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ミュージカルセーラームーンシリーズ最終章!お得なチケット販売中。

注目の最終章がまもなく開幕! ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」-Le Mouvement Final- 大和悠河インタビュー

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ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」の最新作が、9月8日から東京、愛知、大阪で上演される。今回のタイトルの副題にある「-Le Mouvement Final-〈ル ムヴマン フィナール〉」とは、フランス語で“最終楽章”という意味。2013年から紡がれたセーラー戦士が奏でる物語の結末となる。

【STORY】
衛のアメリカ留学のため、空港へ見送りに来ていたうさぎだったが、何者かに衛の身体を粉々にされてしまう。ショックでうさぎは記憶を失い倒れてしまうが、それを受け止めたのはスーパーアイドル、スリーライツのメンバーだった。
その日は、スリーライツが出演する音楽祭の当日。うさぎたちも出演予定だったが、そこで新たな敵に襲われる。「シャドウ・ギャラクティカ」と名乗る敵集団は、セーラークリスタルを狙うセーラー戦士だった!
さらに、謎の少女ちびちび、そして新たなセーラー戦士、セーラースターライツも現れ、今までにない壮絶な戦いへと突き進んでいく。

このシリーズに2013年からタキシード仮面・地場 衛役として5年連続出演。宝塚時代を超越するような男役の美学で「セーラームーン」の世界を立体化するのに、大きな役割を果たしてきた大和悠河。改めて今回の「セーラームーン」の世界と、また最近の女優としての活躍について話してもらった。
 
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男役として追求し続けてきた精神が原作を立体化する原動力に

──悠河さんは、ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」(セラミュー)には、2013年からタキシード仮面として出演、作品を牽引してきました。
私自身はセーラームーン世代ではなかったのですが、出演することが決まってコミックを読んでみたら素晴らしい作品で大好きになりました。またタキシード仮面という役柄が宝塚の男役の表現と重なる部分が多かったことで、男役として追求し続けてきた精神そのものが、原作を立体化する原動力になったのかなと思っています。
──今でこそ大和悠河のタキシード仮面はスタンダードという感じになりましたが、最初はある意味チャレンジだったのでは?
やはり1作目は、女性がタキシード仮面を演じるとどうなるのだろうと、制作する側にも未知なものへ挑戦する気持ちがあったと思います。また、その公演から他の男性役も全部女性が演じることになったので、出演者・スタッフの皆さんにとっては探り探りという部分があって、私は男役として当たり前のことをしているのに、歩き方1つから驚かれたり、感心していただいたり、斬新な表現として受け止めていただきました。そこから新しいセラミューを皆さんと一緒に作り上げることが出来て、2作目からはそれをベースに作るかたちになりました。
──セーラー戦士の5人は、当時あまり舞台経験がなかったということもあり、舞台に立つためのノウハウを教えてあげたりもしたそうですね。
初めて舞台に立つという人も何人かいました。宝塚でいえば、初舞台生と作品を創り上げるようなものです。宝塚はトップスターと初舞台生が直接組むことはまずありえない世界ですから、ここではどういう形でやっていこうかと考えを巡らせて、5戦士とはちょっと部活みたいな感じでいつも一緒に集まって、ミーティングしてお稽古してということを積み重ねていきました。私も自分の初舞台を思い出すような気持ちで、同時にどこか上級生感覚になって(笑)、見守るようにここまでやってきたと思っています。
──その新しいセラミューが、どんどん盛り上がって、海外にまで広がりました。
パリで「JAPAN EXPO 2014」の催しに参加したのが初めてで、そのとき、海外でのセーラームーン人気を実感しました。2015年には上海公演を行いましたし、今年も4月にアメリカのヒューストンで開催された「Anime Matsuri 2017」に参加しました。どこへ行ってもお客様がすごい熱狂ぶりで、今さらですが日本のマンガやアニメの人気のすごさを実感させられます。私は昨年、ブロードウェイ・ミュージカル『CHICAGO』(宝塚OGバージョン)のニューヨーク公演で、主人公のロキシー・ハートとしてリンカーンセンターに出演したのですが、そのとき大勢の現地のファンの方が楽屋口に集まってきたんです。口々に「セーラームーンのLegend of Tuxedo Mask (伝説のタキシード仮面)に会いに来た」と言われて。それを聞いてびっくり! 本当に感動しましたね。

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ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」-Amour Eternal-(2016年) (c)武内直子・PNP/ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」製作委員会2016

武内直子先生が描かれる世界観の素晴らしさ

──海外でもファンを増やしているセラミューですが、昨年からセーラー5戦士が新しいキャストになりました。新しい戦士たちの印象はいかがですか?
一番感じたのは、役や舞台への取り組みが早くて、セラミューの世界にすっと入ってきたことです。それは前回のメンバーたちが作り上げた舞台を観ていたことが大きいと思います。前回のセーラー5戦士に憧れて、良いところを見習うことで、具体的に作りやすい面があったのだと思います。
──地場 衛の相手役、月野うさぎ役も大久保聡美さんから野本ほたるさんに代わりました。
野本さんは大久保さんとはキャラクターが違うので新鮮でした。シリーズも4作目に入ったことで内容も深まり、ラブシーンも多くなったりしたのですが、そこも野本さんはとても自然に演じてくれました。
──そしていよいよ今回は、2013年からのシリーズの最終章ということですが、ストーリー的には地場 衛が危機に陥るとか?
そうなんです。アメリカ留学に行くはずの空港で、姿を粉々にされてしまうんです。それをみんなが解決しようとして戦うわけですが、セーラー戦士VSセーラー戦士という壮絶な戦いになっていきます。でも、原作のラストシーンはとてもロマンティックな終わり方になっていて、そこに武内直子先生の精神が集約されていると思うのです。それをどこまで舞台で表現できる演出になるか…。武内直子先生が描かれている世界観がとにかく素晴らしくて、醸し出されるあの素敵な空気感をなんとか舞台でも表現したいと、いつも思わせられます。先生と私の美学が1つに溶け合って、巨大な宇宙空間になっていくような、そんな伝説の舞台になるように、心を込めて臨みます。
──観客だけでなく演じる側も感動させてしまうものがあるのですね。
テーマの1つが「愛」で、今の世の中でも変わらず人間の根底にある「誰かのために」という精神が、しっかり描かれているところが素晴らしいんです。誰かのために命を投げうってまで戦うし、自分を犠牲にして何かを差し出すという思いが描かれていて、演じるたびにこちらの精神も洗われます。ピュアな気持ちになりますし、改めて一途な思いに気づかせてくれるんです。そういうところが私自身とても共感できる作品で、男性のお客様も涙していたり、世界中どこでもそれはわかっていただけるテーマだと思います。
──まさにセーラー戦士は、愛と正義のために戦っているわけですね。
その戦士が女の子たちというのもカッコいいですよね。まもられる側だった女の子たちが、逆に男性をまもったりする。それが女の子たちに勇気を与え、そういうセーラー戦士に憧れる読者にとともに作品も育ってきたと思います。まさに愛の世界ですね。人が人として存在するかぎり変わらない愛の世界。人のためにつくすこと、愛の世界のために戦うことを教えてくれるんですね。
──そのセーラー戦士たちをタキシード仮面は、色々な局面で支えますね。
カッコいい女の子たち、がんばっている女の子たちを、さりげなく見まもっている、その大きさを出せればと思いますし、頼りになる存在でいないといけないと思います。ここというときに力が出せないのが地場 衛でもあるのですが(笑)、彼女たちがより力を発揮できるように、輝けるように、心の拠りどころでいたいなと思っています。
──そういう懐の深さが魅力ですね。
わきまえているんですよね。彼女たちの力を信じているから、自分にまかせろとか前に出ていかない。そこが武内先生の描かれる素敵さで、本当の強さは奥が深いなと思わせられるんです。

