えんぶ本誌の宝塚記事取材の機動力を生かして、宝塚歌劇の製作発表、会見などをいち早く紹介。 宝塚OGの公演やインタビューのほかに公演の批評なども展開しています。

『HEADS UP!』

フォトレビュー! 花組『麗しのサブリナ』『EXCITER!!』


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【写真/岩村美佳】

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『Pal Joey』でいよいよ女優デビュ−。彩吹真央インタビュー

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雪組の人気男役として数々の役柄を演じ、歌い手としても優れた舞台を見せてくれた彩吹真央が、多くのファンに惜しまれながら宝塚を退団してから5カ月。まもなく女優としての初のミュージカル、『Pal Joey』が初日の幕を明けようとしている。
すでに外部での活動は、7月下旬に公演した『DRAMATICA/ROMANTICA』で、シンガーとしてデビュー。今のミュージカル界の若手実力者たちとともに、映画やミュージカルの楽曲をロックからクラシカルな曲調のものまで歌い上げ、まさにドラマティックで上質のステージを見せてくれた。
その熱い手応えを胸に『Pal Joey』のグラディス役に挑む彩吹真央に、公演への意気込みとこれからの活動への抱負を聞く。

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【負けず嫌いで実は女らしいグラディス】

ーー製作発表では宝塚音楽学校以来というスカート姿で、綺麗な脚を出していましたね。

製作サイドから「ぜひスカートを」と言っていただいたので履いたんですが、そうでなかったら自分からはなかなか履かなかったと思います。いいきっかけになりました(笑)。

ーー今回の作品の役どころを説明していただきたいのですが。

1930年代のシカゴが舞台のミュージカルなんですが、私のグラディスは坂本昌行さん扮するパル・ジョーイの恋人だった女性で、今は別れてシカゴでクラブの歌手をしています。そこにジョーイがやってきて再会しますが、彼がプレイボーイのせいもあって、すぐぶつかって喧嘩になってしまうんです。その喧嘩の中で、まだ彼を愛してるという複雑な女心を表現しなくちゃいけなくて。

ーーいわゆる向こうっ気が強い女性のタイプですね。

DSCF4583負けず嫌いで素直じゃないところがあったりするのかなと。そこがジョーイと似ていて、だからこそ反発しちゃうところもあるんでしょうね。でも実際はジョーイのことが、やっぱり好きで忘れられないんです。

ーーその女心の裏表をどう表現するかですね。

最初に台本をいただいたインスピレーションでは、ジョーイをめぐる3人の女性(彩吹、桜乃彩音、高畑淳子)の中では一番強い感じなんですけど、心の中はいちばん女らしい人だなと思いました。そこがちゃんと台本にも描かれているので、自分で無理に作っていかなくてもいいのが有り難いです。

ーー共演の方たち、坂本さんや高畑さんの印象はいかがですか。

坂本さんはとてもナイーブな方。だけど、リーダーとして皆を引っぱって下さる方です。高畑さんは舞台を拝見したこともあるのですが、素晴らしい女優さんだと思います。場を盛り上げてくださる心遣いなどは見習いたいなと。それから桜乃は花組時代に相手役などして縁があったので、また一緒の舞台に立ててすごく嬉しいです。

ーーいよいよ女優としてスタートというわけですが、当面の課題は?

やっぱり色気かな(笑)。本来持ってるはずの色んなものをどこかに置いてきてしまってるので(笑)。宝塚時代もふだんは一人の女性である自分を大切にしたいと思っていたのですが、やはり舞台=男役でしたから、すべての思考が男役へと向いていて「男ってなんだろう」といつも考えていた日々でした。これからは女優一年生なので「女ってなんだろう」と考える日々かもしれませんね(笑)。

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【最初から高みを目指して】

ーーそのアプローチとして『DRAMATICA/ROMANTICA』(以下『ドラロマ』)はいい機会でしたね。衣装もかなり大胆なのがありましたし。

ハハハ(笑)。私は外国の女優さんが持っている「かっこよく色っぽく」みたいな線がいいなと思ってたので、どうせなら思い切りよくと(笑)。これからもちょっとずつでいいから、私がいいなと思う色気の出し方を研究していけたらと思っています。

ーー退団して周囲の女性とか気になりますか?

