宝塚ジャーナル

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ボリウッドの煌めきに乗せて新トップコンビ紅ゆずる&綺咲愛里が華やかに始動!宝塚星組公演『オーム・シャンティ・オーム〜恋する輪廻〜』

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宝塚星組の新トップコンビ紅ゆずる&綺咲愛里コンビのプレお披露目公演、マサラ・ミュージカル『オーム・シャンティ・オーム〜恋する輪廻〜』が、有楽町の東京国際フォーラムホールCで上演中だ(18日まで)。

2007年にインド国内で大ヒットし、その後世界各地で上映され、多くの映画ファンに愛されているインド映画の傑作『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』。ボリウッドのトップ舞踊監督ファラー・カーン監督、“キング・オブ・ボリウッド”と称されるシャー・ルク・カーン主演、この作品への出演をきっかけにボリウッドのディーヴァとなったディーピカー・パードゥコーンがヒロイン務めるなど、ボリウッドの粋を極めた映画として知られている。今回の星組公演は、そんな作品の舞台化で、宝塚歌劇団が初めて挑むインド映画を元にしたミュージカルとなっている。

【STORY】
1970年代のインド映画界。エキストラ俳優のオーム・プラカーシュ・マキ—ジャー(紅ゆずる)は、人気女優シャンティプリヤ(シャンティ・綺咲愛里)に密かな恋心を抱き、いつか必ずスターになってシャンティを迎えに行ける日を夢見ながら、名前もない役柄を務め続ける毎日を過ごしていた。そんなオームの想いを自身もエキストラ女優だった母のベラ(美稀千種)と、友人で脚本家見習いのパップ—(瀬央ゆりあ)は信じ、応援していた。
ある日、ロケ現場で事故が起こり、炎の中に取り残されかけたシャンティを身の危険も顧みずオームが救い出したことから、2人は急接近。シャンティから「私達は友達よ」と言われたオームは天にも昇る気持ちを抱き、何事か悩みを抱えているらしいシャンティを懸命に励ます。だが、シャンティの悩みとは、敏腕プロデューサーのムケ—シュ(礼真琴)と秘密裏に結婚している事実を世間に公表できずにいるままに、ムケ—シュをめぐる女性関係のゴシップがマスコミを騒がせていることだった。
「手を伸ばせばきっと幸せに届く」というオームの言葉に背中を押されたシャンティは、ムケ—シュに自分たちの結婚を公表して欲しいと懇願するが、すでにシャンティ主演の大作映画『オーム・シャンティ・オーム』の準備が進んでいる今、とても無理な相談だと断られ、遂にムケ—シュの子供を宿していることを打ち明ける。それは映画界で更なる栄光を手に入れようとしているムケ—シュにとって、抜き差しならない事態であり、事の顛末を立ち聞いてしまったオームにも大きな衝撃を与える話だった。進退窮まったムケ—シュは、2人の結婚を盛大に披露しようと言葉巧みにシャンティを呼び出し『オーム・シャンティ・オーム』のセットもろとも、シャンティを焼き殺そうとスタジオに火を放つ。その場に駆けつけたオームは必死でシャンティを救おうとするが、火勢はオーム1人の手に余り、自らも大怪我を負いながら助けを呼びに走り出たところで、大スターのラージェシュ・カプール(壱城あずさ)の車にはねられ、命を落としてしまう。妻の出産に立ち会おうとしていたラージェシュは事故をもみ消し、その日生まれた男の子に奇しくもオームという名をつける。
それから30年。大スターの子として成長したオーム・カプール(紅ゆずる)は、スター俳優としてボリウッドに君臨していて…