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ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」-Amour Eternal-(2016年) (c)武内直子・PNP/ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」製作委員会2016

再演で改めて感じた『CHICAGO』の奥深さ

──ところで悠河さんはこのセラミューと並行して、ブロードウェイ・ミュージカル『CHICAGO』をはじめとするミュージカルやショー、新派や松竹新喜劇など和物の伝統的な舞台への出演、また来年はハンブルグオペラ歌劇場と二期会(日本の世界的なオペラ団体)の提携公演でオペラデビューを飾ることも発表されました。まさに振り幅広く活躍しています。
それぞれまったく違う世界なので、その中で大和悠河という存在を改めて自覚することができている気がします。自分でもその変化を楽しませていただいています。
──ブロードウェイ・ミュージカル『CHICAGO』は長く上演されている傑作ミュージカルですが、演じていてその魅力はどこにあると思いますか?
とにかく良く出来たミュージカルなんです。ボブ・フォッシーさん振付のダンスはもちろんのこと、曲もいいし、衣裳もシンプルですがカッコよくて、すべてに無駄がないんです。ある意味、演じる体そのもので魅せていく、そこに難しさとカッコ良さがあります。演じれば演じるほど面白くなりますし、作品の良さも改めて感じています。
──ロキシー役は当たり役の1つになりました。
再演で演じることができたおかげで、ロキシーという女性を深く理解できたと思います。はじめは弱そうに見えますが、したたかというか、周りを利用してでも生きていく強さがある女性で、可愛いだけでないその強さは、男役をやってきたからこそ出せるところもあるので、とても楽しく演じることができました。
──宝塚歌劇団のOG公演の良さについてはいかがですか?
黙っていてもわかり合えるものがあって、カンパニーが自然にまとまるのは、本当に素晴らしいなと思います。やはり初めて会う方ばかりの稽古場は、探りながら関係性を築いていきますけれど、宝塚出身者ばかりですと、あるルールが出来ていますから、自分の役と舞台に集中できるんです。とくに『CHICAGO』は、アメリカ側のスタッフの方が直接指導してくださる、オリジナルのクオリティを大事にする舞台ですから、宝塚で鍛えられた出演者だからこそ、クリアしていけた部分もあったと思います。

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新橋演舞場「二月喜劇名作公演」より(撮影:竹下力 )

和物の世界を極めている方々から学べる幸せ

──そしてもう一方の和物の舞台は、昨年の『糸桜』で新派という伝統を重んじる舞台に初めて出演、好評でした。
女性役での和物舞台は、宝塚を退団してから演じるようになったので、まだまだ経験が浅いのですが、周りの大ベテランの方々に教えていただきながら取り組んでいます。『糸桜』では、波乃久里子さんにどれだけ教えていただいたことか。新派作品は、日本的な情緒やしっとりとした雰囲気が大好きですので、出演できてとても幸せでしたし、またあの世界で鍛えていただきたいなと思っています。
──今年は新橋演舞場の「二月喜劇名作公演」の『恋の免許皆伝』で、和物の喜劇にも取り組みました。
本当に面白い作品でした。喜劇なのに純愛で、私は武家の娘で、19歳から59歳までを演じ、初めての老け役も経験させていただきました。やはりこの作品でも、久里子さんや相手役の中村梅雀さんに、所作などを色々と教えていただきました。和物は本当に奥の深い世界ですから、その世界の良さに触れることができたのは有り難かったですし、それを極めている方々と共演させていただける機会があるのは、私にとってとても幸せなことです。これからも、ますますしっかりとお勉強させていただいて、私の中にしっかりとした基本を身に付けたいとおもっています。
──そういう意味では、現在出演中の新版喜劇!『売らいでか』も喜劇名作の世界ですね。
今回で2回目の出演をさせていただいていますが、座長の浜木綿子さんはじめ芸達者な、こちらも大ベテランの方ばかりで、本当に得るものが多いんです。とくに私は浜さんを、「この方は天才だ!」と尊敬していますから、そばでそのお芝居を見せていただくだけで得るものが沢山あります。浜さんが子役さんに「こう言ってごらん」とアドバイスするのを聞いているだけで、聞き惚れてしまうんです。それに子役さんといえども愛情たっぷりに厳しく指導されていて、あんなに教えてもらえて羨ましいと思うくらいです(笑)。性格もとてもさっぱりした方で、男前で、話しやすくて大好きな方なので、この作品で全国ツアーなど1ヵ月くらい浜さんとご一緒していることが嬉しくて仕方ないです。

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自分らしくいること、無理をせずにいることを大事に!

──4月にシアタークリエで上演された『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』には、声だけの出演もしましたね。
スヌーピーの漫画『ピーナッツ』が大好きで、ずっと愛読していたので、喜んで参加させていただきました。SNOOPY - チャールズ・モンロー・シュルツ(Charles M.Schulz)の偉大な精神の世界が 私の喜劇の世界に広がっていくことが理想的な夢の世界です。好きなものがお仕事に繋がっていくのは嬉しいですね。
──漫画からオペラまで本当にフィールドが広いですね。
色々な方に「ずいぶん色々なジャンルに出ているんですね」と驚かれたりするのですが、自分ではこだわりなくやっていく中で、いつのまにか広がっていって、そのぶん引き出しが増えてきて有り難いです。 
──テレビでの取り上げられ方もですが、大和悠河のある種のライフスタイルが、皆さんの興味を引くのだと思います。
宝塚時代は私生活を見せないように生きていましたが、自分としては当時も今も変わりなく生きていて、今はそれをほんの少しオープンにすることで、そのままの大和悠河を見ていただこうと。そして、面白いなとか楽しそうだなと思っていただければいいなと思っているんです。余計なことを考えずに自分らしくいること、本当の意味で無理をせずにいたいなと、いつも思っていて、その気持ちに素直に生きてきたし、これからもそう生きていければいいなと思っています。
──最後に、改めてミュージカル『美少女戦士セーラームーン』-Le Mouvement Finalへの意気込みを。
いよいよ2013年からのシリーズの最終章なので、みんなでまとまってガツンとした舞台を作りたいですね。毎回、進化したいと思っていますし、今回もさらに進化したタキシード仮面、地場 衛をお見せできるよう磨きをかけていきます。ぜひ観にいらしてください。