それはもう(笑)。これまで100%男性ばかり見て研究してました。今は女性である自分の目で、女性も男性も見ています。

ーー歩き方などもすっかり直ってましたね。

かなり気をつけていました。それまでガツガツ歩いてたので(笑)。それでも観られた方から、まだ男らしいとたくさん批評をいただきました(笑)。

ーー『ドラロマ』は個々のプレーヤーの共演という感じでレベルの高いコンサートで、いろいろ刺激された部分も多かったのでは?

共演者から得た刺激は、本当に大きかったです。日本のミュージカル界で活躍されている方たちばかりですから、最初にお話をいただいた時には驚きました。でもその方たちの中で、私がどの程度のレベルなのか、どのように評価されるのかは分かりませんでしたから、不安はありました。ただ、宝塚の16年間で培っててきたものを無駄にしてはいけないし、まずは新しい第一歩を踏み出すしかないと。実際に共演してみて、ソリストとしてもミュージカルのメインでも経験豊富な方ばかりなので、さすがだなと思わせられることが沢山あって、とても刺激的でした。

ーー個々のキャリアを積んできたアーティストの中で、宝塚というカンパニーの一員として生きてきた彩吹真央が、1人のアーティス_MG_9487トに変わろうとする瞬間を見た気がします。

コンサートのお客様のなかには、初めて私を観る方もいらっしゃるわけですから、稽古場も舞台でも、から私なりに精一杯やりました。でも、本当にお客様に育てていただける部分がすごくあって、27日のCCレモンホールでできた表現を、クリエの初日にもできればよかったなと。できれば初日をご覧になるお客様にもそのクオリティで観ていただけるようになりたいと、すごく思いました。短い期間でしたが、ライブならではの変化があって、共演者間の空気とか、ご一緒に歌わせていただく時にどう並んでいけばいいのかとか、日々発見がありました。27日は会場も広くて解放感があったし、これが最後だというので、1つ突き抜けたものを自分の中で感じてました。ですから最初からもっと高みを目指してやっていかないといけない、それをすごく感じました。

ーー『Pal Joey』にしろ『ドラロマ』にしろ、彩吹さんに歌という武器があるのは強いなと。

歌とダンスとお芝居の中では、確かに歌がいちばん私らしい表現法かなと思います。でも、『Pal Joey』の中でも、音域とか表現とかいろいろ初めてのことに出会っています。もし『ドラロマ』での反省点を生かすとすれば、たとえば譜面をもらった時に、自分がこうだと思ったところにダイレクトに直球でぶつかっていくことだろうなと。それがグラディスとして表現していくうえで、もっと早くいいものが掴めることになるんじゃないかと思っています。

ーーダイレクトに行くために必要なこととは?

勇気でしょうね。私はのんびり型で「こうかな?」とか「ああかな?」とか探りながらやってた部分があったし、『ドラロマ』でも、この程度でいいのかな?みたいな手探りな部分もあったんです。でも実際にやってみて、違う時は「違う」と言ってくださるのがわかったし、まずやってみる、勇気を持ってやってみようと。

ーー16年間、彩吹真央が宝塚で培ってきたキャリアに自信を持っていいと思います。2000人以上のお客様と毎日向き合ってきたわけですから。それにAQUA5でライブ慣れもしてますしね。

AQUA5の経験は有り難かったなと思いました。『ドラロマ』も同じ5人で(笑)、ライブの雰囲気も似てる気がして。AQUA5では役をかぶった自分ではなく、彩吹真央という一表現者としてそこに存在することができました。ただ、あくまでも男役の彩吹真央だったんですが、今回は宝塚を卒業したので、より自分に近い彩吹真央になっていたと思います。

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【やっぱり舞台っていい!】

ーー退団してからの出演作は目白押しですから、あまり迷う余地などなかったと思いますが、この仕事をしていこうと決めたのは何時頃ですか?

宝塚を卒業しようと思った時も、発表してからも、宝塚の舞台だけを見つめて考える毎日でしたから、やめてから何をしようとか考える余裕もなかったんですが、出演のお声をかけていただく前から、漠然とですが音楽に携わる仕事をしたいなとは思っていました。もちろん歌は続けていきたいという思いもありました。でもそれが具体的にどんな形になるのかというところまでは見えてなくて、お話をいただいた結果としてこういう道が開けたというのが正直なところです。

ーー4月末に退団してから『ドラロマ』まで、わずか3カ月とはいえ現場を離れていたあとで、また稽古や舞台に関わることになった。その喜びはやはり特別なものがあったのでは?

