宝塚ジャーナル

帝劇ミュージカル『ビューティフル』

女優10周年記念のDANCE LIVE『will』に挑む!朝海ひかるインタビュー

s__MG_0629

宝塚歌劇団元雪組トップスターで、女優として精力的な活動を続けている朝海ひかるが、06年の宝塚卒業から10年となるメモリアルイヤーを記念して、DANCE LIVE『will』を開催する。
07年、女優として歩き始めた朝海は、ミュージカルからストレートプレイ、そして映像と実に幅広いジャンルで活躍を続けている。その10年の歩みをギュっと凝縮してまとめ、更にダンスに特化して、これまでの「感謝」とこれからも「よろしく」の気持ちを込めた舞台が、今回のDANCE LIVE『will』。あの作品、あのダンス、あの曲、あのメロディを織り交ぜた奇跡の公演は、観客の思い出に直結すること間違いなしとあって、大きな期待が集まっている。
そんなDANCE LIVEを前に、朝海がライブステージへの意気込み、女優としての10年間の歩み、更にその間に多く出演した宝塚OGによる公演を通じて、改めて感じた宝塚への思いなどを語ってくれた。

_MG_0605

10年間の歩みが詰まったDANCE LIVE

──コンセプトを伺っただけでとても素敵な企画だなと感じますが、まず今お話し頂ける範囲で内容について教えてください。
宝塚を退団してから今年で10年経ったということで、退団してから出演させて頂いた作品の中から、曲を集めて構成するショーという形になります。DANCE LIVEと銘打っていますので、全体を通じてダンスが中心の、踊りまくるショーになります。色々なお仕事をさせて頂いている中で、最近やっていないことはなんだろう…と思った時に「ダンス踊ってないな」と感じました。私自身、身体が動くうちはやはり踊る機会を作っていきたいと思っているので、「DANCE LIVEにしよう!」ということになりました。
──宝塚時代からダンスは特に定評のあった朝海さんですから、ファンの方たちも楽しみにしていることでしょうね。
そう思って頂けたら本当に嬉しいです。
──共演者の顔ぶれ、またゲストの方たちも豪華なメンバーですね。
演出の港ゆりかさんが、この方たちなら!というダンサーの方とシンガーの方を選んでくださいました。またゲストの方たちは、思い出のある作品の中でご一緒させて頂いた方ばかりですから、楽しいトークと、その時それぞれの方と一緒に歌った歌などを歌わせて頂きます。
──では日替わりで内容も変わるのですか?
そうですね。ゲストの方たちが替わったら、ガラリと雰囲気が変わるという構成になると思います。
──ということは毎回変化のある楽しいステージになるのですね。でも朝海さんはたくさん覚えることが?
ええ、4パターン覚えないといけないのですけど(笑)、でも今まで歌わせて頂いた曲でもあるので、そのへんはなんとかなるだろう!と思っていて(笑)、頑張ります!
──それぞれの方と「これぞ!」という曲になりそうですね。
このDANCE LIVEを観て頂いたら、10年間私がどんなことをやってきたか、どんな作品に出て来たのかをわかって頂けると思います。そのすべての舞台をご覧になってくださった方にはもちろん、観ていらっしゃらない方にも、「あぁ、こんな作品もあったのね」と楽しんで頂けるステージになると思いますし、その中で、私の10年間を観て頂きたいです。

s__MG_0567

発見の連続の中で成長させてもらう日々

──節目のDANCE LIVEを控える中で、宝塚を退団してからの10年間を振り返るといかがですか?
無我夢中で走ってきた10年間でした。宝塚しか知らなかった自分が外の世界に出て、右も左もわからない中で、ひたすらに突っ走ってきた日々でした。
──あくまでも拝見している側からの印象なのですが、朝海さんは比較的すんなりと女優になられて、男役時代の影をあまり感じさせない方のようにお見受けしていました。ご自身としてはその辺りは?
男から女への切り替えというよりも、それまで自分が宝塚の中で「こうであろう」と思っていた舞台上での常識とか舞台人としての在り方が、やはり宝塚と外の舞台とではずいぶん違いましたので、考え方を変えていくことが必要でした。毎公演、「こういう考え方があったのか」とか「こういう表現の仕方があったのか」とか、「こうすれば良いんだ!」という新たな発見の連続で、その1つ1つを受け入れていくことが自分にとって大変だった気がします。
──劇団時代は、スタッフや共演者がよく知っている顔ぶれで、外では毎回新たな方たちとの舞台創りになると思うのですが、そういう面では?
確かに、毎回違う共演者の方たちやスタッフの方たちとの舞台創りは、私は意外と人見知りで、あ、意外ではないですね(笑)、自分から話しかけていくことが得意ではなかったので、最初のうちはその環境に慣れることで精一杯でした。でもお稽古を積んで公演をしていく中で、仲良くなっていって、色々な人から様々なことを教わって楽しく過ごしたり、皆で力を合わせて1つの作品を創って、それが素敵な思い出になっていく。そういう点では、宝塚も外も変わらないということがわかり始めてからは、自分からも積極的に話す努力をすることで、より早く皆さんと仲良くなれて、色々な話が伺えるようになりました。たくさんの方々から、自分が経験してこなかったことを教えて頂いてきた日々でした。
 
s__MG_0583

ちゃんとお芝居ができる女優になるために

──朝海さんの場合、この10年間の活動は非常に多岐に渡り、バラエティに富んでいますが、それはご自身でも色々なことをやってみよういう意識が?
そうですね。宝塚を卒業して一女優となった時に、自分の魅力というか武器というものが、自分でもまだわかっていない部分がありましたので、1つのことに固まろうとするのではなく、私にと言って頂いたお仕事は、できる限りやらせて頂こうというスタンスでいました。すると、ありがたいことに色々な分野の方たちからお声をかけて頂けて、本当に様々な方たちと共演することができて、すごく充実した10年だったと思います。
──では、例えば「できるだけミュージカルに出演したい」というような、1つのものに特化するといった気持ちは?
それはなかったですね。ただ、女優としてちゃんとお芝居ができるようになりたい、という思いは持っていましたので、なるべくお芝居の仕事は積極的にやらせて頂いてきました。そういう意味でも、本当に様々な舞台に出演させて頂けていることに感謝しています。
──その中で、何本か井上ひさしさんの舞台にも出演されていますね。
井上先生の作品は昔から大好きで、井上先生の舞台に出られるような女優になりたいとずっと思っていました。ですから『しみじみ日本・乃木大将』(2012年)に出させて頂けた時には、夢が1つ叶った!という気持ちでした。そして夢が叶ったら、次はこまつ座さんの舞台に出たいという夢がまた生まれて、一昨年の『國語元年』でこまつ座さんへの出演が叶って。そうやって1つずつ進んできました。今年の3月〜4月にも、『私はだれでしょう?』という素晴らしい作品に出演させていただきましたが、井上先生が一文字一文字考え抜かれたセリフを話すことの重みと、女優としての幸福感とを同時に味わえた日々でした。
──井上さんの作品は、不穏な時代の時局のことを扱っていても、声高に批判するというのではなくて、笑いにくるんだ中などから静かに訴える深さがありますね。
事実をきちんと伝えた上で、あとは観客の方たち1人1人が物事に接した時に何を思うかに委ねていらっしゃるので、私も毎回拝見する度に、怒りに震えることもあれば、涙を流すこともあるし、何日も悶々と考えることもあります。そういう、自分自身を成長させて頂ける作品ばかりで、それは出演させて頂いた時も同様で、毎回少しずつ人間として勉強させて頂いています。

