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井上ひさしの傑作音楽喜劇『円生と志ん生』に挑む! 大空ゆうひインタビュー

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昭和を代表する噺家、六代目三遊亭円生と五代目古今亭志ん生。2人は戦時中、連れだって満州各地を放浪し、終戦の8月15日を迎えたが、そのままソ連軍によって占領された満州南端の大連市に封じ込められた。この史実をもとに、彼らが人生との戦いを通じて話芸を磨き上げていく様を、虚実を交え趣向を凝らして描いた、井上ひさしの『円生と志ん生』が、こまつ座第119回公演として10年ぶりに上演される。
 
舞台は、昭和20年夏から22年春までの600日間。占領軍によって閉ざされた港湾都市大連に、いつ祖国へ帰れるのかもわからぬまま封じ込められた実直勤勉な円生と気ままで大酒飲みの志ん生、そして20万人の日本人。その混沌の中で2人は4人の女性たちと関わり、結果的に彼女たちを救っていく姿が描かれていく。
エピソードは5つあり、その中で登場する女性たちをすべて4人の女優が演じ分ける。この戯曲の鍵にもなっている、人生の大きな壁に直面した個性豊かな女性たちの姿から、人と人が関わることでしか生まれない「笑い」の大切さが浮き彫りになる。井上作品ならではの妙味と力のある作品だ。
そんな作品で、次々と役を変えて登場する女優の1人として、こまつ座の舞台に初登場する大空ゆうひ。元宝塚宙組のトップスターで、現在女優として多彩な活躍を続ける大空が、念願だったというこまつ座の舞台初出演への意気込み、井上ひさしの世界の魅力や「笑い」の力、また宝塚出身者として感じることなどを語ってくれた。

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言葉の力と、4人の女性が次々と役を変えていく面白さ

──今回の舞台は昭和を代表する噺家、三遊亭円生と古今亭志ん朝を描いたものですが、まず大空さんがこれまで持っていた落語のイメージはどんなものでしたか?
実際に寄席に行ったこともあるのですが、特に1年前くらいから興味が膨らんできていて、もっと色々観たいなと思っています。やはり話術の素晴らしさというものにとても関心がありますし、同じ噺でも、噺家の方によって全く違うものになるのが興味深いです。例えば15分の間、たった1人で観客を惹きつけ続けて最後まで持っていくエネルギーには、芝居と同じものを感じますから、役者としても、吸収できるものがとても多いですね。機会があったらやってみたい、習ってみたいなあ、なんて…(笑)
──では、この舞台にはより心惹かれるものがありますね。
私自身は噺家の役ではないですが、稽古場で落語の世界に多く触れられるでしょうし、声の力、話し方の力というのはとても奥が深いので、自分の台詞にとっても勉強になるだろうと思っています。
──そんな中で、井上ひさしさんの戯曲を読んだ時、まず何を感じましたか?
円生さんと志ん生さんのやりとり自体がまず落語のようですし、言葉のやりとり、言葉の面白さ、更にそこに4人の女性が次々と色々な役で関わってくるという構成がすごく面白いなと思いました。1つの作品でこんなに役が変わっていくことは、なかなかないので、面白そうだということと同時に、難しそうだなとも思いました。
──その様々な役を演じ分けるにあたって、描いているプランなどはありますか?
まだプランと言えるようなものはないのですが、様々な役を演じることを楽しめるところまでは行きたいなと思います。全体を通して、この苦しい時代に生きた女たちの人間臭さや、大地に足をつけて踏ん張っている感じ、踏ん張っているといっても、歯を食いしばっているというのではなくて、こんなに大変な局面に立っていても、粋な会話も交わし、可笑しみをもって生きていく。私にとって今までにない世界観ですし、この舞台で新しい景色が見られたらいいなという目標があります。稽古場ではたくさん苦しむと思いますし、緊張感ある日々にもなると思いますが、念願叶ってこまつ座の舞台に立たせて頂くのですから、楽しまないでどうする!という気持ちもあるので、楽しむための努力を重ねていきたいです。

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無駄なものが1つもなくて美しい井上作品

──こまつ座の舞台に立つのが念願だったという言葉がありましたが、井上ひさし作品の魅力をどう感じていますか?
私自身はまだ実際に井上先生の書かれた台詞を自分で発したことがないので、想像の部分もあるのですが、舞台を拝見していていつも感じるのは、演じている皆さんが井上先生の言葉の持つ力に引き上げられる部分が、きっとあるのではないかと。句読点の位置、言葉の並べ方、会話のリズム、それらすべてに井上先生の想いが籠められていて、他愛もない会話が挟まれていながら、実は1つも無駄なものがないという美しさを感じます。ですから、自分が余計なものを入れてはいけないと思いますし、その美しさを大切にしたいです。これだけ多くの人を惹きつけてきた何か、それは自分自身が作品に入って、自分で言葉をしゃべったときにこそ、見出せるのではないかという期待がありますので、それを探っていきたいです。
──この作品の描き方もまさにそうですが、井上作品はどんな困難な中にも必ず笑いがあり、難しいことも易しく語ってくれますね。
そこに、すごく大人の粋を感じますし、おしゃれな伝え方で、カッコいいなと思います。先日、『イヌの仇討』を拝見したのですが、やはり死生観といいますか、命の尊さ、大変な状況の中でも精一杯生きることを、決して重くなく伝えてくださっていて、明日も一生懸命生きようというエネルギーをもらえたので、今回の作品からもそういった力が伝えられたら素敵だなと思います。
──今回の共演者は、『HEADS UP!』で演出家としてご一緒されたラサール石井さんをはじめ、皆さん多彩な方々ですが。
演出家と役者としての関わりだったラサールさんと、初めて役者同士として共演させて頂きます。ほかの皆さんとも「はじめまして」ばかりですが、女性4人はいつもチームで場面を作っていく関係なので、チームワークがとても必要ですから、気持ちを合わせて共に生きられたらいいなと思っています。素敵な方たちばかりなので、私も刺激を受けつつ、皆さんに負けないようにきちんと立っていられるようにしたいです。
──大空さんは宝塚という女性だけの劇団の頂点にいらした方ですから、女優さん同士のコンビネーションは得意なのでは?
それが宝塚を退団してから、どちらかと言うと男優さんが沢山出る作品に多く出ていたので、ここまで女優さんたちとがっちり組んでのお芝居というのは珍しいので、楽しみですし、お互いに良い化学反応を生んでいけるように頑張りたいです。