その通りです。実際に譜面をもらって家で稽古するその時点で、まず嬉しくて「あー、歌っていいな」と思ったし、お稽古場に行って振りが付くと、また「ああ、楽しいな」と。そして初日のステージに立ってお客様の前で歌ったときは、「やっぱり舞台はいいな!歌うって最高だな」と。すべてが嬉しかったし、お客様の前で歌えることの楽しさを体中で感じていました。それも宝塚の彩吹真央を認めて、愛してくださった方たちがいたからですし、そのおかげで声をかけていただけた。本当に有り難いなと思いました。

ーーこれから色々な歌を歌っていかれると思うのですが、とくにやりたい方向などはありますか?

『ドラロマ』で課題となった英語の歌をまずちゃんと歌いたいですね。それから『ROSE』を日本語で歌わせていただいたんですが、あれは英語の歌詞がメジャーなので、最初は日本語で歌うことに戸惑いがあったんです。でも結局は日本語で歌おうということになったのですが、かえってダイレクトに聞いていただけたみたいで。

ーー日本語の言葉の強さというか、ドーンと心に沁みました。

_MG_9525それならよかったです(笑)。日本語の歌も大切にしたいなと思う気持ちもあるので、コンサートなどでチャンスがあれば日本の歌曲も歌ってみたいなと思っているんです。

ーー彩吹さんの声は深くて、温かいし優しいですから、その声を生かす歌をたくさん歌ってください。和物ミュージカルなどもいいのでは?

日本物のオリジナルミュージカルにも挑戦したいですね。まだ漠然という感じですが、日本語の歌をちゃんと歌える人になりたいなと。それが『ドラロマ』を経験して思ったことです。でも、今はとにかく目の前のあるものを着実にものにしていくことが大事だし、退団して1年目の今だからこそ出会える、沢山の「初めて」を大切にしながら、これからの方向を決めていきたいと思っているんです。まずは『Pal Joey』に打ち込んで、グラディスを演じている中で、きっとまた、具体的にやりたいことやできることが見えてくるのではないかと。そういうふうに自分の可能性を、1作1作ごとに探っていきたいと思っています。

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ブロードウェイミュージカル

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翻訳/訳詞・演出◇吉川徹

振付◇リチャード・ピークマン

出演/坂本昌行 彩吹真央 桜乃彩音 高畑淳子

10/217◎青山劇場  

10/2224◎シアターBRAVA!

〈料金〉

SS12000S11000A9500

〈問合せ〉

東京/サンライズプロモーション東京 0570-00-3337

大阪/キョードーインフォメーション 06-7732-8888

 

【取材/榊原和子   撮影/岩村美佳(製作発表を除く)】

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花組初日が新鮮にスタート。『麗しのサブリナ』『EXCITER!!』

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9月17日、東京宝塚劇場で花組公演、『麗しのサブリナ』と『EXCITER!!』の初日が開いた。

オードリー・ヘップバーンの主演映画として名高い名作を、宝塚のミュージカルとしてアレンジ、脚本・演出は中村暁が手がけている。またショーの『EXCITER!!』は藤井大介の演出作品で昨年、花組で上演したものを一部改訂しての再演。どちらも花組らしい明るく楽しい2作品となっている。

『麗しのサブリナ』の映画版は、オードリーを囲む男優陣が、ハンフリー・ボガードとウィリアム・ホールデンという豪華さ、その役どころを今回の舞台で演じるのは、花組トップ男役の真飛聖と二番手男役の壮一帆となっている。物語はいかにもハリウッド映画らしいハートウォーミングなミュージカルで、アメリカの上流階級の兄弟とその邸宅のお抱え運転手の娘サブリナの恋愛模様が、おかしく楽しく切なく描き出される。

同時上演のショー『EXCITER!!』は、藤井大介らしいバラエティに富んだ構成で、男役だけでなく娘役もかっこいい現代的で弾ける魅力のステージ。昨年の初演『EXCITER!!』でも人気だった真飛演じるヘタレキャラ「Mr.Yuu」の場面は、よりパワーアップ。部署ぐるみハワイに飛ぶ営業旅行という豪華な設定で、さらに賑やかに笑えるシーンとなっている。