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インド映画は日本でも『ムトゥ踊るマハラジャ』がブームになった時期などを経て、仮にじっくりと観たことがないという人にも、なにがしかのイメージとしては浸透しているのではないだろうか。例えるならば突然繰り出した大人数が賑やかに踊り出し、また何事もなかったかのように去っていくシーンに象徴される、ある種の荒唐無稽なパワーと、独特の音楽などは、すでに相当な認知度を得ていると思う。
そんなインド映画の持つ力が、トップスターを中心に何があろうとも主人公が正義であることが貫かれている宝塚の世界と、極近しい親和性があることを今回の舞台『オーム・シャンティ・オーム〜恋する輪廻〜』は見事に証明している。物語はインド映画の世界では定番のひとつでもあるという「輪廻転生」をテーマにしているのだが、それが単なる生まれ変わりの神秘にとどまらない驚きをも秘めていて、冷静に考えるとやや戸惑う展開があるのも事実ではある。
けれどもこの「冷静に考えると」というところが、すでにこの作品とは相いれない思考なのは間違いなく、「どうして?」とか「何故?」とかいう疑問を差し挟んで、理由や理屈を要求するのではなく、提示された事象を、ただ提示されたままに受け留めて、主人公の純粋な恋心にときめき、適役の陰謀に怒り、悲しい別れに涙したあと、主人公の逆襲に歓呼して、煌びやかな歌とダンスがたっぷり盛り込まれた勧善懲悪の物語に浸ることこそが、観劇の正しい在り方なのだと気づかされる。しかも、一種ファンタジーに通じるその世界観が、「大スター」が存在することによって現代の物語として着地できているとなれば、もう成功は見えたようなものだ。スターの輝きがすべてをねじ伏せる物語が、宝塚に向かないはずはない。

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そんな確信を脚本・演出の小柳奈穂子はきちんと持っていたのだろう。舞台はインド映画ならではの煌びやかさと、起伏の激しい展開を直球に提示しつつ、何よりもこの公演が星組の新トップスターとなった紅ゆずるの、プレ披露公演であるいうことに徹底的にフォーカスして進んでいく。その一念に徹した潔さは爽快ですらあって、さすがは二番手時代の紅に『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』という揺るぎない代表作を用意した演出家ならではの、行き届いた目配りに感心させられた。それは、『キャッチ・ミー…』で紅の父親役を演じた専科の夏美ようが、今回の舞台ではすでに亡くなっている主人公オームの父親の遺影として、写真出演していることや、2幕で大スターとなっているオームが出演しているCM看板に、これまでの紅の主演作品の扮装写真が違和感なく網羅されているなどの、心憎い仕掛けばかりでなく、全編に渡り、芝居で、歌で、ダンスで新トップスター紅ゆずるを徹頭徹尾盛り立てる構成が心憎い。更にその手法がすなわち、インド映画のセオリーにも合致しているのだから、これは見事な企画の勝利と言えるだろう。

そんな作品で、新トップスターとして華々しく登場した紅が、実に多彩な表情を見せてくれるのが、なんとも目に楽しい。これまで紅ゆずるというスターが培ってきたパブリックイメージの中で、最も大きな認知度を得ているだろう、ちょっとおどけた表情はもちろん、どこか寂し気でピュアな顔、穏やかな優しさ、激しい感情の振幅の表現、そして、思いっきり気障に決めた姿等々。エキストラ俳優からスター俳優へと生まれ変わる役柄の、1幕と2幕の設定変化ばかりでなく、それぞれの幕の中にも、紅の様々な魅力と、表情が見えて飽きさせない。1つの作品の中で、これだけ万華鏡のように多彩なスターの魅力が堪能できるのも珍しく、従前からのファンにはもちろん、星組トップスターとしての紅の魅力に、この作品で改めて気づける人も多いことだろう。本拠地宝塚大劇場での披露公演に向けて、実に良いスタートを切ったことが頼もしい。

そうした多面的な表情で魅せる紅に対して、相手役となった新トップ娘役綺咲愛里の、ぶれない美しさが良い対照を成している。1幕では大スター女優、2幕ではその女優にそっくりなスターに憧れる娘を演じ分けるが、スター女優の時にはやや低めに発声している台詞の声に自然さがあり、2幕との対比も鮮やか。何よりスレンダーなプロポーションとキュートな小顔が、紅との相性抜群。まずビジュアル面からコンビとしての並びの良さが秀でていて、今後様々な形で二人三脚をしていく2人の豊かな可能性が感じられたのが何よりだった。

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そして、やはりこの公演から星組の二番手男役として登場した礼真琴が、果敢に難役に挑んでいる。二番手の男役にはしばしば色濃い敵役が回ることもあるとは言え、今回の野心家のプロデューサー・ムケ—シュほどの敵役は、宝塚オリジナルの脚本ではまず登場してこないだろう。それほど言ってしまえば救いようのない悪役で、未だどこかに可愛らしさも秘めている若き男役スターの礼にとっては、高いハードルだったと思うが、定評ある歌唱力はもちろんのこと、台詞発声の豊かさがその挑戦を大きく助けている。聞いていて実に気持ちの良い、ビロードのような手触りを感じさせる声に、大人のワルの造形が支えられていて、ここでこれだけの難題をクリアしたことは、礼にとって大きな財産となると思う。今後に期待したい。