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人間の発する熱と温度のある笑いの力が必要な時代

──大空さんはこれまで、どちらかと言うとシリアスな作品や役柄が多かったように思いますが、「笑い」の大切さや力についてはどう感じられますか?
確かにシリアスな方向性のものに多く出演してきました。シリアスなものや難解なものには、頭を使ったり、衝撃を受ける楽しみがあるのですが、やはり今、色々な意味でストレス社会になっているのを感じますし、ネット社会で種々雑多な情報があふれてもいますよね。その中で、人間の発する熱と笑い、生の温かさ、温度のある笑いって、落語もそうですが、演劇だからこそだと思うんです。目の前で人が発する温度には実は大きな力があるので、その温度のある笑いが、今の時代には本当に必要だと思います。この作品にはまさにその大切なものが詰まっているので、それをきちんと伝えたいと思いますし、観てくださる方々の心が、少しでも温かくなってお帰りになって頂けたらいいなと思います。
──舞台には、同じ演目でもその日その回だけしかない空気がありますね。
舞台はまさしく総合芸術で、お客様が入って初めて完成するわけですから、そこにはお客様の温度があるんですよね。役者たちもそれを肌で感じながら、その温度に呼応して巻き込んでいったり、逆に巻き込まれそうになったりというエネルギーのやりとりが、大変でもありつつ、やはり生の舞台の醍醐味だなと思います。その温度があるから、例えば無表情でいても心では怒っているとか、笑っているけれども泣いているとか、泣きたいから笑いとばしているとか、そういう内面すべてが伝わるので、辛い状況でも笑う、うじうじしていたとしても「うじうじしちゃってさ!」と言ってしまえるような、素敵な温度の空間を皆さんと一緒に作れたらいいですね。

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私の中に含まれている宝塚という成分

──そういうライブの中から生まれた空気感は、宝塚時代から経験してきたと思いますが、宝塚歌劇も100周年を超えて、更に多くの注目を集めています。そんな宝塚への思いは今、いかがですか?
先日も宝塚の舞台を観て来たのですが、今こうして私が女優として舞台に立っている中にも、宝塚という成分は絶対に含まれているんですね。特別な時間を過ごさせてもらったと観る度に思いますし、後輩たちにはいつまでも宝塚の美しい精神を引き継いでいって欲しい、卒業生にとっても永遠に誇れる場所であって欲しいと思います。同時にやはり私自身も宝塚の卒業生として、舞台を観た方に、「宝塚ってこの程度なのか」と思われてしまったらとても悔しいので、宝塚の卒業生であることに誇りを持っていたいと思います。 
──大空さんは多岐に渡る幅広い作品に出ています。その大空さんを通じて、これまでと違う演劇に触れるお客様もいらっしゃるでしょうね。
私が出なかったらこういう舞台を観る機会がなかったとか、私をきっかけに新しいジャンルの舞台が好きになったとか、そういう言葉をいただくと嬉しいですね。
──そういう意味では、今回のこまつ座への初出演も、関心を持っている方が多いでしょうね。
もちろん井上先生の作品のファンだったり、こまつ座の舞台をお好きな方もいらっしゃると思いますが、初めて触れる方もいらっしゃるので、沢山の方に観て頂ける機会の1つになったらいいなと思います。
──では、改めて意気込みをお願いします。
憧れのこまつ座の舞台に立たせて頂くので、この機会を十分に味わって、新しい景色を見られるように、稽古場では苦しみつつ、素敵な作品になるように頑張りますので、皆さん是非劇場に足をお運びください。

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おおぞらゆうひ〇92年宝塚歌劇団に入団。09年に宙組男役トップスターに就任。12年に退団後、13年蜷川幸雄演出『唐版 滝の白糸』で女優としてスタート。以降、舞台や映像作品で活躍しながら、自身が企画・プロデュース・主演を務めた舞台『La Vie』や、音楽ライブを開催するなど多彩な表現活動を展開している。近年の主な舞台作品に『死と乙女』『TABU ―シーラッハ「禁忌」よりー』『HEADS UP!』『SHOW ル・リアン』『冷蔵庫のうえの人生』『磁場』『カントリー〜THE COUNTRY〜』など。映像作品に『紅白が生まれた日』『誤断』等がある。今年12月から来年3月にかけて『HEADS UP!』再演への出演が控えている。

〈公演情報〉
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こまつ座『円生と志ん生』
作◇井上ひさし
演出◇鵜山仁
出演◇大森博史、大空ゆうひ、前田亜季、太田緑ロランス、 池谷のぶえ、ラサール石井
ピアノ演奏◇朴勝哲  
●9/8〜24◎紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA (東京都)
〈料金〉9,000円 学生割引 5,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉こまつ座 03-3862-5941 
●9/30〜10/1◎兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール (兵庫県) 
●10/8◎ 日立システムズホール仙台 シアターホール (宮城県) 
●10/14◎ 川西町フレンドリープラザ(山形県)
〈公演HP〉
 http://www.komatsuza.co.jp/program/

【スペシャルトークショー】
★9月11日(月)1:30公演後 樋口陽一(比較憲法学者)― 井上ひさしにとっての笑い ―
★9月14日(木)1:30公演後 大空ゆうひ・前田亜季・太田緑ロランス・池谷のぶえ
★9月17日(日)1:30公演後 大森博史・ラサール石井
★9月21日(木)1:30公演後 雲田はるこ(漫画家)―『昭和元禄落語心中』ができるまで ―
※アフタートークショーは、開催日以外の『円生と志ん生』のチケットをお持ちの方でもご入場いただけます。ただし、満席になり次第、ご入場を締め切らせていただくことがございます。
(出演者は都合により変更の可能性がございます。)




【取材・文/橘涼香 撮影/竹下力】



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大和悠河が二期会『魔弾の射手』でオペラの舞台にデビュー!記者会見レポート

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元宝塚宙組トップスターで、退団後は女優として活躍中の大和悠河が、オペラ『魔弾の射手』で、オペラデビューを飾ることになった。この公演はハンブルク州立歌劇場と世界的オペラ団体の二期会との提携公演で、2018年7月に東京文化会館で公演が予定されている。
大和悠河のオペラ出演については、東京文化会館で7月26日に行われた「東京二期会2018/19シーズンラインナップ発表会」の席上で発表された。会見には東京二期会理事長の中山欽吾、二期会事務局長兼企画制作部長の山口毅、来年2月の『ローエングリン』でタイトルロールを演じる二期会の小原啓楼(テノール)、そして大和悠河が出席した。

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二期会事務局長兼企画制作部長・山口毅、東京二期会理事長・中山欽吾、大和悠河、二期会・小原啓楼

