宝塚ジャーナル

花・虞美人 凰稀かなめ、ユナク出演

井上芳雄主演で新たに生まれるミュージカル『グレート・ギャツビー』製作発表レポート

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20世紀の文学史における最高傑作の一つとされ、これまで幾度の映画化を生んできた名作『グレート・ギャツビー』。この作品を宝塚歌劇で、世界初のミュージカル化に成功した小池修一郎が、主演に井上芳雄を迎え、脚本・演出を新たに再び名作に挑む、ミュージカル『グレート・ギャツビー』が、5月8日〜29日まで、日比谷の日生劇場で上演される。(のち、6月3日15日名古屋中日劇場、7月4日〜16日大阪梅田芸術劇場メインホール、7月20〜25日福岡博多座での上演)

原作は、F・スコット・フィッツジェラルドの代表作であると同時に、アメリカ文学をも代表すると称される傑作同名小説。経済、文化が大きく発展し、大バブル時代を迎えていた1920年代のニューヨークで、真実の愛を求め続けた男が、破滅へと向かう悲しくも美しい物語は、時を超え今も輝き続けている。1974年にロバート・レッドフォード、2013年にはレオナルド・ディカプリオ主演による映画化がなされていて、世界初のミュージカル化が、小池修一郎による宝塚歌劇団での上演で、1991年に杜けあき主演で初演(「華麗なるギャツビー」として上演)、更に2008年に瀬奈じゅん主演で、1本立ての公演として改訂されて再演された、小池修一郎の代表作でもある作品だ。

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そんなミュージカルが、新作『BANDSTAND』でブロードウェイ・デビューを果たすリチャード・オベラッカーによる全曲書き下ろしの楽曲と、小池自身の新たな脚本、歌詞、演出によって、また新しく生まれ出ることになり、1月末製作発表記者会見が都内で行われて、脚本・演出の小池修一郎、主演の井上芳雄をはじめとしたメインキャストの面々、夢咲ねね、広瀬友祐、畠中洋、蒼乃夕妃、AKANE LIV、田代万里生が登壇。公演への抱負を語った。 
 
【登壇者挨拶】

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小池修一郎
 皆様本当に朝早くからお集りくださいましてありがとうございます。宝塚歌劇で『華麗なるギャツビー』を上演したのは26年も前のことになります。私自身の『グレート・ギャツビー』との出会いは、「夢淡き青春」というタイトルで翻訳されていたものをおそらく高校生位の時に読んだのだと思います。それから映画が来まして、文字だけだとピンこなかったところが映像で見てこういう感じなんだという風に思い、僕の中では1920年代はもっと華やかだと思っていたのですが、映画には現代的な印象を持ちました。原作本はタイトルに惹かれて読んだのですが、こういう物語をいつかミュージカル、舞台にしたいという気持ちを持っておりました。それから宝塚に入り、1986年に演出家デビューさせて頂いたのですが、その時にもこの作品と『ヴァレンチノ』をやりたいと思っておりましたが、著作権の問題でギャツビーは見送りとなり、『ヴァレンチノ』が上演されました。それから5年後に念願かなって『華麗なるギャツビー』をやらせて頂きました。その時にご好評を頂き、菊田一夫演劇賞を受賞しました。そのことが私がこうして宝塚以外の、外部の仕事もさせて頂けるきっかけになったと思います。色々な思い出深い作品です。次は今から9年前の2008年に日生劇場で上演させて頂きました。この時は、宝塚の組単位で全員が出るものではなくて、また2本立ての1本でもなくて、1本もので宝塚の生徒40名位でやりました。大劇場でやった時のものをベースに手を加えてやりましたが、なかなか難しさを感じました。物語をもう1度構築し直すということが大変な作業だったと記憶致しております。
今回、東宝と梅田芸術劇場さんで井上芳雄さんを主演に上演したいと言うお話を頂きました。アメリカを代表する物語なので、音楽をアメリカの方に書いて頂いたらどうかという話になり、どのような方にお願いするか検討して参りました。何人かの候補の方が手を上げてくださいましたが、その中で、この人ならという方がリチャード・オベラッカーさんで、これからブロードウェイに出て行く新しい作曲家です。その方に依頼して全曲を書いて頂きます。1曲をこれから井上君が歌いますが、それらの曲をどのように劇中に使うかを考えながら台本を書く作業をしている最中でございます。『グレート・ギャツビー』を新たに日生劇場で、井上君を中心としたこのメンバー、割とフレッシュだと思いますが、フレッシュじゃないですか?(笑)顔合わせとしては割と新しいかなと思います。私自身昔からやりたかった物語で、過去に2度やっておりますが、再び取り組む訳ですが、ある意味一番プレッシャーを感じているのは、井上芳雄君という存在です。それはどういうことかというと、2000年に『エリザベート』、2002年に『モーツァルト!』をやった後、彼とは15年間新作をやっておりません。先日まで『エリザベート』でトートをやってくれていますが、何かこれは、帰ってきたという感じがあり、すごく未知のことを一緒にやっている感覚はなかったです。そういう意味では私の知っている井上君は2002年で止まっています。再演を重ねるごとに成長して行ったのは皆様よくご存知だと思いますが、見た目はそんなに変わらないです。でも改めて見ると俳優として確固たる地位を築いていて、ミュージカルでもストレートプレイでもかなり難役と言われるものに挑戦し、若手俳優として日本の演劇界を見渡してもこれほどキャリアを重ねている人はいないのではないかと思います。色々な役を演じ、本数も充実度も彼は着実に歩んで達成している。そう思って見ると、彼の良さが出るギャツビーとはどういうものなのかを非常に悩みつつ、構築を考えているところでございます。
音楽はこれから聞いて頂くとわかるのですが、すごくオーソドックスなイメージです。他に候補になった方の中には、ソンドハイムの遺伝子を持つような人、オフブロードウェイの流れをくむ音楽を創られる方、様々におられましたが、中でリチャード・オベラッカーはスケールが大きくオーソドックスな感じの音楽で、聴き方によっては少し古く感じますが、いい意味でクラシカルで、ノスタルジックな要素があります。その音楽と井上君を始めフレッシュなメンバーでどういう『ギャツビー』になるのか、私自身楽しみにしているのと同時に、恐れとおののきもあります。というところで、5月を皆様お楽しみにと申し上げたいところですが、私自身がちょっと怖いです(笑)。スリルと興奮を覚えています。是非劇場にお運び頂ければと思います。 

