えんぶ本誌の宝塚記事取材の機動力を生かして、宝塚歌劇の製作発表、会見などをいち早く紹介。 宝塚OGの公演やインタビューのほかに公演の批評なども展開しています。


ゲストに大和悠河『SWAN2017』

安蘭けい、初のコメディミュージカル『ワンダフルタウン』公開舞台インタビュー

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『ウエスト・サイド・ストーリー』でお馴染みのレナード・バーンスタインのハッピーなミュージカル『ワンダフルタウン』が、10月23日、青山劇場で初日の幕を開けた。

ブロードウェイでは1953年に初演され、1969年、そして2004年とリバイバル上演されるたびに人気を博しているヒット作で、今年はバーンスタイン没後20年にあたる記念の年だけに、今回の日本初演は大きな話題になっている。

物語の背景となるのはNY。作家志望の姉ルースと女優志望の妹アイリーンが、オハイオから出て来て、その夢を叶えるために起こす騒動を明るく楽しく描いていて、『Conga!』『Swing』などのショーナンバーはダイナミックで見応え十分だ。

作家志望の姉の役には、昨年4月に宝塚を退団して以来、ミュージカルにコンサートに盛んなステージ活動を行なっている安蘭けいが扮し、初めてのコメディ・ミュージカルに挑戦する。また彼女と恋に落ちる編集者役には、ミュージカルには欠かせない実力派二枚目の別所哲也。女優志望の妹役にはストレートプレイにミュージカルに大活躍の大和田美帆と、華やかなメインキャストが揃った。日本版の演出を手がけるのは、安蘭と何度も共同作業をしている荻田浩一で、スタンダードなブロードウェイ・ミュージカルの楽しさを引き出している。

初日の公開稽古前に、主演の3人の囲みインタビューが行なわれた。

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【囲みインタビュー】

ーーこのミュージカルの魅力を。 

安蘭「素晴らしいバーンスタインさんの音楽、そして、とてもわかりやすい楽しい話になってて、その中でいろんな人との人間関係なども、ややこしくなくとても気軽にというか見やすい作品になってます」

ーー「Conga!」などダンスナンバーもあるそうですが、踊りやすいですか?

安蘭「踊りやすくはないというか、変拍子という音楽と拍子が合ってないような音楽で、天才の方が作った音楽なので、正直、カウントを取ったりするのが難しい」

別所「いやー、でも、難しいと言ってますけどね、安蘭さんも大和田さんも軽々と!かろやかです」

安蘭「そんなことはないですよー、ねえ」

大和田「必死です」

別所「明るい感じのミュージカルで、コメディで、どうやってNYでサバイバルするかというのをみていただければ」

ーー大和田さんいかがですか。1a193b61

大和田「ミュージカル大好きなんですけど、こんなに客席から観たいと思うミュージカルはなかったというくらい素敵なダンスナンバーがあって、そこは私も別所さんも出てないんですけど、袖で私も一緒に踊っちゃうくらいの素敵なナンバーばかりです」

ーー安蘭さんのダンスは? 

大和田「素敵ですよー!最高ですよ!」

別所「パワフルですよ、もう!パワフル&エレガント」

大和田「踊りっぱなしですから、一幕から二幕まで」

安蘭「ありがとうございます(笑)」

ーー別所さんは音楽が気に入って家でも歌ってらっしゃるとか?

^別所「気がつけば鼻歌まじりで歌いたくなるような素敵なメロディラインが、やっぱりバーンスタインさんだなと。今回ビッグバンドでオーケストラも全部舞台上ですし、その1つ1つの楽器の音もこのミュージカルの出演者ですから、音楽好きの方にも、ミュージカル好きの方にもNYにいるような気持ちになっていただけると思います。僕のベイカーのバラードチックな曲もそうですが1つ1つの曲も楽しんでいただきたいと思います」