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やまとゆうが○東京都出身。95年宝塚歌劇団入団。天性の華やかさと類まれな抜群のスター性で早くから抜擢され宙組トップスターとして人気を博す。09年卒業後は、ブロードウェイ・ミュージカル『CHICAGO』、新派公演『糸桜』、新橋演舞場公演「二月喜劇名作公演」他、数多くの主演・ヒロインを務め、舞台、テレビなど幅広い分野で女優として活躍する一方、本の執筆や連載など多彩な才能を見せている。2018年7月、ハンブルグ州立歌劇場と二期会の提携公演『魔弾の射手』でオペラデビューが決定している。


〈公演情報〉
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ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」-Le Mouvement Final- (ル ムヴマン フィナール)
原作◇武内直子(講談社刊)  
脚本・演出◇平光琢也  
音楽◇佐橋俊彦  
出演◇野本ほたる 竹内 夢 小林かれん 楓 長谷川里桃/大和悠河 他
●9/8〜18◎AiiA 2.5 Theater Tokyo
9/23〜24◎アイプラザ豊橋  
9/29〜10/1◎梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ  
〈料金〉S席8,800円 A席6,800円(前売・当日共/全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(全日10:00〜18:00)

 (c)武内直子・PNP/ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」製作委員会2017



【取材・文/榊原和子 撮影/岩田えり】


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宝塚退団後初の単独コンサート『Magic!』に挑む! 妃海風インタビュー

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宝塚星組のトップ娘役として活躍した妃海風の、退団後初となる単独コンサートが、10月に大阪と東京で開催される(10月8日〜9日@大阪・松下IMP HALL、10月21日〜22日@東京・竹芝ニューピアホール)。
 
宝塚時代も、歌唱力抜群の北翔海莉の相手役として、ブロードウェイミュージカル『ガイズ&ドールズ』や、ディズニーミュージカルと宝塚メロディーで構成された『LOVE&DREAM』、オペレッタ『こうもり』など、多彩な歌の数々で魅了してきた妃海が、退団後に新たに取り組むコンサートとあって、その内容に大きな注目が集まっている。
そんな妃海に、『Magic!』と名付けたコンサートへの意気込み、退団後の日々、新たに取り組むクリエプレミアム音楽朗読劇『VOICARION GHOST CLUB』への出演や、今も続く北翔海莉との交流、また宝塚への想いなどを語ってもらった。

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入場から退場までがテーマパークにいるようなコンサート

──退団後初の単独コンサートが開催されることが決まりましたが、まずコンサートに取り組もうと思われた経緯から教えてください。
宝塚在団中には、「お茶会」と呼ばれているファンの方たちとの交流イベントがあるんです。ホテルなどの一室を使うことが多く、別にライブ会場ではないのですが、その「お茶会」の入場から最後までの演出を考えるのが私はすごく好きだったんです。演出と言っても本当に手作りで、音響と照明と伴奏もカラオケで、という手作り感あふれるものだったのですが、ファンの方たちはショーを観に来るような感覚だったと言って、とても楽しんでくださっていて。
──では、歌ったりもされていたんですか?
大好きで、歌っていました。宝塚の舞台をやっているのとは、また違う独特の興奮があったので、退団後コンサートができたら良いなと思っていましたから、今回実現することになって本当に嬉しいです。
──そうすると、演出などもご自分で?
こういうことをやりたいです!というものは、私から発信していきますが、今までは、例えばここでこの音楽で、じゃあこんな衣装がいいなと考えて調達するとか、ここの照明の色味はこんな感じで、と照明さんに伝えるとかを、全て自分でやってきたので、そこはプロの方たちの手に委ねて、自分のイマジネーションがどう化学反応を起こしていくかを私自身も楽しみにしつつ、本格的なものになっていくと思います。
──そうしますと、まだ内容は確定していないかと思いますが、今お話し頂ける範囲でこれだけはやりたい!と思っていることなどは?
どういう風に形になっていくかはまだわからないのですが、私、ディズニーランドが大好きなんです!
──在団中にディズニーの素敵なショーにも出演されましたね。
そうなんです!ディズニーのキャラクターが好きということもありますし、ディズニーランドのエントランスに入ってから、最後に外に出るまでの、非日常を味わえる空間がすごく好きで、園内にいる人たちも皆とても幸せそうな表情をしているんですよね。普通に街中を歩いているだけでは決して見られない表情に出会える、あの徹底した非日常性が素晴らしいと思っているので、私のコンサートもチケットをもぎる入口から、すべてが終わって外に出るまでを、テーマパークに来たような感じにできたらと思っています。それプラス、生きている人間のエネルギー的な血を感じるパワーも上手く融合していきたいと考えています。

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──歌いたい曲目なども絞り込んでいるのですか?
色々あって、まだ具体的に選曲を詰めるところまではいっていないのですが、全体の構成をブロックごとに分かれたものにしたくて、コンサート全体のテーマはありつつ、各ブロックごとにもまたテーマがある、というものになるように考えているので、今はそのテーマごとにどんな曲が合うのかな?と色々と聞きこんでいます。
──ではショーの要素も強いものに?
そうです。ショーをイメージして頂ければ。今までずっと手作りでやってきたものが、プロの手のMagicにかかって、どんな風にお見せできるか、色々な意味を含めて『Magic!』というタイトルにしているので、素敵なひと時をお楽しみ頂けるものにしたいです。
──出身地でもあり、宝塚とも至近の大阪と、東京と、二都市でのコンサートですから、ファンの方たちも心待ちにしていらっしゃることでしょうね。
東西でやってくれるのは嬉しいという声もたくさん頂いているので、せっかく東西で各2回ずつ、4回公演をするので、全部観て頂いても、どこかしらは違うものがあるステージにできたらとも思っています。
──では、日替わりコーナーも?
はい、何かしらそういう要素も入れたいと思っているので、楽しみにしていてください!

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表現する仕事の素晴らしさを改めて感じて取り組む朗読劇

──宝塚を退団されてから今日までの日々で、時間の過ごし方などにも変化はありましたか?
私は宝塚にいる間は、本当にただ宝塚のことだけしか考えていなったので、退団後もまさかまたこうして表現をさせて頂く道に入れるとは思ってもいませんでした。ですから、まずは宝塚を卒業した自分が、何が一番好きなのかを、見つめ直す時間を持ったんです。その中で、単純に現役中よりはきちんと睡眠時間が取れるとか、人と会う機会も増えて、より自分自身のことをじっくり考えられたように思います。
──そういう時間の中で、芸能活動をしようと思われたきっかけは?
現役中の原動力が、自分が宝塚を大好きだという気持ちだったんです。とにかく私は宝塚が大好きで、その大好きな世界に自分が存在できているという興奮がずっとありました。ですから退団してから「自分がときめくものは何なのか?」をしっかりと見つめてから次の道を決めようと考えていました。その中で、私はファンの方たちに対して「ずっと応援してくれてありがとう!」という気持ち以上の、もっと深いお知り合い、仲間意識を持っていましたから「退団しましたからさようなら!」にはとてもできなくて、ファンの集いのような会を1度開いたんです。その時には「まだ何をするかわかりませんが、私は生きてますよ!元気です!」という形だったのですが、ファンの方たちが「もう会えないんですか?」と泣いてくださったり、「また会いたいです」とたくさんお手紙をくださったりして、「宝塚」という場所から卒業しても、こんなにも私のことを想ってくださる方たちがいて、そういう方たちと巡り合えた表現するお仕事というのが、如何に素晴らしいものだったかをまた改めて感じたんです。このお仕事は人間が生きていく上では、必ずしも絶対に必要というものではないかも知れないけれども、でも人の感情に深く訴えかけたり、元気の源になったりするし、もちろん私自身も元気をもらえる。それは本当に素敵なことなんだ!と思って、宝塚のOGの方たちのディナーショーなども観に行かせて頂いたら、退団されても皆さんが輝いていらっしゃる姿にもまた感動して。そうした中で人とのご縁があり、今に至るので、本当に心が良い流れで動いていきました。でも出会いから決断まではあっという間だったので(笑)両親もずいぶん驚いたと思います。
──決断は早かったんですね!
早かったです。そういう出会いには本当に感謝していますし、これから一からのスタートだと思っているので、皆さんに喜んで頂けるように頑張っていきたいです。