この公演は、7月に退団した桜乃彩音のあとを受けて花組トップ娘役に就任した蘭乃はなのお披露目作品で、新しいコンビならではの新鮮さが芝居にもショーにも溢れている。またこの公演後に雪組に組み替えする未涼亜希にとっては花組ラストの公演となる。

初日の午前中に行なわれた通し舞台稽古を終えて、真飛聖と蘭乃はなの新コンビが記者団の前に登場した。

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【真飛聖・蘭乃はな 挨拶と一問一答】

真飛「皆様、本日は朝早くからありがとうございます。新コンビ誕生ということでのお披露目公演でございます。2人で力を合わせて新たな風を吹かせて、千秋楽まで公演して参りたいと思いますので、応援よろしくお願いいたします」
蘭乃「皆様本日はありがとうございます。今回初めてのことばかりで、とても緊張しておりますが、真飛さんに一生懸命付いていきたいと思います。精一杯頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします」_MG_0113

ーー今回新コンビということですが、蘭乃さんはなかなか舞台度胸がある感じですね。お互いに舞台人として組んでみていかがですか。

真飛「おっしゃる通りで、私も初めて組んだとは思えないほど、わりと私が思うことをすぐ感じてくれたりして、すごく居心地がいいです。毎回、初めてなんだよね、でも初めてのような気がしないという感じで、いい意味で真剣なんですけど気持ちが穏やかでというか。でもたまに銀橋から落ちそうになったりするので(笑)、そういうヒヤヒヤもしながら新鮮な部分もあります(笑)。でも舞台に立ってしまったらドーンと落ち着いている、そういう彼女の、なんというのでしょうか、キュートな魅力? 上げておきますね、皆様の前なので(笑)。すごく可愛らしくて宝塚の娘役らしい子だなと思って毎日やっております。(蘭乃に)どうですか?(笑)」
蘭乃「本当に毎日緊張しているのですが、舞台に立っているときは真飛さんがドンと構えてくださって、私が何をしても受け止めて受け入れてくださるので、毎日安心して舞台を立たせていただいてます」

ーーお披露目で銀橋からウインクとかしてるのがすごいですね。 ^_MG_0107

真飛「本当?そんなことしてるの?(笑)」
蘭乃「あの、やらないと緊張してしまうので(笑)、思い切りやってしまったほうがいいかなと思って」
真飛「だそうです(笑)」

ーー今回は名作映画ですから、それが皆さん頭にあると思いますが、それを乗り越える苦労や役の演じ方などがあれば。

真飛「私は、ライナスを演じていた俳優さんがわりとダンディな方だったので、私の年齢ではとうてい及ばないというので、まず宝塚でやる意味を考えました。また蘭乃はなのお披露目公演でありますし、2人に合った、2人の年齢で無理のない役作りをしていこうと話し合いまして作っていったんですけど。わりとライナスというのは、私には初めての大人の役柄です。これまではわりと感情を出す役が多かったので。映画を観た印象では魅力的な男性だったので、ちょうど蘭乃を包み込む男を演じたいと思っていたし、お披露目だったから私が大人っぽく落ち着いて見えてるかなと(笑)。(蘭乃を見て)助かってます(笑)」
蘭乃「オードリー・ヘップバーンという素晴らしい女優さんがされた代表作の役をやらせていただくにあたって、自分自身ではとうてい及ばないこととプレッシャーを感じていたのですが、宝塚の舞台というふうに考えて、自分なりにサブリナという人物が、どのように気持ちが動いて、ライナスに惹かれていったのかということを大切に作っていきました」

_MG_0124ーーショーは再演になりますが『EXCITER!!』の見どころを。

真飛「全部なんですが(笑)。今、ちょっと「Mr.Yuu」という声が聞こえてきたので(笑)、今回ハワイに連れて行ってもらいまして光栄なんですけど、ハワイでも邪険にされて(笑)。あのキャラクター化してる役がまたできること、その前にまず『EXCITER!!』が同じ組でできて、光栄で毎日楽しくやっているのですが、「Mr.Yuu」が再びそして続編みたいな形で物語が続いていくというのが、本当に嬉しくて。皆様にもう1回受け入れてもらえるか心配だったんですけど、お客様が温かく迎え入れてくださるおかげで彼は元気に舞台に立っております。これからも1カ月、暑いんですが、宝塚らしい、今の花組だから作れるショーだと思いますので、存分に楽しんでいこうと思っております。(蘭乃に)見どころはウインクですか(笑)」
蘭乃「(笑)、自分自身ではデュエットダンスにとても憧れていたので、今回広い空間の中で真飛さんと2人きりで踊らせていただいてるのが、毎回とても幸せなので、ぜひその気持ちを感じていただけたら嬉しいです」