大和が出演する『魔弾の射手』はウェーバー作曲で1821年に初演、歌とセリフで演じられる「ジングシュピール」で、ドイツの国民的オペラと言われている。大和は悪魔ザミエルの役で登場、射撃大会を前にスランプに悩む主人公に、絶対に的を外さない「魔弾」を与えるという、物語のカギを握る役を演じる。悪魔役はセリフでの登場となる。

演出を手がけるのは、ペーター・コンヴィチュニー。ベルリンでオペラ演出を学び、1980年以降ドイツを中心とする著名劇場で数多くのオペラを演出、現代屈指のオペラ演出家として活躍中。二期会では『皇帝ティトの慈悲』『エフゲニー・オネーギン』『サロメ』『マクベス』を手がけ、今回は5年ぶりの登場となる。また今回はセリフ部分はすべて日本語で上演、岩下久美子の新訳となる。

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会見の中で、ザミエルに大和悠河を起用した経緯について、山口毅(二期会事務局長兼企画制作部長)より説明があり、また大和悠河からも出演にあたっての今の気持ちが語られた。

山口毅 演出を手がけるペーター・コンヴィチュニーさんから、今回は悪魔役には両性具有、男女両性を見せる演出を考えていたこともあって、女優を起用したいという希望がありました。また、この作品は音楽とセリフで出来ていますが、セリフだけの出演でも音楽がわかっていないと成立しません。大和悠河さんはミュージカルへの出演なども多数あるうえに、なによりもオペラや音楽への造詣が深く、沢山の作品を観ていますし、本も書かれるなど音楽への愛があるということは前々から存じ上げていました。そこで今回、コンヴィチュニーさんから女優を起用という要望があったとき、大和さんのプロフィールや資料を送ったところ、すぐにコンヴィチュニーさんも魅了されて、即答をいただきました。

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大和悠河 このたびオペラデビューさせていただきます。世界的なオペラ団体、二期会に出演させていただけるのは、本当に光栄に思っております。私は小さい頃の夢は宝塚の男役でした。念願かなって宝塚に入団し、トップスターを務めることができました。そして、その夢が叶ったら第2の夢、新たな夢がふつふつと湧いてきました。私は宝塚時代からマリア・カラスが大好きで、毎日、曲を聞いて感動して、それから眠りに着いていました。いつかオペラの舞台に立ちたい、でもそれは夢のまた夢だと思っていましたが、このお話をいただいて、夢の第一歩を踏み出せることが本当に嬉しく思っています。
この『魔弾の射手』という作品の魅力は、なんといっても音楽が素晴らしいこと、そして物語の中で悪魔の出てくる部分の緊張感がなんとも言えません。まるで心臓を射抜かれるようにドキドキさせられます。私の役の悪魔ザミエルは、ハンブルグのプロダクションでは男性歌手の方が演じていらっしゃいましたので、私が宝塚の男役で培ったものを役立てられるとともに、退団後に色々な舞台で経験してきた女性として部分もお見せできるのではないかと思っています。公演までまだ1年近くありますが、この作品のCDを毎日のように聞いていますし、今出演中の舞台が終わりましたら、またすぐ海外の舞台を観に行きますので、さらにオペラの世界に浸って、そしてドイツ語にも慣れていきたいと思っています。

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【東京二期会2018/19シーズンラインナップ】


──2018年──
2月『ローエングリン』(新制作)
~二期会創立65周年・財団設立40周年記念公演シリーズ~ 
【オペラ全3部 字幕付原語(ドイツ語)上演】
作曲:リヒャルト・ワーグナー
指揮:準・メルクル
演出:深作健太
管弦楽:東京都交響楽団
●2/21、22、24、25◎東京文化会館 大ホール

3月『ノルマ』(新制作)
【オペラ全2幕<セミ・ステージ形式上演>】
作曲:ヴィンチェンツォ・ベッリーニ 
指揮:リッカルド・フリッツァ 
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
●3/17・18◎Bunkamuraオーチャードホール 

5月『アルチーナ』(新制作)
~二期会ニューウェーブ・オペラ劇場~
【オペラ全3幕 字幕付原語(イタリア語)上演】
作曲:ゲオルク・フリードリッヒ・ヘンデル
指揮:鈴木秀美
演出:フローリス・ビッサー 
管弦楽:ニューウェーブ・バロック・オーケストラ・トウキョウ 
●5/19・20◎めぐろパーシモンホール
  
7月『魔弾の射手』(新制作)
~ハンブルク州立歌劇場との提携公演~
【オペラ全3幕 字幕付原語(ドイツ語)上演】
作曲:カール・マリア・フォン・ウェーバー
指揮:アレホ・ペレス
演出:ペーター・コンヴィチュニー 
管弦楽:読売日本交響楽団
●7/18、19、21、22◎東京文化会館 大ホール
 
9月「三部作」(新制作)/『外套』『修道女アンジェリカ』『ジャンニ・スキッキ』
~デンマーク王立歌劇場とアン・デア・ウィーン劇場との提携公演~
【オペラ各1幕 原語(イタリア)上演】
作曲:ジャコモ・プッチーニ
指揮:ベルトラン・ド・ビリー
演出:ダミアーノ・ミキエレット 
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
●9/6、7、8、9◎新国立劇場 オペラパレス
 
11月『後宮からの逃走』(新制作)
【オペラ全3幕 字幕付原語(ドイツ語)上演】
作曲:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
指揮:下野竜也
演出:ギー・ヨーステン
管弦楽:東京交響楽団
●11/22、23、24、25◎日生劇場

──2019年──
2月『金閣寺』(新制作)
~フランス国立ラン歌劇場との共同制作~
【オペラ全3幕 字幕付原語(ドイツ語)上演】
作曲:黛敏郎
指揮:マキシム・パスカル
演出:宮本亜門
管弦楽:東京交響楽団
●2/22、23、24◎東京(予定)




【取材・文・撮影/榊原和子】



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楽曲の魅力と1人の女性の前向きな生きざまが呼応する愛と友情のミュージカル『ビューティフル』上演中!