s__MG_0590

ダンス歴で大きかったフォッシーダンスとの出会い

──10年間の活動期間中には、宝塚歌劇が100周年を迎えたこともあって、OGの方々の公演が盛んに行われましたが、そういう公演に臨まれていかがでしたか?
やはり宝塚が私のベースなのだということを、OG公演に出演させて頂く度に思います。それと同時に、どんなに上級生の方でも下級生の方でも、同じ方向を向くことができるという宝塚の素晴らしさを感じました。例え現役時代に一緒の舞台に立ったことがなくても、宝塚の卒業生というだけで呼吸がカッチリと合う、1つ1つの公演が、すべて宝塚の偉大さを改めて知る場でもありました。学年がどんなに離れていてもすぐに打ち解けて仲良くなれますし、私が下級生のときトップスターで雲の上の存在だった方とも、気軽にお話をさせて頂けたりする。それもOG公演の嬉しさです。
──その中でも『CHICAGO』は特に大きな公演となりました。
『CHICAGO』に最初に取り組んだのは、『DANCING CRAZY2』(2012年)という公演で、名場面の抜粋をさせて頂いた時だったのですが、その時点では、まさか全幕通して宝塚OGだけでの上演ができるとは夢にも思っていなかったんです。ただその時、抜粋の名場面だけなのに、ブロードウェイのスタッフの方たちが来てくださって、振付から指導して頂くという全く新しい経験をさせて頂けたことで、宝塚のOG公演というよりも一女優として新しい作品に向かっていくという気持ちがありました。その公演を全幕通して演じられるという機会を頂けたことは、私にとっては宝塚のOG公演という枠組みを超えて、『CHICAGO』という作品に女優として全力で取り組んだという想いでした。
──本当に力のこもった舞台でしたが、フォッシースタイルのダンスとの出会いについては?
洗練された動きを、とにかくオシャレにクールにというもので、1つ1つの動きに決まりがあって、でもその決まりが人間の動きとして存在していなくてはいけない。究極のところに行きついているのがフォッシーダンスで、それに出会えたというのは、私のダンスの歴史の中でもとても大きなものでした。ただ大きく踊ればいいというわけではなく、身体の中から湧き出るエネルギーを使って踊る、そのことを教えてもらったのがフォッシーダンスでした。
──では、今回のDANCE LIVEでも拝見できそうですね?
はい。ダンサーの方の中にも二人『CHICAGO』経験者がいるので、何曲かできたらいいなと思っています。
──では、そんな朝海さんの10年間の経験が詰まったDANCE LIVEについて、改めて意気込みお願いします。
宝塚を退団した時には、ここまで自分がやってこられるとは思っていなかったので、気がついたら10年の月日が流れていたことに、自分自身にも驚きがあります。その中で、様々な方たちとの幸せな出会いがあり、自分の考え方もどんどん更新され、目標もどんどん変わっていきました。その私の日々を、客席から見守って、応援し続けてくださった方たちがいらしたから、ここまで充実した舞台生活が送ってこれたのだと思っています。そんな方々に感謝の気持ちを込めて、この作品を是非楽しんで頂きたいと思っています。精一杯頑張りますので、是非足をお運びください。お待ちしています!

_MG_0571
あさみひかる○1991年宝塚歌劇団に入団。入団当初より透明感ある爽やかな個性とダンスの実力が注目され、02年雪組トップスターに就任。06年『ベルサイユのばら』で主演のオスカル役が好評を博す。同年、宝塚歌劇団を惜しまれつつ退団。女優としてミュージカル、ストレートプレイ、映像など幅広い活躍を続け、日本を代表する演出家の舞台への出演も数多い。近年の主な舞台作品は、ミュージカル『ボンベイドリームス』、『Golden Songs』、『アドルフに告ぐ』、こまつ座第111回公演『國語元年』、ミュージカル『DNA-SHARAKU』、明治座『御宿かわせみ』、ブロードウェイミュージカル『CHICAGO』宝塚歌劇OGバージョン、『幽霊』、『エリザベートTAKARAZUKA20周年スペシャル・ガラ・コンサート』、こまつ座『私はだれでしょう』等。7月には再々演の『ローマの休日』でアン王女役が控えている。


〈公演情報〉 
s_Unknown
朝海ひかる 女優10周年記念ツアー
DANCE LIVE『will』
構成・演出・振付◇港ゆりか
出演◇朝海ひかる/神谷直樹・中島康宏・ 伯鞘麗名・福田えり
ゲスト◇Spi、伊礼彼方、石井一孝、石川禅
●6/7〜6/8◎東京 よみうり大手町ホール
〈料金〉10,000円(全席指定・税込)
●6/11◎ 大阪 ナレッジシアター
〈料金〉10,000円(全席指定・税込)
●6/14◎仙台 イズミティ21 小ホール 
〈料金〉9,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉東京音協 03-5774-3030(平日11時〜17時)



【取材・文/橘涼香 撮影/山崎伸康】




えんぶ最新号好評発売中! 




kick 

shop 

nikkan 

engeki 

傑作ミュージカル『HEADS UP!(ヘッズアップ!)』待望の再演! 全キャスト決定!

