えんぶ本誌の宝塚記事取材の機動力を生かして、宝塚歌劇の製作発表、会見などをいち早く紹介。 宝塚OGの公演やインタビューのほかに公演の批評なども展開しています。

黒木瞳主演舞台『京の蛍火』

彩吹真央 サヨナラレポート vol,1

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温かさと寒さが交互にやってきた激しい春、その春も終わろうという4月25日、彩吹真央、未来優希、神麗華、大月さゆの4人が宝塚から去って行った。

その日は旅立ちにふさわしい爽やかな宵で、彩吹が手に持った桜の花が夢のように儚く美しくよく似合っていた。

3月26日に初日を開けたときからあっというまの1ヶ月で、とくに退団者のファンにとっては1日1日と、残りの日々を切なく数えた毎日だっただろう。その別れの日を遅まきながら報告させてもらう。

 

雪組公演『ソルフェリーノの夜明け−アンリー・デュナンの生涯−』『Carnevale 睡夢−水面に浮かぶ風景−』の千秋楽、本公演が終了した19時過ぎから、この公演で退団する彩吹真央のサヨナラショーが行われた。
トップスターの退団以外はめったに行なわれないサヨナラショーだが、雪組二番手スターとして組を支えてきた彩吹真央の功績を讃える意味もあっての待遇だったのだろう。

ショーのフィナーレ後、飛鳥裕組長がこの東京公演を振り返り、天皇皇后両陛下のご来臨をたまわったこと、毎日の熱い拍手に励まされたこと、専科の汝鳥怜、未沙のえるへの感謝などが語ったあとに、退団する彩吹真央についての話をする。
「宝塚生活16年の彩吹真央が退団する公演でもあります。水夏希を支えて雪組の礎を築いてくれました。彩吹真央の最後のステージ『彩吹真央サヨナラショー』を最後までご楽しみ下さい」と紹介、サヨナラショーは始まった。

 

【彩吹真央サヨナラショー】

緞帳が上がると、大劇場と同じように、大階段に濃いエンジ色のタキシード姿で彩吹が立っている。
歌は「足跡のない道」(2009年『RIO DE BRAVO!!』)、朗々としたソロが響く。

続けて、歩きながら銀橋に出て切なく歌う「雪解けに咲くマリンカのように」(08年『カラマーゾフの兄弟』)、「カテリーナ・イワーノヴナ!」という呟きのようなセリフが入る。

その思いを受け取るように登場した白いドレス姿の大月さゆ、2人が踊る「ラブソング」(07年『シルバー・ローズ・クロニクル』)のダンス。そして歌をデュエットする2人は、もうあの作品の若者たちというより大人で優雅な恋人たちだ。

次は未来が登場、ヴォリームたっぷりに「ジョイフル、ジョイフル〜」と歌い出すのは、朝海ひかるのお披露目と、同期の水夏希のプレお披露目、そして全国ツアーで歌った思い出の「Joyful!!」(03年『JJoyful!!』、07年『Joyful!!II』)だ。雪組のメンバーたちも黒と金のパンツルックで現れ、賑やかに手拍子で大合唱が響く。

一転して静かなイントロが始まり上手から縞のスーツの水、少し間をおいて下手から彩吹が青いスーツ姿で現れる。「マリポーサの花」(08年『マリポーサの花』)のアレンジ・バージョンを踊る2人。顔を見合わせて楽しそうに踊って銀橋までやってきてポーズを決めたあとは、エスコバルが首のペンダントを渡す。それを握りしめて、水のネロが絞り出すように口にしたのは「お前を…忘れない」だった。1人残された彩吹エスコバルがソロで歌う「生きて何を」(同)は、あの舞台での切ない叫びをまざまざと甦らせた。