水樹キャロル
平原キャロル

世界中で愛され続ける数々の楽曲を生んだ、アメリカを代表するシンガーソングライター、キャロル・キングの半生を描いたブロードウェイミュージカル『ビューティフル』が、有楽町の帝国劇場で上演中だ(26日まで)。

『ビューティフル』は、「A NATURAL WOMAN」「YOU’VE GOT A FRIEND」等で世界的に知られ、絶大な人気を誇るアメリカのシンガーソングライター、キャロル・キングの波乱万丈な半生を、彼女自身の楽曲、更に良き友、良きライバルとして切磋琢磨したバリー・マン&シンシア・ワイルによる数々の名曲と共に描いたミュージカル。2013年に誕生し、ブロードウェイで幕を開けるやいなや大評判となり、2014年に演劇界最高峰のトニー賞主演女優賞、2015年にグラミー賞やイギリスのオリヴィエ賞等を受賞。現在もブロードウェイだけでなく、全米ツアーやロンドン公演など、各地でロングランを続け、多くの観客の支持を集めている。

オープニング

今回の帝国劇場での本邦初演は、この作品の英語圏以外での初上演となる。ヒロインのキャロル・キングには、2009年に声優として史上初のNHK紅白歌合戦出場&アルバムオリコンチャートNO.1を獲得し、声優・歌手・ナレーターとしてマルチに活躍する水樹奈々と、デビュー曲『Jupiter』のミリオンヒット以降、歌手として輝かしい活躍を続け、2014年にはミュージカルのヒロイン役で初舞台に挑戦し話題を呼んだ平原綾香のWキャストという魅力的なキャスティング。また、共演に中川晃教、伊礼彼方、ソニン、武田真治、剣幸の豪華俳優陣が集結。音楽評論家の草分け的存在であり、多くの大ヒット曲の作詞・訳詞を手掛けてきた湯川れい子が訳詞を務めるという、強力な布陣での上演となった。

水樹キャロル、伊礼ジェリー

【STORY】
ニューヨークに住む16歳のキャロル・キング(水樹奈々/平原綾香)は、ソングライターになる夢を抱え、教師になるように勧める母親のジーニー(剣幸)を説得し、名プロデューサーのドニー・カーシュナー(武田真治)に曲を売り込み、作曲家への一歩を踏み出していた。だが、容易に新曲へのOKが出ず、思索に励む日々が続くキャロルの前に、同じカレッジに通うジェリー・ゴフィン(伊礼彼方)が現れる。劇作家を志しているジェリーは、戯曲の中に必要な歌の作曲をキャロルに依頼し、キャロルは自分の楽曲に歌詞をつけてくれるようジェリーに求め、意気投合した2人はたちまち恋に落ち、キャロルが作曲家、ジェリーが作詞家としてコンビを組んで楽曲制作に励む。ほどなくしてキャロルは妊娠。結婚した2人は更に必死で仕事と子育てに奮闘する。
同じ頃、2人はドニーがプロデュースする新進作曲家と作詞家のコンビ、バリー・マン(中川晃教)とシンシア・ワイル(ソニン)と良き友人となり、互いにしのぎを削り、ヒットチャートの首位を争うようになる。ライバルの出現と、ヒット曲を書き続けなければならないという焦燥感から、ジェリーは精神的に追い詰められるようになっていき、家庭を大事にしたいキャロルとの間には衝突が絶えず、芸術の為と言い放ち公然と浮気を繰り返すようになる。
なんとか2人の仲を修復しようとするキャロルだったが、ジェリーの精神状態は更に不安定になり、ついに結婚生活は破綻。28才で2人の子持ちのシングルマザーとなってしまうキャロルだったが、シンガー・ソング・ライターが台頭してきた時代の波と共に、はからずも自分の曲を自分で歌うことになる。それはキャロルの人生を、新たな門出へと切り拓く道となっていき……。

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既成のヒット曲を使ったジュークボックス・ミュージカルは、ABBAの楽曲を使って世界的な大ヒットとなった『マンマ・ミーア!』の登場以来、ミュージカル界の一大ムーブメントとなり、数多くの作品が生み出されてきた。楽曲自体がすでに高い知名度を持っていることは、音楽が作品の価値を左右するミュージカルにとって、この上ない利点であり、この系譜の作品で、昨年上演された『プリシラ』の出演者の1人、陣内孝則の名言を借りれば「負けないケンカをしているミュージカル」に他ならないから、こぞって制作が行われたのも当然だったろう。
そんなムーブメントには大きく分けて、既成の楽曲を新たに創作した物語に当てはめて構成されるものと(前述の『マンマ・ミーア!』がその代表格)、楽曲を歌った歌手の伝記を本人の曲で紡いでいくスタイル(昨年の本邦初演が大ヒットとなった『ジャージー・ボーイズ』が金字塔)とがあり、この『ビューティフル』は、後者に属する、キャロル・キングの半生を彼女の楽曲で紡いだものだが、シンガーソングライターになるに至るキャロルの、作曲家であり、クリエイターだった時代が作品の大半部分を占めていることが、これまでのジュークボックス・ミュージカルとは大きく趣を異にするものになっていた。
ロコモーション

と言うのも、この作品で非常に面白いのは、キャロル、ジェリー、バリー、シンシアというメインキャストが揃ってクリエイターであって、歌手ではないことだ。舞台に登場した時、彼らはまだ無名の「何かになろうと夢見ている」若者で、その目指す道に立ちはだかる困難、思いがけないハプニング、創作の苦悩などを常に抱えている。この夢を信じて生きていくことの難しさには、誰しもが必ずや共感できるだろうものがあるし、その共感があるからこそ、決して挫けないキャロルのポジティブさと、かけがえのない友の存在に、胸を熱くし、心震わすことができる。どんな苦しい時にも、必ずあなたの傍にいると歌ってくれる「YOU’VE GOT A FRIEND」、朝が来て笑顔を見せれば世界が美しく変わると高らかに唱える「Beautiful」、既成の楽曲が、このストーリーの中で息づく登場人物たちの気持ちに寄り添った時、舞台から放たれる感動には、楽曲が持つパワーを何倍にも増幅させる力があった。しみじみと、前を向いて生きてゆく勇気をもらえる見事な作品だ。
 
武田ドニー、中川バリー、ソニンシンシア、水樹キャロル

そんな『ビューティフル』な世界に生きる、出演者たちが更に舞台を熱くしている。
ヒロインキャロル・キングをWキャストで演じる水樹奈々は、ミュージカル初挑戦、初主演、初帝劇デビューという、プレッシャーがなかったはずはないだろう、大きなプロジェクトに懸命に対峙している。作品が16歳からのキャロルを描いていて、小柄な水樹がその少女時代にまずピッタリとはまる利点があったし、年齢を重ねるにつれて台詞の発声が絶妙に変化していくのは、さすがに声優界のクイーンならでは。数々のビッグナンバーも果敢にこなし、水樹奈々というパーソナリティに、キャロル・キングを引き付けている仕上がりなのが面白かった。