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──その中で、近いお仕事というのがクリエプレミア音楽朗読劇『VOICARION GHOST CLUB』ですが、こちらはまた豪華なメンバーですね!
まず私がご一緒させて頂く方々、紫吹淳さん、春野寿美礼さんは、私が宝塚ファン時代に客席から憧れて観ていた方たちで、現役中楽屋を訪ねてきてくださっても、畏れ多すぎてお話しすることもでないような方たちなので。
──妃海さんのトップ娘役のお披露目作品『大海賊』『ガイズ&ドールズ』は、紫吹さんが取り組まれた作品ですから、ご縁がありますね。
そうなんです!もう『ガイズ&ドールズ』などは、ファン時代に熱心に観ていた作品なので、自分が演じる側に回れたことも本当に嬉しかったのですが、また退団後にもこうしてご縁ができたことが嬉しいですし、自分でもびっくりしているくらいです。
──『VOICARION』で妃海さんが演じるのはデズモンド・クロフト卿、15歳の少年でありながら、クロフト家の爵位と財産を引き継いだという役柄ですね。
少年役ということもありますし、それぞれ同じ役を日替わりで演じる方々がプロの声優さんなので、朗読劇自体が初めてという私にとっては、何もかもが新しい挑戦です。特に私自身アニメもすごく好きで、アニメ雑誌などでも表紙になるような有名な方たちですから、すごいメンバーの中に入れて頂くので、精一杯私のできる表現をしながら貪欲に吸収していきたいです。

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北翔海莉との出会いは宝物、これからも宝塚に刺激をもらって

──そうした新たな挑戦の日々の中で、今、改めて宝塚時代を振り返るとすると?
常に仲間がいる温かい場所だったなと。同期がいて、また私は星組の中で、日々私のほんの少しの変化にも皆が気づいてくれて、共に喜んだり、共に悩んだりできた、星組だけでなく「宝塚」という1つのカンパニーが皆で同じ方向を向いていたんだということを感じます。ですから逆に今、宝塚というカンパニーから離れた時に、1つ1つの出会いが新しいもので、私をご存知ない方が私を見て感じてくださることを通じて、私自身が知らなかった自分に気づかされることが多いように思います。宝塚では皆が私を知っていてくれましたが、やはり今は自分から「私はこういう人間です」と発信していかないといけないので、そこから自分の色も強くなっていくのかな?と思っています。まだどうなるのかな?と思ってるというざっくりした気持ちなのですが(笑)、でも、楽しみも大きいです。
──相手役だった北翔海莉さんとも退団後も様々な交流が続いているそうですが。
何か不思議な感じがします。宝塚在団中はある意味で夫婦のような関係でしたし、もう私自身本当に北翔さんが大好き!という強い気持ちを経験してきたので、退団した後にはどうなるのかな?と思ったりしていたんです。でも同じ作品を創っていく中で、本当に密に過ごしてきた時間を経たからこそ、分かり合えるところがあって、今は日常に起きる細かい出来事なども、まさかこんなにご相談できるとは!と、想像もしていなかったような形で交流を続けさせて頂けているのが嬉しいです。
──そうすると、宝塚時代はプリンスとプリンセスの関係でいらして、今は親友のような?
そうですね、そう言葉にするとおこがましいような気持ちもありますが、でも退団後も本当に近い存在でいてくださる方ができたというのも、宝だなと思います。
──ご一緒に宝塚もご覧になったとか?
星組の紅ゆずるさんと綺咲愛里ちゃんのお披露目公演を拝見して、もう私は号泣でした。紅さんは現役時代に本当にお世話になった方ですし、綺咲愛里ちゃんとも1学年しか離れていないので、役作りも一緒にしてプライベートもよく遊びにいってる仲でした。そんな二人が星組新トップコンビとなった姿には、本当に感動しました。あぁこうやって宝塚は続いていくんだなと感じましたし、北翔さんもすごく感動されていて、それをまた二人で観に行けたことで、感動が倍になった気がします。宝塚からたくさん刺激をもらいました。

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──北翔さんとは今後、女優さん同士として共演する機会もあるかも知れませんね。
それが、確かにあるかも知れないのですが、その時自分の気持ちがどうなるのか?と(笑)。やはり宝塚時代の男役の北翔さんに対して持っていたときめきは残っているので、女優さんとしてドレッシーな北翔さんが私の目の前に現れた時、私のこの心がどうなるか?(笑)は、まだ未知の世界です!
──それも含めて、今後も色々なサプライズがありそうですね。
もう毎日がサプライズです!本当に!
──では、そんなサプライズに満ちた新しい妃海さんを拝見できるコンサート『Magic!』への意気込みをお願いします。
私が宝塚やディズニーから日々感じていた、忘れていはいけない「夢」と、現実に新しい生活から得ている生きるパワーを、お届けしたいです。今、毎日生きていることに少しでも辛さを感じている方や、何かしたいけれども何をしていいかを探している最中という方に、私が今の新しい生活の中で感じているワクワクした興奮を一緒に感じて頂けたら。夢とパワーの詰まったコンサートにしていきたいと思いますので、是非観にいらしてください!