まだこういう場に慣れない蘭乃を気にかけて、質問を振ったり立ち位置を直してあげたりと包容力を増した真飛聖。それに応えるように初々しい可憐さの中にもしっかりと答える蘭乃はな。舞台でもすでに息が合ったところを見せている新コンビならではの、いい雰囲気を自然のなかに感じさせる。
最後に真飛が「皆様、千秋楽までどうぞよろしくお願いいたします」ときりっと挨拶、蘭乃をエスコートしながら記者たちの拍手の中を初日の楽屋に戻って行った。

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花組東京宝塚劇場公演『麗しのサブリナ』『EXCITER!!』

9/17〜10/17

当日券等の問い合わせ/東京宝塚劇場 03-5251-2001

 

 【取材・文/榊原和子 写真/岩村美佳】




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音月桂のお披露目公演。雪組『ロミオとジュリエット』

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宝塚歌劇団雪組の新トップとなった音月桂のお披露目作品であるミュージカル『ロミオとジュリエット』の製作発表が9月12日、東京・丸の内の東京會舘で行われた。

この作品は、世界的な名作シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」をフランスのジェラール・プレスギュルヴィックがミュージカル化して大ヒット。宝塚バージョンは小池修一郎がアレンジして、今年の夏に星組が梅田芸術劇場と博多座で上演し、高い評価を得たもの。その星組公演に続いて雪組が大劇場バージョンとして上演する。

この日の会見には、雪組のトップの座を水夏希から13日に引き継いだばかりの音月桂がロミオ役の扮装で登場、オーディションで選ばれダブルキャストで出演するジュリエット役の舞羽美海と夢華あみを相手に「エメ(Aimer)愛」など3曲を披露した。

その後、この公演の協賛で、2007年から音月桂がイメージキャラクターをつとめているVJAグループ会長や理事長の小林公一からの挨拶に続き、演出家の小池修一郎、出席者の挨拶から始まった。

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【挨拶】

小池修一郎
「まだ残暑の厳しい中、お集まりいただいてありがとうございます。この『ロミオとジュリエット』は今年の7月に大阪の梅田芸術劇場、そして、8月に博多座で星組によって上演してまいりました。

日本で初めてこのミュージカルをやるということに関しては、星組の選抜メンバーでございましたけれど、どんなものかと、ずいぶん期待と不安が入り乱れておりましたけれど、結果としては大変お客様の暖かいご支援をいただいたというように思っております。
この物語は、誰もが知っているだろうし、宝塚でも何度も何度も上演されてまいりました。
しかし、このフランスの『ロミオとジュリエット』、ジェラール・プレスギュルヴィックさんが2001年にパリで初演されたもので、ロック調の音楽ということや、少しだけ解釈を変えて、たとえばティボルトという敵役がちょっと恋敵のような、ジュリエットに横恋慕してるような、そういう設定になっていたりとか、若者たちの群像というのをより全面に出した作りになっていると思います。
必ず引き合いに出されます『ウエストサイド物語』という傑作と比べて、『ウエストサイド物語』が1956年ですか、アメリカの世相といいますか、移民同士対立というのを舞台にした社会派のミュージカルだったのに対して、このジェラール・プレスギュルヴィックさんの『ロミオとジュリエット』はむしろシェイクスピアの原点に近いと言いますか、古典的というか、とてもシンプルに純愛というものを描こうとしています。従いまして、いろんな周りの背景だとか、情景が大変斬新に設定されているわけではございません 。
その辺が、今、21世紀の私たちがやるにあたってちょっと心配に思いながら手を付けたんですけど、結果としては、時代が不明瞭な様子を呈していることもあるのでしょうか、あまり余計なものがなく、単に愛のみ恋愛のみに生きる若い恋人たちという設定が、多くのお客様にとってある意味新鮮に映ったように私は感じ、やっぱり『ロミオとジュリエット』という物語は不滅の名作というか、人間が何百年経っても憧れる、そこに思いを寄せる愛というものに対して、非常にストレートに描いて、作品そのものが永遠の命を得ていると。そういう意味でシェイクスピアというのはすごい人だと改めDSCF5163て思いました。
シェイクスピアを多少現代的なアレンジを加えていますけれど、基本的には純愛というものを追い求めるミュージカルというのをモットーに、そこに徹底したところが、宝塚歌劇との接点だったのではないかと思っています。