他に母親の息子に対する大きな愛を表現した美稀千種、大スターをカリカチュアして見せた壱城あずさ、映画監督とその息子のワガママぶりで「七光り」の力関係をくっきりと提示した如月蓮と十碧れいや、相変わらずの美声が貴重な夏樹れいなど、星組の個性的な面々の中で、主人公の親友パップ—に扮した瀬央ゆりあの躍進ぶりが一際目を引き、新トップコンビ誕生と共に星組に新しい風が吹いてきていることを強烈に印象づけていた。

何より舞台全体が煌めいているとも思えるゴールドを基調とした衣装と、インド舞踊の特徴を巧みに取り入れた振付が作品の個性を際立たせていて、宝塚とインド映画双方の良いところが、タイトル通りのマサラ(インドのミックススパイス)な味付けで、新生星組の始動を飾ったのが喜ばしく、組の明るい未来が予見できる公演となっている。

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〈公演情報〉
宝塚歌劇星組公演
マサラ・ミュージカル
『オーム・シャンティ・オーム 〜恋する輪廻〜』
(C)Red Chillies Entertainments Pvt Ltd./Asian Films Co.,Ltd.

脚本・演出◇小柳奈穂子
出演◇紅ゆずる 綺咲愛里 ほか星組
●1/6〜18◎東京国際フォーラムホールC
〈料金〉S席 8,800円 A席 6,000円 B席 3,000円 (全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉阪急電鉄歌劇事業部 03-5251-2071(10時〜18時 月曜定休)
〈公式ホームページ〉http://kageki.hankyu.co.jp/




【取材・文/橘涼香 撮影/岩村美佳】




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ミュージカル『美少女戦士セーラームーン』-Amour 0Eternal-が北海道に上陸!

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竹内夢、長谷川里桃、野本ほたる、楓、小林かれん、(2016年10月公演より)

昨年の秋に新たな戦士たちで上演されたミュージカル『美少女戦士セーラームーン』-Amour Eternal-が、その好評を受けて、本年3月、北海道・恵庭市民会館 大ホールにて再演されることが決定した。ついに『美少女戦士セーラームーン』が待望の北海道初上陸となる!

セーラームーン・月野うさぎ役の野本ほたる、セーラーマーキュリー・水野亜美役の竹内夢、セーラーマーズ・火野レイ役の小林かれん、セーラージュピター・木野まこと役の楓、セーラーヴィーナス・愛野美奈子役の長谷川里桃、そしてタキシード仮面・地場衛役の大和悠河など、全キャスト続投で、歌とダンスはもちろん、映像演出やアクロバットを多用した豪華な舞台が再び目の前に繰り広げられる!

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大和悠河(2016年10月公演より)

 また、色々な企画も用意され、ファンには楽しさ倍増の公演となりそうだ。
 
【回替わりお楽しみ企画】
◆お見送り詳細
3月11日(土)12:00公演 ...セーラームーン+セーラーちびムーン+エリオス
3月11日(土)17:00公演★...外部太陽系4戦士
3月12日(日)12:00公演★...ネヘレニア+ジルコニア+アマゾン・トリオ
3月12日(日)17:00公演 ...セーラー5戦士

【サービス・デー】
オフィシャルファンクラブ<Pretty Guardians2016-2017>会員を対象にしたチケット最速先行販売と"サービス・デーを設けることが決定! 1月14日(土)12:00より受付を開始する。
◆サービス・デー対象公演
3月11日(土)17:00公演
3月12日(日)12:00公演
◆プレゼント内容
A賞:キャスト撮影会
B賞:5戦士サイン入りパンフレット
C賞:オリジナルICカードステッカー


※昨年の公演のレビューはこちら
http://takarazuka-j.blog.jp/archives/1871268.html

〈公演情報〉
『ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」-Amour Eternal-』
原作◇武内直子(講談社刊)
脚本・演出◇平光琢也
音楽◇佐橋俊彦
作詞◇Lynne Hobday、平光琢也
振付◇當間里美
出演◇野本ほたる、竹内夢、小林かれん、楓、長谷川里桃/
汐月しゅう、藤岡沙也香、石井美絵子、高橋果鈴/神田愛莉、平山ひかる
大月さゆ、坂井香奈美/安藤千尋、立道梨緒奈、Yumi
大和悠河、他
●3/11、12◎北海道・恵庭市民会館 大ホール
チケット一般発売は2月11日(土・祝)午前10:00よりスタート
 