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ひなみふう○09年宙組公演『Amour それは…』で宝塚歌劇団の初舞台を踏む。星組に配属。歌唱力に秀でた娘役として頭角を現し13年『南太平洋』など、数々の作品でヒロインを務める。15年、北翔海莉の相手役として星組トップ娘役に就任。『ガイズ&ドールズ』『LOVE&DREAM』『こうもり』など、持ち前の歌唱力を活かした作品で活躍した。16年『桜華に舞え』『ロマンス!!(Romance)』で惜しまれつつ宝塚を退団。女優としてまたアーティストとして今後の活躍が期待されている。17年9月シアタークリエでのクリエプレミア音楽朗読劇『VOICARION GHOST CLUB』への出演も控えている。


〈公演情報〉
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妃海風CONCERT 2017『Magic!』
●10/8〜9◎大阪・松下IMP HALL
〈料金〉8.500円
〈お問い合わせ〉キョードーインフォメーション 0570-200-888
●10/21〜22◎東京・竹芝ニューピアホール
〈料金〉8.500円
〈お問い合わせ〉サンライズプロモーション東京 0570-00-3337
〈ぴあ先行〉8月5日(土)より受付中
〈一般発売日〉 9月9日(土) 



【取材・文/橘涼香 撮影/岩田えり】



妃海風コンサート2017


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21世紀を生きる人々に本当の幸せを問いかけるミュージカル 宝塚花組公演『ハンナのお花屋さん─Hanna's Florist─』制作発表レポート

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宝塚歌劇団花組トップコンビ明日海りおと、仙名彩世を中心とした花組選抜メンバーによる、宝塚オリジナルの新作ミュージカル『ハンナのお花屋さん─Hanna's Florist─』が、東京赤坂のTBS赤坂ACTシアターで上演される(10月9日〜29日)。

『ハンナのお花屋さん─Hanna's Florist─』は、宝塚歌劇団女性演出家のパイオニア植田景子が書き下ろすオリジナルミュージカル。デンマーク人のフローリスト・クリスを主人公に、世界中から人が集まる街ロンドンと、自然豊かな北欧を舞台に、21世紀に生きる人々が求める本当の幸せ、人生の豊かさを問いかける、ハートウォーミングな内容だ。ヒロイン・ミアが内戦の傷跡が残る旧ユーゴスラビアのクロアチアから、新天地を求めてロンドンにやってきた女性という設定もあり、物語にはAAR Japan「難民を助ける会」のメインキャラクターであり、絵本「地雷ではなく、花をください」(「難民を助ける会」会長・柳瀬房子 著・葉祥明 絵)の主人公である「うさぎのサニーちゃん」も登場するなど、21世紀の人類すべてが抱える問題も、根底に織り込まれた作品となっている。

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そんな舞台の制作発表会見が7月都内で開催され、宝塚歌劇団理事長小川友次、作・演出家植田景子、花組トップコンビ明日海りお、仙名彩世が登壇。公演への抱負を語った。

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会見はまず明日海と、仙名によるパフォーマンスからスタート。『ハンナのお花屋さん─Hanna's Florist─』に相応しく、会見場には生花が飾られ、本作の作曲・編曲を担当する瓜生明希葉らが奏でるピアノと弦楽器の生演奏と、スライド映像も加わるという豪華なしつらえの中で、主人公クリスに扮した明日海が登場。世界の人々が感じている幸せ指数が、先進国の中で極めて低いのが日本だという、やや耳の痛い話も織り交ぜつつ、SNSを通じてミアと交流する過程が、芝居仕立てで演じられていく。やがてミアも舞台に登場し、二人のロンドンの街での再会、それぞれの想いが美しく歌われて、ハートフルな作品の世界観が伝えられた。

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その後、「地雷ではなく、花をください」の作者柳瀬房子会長が紹介された後、小川理事長、植田景子、明日海りお、仙名彩世が登壇。それぞれの挨拶のあと、質疑応答に引き継がれた。

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【登壇者挨拶】

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小川
 歌劇団の小川でございます。本日はお忙しい中、またお暑い中お越しくださりありがとうございます。宝塚歌劇団は103周年を迎えております。その103周年は月組公演からはじまりましたが、おかげ様で5組共本当に多くのお客様においで頂きまして、5組共大入りを記録することができました。宝塚歌劇団の「大入り」の基準と言いますのは大変厳しいものでございまして、95%を超えませんと「大入り」とは言わないのですが、全公演全組で「大入り」となりました。これも一重に皆様のお力添えの賜物と感謝致しております。改めてありがとうございます。その中でも、やはり「花組が元気だったら宝塚は元気」だとも言われており、明日海りおが2014年の『エリザベート』で花組トップスターとなりましてから6作すべてが大入りとなっておりまして、これは花組としての新記録でございます。103年の宝塚が堅調でおりますのも、明日海を中心とした花組が引っ張っていってくれているからだと思います。そして新しい相手役の仙名と共に、今回初めて明日海の花組が赤坂ACTシアターで公演させて頂きます。私も前の仕事の時に何度か行かせて頂いたのですが、東京のど真ん中の本当に良い劇場でございます。そこで今回花組が公演させて頂ける、作品は植田景子のオリジナルでハートフルな内容になっておりまして、これを明日海と仙名がどのように演じてくれるのか、本当に今から楽しみでなりません。『ハンナのお花屋さん』で、明日海がどんな大輪の花を咲かせて、花組を彩ってくれるのかをお楽しみして頂き、どうぞ皆様のご支援を賜りますようお願い申し上げます。本日は本当にありがとうございました。

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植田
 植田景子でございます。本日はお忙しい中、またお暑い中お集まりくださいまして本当にありがとうございます。私自身オリジナル作品に取り組むのが久しぶりで、原作のあるものや、歴史上の人物を取り上げてきておりまして、完全オリジナルものというのはハードルが高いのですけれども、キャラクター、ストーリー、テーマを含めて、すべて花組の為の書き下ろしですので、非常にやり甲斐のあるものでもあります。私にとっても挑戦で、良い作品にしたいと思っています。また、明日海りおとはこれまでも色々と仕事をして参りましたが、主演として作品を創らせてもらうのが初めてで、彼女がトップスターになってから初めての作品となります。明日海のキャリアの中で、やっていそうで意外とやっていなかった現代ものの役と作品を今回やるということで、花組さんも古典で、戦いのある作品が続いていることもありまして、今回はガラッと180度違う、音楽もカジュアルポップでハートフルな作品をということで、大変悩みましたがこういう方向性になりました。また仙名がトップ娘役になってオリジナル作品の2作目、トップになって3作目ということで、今回のこの役が彼女にとっても勝負所になるものかなと思って…プレッシャーかな?(笑)そういう意味で彼女の何かを引き出さればいいなと思って作っています。先ほどご覧頂きましたパフォーマンスの台詞の録音をする為に、花組のメンバーと久しぶりに会いまして、組自体の雰囲気といいますか、底から出てくる空気感が、明日海の雰囲気そのままなのですけれども、非常に明るくポジティブなものを感じましたので、一緒にやるのをとてみ楽しみにしております。そして温かいものを10月にTBS赤坂ACTシアターから皆様にお届けできるように頑張りたいと思います。

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明日海
 花組の明日海りおでございます。この度はロンドンのハムステッドヒースでフローリストを営むクリス・ヨハンソン役をさせて頂くことになりました。私は研究科2年生の時に植田先生の『THE LAST PARTY』という作品に出演させて頂いてから、芝居が大好きになったというきっかけがありました。ですからいつか植田先生の書かれる作品でご一緒したいと思っておりましたので、脚本を書いて頂けることがとても嬉しかったです。また私の念願のお花屋さんになることができるので、あ、もちろんタカラジェンヌという職業をとても愛しているのですが、一方で幼ない頃からお花がすごく好きで、日常生活の中でお花に助けられているので、身近に感じる心を活かして作品に取り組み、共演するメンバーたちと心を通わせて素敵な作品にしたいと思います。