「HEADS UP!」再演メインカット解禁用_2017
大空ゆうひ 池田純矢 橋本じゅん 哀川 翔 相葉裕樹 青木さやか 中川晃教 

一昨年秋に上演され、第23回読売演劇大賞 演出家部門優秀賞を受賞した傑作ミュージカル『HEADS UP!』の待望の再演が決定し、全キャストと公演日程が発表された。

ミュージカル『HEADS UP!』は、2015年11月にKAAT神奈川芸術劇場で初演された日本のオリジナルミュージカル。初演時、KAATではわずか12公演ながら幕が開くや否やその評判は口コミで広がり、大盛況のなか幕を閉じた。いわゆる”バックステージもの”で、業界あるあるやお仕事あるあるといったエッジのきいた笑いは、ミュージカルファンのみならず全てのエンタメファン、ひいては、誰かの為に懸命に働くすべての大人に向けた応援歌でもあり、「また観たい!!」と熱望されていた。

今回の再演は規模を大きくして、2017年12月14日〜17日までKAAT神奈川芸術劇場にて上演されるのを皮切りに、富山・長野・大阪・愛知・山梨、そして2018年3月2日〜12日までTBS赤坂ACTシアターにて公演を行う。

【物語】
ミュージカルファンなら誰もが知る”あの名作”が1000回目の公演を終え、華々しく終了する、はず…だった。しかし、主演俳優の鶴の一声で、某地方都市の古い劇場で1001回目を上演することに! 
さあ、現場はてんやわんや。舞台美術は廃棄済み、スタッフの人手も足りない、キャストのスケジュールも押さえていない…。さらに、舞台の総指揮を執るのはこの作品が初めて、という新人舞台監督!とんでもない条件の中でもスタッフたちは必死に幕を開けようと奮闘する。幸か不幸か、チケットは完売、つまり観客が待っている!!
果たして幕は無事に開けられるのか…。そして主演俳優が1001回目の上演にこだわった理由とは…?
 
HU_初演舞台写真_GC20048
2015年の初演舞台写真

原案・作詞・演出を務めるのは数多の舞台作品を創り続けてきたラサール石井。かねてより、客席から観ているだけでは到底想像のつかない【舞台制作のスタッフワーク】にスポットを当てた群像劇を描きたい、と想いを熱くするも、さして珍しくもないバックステージもののミュージカル、且つ主人公の職業は、その仕事内容が一般的に知られていない「舞台監督」…と、中々実現には至らず、構想を練ること10年。ついに、ウィットに富んだ笑いと人間の機微を丁寧に描き出す筆力に定評のある倉持裕による脚本、さらに、幅広いジャンルの音楽に精通している玉麻尚一が音楽を手掛け、石井自らの演出でミュージカル『HEADS UP!』が誕生した。
一度聴いたら忘れられないメロディーと、エスプリの効いた笑いにドタバタコメディー、そして登場人物の心情を描き出す緻密さが、見事な化学反応を起こし、ミュージカルファンだけでなく全てのエンタメファン、そして裏舞台で懸命に働く大人全てに向けた人間賛歌となっている。
主演の舞台監督には哀川翔、新人舞台監督に相葉裕樹、彼らとともに奮闘する演出部の橋本じゅん、制作部の青木さやか、女優役の大空ゆうひ、劇場担当役の中川晃教といった初演メンバーに加えて、新たに演出部のアルバイト役に池田純矢が初参加、まさに個性豊かなキャスト陣が集結した。

HU_初演舞台写真_GC20530
2015年の初演舞台写真

【コメント】

この公演を代表してラサール石井と哀川翔のコメントが届いた。

原案・作詞・演出/ラサール石井 
初演が「舞台愛に溢れた、日本発のオリジナルミュージカル」と大好評、大成功に終わった『HEADS UP!』、その再演が早くも決まりました。しかもキャストの大半がそのままで!
今回は神奈川芸術劇場を皮切りに地方をまわり、TBS赤坂ACTシアターに帰ってきます!
前回見逃した方は是非、ご覧になった方も、バージョンアップした『HEADS UP!』を再度御体験ください!

主演/哀川 翔 
ミュージカル界の実力者達と又、ご一緒出来るなんて、幸運です。力の限り頑張ります。

〈公演情報〉
ミュージカル『HEADS UP!(ヘッズアップ!)』
原案・作詞・演出ラサール石井
脚本倉持 裕
作曲・音楽監督玉麻尚一
振付川崎悦子 
出演哀川 翔 相葉裕樹 橋本じゅん 青木さやか 池田純矢
今 拓哉 芋洗坂係長 オレノグラフィティ 陰山 泰
岡田 誠 河本章宏 新良エツ子 井上珠美 外岡えりか
大空ゆうひ 中川晃教 ほか
●神奈川公演 2017/12/14〜17◎KAAT神奈川芸術劇場
●東京公演 2018/3/2〜12◎TBS赤坂ACTシアター
富山・長野・大阪・愛知・山梨 ほか 地方公演◎2018年1月〜2月 
〈公式ホームページhttp://www.m-headsup.com/






えんぶ最新号好評発売中! 




kick 

shop 

nikkan 

engeki

星組新トップコンビ紅ゆずる&綺咲愛里華やかにお披露目!宝塚歌劇星組公演『THE SCARLET PIMPERNEL(スカーレット ピンパーネル)』

137_L3A3956

宝塚星組の新トップコンビ紅ゆずる&綺咲愛里のお披露公演である、宝塚歌劇星組公演『THE SCARLET PIMPERNEL(スカーレット ピンパーネル)』が日比谷の東京宝塚劇場で上演中だ(6月11日まで)。

ミュージカル『THE SCARLET PIMPERNEL(スカーレット ピンパーネル)』(※以下、『スカーレット・ピンパーネル』)は、1997年にブロードウェイで初演され、大ヒットを記録したミュージカル。バロネス・オルツィの小説「紅はこべ」を原作に、大革命勃発後の恐怖政治の嵐吹き荒れるフランスで、次々と処刑されていく罪なき貴族たちを救うべく、イギリス貴族のパーシー・ブレイクニーが仲間たちと秘密結社を結成し、スリルと知恵で歴史の荒波に立ち向かう冒険活劇の要素と、それによってすれ違う夫婦の心理描写を描いた娯楽作品は、フランク・ワイルドホーンの数々の名曲と共に喝采を集めた。
 