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柚希礼音を中心に弾ける、ポップな音楽に満ちた色鮮やかな祝祭劇『お気に召すまま』

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演劇界最高峰のトニー賞受賞者である演出のマイケル・メイヤーと音楽のトム・キッドが、柚希礼音を中心とした日本の個性豊かな役者たちと、全く新しいポップでロックなシェイクスピア世界を描き出した意欲作『お気に召すまま』が、日比谷のシアタークリエで1月4日に初日を開けた(2月4日まで)。

没後400年を経た今も、世界中で上演が続いている演劇界の巨星ウィリアム・シェイクスピア。その作品群の中で、最も幸福な喜劇とも呼ばれる『お気に召すまま』は、これまでも様々な形で上演されているが、今回、マイケル・メイヤーが選んだのは、作品の設定をアメリカが最も幸福だった1960年代に移し替えるという試みだった。これにより劇中の宮廷はアメリカの政治の中心地であるワシントンD.Cに、アーデンの森はヒッピーの聖地サンフランシスコのヘイト・アシュベリーになり、日本にも大きな影響を与えたヒッピームーブメントの香り溢れる、独特の世界観の中で舞台は進行していく。

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【STORY】
ワシントンD.C.で暮らすオーランド—(ジュリアン)は、跡継ぎである兄オリヴァー(横田栄司)に虐げられ、当然の権利である学業も満足に受けていないことに不満を募らせ、自らの進路を切り拓く為多額の報奨金が得られる拳闘の試合に挑むことにする。一方、政界から追放された父親と離れ、姉妹同然に育った従姉妹のシーリア(マイコ)と共に暮らす娘ロザリンド(柚希礼音)は、挑戦者が勝った試しのないこの試合に臨もうとする見知らぬ若者を気の毒に思い、無謀な挑戦を諦めるようオーランド—を説得に行くが、一目会ったその瞬間に2人は互いに恋に落ちてしまう。
しかし、オーランド—が試合に勝利して一躍ヒーローとなったことから、兄オリヴァーの弟への嫉妬の念が噴出。命を狙われる身となったオーランド—はヒッピーの聖地ヘイト・アシュベリーに逃げ延びる。時を同じくして、シーリアの父であり、政界を牛耳るフレデリック(小野武彦)から追放を命じられたロザリンドも、彼女を心底案じて父親に逆らいロザリンドと行動を共にすると宣言したシーリアと道化者のタッチストーン(芋洗坂係長)と共に、ヘイト・アシュベリーへ向かう。
ヘイト・アシュベリーではロザリンドの父フレデリック(小野武彦・二役)が、悲観主義者のジェークイズ(橋本さとし)や、歌い手のアミアンズ(伊礼彼方)等と共に、悠々自適な生活を送っていた。その仲間へと迎え入れられたオーランド—は、ロザリンドへの思いの丈を込めた無数の詩を木々に書き留めて歩くが、同じヘイト・アシュベリーで、男装して身分を隠し、羊飼いたちと暮らしていたロザリンドのもとに、シーリアがその詩が書かれた紙を持ち帰る。オーランド—もヘイト・アシュベリーにいる!そう気づいたロザリンドは一計を案じ、男装したままオーランド—と対面。自分をロザリンドだと思って、恋の告白の練習をしてみたら?と持ちかけて……。

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舞台に接してまず感じるのは、シェイクスピア作品独特の言葉遊びや、比喩表現をたっぷりと含んだ台詞が、実にすんなりと耳に馴染んでくることだった。それは舞台を彩る俳優たちが、膨大な台詞を滑らかに伝えてくれる高い技術を持っていることはもちろんだが、「日本語として耳で聞いて、この台詞は面白いか?きちんと意味が通じるか?」に、細心の注意を払ったというマイケル・メイヤーの優れた感性が、台詞の隅々にまで活かされている証拠でもある。日本語を母国語としていない演出家が、この作業に費やした労力は途方もないものだったはずだが、これによって物語は「シェイクスピア=古典」という図式から解き放たれて軽やかさを増し、ストーリー自体が持っている良い意味の他愛なさと、祝祭感を増幅する力となっていた。
 