ーー大和田さんはモテモテの役ですが。

大和田「本当に!出演者全員の男性が好きになってくれる役は、人生二度とないと思ってますので、普段からかわいらしく頑張っています」

別所「今まで抱きかかえられたこともないというんですよ、舞台で」

安蘭「ほんと?」

大和田「そうなんです。別所さんに抱えられてファーと回されるだけで、もうドキドキみたいな(笑)」

別所「芸歴長いからと思ってたのに」

大和田「いやいや」

安蘭「私と同じだね(笑)。あまりリフトとかされたことないんでDSCF5837(笑)」

大和田「男性に囲まれるシーンばっかりで、ちょっとどこを見ていいやら」

安蘭「まだ初々しい(笑)」

大和田「疑似体験を楽しみたいと思います」

ーーできる女は男性に嫌われるみたいなナンバーがあるとか?

安蘭「そうなんです。でもルースってそんなに嫌われるタイプかな?」

大和田「知識がありすぎるというのがちょっと。女の子は知らないフリがいい、みたいな」

別所「車の修理とかできちゃうんですよね。でもある意味、女の人だって、本当はなんでもできるんだよというお話でもあるんだよね」

安蘭「当時では珍しかったんでしょうね」

別所「そうそう、できる女性、仕事を追い求める女性、そういう女性にだんだん僕のベイカーが…というお話です(笑)」

大和田「ハッピーなミュージカルです」

ーー稽古中から今までで印象は変わりましたか?

別所「安蘭さんは大胆で繊細なんですけども、意外に天然で皆を笑わせてくれるところもあり(笑)」

安蘭「天然だよね、言われてる(笑)」

別所「この前も飲み会でお帽子をなくされて(笑)、私の帽子はどこー?と(笑)。意外とおちゃめな、誰かが守ってあげないといけない人なんだなって思いました」

大和田「本当に誰かが支えたくなるような。男役をされてたからもっとこう、さばさばしてらっしゃるんですけど、1人では歩いていけないんじゃないかみたいな。心配で(笑)」

別所「このルースと一緒ですごくがんばってるだけど、心は繊細でがんばってるという」DSCF5927

安蘭「私から見ると、2人は見たまんまですね。大和田さんは見た目が可愛らしくて、中身ももちろんそうなんですけど、実は男前で私よりさばさばしてます。姉として妹を守ってるつもりでいたら…という舞台での関係性が、そのままナチュラルに普通にやれる感じで」

別所「物語上で1日泊まればいい人を稽古で1週間と言ってみたり(笑)、いきなりTシャツをはさみで切りだしたり。どうしたのかなと思ったら長いのが気になったとかで」

安蘭「大胆でしょ?普通しないよね」

大和田「欲望のままに動く女なんです(笑)。アイリーンそのままに(笑)」

別所「アイリーンらしい(笑)」

安蘭「別所さんは。初めは私もテレビとかで見ていただけで知らなかったんですが、すごく普通の方で」

大和田「フレンドリー!」

別所「ガタイが大きいので2人を隠さないように気をつけてます(笑)」

安蘭「本当に大きい!」

別所「エンパイアステートビルの担当だから」

安蘭「聞いてなかった(笑)」

ーーいよいよ明日初日ですが。

大和田「本当に楽しい楽しいミュージカルなので、お客様には期待していただきたいなと思います」

別所「今までこの素敵な作品を日本で誰も演じたことがなかったその作品を、安蘭さん大和田さんをはじめ、ミュージカル界で活躍されてるかたとご一緒できるので、お客様と一緒に楽しみたいと思います」

安蘭「このミュージカルでどんなところで笑いがくるのかがすごく楽しみなんです。笑ってほしいところでちゃんと来るかなとか、ここで笑いが来るのかとか、そういうのを早く知りたいですし。私は個人的にミュージカルは約1年ぶりで、劇場やお客様の空気感を早く感じたいなと、それがすごく楽しみです」

 

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ブロードウェイ・ミュージカル

『ワンダフルタウン』

音楽◇レナード・バーンスタイン

演出◇荻田浩一

出演◇安蘭けい 別所哲也 大和田美帆  他

●10/23〜11/4◎青山劇場

●11/18〜24◎梅田芸術劇場メインホール

<料金>

東京/S席¥12000 A席¥10000 ワンダフルシート¥6000(全席指定/税込)