このブロードウェイミュージカルに、ワイルドホーンが宝塚版の為に書き下ろした佳曲「ひとかけらの勇気」を主題歌に据え、王大使ルイ・シャルルの救出劇という新たな軸を加えた、小池修一郎の潤色・演出による宝塚バージョンが2008年宝塚星組により本邦初演。安蘭けい、遠野あすか、柚希礼音らによる上演は絶賛を集め、第16回読売演劇大賞優秀作品賞、第34回菊田一夫演劇大賞を受賞。 続く2010年、霧矢大夢、蒼乃夕妃、龍真咲、明日海りおらによる月組での再演も大好評で、常に再演の呼び声の高い 宝塚歌劇の人気演目に成長を遂げた。また、昨年、石丸幹二、安蘭けい、石井一孝らの出演による、梅田芸術劇場企画・制作の男女版の上演も大ヒットを飛ばしていて、日本ミュージカル界全体でも、広く愛される作品として定着している。
 
今回の上演は、そんな作品の宝塚歌劇での3演目であり、本邦初演である08年の星組公演時に、新人公演で主人公パーシー・ブレイクニーを演じ、一躍スターダムに躍り出た紅ゆずるが、星組のトップスターとしての披露公演で、再びパーシーを演じるという、ドラマティックな邂逅による舞台となっている。

036_L3A3550

【STORY】

1794年のフランス、パリ。1789年に起こったフランス大革命から数年が経ったパリの街では、ロベスピエール(七海ひろき)を指導者とするジャコバン党によって、貴族たちが次々と捕らえられ、公正な裁判もないままに断頭台へと送られる日々が続いていた。そんなフランス革命政府の敷く恐怖政治に異を唱える人物がいた。彼の名はパーシヴァル・ブレイクニー(パーシー・紅ゆずる)。イギリス貴族である彼は、誰にもその正体を知られぬまま、赤い星型の花「スカーレット・ピンパーネル」と名乗り、無実の罪で処刑されていくフランス貴族を密かに救い出しては、国外に亡命させる活動を続けていた。
 
そんな日々の中でパーシーは、コメディフランセーズ劇場の花形女優マルグリット(綺咲愛里)と恋に落ち、二人は電撃的に婚約。海を渡りイギリスでパーシーの妻となる道を選んだマルグリットは、最後の舞台で観客に別れの挨拶をしていた。だが、思いあまって革命政府を批判する発言をしたマルグリットに、ロベスピエールは怒り、配下の公安委員ショーヴラン(礼真琴)が公演の中止と劇場の閉鎖を言い渡す。かつてマルグリットとショーヴランは革命の夢を追い、共に闘った同士だったが、マルグリットは恐怖政治に疑義を感じ、ショーヴランはロベスピエールのもと、粛清の道を突き進むことが革命の成功をもたらすと信じ、互いの道は遠く離れていた。
それでもマルグリットとの絆は切れていないと思いこむショーヴランは、劇場の閉鎖を解くことの引き換えに、反共和派の貴族で「スカーレット・ピンパーネル」の正体を知る人物と目されているサン・シール侯爵(夏樹れい)の居所を教えろとマルグリットを脅す。悩んだ末、マルグリットは侯爵に決して危害を加えないという条件で、侯爵の隠れ家を知らせる手紙をショーヴランに渡してしまう。だが、ショーヴランがそんな約束を履行するはずもなく、「スカーレット・ピンパーネル」の正体を決して明かさなかった侯爵は、断頭台へと送られる。
 
そんな顛末を露知らぬまま、イギリスに戻ったパーシーとマルグリットは、大勢の友人たちに祝福され、結婚式を挙げていた。だが、幸福の絶頂にあるパーシーは、「スカーレット・ピンパーネル」として共に行動している友人デュハースト(壱城あずさ)から、フランスでサン・シール侯爵が処刑されたことを知らされる。侯爵の隠れ家を知っていたのはパーシー、デュハースト、もう1人の「スカーレット・ピンパーネル」の仲間であるフォークス(天寿光希)、マルグリットの4人だけだった。新婚の妻を疑うことなど思いも及ばないパーシーだったが、やがてその疑惑は紛れもないものとなる。

マルグリットへの愛と懐疑との間で懊悩するパーシーは、その思いをねじ伏せるが如く、更に信頼できる仲間を増やし、再びフランスへ渡る。彼の最も大きな目的は、王大使ルイ・シャルル(星蘭ひとみ)の奪還だった。パーシーと行動を共にする者の中には、マルグリットの弟アルマン(瀬央ゆりあ)もいたが、パーシーはマルグリットの安全の為と説き、アルマンにもマルグリットに自分たちの正体を明かさないよう固く言い渡す。そんな日々の中で、突然人が変わったようによそよそしくなった夫に戸惑うマルグリットの元へ、フランス政府特命全権大使となったショーヴランが再び現れる。
ショーヴランはなんと、パリで活動するアルマンを捕らえた。弟の命を救いたければ、「スカーレット・ピンパーネル」の正体を探る手伝いをしろと、更なる脅しをかけてきた。パーシー、マルグリット、ショーヴラン、それぞれの愛と思惑は、フランスとイギリスを股にかけて揺れ動いていき……。

153_L3A4042

7年ぶりに、宝塚歌劇版の『スカーレット・ピンパーネル』に接して改めて感じるのは、潤色・演出の小池修一郎の鮮やかな仕事ぶりだ。原作小説の「紅はこべ」、更に、昨年梅田芸術劇場の企画・制作で、ガブリエル・バリーの潤色・演出で上演された、よりブロードウェイ版に近い『スカーレット・ピンパーネル』の記憶が鮮烈な時期であるだけに、宝塚版の為に書き下ろされた主題歌「ひとかけらの勇気」をパーシーの行動の軸に置き、その最終目標を王大使ルイ・シャルル奪還に据えた、作劇の見事さが際立つ。そこには如何にも宝塚に相応しい、ヒーローのヒーローたる真っ直ぐな意志が明確に見えていて、冒険活劇としての妙味と、スピード感が増幅される効果となって表れている。更になんと言っても『ベルサイユのばら』を伝家の宝刀とする宝塚歌劇において、王妃マリー・アントワネットの遺児であるルイ・シャルルが、無事に国外に逃げ延びたというエピソードが、どれほど観客の心をつかんだかは計り知れない。この優れた着眼点を持った『スカーレット・ピンパーネル』が、引いては、宝塚に『ベルサイユのばら』とはまた違った視点の、フランス大革命ものを描き出す原動力となったことは間違いないだろう。
この作品の成功があったればこそ、のちに小池自身が手がけた『1789〜バスティーユの恋人たち』や、植田景子の『ジャン・ルイ・ファージョン─王妃の調香師─』、小柳奈穂子の『ルパン三世─王妃の首飾りを追え』、原田諒の『瑠璃色の刻』が生まれ、更に今年11月、生田大和が『ひかりふる路〜革命家、マクシミリアン・ロベスピエール〜』を発表することが決まっている、宝塚歌劇の「フランス大革命ものシリーズ」とも呼びたいほどの、あらゆる角度から、それぞれの切り口で、若手作家たちがフランス大革命に題材を求める道が開かれたと言っても過言ではない。
もちろん、大劇場空間をいっぱいに使って、ブレイクニー邸の図書室がデイドリーム号の甲板になる爽快感を頂点とする、劇場機構の巧みな使い方や、パーシー、マルグリット、ショーヴランの三角関係の美しい描き方も含め、宝塚版ならではの構築の見事さも健在で、梅田芸術劇場版の為に書き下ろされ、今回、七海ひろきが演じることで役の比重が大きくなったロベスピエールの為に宝塚版にも採用された新曲を、「ロベスピエールの焦燥」として取り込んだ巧みさ(梅芸版は、ロベスピエールを演じる役者がイギリス皇太子プリンス・オブ・ウェールズも二役で演じたので、全く曲の置かれた設定が違うとは言え)は、アレンジャーとしての小池修一郎の力量と才気を、再確認させるものに他ならなかった。