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井上芳雄
 ギャツビー役をやらせて頂きます井上芳雄です。打ち合わせではひとりひとりのコメントは1〜2分という話だったのですが、小池先生と同じくらいしゃべらないといけないのかと思うとプレッシャーです(笑)。小池先生がギャツビーへの想いや僕への身に余るコメントを下さいました。小池先生には初舞台の時から手取り足取り教えてもらってここまで来たので、その小池先生からこんな風に言って頂けるなんて、僕も逆に怖いなという思いです。初舞台から今までなんとか舞台を続けさせてもらって今日に至るのですが、今先生の話を聞いていて、色々な作品の経験があったのはこのギャツビーの為だったんだと言えるように、もしくは皆様にそう思って頂けるようにしたいなと思っておりました。小池先生の宝塚歌劇での代表作ですし…、今、隣で小池先生が大変深いため息をつかれましたけれども(笑)、それをもう一度今のこのメンバーで新しく創ろうと思って下さったことがまずとても光栄であり、すごいことだなと思います。このフレッシュなメンバーでそれに応えたいと思います。
ギャツビーという役は、男優ならば、もしくは宝塚を入れれば女優でも、誰もががやりたいと思う素晴らしい役だと思いますので、プレッシャーを感じますが、全部を受けとめながらこのメンバーで新しい作品を創れたらいいなと思います。どうなるかはわからないのですが、小池先生と翻訳物ではない新作をご一緒するのは初めてなんです。全然稽古が終わらないというのを噂に聞き「あー大変だね」とこれまでは人ごとのように言っていましたが(笑)、今回経験出来るので、とにかく同じ船に乗った運命共同体だと思いますので、まだ誰も観たことがない『グレート・ギャツビー』を皆さんにお見せすることが楽しみでなりません。最後に今回素晴らしいチラシ写真を撮って下さったChagoonさんという韓国の方は(チラシ写真を)だいぶ盛って創って下さって(笑)、僕なんか「あれ、これ誰だろう?」と自分で思いました(笑)。なので、舞台を観て「あのチラシの人最後まで出てこなかったね」と言われないように(笑)、チラシに負けないように、外見も中身も充実させて頑張りたいと思います。 よろしくお願いします。

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夢咲ねね
 デイジー役を演じます夢咲ねねです。私は宝塚在団中に小池先生のこの作品を観て初めて『ギャツビー』という作品を知り、そこから興味が沸いて小説や映画を観て、どんどん「ギャツビーに出てみたい」という気持ちが自分の中で高まっていたのですが、在団中にはご縁がなかったので、卒業して素敵な方たちと『グレート・ギャツビー』という作品にご縁を頂き、出演させて頂けることを幸せに思います。演出や曲も新しくなると言うことで楽しみにしておりますが、たくさんの方が演じて来たデイジーという役を、新しく創れるようにフレッシュに頑張りたいなと思います。 

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広瀬友祐
 トム・ブキャナン役を演じさせて頂きます広瀬友佑と申します。本日はお集まり頂きましてありがとうございます。今回この作品に出演出来ること、小池先生演出の元、井上芳雄さんを始め素晴らしいキャストの方とご一緒出来ることを嬉しく思っております。初日を迎えるまでに越えなければいけない高い壁がたくさんあると思いますので、やれることは全てやってフレッシュに頑張りたいと思います。 どうぞよろしくお願い致します。
 
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畠中洋
 ジョージ・ウィルソン役をやらせて頂きます畠中洋と申します。すみません一人だけこんな恰好ですが衣装です(笑)。そういう役です。まだ手元に何もない状態なのでここで何を話したらいいのかなと思いましたが、みなさんがお話されるのを聞いてそうなのか!と思いました。小池先生とは20年ぶり位にご一緒させて頂けるので嬉しく楽しみにしておりますし、このようなキャストの方とご一緒出来ることを幸せに光栄に思います。ウィルソンによってギャツビーがああいう結末を迎えてしまうのですが、だからこそ楽しんで、真摯に役や作品と向き合って深めていきたいなと思っております。どうぞ楽しみに待っていてください。ありがとうございました。 

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蒼乃夕妃
 マートル・ウィルソンをさせて頂きます蒼乃夕妃です。本日はお越しくださりありがとうございます。今回この作品に参加出来ることを嬉しく思っております。今日ここに座っている男性の方々は始めましての方ばかりで、女性の方はお久しぶりの上級生の方ばかりで、今からわくわくしております。小池先生とご一緒させて頂くのは、トップお披露目公演だった『スカーレット・ピンパーネル』以来、7年ぶりなので、今から正直とても怖いのですが、いい意味でイメージを打ち破っていけるように頑張りたいと思います。マートル・ウィルソン役はとてもセクシーでかわいらしい女性だと思います。宝塚も卒業したのでとてもつもなく女らしく演じられたらと思っております。よろしくお願いします。 