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仙名
 仙名彩世でございます。この度は私はクロアチア人ということで、私はこのお話を頂くまでクロアチアというのに、あまりイメージがわかなかったのですが…。
植田 こういうのね(仙名の髪飾りのバンダナの柄を指さす)。
仙名 はい(笑)。それで、色々調べていて、2001年まで紛争していたところとは思えないほどとても美しい町で、驚きました。そして今回はクロアチアからロンドンに、生きる為に働きにきた女性の役ということで、このような役は初めてで、私も振り返ってみると、現代物はあまり経験したことないです。植田先生とは『愛と革命の詩』という作品に、初めて出演させて頂きましたが、その時は酒場の女将の役をさせて頂きまして、個性的な役だったのですが、先生の作品はいつも、とても美しくて、深いものが心に響くと思っております。そんな先生の作品にこうして出演させて頂くこと、そして花組でお花屋さんというのが「なんて素敵なんだろう」と思いました。このワクワクした気持ちと、役柄上の複雑な思いもあるのですが、幸せを求めて生きている、皆さまに共感して頂けるような役にできたらいいなと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。

【質疑応答】

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──宝塚がキャンペーンに協賛するのは珍しいと思いますが、その趣旨は?
小川 キャンペーンに協賛したということとは少し違いまして、まず作品のテーマがありまして、演出家の植田景子が完全オリジナルを創るということの、色々なアイディアの中から出てきたものに、ハートフルな物語に賛同して頂いたということです。内容につきましては、また植田の方から話があると思いますが、ロンドンの美しいお花屋さんのお話というだけではない、テーマも持ちつつ、お客様にはあくまでも温かい気持ちになってお帰り頂いた中に、何か残るものがあればということでございます。
植田 この作品の趣旨にご賛同を頂いて、対人地雷廃絶キャンペーンの絵本を使わせて頂いておりますが、キャンペーンありきとですとか、その目的でこの公演があるということではなくて、ヒロインがクロアチアからロンドンにやってきた人物なのをはじめ、色々な地域の様々な境遇の人たちがやってきている中で、どんな人でも幸せに生きていって欲しい、でもそれが叶わない人もいるかもしれないし、自分が幸せであることに気づかない人もいるかもしれない。そういうことを考えていた時に「地雷ではなく、花をください」に思い至り、とても魅力のあるキャラクターうさぎのサニーちゃんを使わせて頂きたい、ということでご快諾を頂きました。
──お花屋さんということで、舞台でも生花が登場するのですか?
植田 今、ここには生花を使わせて頂いていますし、ポスター撮影でも生花を使っているのですが、舞台となりますと、やはり大きさの問題やライトが当たることなどもありますので、生花は少し難しいかとも思っています。そこは如何に作り物らしくなくお見せできるかを考えています。
──明日海さん、ポスター撮影の時はいかがでしたか?
明日海 お花屋さん好きと致しましては、まだ準備中のスタジオを拝見した時からテンションが上がってしまって、撮影が楽しみで仕方がなかったです。撮影で使ったブーケは、先生がおっしゃったように生花を使って頂いたので、手にしたとたんにグッと気持ちも入って、とても香りも良くて、生花にして頂けて良かったなと。撮影後には頂いて帰りました。
──宝塚は100周年を超えて、新たなチャレンジをしている歌劇団ですが、新しい世紀に向かう演者として、気持ちの上で変化を感じていますか?また特に小川理事長になってからそのチャレンジが加速しているように感じますが、明日海さん仙名さんから見た小川理事長の人となりは?
明日海 難しいですね(笑)。やはり100周年を超えて3年が経ち、私も花組の主演男役に就任したのがちょうど100周年の時で、それから3年経ちまして、少しずつ、少しずつ見えてくるものや思うことはだんだん変化してくるのですが、やっぱりいつも心にあるのは、支えてくださるスタッフの方々の仕事の丁寧さ、そして宝塚を今に繋いでくださった先輩方のお力と愛と、紡がれたものを感じています。新世紀に向けてという思いはありますが、変わらずに真心というような宝塚ならではのものを受け継いでいくという、受け継いでいかなければならないということを逆に強く感じております。小川理事長は…。
小川 それは良いから(笑)。
明日海 よろしいとおっしゃっていますが(笑)、本当に常にお稽古を見に来てくださったり、声をかけてくださったりするので、いつも見守ってくださっているんだなと感謝しております。
仙名 今、100周年を迎えた宝塚に在籍させてもらっていますが、やはり今までの宝塚を作って、そして発展させてくださった上級生の存在、スタッフの方々の存在を、本当に強く感じていますので、その思いを更に、更に次の時代に、日々舞台を心をこめて務めることで、どんどん繋いでいけたらなと思いますし、お客さまに楽しんで頂く舞台をというのを、いつもいつも思いながら務めて参りたいと思っております。そして小川理事長は、明日海さんもおっしゃったように、稽古場にいつも見に来てくださって、そういう気持ちが皆に伝わってとても励みになっていると思います。ですからこれからも見に来てください(笑)。そして皆の頑張る姿を見て頂ければ、これからもよろしくお願いします。
──明日海さんと仙名さんから理事長への言葉がありましたので、理事長からお二人のコンビに期待するところを教えてください。
小川 特に明日海自身が、本当に責任感があって、一途に芝居をやってくれます。本当に芝居が好きな生徒だな、そこが輝いているなと思います。仙名もまたそんな明日海と組んで2作、余裕が出てきたなと思っております。宝塚歌劇団は1つの作品を出す時に「これまでの最高の作品を」というつもりで、演出家、スタッフ、出演者共に出しているのですが、そこにやはり生徒の資質や思いが出てくるものですから、明日海が更に良くなってくれていることが、仙名と共に更に花組が良くなっていることにつながります。歌劇団もますます期待しているので、どんどん進んでいってもらいたいなと思っています。

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──明日海さんは、ファンの方なら知らない人がないというほどのお花好きで、毎日お花屋さんに立ち寄って帰られるという方ですが、植田先生は作品創りの折にそのことがヒントの1つになったのでしょうか?また明日海さんは、お花屋さんの作品をやるということを聞かれた時はどうでしたか?
植田 実は今回、企画がたくさんありまして、TBS赤坂ACTシアターでやるということで、色々考え、海外ミュージカルの話もありました。赤坂の真ん中でやるというのは宝塚大劇場とは空気感も違いますし、私自身も大劇場でやるものとは違う方向性のものをと、いま流行っている日本の小説とか、どういう内容にするか、今までで一番時間のかかった企画でした。それで、すごくすごく悩んだあとに、プロデューサーに話していて、ふと「最初に明日海りおさんで現代もの、と言った時にイメージしたのは『花屋の王子様』だったんですけどね」と言いましたら、プロデューサーたちが「それ、いいじゃないですか!」と。すみません、こんな簡単に決まったと誤解して頂きたくはないんですが(笑)、私としては「花組で、花屋の王子って、ベタですよ」と言ったのですが、「絶対キャッチーです、ファンの人は見たいです!」と言われまして(笑)。プロデューサーはいそいそと、「以前『宝塚GRAPH』で撮った明日海の花屋の写真があります!」と持ってきてくださって、またそれが似合っていて。私自身もお花は大好きですし、お花をテーマにした作品は言葉もどんどん出てくるし、「そうなのか!花屋の王子でいいんだ」というところから企画の第一歩が決まったということです。
明日海 そうですね。次の公演がどうやらお花屋さんになりそうだとプロデューサーに伺った時には、本当にびっくりしてしまいました。私も色々な取材の度に、花を飾るのが趣味だ、お花屋さんに行くのが大好きだと申し上げていましたら、『宝塚GRAPH』の編集さんがお花屋さんになる企画を立ててくれまして、エプロンをつけて撮影して、夢が叶ったなと思っていましたので、まさか今度は舞台の上でお花屋さんになれるなんて、本当に今まで宣伝してきてよかったな(笑)、と思いました。今回のクリスはとても頭のいい人で、良いい大学を出て、でも突然お花屋さんを持ちたいと目指す。そして花屋も軌道に乗り出してきて、今求めているものは、幸せとはなんだろうと考える時期にいるんですね。私もタカラジェンヌになりたいと家を飛び出し、新人公演の主役をしたい、いいお芝居をしたいというような思いを重ね、「男役10年」をすぎ、花組に組替えしてと、クリスとリンクするような気持ちがたくさんある感じがしていて。クリスも故郷のデンマークを離れてロンドンにきていますし、私も故郷の静岡を離れて宝塚にやってきましたので、そういうリンするところを活かして演じられたらと思っています。