209_L3A4289

そんな作品で星組トップスターとしての披露を飾った紅ゆずるは、前述したように、初舞台から7年目までの若手だけで上演される、宝塚独自の「新人公演」という一夜限りの公演で、その初舞台から7年目のラストチャンスにして、初主演を勝ち取り、パーシー・ブレイクニーを体当たりで演じたことによって、今日トップスターにまで上り詰めるに至った人だ。宝塚というところは、初舞台間もなくから抜擢に次ぐ抜擢で、スターダムを駈け上がる人材がいる一方で、何か1つの大きな当たり役を得たことによって、一夜にして宝塚人生が全く変わるという人材もいる、リアルに劇的な世界を有している劇団だ。そこには、長くこの歌劇団を見続けている人々だけが、知ることのできるドラマが内包されていて、その一夜にして宝塚人生が変わった代表格が紅ゆずるというスターだった。
なにしろ08年初演時の新人公演のパーシー役は、紅にとって「はじめて銀橋を1人で渡った」機会だったほどで、あの一夜の成功がなかったら、今日大羽根を背負って、組全体を率いる「星組トップスター紅ゆずる」は、宝塚に存在しなかっただろう。そんな人材が、宝塚スターとしての人生を180度変えた同じ作品で、トップスターとしての披露を果たしている。この巡り合わせのドラマの前には、すべてが平伏す。フランク・ワイルドホーンの、どこまでも伸びる美声と豊かな声量なくしては歌いこなせないミュージカル・ナンバー、つまりは今の時代のミュージカルの主流となる楽曲の数々の歯ごたえの強ささえ、紅の持つドラマには敵わない。だからこそ、パーシー・ブレイクニーを出世作としたトップスターが生まれ出たことを、ただ素直に寿ぎたい。中でも紅の持ち味が「男とお洒落」のナンバーを、これまでの誰よりもウィットに富んだ色合いにしたことは、紅のパーシー独自のものだったし、そこから全体に軽快さと、洒脱さが作品に加味されたことも興味深かった。とりわけ、パーシーの変装であり、所謂コテコテに演じることも十分できるスパイ・グラバンの演技に、ある種の抑制がきちんと効いていたのは、宝塚のトップスターとなった紅の的確な判断として評価できる。洒脱なエスプリをもった、紅色に染まる新たな星組がますます楽しみになった。

その紅の相手役となった綺咲愛里も、これがトップ娘役としての正式なデビュー。これまで紅との共演経験も多く、とびきり愛らしいキュートな小顔が、紅との絶妙な好バランスを生んでいる。フランスの大女優であり、かつて革命の闘士でもあったマルグリットは、宝塚の娘役としては相当な難役に入るし、どちらかと言えばこれまで大人の個性の娘役が担当してきた役柄でもあるから、現代のアイドルに通じるルックスの綺咲には手強いものだったと思うが、台詞発声がもともとアルト系だったことや、化粧法の工夫などで、役に果敢に近づくことに成功している。何より紅との相性が良いというのは、トップコンビとしての可能性を大いに広げるものに違いなく、ここからはじまる二人を中心とした星組の未来に期待を抱かせた。

059_L3A3624

もう1人の大役ショーヴランには、これも今回から男役二番手スターとなった礼真琴が扮した。何しろこの役は初演の柚希礼音の当たり役、柚希がのちに宝塚10年に1人の大スターと称されるスターに至る、文字通り男役として化けた役柄としての記憶が鮮烈で、その柚希に憧れて宝塚に入った礼が、ここでショーヴランを演じるということにも、やはり宝塚世界ならではのドラマがあり、感慨深いものがある。マルグリットと男女の関係にあったということを、宝塚の枠組の中で見事に香り立たせて見せた柚希の色気にはやはりまだ及ばないが、そこを目指していることはよく見て取れるし、豊かな歌声は今回の上演の白眉。いずれ『ロミオとジュリエット』のロミオや、『1789─バスティーユの恋人たち』のロナンなど、青年の輝きが似つかわしい役どころを演じる礼を観てみたいという希望は、おそらく多くの観客が持っているものだと思うが、その日の為にも、ここでショーヴラン役を演じた経験が必ずや生きてくることだろう。期待したい。

そして、今回、この人の為に役柄が膨らませられた、つまり新星星組にとって欠くべからざる存在であることが、改めて印象づけられたのが、ロベスピエールの七海ひろき。フィナーレまである宝塚には、全体の上演時間に制限がある関係上、大きなスターである七海がロベスピエールを演じるからには、いっそ梅田芸術劇場版のようにプリンス・オブ・ウェールズとの二役をさせてもいいのではないか?と思ったものだったが、とにかくロベスピエールの氷の美貌があまりにも際立っていて、誰かとてつもなく美しい人が視野をかすめた…と思うと、ほぼ例外なく七海だったのには舌を巻いた。その為、決して多いとは言い難い出番の数々がどれも印象的なものになったし、難曲中の難曲である新曲「ロベスピエールの焦燥」も、小池の構成の見事さと、本人の美しさが克服していて、まさに「美は正義なり」。宝塚の至上命題を体現する人材として、今後も是非大切に遇して欲しいスターだ。