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AKANE LIV 
ジョーダン・ベイカー役をやらせて頂きますAKANE LIVです。このジョーダンという女性はかしこくてプライドが高く、あの時代に女性プロゴルファーとして活躍していたので、結構気の強い女性なのかなというイメージがあったのですけれども、この作品に出演させて頂くということで原作を読み直したら、シーンによっては繊細な部分も持ち合わせている女性だと思うので、小池先生の新しく創られる台本を読んで、この素晴らしい皆様とどういうふうに作っていけるかを楽しみだなと思っています。そして小池先生とは2011年の『MITSUKO〜愛は国境を越えて〜 』以来なので、私も同じく怖くもあり、ドキドキしているのですが、一生懸命頑張りたいと思います。よろしくお願いします。 
 
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田代万里生
 ニッキュ、ニッキュ(噛んでしまい)、あ、まだ練習が足りていませんでした(笑)。ニック・キャラウェイ役を演じさせて頂きます田代万里生です。本当にとてつもなく大きな役を頂いてしまったなと、大きな責任を感じております。この原作『グレート・ギャツビー』はとても名作というイメージがあったので、どんな大御所の方が書いたんだろうと思ったら、 F・スコット・フィッツジェラルドさんは29歳の時に出版されているんですよね。僕より年下の方が書いたんだと思いますと身近に感じられます。またニックという役が、物語の中で29歳から30歳の誕生日を迎えて、その2年後に『グレート・ギャツビー』の話を語り出す、という流れになっているので、僕の実年齢にも近い役なので、原作者にも、そしてニックという役にも、これからたくさん共通点を見付けられるんじゃないかなと思っております。物語はニックの語りではじまり、ニックの語りで終わる形になっていて、今回のミュージカルではどのようになるかまだこれからですが、今まで『サンセット大通り』という作品で、ジョーというストーリテラー役をを務めた際の感覚と、原作を読んだ時の感覚がすごくマッチするところがあるので、今までの経験が活かせたらなと思います。小池先生とは『エリザベート』のルドルフとフランツ、『MITSUKO』のコンサートバージョンでご一緒させて頂きましたが、。僕も今回、新作と言う意味では初めて挑戦させて頂きます。たくさん登場人物はいますが、多くの登場人物がニックを通して心情をお客様に伝えたり、ニックにしか本音を言わなかったりというシーンもたくさんありますので、そういうところも丁寧に演じさせて頂きたいなと思います。よろしくお願いします。

リチャード・オベラッカー(メッセージ代読)
 人生には夢がめぐりめぐってくる瞬間があります。私にとってはこのプロダクションこそがまさにその瞬間なのです。小学生で初めてこの小説を読んだ時、自分のミュージカル第1作目はこれにしようと心に決めました。この物語には時代を越える不朽の教訓が描かれています。それらが観客の皆様のお耳に届き、心に残ることを願っています。もしも私の音楽がそれに貢献できるとしたら、その時こそが遥か昔に生まれた私の夢が実現する瞬間なのです。

【質疑応答】

──キャストの皆さん『グレート・ギャツビー』についてこれまで持っていた印象、またご自分の役について今の時点でどう思っていますか?
井上 最初に観たのは、小池先生が創られた宝塚版の初演の映像だったと思うのですが、主演の杜けあきさんの「背中デカいな」というのが(笑)。肩パットが入っていたとは思うのですが(笑)、そういうことではなくて、もちろん女性だと知って観ていましたが、背中で語るという印象がすごく強くて、女性なのにと言いますか、女性だからなのかも知れませんが、それが出せるということがすごいと思いました。後はギャツビーという役は男性の象徴と言いますか、あらゆる男性のロマンティックなエキスをギュッと凝縮したらギャツビーになるのではないかという気がしています。僕は小池先生という方もすごくロマンティックな方だと思っていて、隣にいるのに言うのもなんですが(笑)、小池先生の創る作品はすべてロマンティックで、ギャツビーという役もすごくロマンティックです。基本的に男性って馬鹿なロマンチストばっかりだと思うのですが、少しでも賢く生きたいと僕たちはもがいているのですが、ギャツビーはただただ自分のロマンの為だけに色々な嘘をつく、だから男性は馬鹿だけれども1つこの嘘をつくと決めた時のエネルギーってすごいと思います。女性はもっと賢く生きていると思うので、男性のある種の理想、結末がどうであれ、彼は生ききったと思うので、すごくロマンティックな人だなと。それを自分がどう演じられるかはわかりませんが、今はそう思っています。

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夢咲 
パーティの場面などもたくさんあるのですが、ただ楽しいだけではなくて少し毒気もあると言うか、どこかに剣山のような針がチクッとするような、何かがある浮かれ方だと思います。退廃的なムードを感じます。デイジーに関しては、最近のヒロインは芯が強かったり、闘う女性が多いと思うのですが、デイジーは真逆ですごく弱く、誰かにいつも頼って、誰かが傍にいて助けてくれないとダメな、精神的に弱い女性かなと思うので、そういう揺れる女心みたないものも出せるようになったらいいなと思います。あと、今、芳雄さんもおっしゃったのですが、デイジーも「綺麗なおバカさんでいたい」という台詞があるので、デイジーにも綺麗なおバカさんに隠れていたい、そうあった方が楽だというところもあるのかなと思うので、そういうところも出していきたいと思います。

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広瀬
 僕は『グレート・ギャツビー』は映画で見たのですけれども、作品の印象としては今芳雄さんが言ったようにロマンティックだなと言うのと、どこにベクトルを向けるかで印象が変わってくるのかなと思います。トム・ブキャナンという役は本当に傲慢で、好色と言うのか、嫌味な奴だという印象があるので、僕自身はすごく真っ白ですごく良い人なので(笑)共通点は見つからないんですけれども。
井上 そろそろ俺が突っ込んだ方がいいのか?(会場爆笑)、ただの良い人で終わるのか?(笑)
広瀬 はい、そういうことです(爆笑)。