そして大詰め。「「ハアハハ、ハアハハ、」というリズミカルなイントロに誘われるように組子たちが、そして薄いピンクの総スパンの彩吹が登場して「風の葬列」(08年『ソロモンの指輪』)で盛り上がる。未来の響く声に歌い継がれ、また2人のハーモニーをメインに全員が歌い踊る。水も加わるなかで彩吹を中心に輪になる雪組生たち。最後は大合唱と観客の熱い拍手のなかで「彩吹真央サヨナラショー」の幕が下りた。

 

【退団者4人について】

カーテン前に感激の面もちで現れた飛鳥組長から「大きな拍手をありがとうございました。今頃彩吹真央の心は皆様の愛に包まれてほかほかだと思います」と挨拶がある。

退団者4人の紹介が始まる。

大月さゆ/2003年初舞台、研究科8年。研1でバウ『JUBILEE-S』で樹里咲穂の相手役に抜擢、『堕天使の涙』では本公演でイヴェットと新人公演ヒロイン、また『エリザベート』で新人公演のシシィと抜擢が続いたときの苦しさ。好きだった『シルバー・ローズ・クロニクル』や、『ZORRO』で専科さんの役で勉強になったこと。体当たりで役にぶつかる娘役だったことなどが語られる。

神麗華/1999年初舞台、研究科12年。入団後はダンサーとして頭角を現し、『凱旋門』の代役で演じた好きなダンスが東京で本役になったこと、思い出の作品はバウの『OVER THE MOON』や『Young Bloods!』、『さすらいの果てに』のナキアなどが、紹介される。これからもダンスに携わっていきたいということが語られる。

未来優希/1993年初舞台、研究科18年。身体に内臓マイクがあるのではないかというほどの声を持つ歌手であること。新人公演、本公演と二度演じた『エリザベート』のゾフィが思い出の役であること、雪組トップになった同期生の水夏希を側で支え、副組長としても、そのパワーと大きな声で雪組をひっぱってきてくれたことなどが紹介される。

彩吹真央/1994年初舞台、研究科17年。幼い頃から宝塚が生活の一部だったから、宝塚に入団するものだと思っていたこと。その夢は簡単にはいかず諦めかけていた時に恩師の言葉に励まされ、もう一度チャレンジしたこと。オーディションで掴んだ黒天使や、花組時代に演じた『ファントム』のキャリエール、『エリザベート』では黒天使からルドルフ、フランツと、成長していった役のことなどが語られる。彩吹自身に影響を与えた役は『シルバー・ローズ・クロニクル』のエリオット、「自分も誰かの夢になりたいと思って頑張ってきた」という言葉や、水夏希がトップになった雪組に組替えで戻ってからは、水ととともに雪組を引っ張ってきたことなどが語られる。

[vol.2に続く]

【取材・文/榊原和子】

華やかに幕を開けた花組『虞美人』(舞台稽古&真飛・桜乃インタビュー)

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4月30日、東京宝塚劇場で花組公演、『虞美人ー新たなる伝説ー』の初日が開いた。

1951年に白井鐵造の作・演出で大ヒット、今もなお語り継がれる名作を、今回は木村信司が担当、脚本・演出・音楽・装置・衣装とすべて刷新し、ミュージカル宝塚ならでは大きな舞台の機構を生かした、ダイナミックなミュージカル『虞美人』として作り直した。

背景となるのは紀元前3世紀、絶大な力を誇った秦の始皇帝が亡くなり、再び戦乱の世となった時代。皇帝の座を争う武将たちの1人、楚の武将・項羽とその妻である美しい虞妃がたどった悲しい運命を、宿敵である漢の劉邦との覇権争いなどを絡めながら描き出している。