大阪/S席¥12000 A席¥9000 B席¥4000(全席指定/税込)

 

<お問合せ>

東京/チケットスペース 03-3234-9999

大阪/梅田芸術劇場 06-6377-3800

    http://www.umegei.com

【取材・文/榊原和子】




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姿月と湖月,魂のぶつかり合いで魅せる。『Diana ーディアナー月の女神』

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謝珠栄が演出して姿月あさとと湖月わたるが主演するTSミュージカルファンデーションの公演『Diana ー月の女神ディアナー』が、10月8日から幕を開けた。

テーマは重い。だが観たあとに大きなカタルシスがある。
それは“生命”を全肯定する謝珠栄のスピリットが、凝縮されて表現されていることと、出演者の5人の持つ作品への向き合いの真摯さからである。

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物語は湖月わたる扮するルーナが、留置場に入れられるシーンから始まる。追いかけて来た1人の男を突き飛ばし、運悪くそこに車が走ってきて、彼ははねられてしまったのだ。その留置所の中でルーナは不思議な女性エレンに出会う。どこか安らぎと懐かしさをもたらす彼女によって、次々と思いがけない記憶が蘇ってくるルーナ。留置場を出た彼女は、自分の誕生にまつわる真実を調べようと決心する。

今回、会場となっている東京芸術劇場の小ホールはキャパ300名ほどで、姿月と湖月という大物トップスター2人を見るには小さすぎる空間のようだが、作品の中身を知ったあとは、これだけデリケートで人間の根源に関わる内容なら場所を選ぶだろうとうなずける。

DSCF5737そんな、まさに作品のテーマそのもののような「母親に守られた」ような空間で、ルーナ(湖月)とエレン(姿月)が出会い、思いをぶつけ合い理解し合っていく。
その過程で2人の女性が、感情や心のうちをさらけ出し、裸になってぶつかり合う姿が胸を打ってやまないのは、姿月と湖月の間に確かにある“信頼感“という絆を感じるからで、かつて宝塚で宙組誕生の時期をともにしていた2人だからこそ成立する、無条件の信頼がそのまま物語の根底に見えるからだろう。

最初にテーマは重いと書いたように、ルーナの誕生の秘密をさぐるなかで明らかになってくる事件には、女性の身体に関わるエピソードが織り込まれている。だがそれが生々しさよりも人間とその愛への痛みや切なさとなって伝わってくるのは、ギリシャ神話の「太陽と月」に物語をうまく重ねたことと、出演者5人の品格の高さだろう。とくに男優たち3人、今拓哉、平澤智、水谷あつし清潔感と真摯な取り組みは、この作品をあらゆる側面から大きく支えている。DSCF5706









主演の姿月と湖月はほとんど出ずっぱりで、それぞれの役柄を全身全霊で生きている。
宇宙そのもののような深い存在感の姿月のエレン。彼女の「大丈夫よ」という言葉には命を包み込む温かさがこもっている。語りかけるようにルーナに歌うナンバーは愛に満ちているし、1人で歌う孤独な叫びは聞くものの心を引き裂く。エレンの抱えてきた愛も優しさも孤独も悲しみも、彼女の「歌」とともに伝わってくるのだ。
一方の湖月は、ルーナという役に捨て身でぶつかっている。ふとしたことから知ることになった現実に、押しつぶされそうになる1人の女性の弱い心、両親への複雑な愛憎、自分への嫌悪。真実を知れば知るほど自分の命を否定したくなる苦しみを、全身で生き、もがき苦しみ、そして闘う姿で観客を引っぱっていく。

DSCF5716そんな出演者を通してこの作品は、謝珠栄がライフワークにしている“家族愛”をベースに、その原点ともいうべき“誕生という奇跡“に迫っていく。“誕生という奇跡“を経てこの世に送り出される生命は、等しく“喜び”であるということを真正面から伝えてくるのだ。