もう1人のキャロル・キングの平原綾香も、二度目のミュージカル挑戦というキャリアだが、自身が歌手であることをバックボーンに、やがて歌手となるキャロルの人生の変遷を、ソウルフルな歌唱力で見事に表現している。癒しの歌声で知られる常の平原とは、全く異なる迫力ある歌唱法が耳を奪い、いつしか舞台にいる平原がキャロルその人に見えてくる。「美人でもグラマラスでもないから歌手になるのは無理」と端から言い続けるキャロル役を、十分魅力的な平原が演じて尚、そういう役柄なのだなと納得させる演技力も盤石で、平原がキャロルに飛び込んだと言える演じぶりだった。

つまり、2人のキャロル役者が、全く異なるアプローチで作品の主演をそれぞれ十二分に務めているので、見比べる妙味の大きな、刺激的なWキャストとなったのが喜ばしい。少なくとも是非両キャロルの2バージョンを観て欲しい舞台だ。
 
平原キャロル&伊礼ジェリー

そんな2人のキャロルの夫であり、作詞家であり、公私共にパートナーとなるジェリー・ゴフィンの伊礼彼方が、役柄に実によく合っている。まずキャロルが一目惚れをするに足る美丈夫ぶりに説得力があるし、ヒット曲を書き続けなければならないというプレッシャーに押しつぶされていく過程をきめ細かく演じていて、ジェリーの焦燥にも共感でき、決して悪役には見えなかったのが大きな利点だった。特に、「この曲で僕らはどこまでも行ける」と希望に満ちていた若き日々が輝いているからこそ、終幕キャロルの楽屋を訪ねてくるシーンがしみじみと生き、ここのジェリーの台詞は必聴。豊かな歌声も効果的だった。

「ビューティフル」追加写真

そして、この2人を観る為だけにでも、もう1回観劇を増やしても良い!と思わせたのが、バリー・マンの中川晃教と、シンシア・ワイルのソニンのペア。元々大変贅沢なキャスティングだと思っていたが、キャロルとジェリーの物語であると同時に、バリーとシンシアの物語でもあるドラマを、絶妙に、もう言葉がないほど巧みに活写していて、次第にこの2人から目が離せなくなるほど。何しろ役柄の人物造形が双方、適度にカリカチュアライズされたアメリカンなものなので、1つ間違えると、日本人が演じることに面映ゆさを覚えかねないところを、共にこれ以上ない匙加減と押し引きで、パワフルかつ軽やかに演じていて素晴らしい。もっと聞きたい!と思わせる歌唱力も2人共言うまでもなく、日本版『ビューティフル』の最高殊勲ペアと言って過言ではない活躍で、作品を帝劇の大舞台に相応しいものに押し上げる力となっていた。

武田ドニー、中川バリー、ソニンシンシア、平原キャロル

また、2組のヒット・メーカーを見出す名プロデューサー、ドニー・カーシュナーの武田真治は、ちょっと気障で、でも紳士で、派手な振る舞いの中に優しさがあるという、実に情のあるプロデューサー像を描いている。この時代のアメリカのプロデューサーがこんなに情に厚い人なんだ、と驚きも感じるが、それも含めてやはりこの舞台は「ビューティフル」。個性を活かした良い助演だった。

「ビューティフル」追加写真2

もう1人、キャロルの母ジーニーの剣幸は、自らの結婚生活の破綻から、娘に安全な道を歩ませたいと願っている、母親の情をドライな物言いの中にきちんと滲み出している上手さが光った。「ソングライターなんて夢みたいなことを言っていないで教師になりなさい」と、娘に説いていた冒頭をきっちりと見せているから、終幕のちゃっかりぶりが抜群に効いてくる。どこの国にも共通しているらしい「母親あるある」を印象づける好スパイスとなっていた。
 
ライチャス・ブラザーズ

そして、この舞台を特別なものにしているのが、アンサンブルメンバーの活躍だ。メインキャストがクリエイター役であるこの舞台では、彼らの書き下ろす楽曲を歌う「大スター役」をアンサンブルメンバーが担うことになる。だから、ピアノやギターだけの伴奏で、更に楽譜を片手に「こんな曲ができた」とクリエイター本人たちが紹介しあったあとで、名曲の数々をゴージャスにショーアップして披露するのは、アンサンブルの面々。ザ・ドリフターズ、シェレルズ、ライチャス・ブラザーズ、リトル・エヴァ、等々、大スターに扮したアンサンブルメンバーが、レベルの高い歌唱力とダンス力で、華やかな場面を次々にこなしていく姿は、日本のミュージカル界の成熟を如実に表わすものとして、大きな感動を生んでくれた。『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』『君はいい人、チャーリー・ブラウン』等々、ミュージカルシーンの大きな役どころで活躍しているキャリアのある面々が、アンサンブルメンバーに多く名を連ねているのも納得で、これほどアンサンブルに働き場の多いミュージカルは、ちょっと他にないのではないか。その意味でも、非常に見応えのある舞台だった。
何より、ピアノを使った巧みな場面転換なども興味深く、帝国劇場の大舞台に、キャロル・キングのあくまでポジティブな、愛に溢れたメッセージが響き渡ったことを喜びたい舞台となっている。

ドリフターズ

初日を前に囲み取材も行われ、水樹奈々、平原綾香、中川晃教、伊礼彼方、ソニン、武田真治、剣幸が公演への抱負を語った。

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【囲みインタビュー】

──初日を前にした現在の心境を。 
水樹 ついにこの日がやってきたと、かなりの緊張と興奮と色々な思いでテンションが上がりまくっている状態です。私の人生初のミュージカルなので、この初日が本当に初舞台となります。初めてだからこそ出せる思い切りの良さや勢いで、全力投球でとにかく自分を信じて頑張りたいなと思っています。 
平原 ついに帝国劇場生活が始まると思うとワクワクしますし、この舞台は初めてなのですごく興奮しています。帝国劇場に入ったときに圧倒されて、何かがいるなという感じでした。
伊礼 何?、何?いない、いない(笑)。
平原 うん? そう?だけど…(笑)

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ソニン 良い意味ででしょう?
武田 エネルギーとしてね?
平原 そうなの。いい意味でのファントムみたいな。
武田 エネルギーじゃないじゃん(笑)。怪人か!(爆笑)。
平原 うん、劇場の神様がいる感じがして、まだお会いはしていないのですが…(笑)、そういうパワーを感じるすごく素晴らしいステージだなと思って、そのパワーを感じながらお稽古をしています。通しや、場当たりと慣れないことばかりですが、信頼のおける最高の仲間と一緒に頑張っていますので、この夏しっかりと、良い歌とお芝居をお届けしようと思っています。ぜひ皆さん来てください。 
中川 キャロル・キングが生み出した名曲たちを、この物語の中でたくさん聴ける訳ですけれど、未来の妻になるシンシア・ワイルド…
ソニン ワイル!シンシア・ワイル!
中川 うん、シンシア・ワイル。ソニンちゃんはワイルド。
ソニン あぁ、あぁ(笑)。