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畠中 作品は僕もまだ映画でしか観ていないのですが、皆さんおっしゃっていますがロマンティックな作品だなと思いました。ただ僕の役に関しては、ギリギリ感がすごくあって、一生懸命働いて、働いて、働いて、自分の奥さんをギャツビーに殺されたと勘違いしてしまって、結局ギャツビーを撃ち殺してしまうという、とっても可哀想な男の役なんです。そのギリギリ感が狂気に変わって1歩を踏み出してしまう、その感じをすごく上手に映画ではやっていらしたので、真似るではないのですが、そこを目指して深めていきたいと思います。すみませんトークは苦手なので、これで勘弁してください。

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蒼乃
 私はこの作品を最初に観たのは、小池先生のミュージカルの瀬奈じゅんさん主演の時で、映画もロバート・レッドフォードさんと、レオナルド・ディカプリオさん主演のものを2本観ましたが、とても退廃的でありながら、出てくる人全員がすごく上り詰めたいという野望を抱いているイメージがありました。マートルという役は、デイジーやジョーダンのように洗練された女性ではないと思うのですが、自分の生きる境遇の中で、できるだけオシャレで、できるだけイカした自分でいたいという彼女の欲求をすごく感じたので、そこが彼女の生きる意気込みと言いますか、上流階級の女性への憧れがすごくあって、トムのような方の愛人になっているのかなと思います。その心の中で渦巻いているギラギラした野望のようなものを、たくさん表現して行けたらいいなと今思っております。

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AKANE
私は最初に本を読んだのですが、その時はあまり理解できなくて、面白い本だと言われていたけれども、私にはまだちょっと早いのかな?と思って読んでいました。その後映画を見たら、看板などが象徴的に使われているのが印象に残って、アメリカのバブルの時代に上流社会の人たちはハーティをしたりして楽しんでいるようでいて、実は仮面をかぶっていて心の奥では満たされない部分を1人1人が抱えていて、そういう面をニックを通して、私の演じるジョーダンも色々な面を見せて行くのが面白いなと改めて思いました。これが舞台になったらどうなるのか、楽しみだなと思っております。

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田代
 作品に関しては、イメージとしては何か制約がすごくあって、それは結婚や、恋愛、禁酒法などから、開放されたいという思いがすごく強い印象を受けました。勢いのあったアメリカと、衰退していくアメリカの両方が混ざったような年代なので、ジャズの音楽もすごく変化をしていった時代でした。ということは、まさにミュージカルに打ってつけなんではないかという気持ちです。そしてニックという役は、登場人物の中では、他のキャラクターがすごくアクの強い役ということもあって、最初の第一印象としてはすごくマイルドな役に感じていたのですが、読み進むにつれて結構皮肉なことも思っていたり、恋愛のシーンでもタジタジしながらも皮肉な態度を取ったりもしているので、偏った人間というよりは、人間的な要素が色濃く、魅力の詰まったキャラクターなのかなと思います。

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──本日歌唱披露をされる井上さん、現時点でリチャード・オペラッカーさんの音楽にどんな印象を持たれていますか?
井上 何故僕だけが歌わされるのか?と思っていて(笑)、皆にも歌って欲しいなと思っているのですが、代表して歌わせて頂く曲は、小池先生もおっしゃったように壮大なイメージではありました。他の曲のデモも聞かせて頂いているのですが、曲によって当然ですが印象が違いますが、でもどの曲もとても綺麗な、安定した心地の良いメロディを書かれる方だなと感じています。それを僕たちが物語の中で歌う時には歌詞を乗せていかなければならないので、今から歌う曲もそうなのですが、メロディの素敵さと共に、感情ですとか、ここで歌う意味というものを強く打ち出していって初めて完成するのかなという風に感じています。後はまずレベルが高い、アメリカ人は凄いなっていう感じはします。ただ、今回は一方的に出来上がったものを頂いてやらせてもらうというのではなくて、一緒に作っていって、場合によっては「こんなんじゃないだろう!」とラスベガスに突っ返して…絶対しませんけれども(爆笑)、気持ち的にはそういう風に喧々諤々とやり合いながら、一緒に作れるのが今回のエポックだなと思っているので、大切に歌わせて頂きたいと思います。

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続いて歌唱披露が行われ、井上芳雄がリチャード・オペラッカーの新曲「夜明けの約束」が歌い上げた。裏の顔も持って生きて来たギャツビーがデイジーに再会し、裏社会とは決別して、新しい人生を生きて行こうと決意するナンバーで、井上自身の言葉通り、如何にも現代のミュージカルらしい壮大なメロディの楽曲が繰り広げられた。

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歌唱披露を終えた井上からは「本番はこれの5割増しに良いと思うので、今歌った曲を含めて是非劇場にいらして楽しんで頂けたら嬉しいです。これから僕たちで小池先生のリードのもと形を作っていきますので、まだ未知の世界ではありますが、日本のミュージカル界にとっても非常に重要な作品になると思います。日米の作品がタッグを組んで作って行くエポックになればと思っておりますし、ゆくゆくは『エリザベート』や『レ・ミゼラブル』のように、再演を重ねる、日本のミュージカル界を支える作品になっていければいいな、という意気込みを持って頑張ります。是非応援をよろしくお願い致します。本日は本当にありがとうございました」という力強い挨拶があり、公演への期待の高まる時間となっていた。