31日まで30ステージというロングランで、内容の重さでも出演者には体力がいる舞台だ。だが少人数で小空間ならではの作品だけに、公演期間を重ねるにつれ、さらに緊密度が深まり迫力が増していくだろう。
また、改めて言うまでもないが、TSのミュージカルらしく場面のつなぎやラストに入るダンスのクオリティの高さも大きな見どころである。

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TSミュージカルファンデーション

『Diana ー月の女神ディアナー』

演出・振付◇謝珠栄

脚本◇篠原久美子

音楽◇林アキラ

出演◇姿月あさと 湖月わたる 今拓哉 平澤智 水谷あつし 他

●10/8〜31◎東京芸術劇場 小ホール1
●11/2◎富山オーパード・ホール
●11/2◎兵庫県立芸術文化センター 中ホール

[お問合せ]TSミュージカルファンデーション 03-5738-2567

http://dianaweb.tsmusical.com/

【文/榊原和子】


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フォトレビュー! 花組『麗しのサブリナ』『EXCITER!!』


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【写真/岩村美佳】

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『Pal Joey』でいよいよ女優デビュ−。彩吹真央インタビュー

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雪組の人気男役として数々の役柄を演じ、歌い手としても優れた舞台を見せてくれた彩吹真央が、多くのファンに惜しまれながら宝塚を退団してから5カ月。まもなく女優としての初のミュージカル、『Pal Joey』が初日の幕を明けようとしている。
すでに外部での活動は、7月下旬に公演した『DRAMATICA/ROMANTICA』で、シンガーとしてデビュー。今のミュージカル界の若手実力者たちとともに、映画やミュージカルの楽曲をロックからクラシカルな曲調のものまで歌い上げ、まさにドラマティックで上質のステージを見せてくれた。
その熱い手応えを胸に『Pal Joey』のグラディス役に挑む彩吹真央に、公演への意気込みとこれからの活動への抱負を聞く。

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【負けず嫌いで実は女らしいグラディス】

ーー製作発表では宝塚音楽学校以来というスカート姿で、綺麗な脚を出していましたね。

製作サイドから「ぜひスカートを」と言っていただいたので履いたんですが、そうでなかったら自分からはなかなか履かなかったと思います。いいきっかけになりました(笑)。

ーー今回の作品の役どころを説明していただきたいのですが。

1930年代のシカゴが舞台のミュージカルなんですが、私のグラディスは坂本昌行さん扮するパル・ジョーイの恋人だった女性で、今は別れてシカゴでクラブの歌手をしています。そこにジョーイがやってきて再会しますが、彼がプレイボーイのせいもあって、すぐぶつかって喧嘩になってしまうんです。その喧嘩の中で、まだ彼を愛してるという複雑な女心を表現しなくちゃいけなくて。

ーーいわゆる向こうっ気が強い女性のタイプですね。

DSCF4583負けず嫌いで素直じゃないところがあったりするのかなと。そこがジョーイと似ていて、だからこそ反発しちゃうところもあるんでしょうね。でも実際はジョーイのことが、やっぱり好きで忘れられないんです。

ーーその女心の裏表をどう表現するかですね。

最初に台本をいただいたインスピレーションでは、ジョーイをめぐる3人の女性(彩吹、桜乃彩音、高畑淳子)の中では一番強い感じなんですけど、心の中はいちばん女らしい人だなと思いました。そこがちゃんと台本にも描かれているので、自分で無理に作っていかなくてもいいのが有り難いです。

ーー共演の方たち、坂本さんや高畑さんの印象はいかがですか。

坂本さんはとてもナイーブな方。だけど、リーダーとして皆を引っぱって下さる方です。高畑さんは舞台を拝見したこともあるのですが、素晴らしい女優さんだと思います。場を盛り上げてくださる心遣いなどは見習いたいなと。それから桜乃は花組時代に相手役などして縁があったので、また一緒の舞台に立ててすごく嬉しいです。

ーーいよいよ女優としてスタートというわけですが、当面の課題は?