今回雪組でやるにあたっては、前回の星組と違いまして組の全員が出ますのでフィナーレがあり、そこで宝塚ならではの踊りや、歌というのがまた加わると思うんですけど、基本的にはフランスで作られた作品を大劇場の時に、少し短縮してフィナーレを付けなければいけないと思っておりますが、より大劇場バージョンとして増幅した形でみなさんにお楽しみいただけるかと思います。
そして昨日、雪組で他のメンバー80人のオーディションをいたしました。どの人も、大変前向きで熱心に挑戦してくれて、新生雪組というものが、新たな熱い息吹というものがほとばしっているのを感じました。
一昨日水夏希さんがやめたばかりで、翌日にオーディションですから、ちょっとみんな疲れたり、気持ちの上でも引きずっているものがあるかな?と思ったんですが、全く感じさせないで、新たなものに挑戦する大変な意気込みというのを感じました。
これは96年に、一路真輝さんが『エリザベート』をやったときのオーディションにも負けないぐらい大変な熱気がございましたので、また雪組の『ロミオとジュリエット』が宝塚の新しい1ページを開くことを私自身も期待して、そしてそれを目指して頑張りたいと思います。よろしくお願いします」

音月桂
「ロミオを演じさせていただきます。音月桂でございます。今回こs_RIMG2571のお話をいただきまして、素直にとぉーーーーっても(笑)嬉しかったです! 世界各地で舞台化されたり、映画で上演されたり、もうこのお話を知らない人はいないんじゃないかな?って思うぐらいの名作、『ロミオとジュリエット』。その中でも、ロミオを演じさせていただけるというのは、心が躍るとか、胸が躍るほど嬉しいというのは、このことを言うんじゃないかなと思いました。
小池先生とは2007年に雪組で『エリザベート』を上演いたしました。そのときにご一緒して以来です。そのときは、私はルキーニという、ロミオとは全く違う個性の強い役をやらせていただきました。その時とはまた自分がどのくらい成長できているのか、お稽古するときに、小池先生の求めるロミオ像、思い描かれているロミオに早く近づいて、演じていけるように頑張りたいなと思っております。
新生雪組がこんなに素晴らしい作品で、スタートできますのを本当に幸せに思っております。
私は2007年よりVJAグループのイメージキャラクターをつとめさせていただいております。三井住友VISAカード様をはじめとするVJAグループ様にご協賛いただきますことを、本当に心より感謝しております。みなさまの期待に添えるよう、いえ、それを良い意味で裏切れるように、雪組一丸となって、心も新たにフレッシュな、素晴らしい公演をみなさまにお届けできますように、雪組一丸となりまして頑張って参りますので、是非是非どうぞよろしくお願いいたします」

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「ジュリエットを演じさせていただきます舞羽美海でございます。この『ロミオとジュリエット』という素晴らしい作品の中でジュリエット役をさせていただけると聞いたときは、本当に音月さんと同じで嬉しいという思いと共に、驚きや不安な気持ちでいっぱいだったんですけれど、初日に向けて精一杯努力をしてお稽古に励みたいと思います。
小池先生の作品には初めて出演させていただきますので、本当に幸せに思っておりますし、小池先生や、他の先生方、音月さんに一生懸命付いていき、精一杯頑張りたいと思いますのでよろしくお願いいたします」
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夢華あみ

「ジュリエット役をさせていただきます夢華あみでございます。初めてこのお話をお聞きした時は、ただただ驚きで信じられませんでした。今も緊張と不安でいっぱいなのですが、上級生の方々や、先生方のご指導に沿って精一杯頑張りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします」


【一問一答】

ーー40名程が出演された星組公演から、今回は倍の80名が出演されるわけですが、一番苦労したところは?