この日、朝早くからの舞台稽古では、中国の華麗な衣装をまとった花組生たちによって、熱の入った稽古が繰り広げられた。

真飛聖の項羽は、桜乃扮する虞妃をひたすら愛し抜く男性として愛の世界を築き上げつつ、覇王として天下をとるための戦いを激しさ見せながら演じる。彼と義兄弟の契りを交わしながら、のちにライバルとなる劉邦に扮するのは二番手男役スターの壮一帆。劉邦のしたたかな生き様を、時折り笑いを誘う演技を交えながら描き出す。
彼らを取り巻く武将の韓信・愛音羽麗や軍師の張良・未涼亜希といった男役スターたちの活躍も見どころの1つだし、若手たちにも数多く役が与えられていて、戦いと政略のドラマのなかで、それぞれ盛り上げる役割りを担っている。1本立てでショーがないかわりに、フィナーレは洋風に仕上げてあって、宝塚らしい華やかなダンスシーンも楽しめるという中身豊富な公演になっている。

また、この公演は花組トップ娘役として、さまざまな役柄で活躍してきた桜乃彩音の退団公演で、千秋楽には本公演に加えて「桜乃彩音サヨナラシヨー」が上演される。

その大作の舞台稽古を終えて、真飛聖と桜乃彩音が晴れやかな表情で記者団の前に登場した。

 

【真飛聖・桜乃彩音 挨拶と一問一答】

_MG_6960真飛「本日は朝早くからありがとうございます。千秋楽まで項羽と虞美人コンビで精一杯つとめて参りますので、よろしくお願いいたします」

桜乃「本日は本当にありがとうございます。この公演で宝塚を卒業させていただきます。長い間本当にお世話になりありがとうございました。最後まで精一杯頑張ります。どうぞよろしくお願いいたします」

ーー桜乃さんが卒業されるというのでたいへん残念なのですが、今回とくに、お互いにこういうところが素敵だなと思うところがあれば。

真飛「すべて可愛いです。どれというのではなくて、もう集大成ということが彼女の中ではあるからかもしれないんですけど。今回は、初めて最初から夫婦という役で、今までは兄妹とかが多く、恋愛は少なかったので、久しぶりの2人の恋愛物というのでとても嬉しいんですけど。彼女の幸せオーラというのが、見ていてこちらに伝わってくるので、すべて愛しいと思いますし。でも、やはり最後に自害する前の剣舞の踊りなど、なんとも言えない彼女の表情とかに、あれはもうたまらない愛おしさを感じてます」_MG_6958

桜乃「ありがとうございます」

真飛「はは、のろけ対談みたいだね(笑)」

桜乃「本当に今まで強く私のことを引っ張ってきてくださって。芝居の中でも、ゆうさん(真飛)とご一緒してると安心感があって、すべてを預けていられます」

真飛「真似しないでよ(笑)」

桜乃「本当に最後の公演で、こうやって夫婦の役をさせていただけることが本当に幸せですので、最後までゆうさんのおそばでついていって、幸せでいられるように、心を込めて役を作っていけたらと思っております」

ーー今回は名作のタイトルを背負ってるわけですが、そのうえで役に取り組んだ工夫があれば。

真飛「そうですね、以前上演された作品とはいっても、曲も「赤いけしの花」とあと1曲以外は全部新曲ですので。昔ご覧になっていたかたも「赤いけしの花」は懐かしいと思われても、ほかはリメイクされているので、新作という思いで観てくださっていると思うんですが。でもやはり以前されていた方々が魂を込めて演じられていた、そして「あれは名作だったよね」と語り継がれている『虞美人』というものを、今回観ていただき、「こんなお話だったんだ」とか、新たなる伝説と今回は付いているんですけど、「こういう形で再演してるんだね」というふうに観ていただけたら嬉しいです。項羽に関しては本当に真っ直ぐでウソが無い人物ですので、やっていて心が洗われるほど真っ直すぎるので、(桜乃に)ごめんね、心配になっちゃうよね(笑)。誤解を招きかねないくらい真っ直ぐに生きてる人物なので、やっていて気持ちがいいです」