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〈公演情報〉
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ミュージカル『グレート・ギャツビー』
原作◇ F・スコット・フィッツジェラルド 
音楽◇リチャード・オベラッカー 
脚本・演出◇小池修一郎 
出演◇井上芳雄、夢咲ねね、広瀬友祐、畠中洋、蒼乃夕妃、AKANE LIV、田代万里生  他
●5/8〜29◎日生劇場
〈料金〉S席 13.000円、A席 8.000円、B席 4.000円
〈お問い合わせ〉帝国劇場日生公演係 03-3213-7221(10時〜18時)
●6/3〜15◎中日劇場
〈料金〉A席 13.000円、B席 7.000円
〈お問い合わせ〉0570-55-0881(10時〜18時オペレーター対応 24時間音声自動対応)
●7/4日〜16◎梅田芸術劇場メインホール
〈料金〉S席 13.000円、A席 9.000円、B席 5.000円
〈お問い合わせ〉梅田芸術劇場 06-6377-3800(10時〜18時)
●7/20〜25◎博多座
〈料金〉A席 13,500円 特B席 11,000円 B席 8,000円 C席 5,000円
〈お問い合わせ〉博多座電話予約センター 092-263-5555(10時〜18時)
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【取材・文・撮影/橘涼香】


花・虞美人 凰稀かなめ、ユナク出演 




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凰稀かなめ待望の退団後初主演作!ミュージカル『花・虞美人』詳細発表!

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紀元前3世紀、中国の楚漢戦争を舞台に繰り広げられるミュージカル『花・虞美人』が、3/26からの東京・赤坂ACTシアター公演を皮切りに、名古屋、大阪で上演される。

中国では有名な「項羽と劉邦」の物語をもとに、虞姫にスポットをあてた新しいストーリーで、男の戦いの陰にあった美女・虞姫(ぐき)=虞美人の運命にスポットをあて、虞姫の別れ、怨み、愛をミュージカルとして描き出す。
 
虞姫には、元宝塚歌劇団宙組トップスター凰稀かなめが、待望の退団後の初主演として挑む。劉邦には、ユナク(超新星)、そのほかに若手人気俳優・松田凌や、ベテラン高橋由美子や大澄賢也など豪華なキャスティングとなっている。そして、このほど項羽役に出演を予定していた清水良太郎の降板に伴い、新たなキャストがダブルキャストとして決定した。1人は音大卒の高身長イケメンヴォーカルグループ「LE VELVETS」の黒川拓哉、そしてもう1人は2000年に「新人発掘オーディション〜21世紀の石原裕次郎を探せ!〜」で応募総数52,005名の中から最終選考の10人に残った池田努。このダブルキャストの出演スケジュールもこのほど確定した。

【あらすじ】
美しい娘・虞姫と、青年・劉邦ほは、永遠の愛を誓い合う。だが、幸せの絶頂だった結婚前夜、秦の始皇帝の軍が村を襲い、虞姫は連れ去られてしまう。劉邦は決死の覚悟で虞姫を救いに行くも、すでに虞姫の姿は無い。引き裂かれる二人。そこに現れる一人の男 項羽。別れ・復讐、そして愛。はたして虞姫の運命は…。

【キャスト】
凰稀かなめ・・・・・・・虞姫
ユナク(超新星)・・・・劉邦
黒川拓哉 (LE VELVETS)・・・・項羽
池田努・・・・・・・・・項羽
松田凌・・・・・・・・子期
岡田亮輔・・・・・・・・樊噲
石橋直也・・・・・・・・韓信
桑野晃輔・・・・・・・・趙高
今井ゆうぞう・・・・・・宗義
小野健斗・・・・・・・・懐王
奥田圭悟・・・・・・・始皇帝
高橋由美子・・・・・・・呂雉
大澄賢也・・・・・・・・范増

※えんぶ4月号(3/9発売)では、凰稀かなめインタビューを掲載します。お楽しみに!

 
〈公演情報〉
ミュージカル『花・虞美人』
脚本・演出◇岡本貴也
音楽◇鎌田雅人
出演◇凰稀かなめ ユナク(超新星) 黒川拓哉(LE VELVETS)・池田努(Wキャスト) 松田凌 岡田亮輔 石橋直也  桑野晃輔 今井ゆうぞう 小野健斗 奥田圭悟/高橋由美子 大澄賢也  他
〈料金〉プレミアムシート 13,000円 S席 11,000円 A席7,000円(全席指定・税込)
●3/26〜31◎東京・赤坂ACTシアター
●4/15〜16◎名古屋・愛知県芸術劇場大ホール
●4/22〜23◎大阪・森ノ宮ピロティホール
〈お問い合わせ〉(株)ジェイロック 03-5485-5555



花・虞美人 凰稀かなめ、ユナク出演 




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ミュージカル『アルジャーノンに花束を』アリス・キニアン役に取り組む! 水夏希インタビュー

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現代アメリカの作家、ダニエル・キイスの代表作として、日本でも長く愛され続けている『アルジャーノンに花束を』。知能を人工的に発達させた時、人は本当に幸福になり得るのか?という重いテーマから、平凡に生きていけることの幸福や、家族への愛が立ちのぼる作品は、様々な形で映像化や舞台化がされてきている。
そんな作品群の中でも、珠玉のミュージカル作品として高い評価を得ているのが、鬼才荻田浩一の手によるミュージカル版。浦井健治を主人公チャーリーに迎え、9人の出演者で紡がれる舞台は、2006年の初演時から美しい音楽と、幻想性も加えた演出があいまって大評判となり、2014年にも再演。傑作ミュージカルとして人々の心に深く刻まれている。
 