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中川 そのシンシア・ワイルと僕が演じるバリー・マンの2人が生み出していった名曲たちも、この物語の中にはたくさん溢れています。音楽、音楽、音楽、これがミュージカルのひとつの醍醐味かなと思うんですけれども、一方でこの物語は、作詞・作曲家といったクリエイターたちの、音楽が生まれるまでの苦悩、物語も描かれています。その両面を是非とも早くお客さまに感じて頂きたい、そんな思いでいっぱいです。
伊礼 僕はお2人のキャロルと対峙している時間が長く、2人共が全然違うキャロルなので、彼女たちが抱えている興奮、高揚に僕も鼓舞されてですね、激しく脈を打っています。今まで帝国劇場に、僕は実働20分までしか立ったことがないので。
全員 へ〜!!
伊礼 初めて20分以上僕は、帝国劇場の舞台に立たせて頂けるので。
中川 計ったの?
伊礼 計ったことあります(笑)。
武田 ちなみに何の舞台で?
伊礼 『エリザベート』と『王家の紋章』で、実動で20分くらいの出番でしたが(笑)、今回は初めて2時間以上舞台に立たせて頂くので、意気込んでいます。よろしくお願いします。

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ソニン この帝国劇場ではここ最近はミュージカルばかりで、ストレートプレイは久しぶりだと聞きました。私自身も、帝国劇場に立つ時は、ミュージカルとしての音楽がたくさんあって、歌い上げることの多い作品に出てきたもので、今ブロードウェイのスタッフと日本のスタッフとで、帝国劇場に来てくださるお客様にどういう風に観て頂けるのだろう?と試行錯誤しながら作り上げ、ドキドキワクワクしながら、私も稽古をしてきました。ですから、帝国劇場での新しいパフォーマンスを見られるんじゃないかなと思っているので、お客さまの反応がすごく楽しみです。この1ヵ月の舞台の中で、日本のお客様に愛されていくように、良い意味で作品もどんどん変化していくんじゃないかなと思っていますので、多くのお客様に観に来て頂ければと思っています。 
武田 帝国劇場に立つというのは、ミュージカルや演劇を志す者にとって、最終目的地と言っていい位の場所で、聖地とも言われるところで、この夏1ヶ月間舞台に立たせて頂ける(一言一句に力を込めて)喜びと、興奮に、溢れております。
伊礼 そのトーン何?(爆笑)

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武田
 これがマジの私の話し方です(爆笑して調子を変え)本当におごそかに最終稽古に臨んでおります。トニー賞も獲ったこの作品、海外からのスタッフをお招きして、日々ブラッシュアップして参りました。1ヵ月間、キャロル・キングとジェリー・ゴフィン、バリー・マンとシンシア・ワイルのラブストーリーとあわせて、アメリカの音楽史、世界のポップス史を彩った楽曲と共にこの物語を楽しんで頂けると思います。 たくさんの方に来て頂けたらと思います。よろしくお願いします。
 今まで色々なミュージカルをやってきていますが、ミュージカルというのは、ミュージカルの為に書かれた曲でずっと構成されていて、場面のつながりなども、ものすごく考えられた曲が作られていると思うんです。でも今回はキャロル・キングが自分の人生にあわせて、その都度作っていった曲をまとめたら彼女の人生になったというところが、今までのミュージカルとは違うところですね。私はキャロルと同じ時代を生きた人間なんですが、あの時代はこうだったなと彷彿とさせるところもありますし、それがひとつの素晴らしい作品としてまとまっているのがすごいことだなと思います。キャロルの音楽をよくご存知の方は懐かしいと思うでしょうし、知らなかった方々もキャロル・キングってこういう人生を歩んだんだと分かって頂ける、楽しいミュージカルだと思います。そして今ここにいる皆さんが、すごく素敵に歌って、今の若さと本当のキャロル・キングを掛けあわせた魅力があります。またアンサンブルの方たちが本当に素晴らしいです。どこをとっても楽しめる作品ですので、是非いらしてください。 
中川 素晴らしい!!(拍手)

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──皆さんの役柄と見どころ、魅力を教えてください。
武田 それはたいしたことが言えないので私から(爆笑)。この中で唯一クリエーターじゃないのでえ(笑)。僕が演じるドニー・カーシュナーは、キャロル・キングを最初に見出した人ですね。ジェリー・ゴフィンとのコンビで名曲を世に送り出したプロデューサーになります。以上です。
平原 それだけじゃないでしょう?(笑)
武田 いや、だから先に言っとこうと(笑)。
伊礼 僕は、作詞家の役なんですが、最初は劇作家として生きていきたかった人物だったそうなのですが、キャロルと出会って、自分の言葉を彼女のメロディに乗せることによって、世界中の人たちに曲を送り出す訳なんですけれども。ミュージシャンやアーティスト、何かを創りだしていく人たちは、最初は創り出していけているんでしょうが、ある時壁にぶち当たった時に、自分と対峙して苦悩する一番わかりやすい人物です。
武田 キャロルを苦しめたりするよね?
伊礼 そうですね。でも自分を苦しめた結果キャロルも苦しめているんじゃないかな?と思うので、そこに翻弄されるキャロルたちは可哀そうだなと思いつつも、自分しか見えていない人物なんだろうと、僕は解釈しています。
平原 キャロル・キングは今でも第一線で活躍されている本当に私も尊敬しているミュージシャンで、彼女の一途さでしたり、素敵な笑顔だったり、彼女が創り出す音楽が本当に素晴らしくて、私も毎回尊敬しながらこの役に取り組んでいます。この役どころというのはキャロル・キングを見て頂ければわかる通り、とにかく人間性が素晴らしいです。そして音楽、その二つが秀でている人物だと思っています。ジェリー・ゴフィンという夫に惚れて…惚れてっていうとなんかすごいですけど…。
伊礼 いいじゃない!惚れてもいいじゃない! 
平原 そう?そう?、うん、だから大好きになって、ジェリー・ゴフィンにもやっぱり一途になって、でも音楽にも一途で、そして子供か生まれたら子供にも一途で。誰に対しても一途に生きている存在なんですね。だからすごく演じているとパワーが必要になってくる役どころです。あともう1つ素晴らしいところは、すべてにおいて愛があるところだと思っています。どんなに傷つけられても、最後までその人を愛し続ける人だからこそ「ユーヴ・ガット・ア・フレンド」という名曲が生まれたり、他にも様々な名曲が生まれたので、私にとってのキャロル・キングは「すべての人に愛を!」と言うのが実はテーマで、そんなすごく素敵な役だと思っています。