やっぱり色気かな(笑)。本来持ってるはずの色んなものをどこかに置いてきてしまってるので(笑)。宝塚時代もふだんは一人の女性である自分を大切にしたいと思っていたのですが、やはり舞台=男役でしたから、すべての思考が男役へと向いていて「男ってなんだろう」といつも考えていた日々でした。これからは女優一年生なので「女ってなんだろう」と考える日々かもしれませんね(笑)。

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【最初から高みを目指して】

ーーそのアプローチとして『DRAMATICA/ROMANTICA』(以下『ドラロマ』)はいい機会でしたね。衣装もかなり大胆なのがありましたし。

ハハハ(笑)。私は外国の女優さんが持っている「かっこよく色っぽく」みたいな線がいいなと思ってたので、どうせなら思い切りよくと(笑)。これからもちょっとずつでいいから、私がいいなと思う色気の出し方を研究していけたらと思っています。

ーー退団して周囲の女性とか気になりますか?

それはもう(笑)。これまで100%男性ばかり見て研究してました。今は女性である自分の目で、女性も男性も見ています。

ーー歩き方などもすっかり直ってましたね。

かなり気をつけていました。それまでガツガツ歩いてたので(笑)。それでも観られた方から、まだ男らしいとたくさん批評をいただきました(笑)。

ーー『ドラロマ』は個々のプレーヤーの共演という感じでレベルの高いコンサートで、いろいろ刺激された部分も多かったのでは?

共演者から得た刺激は、本当に大きかったです。日本のミュージカル界で活躍されている方たちばかりですから、最初にお話をいただいた時には驚きました。でもその方たちの中で、私がどの程度のレベルなのか、どのように評価されるのかは分かりませんでしたから、不安はありました。ただ、宝塚の16年間で培っててきたものを無駄にしてはいけないし、まずは新しい第一歩を踏み出すしかないと。実際に共演してみて、ソリストとしてもミュージカルのメインでも経験豊富な方ばかりなので、さすがだなと思わせられることが沢山あって、とても刺激的でした。

ーー個々のキャリアを積んできたアーティストの中で、宝塚というカンパニーの一員として生きてきた彩吹真央が、1人のアーティス_MG_9487トに変わろうとする瞬間を見た気がします。

コンサートのお客様のなかには、初めて私を観る方もいらっしゃるわけですから、稽古場も舞台でも、から私なりに精一杯やりました。でも、本当にお客様に育てていただける部分がすごくあって、27日のCCレモンホールでできた表現を、クリエの初日にもできればよかったなと。できれば初日をご覧になるお客様にもそのクオリティで観ていただけるようになりたいと、すごく思いました。短い期間でしたが、ライブならではの変化があって、共演者間の空気とか、ご一緒に歌わせていただく時にどう並んでいけばいいのかとか、日々発見がありました。27日は会場も広くて解放感があったし、これが最後だというので、1つ突き抜けたものを自分の中で感じてました。ですから最初からもっと高みを目指してやっていかないといけない、それをすごく感じました。

ーー『Pal Joey』にしろ『ドラロマ』にしろ、彩吹さんに歌という武器があるのは強いなと。

歌とダンスとお芝居の中では、確かに歌がいちばん私らしい表現法かなと思います。でも、『Pal Joey』の中でも、音域とか表現とかいろいろ初めてのことに出会っています。もし『ドラロマ』での反省点を生かすとすれば、たとえば譜面をもらった時に、自分がこうだと思ったところにダイレクトに直球でぶつかっていくことだろうなと。それがグラディスとして表現していくうえで、もっと早くいいものが掴めることになるんじゃないかと思っています。

ーーダイレクトに行くために必要なこととは?