その舞台が新しく主人公のチャーリィ・ゴードンに矢田悠祐を迎えて上演される。主人公チャーリィを1人の人間として見守り続けるアリス・キニアンには、元宝塚雪組トップスターで女優の水夏希。
この新たなカンパニーによる作品作りもたけなわの2月初旬、その稽古場を訪ね、アリス役への取り組み、矢田を盛り立てるカンパニーの話、荻田演出の面白さ、そして、直近に出演した宝塚OGによる『エリザベートTAKARAZUKA20周年スペシャル・ガラ・コンサート』で感じた思いなどを語ってもらった。

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今まで演じたことがない新たなキャラクター

──新生『アルジャーノンに花束を』が稽古に入って、進捗状況はいかがですか?
今回、結構本読み期間が多かったんです。私の今までの経験では、本読みはだいたい1回か2回ぐらいで立ち稽古になっていたのですが、今回は歌稽古もしながら、歌入りの本読みなども含めて2週間くらいありました。今回が再々演で、すでに出来上がっている作品ですから、しっかりと作品の全体像や、登場するキャラクターのイメージなども、荻田先生から詳しく教えて頂けたので、スタートとしてはスムーズに入れたかなと思っていました。ところが実際に立ってみると、座っていた時とは勝手が違うことがたくさんあって、改めて自分の中で構築していかなければと痛感しているところです。
──荻田作品は、メインで芝居をしているシーン以外にも、舞台に登場することが多いのでは?
そうなんです。すごく出ていますし、そのシーンでは空間を埋める必要があります。例えば病室とか研究室とかのシーンでも、セットがリアルに作り込まれているわけではなくて、すべてが抽象空間の中ですから、ここはどこで、手術から何日目で、私は何をしに、何の為に来たのかを、役者がすべて自分の中で作り込まなければならない。そこは丁寧にやりたいし、アリスとしての人生を埋めていく作業がたくさんあります。特にミュージカルなので、音楽とストーリーがリンクして折り重なるように進んで行くので、ひとつのミュージカルナンバーの間に時が経っていたり、シーンが変わったりすることがたくさんあります。自分の中で経過を整理してどんどん前に進まないといけないし、気持ちも変化していくので、難しいです。
──演じるアリス・キニアンという役柄について、稽古が進んでいる中だからこそ感じる思いや発見などはありますか?
今まで演じたことがないキャラクターだなと実感しています。これまでは、私が宝塚の男役出身ということもあって、男気があったり、気が強かったりなど自分の持ち味に近い役を頂くことが多かったんです。退団して6年半、今、7年目に向かっているところですが、今回は、今まで私が求められていた役柄とは全く別のキャラクターで、まず発声から違いますし、芝居をしている時のポジションも違います。そこで、役柄の構築の仕方、自分の中の何をピックアップしてアリスという人物を作っていくのかなど、これまでの経験とは全く異なるものを感じています。
──その意味ではチャレンジとも言えると思うのですが、そこから刺激を感じたり楽しさを見出したりという部分は?
まだ楽しいというところまでには至ってないのですが、自分と向き合って丁寧に模索していく中で、「あ、こんな面もあるんだ」とか「こういうところをすごく大雑把にやっていたんだな」とか、発見はすごく多いです。
──演出の荻田さんから、アリス役を演じるに当たって、こうあって欲しいなど要望はありましたか?
本読みでの細かい要望はなかったのですが、まだ稽古が始まる前、台本を読んだ段階で「台本のこの展開で、私ならアリスとは違う答えをすると思う」と相談したところ、「自分の持ち味とは異なるところで役作りをして欲しい」と。スタートからそれは意識して稽古に入りました。今のところ「アリス特訓・集中講座」みたいなことは特にないのですが(笑)、チャーリーとの対話や、ストラウス教授やニーマー教授とのシーンなど、関わる人たちのキャラクターを細かく説明してくださるので、そこからアリス像も浮かび上がってくるのを感じています。

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宝塚の時には見られなかった荻田さんの自由な一面!? 

──関係性を築いていくカンパニーの皆さんについてはどうですか?
矢田(悠祐)君と戸井(勝海)さんと(皆本)麻帆ちゃん以外は、とてもよく知っているメンバーばかりなので、やはり「はじめまして」の3人が非常に興味深いですね。あーこういう風にやるんだとか、例えば麻帆ちゃんの表現などは「私の引き出しの中に1ミリもないな」と思ったりするので、すごく刺激的で魅力的だなと思っています。チャーリーの矢田君は初主演のうえに本当に出ずっぱりで、歌も台詞も膨大だし、役柄もとても難しい。彼は今26歳ですけれど、ちょうど私もバウホールで初主演をさせて頂いたのがそのくらいで、急に場面や台詞が増えて必死だった自分と重なるところもありますね。今、稽古をしているところが、アリスがチャーリーを見守り、導くというシーンということもあって、チャーリーを心から応援する気持ちになります。ただこれから場面が進むと、チャーリーとアリスのパワーバランスも変わってくるので、その時に自分がどう居るべきなのか、自分がどう感じるのか、というのを、また丁寧にアンテナを張り巡らせていきたいと思います。
──水さんも1つの作品でほぼ出ずっぱりということを数々経験されていますから、矢田さんの気持ちがわかるでしょうね。
彼はそのうえ初主演で、「こんなに台詞を言ったことも、歌ったこともないんです!」と言うので、戸井さんや(小林))遼介君など先輩方も、「これがいいよ、こんな風にしてみたら?」とか、皆がかわるがわるあの手この手という感じで(笑)矢田君を応援しています。温かいカンパニーだなと思います。
──良い雰囲気で稽古が進んでいるのですね。荻田演出についてはいかがですか?
私は宝塚時代は、荻田先生とはショーでしかご一緒したことがなくて、お芝居は初めてなのですが、宝塚の時とは全く違う一面を垣間見るどころか「全然違う」(笑)、と感じるところが面白いです。
──具体的にどう違うと感じるのですか?
『アルジャーノンに花束を』という作品が再々演ということもあって、先生の中で、練り込まれて、膨らんでいらっしゃるということもあるのかもしれませんが、チャーリーをはじめとした役者たちへの要求もとめどなく出て来ますし、その合間に自分の頭の中にある「ボケ、ツッコミ」を全部自分でやるみたいなところがあって(笑)。「自由だぁ!」と思います(笑)。ご本人は「全然僕、自由になんかやってない」とおっしゃるかもしれませんが(笑)。宝塚の時には見せなかった面を開放していらっしゃるのが面白いなと思っています。特に今回、私は科学者、研究者の役なので、この世に生きている全世界の人たち、「人類」は、根本的にはだいたい同じフォルムと同じ内臓を持っているけれど、でも細かくは1人1人全部違いますよね。精神世界も違います。そういうことを扱っている作品に携わっているだけに、人間観察が面白いし、イマジネーションがどんどん膨らんでいく稽古場です。