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水樹 綾ちゃん(平原)が私の気持ちを代弁してくれたように、私も同じ気持ちです。彼女の魅力はどんな時にでも折れない、諦めない心だと思っています。ハートが強くないと彼女のような激動の人生で、自分自身をも裏切らずに進んでいくことはできないのではないかな?と思います。本当に彼女はどんな時でもまっすぐ、誰に対しても思いやりを持って接していて、深い愛に包まれた方なんだなと思っています。この作品は色々な方に観て頂きたいのですが、特に夢を持って頑張っている若い世代の方にも是非観て頂きたいなと思っています。なかなかうまくいかなくて、結果が出せなくて、やっぱり自分は無理なんだと諦めて逃げてしまう状況って起こりうると思うのですが、キャロルのどんなことがあっても信念を貫いていくという気持ちがあれば、夢に限らず、どんな状況、苦難にぶつかっても乗り越えていける、そんな気持ち、勇気が湧いてくる作品だと思うので、是非キャロル・キングから、皆さんへのメッセージを届けられたらいいなと思います。
中川 バリー・マンという役を演じるのですが、今皆さんのお話を聞きながら、僕も頭の中で整理していて、この物語の中によく出てくる言葉に「ヒット・メーカー」というのがあります。先ほどもお話しましたように、クリエーター同士が拮抗しあいながらその時代を創っていった、そこで生まれた名曲たちが散りばめられて、こんなにも素敵な物語が生まれている。この舞台は、50年代〜70年代くらいまでを描いていますが、同時期を生きた日本のクリエイターの方たち、例えば中島みゆきさん、松任谷由実さん、山下達郎さん等々の音楽を聞いてきた方たちが、お客様の中にたくさんいらっしゃるのではないか?という期待があります。お客様の側から見たら今尚記憶に残る懐かしい名曲たちという側面と、我々演じる側からは、なぜその名曲が生まれたか、何故その曲が必要とされたのか?までを演じるという演じ甲斐があります。普段お客様が観ることのない、音楽が生まれるまで、という裏の部分をクリエーターとしての役作りの中で、ヒットメーカーという言葉を捉えて頂けると、この作品がより一層わかりやすく届くのではないかと思います。もう1つは、カップルになるんですね。キャルロからしたら、(伊礼)彼方さんが演じる、作曲家と作詞家のカップル。僕たち(ソニンを示して)2人もカップル。更に剣さんが演じるキャロルのお母さんにも旦那さんがいたのだけれども別れてしまっている。(武田)真治さんの役だけは、唯一その辺があまり描かれていませんけれども。 
武田 例外です(笑)。

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中川 でも私たち音楽を生み出す、ヒット・メーカーを目指す人間にとっては、ドニー・カーシュナーというプロデューサーがいなければ世に出ることはできなかったという意味では、別の形でのカップルというものがそこにあるのかもしれません。そう考えた時に、夫婦の在り方だったり、何が幸せなのかはわからないけれども、先ほどから出ている「愛」というものがこの作品の中には感じられます。そして最後に、これはすごく個人的な思いなのですけれど、自分がバリー・マンを演じていく中で、50年代の音楽を勉強していて、キャロル・キングたちが影響を受けた音楽が前半に流れるんです。例えば「リトル・ダーリン」という曲が流ますが、この曲は日本では先日亡くなられた平尾昌晃さんがカヴァーされているんですね。50年代、60年代、世界と日本がある意味で近かった、この芸能の仕事を私たちの先輩方が作ってきてくださった時代があって、今の私たちがいるということを力に変えて、この舞台を届けていきたいなと思っています。
武田 素晴らしい!
ソニン 質問なんでしたっけ?あまりにも聞き入ってしまって忘れちゃった(笑)。
武田 役どころの魅力ね。

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ソニン そうですよね(笑)。私はシンシア・ワイルという作詞家の役で、彼女は元々ダンスや女優になる為の勉強をしていて、ミュージカルの曲を作るのが自分の中では夢だったりする役です。この『ビューティフル』という作品は、キャロル・キングが主人公であることもあって、「女性」といのが1つのテーマにもなっていて、あの時代に女性が曲を書くという衝撃的なもの、キャロルも自分は望んでいないけれども、すごく進んだ先駆者だったりもしています。シンシア・ワイル自身も考え方がとても先鋭的で、バリー・マンとのカップルも、シンシア・ワイルが先にイメージを思いついて引っ張っていく。女性がリードするというのが、今は当たり前にもなっていると思いますが、それが珍しかった時代なので、それを現す役割りも担っていると思います。先ほども言っていましたが、カップルで作品を創る。シンガーソングライターも出ていますが、この時代の中でカップルで作品を創る面白さ、カップルでの化学反応もありますが、カップル対カップルというライバルとして、互いに刺激しあって、高めあっていく感じも出ているので、キャロル・キング&ジェリー・ゴフィンのカップルと、バリー・マン&シンシア・ワイルのカップルとの対比も、すごく作品のスパイスになっていると思います。見て頂いてもわかるように、ファッションもかなり違っていて、あ、でも今日のキャロルは、1番のドレスアップの衣装を着ていますが、ファッションの違いや、流れている空気の違いも出ています。また、実際にキャロルとジェリーは別れてしまうのですが、バリーとシンシアは今現在も続いているカップルなんです。そういう対比としての役割を担っていると思いますし、ご覧になって楽しめるところだと思います。
 キャロルの母親なのですが、常にキャロルの父親について文句を言っていて「男なんて」とずっと言っているのを聞いてキャロルは育つので、母親のようにはなりたくないという、反面教師だったんですね。それでも常に、キャロルには自分がした苦労をさせたくない、普通に幸せになって欲しいと願っている、一番愛情深い母親像が、ちゃらんぽらんな感じの中で、どこかに見えれば良いなと思っています。