勇気でしょうね。私はのんびり型で「こうかな?」とか「ああかな?」とか探りながらやってた部分があったし、『ドラロマ』でも、この程度でいいのかな?みたいな手探りな部分もあったんです。でも実際にやってみて、違う時は「違う」と言ってくださるのがわかったし、まずやってみる、勇気を持ってやってみようと。

ーー16年間、彩吹真央が宝塚で培ってきたキャリアに自信を持っていいと思います。2000人以上のお客様と毎日向き合ってきたわけですから。それにAQUA5でライブ慣れもしてますしね。

AQUA5の経験は有り難かったなと思いました。『ドラロマ』も同じ5人で(笑)、ライブの雰囲気も似てる気がして。AQUA5では役をかぶった自分ではなく、彩吹真央という一表現者としてそこに存在することができました。ただ、あくまでも男役の彩吹真央だったんですが、今回は宝塚を卒業したので、より自分に近い彩吹真央になっていたと思います。

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【やっぱり舞台っていい!】

ーー退団してからの出演作は目白押しですから、あまり迷う余地などなかったと思いますが、この仕事をしていこうと決めたのは何時頃ですか?

宝塚を卒業しようと思った時も、発表してからも、宝塚の舞台だけを見つめて考える毎日でしたから、やめてから何をしようとか考える余裕もなかったんですが、出演のお声をかけていただく前から、漠然とですが音楽に携わる仕事をしたいなとは思っていました。もちろん歌は続けていきたいという思いもありました。でもそれが具体的にどんな形になるのかというところまでは見えてなくて、お話をいただいた結果としてこういう道が開けたというのが正直なところです。

ーー4月末に退団してから『ドラロマ』まで、わずか3カ月とはいえ現場を離れていたあとで、また稽古や舞台に関わることになった。その喜びはやはり特別なものがあったのでは?

その通りです。実際に譜面をもらって家で稽古するその時点で、まず嬉しくて「あー、歌っていいな」と思ったし、お稽古場に行って振りが付くと、また「ああ、楽しいな」と。そして初日のステージに立ってお客様の前で歌ったときは、「やっぱり舞台はいいな!歌うって最高だな」と。すべてが嬉しかったし、お客様の前で歌えることの楽しさを体中で感じていました。それも宝塚の彩吹真央を認めて、愛してくださった方たちがいたからですし、そのおかげで声をかけていただけた。本当に有り難いなと思いました。

ーーこれから色々な歌を歌っていかれると思うのですが、とくにやりたい方向などはありますか?

『ドラロマ』で課題となった英語の歌をまずちゃんと歌いたいですね。それから『ROSE』を日本語で歌わせていただいたんですが、あれは英語の歌詞がメジャーなので、最初は日本語で歌うことに戸惑いがあったんです。でも結局は日本語で歌おうということになったのですが、かえってダイレクトに聞いていただけたみたいで。

ーー日本語の言葉の強さというか、ドーンと心に沁みました。

_MG_9525それならよかったです(笑)。日本語の歌も大切にしたいなと思う気持ちもあるので、コンサートなどでチャンスがあれば日本の歌曲も歌ってみたいなと思っているんです。

ーー彩吹さんの声は深くて、温かいし優しいですから、その声を生かす歌をたくさん歌ってください。和物ミュージカルなどもいいのでは?

日本物のオリジナルミュージカルにも挑戦したいですね。まだ漠然という感じですが、日本語の歌をちゃんと歌える人になりたいなと。それが『ドラロマ』を経験して思ったことです。でも、今はとにかく目の前のあるものを着実にものにしていくことが大事だし、退団して1年目の今だからこそ出会える、沢山の「初めて」を大切にしながら、これからの方向を決めていきたいと思っているんです。まずは『Pal Joey』に打ち込んで、グラディスを演じている中で、きっとまた、具体的にやりたいことやできることが見えてくるのではないかと。そういうふうに自分の可能性を、1作1作ごとに探っていきたいと思っています。

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ブロードウェイミュージカル

Pal Joeysupported by b:mist

翻訳/訳詞・演出◇吉川徹

振付◇リチャード・ピークマン

出演/坂本昌行 彩吹真央 桜乃彩音 高畑淳子

10/217◎青山劇場  

10/2224◎シアターBRAVA!

〈料金〉

SS12000S11000A9500

〈問合せ〉

東京/サンライズプロモーション東京 0570-00-3337

大阪/キョードーインフォメーション 06-7732-8888

 

【取材/榊原和子   撮影/岩村美佳(製作発表を除く)】

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