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──仙名さんとの新コンビとなって、2作品が過ぎましたがお互いの魅力は?
明日海 今まで相手役として組む前は、私が『ME AND MY GIRL』という作品に最初に出た時に彼女は初舞台生で、首席で入団しておりまして、とっても優等生のイメージで。そして、私が花組に参りました時にはとてもエレガントな娘役さんだなと。パワフルさと大人っぽさを持ち合わせている人だなと思っていたのですが、いざ組み始めてみると、意外とテンパるところだったり(笑)、あたふたする瞬間があったりして、可愛らしいなと思ったり。でも普段から、もちろん芸事はしっかりやってくれていますし、私が疲れないように、たぶん本当はすごくしっかりしてるんですけれども、私にあわせてボケボケふわふわしてくれるような、気遣いをしてくれるところが魅力だな、できる人だなと思って過ごしております。
仙名 初舞台の時にご一緒させて頂いて、それから明日海さんが花組に来られてまたこうして一緒に舞台に立てているということが夢のようで、幸せに思います。明日海さんは、ここでは語りつくせないほどの魅力がたくさんあります。今お芝居やショーで組ませて頂く中で、明日海さんが、相手との心の交流であったり、その時生まれたもの、空気感やアイコンタクトなどを、ずっと大切にされてきたんだろうなというのが伝わってきます。その根底には舞台に対する愛情や、人に対しての心の底からの信頼や感謝や、色々なものが今の明日海さんの中にあるのだなと思うと、私もそうなりたいと思いますし、尊敬できる明日海さんの隣で相手役をさせて頂けることをとても幸せに思います。これからも二人で素敵な作品を作れるように明日海さんについて頑張っていきたいと思います。

〈公演情報〉
宝塚花組公演
ミュージカル『ハンナのお花屋さん─Hanna's Florist─』
作・演出◇植田景子
出演◇明日海りお、仙名彩世 ほか花組
●10/9〜29◎TBS赤坂ACTシアター
〈料金〉S席8,000円 A席6,000円
〈お問い合わせ〉宝塚歌劇インフォメーションセンター[東京宝塚劇場] 0540-00-5100
公式ホームページ http://kageki.hankyu.co.jp/



【取材・文/橘涼香 撮影/岩村美佳】



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エンターテイメント性に溢れた礼真琴の初東上主演作品!宝塚星組公演『ATERUI─阿弖流為』

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宝塚星組の二番手男役として活躍する礼真琴の、東京での初主演となる『ATERUI─阿弖流為』が、新装なった日本青年館ホールで上演中だ(6日まで)。

『ATERUI─阿弖流為』は、2000年に吉川英治文学賞を受賞した高橋克彦の小説「火怨 北の燿星アテルイ」をもとに、大野拓史が宝塚ミュージカルに仕上げた作品。8世紀、東北へ支配領域を拡大しようとした大和朝廷が蝦夷討伐に乗り出す中、蝦夷の「人」としての誇りを守る為に朝廷軍に立ち向かった、若きリーダー阿弖流為の生きざまが描かれている。

【STORY】 
8世紀。東北地方で発掘される豊かな金鉱を得ようと、東北を支配領域に治めるべく朝廷は蝦夷討伐に乗り出していた。ある夜、その朝廷に与し蝦夷を裏切ったと思われていた伊治の蝦夷の長・伊治公鮮麻呂(壱城あずさ)は、各地の蝦夷の長を集め、自らの命と引き換えに参議・紀広純(輝咲玲央)の首を取る計画を打ち明ける。鮮麻呂が朝廷に与していたのは、全てこの機会を得る為の身を挺した偽りだったのだ。その尊い犠牲による図り事を聞く長の息子たちの中に、ひと際強い光を放つ眼差しを持った若者がいた。彼こそが、胆沢の長の息子であり、のちに蝦夷の命運を担う阿弖流為(礼真琴)だった。 
鮮麻呂の遺志を受け継いだ阿弖流為は、仲間と共に蝦夷の為に立ち上がることを決意する。だが、多勢に無勢の朝廷軍と戦うことを無謀だと思う阿弖流為の父の従者・飛良手(天華えま)は、朝廷に蝦夷の動きを内通することで生き残りを企てるが、阿弖流為の熱い説得によって翻意し、忠実な側近となる。阿弖流為の想いはただ一つ。蝦夷を獣同然に扱い、同じ人とは見なさない朝廷に、蝦夷も同じ人だと認めさせることだった。 
そんな中、阿弖流為は、黒石の蝦夷の長の跡継ぎ・母礼(綾凰華)と、その妹佳奈(有沙瞳)に出会う。天性の軍略の才を持つ母礼は、以後阿弖流為の片腕の軍師となり、その知略に長けた奇襲作戦と阿弖流為の勇猛果敢な働きぶりは、蝦夷に度重なる勝利をもたらす。嫁いだ先が朝廷軍に襲撃され寡婦となっていた佳奈は、阿弖流為に希望を見出し、阿弖流為もまた佳奈に惹かれ、二人は深く心を寄せるようになる。
だが、続く敗戦に業を煮やした朝廷は、都随一の武人と謳われる坂上田村麻呂(瀬央ゆりあ)に、蝦夷征伐を任じる。欲に溺れず、ただ桓武天皇(万里柚美)の命を受けた武人としての役目を全うしようとする田村麻呂には、これまでのような奇襲作戦は通用しない。阿弖流為は身を捨てて蝦夷を守ろうとした鮮麻呂の遺志に思いを馳せ、ある策略を講じる決意をして……。