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しかも、白1色の背景の中で、スーツ姿やワンピース姿の登場人物が織りなしていた宮廷=ワシントンD.C.のシーンから、ミュージシャンたちが舞台上で音楽を奏でるアーデンの森=ヘイト・アシュベリーへと舞台が移るとき、背景は色鮮やかにキッチュに染まる。その劇的な変化が、この作品のポップな味わいをより高めてくれる。
もちろん出演者たちの衣装も一転して、ベルボトムのジーンズや、フリンジのついたバックスキンのベスト、ペーズリー柄のマキシワンピースなど、ヒッピー文化の象徴でもあったものに変わるのだが、今見るとレトロでもあるそのファッションは、フォークロアの流行で一昨年あたりから、日本でも新たなブームとなり、若者たちの心をつかんだこともあって、リアルな可愛らしさも十分に感じさせる。

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そこに、トム・キッドの書き下ろしたキャッチーなフォークロックの新曲が、ジェファーソン・エアプレインやフランク・シナトラの既成曲と絶妙に溶け合い、自由を謳歌するハッピーなオーラを振りまいていて、なんとも効果的なのだ。
その音楽を、楽器を奏でながら歌う伊礼彼方や、ミュージカルでも優れた才能を発揮しているジュリアンが、それぞれ歌いあげるシーンは、「音楽劇」と呼んでもいいほどの魅力を放っている。他にもカートに乗って登場する子役たちや、金属的なセットなど、シェイクスピア作品の時代設定を1960年代に移しただけではない、まさに現代を感じさせる表現も盛り込みつつ、作品の魅力は損ねずに新たな読み解きとして提示してみせる。そんなマイケル・メイヤーの独創的な表現が劇場中に満ちているのだ。

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キャストたちは、まずヒロイン・ロザリンドを演じている柚希礼音が実にチャーミング。冒頭のワンピース姿も新鮮だし、ヘイト・アシュベリーに向かってからのジーンズ姿は、やはり身に馴染んでいて自由さを増すとともに、より一層輝いている。それでいて、宝塚で培ったキザでカッコいい男役姿とはまた違った、女の子が一生懸命演じている男の子という設定に相応しいボーイッシュな魅力があって、これは宝塚時代からのファンの目にも、嬉しい姿に違いない。特にラストのラスト、それもカーテンコールの後に、宝塚の男役トップスターだった柚希礼音ならではの、シャレたエピローグが用意されているので、柚希のスター性と共に乞うご期待である。もちろん、宝塚時代の柚希を知らなくても、シェイクスピア作品のエンディングとして面白く観られるだけでなく、作品タイトルに帰結するものにもなっていて、マイケル・メイヤーやトム・キッドの粋な仕掛けに感動すら覚えるのだ。

冒頭から舞台を引っ張るオーランド—のジュリアンは、まずその台詞術の見事さは圧倒的。トム・キッドの新曲「ロザリンド」も美しく豊かに歌い切り、観客を作品世界にがっちりと引きこむ牽引車の役割を十二分に果たしていた。ロザリンドをひたすら恋し、ロザリンドからも一目で愛される青年として、常に清々しく舞台に位置したのも好印象だった。

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ロザリンドを姉とも自らの片割れとも慕うシーリアのマイコは、シェイクスピア作品には初挑戦とのことだが、台詞の発声が美しく、声もよく通り、クルクルとよく動く表情も豊か。清潔感のある美貌も活き、純粋で愛らしいシーリアそのもので、女優としての可能性の広がりを感じさせた。

また、悲観主義者のジェークイズに扮した橋本さとしが、やはり群を抜く存在感。「この世界はすべてこれ一つの舞台、人間は男女を問わずすべてこれ役者にすぎぬ」にはじまる、シェイクスピア作品の中で最も有名で、その作劇の根幹を成しているとも思える台詞も、印象的に客席に届けていて、俳優としてノリにノっている彼の地力を示していた。冒頭部分でもう一役、ルヴォーとしても登場するが、自身が変身の妙を楽しんでいることが伺えて、観ている側にもその楽しさが伝わってくる。

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二役を演じ分けると言えば、ロザリンドの父とシーリアの父、追放された者と追い落とした者を、佇まいまで変化させて表現した小野武彦の巧みさには目を瞠る。一方、1人の人間の心もちの激変を唐突感なく伝えたオリヴァーの横田栄司は、その確かな演技力で役を光らせている。出て来ただけで味わいのある青山達三、とびきりの個性派・芋洗坂係長、小柄さと美声で一際目立つ入江加奈子など、実力派揃いの出演者が舞台狭しとひしめく中で、歌い手として舞台を浚ったアミアンズの伊礼彼方の存在が、トム・キッドの音楽の素晴らしさを余すところなく伝えてくれていたのが、まさにこの作品の贅沢さを象徴していた。