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──では主演のお2人から改めて意気込みを。
水樹 初めてのミュージカル挑戦で、しかも主演で、この伝統ある帝国劇場に立たせて頂くなんて、もうこの上ない幸せでいっぱいです。初めてということで最初は、何がわからないのかもわからない、という状態から右も左もわからない中に飛び込んだんですけれども、カンパニーの皆さんから温かい手を差し伸べて頂いて、なんとかこの舞台にしっかり主役として上がれるというところまでやって参りました。この稽古期間を信じて、カンパニー一丸となって最高の舞台をお届けしたいと思っています。日本初演ということで、皆さん『ビューティフル』ってどんな作品なんだろうと思っておられて、様子見をされているお客様も中にはおられるかも知れませんが、とにかく絶対楽しい、たくさんの感動が詰まった作品なので、来て頂けたらその時間は最高のものになると私は信じています。皆さん是非劇場にいらしてください。私たち全力でお迎えします。お待ちしています!
平原 このミュージカルは本当に最高です。実際に私も自分の人生を精一杯生きていて、そして今、キャロル・キングの人生を生きている。このカンパニーの皆も、それぞれの人生を生きながらこの役に没頭している。それが周りで見ていると本当にカッコよくて、皆の人間性や歌声に惹かれて帝国劇場生活を送っています。このミュージカルを観に来てくださったら、終わった後は必ず「ビューティフル」な気持ちで帰って頂ける素晴らしい作品だと思いますので、是非いらして頂きたいです。この夏はこのカンパニーの、ここにいるメンバーとアンサンブルの皆が仲間だと思ってくださったら、皆さんに楽しい気持ちになって頂けると思います。きっと帝国劇場にいるファントムも喜んでくれると思いますので、しっかり頑張りたいと思います。是非劇場でお待ちしております。待ってます!
全員 待ってま〜す!!

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※舞台写真は後日追加予定です。


〈公演情報〉
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ミュージカル『ビューティフル』
脚本◇ダグラス・マクグラス
音楽・詞◇ジェリー・ゴフィン&キャロル・キング
バリー・マン&シンシア・ワイル
演出◇マーク・ブルーニ
振付◇ ジョシュ・プリンス
翻訳◇目黒条
訳詞◇湯川れい子
日本版演出アドバイザー◇上田一豪
出演◇水樹奈々、平原綾香(Wキャスト)
中川晃教、伊礼彼方、ソニン、武田真治、剣幸 
伊藤広祥、神田恭兵、長谷川開、東山光明、山田元、山野靖博、清水泰雄(SWING)、エリアンナ、菅谷真理恵、高城奈月子、MARIA-E、ラリソン彩華、綿引さやか、原田真絢(SWING) 
●7/26〜8/26◎帝国劇場
〈料金〉S席13,000円 A席8,000円 B席4,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉東宝テレザーブ 03-3201-7777(9時半〜17時半)
〈公式ホームページ〉http://www.tohostage.com/beautiful/




【取材・文・撮影/橘涼香 舞台写真提供/東宝】
 


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龍 真咲デビューアルバム曲のミュージックビデオ完成!

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撮影/レスリー・キー

ビクターエンタテインメントから8月23日にアルバムを発売、メジャーデビューが決まっている元宝塚歌劇団男役トップの龍 真咲。そのアルバムの収録曲「Silly game」のミュージックビデオが完成した。

龍は、元・宝塚歌劇団男役トップスター。2012年より4年半「月組」の看板スターとして組を背負い活躍。2014年4月、宝塚歌劇団100周年記念式典公演では、全5組を代表して主演を務めた実績を持つトップオブトップでもある。幼いころから歌が好きで、学生時代に見た宝塚に憧れ入団、その後も、得意の歌を活かし、数々の名作で主演を張り、宝塚100周年の節目に一時代を築いた。
昨年9月に宝塚を退団後も歌への情熱は冷めることなく、次々と歌を中心としたゲスト出演のオファーを受けながらも、その合間を縫って、本格的なトレーニングの為に単身渡米。満を持して、いよいよ2017年夏、日本を代表するトップクリエーターチームとのタッグで、全てオリジナル曲のJ−POPに挑み、自身初のアルバム「L.O.T.C 2017」(読み方:えるおーてぃーしーにーぜろいちなな)を発売する。

本格的音楽活動の第一歩となる、記念すべきファースト・アルバムのジャケットは、龍 真咲自身の強い希望により、宝塚時代にも仕事をしており、親交が深く既に互いの感覚で意思疎通の出来るレスリー・キーに依頼した。レスリー・キーはシンガポール出身の写真家でレディー・ガガや松任谷由実、安室奈美恵など多くの著名人を撮影したことで知られる。アート、ファッション、広告などの撮影、更に映像監督としても世界で活躍している。

彼の快諾を得て早朝の渋谷ロケを中心に写真撮影が行われた。撮影当日朝5時、メイク時間に何気なくアルバムの曲「Silly game」を流していたところ、突然レスリーから『ナイスソング!イメージが湧いたので是非ミュージック・ビデオを作ろう!」と思いがけない発案があり、レスリー自ら早朝の電話で映像スタッフを召集、当初はジャケット撮影だけの予定が、スタジオで急遽映像セットを組み撮影が開始された。こうして、映像監督レスリー・キーの芸術的閃きと比類なきアート魂溢れる、龍 真咲・初ミュージックビデオ「Silly game」が完成となる。

8月10日公開 「Silly game(Short Ver.)」
映像監督/レスリー・キー 

○アルバム 作品情報
アーティスト:龍 真咲
作品:アルバム 「L.O.T.C 2017」(読み方:えるおーてぃーしーにーぜろいちなな)
発売日:2017年8月23日(水)
ビクターエンタテインメント 龍 真咲HP http:/www.jvcmusic.co.jp/ryumasaki/

○収録内容
M1「LANDING on the CITY」 作曲:巴川貴裕・松井喬樹/編曲:Integral Clover
M2「Silly game」 作詞:濱名 琴/作曲:orange spotting/編曲:南田健吾
M3「Get by me」 作詞:濱名 琴/作曲:岡本武士/編曲:南田健吾
M4「Merrily Mode」 作詞:濱名 琴/作曲:石松領平/編曲:Integral Clover
M5「Miss you always」 作詞:濱名 琴/作曲:田中隼人/編曲:山佳祐
M6「Long Island Icetea」 作詞:濱名 琴/作曲:岡本武士/編曲:山佳祐
M7「ヒーロー」 作詞:濱名 琴/作曲:長沼 良/編曲:小山 寿

配信情報/iTunes Store、レコチョク他、各配信サイト、またLINE MUSIC、Apple Music、AWA他、定額制音楽ストリーミングサービスにて8月23日より一斉配信開始

○コンサート情報
●8/26、27◎東京 渋谷オーチャードホール 
〈料金〉¥10,000(全席指定・税別)全席指定 
〈お問い合わせ〉 オフィシャルサイト http://www.ryumasaki-scp.com/





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