桜乃「私も、初演をご覧になっていたお客様もいらっしゃって、「観たんですよ」とかお話をうかがって、そういう方たちのためにも、美しい思い出を壊さないように演じたいと思っておりますので。あと虞妃に関しては、真っ直ぐすぎる項羽様を愛する虞妃も、清らかで、実在していた人物ですので、誠意を込めて心を込めて、素直な気持ちのまま、この役を演じることができたらと思っております」

_MG_6946時々顔を見合わせて、項羽と虞妃そのままに微笑み合いながら、記者たちの質問に答える真飛聖と桜乃彩音。最後に「皆様、どうぞよろしくお願いいたします」と真飛が挨拶、会見を終えて、大きな拍手に送られ楽屋に戻って行った。

 




花組東京宝塚劇場公演『虞美人ー新たなる伝説ー』

4/30〜5/30

当日券等の問い合わせ/東京宝塚劇場 03-5251-2001

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 【取材・文/榊原和子】

 

訃報「小林公平氏逝去」

阪急電鉄の社長、会長を歴任した元宝塚歌劇団理事長の小林公平(こばやし・こうへい)氏が、5月1日午前6時20分、肺炎のため池田市内の病院で死去した。82歳。東京都出身。

通夜は2日午後7時〜、葬儀は3日午前11時〜、エテルノ西宮(兵庫県西宮市高畑町2の25)にて、いずれも密葬で行ない、後日あらためて「お別れの会」を行う。
喪主は長男で阪急阪神ホールディングス取締役、宝塚歌劇団理事長、公一(こういち)氏。


【小林公平氏略歴】

1950年 慶應義塾大学経済学部を卒業。1951年 千代田銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入社。阪急電鉄の創業者、故小林一三氏の孫と結婚したのを機に、1959年に阪急不動産に入社。その後、京阪神急行電鉄(現阪急電鉄)に移り、副社長などを経て1987年から阪急電鉄社長、1993年から2002年まで会長を歴任したほか、阪急ブレーブス会長、阪急交通社会長、阪急百貨店会長、関西テレビ放送会長、阪急阪神ホテルズ会長などをつとめた。

宝塚歌劇団との関わりにおいては、1966年に理事に就任、1974年6月〜1980年6月、1984年1月〜1985年6月の2度、理事長をつとめる。1987年からは宝塚音楽学校の理事長、1996年からは校長も兼任するなど、宝塚歌劇団の発展に大いに寄与した。

理事長時代に『ベルサイユのばら』を大ヒットさせ、1994年にはフランス・パリ公演など日仏交流を進めた功績でフランス芸術文化勲章を受章した。国内では1990年に藍綬褒章、2002年に勲一等瑞宝章を受章している。

文化人としても文筆や絵画などに意欲的で、「公文健」というペンネームで作詞、また脚本を執筆、2002年『ON THE 5th』と2006年『愛するには短すぎる』の原案を、2009年『コインブラ物語』では原作を手がけた。
宝塚歌劇の機関誌「歌劇」には、その時々の宝塚歌劇や一般芸能についての随想を記した「花の道より」を1972年3月号から毎月掲載、通算450回分は計4冊の本にまとまっている。執筆は、最新の「歌劇」5月号で通算453回を数えた。





初日の客席に必ず座られて、観客とともに楽しまれる姿が目に残っています。
心より哀悼の意を表させていただきます。
【文・榊原和子】 

 


彩乃かなみインタビュー

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23日にミュージカル『ザ・ミュージックマン』の幕が開いた。
この東京芸術劇場での初日を皮切りに、65日まで東京、名古屋、大阪、札幌という4都市で上演が決まっている。

『ザ・ミュージックマン』の初演は1957年、ブロードウェイで大ヒット、1980年と2000年にリバイバル上演、2003年にはマシュー・ブロデリック主演で映画化もされたという人気ミュージカルだ。

作品の内容は、音楽教授といつわり楽器やバンド用の制服を売って歩く天才詐欺師のハロルドが、排他的なことで有名な町リバー・シティにやってきて、その町の人々を騙そうとするが、1人の女性との出会いをきっかけに正直な自分を取り戻し、同時に排他的だった町の人々も変化していくというもの。