そしてプリンス・オブ・ウェールズを演じた専科の英真なおきは初演以来の登板だが、今回コメディリリーフ的な面がわずかに後退して、皇太子はパーシー=スカーレット・ピンパーネルであるということを、実は察知しているな、と感じさせる陰影が前に出たのが面白かった。これは紅の洒脱さが勝ったパーシーとの対比としても良い効果で、さすがはベテランの妙味。冒頭スカーレット・ピンパーネルに救われる伯爵夫人の組長・万里柚美、革命政府のピポー軍曹の副組長・美稀千種も、初演以来の登板で、それぞれに深みを得た演じぶりが年月を感じさせる。
一方、マルグリットの弟アルマンの瀬央ゆりあには上り坂の勢いがあるし、この公演から星組生となったマリーの有沙瞳との並びも麗しい。有沙は組替えが1つの良い転機になったようで、実にスッキリと美しくなった。持ち前の歌唱力も光り、星組での活躍が楽しみだ。パーシーに最も近しい友人デュハーストとフォークスに、紅の盟友とも言える壱城あずさと天寿光希が配されているのも、やはり紅が内包する宝塚のドラマを更に高める効果があったし、彼女たちに、十碧れいや、麻央侑希、紫藤りゅう、綾凰華、天華えま、の星組の男役群の中心を形成するきら星たちが集った「ピンパーネル団」の華やかさも目に楽しい。彼ら全員に恋人がいることで、音波みのり以下、娘役たちにもスポットが当たるのも宝塚版ならではの美点。トップコンビの幸福感あふれるデュエット・ダンスに帰結する、フィナーレの展開も美しく、宝塚版『スカーレット・ピンパーネル』独自のオーラを感じさせる公演となっている。

254_L3A4422

また、初日を前に通し舞台稽古が行われ、新トップコンビ紅ゆずると綺咲愛里が囲み取材に応えて、公演への抱負を語った。

紅は「大劇場でのお披露目公演も終えまして、東京では新たな気持ちで挑みたいと思っております。そしてちょっとずつ演出というか役作りが変わっておりまして、それをどんどん膨らませていきまして毎日、毎公演全力投球でいきたいと思っております」
 
227_L3A4346

また綺咲が「大劇場を終えて私もまた新たな気持ちで役に思い切ってぶつかっていきたいと思いますし、1回1回の公演を大切にそして精一杯千秋楽まで進化し続ける舞台を努めたいなと思っております」

229_L3A4353

とそれぞれに力強く挨拶。トップ披露公演に向かう意気込みの大きさを感じさせた。

特に、印象的だったのは、フィナーレのデュエットダンスの幸福感に満ちた様子を紅が「本当に綺咲を可愛いと思っている」と語ると、綺咲が「二回目の結婚式だと思っています」と答えたことで、コンビとしての2人と、劇中の役柄としての2人、双方が相まってあのハッピーオーラが劇場中に充満したのだなと感じられ、ここから歩みはじめるトップコンビへの期待が大いに高まった。

238_L3A4383

また「大羽根を背負って見える景色は?」と問われた紅が「孤独だと感じる人もいらっしゃると聞いていましたが、私にはなんて美しい景色なんだろうという風に映りました、毎日そう感じています」と答え、トップスターという地位に就いた人だけが見ることのできる景色が、紅にとってひたすらに美しいものであることに、感動を覚える時間となっていた。
 
250_L3A4413

尚、囲み取材の詳細は、舞台写真の別カットと共に7月9日発売の「えんぶ」8月号にも掲載致します。どうぞお楽しみに!


〈公演情報〉
宝塚歌劇星組公演
ミュージカル 『THE SCARLET PIMPERNEL(スカーレット ピンパーネル)』
THE SCARLET PIMPERNEL 
Book and Lyrics by Nan Knighton  Music by Frank Wildhorn 
Based on the Novel “The Scarlet Pimpernel” by Baroness Orczy 
Original Broadway Production Produced by 
Radio City Entertainment and Ted Forstmann 
With Pierre Cossette, Bill Haber, Hallmark Entertainment and 
Kathleen Raitt 

潤色・演出◇小池 修一郎
出演◇紅ゆずる、綺咲愛里 ほか星組
●5/5日〜6/11日◎東京宝塚劇場 
〈料金〉SS席12,000円 S席8,800円  A席5,500円 B席3,500円 
〈お問い合わせ〉東京宝塚劇場 03-5251-2001



【取材・文/橘涼香 撮影/岩村美佳】




えんぶ最新号好評発売中! 




kick 

shop 

nikkan 

engeki

愛され続けるエンターテイメントステージ『CLUB SEVEN ZERO』間もなく開幕! 玉野和紀・吉野圭吾・東山義久・西村直人インタビュー

_L3A1302_OK

ありとあらゆるエンターテイメントの要素をギュっと詰め込んで、ノンストップで走り続けるステージとして愛され続ける『CLUB SEVEN』。
その総合クリエーターである玉野和紀が『CLUB SEVEN』の形を創ってくれたメンバーとして絶大な信頼を寄せるのが吉野圭吾、東山義久、西村直人。この4人に今回はさらに原田優一、蘭乃はな、香寿たつきが加わった『CLUB SEVEN ZERO』が、6月8日からシアタークリエで幕を開ける。(6月22日まで。5月26日〜28日◎シアター1010でプレビュー公演、6月3日、4日◎梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、6月23日◎刈谷市総合文化センターアイリス公演あり)

10作目のメモリアルステージを経て、11作目となることで、新たに「ZERO」と名付けられた舞台に向けて、オリジナルメンバーの4人が、それぞれが抱く『CLUB SEVEN』への思い、4人の絆、また、お互いの魅力などを語り合ってくれた「えんぶ6月号」の記事をご紹介する。