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新たな回答を頂けた黄泉の帝王トート

──そうした新しい役柄を探求しながらも、先日まで宝塚OGによる『エリザベートTAKARAZUKA20周年スペシャル・ガラ・コンサート』公演では久しぶりに男役で、トート役に取り組んでいかがでしたか?
退団直後は、男役をやることを封印していたのですが、6年経って、男役であったこととか、女性として生きていくことが、自分の中で自然に受けとめられるようになってきたので、今なら男役当時のままの扮装を作品を通してやることも、きっと自分にプラスになることが多いだろうと思って、チャレンジさせて頂きました。とはいえ舞台に立つ前には、フルバージョンで男役をやった時に自分がどうなるのか、当時に戻ってしまうのか、それとも男役はもういいなと思ってしまうのか、不安も多かったのですが、実際には、今の自分の変わらない日常の中で受けとめることができたので、とても面白かったです。
──ある意味、男役を女優として演じることとがこなれてきたのでしょうか?
いえ、最初に稽古をした時には、同期などから「もうちょっとカッコよくキザってやってね」と言われたりしました(笑)。自分ではキザってやっているつもりだったし、男役にはすぐ戻れると思ってもいたのですが、退団してから日常生活の中でも、芝居の中でも、男役でやってきたことをやらないように、やらないようにと、意識して意識して削ぎ落として来ていたので、やらないことが日常になっていたんだなと気づきました。なので、あの頃の目線ですとか、動き、芝居のやり方を思い出していく作業もしました。その結果、お客様が「男役だった時とは全然違うトート像でした」と言ってくださったり、お客様から新たな回答を頂けた、面白い時間でした。
──トートという役どころが、男役と言い切っていいのかという独特な役でもありますから、女優としての蓄積も加味されたでしょうか?
どうなんでしょう? それは自分ではよくわからないけれど、確かにトートは独特で人間ではない役柄なので、そういうところもあったのかもしれません。ただやはり、『エリザベート』という作品自体の難しさと、男役を演じるという非日常に対する難しさもあって、ものすごく神経を遣って疲れました(笑)。
──でもまた水さんのトートに出会えたことは嬉しかったです。ほぼ当時のままの雪組メンバーでの上演もありましたし。
ありがとうございます。やっぱり懐かしかったです。すごく色々なことを思い出しました。「となみ(白羽ゆり)大人になったなぁ」とか「相変わらず綺麗だな」とか、ゆみこ(彩吹真央)とは退団してからもよく食事に行ったりしているので、男役同士として向き合っている状態が可笑しくて(笑)、舞台稽古では思わず笑ってしまったりもしました。ジュリさん(樹里咲穂)やガイチさん(初風緑)は、下級生の時にご一緒させて頂いていた方達だったので、メインキャストで、しかも男役の扮装でご一緒できるとは思わなかったですし。また、ナガさん(飛鳥裕)やケイコさん(美穂圭子)は「現役の方の醸し出す空気感はすごい!」と感嘆しました。
──現役のタカラジェンヌの方は、水さんから見てもそこまで違うものですか?
全然違いますね。やはり俗世とは違う世界にいらっしゃる空気感があって「あぁ、私もあの中にいたんだな」と改めて思いました(笑)。久しぶりに観に行くからと、現役当時の写真を現像して差し入れしてくださった知り合いの方がいて、今見るとこんな格好普通しないよねというものなんです(笑)。薄茶色のサングラスに、ハンチングをかぶって襟にファーのついたコートを着ていて(笑)、街中を歩いていたら絶対に目につく、「この人は何?」と思われるような格好で(笑)。でも確かに普通にこういうのを着ていたなと思って、懐かしくも面白かったです。