小池 基本的にはグループのキャピュレットとモンタギューの人数というのは劇場も舞台も広がりますので、もっと数を増やし、よりパワフルに盛り上げて参りたいなと思っております。
あと大劇場でやることをある程度視野に入れた美術とかも作っておりますので、その中で展開できるかと思っております。

ーー音月さんが小池先生の求められるロミオ像に近づきたいとおっしゃっていましたが、音月さんが思われているロミオ像、舞羽さん、夢華さんが思われているジュリエット像をお聞かせください。

音月 私がロミオというものを初めて知ったのが映画で、レオナルド・ディカプリオさんの映画で見たんですけど、とにかく中にすごく熱い情熱を持って、キラキラと輝くようなイメージを受けました。私も今回舞台をさせていただくにあたり、今すごくとても嬉しい気持ちがあるんですけれど、それとリンクするようにロミオがジュリエットに出会った時に、ときめく気持ちとか、そういうものを大切に演じていきたいなと思っております。

舞羽 ジュリエットという役は本当に純粋で、その中でも、ロミオを愛し抜いて死んでいくという最後の結末もありますので、芯の強さを持ったジュリエットを演じさせていただきたいと思います。

夢華 ジュリエットという役は、お話自体は悲劇ではありますけれども、幸せに満ちあふれた、愛にあふれた役だと思いますので、それを少しでもお客様に伝えられればと思っております。

ーージュリエットをWキャストで上演する理由を小林理事長に、またお二人を選ばれた決め手を小池先生に解説をお願いします。s_RIMG2668

小林 宝塚は基本的には5組にトップの男役がいて、トップの娘役がいるというのが、基本的なパターンだとは思うんですが、宝塚の長い歴史を見ますと、その中では、5組揃って…当時4組ですけど、トップ娘役がいないというときも結構あったと思うんです。
そういう中で、今回『ロミオとジュリエット』という作品を雪組の音月桂のトップお披露目公演でやろうとしたときに、いろんな可能性を試していきたい。一人の娘役に固定するのではなくて、いろんな中からそういうことで、雪組のこれからの魅力を、湧き上がらせたいということを考えまして、Wキャストでオーディションを、小池先生共々オーディションをして、この二人に決めさせていただいておりますので、そういう意味では様々な可能性がこれから出てくるだろうと思っております。