_L3A1309_OK
東山義久・玉野和紀・吉野圭吾・西村直人

名場面をたっぷり盛り込んだ「A」「B」2つのパターン

──1昨年の『CLUB SEVEN 10th stage!』を経て、今回新たに『CLUB SEVEN ZERO』ということですが、この「ZERO」に込めた思いから教えてください。
玉野 じゃあ、ヨシ(東山)から。
東山 えぇ? それはやっぱり(笑)。
西村 そこはまず玉野さんからでしょう(笑)。
玉野 (笑)6年ぶりにこの4人が集まって、『CLUB SEVEN』の立ち上げと言いますか、形を作ってくれたのがこの4人なので、1つの集大成であり、新しい出発という意味で、「ZERO」がいいんじゃないかな? と。今回、男性5人、女性2人、作品がはじまった一番最初の形にもなっているので「ZERO」と名付けました。
──はじまりであり集大成でもあると言うと、これまでの名場面なども?
玉野 そうですね。「10」まではとにかく走り続けて来て、次々と新しいものを創ってきたので、今回はこれまでの色々なキャラクター、面白いものも、楽しいものもたくさんあるので、手直ししつつまたお見せできたらなと。
吉野 新作もやりますよね。
玉野 あぁ、もちろん、もちろん。回顧だけではなく、新たなものも創っています。ただ、お客様の中からも『CLUB SEVEN』ならあれがなくちゃ! というものが、どんどん出てきた中で、進化もし、ハードルも上がって、ある意味1人歩きをしている。それも含めて『CLUB SEVEN』なのかな? と思うので、「1」から観てくださっているお客様には、懐かしいキャラがいっぱい出てくると思います。この機会にあれもこれも、とピックアップしていったら3時間じゃ収まらなくなって、AとBの2つのパターンになりましたので、是非両方観て欲しいです。
──そういう意味で、2つのパターンがあるんですね? かなり内容は違うのですか?
玉野 そうですね、「スケッチ」と呼んでいるコントの要素のあるものは、4つ変えているので。
東山 4つっていうことはほぼ全部ですよね?(笑)。
玉野 あぁ、まぁね(笑)。
──では2公演分覚えるということですか?
西村 (間髪を入れず)そういうことなんです。
吉野 早かったよね、今(笑)。
東山 即答だった(笑)。
玉野 だから僕も今一生懸命やっているのに、終わらないのは何故なんだろう? と思っていたら、倍作っていたんだ! と(笑)。でも、お客様への感謝の意味も込めて、頑張ろうと思います。

_L3A1331_OK

阿吽の呼吸で通じ合える4人

──改めて、こうしてこの4人が集まったことについては?
吉野 なんでもできるね。
西村 うん、なんでも来い!
玉野 なんでも渡せるメンバーなので、もう極端に言えば「ここ頼むね」って白紙の台本でも渡せる連中だから。
東山 いや、方向性だけは示してくれないと!(笑)
西村 でもタイトルだけとかあるよね(笑)。
玉野 ここで面白いことして!とネタを出してもらったり、アイディアを持ち寄りながら、『CLUB SEVEN』は皆で創ってきたという感じなので。
──この4人ならではのものというあたりは?
吉野 やっぱりチームワークじゃないですか? それぞれが自分を出してきて、ちゃんとまとまると言うか。
玉野 阿吽の呼吸はあるね。それぞれ1人1景、任せられる、『CLUB SEVEN』の皆が主役であり、皆がアンサンブルである、という基本の方向性をきちっと押さえてくれている人たちなので、僕が芯となるものを作ってしまえば、後はどんどん進化させてくれる。安心して任せられるメンバーですね。

_L3A1357

皆が主役でありアンサンブルである『CLUB SEVEN』

──他の共演者の方達については?
玉野 香寿たつきさんと原田優一さんは『CLUB SEVEN』に出ていますし、今回、蘭乃はなさんだけが初めてなんですが、他の仕事で一緒にやっているし、宝塚では、百戦錬磨で色々やってきている人だから信頼しています。ただ『CLUB SEVEN』はとにかくやることが多いので、初めての人はびっくりするかなとは思います。1つのショーの中で色々なキャラクターをやり、ミュージカルもやり、最後の「五十音メドレー」は今回78曲ありますから。
──そんな『CLUB SEVEN』ならではの魅力を、改めて語るとすると?
西村 僕がもし客席で『CLUB SEVEN』を観たとしたら、やっぱり一番驚くだろうなと思うのは、出演者の意外性ですね。ヨシにしても、圭吾(吉野)にしても、他の舞台でこういう人だと思っているイメージが覆る新しい発見があるので、それはきっとお客様に楽しんで頂けるんじゃないかなと。
吉野 出演者全員がこれだけヒーヒー言っている舞台はないと思いますし、自分で演じていてもこれだけ体力を使う舞台はなくて、毎回自分への挑戦なので「俺たちの生き様を見ろ!」みたいな(笑)。覚えることも多くて本当に大変なのですが、それを乗り越えた時の達成感にはなんとも言えないものがあります。
東山 色々な自分が出せる、新しい発見が常にあって、それが次の舞台に役立つことも多いので、お2人が言った通りなのですが、あとは『CLUB SEVEN』は家族のようになれる場なんです。とにかく全員で力の限りやるので、苦しい顔も、大変な部分も見せていて、客席からも「これだけやっているんだから応援しよう!」という共通の空気感が生まれる。文字通りのジェットコースターエンターテイメントなので、遊園地みたいな感じで楽しんで頂けるのが最大の魅力だと思います。
玉野 ミュージカルなら基本的には1つの役を演じますし、ショーは歌と踊りで構成されて行きますが、『CLUB SEVEN』にはそれらの要素に、更にコントの要素もあったり、あらゆることをやる、というのが他の舞台とまず違うところです。更に『CLUB SEVEN』って必ずその人の本質が見えてくるので、そこは引き出したいなと思っています。その人の得意分野だけじゃなくて、何にでも挑戦して必死でやる、「一生懸命ってカッコいいじゃないか」というところを、最初から大切にしてきました。今では皆成長してくれて、グレードアップしているけれど、その一生懸命さは変わっていないし、「もっと上を!」と目指し続けている皆が、第一線で活躍してくれているのも嬉しいですね。昨年、弟分という意味合いの『GEM CLUB』も創りましたけれど、そこに出ていた若い人たちにとって『CLUB SEVEN』が目指す場所であってくれたら嬉しいなと思いますね。