アメリカではなくこの日本で、ブロードウェイの才能が集って、アメリカン・シェイクスピアともいうべき新たな舞台を、日本の素晴らしいキャストたちと共に創り出したこの『お気に召すまま』。その意味は大きく、これまで数々の優れた舞台を生んできたシアタークリエ10周年の開幕に相応しい、冒険と演劇の豊かさあふれる舞台となっている。


〈公演情報〉
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『お気に召すまま』
作◇ウィリアム・シェイクスピア
演出◇マイケル・メイヤー
音楽◇トム・キット
出演◇柚希礼音、ジュリアン、橋本さとし、横田栄司、伊礼彼方、芋洗坂係長、平野良、古畑新之、平田薫、武田幸三、入絵加奈子、新川將人、俵木藤汰、青山達三、マイコ、小野武彦 ほか
●2017年1月4日〜2月4日◎シアタークリエ
〈料金〉11,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉東宝テレザーブ 03-3201-7777


【取材・文/橘涼香 写真提供/東宝】







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ライブ・スペクタクル『NARUTO-ナルト-』新作が2017年5月に上演!

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Ⓒ岸本斉史 スコット/集英社 Ⓒライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」製作委員会 2017


2015年3月に舞台化され、緻密で斬新な演出と、まるで漫画から飛び出してきたようなビジュアルで、国内4都市にとどまらず海外3都市でも旋風を巻き起こした舞台、ライブ・スペクタクル『NARUTO-ナルト-』。2017年5月、ついに新たな物語が動き出す。

初演で大きな話題を呼び、その熱が冷めぬままに行われた今夏の再演では、特殊演出のパワーアップや音楽の一新といった更なる進化に挑み、益々その勢いを加速させ、ワールドツアー版は現在も世界を駆け巡っている。そんな中、2017年5月、新作公演決定の情報と共に、全キャストとキービジュアルが解禁された!
 
初演・再演に続き、主人公うずまきナルト役に松岡広大、うちはサスケ役に佐藤流司の続投が決定。また、サスケが復讐心を燃やす兄、うちはイタチ役には、数々の舞台での活躍も目覚ましい良知真次を迎える。また、宝塚出身の悠未ひろが当たり役の大蛇丸で引き続き登場するのに加え、大湖せしるも綱手役で参加! 前作のラスト「終末の谷」から時を経た、その先の新たな物語がついに動き出す。
 
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本シリーズならではの、さまざまなギミックを取り入れた児玉明子の演出アイディアが駆使されることはもちろん、今回新たに“歌”という要素が追加され、目にも耳にも刺激的なライブ・スペクタクル『NARUTO-ナルト-』に進化する。新たに紡ぎだされる「暁の調べ」に乞うご期待!

【役名/キャスト】
うずまきナルト 松岡広大
うちはサスケ  佐藤流司
春野サクラ  伊藤優衣
はたけカカシ  君沢ユウキ
ヤマト  藤田 玲
サイ  北村 諒
薬師カブト  岡田亮輔
綱手  大湖せしる
鬼灯水月  萩尾圭志
香燐  七木奏音
重吾  山口智也
干柿鬼鮫  林野健志
デイダラ  辻 諒
トビ  片山浩憲
大蛇丸  悠未ひろ
うちはイタチ 良知真次

〈公演情報〉
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ライブ・スペクタクル『NARUTO-ナルト-』〜暁の調べあかつきのしらべ〜
原作◇岸本斉史 「NARUTO-ナルト-」(集英社 ジャンプ コミックス刊)
脚本・演出 ◇児玉明子
音楽◇和田俊輔
出演◇松岡広大 佐藤流司/伊藤優衣 君沢ユウキ/
藤田玲 北村諒 岡田亮輔/大湖せしる/萩尾圭志 七木奏音 山口智也/
林野健志 辻諒 片山浩憲/白崎し誠也 寒川祥吾 宮川連 野間理孔 松林篤美 知念紗耶/
悠未ひろ/良知真次

Ⓒ岸本斉史 スコット/集英社 Ⓒライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」製作委員会 2017






柚希礼音主演『お気に召すまま』




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