小池 そうですね、今回も何人か絞られたジュリエット候補の人たちのオーディションをいたしました。それぞれに甲乙つけがたしというところがありましてWキャストになっております。音月桂と組むと言うことも一つなんですが、同時にこういう作品ですから、配役上とかスターシステムの選抜には、偏りがあるんじゃないかとかいろんな意見が常に出ます。それに対してみんな耐えて、スターとして役者として成長していくというのが、宝塚という場だと思いますので。
せっかくこのように、音月桂に対して新人娘役たちが場を持てると言うのは、私は大変有意義なことだと思いますし、また、宝塚歌劇にとっても、いろんな人たちが切磋琢磨してどんどん、力を磨いていくというのは、とても意味のあることだと思いますので、そういう意味では、オーディションで役を一人に絞ってしまうというより、二人の可能性にそれぞれ賭けたというところでございます。
舞羽は既に音月と組んだ経験もありますし、新人公演の主役もやっています。そういう意味では実績を持っていて、これからもその上に立ってやっていくだろうというところですし、夢華は、宝塚音楽学校というところで卒業成績が一番だったこととかもありますし、そして豊かな歌唱力を持っているということもあり、大変短い学校での実績というのに対しては、この間、新人公演の主役をやったのを私は東京で拝見しましたが、愛原実花さんの退団のちょっと難しい役だったので、研1の子が新人公演で初めて主役をやるのにどうであろうと思う部分もあったんですが、それなりに務めていたのかなと。そういう役を割りと落ち着いてやってると、逆に「研1らしくない!」「初々しくない!」とかいう意見もなくはないと思うんですが、ジュリエットという役をやるときには、またそれなりに向っていくのではないかなと思っております。
という訳で未知数に賭けているわけですけれども、これはたぶん、『ロミオとジュリエット』という作品でなければ、そういう形にならなかったと思うので、今回の音月桂主演の『ロミオとジュリエット』に、二つのタイプの違うジュリエットが、今日は衣装も違うのですけど、みなさんのそれぞれに思われるであろうジュリエット像に、新しい可能性というものを一つ開いて、次の公演に向って繋げていければいいのではないかなと思います。s_DSCF5172
一つ例を挙げますと、宝塚に初風諄さんという大プリマドンナがいらっしゃいました。『ベルサイユのばら』のマリー・アントワネットで、最後退団なさいました。研1の時に男役だったんですが、ヒロインに抜擢されて女役に転向なさって、研1で主役をなさったんだけれども、その後は毎公演必ず主役じゃないんです。研4ぐらいで『オクラホマ』のローリーとかなさって、だんだん主演娘役になっていったと。ですから、夢華にしても舞羽にしても、ある意味どうなるかわからないので、そういう意味では、ドラマシティでは、音月桂の相手役は愛加あゆが務めますから、いろいろな子たちが主役をやって、どこに繋がっていくか、これがまた次の宝塚に結びついていくかなと思います。
それから私が思い出した例としては、大地真央さんがジェームス・ディーンの『ディーン』というのをやった時に、仁科有理さん、春風ひとみさん、こだま愛さんという3人が相手役をやったんですが、出演していない研1だった黒木瞳さんが相手役になられた。また大地さんと黒木さんが退団されたあとに、先輩であったこだま愛さんがトップ娘役になって、『ミー&マイガール』とか大変活躍されました。
ですから一つの機会が与えられたことを、一つの自分の糧として、それから研鑽を積んで勉強をしていくことで、また次の機会に二人それぞれの花を咲かせてくれるといいのではないかと私は思っております。
ご質問の興味に全て答えられたかはわかりませんけれど、今回どうするかということに関しては、それぞれに機会があり、他の娘役さんにもまた機会があって、音月桂の仕事というなかで誰がパートナーシップを組んでくるかというのは、その作品のニーズなどを通して固まっていくんじゃないかなと思います。それは決して悪いことではないと思うので。
80年代ぐらいまでは、みんなスターさんたちに相手役二人ぐらいいたんですよ。今回のように新しいトップ男役に、新しい相手役を選ぶ時に私たちの方で、ある意味お客さんを含めて皆さんで見守るというパターンがあまりないので、大変驚かれる方がいるのも仕方ない事かなと思いますが。
だからジュリエットの二人は、お客様の目も含めて、みなさまがより興味を持って見てくださるということを、充分感じているでしょうし、それを受けて頑張りましょう(笑)。
音月さんが一番大変ですよ(笑)。二人の相手役を引き上げていくというのはものすごいエネルギーがいることだと思うんだけれど、その辺は男役の度量を試されるところなので、いろいろな先輩にうかがったりしながら、娘役を育てるというか、一緒に上ってくってことを、是非是非学ぶというか。ハードかもしれないけど、結果は絶対良いものになると信じています。

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【追記】
また音月桂は、この宝塚宝塚大劇場お披露目公演の前に、プレお披露目公演として『はじめて愛した』を大阪と東京で上演する。殺し屋という裏の世界に生きる男の役で、ロミオとは違った一面を見せてくれそうだ。


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宝塚歌劇雪組公演

ミュージカル『ロミオとジュリエット』

原作◇W・シェイクスピア

作詞・作曲・演出◇ジェラール・プレスギュルヴィック

潤色・演出◇小池修一郎

出演◇音月桂、舞羽美海、夢華あみ 他宝塚歌劇団雪組/専科・一樹千尋

●2011/1/1〜31◎宝塚宝塚大劇場

〈料金〉SS席¥11000、S席¥8000、A席¥5500 B席¥3500

〈問い合わせ〉 0570-00-5100 宝塚歌劇インフォメーションセンター

●2011/2/17〜3/20◎東京宝塚劇場

〈料金〉SS席¥11000、S席¥8500、A席¥5500 B席¥3500

〈問い合わせ〉 03-5251-2001 東京宝塚劇場

 


hajiai

雪組特別公演 『はじめて愛した』

作・演出◇正塚晴彦

出演◇音月桂、愛加あゆ 他宝塚歌劇団雪組

●10/13〜25◎梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

〈料金〉A席¥7000 B席¥5000

〈問い合わせ〉 06-6377-3888 梅田芸術劇場

●10/31〜11/7◎日本青年館大ホール

〈料金〉A席¥7000 B席¥5000

〈問い合わせ〉 03-5251-2071 東京宝塚劇場


【取材/岩見那津子 取材・文/榊原和子】



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