_L3A1342

認め合い、高め合って、新たなステージを

──是非、お互いの魅力を語ってください。
西村 お互いに?
玉野 ちょっと難しいよね(笑)。
東山 直人さん(西村)は「ミスターCLUB SEVEN」ですよね。
吉野 完全に玉野さんの右腕だから、玉野さんと直人さんがいないと『CLUB SEVEN』はできない。あとは、僕は直人さんの絶対に役を捨てないという姿勢を「1」の時から強く感じていて、それが自分の指針になりました。どんな舞台でも頂いた役を捨てないように、直人さんに負けないようにと思ってやってきました。
西村 あぁ、今日はいっぱいお酒飲もう(笑)。いや、でも恥ずかしいね、褒められるって(笑)。
玉野 日本人は褒められ慣れてないから(笑)。
西村 次行かせてもらって(笑)、圭吾はとにかく努力家。先輩にはたくさんいたんだけれど、今熱い人が本当に減っているので、唯一残っていると言っていいくらい熱い人です。
東山 僕の初舞台が圭吾さんの主演舞台で、その後も『レ・ミゼラブル』や『宝塚BOYS』で同じ役をやらせて頂いて、ずっと背中を追ってきた憧れの人の1人だし、なんでもできる人だと思っていたら、稽古場でここまでやるんだというくらいとことん探求されるので、またこうして一緒にできるのが嬉しいです。
吉野 そういう風に、ヨシは人のことをよく見てるよね。それでフォローもしてくれる。コントでもなんでも拾ってくれるから、安心して投げかけられます。
玉野 よく見てるし、覚えてるし、視野が広いね。
西本 一見アウトローな感じがするんだけど、ちょっとワルっぽい感じ?
東山 チャラい感じなんでしょう?(笑)
西村 そこにちゃんと、すごくきちんとしたところが混ざっている、その微妙なバランスがヨシの魅力だよね。親御さんに感謝しないといけないのかもしれない。
玉野 そこに女子はやられちゃうんだよね。だからモテるんだ。
東山 いい話をして頂いたと思ったのに!(笑)そういう玉野さんは、よく奢ってくれます(爆笑)。
西村 地方公演に行く度に一番良いところをリサーチしてくれて。
吉野 楽しみだなぁ(笑)。
玉野 また出費が重なる(笑)。

_L3A1352_OK
 
西村 (笑)玉野さんの良いところは、いつも言いますけど子供なところです。自分のおもちゃ箱から、これで遊ぼう! これも、これも、と、どんどん出して来て遊んでいる、そこから出来上がるのが『CLUB SEVEN』であり、他の舞台なので、その箱に魅力がいっぱい詰まっていて、これからもまだまだ出てくるんじゃないですか。
玉野 どうだろうね(笑)。でもプレイヤーがやってくれて、また発見もあって、おもちゃが増えていくんだと思う。
東山 とにかく愛が深い方なので、1人1人のことをよく見てくれていて、直人さん、圭吾さん、僕、それぞれにしかできないものを作ってくださるから。
玉野 僕が観客だったら、直人のこれが観たい、圭吾なら、ヨシなら、そうして創ってきたのが『CLUB SEVEN』だからね。
吉野 それに応えて、観て良かった! と思えるものを必ず創りたいと思います。
西村 今回懐かしいものもたくさんあるからこそ、初めてご覧になる方にも楽しめるものにしたいですね。
東山 「ZERO」ということで、原点に帰って誇りを持って、日本を代表するエンターテイメントショーを創りましょう!
玉野 このメンバーでまたいつできるか分からないので、一期一会の気持ちで最高のショーを創りますので、是非観に来てください!

_L3A1377_OK
東山義久・玉野和紀・西村直人吉野圭吾

たまのかずのり○山口県出身。オリジナルミュージカルの作・演出・振付、また出演もこなすオールラウンドのエンターティナーで、日本を代表するタップダンサー。最近の主な作・演出・振付・出演作品に『CLUB SEVEN』シリーズ、『道化の瞳』『私のダーリン!』Show House『GEM CLUB』A NEW MUSICAL『CROSS HEART クロスハート』『ALTAR BOYZ』等、『サットン・フォスター来日記念ガラコンサート』の演出・振付・出演、『小林幸子50周年記念コンサート』の総合演出なども。第34回菊田一夫演劇賞受賞。

よしのけいご○東京都出身。音楽座、劇団四季を経て、『MOZART!』『レ・ミゼラブル』『ジキル&ハイド』『ダンス・オブ・ヴァンパイア』『ライムライト』等、数多くのミュージカルで活躍。最近は性格俳優としても活躍の幅を広げている。第34回菊田一夫演劇賞受賞。最近の主な出演作品は『1789〜バスティーユの恋人たち〜』『ピーターパン2016』『バイオハザード〜ヴォイス・オブ・ガイア〜』等、本年7月に『空中キャバレー』、10月に『レディ・べス』への出演も控えている。『CLUB SEVEN』は「9th stage!」以来の出演となる。

ひがしやまよしひさ○大阪府出身。00年『エリザベート』のトートダンサーで一躍注目を集める。03年に「DIAMOND☆DOGS」を結成し、総合演出も手掛けている。その後も新プロジェクト「BOLERO」など、多方面に表現活動を展開中。最近の主な出演作品はVOCE CONCERTO 『GALAXY DREAM』プレミアム・ファンタジー・アクト・シアター『カルメン〜ドン・ホセの告白〜』『BOLERO 2016〜モザイクの夢』『ALTAR BOYZ』『エジソン最後の発明』等、『CLUB SEVEN』は「10th stage!」に続いての出演となる。

にしむらなおと○東京都出身。劇団急旋回を経て、持ち前のダンス力や、タップダンスの特技を活かし、ミュージカル作品をはじめとした様々な作品で幅広く活躍中。近年の主な出演作品は『レ・ミゼラブル』『まさかのChange!?』『マイ・フェア・レディ』『ミー&マイ・ガール』『志村魂』『しゃばけ』水木英昭プロデュース『眠れぬ夜のホンキートンクブルース第二章〜飛躍〜』など。本年、8月には『志村魂12』への出演も控えている。『CLUB SEVEN』シリーズのすべてに参加している。


〈公演情報〉
クラブセブンPR

『CLUB SEVEN  ZERO』
脚本・構成・演出・振付・出演◇玉野和紀
出演◇吉野圭吾 東山義久 西村直人 原田優一 蘭乃はな 香寿たつき
●6/8〜22◎シアタークリエ 
〈料金〉10,000円(全席指定・税込) 
〈お問い合わせ〉東宝テレザーブ 03-3201-7777
●5/26〜28◎シアター1010(プレビュー公演)
〈料金〉9,500円(全席指定・税込)
●6/3・4◎梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
●6/23◎刈谷市総合文化センターアイリス公演 
〈HP〉http://www.tohostage.com/club_seven/



【取材・文/橘涼香 撮影/岩村美佳】



えんぶ最新号好評発売中! 




kick 

shop 

nikkan 

engeki 
記事検索
QRコード
QRコード

演劇キック

観劇予報

宝塚ジャーナル

演劇人の活力源

日刊えんぶ

えんぶ情報館

えんぶショップ

えんぶミロクル

えんぶfacebook

広告について