主人公の詐欺師ハロルドには西川貴教、ハロルドを詐欺師と見抜くが心惹かれていくマリアンに彩乃かなみ、町の市長夫婦に佐渡稔とうつみ宮土理、その他に植木豪、竹内都子、今井ゆうぞうといった多彩な出演者で繰り広げる、明るく楽しく、そして感動的なミュージカル。

その『ザ・ミュージックマン』で、宝塚退団後3作目の舞台を踏む元月組トップ娘役の彩乃かなみに、稽古中のある日、インタビューした。

 

【真っ直ぐなヒロイン】

ーー西川さんのハロルドに恋をするマリアン役ですが、詐欺師と見破っているのに心惹かれるのは、どこか彼を信じているとか?

いえ、全然信じてないんです(笑)。2幕で関係性が変わってから好きになっていくんですが、1幕では「この人は詐欺師だから、早くみんなに知らせなきゃ」と使命感に燃えて、一生懸命正体を暴こうとしてます(笑)。正義感が強くてちょっと頑固なくらいに真っ直ぐな女性で。1900年代始めのアメリカで保守的な町ですから、26歳にもなって結婚してないこととか図書館の館長をしてるということで、周りからはちょっと変わった女性と思われているんです。

ーー演出は鈴木裕美さんですが、マリアンの役作りに関してはどんな要求をされていますか?DSCF2252

抜け感を要求されていると思います。マリアンは音楽とか本が好きなインテリ女性なんですが、どこか頭デッカチなところもあって、ぜんぜん完璧じゃなくて、結婚してないのも気にしてるし、1人になるととんでもなく夢々しいことを思ってたりしてる。そういうギャップがあるところが魅力で、そこが出せればいいかなと。狙わないコメディ部分を出したいですね。

ーー歌もたくさんあるそうですね。

ソロがたくさんあって、あとデュエットもちょっとあります。私のナンバーは、わりとファルセットで歌うものが多くて。今のミュージカルって感情表現などを地声で歌うものも多いんですが、そうじゃないタイプのクラシカルな曲です。その中で言葉の意味をちゃんと伝えられたらいいなと思っているんですが。

 

【宝塚とは真逆な演技を経験】

ーー08年に宝塚を退団して、093月に『Triangle〜ルームシェアのすすめ〜』で女優デビュー、昨年末に『グレイ・ガーデンズ』に出て、これが3作目ですね。

おかげさまで毎回まったく違うタイプの作品で、恵まれています。

ーー歌には定評のある彩乃さんですから、やはり歌は続けていこうと?

それはもちろん思ってました。CDなども発売させていただいたし、歌は私の活動のベースになっていますから。でも舞台も続けたいと思っていました。歌も好きですがお芝居もダンスも好きなので、どれか1つだけはなく全部できるのは、やはりミュージカルですから。

ーー1作目の『Triangle』は緊張しましたか?

してたと思うんですが、緊張が表に出ないタイプです。共演の井上(芳雄)さんと新納慎也さんには「宝塚っぽくない」と言われました(笑)。それはいつも言われるんです。どうも私は娘役らしいイメージとは違うらしいんです(笑)。

ーー娘役というより女優という感じがありましたからね。そういう点では外部は等身大でできる役が多いのでは?

確かに1作目は普通の現代の女性という感じで、そんなに無理せずにやれました。でも『グレイ・ガーデンズ』のリトル・イディは普通の人ではなくて、精神が錯乱していく人でしたから。

ーーでもとても自然で。宝塚時代にもそういう役が多かったし。

本当にそういう役が多かったですね(笑)。私の中にそういうものがあると思われていたのかな(笑)。

ーーイディは、そういう役の経験を生かせたのでは?