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8世紀に実在した蝦夷の勇者阿弖流為の生きざまは、様々な形で映像化や、舞台化がなされてきた。特に東北地方が未曾有の大災害に見舞われた東日本大震災の後には、東北の復興を応援しよう!という趣旨のもとに、多くの作品が生まれている。そんな中にあって、宝塚歌劇が改めて阿弖流為を主人公にしたミュージカル作品を作るに当たり、原作に求めたのが高橋克彦の「火怨」だったことが、まず何よりも優れた選択眼と言えるものだった。
と言うのも、原作小説は上下巻、1000ページにも及ぶ大作だが、読み進めて感嘆するのが、出てくる若者たちが、いずれ劣らぬ良い男ばかりだということなのだ。阿弖流為と言えば、当然対に出てくるのは坂上田村麻呂ということになるが、軍師の母礼、腹心の部下となる飛良手をはじめ、それこそ今流行りの乙女ゲームもかくやとばかりに、良い男のオンパレード。おそらく読めば誰かしらタイプの男性が見つかるだろうというほど、友情に厚く、義に熱い男たちが繰り広げる闘いが迫力たっぷりに描かれていて、これはカッコ良い男を演じさせたら右に出る者のない、宝塚の男役の為にあるような題材に違いなかった。

その原作の特性を、脚本・演出の大野拓史が良く生かしている。何しろ原作が大長編なので、そのどこを切り取るか?によって作品の印象は全く異なるものにもなるところを、阿弖流為を軸に蝦夷の良い男たちをくまなく網羅し、舞台に設置された特大の映像パネルを駆使して、読みにくい漢字の多い登場人物の紹介から、場所の移り変わり、自然描写までをスピーディに押し進めた手腕はたいしたもの。更に阿弖流為の成長物語でもあるが故に、原作小説では下巻になってやっと登場する坂上田村麻呂も実に自然に物語の序盤から登場させ、阿弖流為の好敵手としての立場を明確にしていたし、徹底的に男の物語の原作には描かれていない、ヒロイン佳奈の心理や人生を書き加えるなど、宝塚版ならではの改変も当を得ている。これは資料を深く読み込む劇作家大野の特徴が吉に出た好例で、高橋恵と玉麻尚一のどこかアニメソングにもつながる高揚感を持った音楽の数々の力も加わり、徹底的なエンターティメント作品に仕上がっていた。これによって主人公の辿る結末がわかっている物語が、暗く沈んで終わることを防ぐことにもつながったし、阿弖流為の選ぶ決断の基に鮮麻呂の存在があったことを、制約のある時間の中できちんと書き込んだ故の成果でもあった。

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そんな作品で「主演・礼真琴」という大クレジットが映像に出たほどの華やかな東京初主演となった礼真琴の阿弖流為が、非常に柄に合っている。元々原作を読んでいる時から、礼の声で台詞が聞こえてくるという現象に陥ったくらい、この役は合うだろうという予感があったが、それが見事に的中して、血気盛んな熱い男が、リーダーとして成長し、身を捨てても蝦夷の誇りを守るに至る流れを、的確に表現している。星組の若き二番手スターとなってから、黒い役が続いていて、それはもちろん男役礼真琴の成長には役立つものではあろうと思いつつも、若々しいヒーローも観たいとも願っていた時期だけに、豊かな歌唱力と俊敏な身体能力が共に生かされた阿弖流為は打ってつけだった。新しい劇場のこけら落とし公演の大任を任され、それをきちんと代表作と呼べるものに仕上げた礼の自力に、改めて感心する主演ぶりだった。

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ヒロイン佳奈の有沙瞳は、嫁ぎ先の里が滅ぼされ、朝廷に復讐を誓う寡婦という、原作とは全く異なる設定を、陰影深く演じて見応えがある。佳奈がただの良妻賢母ではないヒロイン像になったことで、作品全体にも深みが増したし、礼との並びも良く似合って美しい。星組に加入以来、柔らかさと愛らしさを増していて、歌唱力も十分。ますます楽しみな娘役に成長している。

更に、この作品で礼に負けず劣らずの存在感を示したのが、坂上田村麻呂の瀬央ゆりあ。礼主演の公演で二番手格の役柄を演じたのは『鈴蘭(ル・ミュゲ)─思い出の淵から見えるものは─』に続いて二度目となるが、その『鈴蘭』から約1年半、ここまで男役スターとしての押し出しと、華やかさを身に着けていたとは、と、驚かされる変貌ぶりに感嘆した。朝廷の中で唯一蝦夷を「人」として認め、尊重もしている武人を堂々と演じていて、礼に対して全く不足がない。こうなってくると持ち前の容姿の良さも光ってくるから、逸材揃いの95期生の中に、また1人目が離せない男役スターが育ってきた格好だ。期待したい。

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そして、前述したように良い男揃いの登場人物の中では、やはり母礼の綾凰華が目を引く。原作小説の中では完全に二番手の役柄であることもあって、沈着冷静な軍略の天才として、全体の中でのカラーの違いが鮮明に描かれ、綾もまたその役の性格をよく表している。正直、プログラムにこの人の扮装写真がないのが、なんとも不自然なほどの大役を手中に納めているから、新天地となる雪組での活躍が楽しみだ。飛良手の天華えまは、はじめは阿弖流為に対して反旗を翻し、それがあったからこそ最後まで阿弖流為につき従う重要なポジション。顔立ちがソフトな人だけに、阿弖流為を裏切ろうとする描写がもう一息鋭くても良いか?と思わせはするが、腹心の部下として阿弖流為に心酔する様はきちんと伝わり、若手ホープらしい明るさが印象的だった。また、阿弖流為の仲間の中では伊佐西古のひろ香祐の骨太さが光ったし、阿弖流為に対して距離を取る蝦夷である諸絞の音咲いつきも、少ない描写で阿弖流為への屈折した思いをよく表現している。この公演を最後に娘役への転向が発表されているが、男役として有終の美を飾っていて、娘役・音咲いつきの誕生にも期待が膨らんだ。
他に、桓武天皇で男役に回った万里柚美、どこにいても愛らしく、娘役の良心とも鑑とも思える坂上全子の音波みのりをはじめ、何しろ最下級生の鳳真斗亜まで、出演者全員に役があるという大野の脚色が、それぞれの今後にどれほどの糧になったかと思うと、この作品に出演したメンバーの幸運を思わずにはいられない。分けても特筆すべきは鮮麻呂の壱城あずさで、阿弖流為の生きざまの指針となる、つまりはこの作品の骨子となる人物を、決意と哀惜を込めて演じていて、壱城の多彩な経歴の中でも屈指と言える名演だった。

そんなすべてのメンバーに働き場の多い充実した作品が、礼を筆頭に星組の明日を担うだろう人材に用意されたことを喜びたい舞台となっている。



〈公演情報〉
宝塚星組公演『ATERUI─阿弖流為』

原作◇高橋克彦「火怨 北の燿星アテルイ」(講談社文庫刊)
脚本・演出◇大野拓史
出演◇礼真琴 ほか星組
●7/31〜8/6◎日本青年館大ホール
〈料金〉S席 7,800円 A席 5,000円 (全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉阪急電鉄歌劇事業部 03-5251-2071(10時〜18時・月曜定休)
公式ホームページ http://kageki.hankyu.co.jp/




【取材・文/橘涼香 撮影/岩村美佳】




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