなんです。そして今回は、なんとフィナーレがついておりまして。

ーーさすが荻田さん!

劇中の曲をジャズやらビギンやらいろいろアレンジを変えて、樹里ちゃんと2人のシーンもあって。ちょっとエンビ風の衣装から、一気に引き抜いたら…!

ーーもしかして脚線美ですか?

2人で見せちゃいます!

ーー荻田さん、見せどころもわかってる!

本編では樹里ちゃんとほとんど絡まないので、ここで踊らせてもらいます。もちろんねずみさんとのダンスもあるんですが。フィナーレが名倉加代子先生の振付けで。

ーーそれもすごいですね!

(笑)。もう1人の港ゆりかさんの振付けも素敵で、私の靴下のソロは港さんです。今回、私は宝塚にいて何がよかったというと、ニノチカって、同じ「清く正しく美しく」を信じて生きてきた人なんですよ。私も15歳から宝塚音楽学校で鍛えられて教えを信じて、道とか廊下を直角に曲がってきましたから(笑)。宝塚の町を2人で歩くときは、足も「一、二」と左右を揃えて。そういう宝塚を卒業して、今は女優になって新しい自分に出会えてる。そこがニノチカの気持ちとすごく重なるんです。

ーーそういう点でも荻田さんは湖月さんにぴったりだと思ったんでしょうね。純粋さとか真っ直ぐさとかも含めて。

この間、荻田先生とも話していたんですが、今だからできるのかなと。退めて4年経つんですが、いろいろな経験をさせていただいたからこそ、ニノチカの気持ちもわかるし。

ーー女性らしさが出せるようになったから、鉄の女的な部分もやれる。

男役の延長ではなく、そういう部分を作れるのかもしれません。

ーー今の湖月わたるのすべてが見られる舞台ですね。

昨日もフィナーレの振付けで、名倉先生がエンビ服のところを「一応こう振付けたけど、“湖月わたる”で自由にどうぞ」と言ってくださって。思いっきり楽しんで踊りたいですね(笑)。

ーー本当に見せ場がいっぱいですね。

何よりもこの時代のミュージカルって、すごく温かいんです。そして楽しませてくれて、キュンとさせてくれて、切なくて、最後はやっぱり生きる勇気をもらえるんです。理屈抜きで楽しめて、見終わったあと本当に幸せな気持ちで帰っていただけたらと思います。
 

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ブロードウェイ・ミュージカル・クラシック

『SILK STOCKINGS 〜絹の靴下〜』

●5/16〜30◎青山劇場

●6/4〜6◎梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

作詞・作曲◇コール・ポーター

演出・訳詞・上演台本◇荻田浩一

出演◇湖月わたる 今村ねずみ 樹里咲穂 渡部豪太 戸井勝海 伊礼彼方 神田恭兵 他

 

<料金>

東京/S席11500 A席9500 (全席指定/税込)

大阪/11500 (全席指定/税込)

 

<お問合せ>

東京/キョードー東京 03-3498-6666 

大阪/梅田芸術劇場 06-6377-3800

    http://www.umegei.com

 

                

                                【取材・文/榊原和子 撮影/岩村美佳】

 


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