いえ、宮本亜門さんに徹底的にしごかれました。DSCF2257わりと時代背景とかコスチュームが宝塚的というか、巻き髪でドレスで良家の子女という感じだったので、気づかないうちに私のスイッチが宝塚モードになってたみたいなんです。『Triangle』は、現代的で飲んべえな女性役でしたから新鮮でパッと変われたんでしょうね。でも『グレイ・ガーデンズ』では、亜門さんに最後まで「君だけこの作品の世界観と違う」と。なぜそう言われてしまうのかずっと悩んでて、初日の数時間前の舞台稽古で、やっとあることに気づいたんです。たとえば、イディが母親とのやりとりで言う「やめてって言ったでしょ」という一言でも、人を刺す言いかたは宝塚の娘役はしないんです。同じ言いかたでも懇願になる。そこに気づいたとき、やはり宝塚とは真逆な演技なんだなと納得しました。そういうことがわかったのも、大竹しのぶさんという女優さんとお芝居させていただけたからですし、亜門さんに徹底的に言っていただいたおかげで、そのことでは本当に亜門さんには感謝しかないです。

 

【芸達者な子役たちに負けないように】

ーー女優さんとしてスタートして、これからどんなふうになりたいですか?

いいものを丁寧にという気持ちがあります。場数も必要だとは思うんですが、できれば自分にとって刺激的なものに出会いたいと思ってて。『グレイ・ガーデンズ』ではっきり気づいたのは、私は宝塚に12年いて誇りを持って築き上げてきたものがあるけど、でもあの作品の中ではそれは一度捨てなければならなかった。真逆といっていいリアルな演技を求められていました。亜門さんに「180度変わって裸になること」とか「自分と向き合うことのみだよ」と言われたのがとても強く心に残ってて。宝塚を卒業して外の舞台をやるからには、どんどん変わっていきたいし、そのためにも1つ1つ納得のいくものに取り組んでいきたいと思っています。

ーーその点この『ザ・ミュージックマン』のマリアンでは、いい意味で宝塚的なものも生かせるのでは?

宝塚的な作品だと思うのですが、周りは外の世界で活躍している方たちなので浮かないように、でも宝塚で培ってきた技術は役に立つので、バランス良く取り入れたいですね。宝塚やミュージカル作品では、観客から自分がどう見えているかをいつも意識の中に入れている作品もありますが、逆に裸になって没頭する舞台もあります。そういう真逆な舞台を経験したことを役作りのベースにしながら、ミュージカルらしい見せ方も考えていこうと思ってます。

ーー西川さんも美意識が強いアーティストですし、刺激的な現場でしょうね。

すごくチャーミングなかたですね。稽古、本番とご一緒できることを楽しんでいきたいです。それから、この作品は子役さんたちが沢山出ていて、みんなすごく芸達者なんです。私も負けていられませんからがんばります。

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ブロードウェイミュージカル

『ザ・ミュージックマン』

●4/235/5◎東京芸術劇場 中ホール

●5/85/20◎新国立劇場 中劇場

●5/22◎愛知県芸術劇場  大ホール

●5/2530 森ノ宮ピロティホール

●6/5◎札幌市民ホール

 

脚本・作詞・作曲◇メルディス・ウィルソン

演出◇鈴木裕美

出演◇西川貴教 彩乃かなみ 植木豪 竹内都子 今井ゆうぞう 佐渡稔 うつみ宮土理

 

<料金>

東京/S@00 A8000 (平日 全席指定/税込)

SH00 A9000 (土、日、祝、初日、千秋楽 全席指定/税込)

3歳以下入場不可

 

<お問い合わせ>

東京公演/03-5500-3919 (24時間テープ案内)

愛知/サンデーフォークプロモーション 052-320-9100(全日10:0018:00

大阪公演/キョードーチケットセンター 06-7732-8888 10:0019:00

札幌/UHB事業部 011-214-5261(平日9:3017:30

 

      【取材・文/榊原和子】

 


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