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原点を見つめ直して挑む『アルジャーノンに花束を』

──やはり結論としてはいい経験でしたか?
もちろんです。本当にいい経験になりました。宝塚という団体の一部だった自分が、退団してから全くの一個人になってから、自分は何故舞台に立つのか?何故この仕事を続けているのか?を問いかけていましたし、男役ではなくなって、例えば挨拶ひとつにしても、どういう言葉を選ぶのか迷ったり、戸惑ったりしたこともありましたから。改めて自分の原点を見つめさせてもらえました。退団したのだから、もう宝塚には所属していないんだと、自分から切り離して考えていた時もあったのですが、やはり私の原点は宝塚で、今なお宝塚にすごく守られている。宝塚から与えられるギフトが今もあるんだということが再確認できて、そういう部分で迷い悩む必要はないんだなと改めて思えました。
──こうしてフルバージョンで再現コンサートができるのは『エリザベート』くらいですし、歴代のトップスターの方々でも、作品に関わっていないと出られない場ですから。
本当に『エリザベート』との出会い、ご縁には感謝しています。あとは『ベルサイユのばら』も、こうした形でやったらいいのにと思います。
──それは本当に豪華なメンバーが揃いますね!
そう、すごいですよ!『ベルばら』は予算がかかり過ぎるかな?と思いますけれど(笑)、やりたいですね。
──また夢が広がります。そんな素敵な経験の上に、この『アルジャーノンに花束を』が続いているわけですが。
ギャップがすごいんですけれどね(笑)、黄泉の帝王からアリス・キニアンって。歌のキーも全然違うので、この稽古に入った最初の数日は「そんなに怖い声を出さないで」と何度も言われました。「ドスが効いちゃってるから、もっと儚げでかぼそい声でお願いします」って(笑)。ですから本当にまた新たなチャレンジです。
──では、そんな新たな水さんに出会える『アルジャーノンに花束を』への意気込みをお願いします。
新しい水夏希を是非観て頂きたいなと。元男役水夏希ではなく、1人の女優として作品に携われたらと思っているので、フラットな状態で観に来て頂きたいですね。初めてお会いするお客様も多いと思いますので、「え?宝塚の人だったんだ!」と思って頂けるくらいの、新鮮なものをお見せできたらと思います。作品としては切ないお話という印象をお持ちの方も多いと思いますし、確かに切ないお話ではあるのですが、その中に、つい当たり前だと思ってしまいがちの、普通に生きていけるありがたさや、家族や友人の大切さを、思い出して頂ける作品になるのではと思っています。色々な意味で人生への刺激を持って帰って頂ける作品ですので、是非劇場にいらしてください。

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みずなつき○93年宝塚歌劇団入団。07年『エリザベート』のトート役で雪組トップスターに就任、10年に宝塚を退団。最近の舞台は、リーディングドラマ『サンタ・エビータ〜タンゴの調べに蘇る魂』音楽朗読劇『幸せは蒼穹の果てに』DANCE OPERA『マスカレード2015 〜 FINAL』30-DLUX『新版 義経千本桜』『Honganji』ENTERTAINMENT ORIGINAL MUSICAL SHOW『RHYTHM RHYTHM RHYTHM』DANCE LEGEND vol.3 BAD GIRLS meets FLAMENCO BOYS『FLAMENCO CAFE DEL GATO』ブロードウェイミュージカル 『CHICAGO 宝塚歌劇OGバージョン』プレミア音楽朗読劇『VOICARION〜女王がいた客室〜』『サラ・ベルナール』〜命が命を生む時〜など。宝塚OGによる『エリザベートTAKARAZUKA20周年スペシャル・ガラ・コンサート』では、久々にトート役を演じた。3月28日、29日に越路吹雪 三十七回忌特別追悼公演『越路吹雪に捧ぐ』、5月にドラマティカルシリーズ リーディングvol.1『パンク・シャンソン』〜エディット・ピアフの生涯〜、7月にはミュージカル・コメディ『キス・ミー・ケイト』への出演が控えている。


〈公演情報〉

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ミュージカル『アルジャーノンに花束を』
原作◇ダニエル・キイス 
脚本・作詞・演出◇荻田浩一 
出演◇矢田悠祐 蒼乃夕妃 皆本麻帆 吉田萌美 小林遼介 和田泰右 長澤風海 戸井勝海 水夏希
3/2〜12◎天王洲 銀河劇場 
〈お問い合わせ〉銀河劇場チケットセンター 03-5769-0011(平日10時〜18時) 
3/16◎兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
〈お問い合わせ〉芸術文化センターチケットオフィス:0798-68-0255(10時〜17時)



【取材・文/橘涼香 撮影/安川啓太】




花・虞美人 凰稀かなめ、ユナク出演 




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龍真咲が『1789〜バスティーユの恋人たち』で帝劇デビュー!

龍真咲

2018年春に上演される『1789〜バスティーユの恋人たち』で、龍真咲が帝劇デビューすることが発表された。
 
本作は、フランス人が「フランス大革命」を描くミュージカルとして2012年に生まれたフレンチロック・ミュージカル。本国でのメガヒットし、2015年4月宝塚歌劇団月組での本邦初演を経て、2016年に同じ小池修一郎潤色・演出による東宝バージョンが帝国劇場で上演された。

2018年のキャストは、主役のロナンには、2016年から続投の小池徹平と加藤和樹、オランプも神田沙也加と夢咲ねねが引き続き演じる。そしてマリー・アントワネットには、2016年版のこの舞台で女優デビューした凰稀かなめ、そして新しく本作に出演する龍真咲が花總まりの後任として挑戦する。

龍にとっては、宝塚時代に、日本初上演としてロナン役で主演、成功に導いた作品。昨年末に行われた『エリザベートTAKARAZUKA20周年記念ガラ・コンサート』にて、3日間だけエリザベート役で出演し、好評を博した。女優として順調なスタートをきった龍真咲が、東宝の『1789〜バスティーユの恋人たち』の舞台で、どう花開くか注目したい。


1789_sokuhou


『1789〜バスティーユの恋人たち』
潤色・演出◇小池修一郎 
出演◇小池徹平/加藤和樹 (Wキャスト)、神田沙也加/夢咲ねね(Wキャスト)、 凰稀かなめ/龍真咲(Wキャスト) ほか
2018年春◎帝国劇場





花・虞美人 凰稀かなめ、ユナク出演 




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